JP2002361424A - パルスアーク溶接装置 - Google Patents

パルスアーク溶接装置

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JP2002361424A
JP2002361424A JP2001166354A JP2001166354A JP2002361424A JP 2002361424 A JP2002361424 A JP 2002361424A JP 2001166354 A JP2001166354 A JP 2001166354A JP 2001166354 A JP2001166354 A JP 2001166354A JP 2002361424 A JP2002361424 A JP 2002361424A
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pulse
welding
voltage
electrode
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Takao Kumasaka
隆夫 熊坂
Mitsuo Kato
光男 加藤
Akihiro Sato
章弘 佐藤
Kunio Miyazaki
邦夫 宮崎
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、上記の問題点に鑑みてアーク
長を調整するトーチ駆動部の制御性が良好なパルス溶接
装置を提供することにある。 【解決手段】本発明は、アーク電極を備える溶接トーチ
と、アーチ電極に100〜2000ヘルツ未満の中周波
のパルスアーク電圧を周期的に発生させる高周波パルス
電流を供給するパルス溶接電源と、溶接トーチのアーク
電極と溶接母材との間隔を調整するトーチ駆動部と、ア
ーク電極と溶接母材との間の電圧を検出するアーク電圧
検出部とを備えたパルスアーク溶接装置において、パル
スアーク電圧又はパルスアーク電流の立ち上がり開始点
から立ち下がり終了点に至る時間区間におけるアーク電
圧の平均値を求めるON時平均化処理部を設け、ON時
平均化処理部で求めたON区間平均電圧値をアーク電圧
基準値に基づいて調整するトーチ駆部を有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な中周波パルス
アーク溶接装置に係わり、特に非消耗電極を用いて行う
TIG溶接に好適な中周波パルスアーク溶接装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】直流のアーク溶接は、アーク電圧とアー
ク長がある一定の関係があるため、検出されるアーク電
圧が所定の値に維持されるようにトーチのアーク電極を
移動してアーク長(アーク電極と溶接部材との間隔)を
調整するように間隔調整手段のサーボモータ等を制御し
ていた。また、パルスアーク溶接においては、パルス電
流とベース電流を重畳してアーク電極に供給するととも
に時間的に変化するパルスアーク電圧を平均化したアー
ク電圧の平均値に基づいてアーク長の間隔調整手段を制
御していた。
【0003】パルスアーク溶接法としては、低周波領域
(1〜100ヘルツ未満)、中周波領域(100〜20
00ヘルツ未満)、高周波領域(2〜35キロヘルツ)
の周波数領域を用いるものがある。低周波領域のものに
あっては、1周期にパルス電流がゼロとなるOFF区間
を設けると、アークが消滅して安定性が悪くなるのを抑
えるために比較的大きなベース電流を流さなければなら
なかった。他方、高周波領域では周期が短いため、図1
6に示すように、比較的小さなベース電流でアークを持
続させることができるが、電源装置が高価になる傾向が
あった。
【0004】また、従来の中周波電源の装置価格は安価
であるがパルス電流の立ち上がりと立下がりが遅いた
め、100〜2000ヘルツ未満の領域ではベース電流
を小さく設定してもパルスが充分に下がらず谷部の電流
が高くなる傾向があった。
【0005】しかし、近年、100〜2000ヘルツ未
満の中周波電源においてもパルス電流の立ち上がりと立
ち下がりが早く、高ピーク電流に対してもベース電流を
小さく設定することが可能となってきた。このような急
峻化したパルス電流波形を発生可能な中周波電源におい
ては、トータルの溶接電流をそれほど増加することな
く、高ピーク値のパルス電流が得られる。この高ピーク
値の電流を流すことによって、電磁ピンチ力が強まって
アークの指向性が高められ、狂いなく正確な位置の溶接
ができるので、狭い開先(狭い溝)の溶接に好適であ
る。
【0006】急峻化した中周波パルスアーク溶接装置と
しては、特開平11−28567号公報に示すように、
