JP2002349588A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002349588A
JP2002349588A JP2001159082A JP2001159082A JP2002349588A JP 2002349588 A JP2002349588 A JP 2002349588A JP 2001159082 A JP2001159082 A JP 2001159082A JP 2001159082 A JP2001159082 A JP 2001159082A JP 2002349588 A JP2002349588 A JP 2002349588A
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Hirotoshi Miyajima
裕俊 宮島
Masaru Konno
大 金野
Saburo Azumi
三郎 安積
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転に充分に対応でき、工作機械のコン
パクト化や運転経費の削減を可能にする転がり軸受を提
供する。 【解決手段】 内輪12と外輪11との間に、複数のセ
ラミック転動体13を保持器14により転動自在に保持
してなり、かつモノスルフィド化合物、ジスルフィド化
合物、スルホキシド化合物及びチオールスルフィネート
化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するグリース
組成物を封入した転がり軸受10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転がり軸受に関し、
より詳細には、例えば旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フラ
イス盤、研削盤、ホーニング盤、超仕上盤、ラップ盤等
で代表される、高速で摺動、回転する工作機械の主軸支
持部等に好適に組み込まれる転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】上記に挙げたような工作機械のスピンド
ルには、主軸支持用に通常転がり軸受が組み込まれてお
り、一般にアンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受等が組み合
わされて使用されている。工作機械の加工精度や生産性
は主軸の回転速度に依存するところが大きく、生産性を
高めるためには主軸の回転速度の高速化を図らなければ
ならない。しかし、転がり軸受を高速回転下で使用する
と、軸受の発熱が顕著化したり、遠心力により転動体と
内外輪との間の接触面圧が増大するため、スピンドルの
使用条件は著しく悪化し、結果として、摩耗や焼付き等
に代表される軸受損傷の危険性が高まる。また、高速回
転により発熱も大きくなることから、工作機械の熱変形
が起こる危険性もあり、加工精度への影響もある。
【0003】このような軸受システムに致命的な事態を
発生させないため、また工作機械全体の熱変形による加
工精度の低下を避けるためにも、高速回転下においては
適切な潤滑方式を選択して主軸支持用転がり軸受におけ
る発熱を極力抑えなければならない。従来では、高速回
転する工作機械の主軸支持用転がり軸受の潤滑には、潤
滑油供給に伴う冷却効果が得られることから、オイルエ
ア潤滑法、ノズルジェット潤滑法、アンダーレース潤滑
法が採用されている。しかし、これらの潤滑方式では、
潤滑油供給装置の導入が不可欠であるため、必然的にそ
のための設置面積が確保されなければならず、工作機械
全体のコンパクト化を妨げてしまう。また、これらの潤
滑方式では、潤滑油を継続的に消費し、しかも潤滑油供
給装置の運転経費も必要であるため、工作機械全体とし
ての運転経費が大きくなる。運転経費の削減のために種
々の対策が講じられているが、ほぼ限界に達している状
況にある。
【0004】軸受の潤滑方式としてグリースを封入する
方式も一般的であるが、グリースの剪断に起因する軸受
発熱が大きく、上記オイルエア潤滑法等に比べて軸受耐
久性に対する信頼性も低いことから、高速回転を伴う工
作機械の主軸支持用転がり軸受には本質的に不向きの潤
滑方式である。しかしながら、グリース潤滑が実現でき
れば、潤滑油を継続供給する上記各潤滑方式では対応で
きない工作機械のコンパクト化や運転経費の削減等のメ
リットを享受することができる。また、グリース潤滑
は、オイルエア潤滑方式等と異なり、多量に潤滑油を消
費しないため、環境保全に寄与するという利点も有す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、高速回転に充分に対応
でき、工作機械のコンパクト化や運転経費の削減を可能
にする転がり軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的
は、内輪と外輪との間に、複数のセラミック転動体を保
持器により転動自在に保持してなり、かつモノスルフィ
ド化合物、ジスルフィド化合物、スルホキシド化合物及
びチオールスルフィネート化合物から選ばれる少なくと
も1種を含有するグリース組成物を封入したことを特徴
