JP2002356373A - 摺動材料及びその製造方法 - Google Patents
摺動材料及びその製造方法Info
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- JP2002356373A JP2002356373A JP2001168098A JP2001168098A JP2002356373A JP 2002356373 A JP2002356373 A JP 2002356373A JP 2001168098 A JP2001168098 A JP 2001168098A JP 2001168098 A JP2001168098 A JP 2001168098A JP 2002356373 A JP2002356373 A JP 2002356373A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 コストの安い摺動材料を得ると共に、摺動中
にクラックが惹起しない、高強度、高強靱性の摺動材料
を得ることにある。 【解決手段】 摺動材料において、粒子平均径の大きさ
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3系の酸
化物で結合させて互いに組織が補完するものである。
にクラックが惹起しない、高強度、高強靱性の摺動材料
を得ることにある。 【解決手段】 摺動材料において、粒子平均径の大きさ
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3系の酸
化物で結合させて互いに組織が補完するものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動材料及びその
製造方法に関するものである。更に詳しくは、強度が高
く、且つ耐摩耗性に富み、しかもコストの安い摺動材料
及びその製造方法に関するものである。
製造方法に関するものである。更に詳しくは、強度が高
く、且つ耐摩耗性に富み、しかもコストの安い摺動材料
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の摺動材料に関する先行技術につ
いて、摺動部品の重要な特性要件は、耐摩耗性や低摩擦
係数である。この摺動部品として、ほぼ純粋なSiCの
焼結摺動材料を用いれば、これらの効果を発揮すること
は一般に知られている。しかし、純粋なSiCの焼結体
は、SiC粉末を高圧で成形しなければならない。又、
高価なボロンなどを焼結助剤として添加する必要がある
ため、コスト高になる問題があ離、実用上利用すること
は困難である。更には、酸化防止を必要とするために、
真空中で2100℃以上の焼結温度を必要とすることに
なるので、設備費が高揚する問題がある。このため、少
量生産が多い摺動材料としては、焼結部品が高価になる
と共に、高価な設備投資を必要とするために少量生産に
は採用することができない問題がある。更に、成形体の
成形圧力の管理、焼結の高温度維持の管理など製造工程
の管理が大変である。
いて、摺動部品の重要な特性要件は、耐摩耗性や低摩擦
係数である。この摺動部品として、ほぼ純粋なSiCの
焼結摺動材料を用いれば、これらの効果を発揮すること
は一般に知られている。しかし、純粋なSiCの焼結体
は、SiC粉末を高圧で成形しなければならない。又、
高価なボロンなどを焼結助剤として添加する必要がある
ため、コスト高になる問題があ離、実用上利用すること
は困難である。更には、酸化防止を必要とするために、
真空中で2100℃以上の焼結温度を必要とすることに
なるので、設備費が高揚する問題がある。このため、少
量生産が多い摺動材料としては、焼結部品が高価になる
と共に、高価な設備投資を必要とするために少量生産に
は採用することができない問題がある。更に、成形体の
成形圧力の管理、焼結の高温度維持の管理など製造工程
の管理が大変である。
【0003】又、他の先行技術として、例えば、特開昭
59−102872号公報が存在する。この炭化珪素・
黒鉛複合焼結体は、0.0008mm程度の炭化珪素粉
末に、微細なカーボン粉末を配合して焼結するものであ
る。この炭化珪素粉末の粒径の大きさは、従来技術と何
ら相違しない大きさである。又、カーボンブラックは焼
結助剤として配合される粉末径の大きさであり、その作
用効果も従来知られている範囲である。従来と相違する
点は配合量の大きさであるから、このカーボンブラック
の添加は、潤滑作用を目的とするものである。このよう
な摺動材料は、炭化珪素の結晶を改善せずにカーボンブ
ラックにより潤滑効果を発揮させようとするので、粒界
面からの破壊の問題が惹起する。
59−102872号公報が存在する。この炭化珪素・
黒鉛複合焼結体は、0.0008mm程度の炭化珪素粉
末に、微細なカーボン粉末を配合して焼結するものであ
る。この炭化珪素粉末の粒径の大きさは、従来技術と何
ら相違しない大きさである。又、カーボンブラックは焼
結助剤として配合される粉末径の大きさであり、その作
用効果も従来知られている範囲である。従来と相違する
点は配合量の大きさであるから、このカーボンブラック
の添加は、潤滑作用を目的とするものである。このよう
な摺動材料は、炭化珪素の結晶を改善せずにカーボンブ
ラックにより潤滑効果を発揮させようとするので、粒界
面からの破壊の問題が惹起する。
【0004】更に、先行技術として、特公平2−285
48号公報が存在する。この公報に記載の炭化珪素質摺
動部材は、原料としての炭化珪素粉末の量が多く(実施
例ではβ型結晶の炭化珪素粉末約95%)含有されてお
り、これに微量のアルミニウム、硼素等を添加して成形
体に形成し、外気の侵入を遮断して2200℃前後の高
温度で焼成するものである。そして、この炭化珪素質摺
動部材は、開放気孔率が高く、しかも、炭化珪素の含有
する割合が多い。この様な焼結体の摺動材料は、炭化珪
素の結晶粒界から割れが発生することが多く、損傷に繋
がることがある。更に、気孔率が高いので、この気孔部
に摩耗粉末が溜まり、気孔部から割れが惹起することが
ある。更に又、メカニカルシールの密封摺動部品として
用いると、摺動部品に被密封流体が浸透して漏洩するこ
とがある。
48号公報が存在する。この公報に記載の炭化珪素質摺
動部材は、原料としての炭化珪素粉末の量が多く(実施
例ではβ型結晶の炭化珪素粉末約95%)含有されてお
り、これに微量のアルミニウム、硼素等を添加して成形
体に形成し、外気の侵入を遮断して2200℃前後の高
温度で焼成するものである。そして、この炭化珪素質摺
動部材は、開放気孔率が高く、しかも、炭化珪素の含有
する割合が多い。この様な焼結体の摺動材料は、炭化珪
素の結晶粒界から割れが発生することが多く、損傷に繋
がることがある。更に、気孔率が高いので、この気孔部
に摩耗粉末が溜まり、気孔部から割れが惹起することが
ある。更に又、メカニカルシールの密封摺動部品として
用いると、摺動部品に被密封流体が浸透して漏洩するこ
とがある。
【0005】更に又、先行技術として、特公昭60−9
988号公報が存在する。この公報に記載の炭素材料
は、熱処理炉ハースロール用であって、リン酸アルミニ
ウム等が配合されているが、本発明の摺動材料とは配合
成分や配合割合が異なる上に、本発明とは摺動面の精度
や強度の点で利用する分野が異なるので、機械の摺動材
料としては脆くて密封摺動部品又は軸受けなどの摺動材
料に応用することは困難である。つまり、この炭素材料
は、本発明とは用途分野が異なる熱処理炉ハースロール
などに用いられるもので、熱処理炉から鋼板を取り出す
ときに、接触して傷が惹起しないようにするものであ
り、機械部品の摺動部材に応用することは、とても困難
である。
988号公報が存在する。この公報に記載の炭素材料
は、熱処理炉ハースロール用であって、リン酸アルミニ
ウム等が配合されているが、本発明の摺動材料とは配合
成分や配合割合が異なる上に、本発明とは摺動面の精度
や強度の点で利用する分野が異なるので、機械の摺動材
料としては脆くて密封摺動部品又は軸受けなどの摺動材
料に応用することは困難である。つまり、この炭素材料
は、本発明とは用途分野が異なる熱処理炉ハースロール
などに用いられるもので、熱処理炉から鋼板を取り出す
ときに、接触して傷が惹起しないようにするものであ
り、機械部品の摺動部材に応用することは、とても困難
である。
【0006】この技術について、更に後述する比較例1
で、この先行技術より更に改善し、平均径が数十マイク
ロメータのSiC粒子間に0.01から0.015mm
の厚さの酸化物とSiC粒子の反応相を形成して摺動部
品として実験した。その結果は、摺動時の摩耗が激し
く、軸受けや、密封摺動部品として使用することは不可
能である。
で、この先行技術より更に改善し、平均径が数十マイク
ロメータのSiC粒子間に0.01から0.015mm
の厚さの酸化物とSiC粒子の反応相を形成して摺動部
品として実験した。その結果は、摺動時の摩耗が激し
く、軸受けや、密封摺動部品として使用することは不可
能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、先行
技術の摺動材料は、耐摩耗性や低摩擦係数に改善しよう
とすると、設備費用や材料費が高揚するので、製品がコ
スト高になるので利用困難である。又、摺動時の摩擦係
数に問題があり、気孔に含油させた潤滑油が摺動時に介