直流リアクトルを複数備えているものがある。
【0007】このような中周波パルスアーク溶接装置の
アーク長制御は、通常、パルスアーク電圧が時間的に変
化するので、一周期の平均化処理により求めたパルスア
ーク電圧の平均値を基にして制御するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の中周波
パルス溶接装置のアーク長制御は、次のような問題があ
った。周波数が100〜2000ヘルツ未満の高い電流
ピーク値を有するパルス電流と小さな電流値のベース電
流で溶接をする中周波パルス溶接装置において、アーク
長制御は、パルス1周期のパルスアーク電圧平均値に基
づいて行っていた。
【0009】しかし、パルスアーク電圧の平均値は、O
FF区間を含むパルス一周期の平均値であるので、小さ
な値になる。この小さな値を示すパルスアーク電圧の平
均値とアーク長との関係を見ると、アーク長の変化量に
対するパルスアーク電圧平均値の変化量の割合(アーク
電圧感度)が小さい。このようなアーク電圧感度が低い
パルスアーク電圧の平均値でアーク長を調整するトーチ
駆動部の制御は応答性が鈍く、制御性が良くない。
【0010】又、パルス電流の周波数が約1キロヘルツ
を越える周波数領域を使用する場合誘導ノイズ[インダ
クタンス(L)×(電流の時間変化)]が発生し、この
誘導ノイズがパルスアーク電圧に重畳される。その結
果、アーク電圧とアーク長との関係が変化し、アーク電
圧感度が低くなる傾向がある。特にアーク長の小さな領
域や溶接時の入熱を小さくする場合ではアーク電圧感度
がさらに低下し、トーチ駆動部の制御はさらに応答性が
鈍くなる。
【0011】本発明の目的は、上記の問題点に鑑みてア
ーク長を調整するトーチ駆動部の制御性が良好なパルス
溶接装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、アーク電極を
備える溶接トーチと、前記アーチ電極に100〜200
0ヘルツ未満、好ましくは100〜1000ヘルツ未満
の中周波のパルスアーク電圧を周期的に発生させる中周
波パルス電流を供給するパルス溶接電源と、サーボモー
タ等を有し、かつ前記溶接トーチのアーク電極と溶接母
材との間隔を調整するトーチ駆動部と、アーク電極と溶
接母材との間の電圧を検出するアーク電圧検出部とを備
えたパルスアーク溶接装置において、前記パルスアーク
電圧またはパルスアーク電流の立ち上がり開始点から立
ち下がり終了点に至る時間区間におけるアーク電圧の平
均値を求めるON時平均化処理部を設け、このON時平
均化処理部で求めたON区間平均電圧値をアーク電圧基
準値に基づいて調整する前記トーチ駆部を有することを
特徴とするものである。又、本発明は、前記パルス電流
のON区間でのアーク消費電力の平均値を求めるON時
平均化処理部を有し、該ON時平均化処理部によって求
められた前記平均のアーク消費電力を基準アーク消費電
力に基づいて調整する前記トーチ駆動部を有することを
特徴とする。
【0013】本発明におけるパルスアーク溶接装置とし
ては、中周波領域(100〜2000ヘルツ未満)の周
波数領域を用いるものであるが、高周波領域(2〜35
キロヘルツ)において適用しても良い。
【0014】更に、本発明は、上記の特徴を備えた手段
に加え、アーク電圧の平均値を前記アーク電圧の波形整
形処理を行った後に求めること、その処理回路としてロ
ーパスフィルタ回路又はアイソレーション回路にて行う
ものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
【実施例1】図1は、中周波パルス溶接装置の概略図で
ある。本装置は、パルス溶接電源1と、アーク電極2を
備える溶接トーチ3と、トーチ駆動部4を有する。アー
ク電極2は溶接母材5の溶接個所に対向するように置か
れる。トーチ駆動部4(サーボモータ)は、アーク電極
2と溶接母材5との間に生ずるアーク6のアーク長を調
整するように溶接トーチ3を前後に進退作動させる。溶
接トーチ3は、アーク6を囲うようにシールドガスを放
出し、溶接部分の酸化を抑える。
【0016】パルス溶接電源1と溶接トーチ3はパルス
電流電送ケーブル19で接続され、この間にパルス電流
検出部21が設けられる。このパルス電流検出部21で
検出したパルス電流検出値26に基づいてパルス溶接電
源1は定電流パルスを発生する。
【0017】パルス溶接電源1と溶接母材5はパルス電
流電送ケーブル20で接続され、このパルス電流電送ケ
ーブル20と溶接トーチ3との間にアーク電圧検出部8
が設けられる。アーク電圧検出部8で検出されたアーク
電圧検出値25は、ON時平均化処理部9に取り込まれ