とする転がり軸受により達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。
【0008】本発明の転がり軸受は、セラミック転動体
を備えること以外、構造的には特に制限されるものでは
なく、例えば図1に示されるアンギュラ玉軸受10を例
示することができる。図示されるアンギュラ玉軸受10
は、外輪11と内輪12との間に、複数のセラミックボ
ール13を保持器14により転動自在に保持して構成さ
れる。また、セラミックボール13も特に制限されもの
ではなく、窒化珪素球や炭化珪素球等の従来より公知の
ものを使用できるが、特に窒化珪素球が好適である。
【0009】本発明においては、外輪11の転送面、内
輪12の転送面及びセラミックボール13の表面の少な
くとも1つが、無定形炭素を含む被膜で被覆されている
ことが好ましい。この無定形炭素を含む被膜は、少なく
ともその一部において、炭素原子がダイヤモンド結晶の
ように配置された被膜であり、一般にダイヤモンド状炭
素膜、またはi−カーボン膜と呼ばれる炭素膜(以下
「DLC膜」という)である。
【0010】DLC膜は、一般にイオンプレーティング
法、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法等の薄膜形
成技術を用いて形成されており、本発明においてもこれ
らの方法を適宜採択することができる。DLC膜の膜厚
は特に制限されるものではないが、膜の残存寿命等を考
慮すると0.3〜5.0μmが適当である。
【0011】尚、外輪11及び内輪12がSUJ2、S
US440C、M50等の軸受用鋼製である場合には、
DLC膜との密着性を高めるために、中間層を設けるこ
とが好ましい。中間層としては、例えば、Si膜、炭化
珪素や窒化珪素等のセラミック膜が適当である。また、
これら中間層は、DLC膜の成膜と同様の薄膜形成技術
により形成することができる。
【0012】上記の如く構成される転がり軸受には、下
記に示すグリース組成物が封入される。
【0013】封入グリース組成物において、基油および
増ちょう剤は特に制限されるものではない。基油として
は、例えば鉱油系や合成油系の各潤滑油等が挙げられ
る。鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れ
き、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白
土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したも
のを用いることができる。前記合成油系潤滑基油として
は、炭化水素系油、芳香族基油、エステル系油、エーテ
ル系油等が挙げられる。前記炭化水素系油としては、ノ
ルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリ
イソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエ
チレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィン等が挙げ
られる。前記芳香族系油としては、モノアルキルナフタ
レン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン
等のアルキルナフタレン油等が挙げられる。前記エステ
ル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチル
ヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデ
シルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシ
ルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステ
ル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメ
リテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エ
ステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリ
メチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリト
ール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトー
ルベラルゴネート等のポリオールエステル油、炭酸エス
テル油等が挙げられる。前記エーテル系油としては、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレング
リコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモ
ノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニル
エーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェ
ニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキル
テトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエ
ーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。これら
の基油は、単独または混合物として用いることができ
る。
【0014】また、増ちょう剤としては、Li,Na,
Ba,Ca,Al等から選択される複合金属石けん等の
金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、
ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん
類を適宜選択して使用できるが、グリースの耐熱性を考
慮するとウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレ
タン化合物または、これらの混合物が好ましい。耐熱性
能や音響特性を考慮すると、ジウレア化合物が特に好ま
しい。また、高速回転用途としては、バリウム複合石け
んが特に望ましく、グリースを形成するのに必要な増ち
ょう剤の量が他の種類のものに比べ比較的多い(グリー
ス全量の約30重量%)ため基油の保持性能が良く、高
速回転下においても適度の離油特性を持つ。そのため、
回転中に離油した油で軸受外輪部に付着したグリースを
洗い流がしてしまうこともなく、軸受内部に多くのグリ
ースを留めておくことができる。また、増ちょう剤の量
は、上記基油との間でグリースを形成し得る量であれば
特に制限はなく、グリース組成物全量の10〜30重量
%が一般的である。
【0015】本発明においては、上記グリースに、モノ
スルフィド化合物、ジスルフィド化合物、スルホキシド
化合物及びチオールスルフィネート化合物からなるイオ
ウ系極圧添加剤の少なくとも1種を必須成分として配合
する。このイオウ系極圧添加剤の作用は、転動体と軌道
面との接触摩擦面下で軸受鋼よりも柔らかい硫化鉄を生
成し、接触面圧を低減するものと考えられる。このと
き、硫化鉄は、接触摩擦面にて、イオウ系極圧添加剤中
の硫黄と軸受鋼中の鉄とが反応して鉄メルカプチドが生
成し、更にそのC−S結合が解離することにより生成す
る。従って、イオウ系極圧剤による接触面圧の低減作用
(以下「耐荷重性」という)は、C−S結合が切れやす
いほど高くなる。
【0016】C−S結合の切れやすさは、各化合物に導
入される官能基によって異なる。例えば、下記(I)〜
(III)に示す官能基では、(I)<(II)<(III)の
順で耐荷重性が大きくなる。これは、採り得る共鳴構造
数が多くなるほど、C−S結合が切れやすくなるためで
ある。本発明においては、アリル基、ベンジル基、シン
ナミル基等の多くの共鳴構造を採り得る官能基がイオウ
原子に結合した分子構造を持つイオウ系曲圧添加剤が、
C−S結合の結合エネルギーが小さく、耐荷重性に優れ
ることから好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】また、分子構造中に酸素原子が存在する場
合もC−S結合が切れやすくなり、スルホキシド化合物
及びチオールスルフィネート化合物はより優れた耐荷重
性を示す。更に、分子構造中のC−S結合の数が少ない
方がより優れた耐荷重性を示す。ジスルフィド化合物と
モノスルフィド化合物とでは、ジスルフィド化合物の方
が耐荷重性が高い。これは以下に示すように、硫化鉄皮
膜の生成過程から理解される。モノスルフィド化合物で
は金属面に−S−が吸着した後、鉄メルカプチドの生成
に際してC−S結合を一つ解離、更に鉄メルカプチドが
分解して硫化鉄を生じるのに残余のC−S結合を更に一
つ、と正味2つのC−S結合を切断しなければならな
い。それに対してジスルフィッド化合物では、先ず、−
S−S−結合が金属面に吸着した後、比較的弱い結合で
あるS−S結合が切れて鉄メルカプチドを生成、その後
C−S結合を一つだけ解離して硫化鉄を生じる。従っ
て、ジスルフィド化合物はモノスルフィド化合物よりも
反応性が高く、少ないエネルギーで硫化鉄反応膜を生成
できる。
【0019】また、イオウ系極圧剤添加剤は、その炭素
鎖長が短いものほどより優れた耐荷重性を示す。これ
は、炭素数が少なくなるほど、接触摩擦面におけるイオ
ウの表面濃度が相対的に大きくなるためと考えられる。
【0020】イオウ系極圧添加剤は、グリース組成物全
量に対して、イオウ換算で0.001重量%以上5重量
%以下の割合で含有される。イオウ量が0.001重量
%未満では、硫化鉄の生成量が少なすぎて軸受の耐久性
向上に寄与しない。一方、イオウ量が5重量%を超える
場合は、増量に見合う効果が得られないばかりでなく、
相対的に基油量が少なくなるため、結果として軸受の潤
滑特性を低下させる。イオウ量は、特に、グリース組成
物全量に対して0.003重量%以上1重量%以下が好
ましい。
【0021】また、グリース組成物には、必要に応じて
酸化防止剤、防錆剤、油性剤、更には上記したイオウ系
極圧添加剤以外の極圧剤等を添加してもよい。これらは
何れも公知のもので構わない。例えば、酸化防止剤とし
