JP2002352758A - 荷電粒子線調整方法及び荷電粒子線装置 - Google Patents

荷電粒子線調整方法及び荷電粒子線装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】荷電粒子線の状態が変化しても、容易に光軸の
調整を可能とする荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置
の調整方法を提供する。 【解決手段】アライメント偏向器の偏向条件を第1の状
態にしたときに、光学素子を少なくとも2つの状態に変
化させたときの試料像間の第1のずれを検出し、アライ
メント偏向器の偏向条件を第2の状態にしたときの試料
像間の第2のずれを検出し、当該2つのずれの情報に基
づいて、前記アライメント偏向器の動作条件を決定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は荷電粒子線装置に係
り、特に、荷電粒子光学系の光軸のずれを補正して、高
分解能像を安定に得るのに好適な荷電粒子線装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】走査電子顕微鏡に代表される荷電粒子線
装置では、細く収束された荷電粒子線を試料上で走査し
て試料から所望の情報(例えば試料像)を得る。このよ
うな荷電粒子線装置では、レンズに対し光軸にずれがあ
るとレンズ収差が発生し試料像の解像度が低下するた
め、分解能の高い試料像を得るためには高精度な軸調整
が必要である。そのため従来の軸調整では対物レンズの
励磁電流等を周期的に変化させ、そのときの動きを最小
とするように軸調整用の偏向器(アライナー)の動作条
件を手動で調整していた。また、このような調整を自動
で行うための技術として特開2000−195453号
公報に開示の技術がある。この記載によれば対物レンズ
の2つの励磁条件間で変化する電子線照射位置の推移に
基づいて、アライメントコイルの励磁設定値を変更する
技術が開示されている。更に特開2000−331637号
公報には、異なる光学条件で得られた2つの電子顕微鏡
画像から両者の位置ずれ検出に基づいて焦点補正を行う
技術が開示されている。
【0003】また、荷電粒子線の非点補正を行う非点補
正器の中心からずれていると、非点収差の調整を行う際
に視野が動き、調整が困難になる。そのため、非点収差
補正器の動作に連動して荷電粒子の試料上での位置を制
御する別のアライナー(偏向器)を設け、非点収差補正
器の設定値(非点補正器)の変化に対する像の動きをキ
ャンセルして、非点収差の調整時に観察像が動かないよ
うに視野補正している。このとき、視野ずれ補正用のア
ライナーには非点収差補正器の設定値に比例した信号が
入力されるが、この比例係数は非点収差の調整時に像の
動きがキャンセルされるように決めなければならない。
この調整を行うには、非点収差補正器の設定値(電流な
ど)を周期的に変化させて、このときの像の動きが最小
となる比例係数を見つける作業を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように光軸の調
整を手動で行うには、経験に裏打ちされた技術が必要で
あり、オペレータによって調整精度がばらついたり、調
整に時間を要することがある。また上記自動化による調
整も、光学条件により変化する調整用パラメータをその
光学条件毎に記憶しておく必要があり、光学条件を替え
て観察しようとする場合、その都度登録作業が必要であ
る。また仮に同じ光学条件で使用する場合であっても光
軸の経時変化によって、登録したパラメータに基づく調
整が困難になるという問題がある。またオペレータは軸
がずれていることに気が付かずに劣化した試料像に基づ
いて観察等を行う可能性もある。
【0005】本発明の目的は、光学条件を変更した場合
や光軸の経時変化によって荷電粒子線の状態が変化して
も、容易に光軸の調整を可能とする荷電粒子線装置、及
び荷電粒子線装置の調整方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では荷電粒子線に影響を与える光学素子に対
する前記荷電粒子線の軸調整をアライメント偏向器で行
う際に、アライメント偏向器の偏向条件を第1の状態に
したときに、光学素子を少なくとも2つの状態に変化さ
せ、そのときに得られる第1の試料像と第2の試料像間
の第1のずれを検出し、アライメント偏向器の偏向条件
を第2の状態にしたときに、光学素子を少なくとも2つ
の状態に変化させ、そのときに得られる第3の試料像と
第4の試料像間の第2のずれを検出し、当該2つのずれ
の情報に基づいて、前記アライメント偏向器の動作条件
を決定する荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置を
提供する。
【0007】このような構成によれば、荷電粒子線の光
学条件に関わらず、精度の高い軸調整が可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。
【0009】図1は、本発明の一例である走査電子顕微
鏡の概略構成図である。陰極1と第一陽極2の間には、
マイクロプロセッサ(CPU)40で制御される高圧制
御電源20により電圧が印加され、所定のエミッション
電流で一次電子線4が陰極1から引き出される。陰極1
と第二陽極3の間には、CPU40で制御される高圧制
御電源20により加速電圧が印加され、陰極1から放出
された一次電子線4が加速されて後段のレンズ系に進行
する。一次電子線4は、レンズ制御電源21で制御され
た収束レンズ5で収束され、絞り板8で一次電子線の不