て処理される。この処理で求められたアーク電圧のON
区間平均値はアーク電圧比較部10に取り込まれ、アー
ク電圧基準値と比較される。アーク電圧比較部10の出
力で、トーチ駆動部4は駆動される。アーク電圧の平均
値とアーク電圧基準値とが一致してアーク電圧比較部1
0の出力がゼロになったところで、トーチ駆動部4の調
整駆動動作は停止する。
【0018】パルス溶接電源1は、直流リアクトルを複
数個有し、パルス周波数が100〜2000ヘルツ、よ
り好ましくは300〜1000ヘルツのパルス電流を供
給するものである。周波数が100〜300ヘルツにお
いては、ベース電流を低くし過ぎるとアークの安定性が
悪くなる傾向があり、又、1000ヘルツを越えると電
源回路におけるスイッチング損失が大きくなる傾向があ
るからである。電源回路やパルス電流電送ケーブル19
のインダクタンスを低減することにより、20〜300
μsecの短い時間内に電流が0から500アンペアま
で立ち上がり、同様の短い時間内に電流が500〜0ア
ンペアまで立ち下がるパルス電流が得られる。このパル
ス電流の波形は高いピーク値を有し、図2の(a)・
(b)に示すように、三角状または上辺が傾く台形状を
なす山形を示す。例えば、500ヘルツの中周波パルス
を発生させる場合、ベース電流は、ピーク値の約1/2
5から1/5の電流値を与えることで、アーク電流が途
切れることなく且つ安定に持続して流れるのである。こ
のベース電流値は、従来の500ヘルツ・中周波電源の
ベース電流値の約1/10から1/2の値である。な
お、パルス電流のピーク値はアークの指向性やトータル
の溶接電流等の面から300〜800アンペア程度が妥
当である。
【0019】ON時平均化処理部9は、所定極性のアー
ク電圧絶対値が所定値以上となる立ち上がり開始点から
立ち下がり終了点に至る時間区間におけるアーク電圧の
ON区間平均電圧値を求めるものである。図3に示すよ
うにON時平均化処理部9は、パルス幅測定回路11と
アーク電圧積分回路12と演算処理回路13を有する。
【0020】パルス幅測定回路11はコンパレータを用
いてアーク電圧基準値を設定し、図4に示すように所定
極性のアーク電圧絶対値が所定値Vb以上になる立ち上
がり開始点から立ち下がり終了点に至る時間区間(t1
〜t2)を占めるパルス幅Tp(Tp=t2−t1)を
求める。
【0021】アーク電圧積分回路12は、パルスON時
のアーク電圧を積分し、OFF区分中はホールドする。
演算処理回路13は積分値をパルス幅Tpで除算して1
パルス毎にパルスON区間のアーク電圧の平均値を求め
る。さらに複数のパルスに対する平均値をも求める。な
お、電流パルスのパルス幅測定回路を溶接電源1に内蔵
させた場合は、ON時平均化処理部9のパルス幅測定回
路11は不要になる。
【0022】このようにON時平均化処理部9によっ
て、アーク電圧絶対値が所定値Vb以上になる時間区間
でのアーク電圧の平均値を求め、アーク電圧のON区間
平均値をアーク電圧基準値と比べて、その差分値でトー
チ駆動部4を駆動制御するので、アーク長の制御が良好
になる。
【0023】すなわち、図5に示すようにON時平均化
処理を行ったアーク電圧のON区間平均値とアーク長さ
との関係は斜線Aで示される。これに対し、従来の一周
期平均処理をした場合のアーク電圧の平均値とアーク長
さとの関係は斜線Bに示される。これらの斜線A・Bの
勾配は、アーク長の変化量に対するパルスアーク電圧平
均値の変化量の割合であるアーク電圧感度を示してお
り、本発明にかかわる斜線Aが従来の斜線Bよりも勾配
が大きく、同じアーク長の変化に対してパルスアーク電
圧平均値の変化が大きくなっており、高感度であること
が分かる。
【0024】この電圧感度の良好なパルスアーク電圧平
均値を基にしてアーク長さを調整するトーチ駆動部の制
御は応答性が良く、良好な制御ができる。
【0025】さらに、ピーク電流を一定に保ちながら溶
接電流を小さくする場合は、図6に示すように、従来の
一周期平均処理を行なったアーク電圧の平均値は小さく
なる。これは溶接電流が小さくなるにしたがってパルス
デューティ(パルス周期に対するパルスON時間の割
合)が小さくなることによるものである。
【0026】これに対し、本発明にかかわるパルスON
区間のアーク電圧の平均値は、溶接電流変化の影響を受
けないので、ほぼ一定になる。このため溶接電流を小さ
くして低入熱条件で溶接を行なう場合でもアーク電圧の
平均値が小さくなってアーク電圧感度が低下するのを防
止できるので、トーチ駆動部の制御が良好に行われる。
【0027】
【実施例2】図7は、ON時平均化処理部の他の回路構
成例を示すブロック図である。ここに示すON時平均化
処理部9は図2に示すON時平均化処理部9にパルス周
