JP2002348200A - ホウ化物結晶とこれを用いた半導体層形成用基板並びにその製造方法 - Google Patents
ホウ化物結晶とこれを用いた半導体層形成用基板並びにその製造方法Info
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Abstract
体組成からなるホウ化物単結晶とその製造方法に関し
て、FZ法を用いて粒界のないXB2単結晶を製造する
方法を提供する。 【解決手段】 主成分としてXB2(XはTi及びZr
の少なくとも一種である)とCrB2とを含む混合原料
からフローティングゾーン法により単結晶を育成する。
原料棒中のCrB2の配合量は、1〜30mol%の範
囲とされる。これにより、直径10mm以上の単結晶が
得られ、結晶中に0.0004mol%〜9mol%以
下のCrB2を含有する。このような大きな単結晶を窒
化ガリウム系の半導体層形成用の成長基板に提供し、基
板上には、広い面域に渡って格子欠陥のない半導体膜が
形成される。
Description
TiB2又はこれらの固溶体組成からなるホウ化物単結
晶とその製造方法、および、これを利用した半導体層成
長用基板とその製造方法に関する。
ム系半導体の実用化が進んでいる。窒化ガリウム系半導
体とは、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム
(AlN)、窒化インジウム(InN)及びこれらの混
晶であるInxGayAlzN(0≦x,0≦y,x+
y≦1,z=1−x−y)を含むものである。従来、そ
のような窒化ガリウム系半導体の単結晶層は、サファイ
ア基板の上にエピタキシャル成長させて作成されてい
た。
体と大きな格子不整合を持っており、格子不整合に起因
する結晶欠陥がエピタキシャル成長層中に導入され、結
晶性の優れた窒化ガリウム系半導体層が得られない問題
があった。また、サファイア基板は絶縁体であるので、
発光ダイオードなどの構造においてサファイア基板面側
からの電極取り出しができず、窒化ガリウム系半導体の
形成された面にのみ正電極・負電極の両極を形成する必
要があった。このため、発光ダイオードなどの製造プロ
セスが複雑になり、発光面積が素子面積に比べ小さくな
るなどの問題があった。
成長させるべき結晶層との結晶不整合の上記問題を解決
するために、窒化ガリウム系結晶層成長用の基板に、化
学式XB2(但し、Xは、TiまたはZrである)で表
される二硼化物単結晶から成る単結晶板を、別願(特願
2000−228903号)にて、提案している。
に示すように、GaNやAlNなどの窒化物系半導体と
ほぼ等しい格子定数や熱膨張係数をもち、比較的高い熱
伝導性をもち、電気的に良導体であることから、これら
窒化ガリウム系半導体層形成用基板結晶として期待する
ことができる。
と表す)の結晶は、融点が3000℃前後と、非常に高
いので、フローティング・ゾーン法(FZ法)とフラッ
クス法でのみ結晶成長させることができるが、結晶成長
にFZ法が有利であることは知られている(例えば、S.
Otani, Y. and Ishizawa: Preparation of TiB2 Singl
e Crystals by the Floating Zone Method; J. Crystal
Growth, 140,(1994)pp 451-453. 及び S. Otani, Y. a
nd Ishizawa: Preparation of ZrB2 Single Crystals b
y the Floating Zone Method; J. Crystal Growth, 16
5,(1996) pp 319-322.)