要な領域が除去された後に、レンズ制御電源22で制御
された収束レンズ6、および対物レンズ制御電源23で
制御された対物レンズ7により試料10に微小スポット
として収束される。対物レンズ7は、インレンズ方式,
アウトレンズ方式、およびシュノーケル方式(セミイン
レンズ方式)など、種々の形態をとることができる。ま
た、試料に負の電圧を印加して一次電子線を減速させる
リターディング方式も可能である。さらに、各々のレン
ズは、複数の電極で構成される静電型レンズで構成して
もよい。
【0010】一次電子線4は、走査コイル9で試料10
上を二次元的に走査される。一次電子線の照射で試料1
0から発生した二次電子等の二次信号12は、対物レン
ズ7の上部に進行した後、二次信号分離用の直交電磁界
発生装置11により、一次電子と分離されて二次信号検
出器13に検出される。二次信号検出器13で検出され
た信号は、信号増幅器14で増幅された後、画像メモリ
25に転送されて像表示装置26に試料像として表示さ
れる。
【0011】走査コイル9の近傍もしくは同じ位置に1
段の偏向コイル51が配置されており、対物レンズに対
するアライナーとして動作する。また、対物レンズと絞
り板との間には、XおよびY方向の非点を補正するため
の8極の非点補正コイル52が配置される。非点補正コ
イルの近傍、もしくは同じ位置には非点補正コイルの軸
ずれを補正するアライナー53が配置される。
【0012】像表示装置26には、試料像のほかに電子
光学系の設定や走査条件の設定を行う種々の操作ボタン
の他、軸条件の確認や自動軸合わせの開始を指示するボ
タンを表示させることができる。
【0013】一次電子線が対物レンズの中心からずれた
位置を通過した状態(軸がずれた状態)でフォーカス調
整を行うと、フォーカス調整に伴い視野の動きが生じ
る。オペレータが軸ずれに気が付いた場合、表示装置に
表示された処理開始ボタンをマウスでクリックするなど
の操作により軸合わせ処理の開始を指示することができ
る。オペレータから軸合わせの指令を受けると、制御C
PU40は、図2や図4のフローに沿って処理を開始す
る。
【0014】なお、図1の説明は制御プロセッサ部が走
査電子顕微鏡と一体、或いはそれに準ずるものとして説
明したが、無論それに限られることはなく、走査電子顕
微鏡鏡体とは別に設けられた制御プロセッサで以下に説
明するような処理を行っても良い。その際には二次信号
検出器13で検出される検出信号を制御プロセッサに伝
達したり、制御プロセッサから走査電子顕微鏡のレンズ
や偏向器等に信号を伝達する伝達媒体と、当該伝達媒体
経由で伝達される信号を入出力する入出力端子が必要と
なる。また、以下に説明する処理を行うプログラムを記
憶媒体に登録しておき、画像メモリを有し走査電子顕微
鏡に必要な信号を供給する制御プロセッサで、当該プロ
グラムを実行するようにしても良い。
【0015】(実施例1)図2の処理フローについて、
以下に詳細に説明する。
【0016】第1ステップ:対物レンズ7の現在の条
件、あるいは、現在の条件に基づいて決められる(例え
ば、現在のフォーカス条件からフォーカスを少しずらし
た条件)を条件1として対物レンズ7に設定する。次
に、アライナー51の現在の条件、あるいは、予め決め
られた条件をアライナー51の条件1として設定する。
この対物レンズ条件1とアライナー条件1で画像1を取
得する。
【0017】第2ステップ:アライナー51の条件をそ
のままにして、対物レンズの条件のみを対物レンズ条件
1に対して予め決められた値だけフォーカスのずれた第
2のフォーカス条件を設定して画像2を取得する。
【0018】第3ステップ,第4ステップ:アライナー
51の条件を条件1に対して予め決められた値だけずら
した条件を条件2として、これをアライナー51に設定
する。そして、対物レンズの条件をステップ1とステッ
プ2と同様に条件1、および条件2として、それぞれの
画像(画像3,画像4)を取得する。
【0019】ステップ5:画像1と同条件で再度画像を
取得し、これを画像5として登録する。
【0020】ステップ6:画像1と画像2の視差(画像
のずれ)を画像処理により検出し、これを視差1として
登録する。画像間の視差は、例えば、画像1と画像2の
画像を互いに画素単位でずらしながら画像相関を求め、
画像相関値が最大になる画像のずらし量から検出するこ
とが可能である。その他、視差の検出が可能な画像処理
ならば、本実施例に適用が可能である。
【0021】ステップ7:画像1と画像2の視差を画像
処理により検出して、これを視差2として登録する。
【0022】ステップ8:画像1と画像5の視差を画像
処理により検出して、これを視差3として登録する。画
像1と画像5とは同一条件で取得したものであるから、
これらの画像間にずれ(視差3)があれば、このずれは
試料やビームのドリフトによって作られたものである。
即ち、荷電粒子線の光学条件を或る状態(第1の状態)
とし、次に光学条件を他の状態(第2の状態)とした
後、再度第1の状態とするときに、上記2つの第1の状
態でそれぞれ試料像を検出し、両者間のずれに基づいて
ドリフトを算出している。
【0023】ステップ9:視差3からドリフト成分を検
出して、視差1と視差2に対してドリフト成分を補正
(除去)する。例えば、画像1と画像5の取り込み間隔
がt秒であれば、単位時間(秒)当たりのドリフト
(d)は、d=(視差3)/tで表される。一方、画像
1と2、画像3と4の取り込み間隔がT12,T34と
すれば、視差1と視差2には、それぞれ、d×T12、
およびd×T34のドリフト成分が含まれていることに
なるため、視差1,視差2からドリフト成分を差し引く
ことで、軸ずれに起因した正確な視差を算出することが
