JP2002350632A - 光学フィルター - Google Patents

光学フィルター

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JP2002350632A JP2001161707A JP2001161707A JP2002350632A JP 2002350632 A JP2002350632 A JP 2002350632A JP 2001161707 A JP2001161707 A JP 2001161707A JP 2001161707 A JP2001161707 A JP 2001161707A JP 2002350632 A JP2002350632 A JP 2002350632A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線の吸収効果の持続性が充分な画像表
示装置用の光学フィルターを提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)〜(III )で表される
化合物から選ばれるカチオンとクエンチャアニオンとか
らなる塩化合物を含有してなる光学フィルター。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルターに
関し、詳しくは、特定の化合物を含有し、画像表示装
置、特に、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の
フィルターとして好適な光学フィルターに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
多種の画像表示装置(ディスプレイ)、例えば、液晶表
示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL
D)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放
射型ディスプレイの開発とこれらを組み込んだ機器が実
用化されている。これらの各種画像表示装置の中でも、
ハイビジョン用大型壁掛けテレビ、マルチメディア用大
画面ディスプレイとしてカラープラズマディスプレイ
(PDP)が注目を浴びている。
【0003】これらの画像表示装置は、原則として、
赤、青、緑の三原色の可視光の組合せでカラー画像を表
示する。しかし、表示画像の高品質化のためには、表示
装置から発生する近赤外領域の光を遮断して可視光域の
透過率を高めることが必要である。このため、特開平1
0−186127号公報、特開平11−101911号
公報、特開平11−101912号公報、特開平11−
109126号公報、特開平11−323121号公
報、特開平11−323311号公報等で近赤外線吸収
剤を含有する光学フィルターが提案されている。
【0004】上記の光学フィルター用いられる近赤外線
吸収剤としては、ポリメチン系、金属錯体系、スクアリ
リウム系、シアニン系、インドアニリン系、ジイモニウ
ム系等の各種化合物が報告されている。しかし、これま
で使用されてきた化合物は、耐光性が悪く、自然光等の
光に曝されると近赤外線の吸収が持続しない問題点を有
しており、満足できるものは得られていない。
【0005】従って、本発明の目的は、近赤外線の吸収
効果の持続性が充分な画像表示装置用の光学フィルター
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、検討を重
ねた結果、特定の構造を有するシアニン系化合物カチオ
ンとクエンチャアニオンとからなる塩化合物を近赤外線
吸収剤として用いることにより上記課題を解決し得るこ
とを知見し、本発明に到達した。
【0007】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、下記一般式(I)〜(III )で表される化合
物から選ばれるカチオンとクエンチャアニオンとからな
る塩化合物を含有してなる光学フィルターを提供するも
のである。
【0008】
【化3】
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0010】本発明に係る上記一般式(I)〜(III )
で表されるカチオンにおいて、R1及びR1 ’で表され
るハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
が挙げられ、炭素数6〜30のアリール基としては、フ
ェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフ
ェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3
−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、
4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第
三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロ
ヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−
エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、
2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニ
ル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェ
ニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフ
ェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,5−ジ第
三ブチルフェニル、2,6−ジ−第三ブチルフェニル、
2,4−ジ第三ペンチルフェニル、2,5−ジ第三アミ
ルフェニル、2,5−ジ第三オクチルフェニル、2,4
−ジクミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェ
ニル、2,4,5−トリメチルフェニルが挙げられ、炭
素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチ
ル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘ
キシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−
シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三
ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチ
ル、2−エチルヘキシルが挙げられ、R1 及びR1 ’で
表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メチル
オキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、プロピル
オキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチル
オキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオ
キシ、2−エチルヘキシルオキシが挙げられる。R2
3 及びR4 で表されるハロゲン原子、炭素数6〜30
のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基としては、上
記R1 で例示のものが挙げられる。X及びX’で表され
る炭素数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイルとし
ては、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン
−1,1−ジイル、2,4−ジメチルシクロブタン−
1,1−ジイル、3−ジメチルシクロブタン−1,1−
ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキ
サン−1,1−ジイルが挙げられる。Y、Y’及びY1
で表される炭素数1〜30の有機基としては、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチ
ル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第
三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシル
メチル、2−シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘ
プチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、
第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニ
ル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペ
ンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシ
ル等のアルキル基、ビニル、1−メチルエテニル、2−
メチルエテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニ
ル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニ
ル、デセニル、ぺンタデセニル、1−フェニルプロペン
−3−イル等のアルケニル基、フェニル、ナフチル、2
−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフ
ェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニ
ル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、
4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4
−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4
−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェ
ニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェ
ニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフ
ェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチル
フェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三
ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル等のアルキル
アリール基、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロ
パン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチ
ル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基等、
これらがエーテル結合、チオエーテル結合で中断された
もの、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロ
ピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メト
キシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチ
ル、3−メトキシブチル、2−フェノキシエチル、3−
フェノキシプロピル、2−メチルチオエチル、2−フェ
ニルチオエチルが挙げられ、更にこれらの基は、アルコ
キシ基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン
原子等で置換されていてもよい。
【0011】上記のカチオンの中でも、R2 が、ハロゲ
ン原子であるものが光学フィルターの近赤外線吸収効果
が良好なので好ましく、また、X及びX’がプロパン−
2,2−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、炭素数3〜
6のシクロアルカン−1,1−ジイルから選ばれる基で
あるものが、光安定性が大きいので、化合物が好まし
い。
【0012】上記の好ましいカチオンとしては、以下に
示すカチオンNo.1〜50が挙げられる。
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】本発明に係るクエンチャアニオンとは、励
起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさ
せる)機能を有するアニオンを指す。該クエンチャアニ
オンは、例えば、特開昭60−234892号公報、特
開平5−43814号公報、特開平6−239028号
公報、特開平9−309886号公報、特開平10−4
5767号公報等に光学記録材料への応用が記載されて
いる。
【0019】上記クエンチャアニオンとしては、光学フ
ィルターに特に優れた耐光性を与えるのでベンゼンジチ
オール金属錯体化合物が好ましい。ベンゼンジチオール
金属錯体化合物のクエンチャアニオンとしては、例え
ば、下記一般式(A)で表されるアニオンが挙げられ
る。
【0020】
【化9】
【0021】上記の一般式(A)において、R5 及びR
5 ’で表されるハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル
基、炭素数6〜30アリール基としては、上記R1 で例
示のもの挙げられ、Zで表される炭素数1〜8のアルキ
ル基としては、上記R1 で例示のものが挙げられる。ハ
ロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のア
リール基としては、上記R1 で例示のもの又はこれらの
ベンゼン環が1〜4個のハロゲン原子で置換されたもの
が挙げられ、ジアルキルアミノ基又はジアリールアミノ
基に含有されるアルキル基、アリール基としては、上記
1 で例示のものが挙げられる。
【0022】上記クエンチャアニオンの具体的例として
は、Mがニッケル原子の場合は、以下に示すアニオンN
o.1〜11が挙げられ、Mが銅の場合には、アニオン
No.12〜22が挙げられる。
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】本発明に係る上記のカチオンとアニオンと
からなる塩化合物は、上記カチオンとアニオンとの塩で
あり、従来周知の方法に準じて製造することができる。
例えば該当する構造のカチオンと塩素アニオン、臭素ア
ニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲン
アニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシ
アン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アン
チモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系ア
ニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホ
ン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン
等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオ
ン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニ
オン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸
アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブ
チルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系ア
ニオンとの塩化合物と、該当する構造のアニオンとテト
ラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニ
ウムカチオン等のテトラアルキルアンモニウムカチオン
との塩化合物塩交換により容易に得ることができる。
【0026】本発明の光学フィルターにおいて、上記の
塩化合物の使用量は、光学フィルターの単位面積当た
り、1〜1000mg/m2 、好ましくは、5〜100
mg/m2 であり、1mg/m2 未満の使用量では、近
赤外線吸収効果を十分に発揮することができず、100
0mg/m2 を超えて使用した場合には、明度が低下す
る恐れもあるため好ましくない。
【0027】本発明の光学フィルターには、上記の塩化
合物の他に、補助的に他の光吸収性の色素を使用するこ
ともでき、これら他の光吸収性色素としては、例えば、
シアニン色素、スクアリリウム色素、アゾメチン色素、
オキソノール色素、アゾ色素、ベンジリデン色素、キサ
ンテン色素等が挙げられる。
【0028】本発明の光学フィルターには、光あるいは
熱に対する安定化を図る目的で各種安定化剤を使用する
ことができ、安定化剤としては、例えば、ハイドロキノ
ン誘導体(米国特許3935016号公報、米国特許3
982944号公報)、ハイドロキノンジエーテル誘導
体(米国特許4254216号公報)、フェノール誘導
体(特開昭54−21004号公報)、スピロインダン
又はメチレンジオキシベンゼンの誘導体(英国特許公開
2077455号公報、英国特許2062888号公
報)、クロマン、スピロクロマン又はクマランの誘導体
(米国特許3432300号公報、米国特許35730
50号公報、米国特許3574627号公報、米国特許
3764337号公報、特開昭52−152225号公
報、特開昭53−20327号公報、特開昭53−17
729号公報、特開昭61−90156号公報)、ハイ
ドロキノンモノエーテル又はパラアミノフェノールの誘
導体(英国特許1347556号、英国特許20669
75号公報、特公昭54−12337号公報、特開昭5
5−6321号公報)、ビスフェノール誘導体(米国特
許3700455号公報、特公昭48−31625号公
報)、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公
報)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号
公報)、酸化防止剤(欧州特許820057号公報)、
ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0029】本発明の光学フィルターは、少なくとも上
記の一般式(I)〜(III )で表されるカチオンと好ま
しくは一般式(A)で表されるアニオンとからなる塩化
合物を含む層を有する光学フィルターであり、その形状
に関しては特に制限されるものではないが、通常、透明
支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハー
ドコート層、潤滑層等の各層を設けてなるものであり、
上記の塩化合物を用いて光学フィルターを製造する方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、透明支持体
又は任意の各層に含有させる方法、透明支持体又は任意
の各層にコーティングする方法、各層間のバインダー
