JP2002343381A - 高分子化合物およびこれを用いた電池 - Google Patents

高分子化合物およびこれを用いた電池

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JP2002343381A
JP2002343381A JP2001151150A JP2001151150A JP2002343381A JP 2002343381 A JP2002343381 A JP 2002343381A JP 2001151150 A JP2001151150 A JP 2001151150A JP 2001151150 A JP2001151150 A JP 2001151150A JP 2002343381 A JP2002343381 A JP 2002343381A
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Tomoaki Arimura
智朗 有村
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導性等の各種特性に優れた高分子化
合物およびこれを用いた燃料電池を提供することを目的
とする。 【解決手段】 下記式(1): 【化1】 (式中、R1はエーテル化合物の基であり、R2は強酸系
官能基含有化合物の基であり、R3は環状エーテルを含
む化合物の基であり、R4はシロキサン箱型化合物の基
であり、mまたはnの少なくとも一方が1以上の整数で
あり、qおよびrは1以上の整数である)で表される高
分子鎖を含む高分子化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオン伝導性高分子
化合物およびこれを用いた燃料電池に関し、より詳しく
は、優れたイオン伝導性を有する高分子化合物およびこ
れを用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池(以下「PEF
C」とも記載)や電気化学センサーに用いられる高分子
固体イオン導伝体としてはパーフルオロアルキルスルホ
ン酸膜が用いられている。
【0003】パーフルオロスルホン酸は、下記式
(2):
【0004】
【化2】
【0005】で表される構造を一般に有しており、パー
フルオロアルキル主鎖から延びる側鎖の先端にスルホ基
が結合している。パーフルオロスルホン酸膜構造の模式
図を図10に示す。パーフルオロスルホン酸膜は、フッ
素原子がもつ疎水性の作用とスルホ基がもつ親水性の作
用とにより、図10に示すようにマクロ的には疎水相の
中に球状の親水相が存在し、親水相同士が連結管により
繋がったクラスター構造となっている。この親水相中の
スルホ基上を陽イオンが伝導することにより、パーフル
オロスルホン酸膜は高分子としては比較的大きいイオン
伝導性を発現しうる。この特性を活用し、PEFC、電
気化学センサー、フラットパネル用のイオン伝導膜に適
用されている。
【0006】しかしながら、パーフルオロスルホン酸膜
の電気抵抗は十分小さいとはいえず、システムに組み込
んだ場合の電気エネルギーの損失が大きい問題がある。
【0007】この問題に対しては、スルホ基を有する別
種のイオン交換樹脂の混合により、含まれるスルホ基数
の密度を増加させ、イオン伝導性を高める方法が提案さ
れている。しかしながらこの場合、膜中に混合された
別種のスルホ基は不規則な方向を向く傾向があり、イオ
ン伝導性を効果的に高められない、スルホ基間の距離
が大きいためイオン伝導性が低い、PEFCにおける
イオン伝導膜(高分子電解質)として用いた場合、発生
する電場の作用により混合されたイオン交換樹脂が片側
の電極側に泳動してしまうため発電に伴うイオン伝導性
低下が大きい、といった問題があった。また、直接メタ
ノール型燃料電池のイオン伝導膜として用いた場合、ア
ノード側に供給されたメタノールがカソード側へ浸透し
てしまい、カソード側での還元反応を妨害し、発電効率
が低下する問題(燃料クロスオーバ)があった。
【0008】一方、工業上に適用する上では、力学的強
度、耐熱性、製膜性、難燃性等の各種特性のより一層の
向上が所望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑み完成されたものであり、イオン伝導性等の各種特性
に優れた高分子化合物、該高分子化合物を用いたイオン
伝導膜および該高分子化合物を用いた燃料電池を提供す
ることを目的とする。
【0010】また本発明は、上記高分子化合物の製造方
法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン伝導性
向上に寄与しうる化合物を用いて高分子化合物体の分子
設計を行うことにより、優れたイオン伝導性を安定して
示す新たな高分子化合物を得ることができることに着目
し完成されたものである。即ち本発明は、請求項毎に次
のように構成される。
【0012】請求項1に記載の発明は、下記式(1):
【0013】
【化3】
【0014】(式中、R1はエーテル化合物の基であ
り、R2は強酸系官能基含有化合物の基であり、R3は環
状エーテルを含む化合物の基であり、R4はシロキサン
箱型化合物の基であり、mまたはnの少なくとも一方が
1以上の整数であり、qおよびrは1以上の整数であ
る)で表される高分子鎖を含む高分子化合物である。
【0015】請求項2に記載の発明は、前記R1はエチ
レンオキサイドの基であることを特徴とする請求項1に
記載の高分子化合物である。
【0016】請求項3に記載の発明は、前記R2はスル
ホ基含有化合物の基であることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の高分子化合物である。
【0017】請求項4に記載の発明は、前記R2はアク
リルアミドスルホン酸の基であることを特徴とする請求