できる。
【0024】ステップ10,ステップ11:ドリフト補
正された視差1と視差2からアライナー51の最適値を
計算して、アライナーに設定する。
【0025】図2の処理フローは、動作の理解が容易な
手順で記載したが、最初と最後の画像(ドリフト補正
用)を除けば、画像の取り込み順番は処理に影響を与え
ない。実際の処理では、処理の高速化を図るために、例
えば、対物レンズ条件7を条件1にして、画像1と画像
3とを連続して取り込み、次に、対物レンズ条件7を条
件2にして、画像2と画像4とを連続して取り込むこと
が可能である。電子顕微鏡の対物レンズは、通常磁界レ
ンズで構成されるため、インダクタンスが大きいため、
インダクタンスが小さく高速制御が可能なアライナーを
連続制御する方法が実用上有効となる。
【0026】図2の処理フローで対物レンズに対する軸
ずれが補正(修正)される原理を、図3により説明す
る。軸がずれた状態において、アライナー51の位置
(偏向面)でのビーム離軸量をWAL(複素変数:XAL
+j・YAL、j:虚数単位)、この位置で光軸に対す
るビームの傾きをWAL′(複素変数)とすると、電子
光学理論(近軸理論)に基づく軌道計算が可能である。
磁界形対物レンズの場合、レンズ電流値をI1からI2
へとΔI(=I1−I2)だけ変化させたときに生じる
像ずれ量(視差)をΔWi(複素変数:ΔXi+j・Δ
Yi)とすると、軌道計算により、ΔWiは次のように
表すことができる。
【0027】 ΔWi=K・ΔI・(WAL・A+WAL′・B) (1) ここで、K,A,Bは、測定の際の軸ずれ状態と、対物
レンズの動作条件(加速電圧や対物レンズの焦点距離、
あるいは対物レンズの物点位置など)で決まるパラメー
タ(複素数)である。対物レンズに対して軸がずれた状
態とは、式(1)においてΔWiが0以外の値を持つこと
を意味する。したがって、従来は、対物レンズの電流を
ΔIだけ周期的に変化させて、このときの像ずれΔWi
をオペレータが認識し、像ずれを無くすようにアライナ
ーの条件を調整していた。すなわち、軸ずれが補正され
るアライナーの最適値とは、式(1)の右辺がΔIによ
らず0となる条件を指している。この条件を書き出す
と、 (WAL・A+WAL′・B)=0 (2) となり、この条件を満たすアライナーの動作条件が最適
値となる。軸ずれがあるとアライナー偏向面では入射ビ
ームの傾きも伴うため、これをWAL0′とし、アライ
ナーによる偏向角(制御値)をWAL1′とすると WAL′=WAL0′+WAL1′ (3) で表される。よって、式(2)を満たすアライナーの条
件WAL1′(アライナーの最適値)を求めることが軸
調整機能の目的となる。アライナーを電磁コイルで構成
する場合には、偏向角WAL1′はアライナーのコイル
電流に比例する。
【0028】以上の関係から式(1)を書き直すと、 ΔWi=ΔI・(A1+WAL1′・B1) (4) が得られる。ここで、A1,B1は以下の項をまとめた
ものである。
【0029】 A1=K・(WAL・A+WAL0′・B) (5) B1=K・B (6) 式(4)より、アライナーの最適値WAL1′は WAL1′=−A1/B1 (7) で与えられるため、A1とB1を求めることにより、ア
ライナーの最適値を計算することができる。式(4)に
おいて、ΔIは対物レンズの電流変化量であるから、既
知の値として予め決めることができる。したがって、ア
ライナーを予め定めた任意の2条件に設定し、その各々
においてΔIに対する視差ΔWiを画像処理により検出
すると、式(4)より未知数A1,B1を求めるための
方程式が得られる。この方程式からA1,B1を解くこ
とができるため、アライナーの最適条件を式(7)から
決定することができる。
【0030】即ち、アライナーを予め定めた任意の2条
件に設定したときに得られる視差ΔWiが小さくなる
(理想的にはゼロとなる)ような条件でA,Bのような
未知数をn次方程式を解くことによって、電子光学系の
動作条件に依存しない条件を導き出すことができる。こ
の条件に基づいてアライナー条件(アライナーの励磁条
件)を導き出すことができる。なお、アライナー51
は、少なくとも対物レンズ主面におけるビーム通過位置
を二次元的に制御可能な配置、あるいは構造を有してい
る。仮に、アライナーによるビームの偏向支点が対物レ
ンズ主面近傍に存在すると、対物レンズに対する軸ずれ
の状態が制御できなくなるためである。即ち本発明実施
例のように電磁コイルを用いたアライメント偏向器(ア
ライナー)の場合、光学条件によって変化するコイルへ
の励磁電流(偏向信号)を検出することが可能になる。
例えば対物レンズの励磁条件の変化や、試料に印加する
リターディング電圧の大きさによって、変化する励磁電
流を、観察時の光学条件に基づいて検出することができ
るので、光学条件ごとに異なるパラメータを登録してお
く必要がなくなり、また経時変化により、ビームの条件
が変化したとしても、その変化した状態における適正な
アライメントコイルへの励磁電流を検出することが可能
になる。
【0031】このように本発明実施例によれば、変化す
る軸ずれの状態や荷電粒子光学系の光学素子の動作条件
(例えば、ビームエネルギーや焦点距離,光学倍率な
ど)に対応が可能であり、軸調整の自動化を容易に実現
することが可能になる。
【0032】なお、軸ずれの大きさは、ΔIに対する視
差ΔWiの大きさで定量化することができる。したがっ
て、例えば、試料交換や電子光学系の条件変更など、軸
ずれが発生する可能性を伴う操作を行ったときに、ΔI
による視差ΔWiを検出する処理を実行すれば、軸ずれ
を未然に検出することができる。さらに、ΔWiがある
所定の値を超えると、オペレータに軸調整が必要である
