JP2002346934A - 砥粒と研削工具 - Google Patents

砥粒と研削工具

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JP2002346934A
JP2002346934A JP2001160422A JP2001160422A JP2002346934A JP 2002346934 A JP2002346934 A JP 2002346934A JP 2001160422 A JP2001160422 A JP 2001160422A JP 2001160422 A JP2001160422 A JP 2001160422A JP 2002346934 A JP2002346934 A JP 2002346934A
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grinding
abrasive grains
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grindstone
abrasive
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Takeshi Nishide
剛 西出
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切刃として使用される砥粒自体に切り粉保持機
能や冷却機能を付与すると共に自己発刃機能を有し、長
時間にわたる研削性能が確保される砥粒を提供すること
にあり、更にはその砥粒を使った研削性能や研磨性能の
良好な砥石等の研削工具を提供する。 【解決手段】砥石(1) に適用される砥粒(2) は、内部に
空洞部(2a)を有すると共に、表面に空洞部(2a)と連通す
る微小孔(2b)を有している。空洞部(2a)の開口周縁部が
鋭利な切刃の一部として機能する。空洞部(2a)は、微小
孔(2b)を介して研削時に発生する多量の研削熱を放散す
る機能と、砥石(1) による研削加工時に発生する微小な
切り粉の一部を一時保持するチップポケットとしての機
能とをもっている。砥粒自体に自己冷却性を付与するこ
とができる。微小孔(2b)の開口周縁部に形成された鋭利
な切刃に自生発刃作用が良好に得られ、その切刃が磨滅
して平坦状となる目つぶれが防止でき、研削時の切り粉
の溶着や付着による目詰まりを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、研削・研磨屑の自己保
持機能を有すると共に、研削性能の持続性や再生機能の
向上が図られた砥粒と、その砥粒を使った研削工具に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、研削工具類に適用される砥粒
は、半導体シリコン、金属、セラミック、プラスチック
などの加工対象物を研削及び研磨し、或いは切断する各
種の加工に多用されている。
【0003】この種の研削に用いる砥石構造の一例が、
例えば特開昭54−157392号公報に開示されてい
る。同公報に開示された砥石は、アルミナ質の中空球形
の砥粒とエポキシ樹脂等の結合剤とを所定の比率で混合
し、常法に従い成形したのち150〜200℃で3〜3
0時間焼成し一体化した多孔質のレジノイド砥石構造を
得ている。
【0004】この従来の多孔質レジノイド砥石は、研削
作用を発揮するだけでなく、同時にアルミナ中空球粒子
が破砕されて生じる破片により研磨作用をも発揮し、被
加工物に美麗な研削面が付与できるとしている。また、
前記アルミナ中空球粒子の粒度や使用量を選択すること
により気孔率を調整することができるため、気孔率の小
さいものから気孔率の大きいものに至るまでの所望の気
孔率を有するレジノイド砥石が得られ、そのレジノイド
砥石は、使用目的に応じた所望の機械的強度を有する砥
石として十分に使用できる利点等を有するとしている。
