JP2002362051A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2002362051A
JP2002362051A JP2001169732A JP2001169732A JP2002362051A JP 2002362051 A JP2002362051 A JP 2002362051A JP 2001169732 A JP2001169732 A JP 2001169732A JP 2001169732 A JP2001169732 A JP 2001169732A JP 2002362051 A JP2002362051 A JP 2002362051A
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latex
emulsifier
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printing plate
mass
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JP2001169732A
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English (en)
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Hidekazu Ohashi
秀和 大橋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル信号に基づいた赤外線走査露光後、
処理を行うことなくそのまま印刷機に装着して印刷可能
な平版印刷版用原板であって、機上現像性が良好で、印
刷汚れし難く、しかも高耐刷な平版印刷版用原板を提供
する。 【解決手段】 親水性表面を有する支持体上に、樹脂微
粒子を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版で
あって、該樹脂微粒子がエチレンオキシド鎖を有する乳
化剤を用いた乳化重合により合成されたラテックスであ
ることを特徴とする平版印刷版用原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体上に親水性
の画像形成層を有するネガ型の平版印刷版用原版に関す
る。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査
露光による画像記録が可能であり、画像記録したものは
そのまま印刷機に装着して機上現像による製版が可能な
平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレート(CTP)システムについては、多数の研
究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液
処理問題の解決を目指して、露光後、現像処理すること
なしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷版
用原版が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダ
ーを回転しながら湿し水とインキを供給することによっ
て、印刷用原版の画像形成層の未露光部を除去する機上
現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原版を露
光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で
現像処理が完了する方式である。このような機上現像に
適した平版印刷版用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶
な画像形成層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上
で現像されても可視光によるカブリなどの問題が生じな
い明室取り扱い適性を有することが必要とされる。
【0004】例えば、特許第2938397号には、親
水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微
粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版
印刷版用原版が記載されている。この公報には、該平版
印刷版用原版において、赤外線レーザー露光して熱可塑
性疎水性重合体の微粒子を熱により合体(融着)させて
画像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿
し水および/またはインキにより機上現像できることが
記載されている。この平版印刷版用原版は感光域が赤外
線域であることにより、明室取り扱い適性も有してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような樹脂微粒子を露光によって生ずる熱で融着させる
画像形成方法には、機上現像をしやすくすると耐刷力が
得にくく、耐刷力を高めると機上現像性や印刷での汚れ
難さが劣化するといった、機上現像性及び汚れ難さと高
耐刷性とを両立させるのが困難な問題があった。本発明
の目的は、この問題を解決することである。すなわち、
良好な機上現像性を有し、印刷汚れし難く、しかも高耐
刷な平版印刷版用原版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、詳細な検討
の結果、特定の種類の乳化剤を用いて合成したラテック
スが、課題であった機上現像性及び汚れ難さと高耐刷性
との両立に顕著な効果をもつことを新たに見出し、本発
明に至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】1.親水性表面を有する支持体上に、樹脂
微粒子を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版
であって、該樹脂微粒子がエチレンオキシド鎖を有する
乳化剤を用いた乳化重合により合成されたラテックスで
あることを特徴とする平版印刷版用原版。
【0008】2.エチレンオキシド鎖を有する乳化剤
が、アニオン性官能基を有することを特徴とする請求項
1記載の平版印刷版用原版。
【0009】3.エチレンオキシド鎖を有する乳化剤
が、5以上のHLB値を有するノニオン性乳化剤である
ことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
【0010】ここで、上記特許第2938397号に
は、熱で融合する樹脂微粒子として、乳化剤を使用した
乳化重合によって合成したラテックスを用いた機上現像
型の平版印刷版用原版が記載されている。しかし、この
特許は、本発明の如き、エチレンオキシド鎖を有する乳
化剤を使用した乳化重合によるラテックスが、機上現像
性及び汚れ難さと高耐刷性との両立という上記課題の解
決に有効であることについて、何ら開示も示唆もしてい
ない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0012】本発明の画像形成層に用いる熱で融着する
樹脂微粒子は、エチレンオキシド鎖を有する乳化剤を用
いた乳化重合により合成されたラテックスである。かか
る微粒子を構成する好適な樹脂としては、エチレン、ス
チレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化
ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等
のモノマーからの単独重合体もしくは共重合体から選ば
れたもの、またはそれらの混合物を挙げることができ
る。中でもより好ましいものとして、ポリスチレン、ポ
リメタクリル酸メチルを挙げることができる。
【0013】本発明の樹脂微粒子を合成するためのエチ
レンオキシド鎖を有する乳化剤としては、乳化剤分子中
にエチレンオキシド鎖を有している限り、カチオン性、
アニオン性、ノニオン性、両性の何れの乳化剤でも好適
に使用することができるが、特に好ましいのは、エチレ
ンオキシド鎖を有するアニオン性、ノニオン性の乳化剤
である。