項3に記載の高分子化合物である。
【0018】請求項5に記載の発明は、前記R3は糖類
の基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項に記載の高分子化合物である。
【0019】請求項6に記載の発明は、前記R3はビニ
ルメチレン−D−マンニトールの基であることを特徴と
する請求項5に記載の高分子化合物である。
【0020】請求項7に記載の発明は、前記R4はオク
タビニルペンタシクロオクタシロキサンの基であること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分
子化合物である。
【0021】請求項8に記載の発明は、mは10〜25
0であり、nは3〜330であり、qは3〜160であ
り、rは4〜120であることを特徴とする請求項1〜
7のいずれか1項に記載の高分子化合物である。
【0022】請求項9に記載の発明は、mは18〜22
0であり、nは8〜280であり、qは12〜130で
あり、rは9〜100であることを特徴とする請求項8
に記載の高分子化合物である。
【0023】請求項10に記載の発明は、前記式(1)
で表される繰り返し単位を20〜220回含んでなるこ
とを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の高
分子化合物である。
【0024】請求項11に記載の発明は、前記式(1)
で表される繰り返し単位を25〜200回含んでなるこ
とを特徴とする請求項10に記載の高分子化合物であ
る。
【0025】請求項12に記載の発明は、請求項1〜1
1のいずれか1項に記載の高分子化合物からなるイオン
伝導膜である。
【0026】請求項13に記載の発明は、高分子電解質
として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の高分子
化合物を用いてなる燃料電池である。
【0027】
【発明の効果】以上のように構成された本発明によれ
ば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0028】請求項1に記載の発明にあっては、エーテ
ル化合物、強酸系官能基含有化合物、環状エーテルを含
む化合物およびシロキサン箱型化合物から高分子鎖を形
成することにより、優れたイオン伝導性を有する高分子
化合物を得ることができる。即ち、エーテル化合物に存
在する酸素原子と強酸系官能基の作用によりイオン伝導
が促進され、環状エーテルを含む化合物によりイオン輸
送経路を明確に設定されるため、従来のパーフルオロス
ルホン酸構造を特徴とする高分子化合物よりも高いイオ
ン伝導性を発現しうる。また、シロキサン箱型化合物
は、酸化還元耐性を有するため、電池の構成材料として
用いた場合の電圧・電流による劣化が抑制される。
【0029】また、本発明に係る高分子化合物は燃料バ
リアー性が大きく、直接メタノール型燃料電池に用いた
場合にも、メタノールのアノード側からカソード側への
浸透を抑制でき、メタノールの酸素還元反応阻害による
発電効率の低下を防ぐことができる。
【0030】さらに、従来のパーフルオロアルキルスル
ホン酸膜と異なり、フッ素の使用が必須でないため、
単位面積当たりの製造コストを低減できる、焼却廃棄
の際にフッ化水素が発生することを防止できる、といっ
た効果も有する。
【0031】その他、負極親和性、引張強度、耐熱性、
製膜性、柔軟性、難燃性といった各種特性においても、
優れた高分子化合物を得ることができる。
【0032】請求項2に記載の発明にあっては、R1
してエチレンオキサイドの基を用いることにより、膜に
柔軟性を付与することができる。
【0033】請求項3に記載の発明にあっては、R2
してスルホンサン基含有化合物を用いることにより、高
分子化合物のイオン伝導性を好適に高めることができ
る。
【0034】請求項4に記載の発明にあっては、R2
してをアクリルアミドスルホン酸を用いることにより、
優れた熱的安定性および伝導率を付与することができ
る。
【0035】請求項5に記載の発明にあっては、糖類の
環状構造は基本的に剛直で分子内水素結合などによる分
子運動が少ないため、効率良いイオン輸送が可能とな
り、高分子化合物のイオン伝導度を高めることができ
る。
【0036】請求項6に記載の発明にあっては、R3
してビニルメチレン−D−マンニトールを用いることに
より、より好適に高分子化合物のイオン伝導度を高める
ことができる。
【0037】請求項7に記載の発明にあっては、R4
してオクタビニルペンタシクロオクタシシロキサンを用
いることにより、燃料成分のクロスオーバーを抑制でき
る。
【0038】請求項8および9に記載の発明にあって
は、高分子化合物を構成するモノマーユニットの好適な
結合数を規定することにより、イオン伝導性、負極親和
性、引張強度、耐熱性、製膜性、柔軟性を向上させるこ
とができる。
【0039】請求項10および11に記載の発明にあっ
ては、高分子化合物を構成する一連のモノマーユニット
の好適な連続結合数を規定することにより、高分子化合
物の力学的強度およびイオン伝導性を好適なものとする
ことができる。
【0040】請求項12に記載の発明にあっては、請求
項1〜11の効果を有するイオン伝導膜が提供される。
【0041】請求項13に記載の発明にあっては、本発
明に係る高分子化合物を燃料電池の高分子電解質として
使用することにより、電気エネルギー損失の顕著な低減
を達成できる。また、本発明に係る高分子化合物は燃料
バリアー性を有するため、直接型メタノール燃料電池の
高分子電解質として適用することも可能である。
【0042】
【発明の実施の形態】本願発明は、下記式(1):
【0043】
【化4】
【0044】(式中、R1はエーテル化合物の基であ
り、R2は強酸系官能基含有化合物の基であり、R3は環
状エーテルを含む化合物の基であり、R4はシロキサン