結晶として利用するには、できるだけ大型で実質的に粒
界のない単結晶が必要である。しかし、従来のFZ成長
技術では、大径の、例えば、直径1cm以上の、結晶に
成長させると、結晶中に多数粒界や亜粒界を随伴し、良
質な大きな単結晶が得られなかった。
特に、FZ法を用いて粒界のないXB2単結晶を製造す
る方法を提供するものであり、さらに、本発明は、この
ような大きな単結晶を利用して良好な半導体層形成用の
成長基板を提供することを目的とする。
B2を含む結晶であって、CrB2の添加により粒界発
生を防止して、大きな単結晶を創出するものである。即
ち、本発明のホウ化物結晶は、XB2(XはTi及びZ
rの少なくとも一種である)を主成分とする結晶であっ
て、結晶中0.0004mol%〜9mol%以下のC
rB2を含有することを特徴とする。そして、ホウ化物
結晶は、結晶断面に実質的に結晶粒界を含まない単結晶
とするものである。
む結晶から成り、主面上に半導体層を成長形成させるた
めの基板が含まれる。この二ホウ化物系の基板は、特に
好ましくは、半導体層として、窒化ガリウム系半導体層
の形成に利用され、大きな単結晶基板上に、格子欠陥の
少ない半導体層を形成することができる。
帯溶融法(以下、フローティングゾーン法、FZ法)に
より育成され、そのようなXB2単結晶の製造方法にお
いて、主成分としてXB2(XはTi及びZrの少なく
とも一種である)とCrB2とを含む混合原料からフロ
ーティングゾーン法により単結晶成長させる方法が採ら
れる。
は、混合原料は、XB2化合物と1〜30mol%のC
rB2とを含むものが好ましい、XB2とCrB2とか
ら成る原料棒を垂直方向に帯溶融し、大きな単結晶を一
方向成長させる。原料棒のCrB2の含有量は、好まし
くは、5〜20mol%の範囲を含み、これにより、結
晶粒界の発生を防止して、直径1cmを越える大きな結
晶であって、実質的に結晶粒界のない単結晶を作成する
ことができる。このようなXB2単結晶は、帯溶融時に
CrB2の揮発を伴うので、0.0004mol%〜9
mol%の残留CrB2を結晶内に含んでいる。
に成形され、主面に化学エッチングを施して成長用基板
として利用され、特に、GaNなどの窒化物半導体層を
成長させる基板として好適に利用することができる。
の式で表され、XにTi及びZrの少なくとも1つを含
む二硼化物単結晶から構成するが、本発明のXB2に
は、TiB2若しくはZrB2又はこれらの固溶体を含
んでいる。これらXB2の結晶構造は、AlB2構造と
呼ばれる六方晶構造を持っており、そり結晶構造は、G
aNの結晶のウルツアイト構造とよく似ている。
は、TiB2又はZrB2の他に少なくともCrB2を
含み、結晶中にはCrB2を0.00004mol%〜
9mol%の範囲を含有して、結晶粒界を実質的に含な
い単結晶である。結晶は、好ましくは、直径が1cmを
越える大きな単結晶として提供される。
六方晶系指数で(0001)面を主面として成長用の基
板に利用され、基板の主面を結晶成長に適した鏡面にし
て、GaN、AlN、InN若しくはBNまたはこれら
の混晶からなる成長層を形成するのに利用される。尤
も、(0001)面以外に、(01−10)面、(11
−20)面(01−12)面などが、GaNその他窒化
物半導体層の成長の主面として利用できる。特にTiま
たはZrのXB2結晶の(0001)面を主面に使用す
るのは、上記GaNやAlNとの格子整合が良好である
からである。表1には、下記の実施例で測定したZrB
2とTiB2の格子定数を含めて、格子定数を示してい
る。特に、TiB2とZrB2とは、GaNとAlNに
対して、アルミナに比べて高い整合性を示し、特に、Z
rB2は、GaNとAlNのいずれにも、格子定数の差
が2%以下であり、極めて整合性の高い組み合わせであ
ることが判る。
2を含むXB2系のZrB2若しくはTiB2の化合物
またはこれら化合物の固溶体の単結晶であり、半導体層
形成用の基板に用いられる。基板上に、半導体層とし
て、ガリウム、アルミニウム、インジウム、硼素のいず
れか少なくとも一つの窒化物半導体層を成長形成させる