【0014】エチレンオキシド鎖を有するアニオン性乳
化剤における、アニオン性官能基としては、負電荷を有
する官能基であれば何れも好適に使用することができる
が、−COO-、−SO3 -、−OSO3 -、−P(O)O2
2-がより好ましく、−COO -、−SO3 -、−P(O)
2 2-が特に好ましい。また、エチレンオキシド鎖が存
在する限り、その連鎖数が1以上で有れば何れの乳化剤
も使用することができるが、中でも好ましいのはエチレ
ンオキシド鎖の連鎖数が2以上、特に好ましいのは3以
上の乳化剤である。
【0015】エチレンオキシド鎖を有するノニオン性乳
化剤としては、HLB値が5以上であるものが好まし
い。HLB値が5以上において、重合時の乳化安定性が
良好であり、凝集物が生じることなく、良好な機上現像
性が実現できる。
【0016】なお、本発明の上記HLB値は、室井宗一
著、「高分子ラテックスの化学」第一章、第2節に記載
の次式で計算した値である。
【0017】HLB値=E/5 (Eは分子中のエチレンオキシド鎖の質量%値を表す)
【0018】かかる乳化剤の具体例を以下に記載する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】本発明に用いられる樹脂微粒子を合成する
ためのエチレンオキシド鎖を有する乳化剤は、単独で使
用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
また、本発明の効果を損なわない限り、エチレンオキシ
ド鎖を持たない乳化剤と混合して使用することもでき
る。かかるエチレンオキシド鎖を持たない乳化剤の具体
例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウ
ム等のカルボン酸塩、オクチル硫酸ナトリウム、ドデシ
ル硫酸ナトリウム等の硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム
等のスルホン酸塩、ラウリルリン酸ナトリウム等のリン
酸塩、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン酢酸塩
等のアミン塩、ラウリルピリジニウムクロライド、セチ
ルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩、ラウリ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミ
ノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパー
クロレイト等の4級アンモニウム塩、グリセロールモノ
ラウレート、グリセロールモノステアレート等のグリセ
リン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソル
ビタンモノパルミテート等のソルビタン誘導体、ジメチ
ルラウリルベタイン等のベタイン型両性乳化剤等が挙げ
られるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】これらエチレンオキシド鎖を持たない乳化
剤を使用する場合は、エチレンオキシド鎖を有する乳化
剤とエチレンオキシド鎖を持たない乳化剤の混合比が、
質量比で100:1〜1:100の間で使用することが
好ましい。この範囲内の乳化剤により合成したラテック
スにおいて、良好な機上現像性が実現できる。
【0025】本発明に用いられるラテックスを乳化重合
によって合成する際に使用される乳化剤又は乳化剤混合
物は、ラテックスが所望の粒子径を有するように使用さ
れる限り、いかなるモノマー:乳化剤質量比でも使用す
ることができるが、モノマー100質量部に対し、50
質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好まし
い。その他の合成条件は、通常の乳化重合条件が適用で
きる。
【0026】本発明の画像形成層は、機上現像性の向上
や画像形成層の皮膜強度のために親水性樹脂を添加する
ことができる。親水性樹脂としては3次元架橋していな
いものが機上現像性が良好で好ましい。
【0027】親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル
基、カルボキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ
プロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピ
ル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するものが好
ましい。
【0028】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、ソヤガム、澱粉及びその誘導
体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロースおよびその塩及びセルロースアセテート等のセル
ロース誘導体、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、水溶性ウレタン
樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ンオキシド類、ポリ(プロピレンオキシド)類、ポリビ
ニルアルコール(PVA)類、ならびに加水分解度が少
なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%
の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ア
クリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタク
リルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロ
ールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸お
よびその塩等を挙げることができる。
【0029】親水性樹脂の画像形成層中への添加量は、
画像形成層固形分の2〜40質量%が好ましく、3〜3
0質量%がさらに好ましい。この範囲内で良好な機上現
像性と高耐刷性が得られる。
【0030】本発明の画像形成層には、樹脂微粒子、親
水性樹脂の他に、光を吸収して発熱する光熱変換剤、無
機微粒子、界面活性剤、着色剤、可塑剤など、感度の向
上、親水性の程度の制御、画像形成層の物理的強度の向
上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の
向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上などの種々
の目的の化合物を添加することができる。以下これらに
ついて説明する。
【0031】光熱変換剤としては、700nm以上の光
を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用い
る事ができる。顔料としては、市販の顔料及びカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔
料が利用できる。
【0032】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔
料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン
系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0033】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、
界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シ
リカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポ
キシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結
合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、