在させて摺動抵抗を低減するものであるが、潤滑油の流
失や減少により摩擦抵抗が上昇する問題を解決すること
ができない。更に、黒鉛を結晶粒界の間に介在させるの
みでは結晶粒界から破壊することや腐食の問題が解決さ
れない。更に又、従来知られているAl2O3などの酸
化物を単純に結合材に利用したのみでは、その効果が発
揮されない。その配合成分や配合量により初めてその効
果が生起する。
技術の摺動材料は、耐摩耗性や低摩擦係数に改善しよう
とすると、設備費用や材料費が高揚するので、製品がコ
スト高になるので利用困難である。又、摺動時の摩擦係
数に問題があり、気孔に含油させた潤滑油が摺動時に介
在させて摺動抵抗を低減するものであるが、潤滑油の流
失や減少により摩擦抵抗が上昇する問題を解決すること
ができない。更に、黒鉛を結晶粒界の間に介在させるの
みでは結晶粒界から破壊することや腐食の問題が解決さ
れない。更に又、従来知られているAl2O3などの酸
化物を単純に結合材に利用したのみでは、その効果が発
揮されない。その配合成分や配合量により初めてその効
果が生起する。
【0008】従って、摺動面における過酷な挙動状態で
は、摺動面の摩耗量が増加することや、更には、SiC
の粒子境界層に沿って割れ・損傷等が発生するので、多
くの不具合が惹起する。例えば、摺動面の摩擦熱により
発生する熱応力により疲労破壊の問題、更に、摺動面の
摩擦熱による潤滑油の爆裂反応による破損の問題、更に
又、摺動面の高温に伴う腐食の問題等が惹起する。
は、摺動面の摩耗量が増加することや、更には、SiC
の粒子境界層に沿って割れ・損傷等が発生するので、多
くの不具合が惹起する。例えば、摺動面の摩擦熱により
発生する熱応力により疲労破壊の問題、更に、摺動面の
摩擦熱による潤滑油の爆裂反応による破損の問題、更に
又、摺動面の高温に伴う腐食の問題等が惹起する。
【0009】更に、炭化珪素焼結自体の機能に於いて
も、炭化珪素焼結部品の気孔を炭化珪素の粉末にポリス
チレンビーズを添加し、仮焼結時に消滅させて形成させ
るものにあっては、潤滑油を保持するために、単に気孔
を形成させる手段に過ぎないから、使用条件、被密封流
体の条件等の環境条件による耐酸性、耐熱性、耐食性及
び強度向上を期待することは困難である。特に、高温の
過酷な条件に於ける摩擦係数の低減や、摺動材としての
高靭性を従来の技術に期待することは困難である。
も、炭化珪素焼結部品の気孔を炭化珪素の粉末にポリス
チレンビーズを添加し、仮焼結時に消滅させて形成させ
るものにあっては、潤滑油を保持するために、単に気孔
を形成させる手段に過ぎないから、使用条件、被密封流
体の条件等の環境条件による耐酸性、耐熱性、耐食性及
び強度向上を期待することは困難である。特に、高温の
過酷な条件に於ける摩擦係数の低減や、摺動材としての
高靭性を従来の技術に期待することは困難である。
【0010】本発明は上述のような問題点に鑑み成され
たものであって、発明が解決しようとする課題は、摺動
材料の強度を向上させると共に、摩擦係数を低減して耐
摩耗性を向上させることにある。同時に、摺動面のSi
C粒子の境界層に沿って亀裂が発生して損傷に至るのを
防止し、強度を向上させることにある。更には、その摺
動材料を安価に製造する方法を得ることにある。
たものであって、発明が解決しようとする課題は、摺動
材料の強度を向上させると共に、摩擦係数を低減して耐
摩耗性を向上させることにある。同時に、摺動面のSi
C粒子の境界層に沿って亀裂が発生して損傷に至るのを
防止し、強度を向上させることにある。更には、その摺
動材料を安価に製造する方法を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述のような
技術的課題を解決するために成されたものであって、そ
の解決するための手段は、以下のように構成されてい
る。
技術的課題を解決するために成されたものであって、そ
の解決するための手段は、以下のように構成されてい
る。
【0012】請求項1に係わる本発明の摺動材料は、粒
子平均径の大きさが0.0003から0.005mmの
SiC粒子を前記SiC粒子径寸法よりも薄い厚さのA
l2O3 の酸化物で結合させて互いに補完しているも
のである。
子平均径の大きさが0.0003から0.005mmの
SiC粒子を前記SiC粒子径寸法よりも薄い厚さのA
l2O3 の酸化物で結合させて互いに補完しているも
のである。
【0013】請求項1に係わる本発明の摺動材料では、
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法より
も薄い厚さのAl2O3の酸化物により覆われたように
して結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。そして、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強
度が向上する。しかも、酸化物であるAl2O3が薄く
覆うように形成されているので、粒子境界層からの割れ
や亀裂が発生するのを防止し、強度が向上する。酸化物
がAl2O3のみの場合でも、SiCの粉末が焼成中に
表面の酸化によりSiO2となるのでSiO2発の摺動
特性を発揮させることができる。この場合、Al2O3
の濃度を高くすることができるので、強靱性等の効果が
更に向上する。
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法より
も薄い厚さのAl2O3の酸化物により覆われたように
して結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。そして、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強
度が向上する。しかも、酸化物であるAl2O3が薄く
覆うように形成されているので、粒子境界層からの割れ
や亀裂が発生するのを防止し、強度が向上する。酸化物
がAl2O3のみの場合でも、SiCの粉末が焼成中に
表面の酸化によりSiO2となるのでSiO2発の摺動
特性を発揮させることができる。この場合、Al2O3
の濃度を高くすることができるので、強靱性等の効果が
更に向上する。
【0014】更に、この焼結組織はAl2O3が焼結の
過程でSiC粒子を再配列して緻密化すると共に、Si
Cは低温のために粒成長が無く。Al2O3の層を薄く
形成させて残存し、微細な組織が形成されるものと考え
られる。そして、SiC粒子が薄い層で覆うように結合
しているので、組織が緻密化し、強度が向上するものと
考えられる。
過程でSiC粒子を再配列して緻密化すると共に、Si
Cは低温のために粒成長が無く。Al2O3の層を薄く
形成させて残存し、微細な組織が形成されるものと考え
られる。そして、SiC粒子が薄い層で覆うように結合
しているので、組織が緻密化し、強度が向上するものと
考えられる。
【0015】請求項2に係わる本発明の摺動材料は、平
均粒子径が0.0003から0.005mmのSiC粒
子を前記SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2
−Al2O3 の複合材の酸化物で結合させて互いに組
織が補完しているものである。
均粒子径が0.0003から0.005mmのSiC粒
子を前記SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2
−Al2O3 の複合材の酸化物で結合させて互いに組
織が補完しているものである。
【0016】請求項2に係わる本発明の摺動材料では、
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径よりも薄い
SiO2−Al2O3の酸化物により覆われたようにし
て結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。特に、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高
密度化して強度を向上させると見られる。
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径よりも薄い
SiO2−Al2O3の酸化物により覆われたようにし
て結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。特に、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高
密度化して強度を向上させると見られる。
【0017】そして、高い強靱性が発揮されると共に、
耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるSiO2
−Al2O3がSiCを覆うように結合されているの
で、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防止
し、強度が向上する。酸化物がAl2O3のみの場合で
も、SiCの粉末が焼成中に表面の酸化によりSiO2
となるのでSiO2が形成されるが、SiO2を積極的
に添加すると、SiCに結合面が高密度化して結合力を
高め、強度を向上させると共に、境界層からの割れや亀
裂を防止する。
耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるSiO2
