JP2002348739A - 高強度複合繊維の製造法 - Google Patents

高強度複合繊維の製造法

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JP2002348739A
JP2002348739A JP2001155336A JP2001155336A JP2002348739A JP 2002348739 A JP2002348739 A JP 2002348739A JP 2001155336 A JP2001155336 A JP 2001155336A JP 2001155336 A JP2001155336 A JP 2001155336A JP 2002348739 A JP2002348739 A JP 2002348739A
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sulfide resin
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Koji Kanno
幸治 菅埜
Tsuyoshi Shibata
剛志 柴田
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融液晶形成性ポリエステルからなる高強度・
高弾性率繊維は、摩擦によりフィブリル化しやすい、耐
疲労性が低い等の欠点を有しているが、これらの欠点を
著しく改善し、さらに操業的にも優れた繊維の製造法を
提供する。 【解決手段】溶融液晶形成性ポリエステルを芯成分、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂を鞘成分として複合紡糸す
るに際し、紡糸温度において芯成分粘度(Ts)、鞘成
分粘度(Tp)の粘度比率がTp/Ts<5であること
を特徴とする高強度複合繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性、耐疲労
性に優れた高強力高弾性率を有する複合繊維に関するも
のであり、その利用分野は、一般産業用資材、特にロー
プ、ゴム補強、ジオテキスタイル、FRC用途、コンピ
ューターリボン、プリント基盤用基布、エアーバッグ、
バッグフィルター、スクリーン紗等に幅広く活用される
ものである。
【0002】
【従来の技術】溶融液晶形成性ポリエステル繊維は、例
えば特開昭61−174408号公報にあるように、分
子鎖が繊維軸方向に高度に配向しているために、高強力
高弾性率を有することが知られている。しかしながら、
繊維軸に直角な方向では弱い分子間力が働くのみである
ため、摩擦により容易にフィブリルが発生しトラブルの
原因となっていた。また、キンクバンドや座屈現象が発
生し易く、かつそれが極所に集中する傾向があることか
ら耐疲労性の低いものであった。これらの欠点を改善す
る目的で、芯成分が異方性溶融相を形成し得る芳香族ポ
リエステル、鞘成分がポリフェニレンスルフィドからな
る複合繊維が特開平1−229815号公報で提案され
ている。さらに特開平4−174722号公報ではポリ
フェニレンスルフィド樹脂を重合後に酸洗浄を行い、主
鎖型液晶樹脂と複合紡糸することにより界面剥離の生じ
にくい複合繊維の製造法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−22981
5号、特開平4−174722号公報に記載されている
如く、芯鞘構造にすることで、耐フィブリル化性、耐摩
耗性が改良されるのは事実であるが、溶融液晶形成性ポ
リエステルは流動性を向上させるため溶融粘度が低く、
一般的な溶融粘度のポリフェニレンスルフィド樹脂と複
合紡糸すると複合異常、吐出孔詰まりなどの問題が発生
し操業上問題となりやすいことがわかった。本発明は、
上記問題点を踏まえ鋭意検討を行った結果、紡糸温度で
の溶融液晶形成性ポリエステルとポリフェニレンスルフ
ィドの溶融粘度を一定範囲内にすることにより、紡糸時
における複合異常、吐出孔詰まりなどの発生が改善され
ることを見いだしたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は溶融液晶形成性
ポリエステルを芯成分、ポリフェニレンスルフィド樹脂
を鞘成分として複合紡糸するに際し、紡糸温度において
芯成分粘度(Ts)、鞘成分粘度(Tp)の粘度比率が
Tp/Ts<5であることを特徴とする高強度複合繊維
の製造方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる溶融液晶形成
性ポリエステルとは、加熱して溶融した際に光学的異方
性を呈するポリエステルを指す。この特性は、例えば、
試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱
し、偏光顕微鏡で試料の透過光を観察することにより認
定できる。本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエス
テルとしては、A.芳香族オキシカルボン酸の重合物、
B.芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、脂肪族ジオ
ールの重合物、C.AとBとの共重合物などがあげられ
る。また、溶融液晶形成性ポリエステルの重合処方は従
来公知の方法を用いることができる。ここで芳香族オキ