箱型化合物の基であり、mまたはnの少なくとも一方が
1以上の整数であり、qおよびrは1以上の整数であ
る)で表される高分子鎖を含む高分子化合物である。
【0045】前記式(1)に示す高分子鎖を含む高分子
化合物においては、R1を含むモノマーユニットIとR2
を含むモノマーユニットIIとがイオン伝導部位を提供
し、R3を含むモノマーユニットIIIの環によりイオン伝
導が促進され、R4を含むモノマーユニットIVにより酸
化還元耐性が付加されるとともに、燃料の拡散が抑制さ
れる。以下、本発明のイオン伝導体について詳細に説明
する。
【0046】本発明においてエーテル化合物の基とは、
エーテル結合(−R−O−R−)を形成する化合物の基
をいい、ビニルエーテル、アリルエーテル、メタクリル
エーテル等から形成される化合物、具体的には、メチレ
ンオキサイド(即ちR1が−CH2O−、以下同様)、エ
チレンオキサイド(−CH2CH2O−)、プロピレンオ
キサイド(−CH2CH2CH2O−)、モノクロロエチ
レンオキサイド(−CHClCH2O−または−CH2
HClO−)、アセチルエチレンオキサイド(−CH
(COCH3)CH2O−または−CH2CH(COC
3)O−)、フェニルエチレンオキサイド(−CH
(C65)CH2O−または−CH2CH(C65)O
−)、シクロヘキシルエチレンオキサイド(−CH(C
611)CH2O−または−CH2CH(C611)O−)
などを挙げることができ、膜に柔軟性を付与する観点か
らはエチレンオキサイドが好ましい。なお、これらは分
岐構造を有していてもよい。
【0047】エーテル化合物に含まれる酸素原子は一般
に共有結合に関与しない電子対(非共有電子対)を有し
ており、弱い負のチャージを帯びている。この負に弱く
帯電した原子の作用により、イオン伝導体中をプロトン
などの陽イオンが移動できる。また、エーテル系化合物
を含めることにより耐熱性を向上させることができる。
【0048】式(1)においてmは、小さすぎるとイオ
ン伝導度および膜の耐熱性の低下を招来する恐れがあ
り、10以上であることが好ましく、18以上であるこ
とがより好ましい。一方、大きすぎてもイオン伝導度お
よび柔軟性が低下する恐れがあるため250以下である
ことが好ましく、220以下であることがより好まし
い。
【0049】本発明において強酸系官能基含有化合物と
は、ブレンステッド酸性が強い官能基を有する化合物を
いい、イオン伝導性を向上させる観点からはスルホ基を
含有する化合物が好ましい。具体的には、アクリルアミ
ドスルホン酸(即ちR2が−CH2CH(CONHSO3
H)−、以下同様)、ビニルスルホン酸(−CH2CH
(SO3H)−)、アクリルアミドりん酸(−CH2CH
(CONHPO32)−)、ビニルりん酸(−CH2
H(PO32)−)などが好ましく、熱的安定性および
伝導率を考慮するとアクリルアミドスルホン酸がより好
ましい。
【0050】強酸系官能基は容易にプロトンを放出して
イオン化し、負のチャージを帯びうる。この負に帯電し
た官能基を介して、プロトンなどの陽イオンが移動でき
る。
【0051】式(1)において、nは小さすぎると強酸
系官能基の密度低下により膜のイオン伝導度および引張
強度が低下する恐れがあり、3以上であることが好まし
く、8以上であることがより好ましい。一方、大きすぎ
ると強酸系官能基の密度が大きくなりすぎるため、製膜
時に相分離を起こす恐れがあり、330以下であること
が好ましく、280以下であることがより好ましい。
【0052】本発明において環状エーテルを含む化合物
とは、構造中に環状エーテルを形成する部位を含む化合
物をいい、このような環状エーテル部位を含む化合物を
高分子鎖中に設けることにより、イオンの輸送経路が明
確に設定され、イオン伝導性を高めることができる。環
状エーテルを形成する部位は、単糖類、少糖類などの糖
類の基であることが好ましい。糖類の環状構造は基本的
に剛直で分子内水素結合などによる分子運動が少なく、
効率良いイオン輸送が可能だからである。糖類の具体例
としては、ビニルメチレン−D−マンニトール、ビニル
ガラクトース、ビニルスクロース、ビニルグルコサミン
などが挙げられ、ビニルメチレン−D−マンニトールが
優れた相互作用を呈するため特に好ましい。また、ムコ
糖の場合は窒素原子の非共有電子対もイオンとの相互作
用に用いられる利点を有する。
【0053】式(1)において、qは小さすぎるとイオ
ン伝導体主鎖との相互作用が低下するため、膜の耐熱性
が低下する恐れがある。このため、qは3以上であるこ
とが好ましく、12以上であることがより好ましい。一
方、大きすぎると剛直な環状エーテルを含む化合物の影
響が大きくなるため膜の脆性が増大し、力学的強度が低
下する恐れがある。このため、160以下であることが
好ましく、130以下であることがより好ましい。
【0054】シロキサン箱型化合物とはシロキサンによ
って箱型構造が形成されている化合物をいい、具体的に
はオクタビニルペンタシクロオクタシシロキサン、アリ
ルヘプタシクロペンチルペンタシクロシロキサンなどが
挙げられ、燃料成分のクロスオーバー抑制の観点からは
オクタビニルペンタシクロオクタシシロキサンが好まし
い。シロキサン箱型化合物を含む化合物は酸化還元耐性
を有するため、シロキサン箱型化合物由来のモノマーユ
ニットを含む本発明に係るイオン伝導体は電池の構成材
料として有用である。また、高い疎水性を有するけい素
原子が1〜3nmという小さな空間に存在し、高分子中
に高い疎水性部位が局在化しうる。PEFCの高分子電
解質として本発明に係るイオン伝導体を用いた場合、こ
の高密度で存在する高い疎水性の作用により、膜中に浸
透して来る水素、酸素、メタノール等の燃料分子と水分
子とを分離することができる。即ち、分離された燃料分
子はシロキサン箱型化合物の立体構造中に取り込まれ、
燃料分子が拡散するときの拡散効果を抑制する事ができ