−Al2O3がSiCを覆うように結合されているの
で、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防止
し、強度が向上する。酸化物がAl2O3のみの場合で
も、SiCの粉末が焼成中に表面の酸化によりSiO2
となるのでSiO2が形成されるが、SiO2を積極的
に添加すると、SiCに結合面が高密度化して結合力を
高め、強度を向上させると共に、境界層からの割れや亀
裂を防止する。
【0018】請求項3に係わる本発明の摺動材料は、S
iO2の配合割合が5から35重量%であり、Al2O
3の配合割合が5から20重量%に構成されたものであ
る。
iO2の配合割合が5から35重量%であり、Al2O
3の配合割合が5から20重量%に構成されたものであ
る。
【0019】請求項3に係わる本発明の摺動材料は、S
iO2の配合割合が5から35重量%であり、Al2O
3の配合割合が5から20重量%であるから、焼結され
たSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法よりも薄い厚
さのAl2O3系の酸化物により覆われたようにして結
合される。このために、結合力を向上することが認めら
れる。そして、この配合割合の範囲内では、高い強靱性
が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する。しかも、
酸化物であるAl2O3が薄く覆うように形成されてい
るので、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防
止し、強度が向上する。
iO2の配合割合が5から35重量%であり、Al2O
3の配合割合が5から20重量%であるから、焼結され
たSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法よりも薄い厚
さのAl2O3系の酸化物により覆われたようにして結
合される。このために、結合力を向上することが認めら
れる。そして、この配合割合の範囲内では、高い強靱性
が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する。しかも、
酸化物であるAl2O3が薄く覆うように形成されてい
るので、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防
止し、強度が向上する。
【0020】請求項4に係わる本発明の摺動材料は、平
均粒子径が0.0003から0.005mmのSiC粒
子を前記SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2
−Al2O3 の酸化物で結合されていると共に、粒子
平均径が0.002から0.080mmの金属Si粉末
又は/及びC粉末を分散させて含有しているものであ
る。
均粒子径が0.0003から0.005mmのSiC粒
子を前記SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2
−Al2O3 の酸化物で結合されていると共に、粒子
平均径が0.002から0.080mmの金属Si粉末
又は/及びC粉末を分散させて含有しているものであ
る。
【0021】請求項4に係わる本発明の摺動材料では、
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径よりも薄い
SiO2−Al2O3の酸化物により覆われたようにし
て結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。又、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高密
度化して強度を向上させている。
焼結されたSiC粒子がSiC粒子の平均径よりも薄い
SiO2−Al2O3の酸化物により覆われたようにし
て結合されているので、結合力が向上すると考えられ
る。又、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高密
度化して強度を向上させている。
【0022】そして、高い強靱性が発揮されると共に、
耐疲労強度が向上する。しかも、アルミニウムケイ酸塩
であるSiO2−Al2O3がSiCを覆うように形成
されているので、粒子境界層からの割れや亀裂が防止さ
れて強度が向上する。Al2O3に酸化物のSiO2を
積極的に添加すると、SiCの結合面が更に高密度化し
て結合力を高め、強度を向上させると共に、境界層から
の割れや亀裂を防止すると考えられる。
耐疲労強度が向上する。しかも、アルミニウムケイ酸塩
であるSiO2−Al2O3がSiCを覆うように形成
されているので、粒子境界層からの割れや亀裂が防止さ
れて強度が向上する。Al2O3に酸化物のSiO2を
積極的に添加すると、SiCの結合面が更に高密度化し
て結合力を高め、強度を向上させると共に、境界層から
の割れや亀裂を防止すると考えられる。
【0023】上述の成分に金属Si粉末を添加すると、
摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。こ
のSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性
を向上させる。特に、水中での摺動抵抗が改善される。
又、カーボン粉末を添加すると、個体潤滑剤としての働
きをする。更に、SiC粒子と補完して更に結合力を高
める。
摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。こ
のSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性
を向上させる。特に、水中での摺動抵抗が改善される。
又、カーボン粉末を添加すると、個体潤滑剤としての働
きをする。更に、SiC粒子と補完して更に結合力を高
める。
【0024】請求項5に係わる本発明の摺動材料は、金
属Si粉末又は/及びC粉末の配合割合が2から50体
積%の割合で均一に含有されているものである。
属Si粉末又は/及びC粉末の配合割合が2から50体
積%の割合で均一に含有されているものである。
【0025】請求項5に係わる本発明の摺動材料では、
金属Si粉末又は/及びC粉末の配合割合が2から50
体積%の割合で均一に含有されているので、この割合の
範囲では、摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易
くなる。このSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するため
に摺動特性を向上させる。特に、水中での摺動抵抗を低
減することが認められる。又、カーボン粉末を添加する
と、個体潤滑剤として長期に渡り摺動抵抗を低減するこ
とが可能になる。特に、SiC粒子と補完して更に結合
力を高めると共に、液体が介在する摺動面に対して低摩
擦状態を維持することが可能になる。
金属Si粉末又は/及びC粉末の配合割合が2から50
体積%の割合で均一に含有されているので、この割合の
範囲では、摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易
くなる。このSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するため
に摺動特性を向上させる。特に、水中での摺動抵抗を低
減することが認められる。又、カーボン粉末を添加する
と、個体潤滑剤として長期に渡り摺動抵抗を低減するこ
とが可能になる。特に、SiC粒子と補完して更に結合
力を高めると共に、液体が介在する摺動面に対して低摩
擦状態を維持することが可能になる。
【0026】請求項6に係わる本発明の摺動材料は、酸
化物の結合厚さは0.0001から0.005mmの範
囲に構成されたものである。
化物の結合厚さは0.0001から0.005mmの範
囲に構成されたものである。
【0027】請求項6に係わる本発明の摺動材料では、
酸化物の結合厚さは0.0001から0.005mmの
範囲に設定されている。この結合厚さに形成されている
と、焼結の結晶段階では、Al2O3の液相の生成によ
りSiC粒子の再配列が起こり、収縮、緻密化が進む。
更に、この後期段階ではSiC粒子の粒成長が進み微細
組織が形成される。このために、酸化物の厚さが大きい
と強度が低下すると共に、割れが発生しやすくなること
も認められている。
酸化物の結合厚さは0.0001から0.005mmの
範囲に設定されている。この結合厚さに形成されている
と、焼結の結晶段階では、Al2O3の液相の生成によ
りSiC粒子の再配列が起こり、収縮、緻密化が進む。
更に、この後期段階ではSiC粒子の粒成長が進み微細
組織が形成される。このために、酸化物の厚さが大きい
と強度が低下すると共に、割れが発生しやすくなること
も認められている。
【0028】請求項7に係わる本発明の摺動材料の製造
方法は、平均粒径が0.00005から0.0003m
mのAl2O3の微粉末を5から20重量%に対し、又
は平均粒径が0.00005から0.0003mmのS
iO2の微粉末を5から35重量%と平均粒径が0.0
0005から0.0003mmのAl2O3の微粉末を
5から20重量%との混合粉末に対し、平均粒径が0.