【0005】また、従来の他の砥石構造の一例として、
例えばダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素からなる砥粒
と、ビトリファイドボンドからなる結合剤と、そのビト
リファイドボンドの固有焼成温度よりも高い軟化点を有
する石炭系バルーン等の無機質中空状物質とを所定の比
率で混合して成形したのち、それらを焼成一体化した多
孔質のビトリファイド砥石構造を開示した特開昭62−
251077号公報が知られており、或いはアルミナ質
又は炭化珪素質の砥粒と、シリカアルミナ質の中空球形
のセラミック微粒子と、ビトリファイドボンドからなる
結合剤とを所定の比率で混合して成形したのち、それら
を焼成一体化した多孔質のビトリファイド砥石構造を開
示した特開昭63−256365号公報等がある。
【0006】上記特開昭62−251077号公報に開
示された多孔質ビトリファイド砥石は、前記ビトリファ
イドボンドの固有焼成温度よりも高い軟化点を有する無
機質中空状物質を使用したため、焼成時において軟化す
ることなく、焼成収縮を極力抑制することができると共
に、ホットプレス等により任意の気孔率を得ることがで
きる利点等を有するとしている。
【0007】一方、上記特開昭63−256365号公
報に開示された多孔質ビトリファイド砥石は、砥石の組
織中に均一に分散した多数の微細な気孔を有するため、
気孔径や気孔の均一性に優れると共に、この気孔が研削
時における切り粉の逃げ場を形成するため、研削性を向
上させるとしている。更に、前記セラミック微粒子の使
用により高価な結合剤の使用量を削減することができる
ため、砥石を軽量化することができ、高速回転使用が可
能となり、研削性をも向上させる利点等を有するとして
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の各公報に開示さ
れた多孔質の砥石は、前記結合剤中から外部に突出した
高さの異なる多数の砥粒が分散した状態で結合剤により
結合固着されている。それらの砥粒の先端は被加工物の
表面に対して局部的に接触することになり、被加工物の
表面に対して砥粒の接触面積が小さく、全体としても切
刃数が少ない。近年、研削条件は加工分野によって多様
化しており、そのため砥石の種類も多岐にわたるように
なり、しかも一層高い研削性能が要求され、同時に加工
精度に優れた砥石等の研削工具が望まれている。
【0009】また、従来の一般的な中実の砥粒や上述の
ごとき中空の球状砥粒を結合剤で結合して得られる砥石
にあっては、例えばビトリファイド砥石のように砥粒を
結合保持する結合剤の内部に気孔を形成しているものが
ある。この気孔は、研削時に発生する切り粉を一時保持
し、被加工物と離れるときに放出する切り粉の保持機能
や、外部から付与される空気や冷却流体などの冷却媒体
との接触面積が増えて、研削時に発生する研削熱の放散
効率を向上させる冷却機能を有している。
【0010】しかるに、例えば被加工物に対して砥粒の
接触面積を大きくして均一に研削しようとすれば、上述
の気孔の存在だけでは冷却機能が不足して、研削時に発
生する大量の研削熱により研削面に焼けが生じやすくな
り、砥石の全体積に対する気孔率を大きくすることが望
まれる。
【0011】高い気孔率と均一な研削性を得るには、例
えば気孔の増加に伴う、結合剤自体の強度の増加や、結
合剤と砥粒との結合強度の増加、結合剤及び砥粒の耐磨
耗性の向上、或いは砥粒の抜け落ち等の防止が必要とな
るが、それらを全て満足するには前記気孔の大きさとか
数に制限がある。
【0012】研削時に砥粒が脱落すると、脱落砥粒が砥
石と被加工物との間に巻き込まれやすくスクラッチを生
じる。この砥粒の脱落を防止しようとして結合剤による
結合強度を高めると、砥粒の先端が平滑化して目潰れが
生じやすくなる。また、被加工物と接触したときの有効
な切刃数を確保すべく微細な砥粒を多量に使用すると、
早期に目潰れや目詰まりが生じやすく、ドレッシングの