のに使用される。窒化物半導体層は、特に、窒化ガリウ
ム系半導体層に利用される。これら窒化物半導体の成長
層は、上述のように、この基板と良好な格子整合関係を
持ち、特に、基板が単結晶であり、且つ、この単結晶基
板が大きな寸法であるで、その上に形成された半導体成
長層は、広い面域に亘って、格子欠陥が少なく、且つ結
晶性が極めて良好になる。
物単結晶から形成した基板は、サファイア基板と対比し
て、上記の窒化物半導体との熱膨張係数の差が小さいの
も特徴であり、これにより、本発明の基板上での例えば
GaN膜の成長過程で、温度降下する場合にGaN膜に
加わる(0001)面内方向への応力発生はサファイア
基板を用いたときに比べ小さくなる。それに伴って、サ
ファイア基板を使ったときに見られようなGaN膜成長
させた基板の反り変形が小さくなる。
に、サファイアよりも良好な熱伝導性を示し、半導体成
長用の基板として利用すれば、半導体装置部分からの放
熱が良好となる。また、上記の二硼化物単結晶は、良好
な導電性を示す。そこで、半導体装置に、二硼化物単結
晶を基板に用いると、基板は導電性を有し、半導体層の
上表面と共に、基板の表面、又は特に、裏面側に、接続
用の電極を形成することが可能となる。特に、基板裏面
に電極が形成できることは、基板上に形成される半導体
装置の高効率化や小型化に有効である。さらに基板自体
を電極として使用することも可能であり、リード線を直
接接続することもできる。
2にCrB2を混合した原料棒からフローティング・ゾ
ーン法により単結晶に成長させる方法が利用される。原
料棒は、フローティング・ゾーン法により、混合物に溶
融帯を形成しながら溶融帯を垂直方向に移動させて、溶
融帯の通過した後の一方凝固により、特定方位のXB 2
結晶を優先的に成長させることにより、単結晶が得られ
る。
rB2粉末の混合物は、圧粉体又は焼結体として棒状原
料に成形される。帯溶融装置のホルダーで原料棒を垂直
に配置して、原料棒の下方側に局部的に加熱して溶融帯
を作りながら、原料棒に対して加熱位置を相対的に上方
に移動させ、溶融体を移動させる。このように移動する
溶融帯の下部は冷却されながら凝固し、凝固過程ては、
熱勾配が一様であるで、上方に伸びるように結晶を成長
させることができる。
片を種結晶として使用するのが好ましい。上記の例で
は、始めに、種結晶と原料棒とを先端同士接触又は近接
させて配置し、その近接部位の原料棒から帯溶融を開始
して、原料棒長手方向に沿って順次、溶融帯を移動させ
るようにする。
粉末が配合され、CrB2が溶融帯直下の凝固過程で、
単一の結晶だけを優先成長させ、大きな直径の単結晶を
得ることができる。一般には、純度の高いZrB2など
単独の化合物の融点はきわめて高く(ZrB2の融点は
3050±5℃であり、TiB2の融点は2790±5
℃)、従って、溶融帯からの試料の放冷凝固過程では固
液界面での温度勾配が大きくて、成長過程では、固液界
面で幾つかの結晶が同時成長し、図3に模式的に示すよ
うに、得られた試料の断面には、結晶粒界12により区
分された多数の結晶6から成る多結晶構造が得られる。
2の役割は明らかでないけれども、XB2原料中にCr
B2を少量添加することによりXB2混合物の融点が低
下し(15mol%のCrB2につき融点は約200℃
の低下)それにより、温度勾配が緩和されて(温度勾配
はそのときの凝固温度の4乗に比例すると考えられ
る)、図2に模式的に示すように、単一の結晶のみが優
先的に成長し、結晶体全体が単結晶60により構成され
るものと考えられる。また、種子結晶を用いない場合に
は、成長初期に多結晶体から単結晶化するまでの長さが
CrB2の添加がない場合には3〜5cmであったもの
が、CrB2を添加することにより、2cm以下にな
り、単結晶化が促進される。
配合量は、XB2とCrB2との粉末混合物中に、1〜
30mol%のCrB2の範囲とする。1mol%以下
のCrB2の配合では、単結晶化促進に効果が少なく、
30mol%を越えると、溶融帯にCrB2が濃化し、
単結晶の成長速度が低下するので好ましくない。特に、