ことを伝えるメッセージを表示することができる。図5
に、軸ずれを検出したときのメッセージ画面の一例を示
す。オペレータは、このメッセージに従って、必要とな
れば、入力手段により軸調整処理を実行させることがで
きる。入力手段は、例えば、メッセージ画面(例えば、
図5)に表示されたアイコンやモニタに表示された他の
専用アイコンをマウスでクリックしたり、あるいは、メ
ニュー画面から処理コマンドを指定するなど、種々の形
態をとることができる。
【0033】(実施例2)一方、非点補正器52につい
ても、本実施例では自動軸調整が可能である。非点補正
器では、光軸と直交する面内において、ビームを収束さ
せる作用とビームを発散させる作用とが方向を異にして
発生する。したがって、ビームが非点補正場の中心を通
過していないと、非点補正場中心からのずれに対応した
方向に偏向作用を受けることになる。このとき、非点収
差の補正に連動して偏向作用も変化するため、非点収差
の調整操作に連動して像が移動し、調整操作が困難にな
る。これを補正するために、従来は、非点補正器52の
信号(Xstg,Ystg)に連動した信号を別のアラ
イナー53に入力して、アライナー53で発生する像の
動きでもって非点補正器による像の動きをキャンセルす
るようにしている。このとき、アライナー53に入力す
る信号(複素変数)をWs1とすると、Ws1は次の式
で表される。
【0034】 Ws1=Ksx・Xstg+Ksy・Ystg (8) ここで、Ksx,Ksyは複素変数で表される係数であ
る。いま、非点補正器の信号(Xstg,Ystg)を
それぞれΔXstg,ΔYstgだけ別々に変化させた
とすると、各々の変化に対応する観察像の動き(視差)
ΔWix,ΔWiyは、それぞれ次のようになる。
【0035】 ΔWix=ΔXstg・(Asx+Bx・Ksx) (9) ΔWiy=ΔYstg・(Asy+By・Ksy) (10) ここで、Asx,Asyは、非点補正器に対するビーム
の軸ずれに対応してその値が決まる複素変数である。K
sx,Ksyは、装置で制御する軸調整パラメータ(複
素変数)を表す。また、Bx,Byは、アライナーの位
置や偏向感度,電子光学系の条件などで決まる複素変数
である。従来は、非点補正器にそれぞれΔXstg,Δ
Ystgの変調信号を加えて、そのときの像の動き(Δ
Wix,ΔWiy)をオペレータが認識し、これを無く
すようにパラメータKsx,Ksyの手動調整が行われ
ていた。
【0036】これが、非点補正器に対する軸調整操作で
ある。すなわち、非点補正器に対して軸を合わせる操作
は、式(9)、および式(10)において、ΔXst
g,ΔYstgによらずΔWix,ΔWiyが0となる
係数Ksx,Ksyを求めることに対応する。なお、Δ
Wix,ΔWiyはゼロになることが理想であるが、そ
れには限られずゼロに近くなるようにΔWを小さくする
ような条件で係数を求めるようにしても良い。式(9)
および式(10)の形式は、先に示した式(4)と全く同
じであり、対物レンズの電流値変化(ΔI)を非点補正
器の信号変化(ΔXstg,ΔYstg)に置き換えれ
ば、視差検出とその演算処理によりアライナー53に対
する最適制御パラメータ(Ksx,Ksy)を求めるこ
とができる。このための処理フローを図4に示す。非点
補正器による視野ずれを補正するアライナーは、試料上
におけるビームの位置を補正するためのものであるか
ら、試料上での位置が制御できる位置に配置されなけれ
ばならない。
【0037】非点補正器に対する軸ずれの大きさは、非
点補正器の信号にΔXstg,ΔYstgの変化を与え
たときの像ずれ(視差)により定量化できる。そのた
め、本実施例では、先に示した対物レンズに対する軸ず
れの場合と同様、光軸の状態が変化する可能性のある操
作(加速電圧の変化や試料交換,フォーカス位置の変更
など)を行ったときに、視差検出を行い、オペレータに
軸ずれの状態を表示して知らせることができる。オペレ
ータは、この表示に従い、必要となれば、画面上に表示
した入力手段により、非点補正器の軸合わせ処理の実行
を指示することができる。入力手段は、例えば、モニタ
に表示された専用のアイコンをマウスでクリックした
り、あるいは、メニュー画面から処理を指定するなど、
種々の形態をとることができる。
【0038】本発明の形態では、オペレータが不適切な
画像の状態(フォーカスが著しくずれた状態や構造情報
がほとんど含まれない画像の状態)で、誤って軸調整処
理を指示した場合に、処理の誤動作を防止することがで
きる。この機能の説明を図6の処理フローにより説明す
る。軸ずれの検出処理、あるいは、軸調整処理の開始が
指示された場合、CPU40は、まず、現状の画像を取
り込み、取り込んだ画像の定量化(画質定量化)処理を
実行する。この定量化手段による処理は、画像に視差検
出に必要な構造情報があるかどうかを定量化するもので
ある。この処理の出力としては、例えば、画像をフーリ
エ変換し、この結果から次の式で計算される定量値Fi
を用いることができる。
【0039】 Fi=ΣΣ[F(fx,fy)・fxn・fyn] (11) ここで、F(fx,fy)は画像の二次元フーリエ変換
(FFT)を表し、fx,fyは空間周波数を表す。指
数nとして1以上の実数や整数を用いることにより、画
質の適切な定量化が可能になる。すなわち、画像に構造
情報がないと、fx,fyが0より大きい領域でF(f
x,fy)が非常に小さい値になるため、式(11)の
計算結果から、画質に適切な構造情報があるか否かの判
断が可能である。この定量値Fiが予め決定された所定
値以下、或いは未満の場合、アライメント信号演算に適
さないという判断によって、警報を発生するようにする
