JP2002341913A - 数値制御工作機械におけるワークの加工方法及びそのプログラム - Google Patents
数値制御工作機械におけるワークの加工方法及びそのプログラムInfo
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Abstract
加工時間を短縮し、ワークの加工コストの削減を図るこ
とができるワークの加工方法を提供する。 【解決手段】 今回工具を指定するステップS71と、
今回工具を割り出し、ワーク側に移動させて前記ワーク
の加工を行うステップS73,S74と、次回工具を指
定するステップS72と、次回工具を所定位置に割り出
すステップS77と、今回工具によるワークの加工終了
後に、NCプログラムの実行について待ち合わせを行う
ステップS79と、今回工具のワークからの退避移動と
同時に次回工具をワークに向けて移動させることについ
て移動許可が存在するかどうかを判断するステップS8
0と、移動許可が存在する場合に、前記今回工具のワー
クからの退避移動と同時に、次回工具をワークに向けて
移動させるステップS82,S85と、次回工具による
ワークの加工を開始させるステップS84とを有する。
Description
旋盤等の数値制御工作機械に関し、特に、ワークの加工
を行う工具の切り換えを迅速に行い、無駄時間を短縮又
は無くすことができる数値制御工作機械におけるワーク
の加工方法及びそのNCプログラムに関するものであ
る。
御(NC)旋盤の概略平面図を示す。このNC旋盤20
0は、主軸220を回転自在に支持する主軸台210
と、主軸220の軸線Cの両側に配置された二つの刃物
台、すなわち、櫛刃形の第一の刃物台240及び第二の
刃物台260とを有している。第一の刃物台240は、
図11の紙面に直交する方向であるY軸方向に移動でき
るようにサドル241に設けられ、第二の刃物台260
は、Y軸方向に移動できるように、サドル261に設け
られている。サドル241,261は、主軸軸線Cと水
平面内で直交するX軸方向に移動できるように、刃物台
本体230,250に設けられている。刃物台本体23
0,250は、主軸軸線Cと同方向のZ軸方向に移動で
きるように、NC旋盤のベッド201に設けられてい
る。
孔が形成されていて、長尺棒状のワークWが、主軸22
0のこの貫通孔を挿通するようになっている。ワークW
は、主軸220の前方(図面の左側)に設けられたガイ
ドブッシュ271から所定長さ先端を突出させた状態
で、主軸220の先端に設けられた図示しないチャック
によって把持される。工具T1,T2は、刃物台24
0,260のY軸方向の移動によって所定位置に割り出
され、刃物台本体230,250のZ軸方向の移動及び
サドル241,261のX方向の移動の組み合わせによ
り、ワークWに対して位置決めがなされる。
定の条件下では、工具T1,T2を同時にワークWに当
接させ、工具T1,T2に対してワークWを相対回転さ
せることで、二つの工具T1,T2による加工を同時に
行うことができる。しかしながら、種類の異なる工具T
1,T2でワークWの加工を行うには、工具T1,T2
に対するワークWの相対回転速度などの切削条件が異な
るため、多くの場合、種類の異なる工具T1,T2でワ
ークWの同時加工を行うことはできない。
切削を行うバイト等の切削工具で、次回工具T2がワー
クWの外周面に穴あけ加工を行うドリル等の回転工具で
ある場合、今回工具T1から次回工具T2に切り換える
際には、ワークWの回転を停止させ、所定の回転角度位
置に位置決めして固定しなければならない。このよう
に、工具T1,T2によるワークWの同時加工を行うこ
とができない場合は、今回工具T1によるワークWの加
工中には、今回工具T1及びワークWと干渉が生じない
位置(待機位置)で次回工具T2を待機させておき、今
回工具T1によるワークWの加工終了後に、今回工具T
1を次回工具T2に切り換えて加工を行う必要がある。
1から次回工具T2への工具の切り換えの手順を図12
(a)〜(c)に示す。図12(a)に示すように、第
