JP2002361009A - 移動床式砂ろ過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアリフト循環時のろ材の洗浄効果を大幅に
向上させることができ、ろ材からの濁質の剥離を確実に
行うことができる移動床式砂ろ過装置を提供する。 【解決手段】 ろ材を充填したろ過処理槽１１の下部に
原水流入部１２を、槽上部に処理水流出部１４をそれぞ
れ備えるとともに、槽下部のろ材をエアリフトによって
槽上部に循環させながら洗浄する循環洗浄経路１５と、
該循環洗浄経路での洗浄操作によってろ材から剥離した
濁質を槽外に排出する濁質排出部１６とを備えた移動床
式砂ろ過装置における前記循環洗浄経路１５の内部に超
音波発振器１７を設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動床式砂ろ過装
置に関し、詳しくは、ろ材の洗浄を効率よく行うことが
でき、ろ過効率の向上が図れる移動床式砂ろ過装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】水処理設備におけるろ過処理装置とし
て、例えば、登録実用新案公報第３０４２２４２号に記
載されている連続的砂ろ過器のような移動床式砂ろ過装
置が知られている。この移動床式砂ろ過装置は、ろ材を
充填したろ過処理槽の下部に原水流入部を、槽上部に処
理水流出部をそれぞれ設け、原水を上向流で流してろ過
処理を行うとともに、槽下部のろ材をエアリフト管を通
して槽上部に循環させながら連続的に洗浄し、該洗浄に
よりろ材から剥離した濁質を槽外に排出することによ
り、原水のろ過処理を連続的に行えるようにしたもので
ある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記エアリフト管での
ろ材の洗浄は、エアリフト時の水と空気とによる撹拌作
用を利用してろ材から濁質を剥離させるものであるが、
濁質の性状によっては、ろ材に付着した濁質を十分に剥
離することが困難なときがあった。

【０００４】そこで本発明は、エアリフト循環時のろ材
の洗浄効果を大幅に向上させることができ、ろ材からの
濁質の剥離を確実に行うことができる移動床式砂ろ過装
置を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の移動床式砂ろ過装置は、ろ材を充填したろ
過処理槽の下部に原水流入部を、槽上部に処理水流出部
をそれぞれ備えるとともに、槽下部のろ材をエアリフト
によって槽上部に循環させながら洗浄する循環洗浄経路
と、該循環洗浄経路での洗浄操作によってろ材から剥離
した濁質を槽外に排出する濁質排出部とを備えた移動床
式砂ろ過装置において、前記循環洗浄経路の内部に超音
波発振器を設置したことを特徴としている。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の移動床式砂ろ過装
置の一形態例を示す縦断面図である。この移動床式砂ろ
過装置は、底部が逆円錐形に形成されたろ過処理槽１１
の下部に原水流入部１２を、槽上部にリング状の溢流堰
１３を介して処理水流出部１４をそれぞれ備えるととも
に、槽下部のろ材をエアリフトによって槽上部に循環さ
せながらろ材を洗浄する循環洗浄経路１５と、該循環洗
浄経路１５での洗浄操作によってろ材から剥離した濁質
を槽外に排出する濁質排出部１６とを有しており、前記
循環洗浄経路１５の内部に超音波発振器（振動子）１７
を設置している。

【０００７】ろ過処理を行う原水は、原水流入部１２の
立上がり管１２ａから槽内に流入し、断面傘状の整流板
１２ｂに突き当たって下向きにろ材中に導入された後、
上向流となってろ材中を上昇する間に濁質がろ材に捕捉
されて原水中から除去される。ろ過処理された水（処理
水）は、溢流堰１３を越えて処理水流出部１４から流出
する。

【０００８】また、循環洗浄経路１５の下部には、圧縮
空気導入管１８から圧縮空気が導入され、循環洗浄経路
１５中を気泡となって上昇し、この上昇気泡によるエア
リフト効果によってろ過処理槽１１下部のろ材が一部の
水とともに循環洗浄経路１５内を槽上部に向かって上昇
する。

【０００９】循環洗浄経路１５内を上昇するろ材は、エ
アリフト時の水と空気とによる撹拌作用に加えて、前記
超音波発振器１７から発振される超音波によってろ材に
付着している濁質を水中に乳化、拡散させてろ材の洗浄
を行うとともに、超音波の物理的作用によってもろ材の
洗浄効果が促進される。

【００１０】すなわち、循環洗浄経路１５内には、ろ材
と水と気泡とが混在している状態になっているため、こ
こに超音波が作用すると、気泡を形成する気体分子に対
して正負の圧力が交互に加わり、正の圧力で圧縮された
気体分子に、次の瞬間に負の圧力が加わって激しく膨張
することになる。このような圧縮・膨張の繰り返しによ
り、気体分子は非常に高い圧力を持ち、その限界ではじ
けて消滅する。そして、この気泡がはじけるときの衝撃
波がろ材に作用し、ろ材に付着している濁質を剥離させ
る（キャビテーション作用）。さらに、超音波の照射に
よって水分子が加速し、水分子が激しくろ材に衝突する
際の衝撃によってもろ材から濁質が剥離する。

【００１１】したがって、循環洗浄経路１５内に超音波
発振器１７を挿入するようにして設置することにより、
小型の超音波発振器１７でもろ材に付着した濁質の剥離
を十分に促進させることができ、従来のエアリフトのみ
による洗浄に比べて、ろ材の洗浄効果を大幅に向上させ
ることができる。さらに、超音波は、異物（濁質等）の
乳化を促進させる効果もあるため、ろ過装置に発生した
マッドホールホール等の分解も期待できる。

【００１２】このようにしてろ材の洗浄効果が高まるこ
とにより、ろ材による濁質捕捉効果が向上し、原水中の
濁質を効率よく除去することができ、ろ過効処理率を高
めることができる。なお、超音波の周波数や出力は、循
環洗浄経路１５の長さや内径等の条件によって適当に設
定することができる。また、本形態例では、循環洗浄経
路をろ過処理槽内に組込んでいるが、槽外を経由するよ
うにして循環洗浄経路を設けることもできる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の移動床式
砂ろ過装置によれば、ろ材の洗浄効果が大幅に高まるの
で、ろ過処理効率の向上が図れる。また、循環洗浄経路
内に超音波発振器を挿入しているので、小型の超音波発
振器で十分な洗浄促進効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の移動床式砂ろ過装置の一形態例を示
す縦断面図である。

【符号の説明】

１１…ろ過処理槽、１２…原水流入部、１３…溢流堰、
１４…処理水流出部、１５…循環洗浄経路、１６…濁質
排出部、１７…超音波発振器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ろ材を充填したろ過処理槽の下部に原水
   流入部を、槽上部に処理水流出部をそれぞれ備えるとと
   もに、槽下部のろ材をエアリフトによって槽上部に循環
   させながら洗浄する循環洗浄経路と、該循環洗浄経路で
   の洗浄操作によってろ材から剥離した濁質を槽外に排出
   する濁質排出部とを備えた移動床式砂ろ過装置におい
   て、前記循環洗浄経路の内部に超音波発振器を設置した
   ことを特徴とする移動床式砂ろ過装置。