(接着剤)に混入させる方法あるいは別にフィルター層
を設ける方法等が挙げられる。
【0030】別にフィルター層を設ける場合には、本発
明に係る塩化合物をそのまま使用することもできるが、
通常は、バインダーを使用する。これらバインダーとし
ては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース
誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料あるいは、ポリ
メチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
ル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリアミド等の合成高分子材料が用
いられる。
【0031】上記透明支持体の材料としては、例えば、
ガラス等の無機材料;あるいは、例えば、ジアセチルセ
ルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピ
オニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロ
ピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース
エステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジ
フェノキシエタン−4,4' −ジカルボキシレート、ポ
リブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチ
レン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等
のアクリル系樹脂;ポリスルホン;ポリエーテルスルホ
ン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオ
キシエチレン等の高分子材料が挙げられる。透明支持体
の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以
上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下で
あることが好ましく、1%以下であることがさらに好ま
しい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ま
しい。
【0032】これらの透明支持体中には、色調調整剤、
紫外線吸収剤、無機微粒子を添加したり、各種の表面処
理を施すことができる。
【0033】上記無機微粒子としては、例えば、二酸化
珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
タルク、カオリン等の無機微粒子が挙げられる。
【0034】上記各種表面処理としては、例えば、薬品
処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線
照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ
処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙
げられる。
【0035】別にフィルター層を設ける場合には、透明
支持体とフィルター層との間に、下塗り層を設けること
が好ましい。下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜6
0℃のポリマーを含む層、フィルター層側の表面が粗面
である層又はフィルター層のポリマーと親和性を有する
ポリマーを含む層として形成する。なお、フィルター層
が設けられていない透明支持体の面に下塗り層を設け
て、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射
防止層、ハードコート層)との接着力を改善してもよ
い。また、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置
とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性
を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2
nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ま
しく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜
1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが
最も好ましい。
【0036】ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマ
ーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体
とフィルター層とを接着する。ガラス転移温度が−60
〜60℃のポリマーは、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロ
ロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合
又は共重合により得ることができる。ガラス転移温度
は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であ
ることがより好ましく、30℃以下であることがさらに
好ましく、25℃以下であることがさらにまた好まし
く、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の
25℃における弾性率は、1〜1000MPaであるこ
とが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好
ましく、10〜500MPaであることが最も好まし
い。表面が粗面である下塗り層は、粗面の上にフィルタ
ー層を形成することで、透明支持体とフィルター層とを
接着する。表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテ
ックスの塗布により容易に形成することができる。ラテ
ックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好
ましく、0.05〜1μmであることがさらに好まし
い。フィルター層のバインダーポリマーと親和性を有す
るポリマーの例には、アクリル樹脂、セルロース誘導
体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコ
ール、可溶性ナイロン及び高分子ラテックスが含まれ
る。二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、
透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、
帯電防止剤、塗布助剤や硬膜剤を添加してもよい。
【0037】反射防止層としては、低屈折率層が必須で
ある。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率
よりも低いことが必要である。低屈折率層の屈折率は、
1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜
1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚
さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜
200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層
は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭
57−34526号、特開平3−130103号、同6
−115023号、同8−313702号、同7−16
8004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる
層(特開平5−208811号、同6−299091
号、同7−168003号の各公報記載)、あるいは微
粒子含む層(特公昭60−59250号、特開平5−1
3021号、同6−56478号、同7−92306
号、同9−288201号の各公報に記載)として形成
することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は
微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形
成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積
%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の
空隙率を有することがさらに好ましい。
【0038】広い波長領域の反射を防止するためには、
低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率
層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率
は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.7
0〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層
の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率
との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折
率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.