一の刃物台240の今回工具T1によるワークWの加工
中には、第二の刃物台260の次回工具T2は、今回工
具T1及びワークWと干渉が生じない位置B2で待機し
ている。図12(b)に示すように、第一の刃物台24
0の今回工具T1によるワークWの加工が終了すると、
今回工具T1がワークWから退避して予め設定された所
定の位置A1まで移動する。そして、第一の刃物台24
0がこの位置A1まで移動して停止したときに、次回工
具T2が位置B2からワークWに向けて移動を開始す
る。この後、図12(c)に示すように、次回工具T2
によるワークWの加工が開始される。
さらなるコスト削減の要求から、刃物台による工具の割
り出し時間を短縮したり、主軸の回転速度を高速化した
りして、加工時間の短縮を図るなどの手段が講じられて
いる。しかしながら、割り出し時間の短縮や主軸の回転
速度の高速化等による加工時間の短縮は、近年では実質
的に限界に達していて、これまで以上の大幅な加工時間
の短縮はほとんど期待することができない。
かんがみてなされたもので、複数の刃物台の工具を交互
に切り換えながらワークの加工を行う場合に、工具の切
り換え時間を短縮することによって加工時間を短縮し、
ワークの加工コストのさらなる削減を図ることができる
数値制御工作機械におけるワークの加工方法及びそのプ
ログラムを提供することを目的とする。
の切り換え時に発生するいわゆる無駄時間を短縮又は無
くすことにより、加工時間の大幅な短縮を図ることを見
出した。すなわち、上記したような従来の工具T1,T
2の切り換え工程では、図12(b)に示すように、今
回工具T1と次回工具T2のいずれによってもワークW
の加工が行われていない、いわゆる無駄時間が発生す
る。そこで、このような無駄時間の短縮又は無駄時間を
無くすことによって、加工時間の大幅な短縮を図った。
が図13である。図13(a)は今回工具T1の退避移
動開始からの経過時間と移動速度との関係を示し、図1
3(b)は次回工具T2の移動開始からの経過時間と移
動速度との関係を示している。今回工具T1によるワー
クWの加工が終了し、今回工具T1は(a)に示すよう
な速度変化曲線を描きながら、時間t1でワークWから
所定距離離れた位置A1まで移動する。そして、今回工
具T1が位置A1まで移動して停止すると同時に、次回
工具T2が移動を開始し、図13(b)に示すような速
度変化曲線を描きながら、時間t2でワークWまで達す
る。したがって、今回工具T1が退避移動を開始する時
刻0から、次回工具T2の移動が終了する時刻t2まで
の時間が、無駄時間として発生する。
う現状の工具の待機位置にも着目した。例えば、図14
に示すような場合においては、工具T1,T2の待機位
置である位置B1,B2が、ワークWの形状にかかわら
ず一定であった。すなわち、図14(a)に示すよう
に、大径部Waと小径部Wbとを有するワークWの加工
を行う場合に、ワークWの外径Wzを基準として距離L
1,L2のところに位置B1,B2を設定している。そ
のため、小径部Wbの加工を行う際には工具T1,T2
からワークWまでの距離が遠すぎて、工具T1,T2が
ワークWに到達するまでに長時間を要し、多大な無駄時
間が発生することになる。そこで、ワークWの形状に応
じて待機位置を設定するようにして、加工時間の短縮を
図った。本発明では、上記の目的を達成するために、今
回工具である今回工具T1が加工を終えてワークWから
退避移動を開始すると同時に、次回工具T2がワークに
向けて移動を開始するようにした。
数の工具を備え、割り出し動作によって所定の工具を所
定位置に割り出すことが可能な刃物台を複数有し、複数
の刃物台の複数の工具を切り換えがらワークの加工を行
う数値制御工作機械におけるワークの加工方法におい
て、一の前記刃物台に装着された今回使用する今回工具
を指定するステップと、この指定に基づいて今回工具を
割り出し、ワーク側に移動させて前記ワークの加工を行
うステップと、他の前記刃物台に装着された次回使用す
る次回工具を指定するステップと、指定された次回工具
を所定位置に割り出すステップと、今回工具によるワー