シカルボン酸としては、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキ
シナフトエ酸など、または上記芳香族オキシカルボン酸
のアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などがあげら
れる。芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソ
フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキ
シエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸
など、または上記芳香族ジカルボン酸のアルキル、アル
コキシ、ハロゲン置換体などがあげられる。芳香族ジオ
ールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、ジオキシ
ジフェニール、ナフタレンジオールなど、または上記芳
香族アルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などがあげ
られる。脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチル
グリコールなどがあげられる。そして、本発明において
は、前記のモノマーなどを重合したポリエステルを広く
用いることができる。その好ましい例として、p−ヒド
ロキシ安息香酸成分とエチレンテレフタレート成分とが
共重合されたもの、p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,
4−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/ま
たはイソフタル酸とが共重合されたもの、p−ヒドロキ
シ安息香酸成分と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸成分と
が共重合されたもの、p−ヒドロキシ安息香酸成分と6
−ヒドロキシ2−ナフトエ酸成分とハイドロキノンとテ
レフタル酸とが共重合されたものなどを用いることがで
きる。
【0006】本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエ
ステルは、融点(以下MP)が260〜360℃の範囲
のものが好ましく、さらに好ましくはMPが270〜3
50℃のものである。MPの測定は、示差走査熱量計
(パーキンエルマー社製DSC)で観察される主吸熱ピ
ークがあらわれる温度を測定することにより行った。
【0007】本発明にいうポリフェニレンスルフィド樹
脂とは下記化3に示す反復構成単位を70モル%以上、
より好ましくは90モル%以上含む重合体である。ポリ
フェニレンスルフィド樹脂は一般に、特公昭45−33
68号公報で代表される製造法により得られる比較的分
子量の小さい重合体と特公昭52−12240号公報で
代表される製造法により得られる本質的に線状で比較的
高分子量の重合体等があり、前記特公昭45−3368
号公報記載の方法で得られた重合体においては、重合後
酸素雰囲気下において加熱することにより、あるいは過
酸化物などの架橋剤を添加して加熱することにより高重
合度化して用いることも可能であり、本発明においては
いかなる方法により得られたポリフェニレンスルフィド
樹脂を用いることも可能であるが、芯鞘複合糸の芯鞘界
面剥離などを抑制するため特開平4−174722号公
報に示されるように酸洗浄を行ったポリフェニレンスル
フィド樹脂を用いることが好ましい。
【0008】本発明では紡糸温度における芯成分粘度
(Ts)、鞘成分粘度(Tp)の粘度比率がTp/Ts
<5であることが重要である、これは粘度比率が5以上
であると芯成分に対する鞘成分の粘度が高くなりすぎ複
合するために合流させるときに複合異常や吐出孔詰まり
を生じやすくなるためである。
【0009】一般に溶融液晶形成性ポリエステルは、紡
糸時のドラフト上限が低いこと、また結晶化速度が非常
に早く、また配向しやすいため、比較的低速度、低ドラ
フトで紡糸した場合であっても十分な配向結晶化がおこ
るために、延伸工程なしで充分な繊維性能を発揮し得る
ものであり、細繊度繊維を得るためには吐出量および吐
出孔を小さくしズリ速度を104 〜106 レベルまで高
くする必要がある。このとき、溶融液晶形成性ポリエス
テルはズリ速度依存性が高く吐出孔内での粘度は100
poise前後にまで下がるため、ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂の粘度はこれにあわせ低くする必要がある。
【0010】このような粘度を得るためには、滞留時間
を長くして粘度を下げる、可塑剤を使用するなどの方法
が上げられるが、樹脂本来の特性を生かすためには、M
FRが200以上の樹脂を用いることが好ましく、より
好ましくはMFR500以上である。しかし、低粘度に
なりすぎると樹脂本来の特性が損なわれるためMFRは
1000未満が好ましい。なお、MFRの測定は温度3
16℃、加重5kgにて行った。
【0011】さらに、ポリフェニレンスルフィド樹脂の
配向を高め複合糸の強度を向上させるためにポリフェニ
レンスルフィド樹脂の降温結晶化温度は200℃以上で
あることが好ましく、220℃以上がより好ましい。
【0012】これは、溶融液晶形成性ポリエステルの降