0003から0.005mmのSiCの微粉末を残部と
して混合したものを成形型内で加圧成形し、次いで成形
体を1200から1500℃の大気中で焼結するもので
ある。
方法は、平均粒径が0.00005から0.0003m
mのAl2O3の微粉末を5から20重量%に対し、又
は平均粒径が0.00005から0.0003mmのS
iO2の微粉末を5から35重量%と平均粒径が0.0
0005から0.0003mmのAl2O3の微粉末を
5から20重量%との混合粉末に対し、平均粒径が0.
0003から0.005mmのSiCの微粉末を残部と
して混合したものを成形型内で加圧成形し、次いで成形
体を1200から1500℃の大気中で焼結するもので
ある。
【0029】請求項7に係わる本発明の摺動材料の製造
方法では、平均粒径が0.00005から0.0003
mmのAl2O3の微粉末を5から20重量%に対し、
又は平均粒径が0.00005から0.0003mmの
SiO2の微粉末を5から35重量%と平均粒径が0.
00005から0.0003mmのAl2O3の微粉末
を5から20重量%との混合粉末に対し、平均粒径が
0.0003から0.005mmのSiCの微粉末を残
部とした主成分の成形体を1500℃以下、好ましく
は、1500から1200℃の大気中で焼結するもので
ある。この結晶組織では、アルミニウムケイ酸塩やシリ
カなどの薄い酸化物がSiC粒子の外周を囲むように結
合している。SiCの微細な粒子分布とAl2O3又は
SiO2−Al2O3系酸化物の微細な粒子分布が互い
に補完して微細結晶組織となっているものある。
方法では、平均粒径が0.00005から0.0003
mmのAl2O3の微粉末を5から20重量%に対し、
又は平均粒径が0.00005から0.0003mmの
SiO2の微粉末を5から35重量%と平均粒径が0.
00005から0.0003mmのAl2O3の微粉末
を5から20重量%との混合粉末に対し、平均粒径が
0.0003から0.005mmのSiCの微粉末を残
部とした主成分の成形体を1500℃以下、好ましく
は、1500から1200℃の大気中で焼結するもので
ある。この結晶組織では、アルミニウムケイ酸塩やシリ
カなどの薄い酸化物がSiC粒子の外周を囲むように結
合している。SiCの微細な粒子分布とAl2O3又は
SiO2−Al2O3系酸化物の微細な粒子分布が互い
に補完して微細結晶組織となっているものある。
【0030】微粉末が主成分とする、この成形体の焼結
は、Al2O3微粉末とSiO3微粉末とからのSiO
2−Al2O3系酸化物の生成と、SiC外周の酸化に
よるSiO2とAl2O3微粉末とからのSiO2−A
l2O3系酸化物の生成が同時に起こり進行する。
は、Al2O3微粉末とSiO3微粉末とからのSiO
2−Al2O3系酸化物の生成と、SiC外周の酸化に
よるSiO2とAl2O3微粉末とからのSiO2−A
l2O3系酸化物の生成が同時に起こり進行する。
【0031】この微細組織のAl2O3を添加した焼結
SiCは、従来の焼結SiCに比べて高い破壊靭性を有
すると共に、耐疲労能力を発揮する。SiC粒子のある
程度の成長は組織を緻密化して破壊靭性能力を高めるこ
とができる。一方、SiO2が本発明の範囲より増加す
ると、強度が低下する傾向がある。それは、SiO2の
増加により単独のトリジマイトやクリストバライトの相
が生成するのが認められるからである。尚、酸化物中に
CaO、TiO2、Fe2O3、MgO等の酸化物を含
有していても問題になることはない。また、SiO2−
Al2O3を配合する場合に、Al2O3の濃度を増加
させたい場合には、SiO2を反対に比例させて少なく
すると良い。又、この焼結は、従来の常圧焼結や反応焼
結に比べて1/10以下に生産コストを押さえることが
可能になる。
SiCは、従来の焼結SiCに比べて高い破壊靭性を有
すると共に、耐疲労能力を発揮する。SiC粒子のある
程度の成長は組織を緻密化して破壊靭性能力を高めるこ
とができる。一方、SiO2が本発明の範囲より増加す
ると、強度が低下する傾向がある。それは、SiO2の
増加により単独のトリジマイトやクリストバライトの相
が生成するのが認められるからである。尚、酸化物中に
CaO、TiO2、Fe2O3、MgO等の酸化物を含
有していても問題になることはない。また、SiO2−
Al2O3を配合する場合に、Al2O3の濃度を増加
させたい場合には、SiO2を反対に比例させて少なく
すると良い。又、この焼結は、従来の常圧焼結や反応焼
結に比べて1/10以下に生産コストを押さえることが
可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる実施の形態
の摺動材料及びその製造方法を詳述する。
の摺動材料及びその製造方法を詳述する。
【0033】本発明の摺動材料には、粒子平均径の大き
さが0.0003から0.005mmのSiC粒子を前
記SiC粒子径寸法よりも薄い厚さのAl2O3 の酸
化物で結合させて互いに補完したものがある。
さが0.0003から0.005mmのSiC粒子を前
記SiC粒子径寸法よりも薄い厚さのAl2O3 の酸
化物で結合させて互いに補完したものがある。
【0034】この摺動材では、焼結されたSiC粒子が
SiC粒子の平均径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3
の酸化物により覆われたようにして互いに結合されてい
るので、結合力が向上すると考えられる。そして、高い
強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する。し
かも、酸化物であるAl2O3が薄く覆うように形成さ
れているので、粒子境界層からの割れや亀裂が発生する
のを防止して強度が向上するものである。又、酸化物が
Al2O3のみの場合でも、SiCの粉末が大気焼成中
に表面の酸化によりSiO2となるので、SiO2が形
成されて結合力を高めることができる。この場合、Si
O2が少ない分Al2O3の濃度を高くすることができ
るので、Al2O3による強靱性等の効果が更に向上す
る。
SiC粒子の平均径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3
の酸化物により覆われたようにして互いに結合されてい
るので、結合力が向上すると考えられる。そして、高い
強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する。し
かも、酸化物であるAl2O3が薄く覆うように形成さ
れているので、粒子境界層からの割れや亀裂が発生する
のを防止して強度が向上するものである。又、酸化物が
Al2O3のみの場合でも、SiCの粉末が大気焼成中
に表面の酸化によりSiO2となるので、SiO2が形
成されて結合力を高めることができる。この場合、Si
O2が少ない分Al2O3の濃度を高くすることができ
るので、Al2O3による強靱性等の効果が更に向上す
る。
【0035】更に、この焼結組織進行は、Al2O3が
焼結の初期の段階では、主としてAl2O3から成る液
相の生成によりSiC粒子を再配列して収縮し、緻密化
すると考えられる。SiCの粒成長が低温のために少な
くて残存し、Al2O3の層を薄く形成させて微細な組
織が形成されるものと認められる。そして、Sic粒子
が薄い層で覆うように結合して行くので、組織が緻密化
するものと考えられる。
焼結の初期の段階では、主としてAl2O3から成る液
相の生成によりSiC粒子を再配列して収縮し、緻密化
すると考えられる。SiCの粒成長が低温のために少な
くて残存し、Al2O3の層を薄く形成させて微細な組
織が形成されるものと認められる。そして、Sic粒子
が薄い層で覆うように結合して行くので、組織が緻密化
するものと考えられる。
【0036】更に、本発明の摺動材料には、平均粒子径
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2
O3の複合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完し
たものがある。
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2
O3の複合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完し
たものがある。
【0037】この摺動材料は、焼結されたSiC粒子が
SiC粒子の平均径よりも薄いSiO2−Al2O3の
酸化物により覆われたようにして結合されているので、
結合力が向上すると認められる。特に、SiO2はSi