回数が増えて加工効率が低下する。このように従来の砥
石は、多くの解決しなければならない課題が残ってい
る。
【0013】本発明は、上記従来の課題を解消すべくな
されたものであり、その具体的な目的は、切刃として使
用される砥粒自体に切り粉保持機能や冷却機能を付与す
ると共に自己発刃機能を有し、長時間にわたる研削性能
が確保される砥粒を提供することにあり、更にはその砥
粒を使った研削性能や研磨性能の良好な砥石等の研削工
具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】本件発明者
等は、上述のごとく砥粒自体に切り粉保持機能や冷却機
能を付与するには、砥粒の材質以上にその構造を従来と
は異なるものにしなければならないと考えた。しかも、
切り粉保持機能や冷却機能を付与すると同時に、砥粒に
自生発刃機能を付与するための最も効果的な構造とは如
何なるものであるかについて多くの実験を試みた。その
結果、請求項1に記載した従来では予測し得ない新規な
砥粒自体の構成を採用すれば、予想外の成果が得られる
ことを知った。
【0015】すなわち、本件請求項1に係る発明は、研
削工具類に適用される砥粒であって、表面に開口する複
数の微小孔を有し、同微小孔の少なくとも1以上が他の
微小孔と連通してなり、前記開口の周縁部が切刃の一部
としての機能を有してなることを特徴とする砥粒にあ
る。
【0016】ここで、本発明における砥粒に従来公知の
一般的なセラミック材料が適用できる。一般の砥粒の材
質としては、例えば酸化アルミニウム系、炭化珪素系、
酸化ジリコニウム系などが挙げられる。他にも一般に超
砥粒と呼ばれるダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素などが
ある。
【0017】この砥粒の最も好ましい構造として、請求
項2に係る発明のごとく内部に空洞部を有しており、2
以上の前記微小孔が前記空洞部を介して連通しているこ
とを特徴とする砥粒がある。
【0018】しかして、上記請求項1の発明に係る砥粒
は、従来公知の製造技術を使って製造される。その製法
の一例として、例えば砥粒の原料を微細に粉砕して4.
5〜25μmの粉体を得て、これを湿潤剤で湿らせ、そ
の微小な粉体中に、焼成時に消失する多数の気孔形成剤
を加えて混合すると共に、所容量の結合剤を添加混合す
る。この混合物を所要の大きさ及び形状に成形したの
ち、これを所定の時間及び温度で焼成する。前記気孔形
成剤の添加量は、砥粒の原料粉体の大きさ及び結合剤の
混合比などにより、更にはその気孔の数や大きさにより
任意に調整される。
【0019】前記気孔形成剤は加熱処理中の熱により分
解・放散し、その気孔形成剤が占めていた部分が連続気
孔や独立気孔となり、表面に無数の開口をもつ微小な気
孔をもつ砥粒が得られる。この気孔形成剤としては、従
来公知の一般的な材料が使用でき、例えばナフタリン、
各種木粉、プラスチック粉体などが挙げられる。湿潤剤
としては、例えばデキストリン溶液、パラフィンエマル
ジョン、各種液状樹脂などの各種液体が挙げられる。結
合剤としては、ビトリファンド、レジンボンド、メタル
ボンドなどが挙げられる。
【0020】前記砥粒の形状は、ボール状や柱状等、又
はそれらが混在した形状であってもよい。それらの砥粒
の粒径或いは最も長い部分の寸法は約1mm〜2mm程
度が望ましい。また、前記砥粒に形成される気孔間の肉
厚は、研削時に容易に破壊しない程度の厚みであること
が好ましく、約5〜20μm程度であることが望まし
い。
【0021】前記開口は、例えば円、楕円、多角形など
の各種形状に形成される。その開口径は、前記空洞部内
に微小な切り粉の一部や研削時に使用される研削油等が
侵入する程度の大きさが必要であり、好ましくは約25
〜40μm程度が望ましい。前記開口は、その開口周壁
面を前記空洞部に向けて漸次広がるテーパ形、前記空洞
部に向けて漸次狭まる逆テーパ形、蛇行した形状に形成
