JP2007099944A - 転動装置用グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

転動装置用グリース組成物及び転動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温,高速条件下で使用されても、長期間にわたって耐熱性,潤滑性,耐荷重性に優れる転動装置用グリース組成物を提供する。また、高温,高速条件下で使用されても、長寿命な転動装置を提供する。
【解決手段】円筒ころ軸受の軌道面10a,11aところ12との間の潤滑を、グリース組成物15により行った。このグリース組成物15は、基油と、増ちょう剤と、粒径0.01〜5μmのマイクロカプセルと、を含有している。そして、マイクロカプセルは、前記基油よりも耐熱性が高い高耐熱性基油及び前記増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性増ちょう剤の少なくとも一方を内包している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転動装置に好適なグリース組成物に関する。また、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ,及び直動ベアリング等の転動装置に関する。
近年の機械技術の進歩に伴い、機械装置は小型軽量化,高速回転化が進んでおり、自動車のエンジン周辺の電装機械に使用される転がり軸受においても、高速化,高温化の傾向にある。
一方、省資源化,省エネルギーの要求から、機械装置にはメンテナンスフリー化の要望も強い。そのため、転がり軸受には、優れた耐熱性に加えて信頼性や耐久性が要求される。
特開平7−233362号公報 特開2001−234188号公報 特許第2969700号公報
転がり軸受においては、ピッチ径と回転速度の積であるdmn値が100万を超えるような高速条件でも、グリース組成物による潤滑が求められている。このような高速条件では、増ちょう剤と基油とが遠心力により分離(油分離)し、分離した基油が飛散しやすい。よって、長期間にわたって使用するとグリース組成物中の基油分が減少してしまい、増ちょう剤の割合が高い状態になってしまう場合がある。このような状態になると、グリース組成物の潤滑性が低下するため、長期間にわたって油分離が生じにくいグリース組成物が望まれる。
また、高速条件で使用されると軸受温度が180℃を超える場合もあるが、このような場合にはフッ素化合物系増ちょう剤や粘土鉱物系増ちょう剤を含有するグリース組成物が使用される。しかしながら、このようなグリース組成物は、耐熱性は優れているものの、潤滑性や耐荷重性が十分ではないという問題点を有していた。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、dmn値が100万を超えるような高速条件で、且つ、軸受温度が180℃を超えるような高温条件で使用されても、長期間にわたって耐熱性,潤滑性,耐荷重性に優れる転動装置用グリース組成物を提供することを課題とする。また、上記のような条件で使用されても長寿命な転動装置を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置用グリース組成物は、基油と増ちょう剤とマイクロカプセルとを含有する転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルは、前記基油よりも耐熱性が高い高耐熱性基油及び前記増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性増ちょう剤の少なくとも一方を内包することを特徴とする。
転動装置用グリース組成物が高温条件下で使用され、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度になると、マイクロカプセルが破壊されて内包物質(高耐熱性基油,高耐熱性増ちょう剤)が放出される。内包物質は、基油や増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性基油,高耐熱性増ちょう剤であるため、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度においても、分解や劣化が生じにくい。よって、本発明の転動装置用グリース組成物は、高温条件下においても長期間にわたって優れた耐熱性,潤滑性,耐荷重性を有する。
なお、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度よりも低温であっても、転動装置用グリース組成物の油分離が進むと、マイクロカプセルの相対的な濃度が高くなって、マイクロカプセルが破壊されやすくなる。
また、転動装置用グリース組成物が高速条件下で使用され、分離した基油が飛散しても、マイクロカプセルが破壊して高耐熱性基油が供給されるから、潤滑性の低下が生じにくい。すなわち、使用中に基油の種類が入れ替わるような形となり、初期においては転動装置用グリース組成物中の基油が潤滑油として機能し、その後にマイクロカプセルから放出された高耐熱性基油が潤滑油として機能することとなる。
なお、高耐熱性基油を内包するマイクロカプセルと高耐熱性増ちょう剤を内包するマイクロカプセルとの両方を、転動装置用グリース組成物に含有させてもよい。
また、本発明に係る請求項2の転動装置用グリース組成物は、請求項1に記載の転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルの粒径が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする。