Cの周囲でAl2O3との境界を高密度化して強度を向
上させると見られる。
SiC粒子の平均径よりも薄いSiO2−Al2O3の
酸化物により覆われたようにして結合されているので、
結合力が向上すると認められる。特に、SiO2はSi
Cの周囲でAl2O3との境界を高密度化して強度を向
上させると見られる。
【0038】そして、高い強靱性が発揮されると共に、
耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるSiO2
−Al2O3がSiCを覆うように結合されているの
で、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防止す
るものと認められる。酸化物がAl2O3のみの場合で
も、SiCの粉末が大気で焼成中に表面の酸化によりS
iO2となるのでSiO2を添加しなくともその効果は
生起する。尚、SiO2を積極的に添加すると、SiC
に結合面が高密度化して結合力を高め、強度を向上させ
ると共に、境界層からの割れや亀裂を防止するのであ
る。
耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるSiO2
−Al2O3がSiCを覆うように結合されているの
で、粒子境界層からの割れや亀裂が発生するのを防止す
るものと認められる。酸化物がAl2O3のみの場合で
も、SiCの粉末が大気で焼成中に表面の酸化によりS
iO2となるのでSiO2を添加しなくともその効果は
生起する。尚、SiO2を積極的に添加すると、SiC
に結合面が高密度化して結合力を高め、強度を向上させ
ると共に、境界層からの割れや亀裂を防止するのであ
る。
【0039】また、本発明の摺動材料には、SiO2の
配合割合が5から35重量%であり、Al2O3の配合
割合が5から20重量%にしたものもある。
配合割合が5から35重量%であり、Al2O3の配合
割合が5から20重量%にしたものもある。
【0040】この摺動材料では、SiO2の配合割合が
5から35重量%であり、Al2O 3の配合割合が5か
ら20重量%であるから、焼結されたSiC粒子がSi
C粒子の平均径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3の酸
化物により覆われたようにして結合される。このため
に、結合力を向上することが認められる。そして、この
配合割合の範囲内では、高い強靱性が発揮されると共
に、耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるAl
2O3が薄く覆うように形成されているので、粒子境界
層からの割れや亀裂が発生するのが防止されて強度が向
上する。
5から35重量%であり、Al2O 3の配合割合が5か
ら20重量%であるから、焼結されたSiC粒子がSi
C粒子の平均径の寸法よりも薄い厚さのAl2O3の酸
化物により覆われたようにして結合される。このため
に、結合力を向上することが認められる。そして、この
配合割合の範囲内では、高い強靱性が発揮されると共
に、耐疲労強度が向上する。しかも、酸化物であるAl
2O3が薄く覆うように形成されているので、粒子境界
層からの割れや亀裂が発生するのが防止されて強度が向
上する。
【0041】更に、本発明の摺動材料には、平均粒子径
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2
O3の酸化物で結合されていると共に、粒子平均径が
0.002から0.080mmの金属Si粉末又は/及
びC粉末を分散させて含有しているものがある。
が0.0003から0.005mmのSiC粒子を前記
SiC粒子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2
O3の酸化物で結合されていると共に、粒子平均径が
0.002から0.080mmの金属Si粉末又は/及
びC粉末を分散させて含有しているものがある。
【0042】この摺動材料では、焼結されたSiC粒子
がSiC粒子の平均径よりも薄いSiO2−Al2O3
の酸化物により覆われたようにして結合されているの
で、結合力が向上するものと認められる。又、SiO2
はSiCの周囲に薄く形成されてAl2O3との境界を
高密度化して結合し、強度を向上させているものと認め
られる。
がSiC粒子の平均径よりも薄いSiO2−Al2O3
の酸化物により覆われたようにして結合されているの
で、結合力が向上するものと認められる。又、SiO2
はSiCの周囲に薄く形成されてAl2O3との境界を
高密度化して結合し、強度を向上させているものと認め
られる。
【0043】そして、高い強靱性が発揮されると共に、
耐疲労強度が向上する。しかも、SiO2−Al2O3
がSiCを覆うように形成されているので、粒子境界層
からの割れや亀裂が発生しないように防止して強度が向
上する。Al2O3に酸化物のSiO2を積極的に添加
すると、SiCの結合面が更に高密度化して結合力を高
め、強度を向上させると共に、境界層からの割れや亀裂
を防止すると考えられる。しかし、本発明の添加する範
囲以上にすると強度が低下する傾向にある。尚、SiO
2の添加量の増加につれて単独のトリジマイトやクリス
トバライトの相が焼結過程で発生して強度低下を招く恐
れがあるので設定量が必要である。
耐疲労強度が向上する。しかも、SiO2−Al2O3
がSiCを覆うように形成されているので、粒子境界層
からの割れや亀裂が発生しないように防止して強度が向
上する。Al2O3に酸化物のSiO2を積極的に添加
すると、SiCの結合面が更に高密度化して結合力を高
め、強度を向上させると共に、境界層からの割れや亀裂
を防止すると考えられる。しかし、本発明の添加する範
囲以上にすると強度が低下する傾向にある。尚、SiO
2の添加量の増加につれて単独のトリジマイトやクリス
トバライトの相が焼結過程で発生して強度低下を招く恐
れがあるので設定量が必要である。
【0044】上述の成分に金属Si粉末を添加すると、
摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。こ
のSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性
を向上させる。特に、水中での摺動抵抗が改善される。
又、カーボン粉末を添加すると、個体潤滑剤としての働
きをする。更に、SiC粒子と補完して更に結合力を高
める。
摺動面に極めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。こ
のSiO2の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性
を向上させる。特に、水中での摺動抵抗が改善される。
又、カーボン粉末を添加すると、個体潤滑剤としての働
きをする。更に、SiC粒子と補完して更に結合力を高
める。
【0045】又、本発明の摺動材料には、金属Si粉末
又は/及びC粉末の配合割合が2から50体積%の割合
で均一に含有されているものもある。
又は/及びC粉末の配合割合が2から50体積%の割合
で均一に含有されているものもある。
【0046】この摺動材料では、金属Si粉末又は/及
びC粉末の配合割合が2から50体積%の割合で均一に
含有されているので、この割合の範囲では、摺動面に極
めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。このSiO2
の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性を向上させ
る。特に、水中での摺動抵抗を低減することが認められ
る。又、カーボン粉末を添加すると、固体潤滑剤として
長期に渡り摺動抵抗を低減することが可能になる。特
に、SiC粒子と補完して更に結合力を高めると共に、
液体が介在する摺動面に対して低摩擦状態を維持するこ
とが可能になる。
びC粉末の配合割合が2から50体積%の割合で均一に
含有されているので、この割合の範囲では、摺動面に極
めて薄いSiO2膜が形成され易くなる。このSiO2
の膜は、摩擦抵抗を低減するために摺動特性を向上させ
る。特に、水中での摺動抵抗を低減することが認められ
る。又、カーボン粉末を添加すると、固体潤滑剤として
長期に渡り摺動抵抗を低減することが可能になる。特
に、SiC粒子と補完して更に結合力を高めると共に、
液体が介在する摺動面に対して低摩擦状態を維持するこ
とが可能になる。
【0047】更に又、本発明の摺動材料には、酸化物の
結合した厚さは0.0001から0.005mmの範囲
にしたものがある。
結合した厚さは0.0001から0.005mmの範囲