る(かご効果)。従って本発明によるイオン伝導膜はP
EFCで問題になっている燃料クロスオーバ、すなわち
燃料極側に供給される水素ガスやメタノールが、空気極
側に漏洩して燃料電池効率が低下する問題をを抑制する
事ができる。
【0055】式(1)において、rは小さすぎるとシロ
キサン箱型構造部分が少なくなるため、燃料クロスオー
バ抑制効果が不十分となり、また、イオン伝導性が低下
する恐れがある。このため、rは4以上であることが好
ましく、9以上であることがより好ましい。一方、大き
すぎても、高分子化合物の親水性が低下するためイオン
輸送に必要な水分子数が減少し、イオン伝導性が低下す
る恐れがある。このため、120以下であることが好ま
しく、100以下であることがより好ましい。
【0056】高分子化合物は、分子量が小さすぎても大
きすぎても力学的強度およびイオン伝導性が低下する恐
れがある。このため、式(1)で示される繰り返し単位
を20〜220回含むことが好ましく、25〜200回
含むことがより好ましい。
【0057】本発明に係る高分子化合物を電池等に適用
する場合には、高分子化合物からなるイオン伝導膜を作
製し、これを適用することが一般的である。イオン伝導
膜の形態は特に限定されるものでなく従来使用されてい
る方法を用いることができ、例えば、ポリオレフィン、
ポリアミド、ポリイミド、樹脂等からなる樹脂ネット、
織物、不織布等と、高分子化合物とを複合化して成膜す
ることができる。
【0058】上記特性を有する本発明に係る高分子化合
物は、電気エネルギーの損失を低減する効果が顕著であ
り、例えばPEFC、電気化学式センサー、フラットパ
ネルのイオン伝導素子などの分野に適用することが好ま
しく、PEFCに適用することが特に好ましい。
【0059】なお、本発明におけるモノマーユニットの
連続結合数m、n、qおよびr、ならびに繰り返し数t
は、C、H、N、Oの元素分析によって測定することが
できる。
【0060】上述した各種特性を有する高分子化合物
は、燃料電池の高分子電解質として用いることが好まし
い。この場合、電気エネルギー損失の顕著な低減を達成
できる。例えば、PEFCを構成する構成材料として用
いた場合の電流−電圧出力過程において、従来のフッ素
系ポリマー材料を用いた場合よりも高い出力密度を示す
効果が得られる。また、燃料バリアー性を有するため、
直接型メタノール燃料電池の高分子電解質として適用す
ることも可能であり、燃料電池の効率を増大させること
ができる。その他にも、膜強度、耐熱性、製膜性、柔軟
性においても、従来のパーフルオロスルホン酸構造を特
徴とする高分子電解質と比較して高い改良効果を有す
る。
【0061】燃料電池の構成は、特に限定されるもので
はなく、高分子電解質の一方をアノード、他方をカソー
ドとし、アノード側に燃料ガス、カソード側に酸化剤
(空気、酸素等)を供給し、電気エネルギーが取り出せ
る構成であれば特に限定されるものではない。例えば図
9に示すように、本発明に係る高分子化合物を用いてな
るイオン伝導膜3の両側にアノード電極触媒相2および
カソード電極触媒相4を設け、さらにその両側にガス拡
散相1を設け、一方の側には燃料ガス(水素ガス、メタ
ノール等)を供給し、他方の側には酸化剤(空気、酸素
ガス)を供給しうる構造とすることができる。例えば、
燃料ガスとして水素と酸化剤として酸素を用いた場合に
は、アノード電極触媒相2において下記式(2)で表さ
れる反応が、カソード電極触媒相4において下記式
(3)で表される反応が進行し、全体として下記式
(4)で表される反応が進行することにより、電気エネ
ルギーが取り出される。
【0062】
【化5】
【0063】続いて本発明に係るイオン伝導体の製造方
法の一実施形態について説明する。
【0064】まず、モノマーが溶解した溶液を調整す
る。重合反応を実施する際のモノマーとして作用する化
合物の配合比は、モノマー全量に対して、ポリエーテル
化合物(以下「モノマーI」とも記載)が10〜50m
ol%、強酸系官能基含有化合物(以下「モノマーII」
とも記載)が8〜25mol%、環状エーテルを含む化
合物(以下「モノマーIII」とも記載)が1〜40mo
l%、シロキサン箱型化合物(以下「モノマーIV」と
も記載)が0.02〜70mol%となるように配合す
ることが有効である。各モノマーの配合比がこれらの下
限値よりも小さくなった場合は、重合反応が起こらない
恐れがある。逆に、これらの上限値よりも大きくなった
場合には、共重合が起こらずにホモポリマーが反応溶剤
から析出して沈殿してしまう恐れがある。
【0065】重合反応の実施に際しては、水と非プロト
ン性溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。一般に
は、モノマーIIは親水性であり、他のモノマーは疎水性
であるためである。そこで、親水性モノマー(一般には
モノマーII)を水に溶解させ、疎水性モノマー(一般に
はモノマーI、IIIおよびIV)を非プロトン溶媒に溶解
させる。水と非プロトン性溶媒との混合比は、水の容積
を1部としたときに非プロトン性溶媒を0.1〜30
部、好ましくは0.5〜25部となるように調製すると
よい。非プロトン性溶媒の混合比が小さすぎると疎水性
モノマーが沈殿し、共重合反応が起こらない恐れがあ
り、一方、大きすぎると親水性モノマーがゲル化するの
みで疎水性モノマーがポリマー主鎖に導入されない恐れ
があるからである。なお、非プロトン性溶媒の具体例と
しては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエンなど
の各種公知の溶媒が挙げられる。
【0066】また、重合反応を実施する際のモノマーと
して作用する化合物の濃度は、各モノマーが添加される
溶媒の容量に対して、モノマーIが2〜13g/ml、
モノマーIIが0.5〜8g/ml、モノマーIIIが0.