CrB2の配合量は、混合物中5〜15mol%の範囲
が好ましい。
熱は、高輝度ランブからの収束光や、レーザ光が使用で
きるが、Ti又はZrの二硼化物は、電気伝導性がある
ので、好ましくは、高周波誘導加熱が利用される。図1
は、高周波誘導加熱式のフローティング・ゾーン炉を示
す。この装置は、密閉耐圧容器12中に加熱部を配置し
ており、容器内空間13に数気圧の不活性ガス雰囲気に
おいて結晶育成が可能なように設計されている。
ル4が使用されるが、この例のコイル4は、水冷銅管が
水平面に渦巻き状に捲回されて構成され、そのコイル4
の中心部が、試料が挿通する貫通孔を形成し、耐圧容器
12内に配置されている。誘導コイル4の上下位置に
は、耐圧容器12外に昇降可能な駆動部1、9と、それ
ぞれの駆動部1、9から伸びて耐圧容器を気密的に且つ
摺動可能に貫通する上軸2及び下軸10と、これら上下
の軸2、10にそれぞれ固定された試料握持部、即ちホ
ルダー3、9とが配置され、上ホルダー3と下ホルダー
11との間で、誘導コイルの中心部を貫通する原料棒の
端部が握持される。そして、上軸駆動部1と下軸駆動部
9とは、個別に上下移動可能に制御される。
容器内に収容され、数気圧〜数十気圧の圧力で不活性ガ
ス雰囲気に制御して、溶融帯7からの揮発を抑制し、溶
融帯が耐火物などと接触することなく、結晶育成がてき
るようにされている。
原料棒8の上端を握持して懸下し、原料棒8下端側を、
下ホルダー11に握持された種結晶の上端に接触させ
て、且つ、誘導コイルの中心部に位置付けし、誘導コイ
ル4に高周波電力を供給して、上記導電性二硼化物原料
棒8に誘導電流を生じさせ、そのジュール熱により原料
棒8の下端部を局部的に加熱溶融させる。このようにし
て、形成された溶融帯7に上方より原料棒を送り込み、
下方より単結晶60を成長させる。
ては、原料の二ホウ化物粉末XB2(XはTi及びZr
の少なくとも一種を含む)と二ホウ化クロム(CrB2)
粉末を所要の配合量にしてよく混合し、結合剤として例
えば少量の樟脳を加え、ラバープレスにより静水圧(例
えば、2000kg/cm2)で加圧して、棒状の圧粉
体を作る。好ましくは、この圧粉棒を真空中又は不活性
ガス中で千数百℃に加熱して焼結して、原料棒を作る。
介して固定し、下軸10には種結晶(または初期融帯形
成用の焼結棒)5をホルダー11を介してセットする。
つぎに、原料棒8の下端をコイル4の誘導加熱により溶
融させ、溶融帯7を形成させ、上軸2と下軸10をゆっ
くりと下方に移動させて、原料棒に対して相対的に溶融
帯を上昇させ、溶融帯の冷却凝固に対応して単結晶60
を育成する。このとき、原料棒8の溶融帯7への供給速
度は、供給原料棒の密度(理論密度の通常約55%)と
育成する結晶の直径を考慮して、設定される。このよう
にして、実質的に結晶粒界を含まない大径を有する単結
晶棒を得ることができる。
ムなどの不活性ガスを用いるのが好ましい。これは、誘
導コイル4の部分で発生する放電を防止するためであ
り、さらに、溶融帯7からの蒸発を抑制するためであ
る。
は、切断加工し、主面が所要の面方位に成るように切り
出し、片面を研磨加工して主面とした基板に形成され
る。一例として、GaN系半導体層の形成用の基板で
は、基板主面は、通常は、結晶の(0001)面に平行
になるように調製される。
を用いて化学的機械的研磨される。もし粒界が存在すれ
ば、研摩表面を目視することにより確認できるが、本発
明の方法による単結晶は、ほとんど粒界は含まれない。
粒界の存在は、X線トポグラフや酸エッチングによって
も確認できるが、主面を化学研磨した時点で目視にて容
易に判別することができる。
を選び、ZrB2とCrB2との混合粉中のCrB2添
加量を、0.1mol%から30mol%との間に5水
準を選び、外径12〜14mm、長さ2000mmの粉
末棒に圧縮し、1400℃で焼結して、原料棒とした。
原料棒を、高周波加熱型のフローディングゾーン炉で、
入力28kW/hの高周波電力を投入し2cm/hの速
度で直径12〜14mmの結晶棒を作った。
微鏡観察により、CrB2添加による粒界の抑制効果を