にしたものがある。
【0048】この摺動材料では、Al2O3などの酸化
物の結合厚さは0.0001から0.005mmの範囲
に形成されているものであるが、この結合厚さに形成さ
れていると、焼結の結晶段階では、Al2O3の液相の
生成によりSiC粒子の再配列が起こり、収縮、緻密化
が進むものと考えられる。更に、この焼結の後期段階で
はSiC粒子の粒成長が無く、そのまま残り微細組織が
形成されると考えられる。尚、酸化物の厚さが大きいと
強度が低下すると共に、割れが発生しやすくなる。
物の結合厚さは0.0001から0.005mmの範囲
に形成されているものであるが、この結合厚さに形成さ
れていると、焼結の結晶段階では、Al2O3の液相の
生成によりSiC粒子の再配列が起こり、収縮、緻密化
が進むものと考えられる。更に、この焼結の後期段階で
はSiC粒子の粒成長が無く、そのまま残り微細組織が
形成されると考えられる。尚、酸化物の厚さが大きいと
強度が低下すると共に、割れが発生しやすくなる。
【0049】本発明の摺動材料の製造方法には、平均粒
径が0.00005から0.0003mmのAl2O3
の微粉末を5から20重量%に対し、又は平均粒径が
0.00005から0.0003mmのSiO2の微粉
末を5から35重量%と平均粒径が0.00005から
0.0003mmのAl2O3の微粉末を5から20重
量%との混合粉末に対し、平均粒径が0.0003から
0.005mmのSiCの微粉末を残部として混合した
ものを成形型内で加圧成形し、次いで成形体を1200
から1500℃の大気中で焼結したものがある。
径が0.00005から0.0003mmのAl2O3
の微粉末を5から20重量%に対し、又は平均粒径が
0.00005から0.0003mmのSiO2の微粉
末を5から35重量%と平均粒径が0.00005から
0.0003mmのAl2O3の微粉末を5から20重
量%との混合粉末に対し、平均粒径が0.0003から
0.005mmのSiCの微粉末を残部として混合した
ものを成形型内で加圧成形し、次いで成形体を1200
から1500℃の大気中で焼結したものがある。
【0050】この摺動材料の製造方法では、SiO2の
微粉末に対し、又はAl2O3の微粉末との混合粉末に
対し、平均粒径が0.0003から0.005mmのS
iCの微粉末を残部とした主成分の成形体を1500℃
以下の大気中で焼結するものである。この結晶組織で
は、アルミニウムケイ酸塩やシリカなどの薄い酸化物が
SiC粒子の外周を囲むように結合している。SiCの
微細な粒子分布とAl2O3又はSiO2−Al2O3
系の酸化物の微細な粒子分布が互いに補完して微細結晶
組織となっているものである。
微粉末に対し、又はAl2O3の微粉末との混合粉末に
対し、平均粒径が0.0003から0.005mmのS
iCの微粉末を残部とした主成分の成形体を1500℃
以下の大気中で焼結するものである。この結晶組織で
は、アルミニウムケイ酸塩やシリカなどの薄い酸化物が
SiC粒子の外周を囲むように結合している。SiCの
微細な粒子分布とAl2O3又はSiO2−Al2O3
系の酸化物の微細な粒子分布が互いに補完して微細結晶
組織となっているものである。
【0051】微粉末が主成分とするこの成形体の焼結
は、SiC粒子はほとんど成長することなく残存し、A
l2O3などの酸化物は、薄い結晶体として結合した相
を形成するものと考えられる。更に、SiO2はSiC
の外周に薄い皮膜のように結合して結合強度を高めると
共に、摺動面に薄い膜を形成して摺動抵抗が低減するよ
うな働きをするものと考えられる。そして、これらの結
晶は、微細分布として互いに補完し、緻密化と共に強度
を高める。
は、SiC粒子はほとんど成長することなく残存し、A
l2O3などの酸化物は、薄い結晶体として結合した相
を形成するものと考えられる。更に、SiO2はSiC
の外周に薄い皮膜のように結合して結合強度を高めると
共に、摺動面に薄い膜を形成して摺動抵抗が低減するよ
うな働きをするものと考えられる。そして、これらの結
晶は、微細分布として互いに補完し、緻密化と共に強度
を高める。
【0052】この微細組織のAl2O3を添加した焼結
SiCは、従来の焼結SiCに比べて高い破壊靭性を有
すると共に、耐疲労能力を発揮する。又、SiC粒子の
ある程度の成長は組織を緻密化して破壊靭性能力を高め
ることができる。一方、SiO2が本発明の範囲より増
加すると、強度が低下する傾向がある。それは、SiO
2の増加により単独のトリジマイトやクリストバライト
の相が生成するのが認められるからである。尚、酸化物
中にCaO、TiO2、Fe2O3、MgO等の酸化物
を含有していても問題になっていないことが認められ
る。また、SiO2−Al2O3を配合する場合に、A
l2O3の濃度を増加させたい場合には、Al2O3に
反比例させて少なくすると良い。又、この方法の焼結
は、従来の常圧焼結や反応焼結に比べて1/10以下に
生産コストを押さえることが可能になる。
SiCは、従来の焼結SiCに比べて高い破壊靭性を有
すると共に、耐疲労能力を発揮する。又、SiC粒子の
ある程度の成長は組織を緻密化して破壊靭性能力を高め
ることができる。一方、SiO2が本発明の範囲より増
加すると、強度が低下する傾向がある。それは、SiO
2の増加により単独のトリジマイトやクリストバライト
の相が生成するのが認められるからである。尚、酸化物
中にCaO、TiO2、Fe2O3、MgO等の酸化物
を含有していても問題になっていないことが認められ
る。また、SiO2−Al2O3を配合する場合に、A
l2O3の濃度を増加させたい場合には、Al2O3に
反比例させて少なくすると良い。又、この方法の焼結
は、従来の常圧焼結や反応焼結に比べて1/10以下に
生産コストを押さえることが可能になる。
【0053】
【実施例1】次のものは、本発明に係わる摺動材料の一
実施例の製造方法である。平均粒径が0.0008mm
のSiO2の微粉末を13重量%と平均粒径が0.00
05mmのAl2O3の微粉末を15重量%との混合粉
末に対し、平均粒径が0.001mmのSiCの微粉末
を残部として混合したものに溶剤を添加して混合機によ
りブレンドする。次に、混練したものを成形用顆粒に形
成する。この顆粒粉を乾燥し、この顆粒粉を成形型内に
入れて成型機により2000Kg/cm2の圧力で加圧
成形する。次いで、この成形体を1200℃の温度で大
気中で焼結した。
実施例の製造方法である。平均粒径が0.0008mm
のSiO2の微粉末を13重量%と平均粒径が0.00
05mmのAl2O3の微粉末を15重量%との混合粉
末に対し、平均粒径が0.001mmのSiCの微粉末
を残部として混合したものに溶剤を添加して混合機によ
りブレンドする。次に、混練したものを成形用顆粒に形
成する。この顆粒粉を乾燥し、この顆粒粉を成形型内に
入れて成型機により2000Kg/cm2の圧力で加圧
成形する。次いで、この成形体を1200℃の温度で大
気中で焼結した。
【0054】図1は、この摺動材料の摺動面を100倍
に拡大した光学顕微鏡の写真である。この写真図から明
らかなように、分散粒子aはSiCである。このSiC
粒子の周りにSiO2−Al2O3系の酸化物が介在す
るようにして周囲を固めている。 尚、写真の中で黒い
点bは、気孔である。この気孔は、成形体の成形圧力が
小さい場合に成形されることが認められる。又、酸化物
の中のやや黒い箇所は微細な気孔である。この程度の気
孔が生じても強度に変化は見られなかった。むしろ、摺
動面としての潤滑作用に寄与する面がある。
に拡大した光学顕微鏡の写真である。この写真図から明
らかなように、分散粒子aはSiCである。このSiC
粒子の周りにSiO2−Al2O3系の酸化物が介在す
るようにして周囲を固めている。 尚、写真の中で黒い
点bは、気孔である。この気孔は、成形体の成形圧力が
小さい場合に成形されることが認められる。又、酸化物
の中のやや黒い箇所は微細な気孔である。この程度の気
孔が生じても強度に変化は見られなかった。むしろ、摺
動面としての潤滑作用に寄与する面がある。
【0055】この摺動材料を加工して試験片に形成し
た。この試験片をビッカース硬さ試験機によりJIS
Z−2244に従って圧痕cを与えた。図2は、その状
態を示す写真図である。この試験片の硬度はHV820
であった。又、写真図から明らかなように、圧痕cの先
端に顕微鏡で見てもクラックは認められない。つまり、
亀裂が発生しない耐強靱能力を有することが認められ
る。
た。この試験片をビッカース硬さ試験機によりJIS
Z−2244に従って圧痕cを与えた。図2は、その状
態を示す写真図である。この試験片の硬度はHV820