クの加工終了後に、NCプログラムの実行について待ち
合わせを行うステップと、今回工具のワークからの退避
移動と同時に次回工具をワークに向けて移動させること
について移動許可が存在するかどうかを判断するステッ
プと、前記移動許可が存在する場合に、前記今回工具の
ワークからの退避移動と同時に、次回工具をワークに向
けて移動させるステップと、次回工具によるワークの加
工を開始させるステップとを有する加工方法である。こ
の方法では、今回工具の終了後に今回工具の退避移動の
開始と同時に次回工具をワークに向けて移動させるよう
にしているので、無駄時間を短縮することができる。
が、加工終了後にワークから第一の距離まで移動したと
きに、次回工具が、前記ワークから第二の距離まで接近
している加工方法である。本発明においては、請求項3
に記載するように、補間指令によって、前記今回工具が
退避移動を開始してから前記第一の距離まで達する時刻
と、前記次回工具が前記ワーク側への移動を開始してか
ら前記第二の距離まで達する時刻とが同じになるように
するとよい。前記第一の距離及び第二の距離を可能な限
り小さく設定することで、無駄時間を0に近づけること
ができる。
することの無い位置に前記第一の距離を設定すること
で、今回工具を安全な位置に確実に退避させた後で次回
工具によるワークの加工を開始させることができるよう
になる。また、請求項4に記載するように、前記第一の
距離及び前記第二の距離が共に等しくなるようにしても
よい。
移動速度と、前記次回工具の移動速度を同一にした加工
方法である。このように、今回工具と次回工具とを同期
移動させることで、今回工具と次回工具の距離を一定に
保ったまま、今回工具をワークから所定位置まで退避さ
せ、次回工具をワークまで移動させることができる。
ログラムをNC装置に読み込ませることで実行が可能で
ある。すなわち、請求項6に記載の発明は、複数の工具
を備え、割り出し動作によって所定の工具を所定位置に
割り出すことが可能な刃物台を複数有し、複数の刃物台
の複数の工具を切り換えがらワークの加工を行う数値制
御工作機械におけるワーク加工のためのプログラムにお
いて、今回工具と次回工具とを指定し、今回工具の移動
中における次回工具の移動を許容し、今回工具の退避移
動の開始とともに次回工具のワーク側への移動を指令す
るプログラムである。
移動中に、次回工具の移動を許容することができ、両工
具を同時に移動させることが可能になる。そのため、工
具切り換え時における無駄時間を短縮することができ
る。この場合、請求項7に記載するように、前記今回工
具が退避を開始して予め設定された第一の位置まで達す
る時刻と、前記次回工具がワーク側への移動を開始して
予め設定された第二の位置まで達する時刻とが同じにな
るように、前記今回工具の移動と前記次回工具の移動に
ついて補間指令を行うようにするとよい。前記した第一
の位置及び第二の位置は、ワークから同一の距離のとこ
ろにあってもよく、また、ワークに可能な限り近いとこ
ろに設けるとよい。このようにすることで、無駄時間を
可能な限り小さくすることができる。
回工具の退避移動と、前記次回工具のワーク側への移動
とを同期させるようにしてもよい。さらに、請求項9に
記載の発明は、前記次回工具の前記ワーク側への移動を
許容する指令を、特定の宣言コードを用いて行うプログ
ラムである。また、請求項10に記載の発明は、前記次
回工具の前記ワーク側への移動を許容する指令を、特定
のプログラム文によって定義するプログラムである。こ
のように、次回工具の移動制限を解除して、今回工具の
退避移動中に次回工具の移動を許容するのは、所定の宣
言コードであってもよいし、所定のプログラム文であっ
てもよい。この発明では、請求項11に記載するよう
に、前記次回工具の前記ワーク側への移動を許容するか
どうかを、プログラムごと、工具ごと又は移動軸ごとに
パラメータ化して設定することも可能である。
を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の
説明では、適宜に、図11のNC旋盤を参照するものと