て、フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系化合
物、ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のフェノール
類、フェノチアジン等のチオアミン類、ジアルキルジチ
オリン酸塩類、ジアルキルジチオカルバミン酸塩類等を
例示できる。これらの添加剤の含有量は、個別にはグリ
ース組成物全量の0.05重量%以上、合計量でグリー
ス組成物全量の0.15〜10重量%の範囲となること
が好ましい。特に、合計量で10重量%を越える場合
は、含有量の増加に見合う効果が期待できないばかり
か、相対的に基油やイオウ系極圧添加剤の含有量が少な
くなり、またグリース組成物中でこれら添加剤が凝集
し、トルク上昇等の好ましくない現象を招くこともあ
る。
【0022】本発明の転がり軸受では、封入グリース組
成物が特定のイオウ系極圧添加剤を含有し、それに由来
する硫化鉄が摩擦接触面において面圧を下げることによ
り、高速回転下における軸受の焼き付きを防ぐ作用を有
する。また、転動体がセラミック製で、更に内輪の転送
面、外輪の転送面の少なくとも一方にDLC膜を形成す
ることにより、転動体と転送面との接触部分での摩擦係
数が極めて小さくなるため、発熱を低く抑えグリース寿
命を延ばし、摺動部分における磨耗を抑えて軸受の損傷
を回避することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に説明する。但し、本発明は実施例により何ら制限され
るものではない。
【0024】(実施例1〜2、比較例1)工作機械用ア
ンギュラ玉軸受(内径65mm、外径100mm、幅1
8mm、窒化珪素球)に、グリースを2.3g(軸受空
間容積の15%占有)封入して試験軸受を作製した。
尚、比較例1では、40℃における動粘度が20mm2
/sのエステル油に、バリウム複合石けんを30重量%
の割合で配合したグリースを封入して試験軸受とした。
実施例1では、比較例1で用いたグリースに、更にジエ
チルジスルフィドをイオウ含有量が0.01重量%とな
るように添加したグリースを封入したものを試験軸受と
した。実施例2では、比較例1で用いたグリースに、更
にジベンジルジスルフィドをイオウ含有量が0.01重
量%となるように添加したグリースを封入したものを試
験軸受とした。
【0025】(実施例3)工作機械用アンギュラ玉軸受
(内径65mm、外径100mm、幅18mm、窒化珪
素球)の内輪転送面及び外輪転動面に、厚さ約0.5μ
mのDLC膜をイオンビーム蒸着法により形成し、実施
例1と同一のグリースを封入して試験軸受とした。
【0026】上記各試験軸受について、図2に示す試験
装置を用い、軸受の回転数と軸受外輪温度との関係を調
べた。図示される試験装置は、背面組み合わせに配設し
た2つの試験軸受20で主軸6を支承し、主軸6が図示
しないモータ及び変速機を介して回転駆動されるスピン
ドル構造となっている。また、試験装置本体24の軸方
向の略中央部であって両試験軸受20の中間位置には、
半径方向の潤滑剤供給のための貫通孔が設けられてお
り、これにオイルエアノズル21が挿入されている、こ
のオイルエアノズル21は、グリースニップルと置き換
え可能な構造となっている。また、試験装置本体24に
は、軸受20の設定空間内の空気を排気するための排気
路23が設けられている。更に、試験装置本体24に
は、熱電対25が、その検知部を試験軸受20の外輪2
0aと当接させて設置されている。
【0027】試験は、雰囲気温度20℃とし、所定の回
転速度で試験軸受20を充分に回転させ、外輪20aの
温度が変動しない安定した状態に至ってから外輪温度を
測定した。また、試験軸受20の予圧(アキシャル隙
間)は間座等で一定値(98N)に調整し、予圧の差に
よる影響が出ないようにした。回転速度を変えて同様の
操作を行い、その結果を図3に示す。尚、図3には、比
較例1に対する相対値で示してある。
【0028】図示されるように、比較例1に比べて、各
実施例は何れも温度上昇が低く抑えられているのがわか
る。実施例同士の比較では、実施例1よりも実施例2の
方が温度上昇が小さいが、これは実施例1のジエチルジ
スルフィドに比べて実施例2のジベンジルジスルフィド
の方がより多くの共鳴構造を採ることが原因である。ま
た、実施例3が最も優れた発熱抑制効果を示している
が、これはDLC膜による効果であり、特にdmn16
0万を超える高速回転領域で顕著に現れている。イオウ
系極圧添加剤による発熱抑制効果が比較的現れ難いdm
n100万以下の回転領域でも、このDLC膜による効
果が現れており、このことからイオウ系極圧添加剤とD
LC膜とを組み合わせることで、それらの相乗効果によ
り、幅広い回転条件で低発熱のスピンドルを実現できる
ことがわかる。
【0029】また、比較例1、実施例1〜3の試験軸受
について、図2に示す試験装置を用いて、雰囲気温度2
0℃、予圧98N、dmn160万の条件にて、軸受が
焼き付きに至るまでの時間を測定した。図4に比較例1
に対する相対値で結果を示すが、比較例1に比べて各実
施例は何れも耐久寿命性に優れており、実施例3が最も
長寿命である。
【0030】(イオウ含有率の検証)40℃における動
粘度が20mm2/sのエステル油に、バリウム複合石