と良い。この警報は図5に示すような表示によるものや
音によるものであっても良い。
【0040】(実施例3)図7は、本発明の第3の実施
例を説明するための図であり、像表示装置に表示される
自動軸ずれ補正の環境を設定するための設定画面を示す
図である。走査電子顕微鏡の操作者はこの画面から自動
軸調の環境を設定する。本実施例の場合は、設定画面上
で、ポインティングデバイス60によって設定する例に
ついて説明する。まず、オペレータはアパーチャアライ
メントを自動的に実行するか否かを判断し、“視差検出
に基づく補正”,“既定値補正”又は“しない”のいず
れかを選択する。“視差検出に基づく補正”は、実施例
1で説明したステップで軸ずれ補正を行うモードであ
る。このモードを選択すれば一次電子線の経時変化によ
らず長時間安定した軸補正精度を得ることができる。
“既定値補正”は、対物レンズの励磁条件や試料と対物
レンズ間の距離(ワーキングディスタンス等の複数の光
学条件)毎に発生する軸ずれを図示しないメモリに予め
登録しておき、所定の光学条件が設定されたとき、登録
された軸調整条件で軸調を行うようにするモードであ
る。このモードは例えば経時的な軸ずれの変化が発生し
ないような場合や、光学条件を変化させてもほぼ同様の
軸ずれが認められる場合に選択すると良い。この設定で
は既定値に基づいて補正を行うため、軸調整条件の検
出、演算時間を必要とせず処理時間の向上が可能であ
る。“しない”は軸調整を行わないモードであり、軸ず
れが起きないような環境で選択することが望ましい。
【0041】以上のように、環境設定画面により複数の
補正モードを選択できるようにしておけば、走査電子顕
微鏡の使用条件や環境等に基づいて、適正な補正条件を
選択することが可能になる。
【0042】次にオペレータは自動軸調タイミングを選
択する。この選択は例えば軸ずれの頻度が高いような場
合は、軸調の精度を考慮して“分析点毎”を設定し、測
定個所毎に軸ずれ補正を行い、軸ずれがあまり発生しな
いようであれば、スループットを考慮して“ウェハ毎”
を選択し、走査電子顕微鏡による測定対象であるウェハ
を交換するたびに軸ずれ補正を行うと良い。このような
選択肢を設けることで、走査電子顕微鏡の使用条件や環
境等に基づいて、適正な軸ずれ補正タイミングを選択す
ることが可能になる。また“所定値を超えたとき”を選
択すると、分析点毎或いはウェハ毎に対物レンズ電流変
化量ΔIに対する視差ΔWiを検出し、ΔWiが所定の
値を超えたときに“視差検出に基づく補正”が行われ
る。ほかに“ユーザー設定”を選択すると予め別途登録
された軸調タイミングで軸調が行われる。
【0043】次にオペレータは補正量グラフを登録する
か、しないかを選択する。ここでいう補正量グラフとは
図8(a)に示すような形で像表示装置に表示される。
実施例1に示す技術では最終的に非点補正器用アライナ
ー53へのコイル電流を算出しているが、このコイル電
流と補正前のコイル電流の大きさの違いは光軸からビー
ムがどれだけずれていたかを表すものであり、この程度
をプロットしグラフ化することで、軸ずれの程度の推移
を判断することができる。もしこの軸ずれの推移がほぼ
一定値を示すようであれば、その後の軸ずれの状態も同
様であるとの判断のもとに、先の“既定値補正”に切り
替えることで、“視差検出に基づく補正”に要する軸調
整条件の検出時間,演算時間を削除でき、スループット
を向上させることができる。このようなグラフを表示す
ることで、オペレータに、適切な自動軸調を行うための
判断を委ねることができ、適正な軸調条件を設定するこ
とができる。
【0044】図8(b)に示すグラフは、図8(a)の
補正量グラフに重畳して、半導体パターン幅の測長結果
を表示した例である。半導体パターン幅の測長は、測長
対象パターンがある半導体デバイス上に電子線を一次元
的、或いは二次元的に走査して得られる二次電子や反射
電子の検出量に基づいて形成されるラインプロファイル
の幅を測ることで行われる。このようにして得られる対
象パターンの測長結果と、設計情報に基づくパターン寸
法の誤差を図8(a)に示す補正量グラフに重畳してプ
ロットしている。
【0045】図8(b)において、aと記した個所は、
視差ΔWiが或る定められた範囲を超えたため、或いは
視差検出に必要な構造情報がなかったため(実施例2で
説明した定量値Fiが、或る値以下或いは未満の場
合)、“視差検出に基づく補正”を行わない条件で測長
を行った個所である。この部分は補正量がゼロの場合と
区別できるように、色を変える等、他の部分と識別して
表示することが望ましい。以下の説明では視差ΔWiが
定められた範囲を超えたときは“視差検出に基づく補
正”を行わずに測長を実行する場合について説明する
が、これに限られず前述したようにオペレータに軸調整
等を促すための警報を発生し自動測長を停止したりして
も良い。なお、“視差検出に基づく補正”を行わなかっ
たにも関わらず測長を続行する場合、得られた測長値が
誤っている恐れがある。このような場合、後に目視で測
長が正しく行われたか否かの確認をすべく、測長値と併
せて測長の際に得られた試料像,ラインプロファイル、
或いは電子顕微鏡の光学条件のうち少なくとも1つを記
憶しておくと良い。オペレータはこれらの情報と共に得
られた測長結果とを照らし合わせることで、測長の信頼
度を判断することができる。
【0046】次にオペレータは視差ΔWiが或る定めら
れた範囲を超えているとき、或いは設定値Fiが或る値
以下或いは未満の場合に、どのような処理を行うかを選
択する。“測長停止”を選択すると自動的かつ連続的に
実行されている測長が停止状態となり、電子線は図示し
ないブランキング機構で試料に照射されないようにブラ