期測定回路14を加えるとともにアーク電圧積分回路1
2に代えて半波整流回路10を備えたものである。
【0028】半波整流回路10は、パルス状のアーク電
圧の所定極性のみを通過させて平均化することにより一
周期平均値Vaを求める。パルス幅測定回路11はパル
ス幅Tpを、パルス周期測定回路14はパルス周期Tを
それぞれ求める。そして、演算処理回路15で、Va×
(T/Tp)の演算処理を行い、パルスON時のアーク
電圧の平均値Vn〔Vn=Va×(T/Tp)〕を算出
する演算処理を行う。
【0029】こうして求めたパルスON時のアーク電圧
の平均値Vnに基づいてトーチ駆動部4を駆動制御する
ので、アーク長に対するアーク電圧感度を大きくでき、
その結果、アーク長の制御が良好に行なわれる。この回
路構成例にあっても、先に述べた第1の実施形態と同様
な良好なる制御ができる。
【0030】なお、半波整流回路10は、バイアス電圧
をベース電流区間に生じるベース電圧Vbと等しく設定
できるように構成することが望ましい。これにより、ベ
ース電圧を除去した一周期平均値Vaが得られるので、
より正確なパルスON時のアーク電圧平均値を算出でき
る。またパルス幅測定回路11およびパルス周期測定回
路14は電流パルスに対するものでも良く、それらを溶
接電源1に内蔵させた場合は、ON時平均化処理部9に
設けなくて済む。
【0031】
【実施例3】図8は、中周波パルス溶接装置の概略図で
ある。ここに示すON時平均化処理部9は、図9に示す
ように、タイミング回路27と乗算回路16と積分回路
17とパルス幅測定回路11と演算処理回路15を備え
る。
【0032】タイミング回路27は、パルス電流検出値
26を考慮しながら、図10に示すように、電流パルス
がONとなる時間区間に方形波を形成する乗算回路16
は、その方形波とアーク電圧波形との乗算を行うことに
より電流がONとなる時間区間におけるアーク電圧を取
り出す。積分回路17はパルスON時のアーク電圧を積
分し、パルスOFF区間中はその値をホールドする。演
算処理回路15でその積分値をパルス幅で除算し、電流
ON区間におけるアーク電圧平均値を求める。
【0033】電流がONとなる時間区間におけるアーク
電圧の平均値に基づいて、トーチ駆動部4を駆動制御す
るので、アーク長に対するアーク電圧感度を大きくで
き、その結果、アーク長の制御を良好に行うことができ
る。
【0034】本実施例においても、先に述べた実施例1
と同様に、溶接電流を小さくして低入熱条件で溶接を行
う場合でも良好な制御ができる。
【0035】なお、本例においては、パルス電極が単一
極性の場合は、積分回路17に半波整流回路を用いても
良いが、積分回路17に全波整流回路を用いると、パル
ス電極を単一極性または両極性の双方に適用できる利点
がある。すなわち、ON時平均化処理部9において、積
分回路17に全波整流回路を用い、単一極性または両極
性の双方の電流パルスが発生可能なパルス電源1を備え
ることにより、溶接母材がステンレスまたは炭素鋼のと
きには単一極性を選択し、溶接母材がアルミニュームの
ときには両極性を選択できる便利さがある。
【0036】
【実施例4】図11は、他の中周波パルス溶接装置の概
略図である。本実施例は、アーク電圧検出部8とON時
平均化処理部9との間に電圧波形整形回路18を介在し
たところが実施例1と違う。ON時平均化処理部9に入
る高周波誘導ノイズを電圧波形整形回路18で除去する
ようにしたものである。電圧波形整形回路18の具体例
としては、しきい値が電流パルス周波数と同等ないし少
し高めのローパスフィルタ回路や高周波成分をカットす
る特性を有するアイソレーションアンプ回路等がある。
【0037】パルス溶接電源18で、500〜2000
ヘルツの中周波大電流を発生させた場合には誘導ノイズ
〔インデクタンス(L)×(電流の時間変化)〕が生ず
る傾向がある。この誘導ノイズがパルス電流電送ケーブ
ル19,20を介してアーク電圧検出部8のアーク検知
電圧に重畳すると、図12の点線Aで示すように、アー
ク電圧とアーク長さとの関係が変化し、特にアーク長の
小さい領域ではアーク電圧感度が低下することが見られ
た。このアーク電圧感度低下により、ON時平均化処理
部9で求めたアーク電圧のON区間平均値に基づくアー
ク長の調整はトーチ駆動部4の駆動制御が悪くなるので
良く行われない。
【0038】これに対し、電圧波形整形回路18を介在
させるとともに500から2000ヘルツの電流パルス
に対し、しきい値がそれぞれ、1から4キロヘルツ以上
のローパスフィルタ回路でより高い周波数成分をカット
することにより、図12の実線Cで示すように、アーク
長の小さい領域でもアーク電圧感度が低下しないことが
分かった。