55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈
折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ま
しく、10nm〜10μmであることがさらに好まし
く、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・
高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好まし
く、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下で
あることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高
い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成する
ことができる。屈折率が高いポリマーの例には、ポリス
チレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミ
ン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び環状(脂環
式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で
得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香
族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素
以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、
屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能
にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成しても
よい。
【0039】さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバ
インダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子
の屈折率は、1.80〜2.80であることが好まし
い。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成す
ることが好ましい。金属の酸化物又は硫化物の例には、
二酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの
混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化
インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム及び硫化亜鉛
が含まれる。酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが
特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又
は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことがで
きる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有
量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素の例に
は、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、P
b、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、S
i、P及びSが含まれる。被膜形成性で溶剤に分散し得
るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元
素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合し
た配位化合物(例えば、キレート化合物)、活性無機ポ
リマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもでき
る。
【0040】反射防止層は、表面をアンチグレア機能
(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に
移るのを防止する機能)を付与することができる。例え
ば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そして
その表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止
層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成す
ることにより、アンチグレア機能を得ることができる。
アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜3
0%のヘイズを有する。
【0041】ハードコート層は、透明支持体の硬度より
も高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋している
ポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、ア
クリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴ
マー又はモノマー(例えば、紫外線硬化型樹脂)を用い
て形成することができる。シリカ系材料からハードコー
ト層を形成することもできる。
【0042】反射防止層(低屈折率層)の表面に潤滑層
を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性
を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、
ポリオルガノシロキサン(例えば、シリコンオイル)、
天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ
素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができ
る。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好まし
い。
【0043】フィルター層、下塗り層、反射防止層、ハ
ードコート層、潤滑層、その他の層は、一般的な塗布方
法により形成することができる。塗布方法の例には、デ
ィップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコー
ト法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラ
ビアコート法及びホッパーを使用するエクストルージョ
ンコート法(米国特許2681294号明細書記載)が
含まれる。二以上の層を同時塗布により形成してもよ
い。同時塗布法については、米国特許2761791
号、同2941898号、同3508947号、同35
26528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング
工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載され
ている。
【0044】本発明の光学フィルターは、液晶表示装置
(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰
極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用さ
れる。低屈折率層を設ける場合は、低屈折率層が設けら
れていない側の面が画像表示装置の画像表示面と対向す
るように配置する。本発明の光学フィルターは、プラズ
マディスプレイパネル(PDP)のフィルターとして使
用すると、特に顕著な効果が得られる。プラズマディス
プレイパネル(PDP)は、ガス、ガラス基板、電極、
電極リード材料、厚膜印刷材料及び蛍光体により構成さ
れる。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板
の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形
成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成す
る。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封
入する。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既
に市販されている。プラズマディスプレイパネルについ
ては、特開平5−205643号、同9−306366
号の各公報に記載がある。プラズマディスプレイパネル
のような画像表示装置では、光学フィルターをディスプ
レイの前面に配置する。光学フィルターをディスプレイ
の表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプ
レイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表
側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルタ
ーを貼り付けることもできる。
【0045】
【実施例】以下、製造例、評価例及び実施例をもって本
発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以
下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0046】[製造例] (近赤外線吸収剤の合成)カチオンのヨウ素塩とアニオ
ンのテトラブチルアンモニウム塩を1,2−ジクロロエ
タン溶媒中で2〜5時間加熱撹拌した。系内を水洗した
後、メタノールを加えて晶析させた結晶を濾取し、メタ
ノール洗浄を行い、乾燥させて以下の評価例及び実施例
に使用する近赤外線吸収剤を合成した。
【0047】[評価例] (近赤外線吸収剤の耐光性試験)表1〜2に記載の近赤
外線吸収剤化合物の3質量%メタノール溶液をねじ口サ
ンプルに入れ、密栓をし、キセノンランプにより550
00ルクスの光を3時間照射した。照射前後の溶液の色
の変化を表に記す。色が消失したことは、近赤外線吸収
効果を消失したことを表す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】[実施例1]下記の配合1にてUVワニス
を作成し、これを易密着処理した188ミクロン厚のポ
リエチレンテレフタレートフィルムにバーコーター#9
を塗布し、80℃、30秒乾燥した。その後、赤外線カ
ットフィルムフィルター付き高圧水銀灯にて紫外線を1
00mJ照射し、硬化膜厚約5ミクロンのフィルムを得
た。
【0051】得られたフィルムについて 日立製作所ス
ペクトロフォトメーターU−3010でλmax を測定し
た結果、λmax は、823nmであり、近赤外線吸収光
学フィルターに適することが確認できた。
【0052】 (配合1) アデカオプトマーKRX−571−65 100g (旭電化工業(株)製UV硬化樹脂、樹脂分80重量%) 近赤外線吸収剤 2.0g (カチオンNo.13−アニオンNo.22) メチルエチルケトン 60g
【0053】[実施例2]下記の配合2をプラストミル
で260℃、5分間溶融混練した。混練後、直径6mm
のノズルから押出し水冷却ペレタイザーで色素含有ペレ
ットを得た。このペレットを電気プレスを用いて250
℃で0.25mm厚の薄板に成形した。
【0054】これをU−3010でλmax を測定した結
果、λmax は、858nmであり、近赤外線吸収光学フ
ィルターに適することが確認できた。
【0055】 (配合2) ユーピロンS−3000 100g (三菱瓦斯化学(株)製;ポリカーボネート樹脂) 近赤外線吸収剤 0.5g (カチオンNo.11−アニオンNo.11)
【0056】[実施例3]下記の配合3〜4にてバイン
ダー組成物を作成し、これを易密着処理した188ミク
ロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィル
ムにバーコーター#9を塗布し、80℃、30秒乾燥し
た。その後、このフィルムを0.9mm厚アルカリガラ
ス板に100℃で熱圧着し、ガラス板とPETフィルム
の間のバインダー層に光吸収性色素を含有するPET保
護ガラス板を作成した。
【0057】これをU−3010でλmax を測定した結
果、λmax は、近赤外線吸収剤がカチオンNo.27−
アニオンNo.22であるものは812nmであり、近
赤外線吸収剤がカチオンNo.33−アニオンNo.2
2であるものは847nmであり、いずれも近赤外線吸
収光学フィルターに適することが確認できた。
【0058】 (配合3) アデカアークルズR−103 100g (旭電化工業(株)製アクリル樹脂系バインダー、樹脂分50重量%) 近赤外線吸収剤 0.05g (カチオンNo.27−アニオンNo.22)
【0059】 (配合4) アデカアークルズR−103 100g (旭電化工業(株)製アクリル樹脂系バインダー、樹脂分50重量%) 近赤外線吸収剤 0.05g (カチオンNo.33−アニオンNo.22)
【0060】
【発明の効果】本発明は、近赤外線の吸収効果の持続性
が充分な画像表示装置用の光学フィルターを提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA09 CA12 CA19 CA26 CA27 CA29 2K009 AA04 AA05 AA15 BB02 BB13 BB14 BB24 BB28 CC03 CC09 CC23 CC26 CC34 DD02 DD08 DD11 5G435 AA00 BB06 GG11 KK07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)〜(III )で表される
    化合物から選ばれるカチオンとクエンチャアニオンとか
    らなる塩化合物を含有してなる光学フィルター。 【化1】
  2. 【請求項2】 上記クエンチャアニオンが下記一般式
    (A)で表されるアニオンである請求項1に記載の光学
    フィルター。 【化2】
  3. 【請求項3】 上記一般式(I)〜(III )において、
    2 が、ハロゲン原子である請求項1又は2に記載の光
    学フィルター。
  4. 【請求項4】 上記一般式(I)〜(III )において、
    X及びX’が、プロパン−2,2−ジイル、ブタン−
    2,2−ジイル、炭素数3〜6のシクロアルカン−1,
    1−ジイルから選ばれる基である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 画像表示装置用のフィルターとして使用
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    光学フィルター。
  6. 【請求項6】 上記画像表示装置用がプラズマディスプ
    レイパネルである請求項5に記載の光学フィルター。
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