され、その開口の周縁部には切刃の一部として鋭利なエ
ッジが形成される。
【0022】本発明の対象とする砥粒の表面に多数の開
口を有する空洞部は、研削時に発生する多量の研削熱を
放散する機能と、研削時に発生する微小な切り粉の一部
を一時的に含侵保持するチップポケットとしての機能と
をもっており、砥粒自体に自己冷却性を付与することが
できると共に、一部の開口が破壊しても続いて周辺の他
の開口の周縁部が鋭利な切刃として機能し、また同時に
砥粒の切刃が磨滅して平坦状となる目つぶれも防止で
き、研削時の切り粉の溶着や付着による目詰まりをも防
止できる。
【0023】上記のごとく構成された砥粒は、鋳鉄等の
金属材料、非鉄金属材料、或いは非金属材料である半導
体シリコン、セラミック、プラスチック、木材などの加
工対象物の研削、研磨又は切断に適している。従来公知
の一般的な砥石、研磨布紙や研磨ベルトなどの研削工具
類の構成材料として使用することができ、この砥粒自体
を直接研磨材として使用することもできる。
【0024】請求項2に係る発明は、内部に空洞部を有
しており、2以上の前記微小孔が前記空洞部を介して連
通していることを特徴としている。
【0025】かかる構成を備えた砥粒は、上述の単に砥
粒の原料を微細に粉砕して粉体を得て、これを湿潤剤で
湿らせ、その微小な粉体中に、焼成時に消失する多数の
気孔形成剤を加えて混合すると共に、所容量の結合剤を
添加混合しその混合物を所要の大きさ及び形状に成形し
たのち、これを所定の時間及び温度で焼成するだけでは
得られない。本発明の砥粒を製造するにあたっては、前
記気孔形成剤と同様の材質からなる核粒を予め準備し、
これを中心に配して前記混合物を所要の大きさ及び形状
に成形したのち、これを所定の時間及び温度で焼成す
る。
【0026】この焼成時に、前記核粒と混合物が分解・
放散し、内部に空洞部を有すると共に、その空洞部に連
通する微小な気孔が同時に形成される。砥粒に空洞部が
形成されることにより、切り粉の保持率が増加すると共
に冷却媒体の流通が促進されて、上記機能と合わせて更
に砥石の寿命を長くする。すなわち、請求項2の発明に
係る砥粒は、内部に形成された空洞部を介して、連続し
た微小孔や独立した微小孔が混在する、表面に無数の微
小な開口を有する中空空洞状をなしている。
【0027】請求項3に係る発明は、請求項1又は2記
載の砥粒が適用されてなることを特徴とする研削工具に
ある。
【0028】ここで、本発明の対象とする研削工具とし
ての好ましい態様は、例えば砥粒が三次元的に分布され
た形態を有する研削工具、又は砥粒が二次元的に分布さ
れた形態を有する研磨布紙や研磨ベルト等が挙げられ
る。この砥石としては、レジノイド砥石、ビトリファイ
ド砥石のいずれであってもよく、また前記砥粒の材質も
通常のアルミナや炭化珪素などの他に、ダイヤモンドや
立方晶窒化ホウ素などを使うこともできる。
【0029】本発明にあって、前記砥粒の保持形態とし
ては、例えば従来公知の一般的な結合剤の組織中に切刃
としての砥粒を取り囲んで結合保持したもの、金属製ホ
イールの周辺に電気メッキを施して結合固定したもの、
基材面上に接着剤等にて支持固定したものなどがある。
【0030】前記砥石の構成材料である結合剤として
は、従来から広く知られた周知の一般的なビトリファイ
ドボンド、レジンボンド、メタルボンドなどが挙げられ
る。この結合剤自体が、気孔を有する形態や無気孔形態
で使用される。また、研磨布紙や研磨ベルトの構成要素
である基材として、従来公知の一般的な織布、不織布、
合成樹脂フィルム、合成ゴム等が挙げられる。
【0031】本発明の対象となる砥石は、従来から広く
知られた周知の製造技術を使って形成される。その製法
の一例として、例えば上記のごとき成形された微小孔を
有する無数の砥粒と前記結合剤とを常法に従って焼成し
て一体化する。本発明にあっては、得ようとする砥石の
使用目的に応じて前記砥粒の使用量及び粒度、前記結合
剤の種類や結合度を適宜に設定すれば、前記結合剤のマ