マイクロカプセルの粒径は、0.01以上5μm以下とすることが好ましい。5μmを超えると、転動装置に対して異物として作用するおそれある。また、グリース組成物への安定的な分散が困難となる場合が多くなったり、転動装置の負荷圏(軌道面と転動体との接触部)以外の部位においてマイクロカプセルが破壊され、内包物質を放出してしまうことが多くなる。さらに、循環給油方式で使用される潤滑油の場合には、濾過装置に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、粒径が0.01μm未満であると、転動装置の負荷圏においてもマイクロカプセルが破壊されない可能性が高くなるため、内包物質の添加効果が不十分となるおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置用グリース組成物は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルの配合量はグリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下であり、前記増ちょう剤の配合量はグリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
マイクロカプセルの配合量は、転動装置用グリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。1質量%未満では、負荷圏へ到達するマイクロカプセルの数が少なくなるため、内包物質の添加効果が不十分となるおそれがある。一方、30質量%を超えると、マイクロカプセルの数が多すぎて、基油の割合が相対的に少なくなり、潤滑性が不十分となるおそれがある。
また、増ちょう剤の配合量も、転動装置用グリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。1質量%未満では、組成物をグリース状とすることが困難となる場合がある。一方、30質量%を超えると、増ちょう剤の量が多すぎて、基油の割合が相対的に少なくなり、潤滑性が不十分となるおそれがある。
上記のような問題がより生じにくくするためには、マイクロカプセルと増ちょう剤の合計の配合量は、転動装置用グリース組成物全体の20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置用グリース組成物は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルに占める内包物質の割合は、20質量%以上98質量%以下であることを特徴とする。
内包物質の割合が20質量%未満であると、内包物質の割合が低すぎて内包物質に期待する効果が得られにくい。一方、98質量%超過では、マイクロカプセルの外殻が相対的に薄くなるため、マイクロカプセルを含有する転動装置用グリース組成物を製造する際にマイクロカプセルが破壊してしまうおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項5の転動装置用グリース組成物は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルは樹脂組成物で構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記両軌道面と前記転動体との間の潤滑が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物により行われていることを特徴とする。
このような転動装置は、耐熱性,潤滑性,耐荷重性に優れるグリース組成物で潤滑されているので、高温、高速条件下で使用されても長寿命である。
なお、本発明は、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等の種々の転動装置に適用可能である。ここで、本発明における内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明の転動装置用グリース組成物は、高温,高速条件下で使用されても、長期間にわたって優れた耐熱性,潤滑性,耐荷重性を有する。また、本発明の転動装置は、高温,高速条件下で使用されても長寿命である。
本発明に係る転動装置用グリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図1の縦断面図を参照しながら詳細に説明する。
図1の転がり軸受は日本精工株式会社製の円筒ころ軸受(内径25mm,外径52mm)であり、外周面に軌道面10aを有する内輪10と、軌道面10aに対向する軌道面11aを内周面に有する外輪11と、両軌道面10a,11a間に転動自在に配された複数のころ12と、内輪10と外輪11との間に複数のころ12を保持する保持器13と、で構成されている。
また、内輪10と外輪11との間に形成されころ12が内設された空隙部内には、グリース組成物15が供給され、両軌道面10a,11aところ12との間の潤滑が行われるようになっている。
このグリース組成物15は、基油と、増ちょう剤と、粒径0.01〜5μmのマイクロカプセルと、を含有している。増ちょう剤及びマイクロカプセルの配合量は、それぞれグリース組成物15全体の1質量%以上30質量%以下が好ましく、両者の合計量は20質量%以上50質量%以下が好ましい。
このマイクロカプセルは樹脂組成物で構成されおり、前記基油よりも耐熱性が高い高耐熱性基油及び前記増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性増ちょう剤の少なくとも一方を内包している(図2を参照)。高耐熱性基油と高耐熱性増ちょう剤の両方をマイクロカプセル内に内包する場合には、高耐熱性基油と高耐熱性増ちょう剤の単なる混合物を内包してもよいし、高耐熱性基油と高耐熱性増ちょう剤からなるグリース組成物を内包してもよい。マイクロカプセルに占める内包物質の割合は、20質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