【0039】そこで、本発明にあっては、ON時平均化
処理部9に誘導ノイズが取り込まれる前に電圧波形整形
回路18で除去することにより、トーチ駆動部4の駆動
制御精度が向上してアーク長の調整は良く行なわれる。
特にアーク長の小さい領域ではアーク電圧感度が小さく
なって制御性が悪くなることを防止できる効果がある。
【0040】また上述したノイズを除去した場合のアー
ク電圧波形に関しては、図2に破線で示したように、電
流波形とほぼ同様な波形となった。
【0041】
【実施例5】図13は、他の中周波パルス溶接装置の概
略図である。ここに示す実施形態は、前記実施形態にお
けるON時平均化処理部9をアーク消費電力算出部22
に、アーク電圧比較部10をアーク消費電力比較部23
に代え、さらにアーク消費電力表示部24を備えたとこ
ろが実施例1〜4と違う。
【0042】アーク消費電力算出部22は、図14に示
すように乗算回路16,積分回路17,演算処理回路1
5,パルス幅測定回路11,パルス周期測定回路14を
備え、パルス電流検出部21およびアーク電圧検出部8
からの信号を乗算回路16にて瞬間電圧×瞬間電流(V
×I)の演算を行い、積分回路17で積分し、演算回路
15にてその積分値を周期Tで除算し、1周期当たりの
アーク消費電力の平均値Waを求める。また演算回路1
5にてWa×(T/Tp)の演算を行い、パルスON時
のアーク消費電力の平均値Wn〔Wn=Wa×(T/T
p)〕算出する。さらに、Wa,Wnに対して複数周
期、複数パルスに関する平均値を算出する。
【0043】またアーク長とアーク消費電力の平均値と
の関係について調べたところ、図15に示すように、前
述したアーク長とアーク電圧の平均値との関係(図5)
と同様な関係があることが分かった。すなわち、パルス
ON時のアーク消費電力の平均値を用いることにより、
アーク長に対するアーク消費電力感度が一周期平均のア
ーク消費電力を用いる場合より大きくなることがわかっ
た。また溶接電流が小さい場合でもパルスON時のアー
ク消費電力の平均値は大きく低下することはない。
【0044】したがって、パルスON時のアーク消費電
力の平均値Wnに基づいて、トーチ駆動部4を駆動制御
するので、アーク長に対するアーク消費電力の感度を大
きくでき、その結果、アーク長の制御が良好に行なわれ
る。また溶接電流を小さくして低入熱条件で溶接を行う
場合には、アーク長の制御を良好に行うことができるこ
とに加えてアーク消費電力を略一定にできる効果があ
る。また単一極性または両極性の電流パルスが発生でき
るパルス溶接電源1を備えることにより、溶接母材がス
テンレスまたは炭素鋼のときには単一極性を選択し、溶
接母材がアルミニュームのときには両極性を選択できる
便利さがある。
【0045】さらに検出した一周期平均消費電力Waを
アーク消費表示部24で表示ないし印刷するようにすれ
ば、ユーザが溶接時の入熱条件を容易に把握でき、溶接
条件の設定が容易である。
【0046】特に中周波パルス溶接では、パルス波形が
三角波状または上辺が傾斜する台形状であるため、溶接
電流やアーク電圧の平均値から消費電力を直ちに算出す
ることはできないので、平均アーク消費電力を把握でき
る効果は大きい。
【0047】
【数1】
【0048】
【数2】
【0049】なお、上述した本発明の実施形態ではON
時平均化処理部9において、アーク電圧の平均値(すな
わち、(1)式のVn)を求め使用したが、ON区間の
二乗平均の平方根(すなわち、(2)式のVnrms)
を求め使用しても良いことは言うまでもない。(1)
式、(2)式において、v(t)は瞬間アーク電圧を表
わす。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、アーク長さを調整する
トーチ駆動部の制御性が良好な中周波パルス溶接装置が
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1にかかる中周波パルス溶接
装置の概略図である。
【図2】 パルス電流およびパルス電圧の波形を示す図
である。
【図3】 図1に示すON時平均化処理部のブロック図
である。
【図4】 アーク電圧の波形を示す図である。
【図5】 アーク長とアーク電圧の平均値との関係を示
す図である。
【図6】 溶接電流とアーク電圧の平均値との関係を示
す図である。
【図7】 ON時平均化処理部の他の回路構成例を示す
ブロック図である。
【図8】 本発明の実施例3にかかる中周波パルス溶接
装置の概略図である。
【図9】 図4に示しON時平均化処理部のブロック図
である。
【図10】 図4で示したON時平均化処理部のタイミ
ング回路で形成した方形波を示す図である。
【図11】 本発明の実施例4にかかる中周波パルス溶