トリックス中に所要の砥粒率を有する砥石が得られる。
【0032】本発明によれば、従来のごとく砥粒の切刃
が点状に散在することなく、砥粒の切刃が独立した微小
孔や、内外に連通する微小孔の開口周縁部に形成されて
いる。本発明の砥粒は、被加工物の表面に対して切刃間
が弧状に接触することとなり、従来の砥粒と比較して、
被加工物の表面に対して砥粒の切刃面積を大きくするこ
とができるばかりでなく、1個当たりの砥粒内の切刃数
も多くなり、一つの切刃が破損しても、周辺の切刃が自
生され、砥粒の寿命がながくなり、同時に良好な研削性
能及び加工精度(研磨性能)が得られる。
【0033】一般に、砥石による研削加工の際には、掘
削面の温度が高く、水溶性の研削液を多量に使ってい
る。研削時に使用される水溶性の研削液の一部が、前記
微小孔の開口から前記空洞部内に流入して一時的に含侵
保持する冷却効果が砥粒自体に得られ、研削時に発生す
る多量の研削熱が効果的に放散される。
【0034】また、前記砥粒の多数の微小孔に連通する
空洞部が形成されている場合は、無気孔の結合剤であっ
ても、砥石や被加工物の切り粉の排出を補助するチップ
ポケットの働きをする。研削時に発生する切り粉の一部
が、前記微小孔の開口を介して前記空洞部内に一時保持
されて、砥石が被加工物と離れるとき微小孔を介して外
部に放出され、被加工物の焼き付けが効果的に防止され
る。
【0035】更に、上述のように研削加工時の切り粉の
一部が、前記空洞部内に一時的に保持されるため、切り
粉の溶着や付着による目詰まりや加工面の傷つきが未然
に防止できる。微小であり、且つ鋭利な切刃が磨滅して
平坦状となっても、他の開口による自生発刃作用が良好
に得られ、前記砥粒の切れ味を良好に持続させることが
できる。被加工物の研削加工時において、たとえ前記切
刃が磨滅し鈍化して過大な力が作用しても、その切刃の
先端が破砕し、その破砕縁により再び鋭利な切れ味が再
生される。
【0036】このため、本発明の砥石は、切り粉の排出
率と冷却効率が向上し、例えば砥石の切刃として適度に
破砕して目潰れや目詰まり等を起こさず、被加工物に対
する研削が順調に行える。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明
の代表的な実施形態である砥石の構造を示す模式図であ
り、図2は同砥石に適用される砥粒の構造例を示す拡大
平面図である。また、本実施形態では研削砥石を例に挙
げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えばダイアモンド工具、研磨布紙などの研削工具
類にも適用することができ、更には砥粒自体を研磨材と
して適用される場合もある。前記砥粒の保持形態は、レ
ジンボンド、ビトリファイドボンド、或いは金属電着メ
ッキなどがある。
【0038】これらの図において、符号1は、本発明の
砥石に適用される砥粒を誇張して記載した円盤砥石を示
している。この砥石1は、略均一に分散して配される多
数の砥粒2,…,2と、各砥粒2を包み込んで結合保持
する結合剤3とを有している。
【0039】図示例によれば、前記砥石1は、図示せぬ
研削機の砥石軸モータの軸心周りに回転可能に支持され
る。この砥石1を前記砥石軸モータにより高速回転させ
た状態で、例えば鋳鉄、鋼等の金属材料、非金属材料で
あるセラミック、プラスチック、木材、ガラスの縁部等
の被加工物4を前記砥石1の外周面に向けて通過させる
ことにより、前記被加工物4の表面等が研削加工され
る。
【0040】本発明の対象とする砥石1は、砥粒自体に
所要の硬度、切り粉保持機能、自己冷却機能を与えて、
その性能を良好に維持し、それと同時に簡単な構造で砥
粒2の高い研削性や破砕性を可能にする。このため、本
発明の特徴とする構成は、前記砥粒2の形態やその構造
にある。
【0041】前記砥粒2は、表面に開口し切刃の一部と
して機能する複数の微小孔2b,…,2bを有してお