ンキングされ待機状態となる。このとき像表示画面に、
図5に示すようなメッセージを表示しても良い。この中
で単なる“続行”は“視差検出に基づく補正”を行わな
いでそのまま測長を行うモードである。“試料像登録の
上続行”は先に説明したように“視差検出に基づく補
正”を行わないで得られた試料像等を測長結果と共に登
録しておくモードである。“既定値補正に切替”は“視
差検出に基づく補正”ができない場合であって軸ずれの
状況がある程度判明している場合等に有効である。この
モードでは予め登録された補正量に基づいて軸ずれが行
われる。また測長を行わないで次の測頂点にスキップす
るようにしても良い。これまで説明してきた環境設定画
面は当然スティグマアライメント用に適用することも可
能である。
【0047】なお、本実施例で説明した自動軸調が適正
に行われているか否かを判定するために、“視差検出に
基づく補正”を行うのに供される少なくとも4枚の試料
像を像表示画面にリアルタイムで表示するようにしても
良い。また上記説明では対物レンズと非点補正器に対す
る軸調を行うことについて説明したが、これに限られる
ことはなくアライメント偏向器を用いて光軸調整を行う
必要のある荷電粒子線の光学素子全般に適用可能であ
る。更に本発明は電子顕微鏡だけではなく、収束イオン
ビームや軸対称レンズシステムを用いて荷電粒子線を収
束させる全ての荷電粒子線装置に適用が可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、荷電粒子線装置の光学
条件に因らず精度の高い軸調整を行うことが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である走査電子顕微鏡の概略構成
図。
【図2】対物レンズに対する軸ずれを補正するための概
略処理フロー。
【図3】対物レンズに対する軸ずれを補正する原理図。
【図4】非点補正器に対する軸ずれを補正するための概
略処理フロー。
【図5】軸ずれを検出したときのメッセージの一例。
【図6】画質判定処理を加えた軸ずれ検出処理の一例。
【図7】自動軸ずれ補正の環境を設定するための設定画
面を示す図。
【図8】補正量グラフの表示例を示す図。
【符号の説明】
1…陰極、2…第一陽極、3…第二陽極、4…一次電子
線、5…第一収束レンズ、6…第二収束レンズ、7…対
物レンズ、8…絞り板、9…走査コイル、10…試料、
11…二次信号分離用直交電磁界(EXB)発生器、1
2…二次信号、13…二次信号用検出器、14a…信号
増幅器、20…高圧制御電源、21…第一収束レンズ制
御電源、22…第二収束レンズ制御電源、23…対物レ
ンズ制御電源、24…走査コイル制御電源、25…画像
メモリ、26…像表示装置、31…対物レンズ用アライ
ナー制御電源、32…非点補正器用制御電源、33…非
点補正器用アライナー制御電源、40…制御CPU、5
1…対物レンズ用アライナー、52…非点補正器、53
…非点補正器用アライナー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/22 502 H01J 37/22 502H H01L 21/027 H01L 21/30 541H (72)発明者 江角 真 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器グループ内 (72)発明者 ▲高▼根 淳 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器グループ内 (72)発明者 吉田 昌司 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5C030 AA07 AA08 AB01 AB02 AB03 5C033 JJ01 JJ02 5F056 BA09 BB10 CB28 CB29

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子源から放出された荷電粒子線を集
    束するレンズと、当該レンズによって集束した前記荷電
    粒子線の試料への照射によって、当該試料から放出され
    る二次荷電粒子を検出して試料像を形成する荷電粒子線
    装置であって、前記レンズに対する軸調整をアライメン
    ト偏向器で行う荷電粒子線調整方法において、前記アラ
    イメント偏向器の偏向条件を第1の状態にしたときに、
    前記対物レンズの集束条件を2つの状態に変化させ、そ
    のときに得られる第1の試料像と第2の試料像間の第1
    のずれを検出し、前記アライメント偏向器の偏向条件を
    第2の状態にしたときに、前記対物レンズの集束条件を
    少なくとも2つの状態に変化させ、そのときに得られる
    第3の試料像と第4の試料像間の第2のずれを検出し、
    上記第1のずれと第2のずれの情報を、アライメント条
    件の変化に対する試料像のずれを導く方程式に当てはめ
    て、前記荷電粒子線光学系の動作条件によって変動する
    未知数を算出し、当該算出された未知数と対物レンズの
    集束条件を2つの条件に変化させたときの像ずれが小さ
    くなる条件からアライメント条件を得ることを特徴とす
    る荷電粒子線調整方法。
  2. 【請求項2】荷電粒子源から放出された荷電粒子線の非
    点補正を行う非点補正器と、当該非点補正器によって補
    正された前記荷電粒子線の試料への照射によって、当該
    試料から放出される二次荷電粒子を検出して試料像を形
    成する荷電粒子線装置であって、前記非点補正器に対す
    る軸調整をアライメント偏向器で行う荷電粒子線調整方