する。 [第一の実施形態]図1は、本発明における加工方法の
第一の実施形態を説明するためのフローチャートであ
る。NCプログラムの実行開始とともに、今回工具T1
の指定と次回工具T2の指定が行われる(ステップS7
1,S72)。今回工具T1及び次回工具T2の指定
は、それぞれ別系統で行われる。今回工具T1及び次回
工具T2の指定は同時であってもよいが、次回工具T2
の指定は遅くとも今回工具T1によるワークWの加工終
了前までに行われるようにしてある。
の刃物台240(図11参照)が今回工具T1を所定位
置に割り出す(ステップS73)。そして、今回工具T
1をワークW側へ移動させて、今回工具T1によるワー
クWの加工を開始する(ステップS74)。次回工具T
2については、次回工具T2の指定があったときに、第
二の刃物台260の割り出し動作が可能かどうかを判断
して(ステップS76)、可能であれば次回工具T2を
所定位置に割り出し、当該割り出しを行った位置又はこ
の位置よりもワークに近い所定の位置で工具T2を待機
させる(ステップS77)。割り出し動作が可能でなけ
れば(ステップS76)、割り出しが可能になるまで待
機する。今回工具T1によるワークW1の加工が終了す
れば(ステップS75)、今回工具T1側と次回工具T
2との間でプログラムの実行を待ち合わせる(ステップ
S78,79)。
ては、今回工具T1の移動中に次回工具T2を移動させ
ることについて、移動許可がなされているかどうかを判
断し(ステップS80)、許可がなされていなければ、
今回工具T1の退避移動が完了するまで待機する(ステ
ップS81)。許可がなされていれば、今回工具T1の
退避移動の開始と同時に、次回工具T2のワークW側へ
の移動を開始させる(ステップS82,S85)。今回
工具T1は、例えば、第一の刃物台240の割り出し動
作が可能な位置まで移動して退避移動を終了する(ステ
ップS86)。次回工具T2は、ワークWに当接するま
で移動する(ステップS83)。そして、次回工具T2
によるワークWの加工が開始される(ステップS8
4)。
NCプログラムの一例を示す図である。図2のプログラ
ムのブロックB5では、今回工具T1の指定が「T12
00」で行われる。次回工具T2の指定は、別タスク
(別系統)で独自に「T2100」で行われる。ブロッ
クB6は今回工具T1によるワークWの加工のための移
動指令で、ブロックB7は、次回工具T2の移動を許可
する指令である。このブロックB7では、再度、工具T
1,T2の指定を「T1200 K1 R2100」で
行うことで、今回工具T1の退避移動と、次回工具T2
のワークW側への移動とを指令している。コード「K
1」は、今回工具T1の移動中における次回工具T2の
移動を許可するためのものである。このような指定によ
れば、異なるコードを同一のブロックで同時に指令でき
るので、工具T1,T2を同時に移動させることができ
るという利点がある。また、今回工具T1によるワーク
Wの加工終了後に、今回工具T1側のブロックB8と次
回工具T2側のブロックB15に準備指令「G4」を設
け、これに続くブロックB9,B16に待ち合わせ指令
「!2L10」「!1L10」を設けている。これによ
り、待ち合わせ終了後に、今回工具T1と次回工具T2
とが同時に移動を開始する。
X20.0」は、今回工具T1をX20.0のところま
で早送りによって移動させるとともに、次回工具T2を
X20.0のところまで早送りで移動させることを指令
するものである。今回工具T1の退避移動開始位置から
このX20.0の位置までの距離、及び次回工具の移動
開始位置からX20.0までの距離を同じにし、かつ、
工具T1,T2の移動速度を同じにすることで、今回工
具T1と次回工具T2とが同時刻にX20.0に到達す
るようにすることが可能である。この後、今回工具T1
には、ブロックB11の「G1 X****」により、
X20.0の位置からさらに離間した所定の位置(例え
ば、刃物台の割り出しが可能な位置)まで移動するよう
に指令が出力され、次回工具T1には、例えばX10.