接装置の概略図である。
【図12】 アーク長とアーク電圧の平均値との関係を
示す図である。
【図13】 本発明の実施例5にかかる中周波パルス溶
接装置の概略図である。
【図14】 図14に示すアーク消費電力算出部のブロ
ック図である。
【図15】 アーク長とアーク費電力の平均値との関係
を示す図である。
【図16】 電流パルスのピーク値とベース値を示す図
である。
【符号の説明】
1…パルス溶接電源、2…電極、3…溶接トーチ、4…
トーチ駆動部、5…母材、6…アーク、7…シールドガ
ス、8…アーク電圧検出部、9…ON時平均化処理部、
10…アーク電圧比較部、11…パルス幅測定回路部、
12…アーク電圧積分回路、13…演算処理回路、14
…パルス周期測定回路、15…演算処理回路、16…乗
算回路、17…積分回路、18…電圧波形整形部、19
…パルス電流電送ケーブル、20…パルス電流電送ケー
ブル、21…パルス電流検出部、22…アーク消費電力
算出部、23…アーク消費電力比較部、24…アーク消
費電力表示部、25…アーク電圧検出値、26…パルス
電流検出値、27…タイミング回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 章弘 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 宮崎 邦夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4E082 AA08 BA04 EC20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極に周波数100ヘルツ以上2000ヘルツ未満
    のパルス電流を供給するパルス溶接電源と、前記アーク
    電極と溶接母材との間隔を調整するトーチ駆動部と、前
    記アーク電極と溶接母材との間の電圧を検出するアーク
    電圧検出部とを備えたパルスアーク溶接装置において、
    前記パルスアーク電圧の立ち上がり開始点から立ち下が
    り終了点に至る時間区間におけるアーク電圧の平均値を
    求めるON時平均化処理部を有し、該ON時平均化処理
    部によって求められたON区間平均電圧値をアーク電圧
    基準値に基づいて調整する前記トーチ駆動部を有するこ
    とを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  2. 【請求項2】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極にパルス電流を供給し直流リアクトルを備える
    パルス溶接電源と、前記アーク電極と溶接母材との間隔
    を調整するトーチ駆動部と、前記アーク電極と溶接母材
    との間の電圧を検出するアーク電圧検出部とを備えたパ
    ルスアーク溶接装置において、前記パルスアーク電圧の
    立ち上がり開始点から立ち下がり終了点に至る時間区間
    におけるアーク電圧の平均値を求めるON時平均化処理
    部を有し、該ON時平均化処理部によって求められたO
    N区間平均電圧値をアーク電圧基準値に基づいて調整す
    る前記トーチ駆動部を有することを特徴とするパルスア
    ーク溶接装置。
  3. 【請求項3】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極に周波数100ヘルツ以上2000ヘルツ未満
    のパルス電流を供給するパルス溶接電源と、前記アーク
    電極と溶接母材との間隔を調整するトーチ駆動部と、前
    記アーク電極と溶接母材との間の電圧を検出するアーク
    電圧検出部と、前記アーク電極と溶接母材との間の電流
    を検出するパルス電流検出部とを備えたパルスアーク溶
    接装置において、前記パルス電流検出部で検出されたパ
    ルス電流の立ち上がり開始点から立ち下がり終了点に至
    る時間区間におけるアーク電圧の平均値を求めるON時
    平均化処理部を有し、該ON時平均化処理部によって求
    められたON区間平均電圧値をアーク電圧基準値に基づ
    いて調整する前記トーチ駆動部を有することを特徴とす
    るパルスアーク溶接装置。
  4. 【請求項4】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極にパルス電流を供給し直流リアクトルを備える
    パルス溶接電源と、前記アーク電極と溶接母材との間隔
    を調整するトーチ駆動部と、前記アーク電極と溶接母材
    との間の電圧を検出するアーク電圧検出部と、前記アー