    法において、前記アライメント偏向器の偏向条件を第1
    の状態にしたときに、前記非点補正器の補正条件を2つ
    の状態に変化させ、そのときに得られる第1の試料像と
    第2の試料像間の第1のずれを検出し、前記アライメン
    ト偏向器を第2の状態にしたときに、前記非点補正器の
    補正条件を少なくとも2つの状態に変化させ、そのとき
    に得られる第3の試料像と第4の試料像間の第2のずれ
    を検出し、上記第1のずれと第2のずれの情報を、アラ
    イメント条件の変化に対する試料像のずれを導く方程式
    に当てはめて、前記荷電粒子線の光学条件によって変動
    する未知数を算出し、当該算出された未知数と前記非点
    補正器の補正条件を2つに変化させたときの像ずれが小
    さくなる条件からアライメント条件を得ることを特徴と
    する荷電粒子線調整方法。
  3. 【請求項3】荷電粒子源から放出された荷電粒子線を変
    化させる光学素子と、当該光学素子によって変化した前
    記荷電粒子線の試料への照射によって、当該試料から放
    出される二次荷電粒子を検出して試料像を形成する荷電
    粒子線装置であって、前記荷電粒子線の光学条件の調整
    を行う荷電粒子線調整方法において、 前記光学条件を第1の状態にしたときに第1の試料像を
    検出し、その後前記光学条件を変化させ、再度前記光学
    条件を前記第1の状態にしたときの第2の試料像を検出
    し、前記第1の試料像と第2の試料像のずれを検出し、
    当該検出されたずれに基づいて前記試料像の補正条件を
    算出することを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  4. 【請求項4】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出さ
    れた荷電粒子線を集束するレンズと、当該集束レンズに
    対して前記荷電粒子線の軸調整を行うアライメント偏向
    器と、前記荷電粒子線の照射によって試料から放出され
    る二次荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力
    に基づいて試料像を形成する荷電粒子線装置において、 前記アライメント偏向器の偏向条件を第1の状態とした
    ときに前記レンズの集束条件を2つの状態に変化させて
    得られる第1の試料像と第2の試料像と、前記アライメ
    ント偏向器の偏向条件を第2の状態としたときに前記レ
    ンズの集束条件を2つの状態に変化させて得られる第3
    の試料像と第4の試料像を記憶するメモリと、前記第1
    の試料像と第2の試料像間の第1のずれと前記第3と第
    4の試料像間の第2のずれに基づいて、前記アライメン
    ト偏向器のアライナー条件を演算する制御装置を備えた
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記制御装置は、前記集束レンズの条件を2つの状態に
    変化させて得られる試料像のずれが小さくなる条件に基
    づいて前記アライナー条件を演算することを特徴とする
    荷電粒子線装置。
  6. 【請求項6】請求項4において、 前記制御装置は、前記レンズを或る集束条件にした状態
    で、前記アライメント偏向器を第1の状態から第2の状
    態とすることで、前記第1と第3の試料像を得た後、前
    記レンズを他の集束条件にした状態で、前記第2と第4
    の試料像を得るように前記レンズとアライメント偏向器
    を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 【請求項7】請求項4において、 前記制御装置は、前記少なくとも4つの試料像を取得し
    た後、再度前記第1の試料像を取得したときの光学条件
    に戻し、両者のずれに基づいてドリフト量を算出するこ
    とを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 【請求項8】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出さ
    れた荷電粒子線の非点補正を行う非点補正器と、当該非
    点補正器に対して前記荷電粒子線の軸調整を行うアライ
    メント偏向器と、前記荷電粒子線の照射によって試料か
    ら放出される二次荷電粒子を検出する検出器と、当該検
    出器の出力に基づいて試料像を形成する荷電粒子線装置
    において、 前記アライメント偏向器の偏向条件を第1の状態とした
    ときに前記非点補正器の補正条件を2つの状態に変化さ
    せて得られる第1の試料像と第2の試料像と、前記アラ
    イメント偏向器の偏向条件を第2の状態としたときに前
    記非点補正器の補正条件を2つの状態に変化させて得ら
    れる第3の試料像と第4の試料像を記憶するメモリと、
    前記第1の試料像と第2の試料像間の第1のずれと前記
    第3と第4の試料像間の第2のずれに基づいて、前記ア
    ライメント偏向器のアライナー条件を演算する制御装置
    を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 【請求項9】請求項8において、 前記制御装置は、前記非点補正器の条件を2つの状態に
    変化させて得られる試料像のずれが小さくなる条件に基
    づいて、前記アライナー条件を演算することを特徴とす