0の位置まで早送りによってワークWに接近するように
指令が出力される。
次回工具T2の移動タイミングの設定の一例を、図3〜
図5を参照しながら説明する。図3〜図5は、今回工具
T1の移動のタイミングと、次回工具T2の移動のタイ
ミングをグラフで示したものである。各図において
(a)は今回工具T1の移動速度と時間との関係を示
し、(b)は次回工具T2の移動速度と時間との関係を
示している。
おける最も基本的な移動制御を示している。すなわち、
今回工具T1の退避移動の開始と同時に、次回工具T2
の移動が開始され、今回工具T1及び次回工具T2が、
それぞれ、指定された速度で移動する。この図3では、
グラフの面積が工具T1,T2の移動距離を示してい
る。したがって、今回工具T1が、予め定められた第一
の位置(例えば、後述の図7の距離δ1で示される位
置)を通過する時刻は、図3(a)のグラフ中斜線で示
す面積が、今回工具T1の退避移動の開始位置と前記第
一の位置との間の距離と等しくなる時刻t1で示され
る。同様に、次回工具T2が予め定められた第二の位置
(例えば、後述の図7の距離δ2で示される位置)を通
過する時刻は、図3(b)のグラフ中斜線で示す面積
が、次回工具T2の移動開始位置と前記第二の位置との
間の距離に等しくなる時刻t2で示される。先にも説明
したように、今回工具T1の退避移動開始位置から前記
第一の位置までの距離と、次回工具の移動開始位置から
前記第二の位置まで距離を同じにし、かつ、工具T1,
T2の速度変化パターン(グラフ形状)を同じにするこ
とで、今回工具T1と次回工具T2とを同時刻に前記第
一の位置及び第二の位置に到達させることが可能にな
る。
御であるものの、次回工具T2が移動を開始する位置の
設定によっては、未だ多大な無駄時間が生じる可能性が
ある。また、今回工具T1が、ワークWや次回工具T1
等と干渉しない第一の位置まで退避しきらないうちに、
次回工具T2がワークWの加工を開始するという不都合
が生じるおそれがある。そこで、このような場合には、
図4に示すような補間移動制御を利用するとよい。図4
に示す補間移動制御では、今回工具T1が退避移動を開
始して予め設定された前記第一の位置まで達する時刻t
1と、次回工具T2が移動を開始して予め設定された前
記第二の位置まで達する時刻t2とが同じになるように
制御している。
1が前記第一の位置を通過する時刻と、次回工具T2が
前記第二の位置を通過する時刻とを、前記第一の位置と
前記第二の位置との関係にかかわらず、必ず同時刻に合
わせることができる。また、前記第一の位置及び前記第
二の位置を可能な限りワークに近づけることで、無駄時
間を0に近づけることができる。さらに、前記第一の位
置を今回工具T1が次回工具T2やワークWと干渉する
等の不都合を生じない安全な位置に設定することで、今
回工具T1が安全位置まで退避しきらないうちに、次回
工具T2がワークWの加工を開始するという不都合を防
止することができる。
って、今回工具T1と次回工具T2との距離を一定に保
ちながら移動させることが可能である。図5の移動制御
では、工具T1,T2とが同じ速度変化曲線を描くよう
に移動を制御している。したがって、今回工具T1が退
避移動を開始するときと、次回工具がワークに向けて移
動を開始するときの、両工具T1,T2間の距離が、次
回工具T2によるワークWの加工が開始させるまで保持
されるので、今回工具T1が安全位置まで退避しきらな
いうちに、次回工具T2がワークWの加工を開始すると
いう不都合を防止することができる。
の移動許可は、プログラムごと、工具ごと又は移動軸ご
とに設定が可能である。図6は、プログラムごと、工具
ごと又は移動軸ごとに次回工具T2の移動許可を設定す
る設定画面の一例を示すものである。図6に示すよう
に、今回工具T1の移動中に次回工具T2の移動を許可
するかどうかは、パラメータで設定することができる。
図6(a)は、プログラムごとに設定を行うことができ
るようにしたもので、今回工具T1と次回工具T2の双
方の移動が設定されている全てのプログラムについて、
次回工具T2の移動許可の設定及びその解除が可能であ
る。図6(b)は、工具ごとに設定を行うことができる