温結晶化温度が240〜280℃と高く、吐出直後に構造が固
定するのに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂の降温
結晶化温度が低いと溶融液晶形成性ポリエステルが固定
された後にポリフェニレンスルフィド樹脂の配向緩和が
おこりやすくポリフェニレンスルフィド樹脂が脆くなり
やすいためである。
【0013】本発明に用いられる芯成分ポリマー及び鞘
成分ポリマーに、本発明の効果を損なわない範囲内で、
ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフ
タレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリア
リレート、ポリアミド、ポリエステルエーテルケトン、
フッソ樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加しても良い。ま
た、酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の
無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添剤を添加
しても良い。
【0014】本発明の複合繊維は、公知の芯鞘複合紡糸
口金により得られる。得られる繊維の横断面形状として
は、例えば図1のものが含まれる。
【0015】本発明の複合繊維は芯鞘比率が90/10
〜50/50の範囲にあることが好ましく、さらに好ま
しくは80/20〜70/30の範囲である。
【0016】本発明の複合繊維は、紡糸しただけで既に
十分な強度、弾性率を有しているが、弛緩熱処理あるい
は緊張熱処理により性能を更に向上させることが出来
る。
【0017】熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気中
や、空気の如き酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧
下で行うことが可能である。熱処理雰囲気は露点が−4
0℃以下の低湿気体が好ましい。熱処理条件としては、
芯成分の融点マイナス40℃以下から鞘成分の融点以下
まで順次昇温して行く温度パターンで行うことが好まし
い。さらに処理時間は、目的性能により数分から数十時
間行われる。
【0018】熱処理時における熱の供給は、気体等の媒
体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等による輻射
を利用する方法、熱ローラー、熱プレート等に接触させ
て行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法等が使用
できる。また、熱処理は目的により緊張下あるいは無緊
張下で行ない、形状はカセ状、トウ状(例えば、金属網
等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に処理
することも可能である。さらに、繊維の形態はフィラメ
ント状あるいはカットファイバー状いずれも可能であ
る。緊張熱処理は、芯成分の融点マイナス60℃以下の
温度で、切断強力の5〜50%の張力をかけた状態で行
うことが好ましく、この処理により弾性率はさらに改善
される。
【0019】以上のように、本発明により製造される繊
維は、高強力・高弾性率の特徴を保持し耐フィブリル化
性、耐疲労性、難燃性、摩擦防融性が著しく改善された
ものであり、かつ染色も可能であるため、一般産業用資
材、土木・建築資材、スポーツ用途、防護衣、ゴム補強
資材、電気材料(特に、テンションメンバーとして)、
音響材料等の分野で広く用いられるが、特に織物の形態
で使用する用途に適している。特に有効な用途として
は、スクリーン紗、コンピュターリボン、プリント基盤
用基布、エアーバッグ、飛行船、ドーム用等の基布、ラ
イダースーツ、釣糸、各種ライン(ヨット、パラグライ
ダー、気球、凧糸)、PET用鎖代替糸、ブラインドコ
ード、網戸用支持コード、自動車や航空機内各種コー
ド、電気製品やロボットの力伝達コード等がある。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。以下実施例により本発明をより詳細に説明
する。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.融点 融点は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DS
C)で観察される主吸熱ピークがあらわれる温度を測定
することにより行った。 B.降温結晶化温度 降温結晶化温度は、示差走査熱量計(パーキンエルマー
社製DSC)で観察される溶融状態から16℃/分の降
温速度下での結晶化ピークがあらわれる温度を測定する
ことにより行った。 C.MFR MFRはASTM:D1238に準じ316℃、5kg
の条件で測定した。 D.粘度 東洋精機社製キャピログラフ1Bを用いズリ速度608
0sec-1での見かけ粘度を測定した。 E.強伸度、ヤング率 強伸度、ヤング率、はJIS L1013に準じオリエ
ンテック社製テンシロンUCT−100を用いて測定し
た。
【0021】実施例1 芯成分の溶融液晶形成性ポリエステルとしてp−アセト
キシ安息香酸から生成した構造単位(1)と4,4−ジヒ
ドロキシビフェニルとテレフタル酸から生成した構造単