5〜3g/ml、モノマーIVが0.001〜4g/m
lとなるように添加することが有効である。各モノマー
の添加量がこれらの下限値よりも小さくなった場合は、
重合体の分子量が上昇しないため膜の力学的強度が低下
する恐れがある。一方、各モノマーの添加量がこれらの
上限値よりも大きくなった場合は、溶媒をイオン伝導体
内部に取り込むため、製膜時の乾燥速度が低下し、製膜
性が劣る原因となる。
【0067】重合開始剤としては疎水性開始剤および親
水性開始剤の混合系開始剤を用いるとよい。疎水性開始
剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド、ベンゾフェノン、過酸化−t−ブチル
などが挙げられる。水溶性開始剤としてはペルオキソ二
硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオ
キソ二硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス[2−(2−
イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などが挙
げられる。
【0068】重合開始剤の濃度は、疎水性重合開始剤に
ついてはモノマーI、モノマーIIIおよびモノマーIVの
総量に対して0.04〜26質量%、親水性重合開始剤
についてはモノマーIIの総量に対して0.01〜22質
量%を添加することが好ましい。重合開始剤の濃度が低
すぎると高分子の重合度が低下する結果、燃料成分と高
分子化合物との親和性が低下し、燃料クロスオーバ抑制
効果が低下する。逆に、重合開始剤の濃度が高すぎる
と、ランダムに重合主鎖が成長してイオン伝導体内部に
未重合のモノマー領域が形成され、イオン伝導性が低下
する恐れがある。
【0069】次に、親水性モノマーおよび親水性重合開
始剤が配合された水と、疎水性モノマー、疎水性重合開
始剤が配合された非プロトン性溶媒とを、所定温度で反
応させることによって重合させ、イオン伝導体を得る。
例えば、撹拌しながら、親水性モノマーが溶解している
溶液を滴下漏斗より疎水性モノマーが溶解している溶液
に滴下する。
【0070】続いて、得られたイオン伝導体を製膜する
方法について説明する。
【0071】上記方法によって、イオン伝導体が溶解し
ているポリマー溶液を得ることができるが、製膜にあた
っては粘度を5〜12000cPとすることが好まし
く、100〜8000cPとすることがより好ましい。
粘度が小さすぎると樹脂中に多量の溶剤が残留しイオン
伝導性が低下する恐れがあり、逆に粘度が大きすぎると
溶液を乾燥する際に多量の気泡が発生しイオン伝導性が
低下する恐れがあるからである。
【0072】粘度を調整したポリマー溶液を、基材に流
延する。流延する基材としては、アルミニウム、スチー
ル、ニッケルなどの金属材料、ガラス、セラミックス、
プラスチッなどが挙げられる。基材の形状は特に限定さ
れるものではなく、板状、円盤状、フィルム状、金属箔
状、プール状、波板状、管状など所望の形状を使用でき
る。また基材は、静置されていても、等速度あるいは加
速度下にて直進、並進、回転、振幅等の運動を行ってい
てもよい。
【0073】ポリマー溶液が流延される基材表面の温度
分布は、最高温度と最低温度との差が30℃以内ること
が好ましく、20℃以内であることがより好ましい。基
材表面の温度分布が大きすぎると、ポリマー溶液の乾燥
速度が相違するので、乾燥速度が大きい部分にポリマー
が凝集してしまう。このために膜厚が非連続的に不均一
となる恐れがある。
【0074】なお、上記例示した化合物はいずれも限定
されるものではなく、各種公知の化合物や市販品を適宜
用いることが可能であることは勿論である。
【0075】
【実施例】<実施例1:イオン伝導度評価> 1.イオン伝導体の作製 重合における反応容器は、3つ口200mlセパラブル
フラスコに、オーバーヘッドスターラー、撹拌羽根付き
撹拌棒、冷却器、窒素導入管を装着したものを用いた。
【0076】反応容器において、トリアリルエチレング
リコール2.27g、ビニルメチルマンニトール0.2
g、オクタビニルペンタシクロオクタシロキサン0.1
g、アゾビスイソブチロニトリル0.06g、ベンゾイ
ルパーオキサイド0.10gをN,N−ジメチルホルム
アミド8mlに溶解させ、疎水性モノマー溶液とした。
これとは別にアクリルアミドスルホン酸1.95g、ペ
ルオキソ二硫酸アンモニウム0.06gを水4mlに溶
解させ、親水性モノマー溶液とした。反応容器内部を窒
素雰囲気にし、疎水性モノマー溶液を撹拌しながら親水
性モノマー溶液を滴下漏斗より除々に滴下した。反応温
度を室温から80℃まで上昇させ、4時間撹拌したとこ
ろ、粘稠性のある黄色のポリマー溶液が得られた。
【0077】得られたポリマー溶液にN,N−ジメチル
ホルムアミドを添加することによって、溶液粘度を10
0センチポイズ(cP)に調整した。溶液粘度は回転粘
度計を用いて測定した。ロータリーエバポレーターを用
いてこの溶液を脱泡し、ガラスフィルターで不純物を除
去した。
【0078】ポリマー溶液を流延するキャスト板は、セ
ラミックヒータ、銅板およびアルミ板が積層された平面
板を用いた。セラミックヒータの加熱と銅板の高い熱伝
導性とにより、アルミ平面内温度を120℃±4℃に調
整した。アルミ平面の所定面積領域へポリマー溶液を流
延した後、加熱乾燥しながら溶媒を徐々に揮発させるこ
とによりキャスト膜(イオン伝導膜)を得た。
【0079】得られたキャスト膜は温度20℃、相対湿
度80%の恒温恒湿室中に12時間静置した後に金属ヘ
ラを用いてアルミ板から剥離させた。
【0080】2.キャスト膜のイオン伝導度の測定 a イオン伝導度測定用セルの作製 a−1 白金電極付板の作製 中央部に貫通した液だめ(縦0.5cm×横1.0cm
×深さ1.0cm)を有する板(縦3.5cm×横4.