通常は内包物質がマイクロカプセル内に隔離されているが、グリース組成物15が円筒ころ軸受の負荷圏(軌道面10a,11aところ12との接触部)に到達した場合や、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度になった場合には、マイクロカプセルが破壊されて内包物質(高耐熱性基油,高耐熱性増ちょう剤)が放出される。よって、マイクロカプセルの材質は、使用する基油や増ちょう剤の耐熱性に応じて選択することが好ましく、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度になった場合に破壊されるような耐熱性を有する材質が好ましい。
内包物質は、基油や増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性基油,高耐熱性増ちょう剤であるため、基油や増ちょう剤が分解又は劣化する温度においても、分解や劣化が生じにくい。よって、グリース組成物15の耐熱性,潤滑性,耐荷重性が、高温条件下においても長期間にわたって維持されるので、円筒ころ軸受は潤滑性に優れ長寿命となる。
また、内包物質がマイクロカプセル内に隔離されるため、親和性に乏しくほとんど混ざり合わない2種の基油を、グリース組成物の基油及び高耐熱性基油として使用することが可能である。その結果、2種の基油の長所を共に有するグリース組成物を得ることができる。
以下に、本実施形態のグリース組成物について、詳細に説明する。
〔マイクロカプセルについて〕
マイクロカプセルを構成する材料は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂等の樹脂を含有する樹脂組成物が好ましい。具体例としては、ポリウレタン系樹脂組成物,ポリエステル系樹脂組成物,ポリアミド系樹脂組成物,ポリウレア系樹脂組成物,フェノール系樹脂組成物,ポリビニルアルコール系樹脂組成物,メラミン系樹脂組成物,ポリエチレン系樹脂組成物,ポリスチレン系樹脂組成物,セルロース,ゼラチン等が等があげられる。
マイクロカプセルを製造する方法は特に限定されるものではなく、内包物質の性質やマイクロカプセルを構成する材料の性質等を考慮して選択される。具体例としては、界面重合法,in situ重合法,相分離法,液中乾燥法,オリフィス法,スプレードライ法,気中懸濁被覆法,ハイブリダンザー法等があげられる。
均一な粒径を有するマイクロカプセルを製造するためには、マイクロカプセルの製造条件を適宜調整することが好ましいが、粒度分布を有するマイクロカプセルから、遠心分離法やフィルター法によって均一な粒径を有するマイクロカプセルを分離してもよい。
〔基油及び高耐熱性基油について〕
グリース組成物の基油、及び、マイクロカプセルに内包される高耐熱性基油の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物や潤滑油の基油として一般的に使用される基油であれば、問題なく使用することができる。
基油及び高耐熱性基油の具体例としては、鉱油,合成油,及び動植物油等があげられる。鉱油としては、減圧蒸留,溶剤脱れき,溶剤抽出,水素化分解,溶剤脱ろう,硫酸洗浄,白土精製,水素化精製等を適宜組み合わせて、粘度指数が100以上となるように精製した鉱油が好ましい。そして、粘度指数が120以上となるように精製した、いわゆる高精製度鉱油がより好ましい。
合成油としては、合成炭化水素油,エステル油,エーテル油,シリコーン油,フッ素油等があげられる。
合成炭化水素油としては、ノルマルパラフィン,イソパラフィン,ポリブテン,ポリイソブチレン,1−デセンオリゴマー,1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリα−オレフィン又はその水素化物などがあげられる。また、モノアルキルベンゼン,ジアルキルベンゼン,ポリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼンや、モノアルキルナフタレン,ジアルキルナフタレン,ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレンなどもあげられる。
また、エステル油としては、ジブチルセバケート,ジ(2−エチルヘキシル)セバケート,ジオクチルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジトリデシルアジペート,ジトリデシルグルタレート,メチルアセチルリシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート,トリデシルトリメリテート,テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート,トリメチロールプロパンペラルゴネート,ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート,ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル油、一塩基酸及び二塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などがあげられる。