り、同微小孔2bの少なくとも1以上が他の微小孔2b
と連通している。この砥粒2の好ましい一形態として、
単に内部に空洞部2aを有する砥粒2を採用するだけで
はなく、内部に空洞部2aを有すると共に、表面に多数
の開口を有する微小孔2b,…,2bを有しており、2
以上の前記微小孔2bが前記空洞部2aを介して連通し
ている。
【0042】本発明の対象とする砥粒2の形状は、ボー
ル状、柱状等、又はそれらを混在した任意の中空立体形
が挙げられる。前記砥粒2に形成される気孔壁部の肉厚
は、研削時に容易に破壊しない程度の厚みが好ましく、
本実施形態にあっては約5μm〜20μm程度が望まし
い。本実施形態では、前記砥粒2は内部に空洞部2aを
有し、表面に開口する多数の微小な孔2bを有する略球
状をなしている。前記砥粒2の粒径或いは最も長い部分
の寸法は約1mm〜2mm程度である。前記砥粒2の材
質は従来から広く知られた周知の砥粒材料を使用する。
本実施形態による前記砥粒2の材料としては、例えば酸
化アルミニウム系、炭化珪素系、酸化ジリコニウム系、
ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素などの従来公知の一般
的な材料の中から選択される。
【0043】前記砥粒2は、図2に模式的に示すように
表面に開口する多数の微小孔2b,…,2bが形成され
ている。それらの微小孔2bの開口は円形、楕円形、多
角形などの各種形状に形成することができる。その微小
孔2bの開口径は、前記空洞部2a内に微小な切り粉の
一部や研削油等が流入する程度の大きさでることが好ま
しい。本実施形態にあって、前記微小孔2bは略円形を
なしており、同微小孔2bの開口径は約25μm〜40
μm程度である。各微小孔2bは略均一に且つ互いが独
立して分布している。
【0044】この微小孔2bの開口の周壁面は、前記空
洞部2aに向けて漸次広がるテーパ形、前記空洞部2a
に向けて漸次狭まる逆テーパ形として形成することがで
き、その孔形態も前記空洞部2aに向けて直線的に延び
るストレート形、或いは蛇行した形状に形成され、前記
微小孔2bの開口周縁部は切刃の一部としての鋭利なエ
ッジを有している。本実施形態では、前記微小孔2bの
開口周縁部は所要の硬度を有し、破壊によっても再生で
きる良好な自生発刃機能を有する。
【0045】前記空洞部2aは、前記微小孔2bを介し
て、研削時に発生する多量の研削熱を放散し、研削時に
発生する微小な切り粉の一部を一時的に保持するチップ
ポケットとして機能する。上述のごとき表面に多数の微
小孔2bを有する空洞部2aを備えることにより、砥粒
自体に自己冷却性を付与し、研削時の切り粉の溶着や付
着による目詰まり等が未然に防止できる。
【0046】前記砥粒2は、従来から広く知られた公知
の製造技術を利用して製造できる。その製法としては、
例えば砥粒2の原料を微細に粉砕して4.5μm〜25
μmの粉体を得て、これを湿潤剤で湿らせる。その微小
な粉体中に、焼成時に消失する多数の気孔形成剤を加え
て攪拌して混合すると共に、所容量の結合剤を添加混合
する。別に前記気孔形成剤からなる微小粒径の核粒を形
成しておき、これを中心部に配するようにして、前記混
合物を所要の大きさ及び形状に成形し、これを所定の時
間及び温度で焼成する。前記気孔形成剤の添加量は、砥
粒2の原料粉体の大きさ及び結合剤の混合比などによ
り、その気孔の数や大きさにより任意に調整することが
できる。前記混合物の焼成時間は約3〜30時間程度で
あり、その焼成温度は約150〜200℃程度である。
【0047】前記気孔形成剤は加熱処理中の熱により分
解し且つ放散して、内部に配された核粒及び混合物中の
気孔形成剤が占めていた部分が中心空洞及び連通気孔や
独立気孔となり、表面に無数の開口を有する中空空洞状
の砥粒2が形成される。この気孔形成剤としては、従来
周知の一般的な材料が使用でき、例えばナフタリン、各
種木粉、プラスチック粉体などが挙げられる。湿潤剤と