    ク電極と溶接母材との間の電流を検出するパルス電流検
    出部とを備えたパルスアーク溶接装置において、前記パ
    ルス電流検出部で検出されたパルス電流の立ち上がり開
    始点から立ち下がり終了点に至る時間区間におけるアー
    ク電圧の平均値を求めるON時平均化処理部を有し、該
    ON時平均化処理部によって求められたON区間平均電
    圧値をアーク電圧基準値に基づいて調整する前記トーチ
    駆動部を有することを特徴とするパルスアーク溶接装
    置。
  5. 【請求項5】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極に周波数100ヘルツ以上2000ヘルツ未満
    のパルス電流を供給するパルス溶接電源と、前記アーク
    電極と溶接母材との間隔を調整するトーチ駆動部と、前
    記アーク電極と溶接母材との間の電圧を検出するアーク
    電圧検出部とを備えたパルスアーク溶接装置において、
    前記パルス電流のON区間でのアーク消費電力の平均値
    を求めるON時平均化処理部を有し、該ON時平均化処
    理部によって求められた前記平均のアーク消費電力を基
    準アーク消費電力に基づいて調整する前記トーチ駆動部
    を有することを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  6. 【請求項6】アーク電極を備える溶接トーチと、前記ア
    ーク電極にパルス電流を供給し直流リアクトルを備える
    パルス溶接電源と、前記アーク電極と溶接母材との間隔
    を調整するトーチ駆動部と、前記アーク電極と溶接母材
    との間の電圧を検出するアーク電圧検出部とを備えたパ
    ルスアーク溶接装置において、前記パルス電流のON区
    間でのアーク消費電力の平均値を求めるON時平均化処
    理部を有し、該ON時平均化処理部によって求められた
    前記平均のアーク消費電力を基準アーク消費電力に基づ
    いて調整する前記トーチ駆動部を有することを特徴とす
    るパルスアーク溶接装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかにおいて、前記O
    N時平均化処理部は前記アーク電圧のパルス幅検出回
    路、パルス周波数測定回路、半波整流回路および演算処
    理回路を含むことを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれかにおいて、前記O
    N時平均化処理部はパルスアーク電圧のパルス幅検出回
    路、パルスアーク電圧の積分回路および演算処理回路を
    含むことを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  9. 【請求項9】請求項1〜6のいずれかにおいて、前記O
    N時平均化処理部は乗算回路と積分回路を含むことを特
    徴とするパルスアーク溶接装置。
  10. 【請求項10】請求項1〜4及び7〜9のいずれかにお
    いて、前記パルスアーク電圧検出部はその検出値の波形
    整形処理を行った後に前記平均値を求める処理回路を有
    することを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記波形整形処理
    部はローパスフィルタ回路又はアイソレーションアンプ
    回路を有することを特徴とするパルスアーク溶接装置。
  12. 【請求項12】請求項5〜11のいずれかにおいて、前
    記平均のアーク消費電力は一周期を検出して表示する表
    示手段を有することを特徴とするパルスアーク溶接装
    置。
  13. 【請求項13】請求項1〜4及び7〜12のいずれかに
    おいて、前記平均のアーク電圧値はON区間におけるア
    ーク電圧の二乗平均の平方根であることを特徴とするパ
    ルスアーク溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016107408A1 (zh) * 2014-12-30 2016-07-07 江苏科技大学 窄间隙焊缝偏差的红外视觉传感检测方法及装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016107408A1 (zh) * 2014-12-30 2016-07-07 江苏科技大学 窄间隙焊缝偏差的红外视觉传感检测方法及装置
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