「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されてい
る。
【0034】本発明の画像形成層に添加する顔料として
は、特に、水溶性又は親水性の樹脂と分散しやすく、か
つ親水性を損わないように親水性樹脂やシリカゾルで表
面がコートされたカーボンブラックが有用である。
【0035】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、
サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミ
ル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミ
ル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加
圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0036】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、
「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤
外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動
向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又は特
許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シア
ニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0037】例えば、特開昭58−125246号、特
開昭59−84356号、特開昭60−78787号、
特開昭58−173696号、特開昭58−19459
5号、特開昭59−216146号、英国特許434,
875号、米国特許第4,973,572号等に記載さ
れているシアニン染料、米国特許第4,756,993
号記載のシアニン染料やアゾメチン染料、特開昭58−
181690号等に記載されているメチン染料、特開昭
58−112793号、特開昭58−224793号、
特開昭59−48187号、特開昭59−73996
号、特開昭60−52940号、特開昭60−6374
4号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58
−112792号等に記載されているスクワリリウム染
料、特開平11−235883号記載のフタロシアニン
化合物や特開平10−268512号記載の各種の染料
を挙げることができる。
【0038】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、特開昭58−220143
号、特開昭59−41363号、特開昭59−8424
8号、特開昭59−84249号、特開昭59−146
063号、特開昭59−146061号、特公平5−1
3514号、特公平5−19702号に記載されている
ピリリウム系化合物、米国特許第4,283,475号
に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、エポリン
社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、
エポライトIII−125等も好ましく用いられる。
【0039】これらの中で、親水性の画像形成層に添加
するのに特に好ましい染料は水溶性基を有する染料で、
以下に具体例を構造式で示すが、これらに限定されな
い。
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】上記の有機系の光熱変換剤は、画像形成層
中に30質量%まで添加することができる。好ましくは
3〜25質量%であり、特に好ましくは4〜20質量%
である。この範囲内で、良好な感度が得られる。
【0043】本発明の画像形成層等には、光熱変換剤と
して金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の多
くは、光熱変換性であって、かつ自己発熱性でもある。
好ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、
Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、
W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体または合金も
しくはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられる。
【0044】これらの金属微粒子を構成する金属の中で
も好ましい金属は、光照射によって熱融着し易い融点が
およそ1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に
吸収をもつ金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、PbおよびSnである。
【0045】また、とくに好ましいのは、融点も比較的
低く、熱線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、
たとえばAg、Au、Cu、Sb、GeおよびPbで、
とくに好ましい元素はAg、AuおよびCuが挙げられ
る。
【0046】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子と
Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己発熱
性金属の微粒子を混合使用する等、2種以上の光熱変換
物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pd
等微小片としたときに光吸収がとくに大きい金属種の微
小片と他の金属微小片を組み合わせて用いることは好ま
しい。
【0047】以上に述べた金属単体および合金の微粒子
は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効
果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性で
かつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤
で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基
を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性
高分子皮膜を設ける等の方法を用いることができる。特
に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄
微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)水
溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性
化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表
面シリケート処理を行うことができる。
【0048】これらの粒子の粒径は、好ましくは10μ
m以下、より好ましくは0.003〜5μm、特に好ま
しくは0.01〜3μmである。この範囲内で、良好な
感度と解像力が得られる。
【0049】本発明において、これらの金属微粒子を光
熱変換剤として用いる場合、その添加量は、好ましくは
画像形成層固形分の10質量%以上であり、より好まし
くは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上で用
いられる。この範囲内で高い感度が得られる。
【0050】本発明の画像形成層には無機微粒子を添加
してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、
酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、ア
ルギン酸カルシウムもしくはこれらの混合物などが好適
な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮
膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用
いることができる。
【0051】無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μm
のものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmで
ある。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や光熱変換剤の
金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像形成
層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水
性に優れた非画像部を形成できる。
【0052】このような無機微粒子は、コロイダルシリ
カ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微
粒子の画像形成層への含有量は、画像形成層の全固形分
の1.0〜70質量%が好ましく、より好ましくは5.
0〜50質量%である。
【0053】本発明の画像形成層には、印刷条件に対す
る安定性を拡げるため、ノニオン系及びアニオン系界面
活性剤のほか、特開平2−195356号公報に記載さ
れているようなカチオン界面活性剤、含フッ素界面活性
剤、及び特開昭59−121044号及び特開平4−1
3149号公報に記載されている両性界面活性剤を添加
することができる。
【0054】ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリ
オキシプロピレンブロックコポリマー類、さらにポリオ
キシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマ
ーの端末の水酸基に炭素数5〜24の脂肪族基がエーテ
ル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
類、同じくアルキル置換アリール基がエーテル結合した
複合ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル
類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステア
レート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
パルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタント
リオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソ
ルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビ
タントリオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0055】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
やN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商
品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0056】アニオン系活性剤の具体例としては、アル
キルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、脂肪族カル
ボン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキル
ナフタレンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホル
ムアルデヒドの縮合型のもの、炭素数9〜26の脂肪族
スルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリ
ルポリオキシエチレン硫酸、セチルポリオキシエチレン
スルホン酸、オレイルポリオキシエチレンホスホン酸な
どのポリオキシエチレン含有硫酸やポリオキシエチレン
含有燐酸などが挙げられる。
【0057】カチオン活性剤の具体例としては、ラウリ
ルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウム
クロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライ
ドなどが挙げられる。
【0058】画像形成層には、場合によりさらに、上記
の界面活性剤の添加量の範囲内でフッ素系の界面活性剤
を用いることもできる。具体的にはパーフルオロアルキ
ル基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スル
ホン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいづれかを
有するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、
第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性
剤、又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキ
シ化合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮
合型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界
面活性剤などが挙げられる。
【0059】上記界面活性剤の親水層全固形物中に占め
る割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ま
しくは0.1〜5質量%である。
【0060】また、本発明の画像形成層には、画像形成
後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可
視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使
用することができる。具体的には、オイルイエロー#1
01、オイルイエロー#103、オイルピンク#31
2、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイル
ブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラック
BS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学
工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(CI42555)、メチルバイオレット
(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミン
B(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI
42000)、メチレンブルー(CI52015)等、
および特開昭62−293247号に記載されている染
料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔
料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いる
ことができる。添加量は、画像形成層の全固形分に対
し、0.01〜10質量%の割合である。
【0061】本発明の画像形成層には、必要に応じ、塗
膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることがで
きる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリ
ブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル
酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン
酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0062】本発明の画像形成層は、必要な上記各成分
を水、又は必要に応じて有機溶剤を加えた混合溶剤に溶
解又は分散して塗布液を調製し、塗布される。塗布液の
固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0063】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられ
る。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像形成層の塗
布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に
0.5〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g
/m2がより好ましい。
【0064】本発明に用いる支持体は、親水性表面を有
する基板、又は親水層の塗布などによって親水性表面を
付与された基板である。具体的には、紙、プラスチック
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラ
ミネート若しくは蒸着された紙またはプラスチックフィ
ルム、又はこれらの基板に親水層を塗布されたものであ
る。特に好ましい支持体としては、アルミニウム板及び
親水層を塗布されたポリエステルフィルムが挙げられ
る。
【0065】該アルミニウム板は、純アルミニウム板お
よびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合
金板であり、さらにはアルミニウムまたはアルミニウム
合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているもの
である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ
素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、
ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素
の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造
法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板で
も、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっ
ても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板
は、従来より公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜
に利用することができる。
【0066】本発明で用いられる上記の基板の厚みは
0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜
0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mm
である。
【0067】アルミニウム板を使用するに先立ち、表面
の粗面化、陽極酸化等の表面処理をすることが好まし
い。表面処理により、親水性の向上および画像形成層と
の接着性の確保が容易になる。
【0068】アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々
の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する
方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化
学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械
的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラス
ト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることがで
きる。化学的方法としては、特開昭54−31187号
公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽
和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学
的な粗面化法としては塩酸または硝酸等の酸を含む電解
液中で交流または直流により行う方法がある。また、特
開昭54−63902号に開示されているように混合酸
を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0069】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッ
チング処理がされ、さらに中和処理された後、所望によ
り耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。ア
ルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質として
は、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可
能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸もしくは
それらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電
解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条
件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し
得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶
液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電
圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば
適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0
g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ま
しい。
【0070】本発明で用いられる支持体としては、上記
のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板その
ままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、
断熱性等の一層の改良のため、必要に応じて、特願20
00−65219号や特願2000−143387号に
記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処
理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含
有する水溶液に浸漬する表面親水化処理等を適宜選択し
て行うことができる。
【0071】上記親水化処理のための好適な親水性化合
物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をも
つ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸
塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ
素化合物等を挙げることができる。
【0072】本発明の支持体としてポリエステルフィル
ムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、