さらに、エーテル油としては、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレングリコールモノエーテル,ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、モノアルキルトリフェニルエーテル,アルキルジフェニルエーテル,ジアルキルジフェニルエーテル,テトラフェニルエーテル,ペンタフェニルエーテル,モノアルキルテトラフェニルエーテル,ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油などがあげられる。また、耐熱性を考慮すると、チオエーテル系のエーテル油も好適である。例えば、(ジ)アルキルジフェニルチオエーテル油,(ジ)アルキルポリフェニルチオエーテル油,テトラフェニルチオエーテル油,ペンタフェニルチオエーテル油があげられる。
上記以外の合成油としては、トリクレジルフォスフェート,パーフルオロアルキルエーテル油などがあげられる。
また、動植物油としては、牛脂,豚脂,大豆油,菜種油,米ぬか油,ヤシ油,パーム油,パーム核油等の油脂系油又はその水素化物などがあげられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、グリース組成物の基油としては、鉱油,合成炭化水素油,エステル油が特に好ましく、高耐熱性基油としては、フッ素油,シリコーン油,イオン性液体,芳香族エステル油が特に好ましい。なお、同種の基油であっても粘度が高い方が耐熱性が高いので、グリース組成物の基油及び高耐熱性基油として、粘度の異なる同種の基油を用いることも可能である。
〔増ちょう剤及び高耐熱性増ちょう剤について〕
グリース組成物の増ちょう剤、及び、マイクロカプセルに内包される高耐熱性増ちょう剤の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物の増ちょう剤として一般的に使用されるものであれば、問題なく使用することができる。
例えば、金属石けん(金属はアルミニウム,バリウム,カルシウム,リチウム,ナトリウム等)や金属複合石けん(金属はリチウム,カルシウム,アルミニウム等)があげられる。また、ウレア化合物(ジウレア,トリウレア,テトラウレア,ポリウレア等)、無機系化合物(シリカゲル,ベントナイト等)、ウレタン化合物、ウレア・ウレタン化合物、ナトリウムテレフタラメート化合物、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)等も使用できる。ただし、グリース組成物の増ちょう剤としては、耐熱性に優れたウレア化合物がより好ましい。
なお、グリース組成物には、グリース組成物に一般的に使用される各種添加剤(酸化防止剤,極圧剤,防錆剤,金属腐食防止剤,固体潤滑剤等)を使用することができる。添加剤は、マイクロカプセルに内包してグリース組成物に添加してもよいし、マイクロカプセルに内包せずに直接添加してもよい。マイクロカプセルに内包する場合には、高耐熱性基油,高耐熱性増ちょう剤とともにマイクロカプセルに内包してもよいし、添加剤のみを内包するマイクロカプセルを用いてもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例として円筒ころ軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
また、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して本発明を説明する。表1,2に示すような組成のグリース組成物を用意して、各種評価を行った。まず、グリース組成物について説明する。
Figure 2007099944
Figure 2007099944
・実施例1〜6:基油がポリα−オレフィン油(シェブロンフィリップス社製の商品名シンフルード601であり、40℃における動粘度は30mm2 /sである)で、増ちょう剤がジウレア化合物又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であるグリース組成物に、高耐熱性基油を内包するマイクロカプセルが添加されたものである。高耐熱性基油は、トリメリット酸エステル(旭電化工業株式会社製の商品名PT50)、イオン性液体(広栄化学産業株式会社製の商品名C3)、パーフルオロポリエーテル油(デュポン社製の商品名クライトックスGPL103)のいずれかである。
各基油の耐熱性は、以下のようにして評価した。すなわち、ガラス製シャーレに所定量の基油を取り、180℃の恒温槽に100時間静置した後の重量減少量により評価した。その結果、耐熱性は、イオン性液体が最も高く、続いてパーフルオロポリエーテル油、トリメリット酸エステル、ポリα−オレフィン油の順であった。
・比較例1:基油が前記ポリα−オレフィン油と前記芳香族エステル油との混合油(混合比は1対1)であり、その40℃における動粘度は30mm2 /sである。増ちょう剤はジウレア化合物で、マイクロカプセルは含有していない。
・比較例2:基油が前記ポリα−オレフィン油と前記イオン性液体との混合油(混合比は1対1)であり、その40℃における動粘度は30mm2 /sである。増ちょう剤はジウレア化合物で、マイクロカプセルは含有していない。
・比較例3:基油が前記パーフルオロポリエーテル油であり、その40℃における動粘度は30mm2 /sである。増ちょう剤はPTFEで、マイクロカプセルは含有していない。
これらのグリース組成物について、往復動摩擦摩耗試験を行った。まず、図3の往復動摩擦摩耗試験装置について説明する。試験台20の上に鏡面研磨された平板30が載置されており、さらに平板30の上にJIS G5等級の玉軸受用鋼球35(株式会社天辻鋼球製作所製)が配されている。そして、玉軸受用鋼球35は、垂直荷重が負荷されて平板30に押し付けられた状態で、カム50により平板30上を水平往復運動するようになっている。なお、平板30の材質は軸受鋼SUJ2であり、硬さはHRC62である。また、玉軸受用鋼球35の材質は軸受鋼SUJ2であり、直径は10mmである。さらに、図3中の符号40はヒータを表し、符号41は熱電対を表し、符号45はロードセルを表す。