ようしたもので、全ての工具について、次回工具T2の
移動許可の設定及びその解除が可能である。図6(c)
は、移動軸ごとに設定を行うことができるようにしたも
ので、全ての移動軸において移動許可の設定及びその解
除が可能である。
した第一の実施形態の加工方法及びそのプログラムによ
るワークWの加工の一例を示す図である。図7(a)に
示すように、第一の刃物台240及び第二の刃物台26
0の割り出し動作によって、今回工具T1と次回工具T
2とが所定位置に割り出される。そして、今回工具T1
によるワークWの加工が開始される。このとき、次回工
具T2は、ワークWから離間した位置B1で待機してい
る。図7(b)に示すように、今回工具T1によるワー
クWの加工が終了して、今回工具T1がワークWから退
避すると同時に、次回工具T2の移動が許可されている
ことを条件に、次回工具T2がワークWに向けて移動を
開始する。
ワークWに対して予め設定された距離δ2のところまで
接近したときに、今回工具T1がワークWから予め設定
された距離δ1のところまで退避している。距離δ1,
δ2は、図2のNCプログラムではX=20.0であ
る。以後、次回工具T2がワークWに当接して、図7
(d)に示すように、次回工具T2によるワークWの加
工が行われる。
る加工方法の第二の実施形態を説明するためのフローチ
ャートである。この第二の実施形態においても、図11
のNC旋盤を適宜参照するものとする。この第二の実施
形態では、第一の刃物台240(図11参照)の移動を
制御するための制御系(第一の制御系)と、第二の刃物
台260の移動を制御するための制御系(第二の制御
系)とが別々に設けられている。NCプログラムの実行
を開始する前に、第一の制御系と第二の制御系とでNC
プログラムの実行開始タイミングの待ち合わせが行われ
る(ステップS101,S102)。
指定し(ステップS103,S104)、今回工具T1
を所定位置に割り出して(ステップS111)ワークW
側に移動させ、今回工具T1によるワークWの加工を開
始する(ステップS112)。一方、次回工具T2につ
いては、第二の刃物台260の割り出し動作が可能であ
るか否かを判断し(ステップS104)、可能であれ
ば、次回工具T2を所定位置に割り出して待機させ(ス
テップS106)、可能でなければ、次回工具T2の割
り出しが可能になるまで待機させる(ステップS10
5)。今回工具T1によるワークWの加工が終了すれば
(ステップS113)、再び第一の制御系と第二の制御
系とでNCプログラムの実行開始タイミングの待ち合わ
せが行われる(ステップS108,S114)。待ち合
わせ終了後、今回工具T1がワークWから退避を開始し
(ステップS117)、所定距離離れた位置まで移動す
る。一方、次回工具T2は、移動許可が設定されている
ことを条件に(ステップS109)、ワークWに向けて
移動を開始する(ステップS115)。移動許可が存在
しなければ、今回工具T1が移動を終了するまで待機す
る(ステップS110)。以後、次回工具T2によるワ
ークWの加工が開始される(ステップS116)。
方法を実行するためのNCプログラムの一例を示す図で
ある。このNCプログラムは、今回工具T1と次回工具
T2の指定を行うブロックB5,B14の前に、第一の
制御系と第二の制御系とでNCプログラムの実行開始タ
イミングの待ち合わせを行う「!2L10」「!1L1
0」を設けている。これ以外は、図2のNCプログラム
と基本的に同じである。従って、図2のNCプログラム
と同一のブロックには同一の符号を付して、詳しい説明
は省略する。この実施形態においても、次回工具T2の
移動許可を行うコードは上記の「K1」に限られず、他
のコードや宣言文を使って移動許可の設定を行うことが
可能である。
明した第二の実施形態の加工方法及びプログラムによる
ワークWの加工の一例を示す図である。図10の加工例
では、今回工具T1で小径部Wbの粗加工を行った後、
次回工具T2で同一部分の仕上げ加工を行い、次いで、
今回工具T1で大径部Waの粗加工を行った後、次回工
具T2で同一部分の仕上げ加工を行うものとして説明す
る。図10(a)に示すように、今回工具T1と次回工