であった。又、写真図から明らかなように、圧痕cの先
端に顕微鏡で見てもクラックは認められない。つまり、
亀裂が発生しない耐強靱能力を有することが認められ
る。
【0056】次に、この試験片を摺動試験機により摺動
状態を実験した。図5は、この試験片を試験した摺動試
験機の半断面図である。ケーシング11には、試験液で
ある被密封流体Wが入れられるように空室に形成されて
いる。この空室内に一端側が嵌挿された回転軸13が設
けられている。回転軸13の一端にはフランジが設けら
れており、このフランジに取り付けられたばね16を介
して回転密封摺動部品2が弾発に押圧されている。この
回転密封摺動部品2の取付面から被密封流体Wが漏洩し
ないようにパッキン3が設けられている。
状態を実験した。図5は、この試験片を試験した摺動試
験機の半断面図である。ケーシング11には、試験液で
ある被密封流体Wが入れられるように空室に形成されて
いる。この空室内に一端側が嵌挿された回転軸13が設
けられている。回転軸13の一端にはフランジが設けら
れており、このフランジに取り付けられたばね16を介
して回転密封摺動部品2が弾発に押圧されている。この
回転密封摺動部品2の取付面から被密封流体Wが漏洩し
ないようにパッキン3が設けられている。
【0057】一方、ケーシング11には、回転密封摺動
部品2に対向する位置に固定密封摺動部品1が設けられ
ている。この固定密封摺動部品1も取付面から被密封流
体Wが漏洩しないようにガスケット4が設けられてい
る。この固定密封摺動部品1と回転密封摺動部品2は本
発明の摺動材料を加工して製作したものである。
部品2に対向する位置に固定密封摺動部品1が設けられ
ている。この固定密封摺動部品1も取付面から被密封流
体Wが漏洩しないようにガスケット4が設けられてい
る。この固定密封摺動部品1と回転密封摺動部品2は本
発明の摺動材料を加工して製作したものである。
【0058】図5の摺動試験機に、本発明の固定密封摺
動部品1と回転密封摺動部品2を取り付けて試験した。
この試験条件は、 1)被密封流体 ・・・水(中摺動) 2)摺動面の周速 ・・・5.0m/s 3)摺動時間 ・・・100時間 4)被密封流体の温度・・・50℃ 5)摺動面圧 ・・・0.2MPaである。 この実験結果は、平均摩擦係数が0.08で有り、摩擦
量が両部品とも0.0005mmである。下記に比較例
1を示すが、この比較例1に対し、耐摩耗性が優れてい
ることが認められる。
動部品1と回転密封摺動部品2を取り付けて試験した。
この試験条件は、 1)被密封流体 ・・・水(中摺動) 2)摺動面の周速 ・・・5.0m/s 3)摺動時間 ・・・100時間 4)被密封流体の温度・・・50℃ 5)摺動面圧 ・・・0.2MPaである。 この実験結果は、平均摩擦係数が0.08で有り、摩擦
量が両部品とも0.0005mmである。下記に比較例
1を示すが、この比較例1に対し、耐摩耗性が優れてい
ることが認められる。
【0059】
【実施例2】実施例1の摺動材料SiC−SiO2−A
l2O3の配合に於いて、この複合材100部に対し、
金属Si粉末5部を添加配合して焼結した摺動材料の顕
微鏡写真は図3に示す通りである。この写真で白い結晶
dは、金属Siの結晶である。又、黒い点eは、気孔で
ある
l2O3の配合に於いて、この複合材100部に対し、
金属Si粉末5部を添加配合して焼結した摺動材料の顕
微鏡写真は図3に示す通りである。この写真で白い結晶
dは、金属Siの結晶である。又、黒い点eは、気孔で
ある
【0060】この実施例2の試験片を図3に示す摺動試
験機で実施例1と同一条件で実施した結果は、平均の摩
擦係数が0.06であり、実施例1の摩擦係数より低下
していることが認められる。更に、摩耗量が固定密封摺
動部品1は0.0005mmであり、回転密封摺動部品
2の摩耗量は0.0003mmであった。この結果か
ら、Si粉末の添加量によって、更に摩擦係数や摩耗量
が改善されることが認められる。
験機で実施例1と同一条件で実施した結果は、平均の摩
擦係数が0.06であり、実施例1の摩擦係数より低下
していることが認められる。更に、摩耗量が固定密封摺
動部品1は0.0005mmであり、回転密封摺動部品
2の摩耗量は0.0003mmであった。この結果か
ら、Si粉末の添加量によって、更に摩擦係数や摩耗量
が改善されることが認められる。
【0061】
【比較例1】比較例の摺動材料は、平均粒径が0.01
0mmのAl2O3の微粉末を18重量%と、平均粒径
が0.013mmのSiO2の微粉末を8重量%との混
合粉末に対し、平均粒径が0.025mmのSiCの微
粉末を残部として混合したものを成形型内で加圧成形
し、次いで成形体を1200から1500℃の大気中で
焼結したものである。この焼結条件は実施例1と同一で
ある。
0mmのAl2O3の微粉末を18重量%と、平均粒径
が0.013mmのSiO2の微粉末を8重量%との混
合粉末に対し、平均粒径が0.025mmのSiCの微
粉末を残部として混合したものを成形型内で加圧成形
し、次いで成形体を1200から1500℃の大気中で
焼結したものである。この焼結条件は実施例1と同一で
ある。
【0062】この摺動材料の研磨した面を顕微鏡で40
0倍に拡大した写真が図4に示すものである。この写真
図4に示す圧痕cは(500gの圧力)、ビッカース硬
さ試験機で圧痕cを与えたものである。この圧痕cを調
べるとSiCを含む組織にクラックfが大きく発生し、
摺動材料として使用するには問題がある。尚、硬度はH
V120度である。
0倍に拡大した写真が図4に示すものである。この写真
図4に示す圧痕cは(500gの圧力)、ビッカース硬
さ試験機で圧痕cを与えたものである。この圧痕cを調
べるとSiCを含む組織にクラックfが大きく発生し、
摺動材料として使用するには問題がある。尚、硬度はH
V120度である。
【0063】この摺動材料を試験片に加工して、実施例
と同一の方法で試験した結果は次の通りである。平均の
摩擦係数は、0.09であり、摩耗量は両部品とも周面
の位置により摩耗量が変化しおり、その摩耗量の範囲
は、0.100から0.200mmである。この摩耗量
は、摺動材料として利用するには、大きすぎる。
と同一の方法で試験した結果は次の通りである。平均の
摩擦係数は、0.09であり、摩耗量は両部品とも周面
の位置により摩耗量が変化しおり、その摩耗量の範囲
は、0.100から0.200mmである。この摩耗量
は、摺動材料として利用するには、大きすぎる。
【0064】
【発明の効果】本発明に係わる摺動材料によれば、以下
のような効果を奏する。本発明の摺動材料では、焼結さ
れたSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法よりも薄い
厚さのAl2O3の酸化物により覆われたようにして結
合されているので、結合力が向上する効果を奏する。そ
して、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向
上する効果が期待できる。しかも、酸化物であるAl2
O3が薄く覆うように形成されているので、粒子境界層
からの割れや亀裂が発生することが防止されて、強度が
向上する。
のような効果を奏する。本発明の摺動材料では、焼結さ
れたSiC粒子がSiC粒子の平均径の寸法よりも薄い
厚さのAl2O3の酸化物により覆われたようにして結
合されているので、結合力が向上する効果を奏する。そ
して、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向
上する効果が期待できる。しかも、酸化物であるAl2
O3が薄く覆うように形成されているので、粒子境界層
からの割れや亀裂が発生することが防止されて、強度が
向上する。
【0065】本発明の摺動材料は、平均粒子径が0.0
003から0.005mmのSiC粒子を前記SiC粒
子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2O3 の
複合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完している
ので、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高密度
化して強度を向上させる効果が期待できる。そして、高
い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する効
果を奏する。しかも、酸化物であるSiO2−Al2O
3がSiCを覆うように結合されているので、粒子境界
層からの割れや亀裂が発生するのを防止して、強度を向
上させる効果が期待できる。特に、この摺動材料に金属