親水層の塗布等により表面を親水性にする必要がある。
親水層としては、特願2000−10810号に記載
の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、
チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、
鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択さ
れる少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコ
ロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好まし
い。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含
有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0073】本発明においては、画像形成層を塗布する
前に、必要に応じて、特願2000−143387号に
記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無
機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デ
キストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層
が設けられてもかまわない。又、この下塗層には、前記
光熱変換剤を含有させてもよい。
【0074】本発明の平版印刷版用原版は、保存時の親
油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指
紋跡汚染等から親水性の画像形成層表面を保護するた
め、画像形成層上に親水性オーバーコート層を設けるこ
とができる。
【0075】本発明に使用される親水性オーバーコート
層は印刷機上で容易に除去できるものであり、水溶性樹
脂、または水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂
から選ばれた樹脂を含有する。
【0076】かかる水溶性樹脂は、水溶性の天然高分子
および合成高分子から選ばれ、水溶性樹脂単独もしくは
架橋剤とともに用いて、塗布乾燥された皮膜がフィルム
形成能を有するものである。
【0077】本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の
具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶
性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチ
ルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセ
ルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プ
ルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分
子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水
分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合
体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタク
リル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニル
アルコール/アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金
属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重
合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニル
ピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテ
ル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、
ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパン
スルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポ
リ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンス
ルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン
塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの
樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0078】水溶性樹脂の少なくとも1種以上を部分架
橋し、画像形成層上にオーバーコート層を形成する場
合、架橋は、水溶性樹脂の有する反応性官能基を用いて
架橋反応することにより行われる。架橋反応は、共有結
合性の架橋であっても、イオン結合性の架橋であっても
よい。
【0079】架橋により、オーバーコート層表面の粘着
性が低下して平版印刷版用原版の取り扱い性がよくなる
が、架橋が進み過ぎるとオーバーコート層が親油性に変
化して、印刷機上におけるオーバーコート層の除去が困
難になるので、適度な部分架橋が好ましい。好ましい部
分架橋の程度は、25℃の水中に印刷用原版を浸したと
きに、30秒〜10分間では親水性オーバーコート層が
溶出せず残存しているが、10分以上では溶出が認めら
れる程度である。
【0080】架橋反応に用いられる化合物(架橋剤)と
しては、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げら
れ、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリイソ
シアナート化合物、ポリアルコキシシリル化合物、チタ
ネート化合物、アルデヒド化合物、多価金属塩化合物、
ヒドラジン等が挙げられる。
【0081】架橋剤は単独または2種以上を混合して使
用することが可能である。架橋剤のうち特に好ましい架
橋剤は、水溶性の架橋剤であるが、非水溶性のものは分
散剤によって水に分散して使用することができる。
【0082】特に好ましい水溶性樹脂と架橋剤の組み合
わせとしては、カルボン酸含有水溶性樹脂/多価金属化
合物、カルボン酸含有水溶性樹脂/水溶性エポキシ樹
脂、水酸基含有樹脂/ジアルデヒド類を挙げられる。
【0083】架橋剤の好適な添加量は、水溶性樹脂の2
〜10質量%である。この範囲内で印刷機上でのオーバ
ーコート層の除去性を損なうことなく、良好な耐水性が
得られる。
【0084】上記のオーバーコート層には、感度を向上
させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ま
しい光熱変換剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙
げられ、中でも、前記の画像形成層の説明中に構造式で
示した赤外線吸収色素が好適に用いられる。
【0085】その他、オーバーコート層には塗布の均一
性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオ
ン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める
割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましく
は1〜3質量%である。
【0086】本発明のオーバーコート層の厚みは、水溶
性樹脂が架橋されていない場合は、0.1μmから4.
0μmが好ましく、更に好ましい範囲は0.1μmから
1.0μmであり、水溶性樹脂が部分架橋されている場
合は、0.1〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.3
μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオー
バーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質に
よる画像形成層の汚染を防止できる。
【0087】本発明の平版印刷版用原版は熱により画像
形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画
像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電
灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光など
が用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を
放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤
外線レーザによる露光が好適である。
【0088】本発明の平版印刷版用原版は、レーザー出
力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることがで
きる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク
出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを
照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画
像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm 2
の範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cm2
範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場
合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することも
できる。
【0089】画像露光された本発明の平版印刷版用原版
は、それ以上の処理なしに印刷機に装着された後、湿し
水とインキを供給し、さらに紙を供給する通常の印刷開
始操作によって機上現像され、続いて印刷することがで
きる。
【0090】また、本発明の平版印刷版用原版は、印刷
機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載された
レーザーにより露光し、続いて機上現像し、印刷するシ
ステムにも用いられる。
【0091】また、本発明の平版印刷版用原版は、露光
後、水又は適当な水溶液を現像液とする液体現像処理を
した後、印刷に用いることも可能である。
【0092】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】[ラテックスの合成例1:ラテックス
(1)]2リットルの三口フラスコに、上記乳化剤(2
8)[和光純薬製、29.6質量%水溶液]10.4
g、蒸留水810mlを秤取り、75℃、窒素気流下に
て10分間攪拌した。この溶液に、過硫酸カリウム0.4
62g、蒸留水14ml、1N炭酸水素ナトリウム水溶
液3.5mlを混合した溶液を加えた後、スチレン10
4.15gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、過硫
酸カリウム0.462g、蒸留水14ml、1N炭酸水
素ナトリウム水溶液3.5mlを混合した溶液を加えた
後、更に3時間攪拌を続けた。得られた反応混合物をグ
ラスフィルターで濾過して、ラテックス(1)を得た。
こうして得られたラテックス(1)水溶液の固形分濃度
は、11質量%であり、平均粒径は0.075μmであ
った。
【0094】[ラテックスの合成例2:ラテックス
(2)]乳化剤(28)を上記乳化剤(1)[竹本油脂
製、HLB=15.3]3.12gに変更した以外は、
上記ラテックスの合成例1と同様にしてラテックス
(2)を得た。こうして得られたラテックス(2)水溶
液の固形分濃度は、10.9質量%であり、平均粒径は
0.085μmであった。
【0095】[ラテックスの合成例3:ラテックス
(3)]乳化剤(28)を上記乳化剤(11)[竹本油
脂製、HLB=16.7]3.12gに変更した以外
は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテックス
(3)を得た。こうして得られたラテックス(3)水溶
液の固形分濃度は、10.5質量%であり、平均粒径は
0.080μmであった。
【0096】[ラテックスの合成例4:ラテックス
(4)]乳化剤(28)を上記乳化剤(24)[クライ
リアント製、40質量%水溶液]7.80gに変更した
以外は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテックス
(4)を得た。こうして得られたラテックス(4)水溶
液の固形分濃度は、11.2質量%であり、平均粒径は
0.075μmであった。
【0097】[ラテックスの合成例5:ラテックス
(5)]乳化剤(28)を上記乳化剤(30)[クライ
リアント製、35質量%水溶液]8.91gに変更した
以外は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテックス
(5)を得た。こうして得られたラテックス(5)水溶
液の固形分濃度は、10.8質量%であり、平均粒径は
0.091μmであった。
【0098】[ラテックスの合成例6:ラテックス
(6)]乳化剤(28)を、上記乳化剤(31)と(3
2)との混合物(質量比50/50)[クライリアント
製]3.12gに変更した以外は、ラテックスの合成例
1と同様にしてラテックス(6)を得た。こうして得ら
れたラテックス(6)水溶液の固形分濃度は、11.3
質量%であり、平均粒径は0.095μmであった。
【0099】[ラテックスの合成例7:ラテックス
(7)]乳化剤(28)を上記乳化剤(33)[竹本油
脂製、75質量%水溶液]4.16gに変更した以外
は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテックス
(7)を得た。こうして得られたラテックス(7)水溶
液の固形分濃度は、11.0質量%であり、平均粒径は
0.093μmであった。
【0100】[ラテックスの合成例8:ラテックス
(8)]乳化剤(28)を、乳化剤(28)7.91g
と下記構造の乳化剤(A)0.78gとの混合物に変更
した以外は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテッ
クス(8)を得た。こうして得られたラテックス(8)
水溶液の固形分濃度は、11.2質量%であり、平均粒
径は0.072μmであった。
【0101】[ラテックスの合成例9:ラテックス
(9)]乳化剤(28)を、上記乳化剤(1)1.56
gと下記構造の乳化剤(B)1.56gとの混合物に変
更した以外は、ラテックスの合成例1と同様にしてラテ
ックス(9)を得た。こうして得られたラテックス
(9)水溶液の固形分濃度は、11.0質量%であり、
平均粒径は0.078μmであった。
【0102】
【化7】
【0103】[ラテックスの合成例10:ラテックス
(10)]2リットルの三口フラスコに、乳化剤(2
8)3.38g、蒸留水800mlを秤取り、75℃、
窒素気流下にて10分間攪拌した。この溶液に、過硫酸
カリウム0.462g、蒸留水14ml、1N炭酸水素
ナトリウム水溶液3.5mlを混合した溶液を加えた
後、メチルメタクリレート100.12gを3時間かけ
て滴下した。滴下終了後、過硫酸カリウム0.462
g、蒸留水14ml、1N炭酸水素ナトリウム水溶液
3.5mlを混合した溶液を加えた後、更に3時間攪拌
を続けた。得られた反応混合物をグラスフィルターで濾
過して、ラテックス(10)を得た。こうして得られた
ラテックス(10)水溶液の固形分濃度は、10.7質
量%であり、平均粒径は0.072μmであった。
【0104】[比較用ラテックスの合成例1:ラテック
ス(c−1)]乳化剤(28)を上記乳化剤(A)3.