具T2とが割り出され、まず、今回工具T1によるワー
クWの小径部Wbの加工が開始される。このとき、次回
工具T2は、ワークWの小径部Wbから十分に離間した
位置で待機している。
に、今回工具T1が退避移動を開始すると、次回工具T
2の移動が許可されていることを条件に、次回工具T2
がワークWに向けて移動を開始する。図3〜図5で説明
したように、今回工具T1及び次回工具T2の移動のタ
イミングを適宜に設定することで、図10(b)に示す
ように、今回工具T1が小径部Wbの表面から距離δ3
のところまで退避したときに、次回工具T2を小径部W
bの表面から距離δ4のところまで接近させることがで
きる。図10(c)に示すように、次回工具T2による
小径部Wbの加工が行われている間、今回工具T1はワ
ークWから十分に離間した位置で待機している。これ以
後、次回工具T2が今回使用する工具である今回工具T
2となり、待機している今回工具T1が次回工具T1と
なる。
後に、今回工具T2が退避移動を開始すると、次回工具
T1の移動許可がなされていることを条件に、次回工具
T1が大径部Waに向けて移動を開始する。そして、図
10(d)に示すように、今回工具T2が小径部Wbの
表面から距離δ4のところまで退避したときに、次回工
具T1が大径部Waの表面から距離δ3のところまで接
近している。このようにすることで、ワークWの形状に
かかわらず、最良のタイミングで今回工具T1(T2)
と次回工具T2(T1)の切り換えを行うことができ
る。また、距離δ3,δ4の設定によっては、無駄時間
を0に可能な限り近づけることができる。
きたが、本発明は上記の実施形態により何ら限定される
ものではない。例えば、対向する二つの櫛刃形の刃物台
を有する数値制御旋盤を例に挙げて説明したが、本発明
は櫛刃形に限らずタレット形の刃物台を有する旋盤にも
適用が可能であるし、また、旋盤に限らずマシニングセ
ンタ等の他の数値制御工作機械にも適用が可能である。
また、刃物台の数は二つに限らず3つ以上であってもよ
い。さらに、本発明の加工方法を実行するためのNCプ
ログラムは上記のものに限られず、他の形態のNCプロ
グラムも用いることが可能である。
で、工具切り換えの際の無駄時間を可能な限り少なくす
ることによって加工時間を短縮し、ワーク加工のコスト
の大幅な削減を図ることができる。また、ワークの形状
にかかわらず、最良のタイミングで今回工具と次回工具
の切り換えを行うことができ、複雑な形状を有するワー
クの加工において、工具の切り換えを行う際の無駄時間
の発生を抑制し、加工時間を短縮して加工コストを低減
することが可能である。
その手順を説明するためのフローチャートである。
ムの一例を示す図である。
動のタイミングを速度と時間の関係グラフで示したもの
で、今回工具と次回工具の移動を独立移動制御によって
制御した場合の図である。
動のタイミングを速度と時間の関係グラフで示したもの
で、今回工具と次回工具の移動を補間移動制御によって
制御した場合の図である。
動のタイミングを速度と時間の関係グラフで示したもの
で、今回工具と次回工具の移動を同期移動制御によって
制御した場合の図である。
回工具T2の移動許可を設定する設定画面の一例を示す
図である。
施形態の加工方法及びそのプログラムによるワークWの
加工の一例を示す図である。
その手順を説明するためのフローチャートである。
ムの一例を示す図である。
よるワークWの加工の一例を示す図である。
物台を有する数値制御旋盤の一例を示す平面図である。
工具への切り換えの手順を示した説明図である。
ラフで示したものである。
工具への切り換えの手順を示した説明図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 複数の工具を備え、割り出し動作によっ
て所定の工具を所定位置に割り出すことが可能な刃物台
を複数有し、複数の刃物台の複数の工具を切り換えがら
ワークの加工を行う数値制御工作機械におけるワークの
加工方法において、 一の前記刃物台に装着された今回使用する今回工具を指
定するステップと、 この指定に基づいて今回工具を割り出し、ワーク側に移