調べた。CrB2添加量の1mol%から粒界抑制効果
が見られ、5mol%以上になると、抑制効果が顕著に
なり、断面には実質的に結晶粒界、亜粒界のない単結晶
棒が得られた。また、CrB2添加量20mol%以上
では、育成時に溶融帯直上にCrB2−ZrB2共融物
がたまり、数cm以上の溶融帯移動は不可能であった
が、粒界・亜粒界のない良質な単結晶が得られた。それ
故、長尺の単結晶棒を得るには、CrB2添加量5〜1
5mol%の範囲が好ましい添加量であることが判っ
た。
電子工業(株)製造:型式「SPS1200VR」)を
使用して、CrB2とZrB2とを分析したが、得られ
た結晶棒中のCrB2含量は、原料棒中の添加量の半分
以下に減少しており、CrB 2は、ZrB2より蒸発が
激しく、添加量の大半が蒸発により失われることが判
る。原料棒中30mol%CrB2の添加量が、ZrB
2結晶育成中のCrB2の蒸発により、結晶中のCrB
2含有量は9mol%以下となり、原料棒中5mol%
CrB2を含有させたものは、結晶中のCrB2の含有
量は0.0010〜0.5mol%である。原料棒中1
mol%CrB2の添加で結晶中CrB2は少なくとも
0.0004mol%が含まれるが、原料棒中CrB2
の無添加は、結晶中は0.0002mol%CrB2以
下となる。
は、溶融帯下の結晶育成初期に導入された粒界12や亜
粒界をその後の成長した結晶中には除去する効果がある
ことが判った。即ち、直径の大きなZrB2結晶を成長
させるに際して、ZrB2 原料棒中にCrB2が添加
されていないで純度が高いと、結晶育成初期に導入され
た粒界や亜粒界は、その後の成長した結晶中からも容易
に除去されない。この場合は、溶融帯直下の凝固面では
順次、幾つかの結晶が同時発生して、多結晶化するので
ある。しかし、ZrB2 粉末にCrB2を添加する
と、成長成開始時に導入された粒界が容易に除去され
る。即ち、CrB2の存在は、初期の多結晶中の特定結
晶粒が成長して、帯溶融域全域を単結晶化するのを促進
する作用がある。CrB2を5mol%以上添加する
と、溶融開始後1〜2cmの溶融帯移動により、育成初
期に導入されて粒界が除かれ、特定の結晶粒のみが優先
的に成長し、それ以後の溶融帯移動により良質な単結晶
が得られることが判った。
高周波加熱以外の加熱法、例えば、レーザー加熱を使用
して、単結晶の育成に適用することができる。また、こ
のようなCrB2による結晶性の改善方法は、フローテ
ィング・ゾーン法による結晶育成だけではなく、スカル
メルト法などの他の結晶成長方法にも適用することがで
きる。
但し、CrB2を添加しないでXB 2ホウ化物の単独の
焼結棒を用いて単結晶を作った。1cm以上の直径をも
つ結晶棒が製造されたが、図3に示すように結晶中に粒
界12や亜粒界が発生し良質な単結晶が得られなかっ
た。
れた直径15mmの結晶について、X線により結晶方位
を同定し、(0001)面を主面とする厚さ0.6mm
の板をバンドソーを用いて切り出した。得られた板は外
形が不定形をしているので、12.7mm角に外片を研
削加工し、厚さ方向にはダイヤモンド砥石を用いた研削
加工を行い0.4mm厚みにした。この板の片面をコロ
イダルシリカを用いて化学研磨加工し、洗浄の上基板と
した。
%添加した原料棒から調製した結晶においては研磨後に
粒界は観察されず、X線の回折試験を実施したが回折ピ
ークも単一である。さらに、、研磨後の基板表面に塩酸
・硝酸による腐食を行っても粒界は確認されず均質な単
結晶となっていることが確認された。比較例のCrB2
無添加の原料棒からFZ法により調製した直径10mm
を越える結晶棒については、化学研磨した結晶表面に粒
界が目視にて観察され、また、X線回折法にて(000
1)面を測定すると回折ピークが複数観察され、基板は
多結晶体であることが判った。
後の基板を用いて、有機金属化合物成長法(以下、MO
CVD法という)による窒化ガリウム半導体層を気相成
長により膜形成した。水素ガスを炉内に流しながらサセ
プタを加熱して基板を1050℃に加熱し、10分保持