5cm×高さ1.0cm)2枚を準備した。白金箔(厚
み0.30mm)を0.5cm×2.0cmにカット
し、両面テープで板液だめの0.5cm辺と白金箔の
0.5cmの辺が正確に一致するように貼り付け電極と
した。また、電極面積が0.35cm2となるように保
護テープで覆った。
【0081】a−2 白金黒のめっき 白金電極の表面積を大きくするために、次の手順により
白金電極表面に白金黒をめっきした。1/40Nの塩酸
30mlに酢酸鉛(Pb(CH3COO)2・3H2O)
0.008g、塩化白金酸(H2PtCl6・6H2O)
1gを溶解させたものをめっき液とした。このめっき液
中にa−1で作製した白金電極付板を1個ずつ浸し、浴
電圧3.0V、電流14mA、電流密度40mA/cm
2となるように、直流電圧電流発生装置(アドバンテス
トR1644)をセットした。2電極を交互に徐々にめ
っきするために、約1分ごとに装置側の+−の設定スイ
ッチを入れ換え、電極の+−を交換する操作を50分間
続けた。白金黒がめっきされた白金電極付板を蒸留水で
洗浄した。その後、10体積%希硫酸中において、作製
された白金黒極板を−に、別の新しい白金極板を+にセ
ットして10分間3Vの電圧をかけ、白金電極付板に付
着したメッキ液や塩素を除去した。最後に蒸留水で白金
電極をよく洗浄し、蒸留水中に保存した。
【0082】b.交流法(コール・コールプロット)に
よるイオン伝導度測定 上記作製したセルの液だめと白金黒電極を覆う大きさ
(1.5cm×1.2cm)にキャスト膜をカットし、
2枚の板の間に挟んだ。次に、キャスト膜の両側の液だ
めに0.03N塩酸を約0.3ml入れ、塩酸が両側か
らキャスト膜全体を覆うセルを作製した。セルをスタン
ドに固定し、白金黒電極をソーラトロン−インピーダン
ス/ゲイン−フェイスアナライザーSI1260に接続
し、交流電流を高周波側から低周波側へと電流の周波数
を小さくしながらキャスト膜に流した。この時の抵抗値
を実数軸及び虚数軸に対してプロットした(コール・コ
ールプロット)。一般的にグラフはこの場合、高周波側
で半円を描いた後低周波側では右上がりの直線の形とな
り、この半円の直径がサンプルの抵抗を表わす。本測定
においては、この半円の半径を見積り、その値からイオ
ン伝導度を計算した。即ち、下記式(a):
【0083】
【数1】
【0084】により求められる。本実施例においては、
電極間距離はセルの構造上キャスト膜の膜厚0.5cm
であり、膜断面積は1.0cm2である。
【0085】比較例1として、キャスト膜の代わりにパ
ーフルオロスルホン酸膜(デュポン株式会社製、ナフィ
オン−H型)を用いた以外は実施例1と同様にしてセル
を作製し、イオン伝導度を作製した。
【0086】図1に比較例1のイオン伝導度を1.0と
した時の、実施例1のイオン伝導度相対値を示す。本発
明に係るイオン伝導体のイオン伝導度は、パーフルオロ
スルホン酸膜のイオン伝導度の約1.3倍大きく、イオ
ン伝導度の著しい改善が確認された。
【0087】<実施例2:負極親和度評価>本発明に係
るイオン伝導体と負極との親和性を以下の方法で評価し
た。実施例1で調製したポリマー溶液をキャスト板に流
延する代わりに、幅20mm、長さ200mm、厚み5
mmのカーボン板上に流延し、キャスト膜を作製した。
カーボン板の端からキャスト膜を50mm剥離し、引っ
張り試験装置の上下チャック間にそのうち20mmを挟
ませて引っ張った時の高分子膜の最大剥離強度S2(M
Pa)を測定した。同様にイオン伝導体としてポリエチ
レンオキサイド(分子量20000)を用いて剥離強度
S1を評価した。これらの値を用いて負極親和度を下記
式(b):
【0088】
【数2】
【0089】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、負極親和性において優れているこ
とが確認された。
【0090】<実施例3:引張強度比評価>本発明に係
るイオン伝導体の引張強度比を以下の方法で評価した。
実施例1で調製したキャスト膜を幅10mm、長さ15
0mmにカットし、引張り試験機に掛け、チャック間距
離100mmにて引張ったときの引張強度F2を求め
た。次にポリエチレンオキサイド(分子量20000)
を用いて製造したイオン伝導体膜の引張り強度をF1
(MPa)とした。これらの値を用いて引張強度比を下
記式(c):
【0091】
【数3】
【0092】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、引張強度において優れていること
が確認された。
【0093】<実施例4:耐熱度評価>本発明に係るイ
オン伝導体の耐熱度を以下の方法で評価した。実施例1
で調製したキャスト膜を5mg採取し、TG−DTAを
空気雰囲気で測定した。その時の熱分解開始温度をT2
(℃)とし、イオン伝導体としてポリエチレンオキサイ
ド(分子量20000)を用いて測定した熱分解開始温
度をT1(℃)とし、耐熱度を下記式(d):
【0094】
【数4】
【0095】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、耐熱性において優れていることが
確認された。
【0096】<実施例5:製膜度評価>本発明に係るイ
オン伝導体の製膜度を以下の方法で評価した。実施例1
でセラミックヒータでポリマー溶液を加熱する操作にお
いて、加熱時間を変えて膜を製作し、剥離して引張強度