    る荷電粒子線装置。
  10. 【請求項10】請求項8において、 前記制御装置は、前記少なくとも4つの試料像を取得し
    た後、再度前記第1の試料像を取得したときの光学条件
    に戻し、両者のずれに基づいてドリフト量を算出するこ
    とを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 【請求項11】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出
    された荷電粒子線を集束するレンズと、前記荷電粒子線
    の軸調整を行うアライメント偏向器と、前記荷電粒子線
    の照射によって試料から放出される二次荷電粒子を検出
    する検出器と、当該検出器の出力に基づいて試料像を形
    成する荷電粒子線装置において、 前記試料像から得られる情報に基づいて前記アライメン
    ト偏向器によるアライメント条件を演算する手段と、前
    記試料像から得られる情報がアライメント条件を演算す
    るのに適しているか否かを判定する手段と、当該手段で
    アライメント条件の演算に適さないと判定された場合に
    警報を発生する手段を備えたことを特徴とする荷電粒子
    線装置。
  12. 【請求項12】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出
    された荷電粒子線を集束するレンズと、前記荷電粒子線
    の軸調整を行うアライメント偏向器と、前記荷電粒子線
    の照射によって試料から放出される二次荷電粒子を検出
    する検出器と、当該検出器の出力に基づいて試料像を形
    成する荷電粒子線装置において、 前記試料像から得られる情報に基づいて前記アライメン
    ト偏向器によるアライメント条件を演算する手段と、前
    記試料像の画像を定量化する手段と、当該手段によって
    定量化された定量値が所定値以下、或いは所定値未満の
    場合に警報を発生する手段を備えたことを特徴とする荷
    電粒子線装置。
  13. 【請求項13】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出
    された荷電粒子線を集束するレンズと、前記荷電粒子線
    の軸調整を行うアライメント偏向器と、前記荷電粒子線
    の照射によって試料から放出される二次荷電粒子を検出
    する検出器と、当該検出器の出力に基づいて試料像を形
    成する荷電粒子線装置において、 前記荷電粒子を試料上で一次元、或いは二次元的に走査
    することで得られるラインプロファイルに基づいて前記
    試料上の対象物の幅を測長する手段と、 前記試料像から得られる情報に基づいて前記アライメン
    ト偏向器によるアライメント量を演算する手段と、前記
    試料像から得られる情報がアライメント量を演算するの
    に適しているか否かを判定する手段と、当該手段でアラ
    イメント量の演算に適さないと判定された場合に、前記
    試料像,前記ラインプロファイル、或いは前記荷電粒子
    線の光学条件の少なくとも1つを登録する手段を備えた
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 【請求項14】荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出
    された荷電粒子線を集束するレンズと、前記荷電粒子線
    の軸調整を行うアライメント偏向器と、前記荷電粒子線
    の照射によって試料から放出される二次荷電粒子を検出
    する検出器と、当該検出器の出力に基づいて試料像を形
    成する荷電粒子線装置において、 前記荷電粒子を試料上で一次元、或いは二次元的に走査
    することで得られるラインプロファイルに基づいて前記
    試料上の対象物の幅を測長する手段と、 前記試料像から得られる情報に基づいて前記アライメン
    ト偏向器によるアライメント量を演算する手段と、前記
    試料像の画像を定量化する手段と、当該手段によって定
    量化された定量値が所定値以下或いは所定値未満の場合
    に、前記試料像,前記ラインプロファイル、或いは前記
    荷電粒子線の光学条件の少なくとも1つを登録する手段
    を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 【請求項15】荷電粒子源から放出された荷電粒子線を
    変化させる光学素子と、当該光学素子によって変化した
    前記荷電粒子線の試料への照射によって、当該試料から
    放出される二次荷電粒子を検出して試料像を形成する荷
    電粒子線装置であって、前記光学素子に対する前記荷電
    粒子線の軸調整をアライメント偏向器で行う荷電粒子線
    調整方法において、前記アライメント偏向器の偏向条件
    を第1の状態にしたときに、前記光学素子を少なくとも
    2つの状態に変化させ、そのときに得られる第1の試料
    像と第2の試料像間の第1のずれを検出し、 前記アライメント偏向器の偏向条件を第2の状態にした
    ときに、前記光学素子を少なくとも2つの状態に変化さ
    せ、そのときに得られる第3の試料像と第4の試料像間
    の第2のずれを検出し、当該2つのずれの情報に基づい
    て、前記アライメント偏向器の動作条件を決定すること
    を特徴とする荷電粒子線調整方法。
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