12gに変更した以外は、ラテックスの合成例1と同様
にしてラテックス(c−1)を得た。こうして得られた
ラテックス(c−1)水溶液の固形分濃度は、11.3
質量%であり、平均粒径は0.069μmであった。
【0105】[比較用ラテックスの合成例2:ラテック
ス(c−2)]乳化剤(28)を上記乳化剤(B)3.
12gに変更した以外は、ラテックスの合成例1と同様
にしてラテックス(c−2)を得た。こうして得られた
ラテックス(c−2)水溶液の固形分濃度は、10.9
質量%であり、平均粒径は0.070μmであった。
【0106】実施例1〜10及び比較例1〜2 アルミニウム板(材質JISA1050、厚さ0.24
mm)を公知の方法を用いて、硝酸浴で電解砂目立て、
硫酸浴で陽極酸化した後、ケイ酸塩水溶液による処理を
行った。支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μ
m、陽極酸化皮膜量は2.5g/m2、ケイ素付着量は
10mg/m2であった。こうして得られたアルミニウ
ム板に、下記のように調製した画像形成層塗布溶液をロ
ッドバーで塗布し、60℃で3分間乾燥して、平版印刷
版用原版(1)〜(10)及び比較例用の平版印刷版用
原版(C−1)と(C−2)を得た。各平版印刷版用原
版に用いたラテックスの番号と乾燥塗布量を表1に示し
た。
【0107】 (画像形成層塗布溶液) ラテックス水溶液(固形分換算で) 0.80g ポリアクリル酸(質量平均分子量:2.5万) 0.14g 光熱変換剤(本明細書記載(IR−10)) 0.05g 蒸留水(塗布溶液濃度が7質量%になるように添加)
【0108】
【表1】
【0109】得られた平版印刷版用原版(1)〜(1
0)、(C−1)及び(C−2)を、水冷式40W赤外
線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter 3244
VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、
版面エネルギー:100mJ/cm2、解像度2400
dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハ
イデルベルグ社製印刷機SOR−Mの版胴に取り付け、
湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給
して印刷を行った。全ての印刷版用原版とも、機上現像
することができ、印刷が可能であった。各プレートの機
上現像に要した紙の枚数と得られた印刷物の枚数を表2
に記載した。
【0110】
【表2】
【0111】本発明の平版印刷版用原版は、何れも機上
現像性が良好であり、汚れのない良好な印刷物が1.5
万枚以上得られた。一方、比較例のエチレンオキシド鎖
を持たないラテックスを用いた平版印刷版用原版は、機
上現像するために100枚以上の印刷を必要とした。こ
の原因は、ラテックス合成時に使用した乳化剤にある。
確かな原因は不明であるが、親水的なエチレンオキシド
鎖はラテックスの表面を覆うように存在すると考えら
れ、これが立体障害となって、ラテックス同士が塗布乾
燥の段階で癒着することを阻害しているためと推定され
る。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、デジタル信号に基づい
た赤外線走査露光後、処理を行うことなくそのまま印刷
機に装着して印刷可能な平版印刷版用原版であって、機
上現像性が良好で、印刷汚れし難く、しかも高耐刷な平
版印刷版用原版を提供できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA02 AB03 AC08 AD01 BH03 BJ03 CC20 FA10 2H096 AA06 BA01 BA20 EA04 EA23 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 DA04 DA46 DA52 DA73 DA78 EA01 EA03 EA04 EA06 FA16 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する支持体上に、樹脂微
    粒子を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版で
    あって、該樹脂微粒子がエチレンオキシド鎖を有する乳
    化剤を用いた乳化重合により合成されたラテックスであ
    ることを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 エチレンオキシド鎖を有する乳化剤が、
    アニオン性官能基を有することを特徴とする請求項1記
    載の平版印刷版用原版。
  3. 【請求項3】 エチレンオキシド鎖を有する乳化剤が、
    5以上のHLB値を有するノニオン性乳化剤であること
    を特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009069294A1 (ja) 2007-11-28 2009-06-04 Kubota Corporation 浸漬型膜分離装置および膜カートリッジ

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