位(2)とエチレングリコールとテレフタル酸から生成し
たポリエステルの構造単位(3)からなり、構造単位(1)が
全体の80モル%、構造単位(2)と構造単位(3)の合計が
20モル%を占め、構造単位(2)/(3)のモル比が3/5
である液晶形成性ポリエステルを用いた。該液晶ポリエ
ステルの融点315℃、降温結晶化温度271℃、紡糸
温度320℃での粘度130poiseであった。
【0022】鞘成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と
して、攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水
塩25モル、酢酸ナトリウム2.5モルおよびN−メチ
ル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)を仕込み、窒
素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水を留出し
た。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロ
ロベンゼン25.3モルならびにNMPを加えて、窒素
下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時
間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、
次に100℃に加熱されNMP中に投入して、約1時間
攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄し
た。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25
リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過
し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水
で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して得られたポリ
フェニレンスルフィド樹脂を用いた。該ポリフェニレン
スルフィド樹脂は融点282℃、降温結晶化温度243
℃、MFR600、紡糸温度320℃での粘度320p
oiseであった。(Tp/Ts=2.5) 溶融液晶形成性ポリエステル樹脂を芯、ポリフェニレン
スルフィド樹脂を鞘として、紡糸温度320℃、ノズル
径0.15mmφ、10ホールの口金より吐出し、紡糸
速度1000m/分で紡糸し、50デシテックスのフィ
ラメントを得た。このとき、吐出詰まり、吐出曲がりな
どなく良好な巻き取り糸を得ることができた。得られた
紡糸原糸の性能は強度 5.6cN/dtex、伸度
2.1%、弾性率450cN/dtexであった。
【0023】この紡糸原糸を250℃で2時間、260
℃で2時間、270℃で6時間窒素ガス雰囲気中で熱処
理した。得られた熱処理糸は、繊維間膠着は殆ど無く、
以下の性能を有していた。 強度 18.2cN/dtex伸度 3.2%弾性率54
5cN/dtex 比較例1 芯成分として実施例1の溶融液晶形成性ポリエステルを
用い、鞘成分のポリフェニレンスルフィド樹脂として、
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩25
モル、酢酸ナトリウム2.5モルおよびN−メチル−2
−ピロリドン(以下NMPと略す)を仕込み、窒素を通
じながら徐々に205℃まで昇温し、水を留出した。次
に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベン
ゼン25.3モルならびにNMPを加えて、窒素下に密
閉し、270℃まで昇温後、270℃で3時間反応し
た。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に10
0℃に加熱されNMP中に投入して、約1時間攪拌し続
けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した後、80
℃で24時間減圧乾燥して得られたポリフェニレンスル
フィド樹脂を用いた。該ポリフェニレンスルフィド樹脂
は融点280℃、降温結晶化温度170℃、MFR16
0、紡糸温度320℃における溶融粘度1400poi
seであった。(Tp/Ts=11) このポリマーの組み合わせで実施例1と同様に紡糸を行
ったところ、口金10ホール中2ホールの孔詰まり、3
ホールの吐出曲がりが発生し満足に紡糸できなかった。
さらに得られた原糸を観察したところ芯鞘の層間で剥離
が発生していた。
【0024】実施例2 芯成分の溶融液晶形成性ポリエステルとしてp−ヒドロ
キシ安息香酸60モル%、4,4−ジヒドロキシビフェ
ニル20モル%、テレフタル酸10モル%、イソフタル
酸10モル%である液晶形成性ポリエステルを用いた。
該溶融液晶形成性ポリエステルの融点318℃、降温結
晶化温度270℃、紡糸温度320℃における粘度90
poiseであった。(Tp/Ts=3.6) 該溶融液晶形成性ポリエステルを用いた以外は実施例1
と同様なポリフェニレンスルフィド樹脂、紡糸方法によ
り70デシテックスのフィラメントを得た。このとき、
吐出詰まり、吐出曲がりなどなく良好な巻き取り糸を得
ることができた。得られた紡糸原糸の性能は強度 3.