鹸を配合し、更にジエチルジスルフィドの添加量を変え
て添加して試験グリースを調製した。そして、試験グリ
ースを、工作機械用アンギュラ玉軸受(内径65mm、
外径100mm、幅18mm、窒化珪素球)に2.3g
(軸受空間容積の15%占有)封入して試験軸受を作製
した。また、同一の工作機械用アンギュラ玉軸受に、ジ
エチルジスルフィドを添加しないグリースを同量封入し
て比較用軸受を作製した。そして、図2に示した試験装
置を用い、雰囲気温度20℃、予圧98N、dmn16
0万の条件にて、軸受が焼き付きに至るまでの時間(軸
受耐久寿命)と軸受外輪の温度を測定した。図5に、ジ
エチルジスルフィドのイオウ換算による含有率と、軸受
耐久寿命及び軸受外輪温度との関係を示す。尚、軸受耐
久寿命及び軸受外輪温度は、比較用軸受の測定値に対す
る比で示してある。
【0031】図5から明らかなように、グリース中のイ
オウ含有率が0.001重量%を超えると、軸受寿命比
が1.5倍以上となり、良好な耐久性能が得られる。特
に、イオウ含有率が0.003重量%〜1重量%の範囲
で最も高く、約2倍の寿命となる。また、イオウ含有率
が5重量%を超えると、軸受寿命比が急激に低下してい
る。一方、軸受外輪温度は、ジエチルジスルフィドの添
加により低下するが、イオウ含有率で0.001重量%
になると大きな低下が見られ、0.003重量%でより
顕著となる。このことから、イオウ系極圧添加剤の添加
量は、イオウ換算でグリース組成物全量の0.001重
量%以上5重量%が適当であることがわかる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、セラミック転動体
を備え、モノスルフィド化合物、ジスルフィド化合物、
スルホキシド化合物及びチオールスルフィネート化合物
から選ばれるイオウ系極圧添加剤を含有するグリース組
成物を封入した転がり軸受は、高速回転下での軸受寿命
の向上と発熱の抑制とが可能になり、旋盤、ボール盤、
中ぐり盤、フライス盤、研削盤、ホーニング盤、超仕上
盤、ラップ盤等の高速で摺動、回転する工作機械の主軸
支持部に組み込まれる転がり軸受として好適である。し
かも、オイルエア潤滑法等のように潤滑油を連続して供
給する方式と異なり、グリース組成物を封入して使用で
きるため、運転コストの削減、省スペース化も可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態であるア
ンギュラ玉軸受を示す断面図である。
【図2】実施例及び比較例の回転試験に用いた試験装置
の構成を示す断面図である。
【図3】実施例及び比較例の各軸受について、dmnを
変えて軸受外輪温度の変化を測定した結果を示すグラフ
である。
【図4】実施例及び比較例の各軸受について、軸受寿命
を測定した結果を示すグラフである。
【図5】実施例で得られた、グリースのイオウ含有率
と、軸受耐久寿命及び軸受外輪温度との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
10 アンギュラ玉軸受 11 外輪 12 内輪 13 セラミックボール 14 保持器
フロントページの続き (72)発明者 安積 三郎 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA54 AA62 EA41 EA63 FA32 FA53 GA31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と外輪との間に、複数のセラミック
    転動体を保持器により転動自在に保持してなり、かつモ
    ノスルフィド化合物、ジスルフィド化合物、スルホキシ
    ド化合物及びチオールスルフィネート化合物から選ばれ
    る少なくとも1種を含有するグリース組成物を封入した
    ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記グリース組成物は、モノスルフィド
    化合物、ジスルフィド化合物、スルホキシド化合物及び
    チオールスルフィネート化合物から選ばれる少なくとも
    1種を、該グリース組成物全量に対して、イオウ換算で
    0.001重量%以上5重量%以下の割合で含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記内輪の転送面、前記外輪の転送面及
    び前記転動体の表面の少なくとも一つに、無定形炭素を
    含む被膜が形成されていることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の転がり軸受。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023224052A1 (ja) * 2022-05-17 2023-11-23 株式会社瑞光 粉砕装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023224052A1 (ja) * 2022-05-17 2023-11-23 株式会社瑞光 粉砕装置
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