後、950℃にしてトリメチルアルミニウム(TMA)
とNH3を流してアンドープAlN層を1μm成長し
た。このAlN層はいわゆる低温バッファ層とされるア
モルファス層又は多結晶層ではなく、高温の環境で結晶
成長した単結晶層である。さらに、NH3を流したまま
1000℃に基板を加熱し、その後トリメチルガリウム
(TMG)を流してアンドープのGaNを2μm成長し
た。このアンドープGaNエピタキシャル結晶の電気特
性をホール効果法にて測定したところ、n型であって、
キャリア濃度は1×1016cm−3 程度で良好な特
性の結晶が成長した。
2粉末を10mol%添加混合した後、結合剤として樟
脳を少量加え、直径15mmのゴム袋に詰め円柱形とし
た。これを2000kg/cm2のラバープレスを行い
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中、1800℃で加熱
し、直径1.4cm、長さ20cm程度の焼結棒を得
た。密度は約55%であった。
ゾーン炉の上軸にホルダーを介し固定し、下軸にはZr
B2焼結棒を固定した。炉内に5気圧のアルゴンを充填
した後、高周波誘導加熱により原料棒下端部を溶かし初
期溶融帯を形成し、2cm/hの速度で3時間に下方に
移動させ、全長6cm、直径1、5cmの単結晶を育成
した。結晶中のCrB2量は、4mol%であった。得
られた結晶から(0001)面を切り出し鏡面研磨の
後、エッチングを行い表面観察を行った。その結果、粒
界や亜粒界のない良質な単結晶であることを確認した。
板を用いて、MOCVD法による窒化ガリウム系半導体
の気相成長を行った。水素ガスを炉内に流しながらサセ
プタを加熱して基板を1050℃に加熱後、950℃に
してトリメチルガリウム(TMG)とNH 3を流してア
ンドープGaN層を0.5μm成長した。このGaN層
は、低温バッファ層とされるアモルファス層又は多結晶
層ではなく、高温の環境で結晶成長した単結晶層であ
る。さらに、NH3を流したまま1000℃に基板を加
熱し、その後、トリメチルガリウム(TMG)を流して
アンドープのGaN層を2μm成長させた。
エピタキシャル結晶層の電気特性をホール効果法にて測
定したところ、n型であって、キャリア濃度は1×10
16cm−3程度であって、良好な特性の結晶を成長さ
せることができた。
されるフローティング・ゾーン装置の模式的断面図。
食断面図。
面図。
Claims (9)
- 【請求項1】 XB2(XはTi及びZrの少なくとも
一種である)を主成分とする結晶であって、結晶中0.
0004mol%〜9mol%以下のCrB 2を含有す
ることを特徴とするホウ化物結晶。 - 【請求項2】 結晶が、結晶断面に実質的に結晶粒界を
含まない単結晶である請求項1に記載のホウ化物結晶。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の結晶から成り、
主面上に半導体層を成長形成させるための基板であるこ
とを特徴とする半導体層形成用基板。 - 【請求項4】 半導体層が窒化ガリウム系半導体層であ
る請求項3に記載の半導体層形成用基板。 - 【請求項5】 主成分としてXB2(XはTi及びZr
の少なくとも一種である)とCrB2とを含む混合原料
からフローティングゾーン法により単結晶を育成するこ
とを特徴とするホウ化物単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 原料棒中のCrB2の配合量が1〜30
mol%の範囲にある請求項5に記載の製造方法。 - 【請求項7】 単結晶中0.0004mol%〜9mo
l%以下のCrB2を含有する請求項5又は6に記載の
製造方法。 - 【請求項8】 請求項5ないし6のいずれかに記載の単
結晶から切り出され、主面上に半導体層を成長形成させ
るための基板とすることを特徴とする半導体層形成用基
板の製造方法。 - 【請求項9】 半導体層が窒化ガリウム系半導体層であ
る請求項8に記載の製造方法。
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