を測定した。加熱時間と膜の引張強度との相関性を測定
するにあたり、膜の引張強度が1MPaに到達するとき
の時間をL2とし、イオン伝導体としてポリエチレンオ
キサイド(分子量20000)を用いて測定したときの
時間をL1とし、製膜度を下記式(e):
【0097】
【数5】
【0098】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、製膜性において優れていることが
確認された。
【0099】<実施例6:柔軟度評価>本発明に係るイ
オン伝導体の柔軟度を以下の方法で評価した。実施例1
で調製したキャスト膜を5cm×5cmの正方形に切り
取り、膜上に平滑な金属板を敷き、金属板上に20gの
分銅を置いた。この時の分銅の沈み深さをレーザ変位計
を用いて測定し、膜の厚み減少距離をD2(mm)とし
た。イオン伝導体としてポリエチレンオキサイド(分子
量20000)を用いて測定したときの厚み減少距離を
D1とし、柔軟度を下記式(f):
【0100】
【数6】
【0101】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、柔軟性において優れていることが
確認された。
【0102】<実施例7:難燃度評価>本発明に係るイ
オン伝導体の難燃度を以下の方法で評価した。実施例1
で調製したキャスト膜を30cm×30cm、厚み10
0μmに切り取り、この膜を固定してバーナー炎に近づ
け、30秒間接触させて炎を取り去り、燃焼した表面の
最大径H1を計測した。イオン伝導体としてポリエチレ
ンオキサイド(分子量20000)を用いて測定した時
の最大径をH2とし、難燃度を下記式(g):
【0103】
【数7】
【0104】と定義した。図1に結果を示す。本発明に
係るイオン伝導体が、難燃性において優れていることが
確認された。
【0105】<実施例8>イオン伝導体のモノマーユニ
ットIの重合度mを変化させ、イオン伝導度相対値を測
定した。結果を図2に示す。mが10〜250の範囲に
於いてイオン伝導度相対値が1.0を上回り、18〜2
20の範囲で効果はより顕著であった。
【0106】<実施例9>イオン伝導体のモノマーユニ
ットIIの重合度nを変化させ、引張強度比を測定した。
結果を図3に示す。nが3〜330の範囲に於いて引張
強度比が1.0を上回り、8〜280の範囲で効果はよ
り顕著であった。
【0107】<実施例10>イオン伝導体のモノマーユ
ニットIIIの重合度qを変化させ、耐熱度を測定した。
結果を図4に示す。qが3〜160の範囲に於いて耐熱
度が1.0を上回り、12〜130の範囲で効果はより
顕著であった。
【0108】<実施例11>イオン伝導体のモノマーユ
ニットIVの重合度rを変化させ、イオン伝導度相対値
を測定した。結果を図5に示す。rが4〜120の範囲
に於いてイオン伝導度相対値が1.0を上回り、9〜1
00の範囲で効果はより顕著であった。
【0109】<実施例12>繰り返し単位全体の繰り返
し数tを変化させ、イオン伝導度相対値の変化を測定し
た。結果を図6に示す。tが20〜220の範囲に於い
てイオン伝導度相対値が1.0を上回り、25〜200
の範囲で効果はより顕著であった。
【0110】<実施例13>実施例1で得られた高分子
電解質膜(厚み180μm)をガラス透析容器内部に設
置し、ガラス透析容器を2分割した。一方を透析相1、
他方を透析相2とし、それぞれの相は開放しておいた。
透析相1に3質量%のメタノール水溶液を一定量注入
し、同一体積の水を透析相2に注入した。両相は撹拌羽
根を用いて100回転/分の回転速度で撹拌した。
【0111】透析開始から24時間後、透析相2を一定
量採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて透析相1か
ら透析相2へ浸透したメタノール量を定量した。本発明
に係る高分子電解質膜の代わりにパーフルオロアルキル
スルホン酸膜(厚み180μm)を用いた時(比較例
2)の浸透メタノール量を1としたときの浸透メタノー
ル量を図7に示す。本発明に係るキャスト膜のメタノー
ル透過量はパーフルオロスルホン酸膜よりも15%程度
低く、優れたメタノールバリアー性を有していることが
確認された。
【0112】<実施例14:発電特性評価>200ml
ステンレスビーカに実施例1と同様にして得られたポリ
マー溶液100mlおよび白金担持カーボン微粒子を入
れ、カーボン微粒子を基盤面に固定させた。8枚羽根付
き撹拌棒をセットしたホモジナイザーを用いて撹拌速度
400回転/分で30分撹拌することにより溶剤を蒸発
させ、粘度10000cPの白金カーボン微粒子分散液
を調製し、触媒相とした。
【0113】実施例1で得られたキャスト膜(縦12c
m×横12cm、厚さ25μm)の中央部を、10cm
×10cmにくり貫かれたSUSシート(厚さ20μ
m)で覆った。その上からアプリケータを用いて白金触
媒担持量が0.1mg/cm2になるように触媒相を押
し広げ、4時間風乾した。同様にして膜の反対側にも触
媒相を塗布し、膜電極体とした。
【0114】得られた膜電極体を2枚のカーボン繊維製
織物(目付け:80g/m2)で挟持し、さらに流路幅
3mm、溝深さ3mmのガス流路を切削したカーボン板
および金めっきした銅板で挟み、それらをテトラフルオ
ロエチレン製のボルトナット8本で締め付け、PEFC
テストセルとした。