して、例えばデキストリン溶液、パラフィンエマルジョ
ン、各種液状樹脂などの各種液体が挙げられる。結合剤
としては、ビトリファンド、レジンボンド、メタルボン
ドなどが挙げられる。
【0048】本発明の対象となる砥石1は、常法に従っ
て多数の前記砥粒2と前記結合剤3とを焼成して一体化
することにより得られる。結合剤3としては、従来公知
の一般的な材料が挙げられ、例えばビトリファンド、レ
ジンボンド、メタルボンドなどが使用できる。砥石1の
使用目的に応じて、前記砥粒2の使用量及び粒度とを適
宜に選択して前記結合剤3の種類や結合度を設定するこ
とにより、同結合剤3の組織中に所要の砥粒率を有する
砥石1が効果的に得られる。
【0049】図3に本実施形態における砥石1を使用し
た研削加工の一例を示す。上述したように切刃の一部で
ある砥粒2の微小孔2bは、前記結合剤3の組織中に略
均一に且つ独立して分布している。前記砥粒2は、切刃
としての砥粒の研削点が点状に散在することなく被加工
物4の表面に対して弧状に接触することとなり、被加工
物4の表面に対して砥粒2の切刃面積が大きくなり、且
つ1個当たりの砥粒2内の切刃数を多くすることができ
る。これにより、前記砥石1による研削加工の際にの被
加工物4に対する研削量を増大させることができる。
【0050】この研削加工のとき、掘削面の温度が高
く、水溶性の研削液を多量に使っている。このため、研
削時に使用される研削液の一部が、前記微小孔2bから
前記空洞部2a内に流入して一時的に浸入保持される。
これにより、冷却効果が砥粒自体にも得られるようにな
り、研削時に発生する多量の研削熱を効果的に放出す
る。従って、前記砥石1の耐久性と良好な研削性能及び
研磨性能が効果的に得られる。
【0051】また、前記砥石1による研削加工のとき、
本実施形態による砥粒2の空洞部2aは、上記結合剤3
によるマトリックスに気孔を形成することが望ましい
が、同気孔を殊更に形成しなくても、砥粒2の空洞部2
aが切り粉を一時的に保持して、その排出を補助するチ
ップポケットの働きをする。この切り粉の一部は、前記
砥石1が被加工物4と離れるとき前記空洞部2aと連通
する微小孔2bを介して放出され、被加工物4の焼き付
けを防止することができる。
【0052】更に、前記砥石1による研削加工のとき、
上述したように切り粉の一部が、前記空洞部2aに一時
保持するため、研削時に切り粉の溶着や付着による目詰
まり等を防止する。また前記砥石1による研削加工の際
に、たとえ前記微小孔2bの周縁部に形成された切刃が
磨滅し鈍化したとしても、その切刃の先端が破砕し、再
び鋭利な切刃が再生され切れ味が戻る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である砥石の構造を
示す模式図である。
【図2】本発明に適用される砥粒の構造例を示す拡大平
面図である。
【図3】本発明に適用される砥石を使用した研削加工の
一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 砥石 2 砥粒 2a 空洞部 2b 微小孔 3 結合剤 4 被加工物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研削工具類に適用される砥粒であって、 表面に開口する複数の微小孔を有し、同微小孔の少なく
    とも1以上が他の微小孔と連通してなり、 前記開口の周縁部が切刃の一部としての機能を有してな
    ることを特徴とする砥粒。
  2. 【請求項2】 内部に空洞部を有してなり、2以上の前
    記微小孔が前記空洞部を介して連通してなることを特徴
    とする請求項1記載の砥粒。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の砥粒が適用されて
    なることを特徴とする研削工具。
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