動させて前記ワークの加工を行うステップと、 他の前記刃物台に装着された次回使用する次回工具を指
定するステップと、 指定された次回工具を所定位置に割り出すステップと、 今回工具によるワークの加工終了後に、NCプログラム
の実行について待ち合わせを行うステップと、 今回工具のワークからの退避移動と同時に次回工具をワ
ークに向けて移動させることについて移動許可が存在す
るかどうかを判断するステップと、 前記移動許可が存在する場合に、前記今回工具のワーク
からの退避移動と同時に、次回工具をワークに向けて移
動させるステップと、 次回工具によるワークの加工を開始させるステップと、 を有することを特徴とするワークの加工方法。 - 【請求項2】 前記今回工具が、加工終了後にワークか
ら第一の距離まで移動したときに、次回工具が、前記ワ
ークから第二の距離まで接近していることを特徴とする
ワークの加工方法。 - 【請求項3】 前記今回工具が退避移動を開始してから
前記第一の距離まで達する時刻と、前記次回工具が前記
ワーク側への移動を開始してから前記第二の距離まで達
する時刻とが同じであることを特徴とする請求項2に記
載のワークの加工方法。 - 【請求項4】 前記第一の距離及び前記第二の距離が共
に等しいことを特徴とする請求項2又は3のいずれかに
記載のワークの加工方法。 - 【請求項5】 前記今回工具の移動速度と、前記次回工
具の移動速度を同一にしたことを特徴とする請求項1に
記載のワークの加工方法。 - 【請求項6】 複数の工具を備え、割り出し動作によっ
て所定の工具を所定位置に割り出すことが可能な刃物台
を複数有し、複数の刃物台の複数の工具を切り換えがら
ワークの加工を行う数値制御工作機械におけるワーク加
工のためのプログラムにおいて、 今回工具と次回工具とを指定し、今回工具の移動中にお
ける次回工具の移動を許容し、今回工具の退避移動の開
始とともに次回工具のワーク側への移動を指令すること
を特徴とするプログラム。 - 【請求項7】 前記今回工具が退避を開始して予め設定
された第一の位置まで達する時刻と、前記次回工具がワ
ーク側への移動を開始して予め設定された第二の位置ま
で達する時刻とが同じになるように、前記今回工具の移
動と前記次回工具の移動について補間指令を行うことを
特徴とする請求項6に記載のプログラム。 - 【請求項8】 前記今回工具の退避移動と、前記次回工
具のワーク側への移動とを同期させることを特徴とする
請求項6に記載のプログラム。 - 【請求項9】 前記次回工具の前記ワーク側への移動を
許容する指令を、特定の宣言コードを用いて行うことを
特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のプログラ
ム。 - 【請求項10】 前記次回工具の前記ワーク側への移動
を許容する指令を、特定のプログラム文によって定義す
ることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のプ
ログラム。 - 【請求項11】 前記次回工具の前記ワーク側への移動
を許容するかどうかを、プログラムごと、工具ごと又は
移動軸ごとにパラメータ化して設定することを特徴とす
る請求項6〜10のいずれかに記載のプログラム。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP2001146997A JP2002341913A (ja) | 2001-05-16 | 2001-05-16 | 数値制御工作機械におけるワークの加工方法及びそのプログラム |
CN 02119740 CN1279415C (zh) | 2001-05-16 | 2002-05-14 | 设有梳齿形相对刀具台的数控车床及其制品的加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=18992547
Family Applications (1)
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Country | Link |
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