【0115】テストセルのアノード側に加湿水素、カソ
ード側に加湿酸素を流し、発電させたときの電流および
電圧を測定した。またキャスト膜の代わりにパーフルオ
ロスルホン酸膜を用いて同様の実験を行い比較例3とし
た。これらの結果を図8に示す。本発明に係るイオン導
電体を用いたPEFCテストセルの電流電圧特性は従来
のパーフルオロアルキルスルホン酸膜を用いた場合より
も優れていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る高分子化合物のイオン伝導度、
負極親和度、引張強度比、耐熱度、製膜度、柔軟度およ
び難燃度を従来の高分子化合物と比較したグラフであ
る。
【図2】 イオン伝導体のモノマーユニットIの重合度
mを変化させたときのイオン伝導度相対値の変化を示す
グラフである。
【図3】 イオン伝導体のモノマーユニットIIの重合度
nを変化させたときの引張強度比の変化を示すグラフで
ある。
【図4】 イオン伝導体のモノマーユニットIIIの重合
度qを変化させたときの耐熱度の変化を示すグラフであ
る。
【図5】 イオン伝導体のモノマーユニットIVの重合
度rを変化させたときのイオン伝導度相対値の変化を示
すグラフである。
【図6】 繰り返し単位の繰り返し数tを変化させたと
きのイオン伝導度相対値の変化を示すグラフである。
【図7】 本発明に係る高分子化合物のメタノール透過
度をパーフルオロアルキルスルホン酸膜と比較したグラ
フである。
【図8】 本発明に係る燃料電池と従来の燃料電池との
電流−電圧特性を比較したグラフである。
【図9】 本発明に係る燃料電池の断面模式図である。
【図10】 パーフルオロスルホン酸膜構造の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 ガス拡散相 2 アノード電極触媒相 3 イオン伝導膜 4 カソード電極触媒相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 1/06 H01B 1/06 A H01M 8/10 H01M 8/10 Fターム(参考) 4J100 AD11R AE09P AE13P AE21P AM21Q AP01Q AP07Q AP16S BA56Q BA66Q BA81S CA06 JA43 5G301 CD01 CE01 5H026 AA06 CX05 EE18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1): 【化1】 (式中、R1はエーテル化合物の基であり、R2は強酸系
    官能基含有化合物の基であり、R3は環状エーテルを含
    む化合物の基であり、R4はシロキサン箱型化合物の基
    であり、mまたはnの少なくとも一方が1以上の整数で
    あり、qおよびrは1以上の整数である)で表される高
    分子鎖を含む高分子化合物。
  2. 【請求項2】 前記R1はエチレンオキサイドの基であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 【請求項3】 前記R2はスルホ基含有化合物の基であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子化
    合物。
  4. 【請求項4】 前記R2はアクリルアミドスルホン酸の
    基であることを特徴とする請求項3に記載の高分子化合
    物。
  5. 【請求項5】 前記R3は糖類の基を含むことを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子化合
    物。
  6. 【請求項6】 前記R3はビニルメチレン−D−マンニ
    トールの基であることを特徴とする請求項5に記載の高
    分子化合物。
  7. 【請求項7】 前記R4はオクタビニルペンタシクロオ
    クタシロキサンの基であることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  8. 【請求項8】 mは10〜250であり、nは3〜33
    0であり、qは3〜160であり、rは4〜120であ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の高分子化合物。
  9. 【請求項9】 mは18〜220であり、nは8〜28
    0であり、qは12〜130であり、rは9〜100で
    あることを特徴とする請求項8に記載の高分子化合物。
  10. 【請求項10】 前記式(1)で表される繰り返し単位
    を20〜220回含んでなることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  11. 【請求項11】 前記式(1)で表される繰り返し単位
    を25〜200回含んでなることを特徴とする請求項1
    0に記載の高分子化合物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の高分子化合物からなるイオン伝導膜。
  13. 【請求項13】 高分子電解質として、請求項1〜11
    のいずれか1項に記載の高分子化合物を用いてなる燃料
    電池。
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