6cN/dtex、伸度1.9%、弾性率420cN/
dtexであった。 この紡糸原糸を250℃で2時
間、260℃で2時間、270℃で6時間窒素ガス雰囲
気中で熱処理した。得られた熱処理糸は、繊維間膠着は
殆ど無く、以下の性能を有していた。 強度 16.2cN/dtex伸度 2.8%弾性率59
3cN/dtex 実施例3 芯成分の溶融液晶形成性ポリエステルとしてp−ヒドロ
キシ安息香酸成、2,6−ヒドロキシナフトエ酸が72
/28モル%である液晶形成性ポリエステル樹脂を用い
た。該溶融液晶形成性ポリエステル樹脂は融点280
℃、降温結晶化温度243℃、紡糸温度320℃におけ
る粘度110poiseであった。(Tp/Ts=2.
9) 該溶融液晶形成性ポリエステルを用いた以外は実施例1
と同様なポリフェニレンスルフィド樹脂、紡糸方法によ
り50デシテックスのフィラメントを得た。このとき、
吐出詰まり、吐出曲がりなどなく良好な巻き取り糸を得
ることができた。得られた紡糸原糸の性能は強度 8.
6cN/dtex、伸度2.2%、弾性率45cN/d
texであった。 この紡糸原糸を250℃で2時間、
260℃で2時間、270℃で6時間窒素ガス雰囲気中
で熱処理した。得られた熱処理糸は、繊維間膠着は殆ど
無く、以下の性能を有していた。 強度 17.4cN/dtex、伸度 2.4%弾性率5
30cN/dtex
【0025】
【発明の効果】本発明は、比較的低速度、低ドラフトで
紡糸した場合であっても、十分に鞘成分の配向結晶化が
進行することにより、高強度・高弾性率を有し、かつ表
面フィブリル化がおこらず、耐摩耗性、耐疲労性にすぐ
れている繊維を操業性よく安定して製造することに成功
したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な複合繊維の断面図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 BA02 BA05 BA21 BA32 BA33 BD01 BD02 CA05 CA55 DD01 EE20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融液晶形成性ポリエステルを芯成分、ポ
    リフェニレンスルフィド樹脂を鞘成分として複合紡糸す
    るに際し、紡糸温度において芯成分粘度(Ts)、鞘成
    分粘度(Tp)の粘度比率がTp/Ts<5であること
    を特徴とする高強度複合繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリフェニレンスルフィド樹脂のMFRが
    200以上、降温結晶化温度が200℃以上であること
    を特徴とする請求項1記載の高強度複合繊維の製造方
    法。
JP2001155336A 2001-05-24 2001-05-24 高強度複合繊維の製造法 Pending JP2002348739A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016093198A1 (ja) * 2014-12-08 2016-06-16 Jnc株式会社 液晶内包複合繊維及び複合繊維集合体
CN111691009A (zh) * 2019-03-15 2020-09-22 通用汽车环球科技运作有限责任公司 复合熔结性长丝

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