Siを添加すると摩擦係数が更に低下すると共に、摩耗
量も低減する効果が期待できる。
003から0.005mmのSiC粒子を前記SiC粒
子径の寸法よりも薄い厚さのSiO2−Al2O3 の
複合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完している
ので、SiO2はSiCとAl2O3との境界を高密度
化して強度を向上させる効果が期待できる。そして、高
い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向上する効
果を奏する。しかも、酸化物であるSiO2−Al2O
3がSiCを覆うように結合されているので、粒子境界
層からの割れや亀裂が発生するのを防止して、強度を向
上させる効果が期待できる。特に、この摺動材料に金属
Siを添加すると摩擦係数が更に低下すると共に、摩耗
量も低減する効果が期待できる。
【0066】本発明に係わる製造方法は、平均粒子径が
微細な0.0003から0.005mmのSiC粒子に
前記SiC粒子径よりも微細なSiO2−Al2O3
の粒子を配合して焼結し、SiO2−Al2O3 の複
合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完されている
ので、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向
上する。しかも、酸化物であるSiO2−Al2O3が
SiCを覆うように結合されているので、粒子境界層か
らの割れや亀裂が発生することがなく、強度が向上する
効果を奏する。更に、大気で、しかも、低温で焼結が可
能になるので、従来の焼結に比べて1/10以下のコス
トで生産することが可能になる。
微細な0.0003から0.005mmのSiC粒子に
前記SiC粒子径よりも微細なSiO2−Al2O3
の粒子を配合して焼結し、SiO2−Al2O3 の複
合材の酸化物で結合させて互いに組織が補完されている
ので、高い強靱性が発揮されると共に、耐疲労強度が向
上する。しかも、酸化物であるSiO2−Al2O3が
SiCを覆うように結合されているので、粒子境界層か
らの割れや亀裂が発生することがなく、強度が向上する
効果を奏する。更に、大気で、しかも、低温で焼結が可
能になるので、従来の焼結に比べて1/10以下のコス
トで生産することが可能になる。
【図1】本発明に係わる摺動材料の摺動面を光学顕微鏡
により100倍にした写真図である。
により100倍にした写真図である。
【図2】図1に示す摺動材料の摺動面にビッカス硬度試
験機で圧痕を与えて顕微鏡により400倍に拡大した写
真図である。
験機で圧痕を与えて顕微鏡により400倍に拡大した写
真図である。
【図3】図1に示す摺動材料の成分に更に金属Siを添
加した摺動材料の顕微鏡により100倍にした写真図で
ある。
加した摺動材料の顕微鏡により100倍にした写真図で
ある。
【図4】従来の摺動材料に圧痕を与えた摺動面を顕微鏡
により400倍に拡大した写真図である。
により400倍に拡大した写真図である。
【図5】摺動材料を試験する摺動試験機の半断面図であ
る。
る。
1 固定密封摺動部品 2 回転密封摺動部品 3 パッキン 4 ガスケット 11 ケーシング 13 回転軸 16 ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 SD02 SD04 SE02 4G001 BA03 BA04 BA22 BA60 BA62 BB03 BB04 BB22 BB60 BB62 BC13 BC23 BC52 BD12 BD13 BD16
Claims (7)
- 【請求項1】 粒子平均径の大きさが0.0003から
0.005mmのSiC粒子を前記SiC粒子径の寸法
よりも薄い厚さのAl2O3 系の酸化物で結合させて
互いに組織が補完していることを特徴とする摺動材料。 - 【請求項2】 粒子平均径の大きさが0.0003から
0.005mmのSiC粒子を前記SiC粒子径の寸法
よりも薄い厚さのSiO2−Al2O3 系の酸化物で
結合されて互いに組織が補完していることを特徴とする
摺動材料。 - 【請求項3】 前記SiO2の配合割合が5から35重
量%であり、Al2O3の配合割合が5から20重量%
であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
摺動材料。 - 【請求項4】 平均粒子径が0.0003から0.00
5mmのSiC粒子を前記SiC粒子径の寸法よりも薄
い厚さのSiO2−Al2O3 系の酸化物で結合され
ていると共に粒子平均径が0.002から0.080m
mの金属Si粉末又は/及びC粉末を分散含有している
ことを特徴とする摺動材料。 - 【請求項5】 金属Si粉末又は/及びC粉末の配合割
合が2から50体積%の割合で均一に含有されているこ
とを特徴とする請求項4に記載の摺動材料。 - 【請求項6】 前記酸化物の結合厚さは0.0001か
ら0.005mmの範囲であることを特徴とする請求項
1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5
に記載の摺動材料。 - 【請求項7】 平均粒径が0.00005から0.00
03mmのAl2O 3の微粉末を5から20重量%に対
し、又は平均粒径が0.00005から0.0003m
mのSiO2の微粉末を5から35重量%と平均粒径が
0.00005から0.0003mmのAl2O3の微
粉末を5から20重量%との混合粉末に対し、平均粒径
が0.0003から0.005mmのSiCの微粉末を
残部として混合したものを成形型内で加圧成形し、次い
で成形体を1200から1500℃の温度で焼結するこ
とを特徴とする摺動材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001168098A JP2002356373A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | 摺動材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001168098A JP2002356373A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | 摺動材料及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002356373A true JP2002356373A (ja) | 2002-12-13 |
Family
ID=19010379
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001168098A Pending JP2002356373A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | 摺動材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002356373A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102153357A (zh) * | 2010-12-23 | 2011-08-17 | 河南科技大学 | 一种超低水泥或无水泥原位碳化硅晶须自结合碳化硅预制件及制备方法 |
JP2017227260A (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 株式会社酉島製作所 | 耐摩耗部材およびこれを用いたメカニカルシール |
-
2001
- 2001-06-04 JP JP2001168098A patent/JP2002356373A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102153357A (zh) * | 2010-12-23 | 2011-08-17 | 河南科技大学 | 一种超低水泥或无水泥原位碳化硅晶须自结合碳化硅预制件及制备方法 |
CN102153357B (zh) * | 2010-12-23 | 2013-02-20 | 河南科技大学 | 一种超低水泥或无水泥原位碳化硅晶须自结合碳化硅预制件 |
JP2017227260A (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 株式会社酉島製作所 | 耐摩耗部材およびこれを用いたメカニカルシール |
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