往復動摩擦摩耗試験の際には、平板30にグリース組成物を塗布した。試験条件は、垂直荷重59N、往復運動の振幅0.7mm、往復運動の周波数10Hz、雰囲気温度80℃、試験時間10分間、試験数3サンプルである。そして、試験終了後に、平板30の摩耗痕の直径を測定し、3サンプルの平均値で耐摩耗性を評価した。結果を表1,2に示す。
次に、表1,2に示すような組成のグリース組成物を、呼び番号6305の玉軸受(内径25mm、外径62mm、幅17mm)に封入した。封入量は、内輪と外輪との間に形成され転動体が内設された空隙部の容積の30体積%である。このような玉軸受を、ラジアル荷重98N,アキシアル荷重98N,内輪回転速度10000min-1,外輪温度180℃という条件で回転させた。
そして、回転100時間後と回転300時間後に、グリース組成物中の油分の割合を測定した。また、回転300時間後に、グリース組成物中の鉄量を測定して、軌道輪や転動体の摩耗量を評価した。結果を表1,2に示す。
さらに、回転中に温度上昇とトルク上昇とが生じたら、その時点で焼付きが生じて焼付き寿命に至ったと判断した。1種の玉軸受につき3個ずつ回転試験を行って、その平均値を焼付き寿命とした。結果を表1,2に示す。なお、表1,2の焼付き寿命は、比較例1の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表1,2の結果から分かるように、実施例1〜6は、比較例1〜3と比べてグリース組成物中の鉄量が少なく、耐摩耗性が優れていた。また、比較例1〜3は、軸受の回転により基油が飛散するため、グリース組成物中の油分の割合が回転前よりも減少している。これに対して、実施例1〜6は、軸受の回転により基油が飛散してもマイクロカプセルから高耐熱性基油が供給されるため、グリース組成物中の油分の割合が回転前よりも増加していた。これらのことから、実施例1〜6は、比較例1〜3よりも長寿命となった。
次に、グリース組成物の基油と高耐熱性基油とが同種である場合の例について説明する。40℃における動粘度が10mm2 /sであるポリオールエステル油93質量部と、ジウレア化合物(4,4’−フェニルメチルイソシアネートとオクチルアミンとを反応させて得られるもの)7質量部とを混合して、グリース組成物を得た。そして、40℃における動粘度が30mm2 /sであるポリオールエステル油を内包するマイクロカプセル0.5質量部を添加した。
このグリース組成物2gを呼び番号6303ZZのラジアル玉軸受に封入し、回転試験を行い、その寿命を評価した。また、比較例として、マイクロカプセルを添加しないことを除いて全く同様の構成のグリース組成物についても寿命の評価を行った。回転試験は、9秒毎に回転速度を9000min-1と18000min-1とに繰り返し切替えるという急加減速試験とした。その他の条件は、ラジアル荷重2450N、定格荷重C13.5kN、試験温度90℃である。軌道面に剥離が発生した時点で寿命に至ったと判断した。1種の玉軸受につき4個ずつ回転試験を行って、その平均値を寿命とした。
その結果、マイクロカプセルを含有するグリース組成物を封入した玉軸受は、比較例の玉軸受の寿命の5倍の時間回転させても、軌道面に剥離が発生することなく寿命に至らなかった。
本発明の転動装置用グリース組成物及び転動装置は、自動車のエンジン周辺の電装機械等に好適である。
本発明に係る転動装置の一実施形態である円筒ころ軸受の構成を示す縦断面図である。 マイクロカプセルの構造を示す断面図である。 往復動摩擦摩耗試験装置の構造を示す図である。
符号の説明
10 内輪
10a 軌道面
11 外輪
11a 軌道面
12 ころ
15 グリース組成物

Claims (6)

  1. 基油と増ちょう剤とマイクロカプセルとを含有する転動装置用グリース組成物において、前記マイクロカプセルは、前記基油よりも耐熱性が高い高耐熱性基油及び前記増ちょう剤よりも耐熱性が高い高耐熱性増ちょう剤の少なくとも一方を内包することを特徴とする転動装置用グリース組成物。
  2. 前記マイクロカプセルの粒径が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の転動装置用グリース組成物。
  3. 前記マイクロカプセルの配合量はグリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下であり、前記増ちょう剤の配合量はグリース組成物全体の1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動装置用グリース組成物。
  4. 前記マイクロカプセルに占める内包物質の割合は、20質量%以上98質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物。
  5. 前記マイクロカプセルは樹脂組成物で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物。
  6. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、
    前記両軌道面と前記転動体との間の潤滑が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置用グリース組成物により行われていることを特徴とする転動装置。
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