JP2002341575A - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

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JP2002341575A
JP2002341575A JP2001146668A JP2001146668A JP2002341575A JP 2002341575 A JP2002341575 A JP 2002341575A JP 2001146668 A JP2001146668 A JP 2001146668A JP 2001146668 A JP2001146668 A JP 2001146668A JP 2002341575 A JP2002341575 A JP 2002341575A
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resin
coating
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weight
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JP2001146668A
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Kenji Yao
健二 八百
Susumu Yoshino
進 吉野
Masahiko Hozumi
正彦 穂積
Katsumi Nukada
克己 額田
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Dry Development In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像上の欠陥を十分に防止することができる
画像形成方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、三次元架橋した珪素樹脂を含
有し且つ電荷輸送性を有する最表面層を備えた電子写真
感光体7を用いる画像形成方法であって、最表面層上に
被覆物質21を供給し最表面層の幅全体にわたって被覆
層22を形成し、被覆層22を帯電させ、露光して静電
潜像を形成し、静電潜像を可視化し、可視化された像を
被転写媒体19に転写し、被覆層22を除去する。この
場合、最表面層上に被覆層22が形成されるため、帯電
に際して放電生成物等は被覆層22に付着し、放電生成
物等と水酸基などの官能基との反応が抑制される。被覆
層22に付着した放電生成物等は被覆層22を除去する
ことで簡単に除去される。また、最表面層は大きい機械
的強度を有するため、その磨耗が著しく低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、レーザー
プリンター等における画像形成方法に係り、より詳細に
は電子写真感光体を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体については、感
度、その繰り返し安定性、電子写真特性の点で優れてい
ることから、感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに分離
した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造が考案され実
用化されている。このような構成の電子写真感光体は、
基本的には、電荷発生物質を結着樹脂中に分散あるいは
溶解させた電荷発生層と、電荷輸送材を結着樹脂中に分
散或いは溶解させた電荷輸送層の2層を備えるものであ
る。ここで、電荷輸送層は、多くの場合、正孔輸送材を
含有し、その結着樹脂としてポリカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の
熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂を含有している。このため、電荷輸送層の表
面を、コロナ帯電あるいはローラー帯電等により負に帯
電させる場合に、感光体表面での放電に伴う電気的な衝
撃により感光体表面が大きく磨耗することが問題となっ
ている。
【0003】このような問題に関して次のような様々な
検討が行われている。即ち例えば特開平1−16127
9号公報に記載されているように、電子写真装置に電子
写真感光体の研磨装置を設け、その研磨装置を、感光体
表面の研磨量が1〜1.5μm/1万コピーとなるよう
に使用し、表面の汚染物質を除去する方法、特開平6−
75384号公報に記載されているように、感光体周辺
のオゾン濃度が5ppm〜50ppmで、かつ磨耗量が
300Å/1000回転以下となるように使用する方
法、あるいは、特開平7−311470号公報に記載さ
れているように、クリーニングブレードの感光体への圧
接力を特定の値とし、クリーニングプロセスにおける磨
耗がクリーニング回数10000回当り0.05〜1.
0μmとなるように使用し、かつトナー中に数平均ドメ
イン径が0.1〜1.1μmの離型剤を添加する方法な
どが提案されている。
【0004】ところが、上記諸公報に記載の方法は、コ
ロトロンやスコロトロンなどの非接触帯電方式では磨耗
量のコントロールを図ることが可能であるが、ローラー
帯電に代表される接触帯電方式では放電ストレスが強く
なり、磨耗率が大きくなってしまうため、実質的に磨耗
量のコントロールができず、感光体の寿命が短縮化する
という問題がある。そのため、電子写真感光体について
は、より高強度の表面層が必要とされている。
【0005】表面層の強度を改良する樹脂として、ポリ
シロキサンが知られている。ポリシロキサンは、強度、
透明性、耐絶縁破壊、光安定性に加えて低表面張力等、
他の樹脂に見られない特徴を有しているため、電子写真
感光体の表面層として注目されている。例えばポリシロ
キサン樹脂を含む熱硬化性樹脂(特開昭61−2380
62号公報)、ポリシロキサン樹脂(特開昭62−10
8260号公報)、熱硬化性ポリシロキサン樹脂にシリ
カゲル、ウレタン樹脂、フッ素樹脂を分散させたもの
(特開平4−346356号公報)、熱可塑性樹脂に熱
硬化型ポリシロキサン樹脂を分散させたもの(特開平4
−273252号公報)などに見られるが如く、ポリシ
ロキサン樹脂を共重合成分としたり或いはポリシロキサ
ン樹脂を他の樹脂へブレンドすることが試みられてい
る。
【0006】しかし、ポリシロキサンは、上記のように
優れた特徴を有しながらも、他の有機化合物との相溶性
が極めて悪いため、単独で表面層を構成するバインダと
して使用されることはなく、上記のように共重合或いは
ブレンドによるバインダの改質に使用されてきた。従っ
て、ポリシロキサンの有する特徴を十分に生かすことが
できなかった。
【0007】そこで、ポリシロキサン樹脂を、単独で表
面層を構成するバインダとして用いるために、例えばポ
リ(ハイドロジェンメチルシロキサン)などのポリシロ
キサンに、不飽和結合を有する電荷輸送剤をヒドロシリ
ル化により直接結合させた樹脂を用いて表面層を形成し
たり(特開平8−319353号公報)、プラズマCV
Dにより無機質薄膜を形成したり(特開平7−3338
81号公報)、ゾルゲル法を用いて薄膜を形成した
り("Proceedings of IS&T's Eleventh International
Congress on Advances in Non-Impact Printing Techno
logies, p.57〜59")、さらに、電荷輸送剤に加水
分解性基を有するケイ素を直接導入した有機ケイ素変成
正孔輸送性化合物を用いて表面層を形成したりすること
(特開平9−190004号公報)等が検討されてい
る。
【0008】これらのうち特に、"Proceedings of IS&
T's Eleventh International Congress on Advances in
Non-Impact Printing Technologies, p.57〜59"
や、特開平9−190004号公報に開示されたもの
は、シロキサンが3次元的にネットワークを形成し、機
械的な強度を大きく向上させるため、注目されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たゾルゲル法を用いて形成された薄膜や、有機ケイ素変
成正孔輸送性化合物を架橋させたものを感光層の最表面
層に用いた場合、感光体の表面に放電生成物等の付着物
が堆積するという現象が多発し、その結果、画像上の欠
陥が生じる場合がある。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、画像上の欠陥を十分に防止することができる画
像形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく従来技術の問題点について検討した。その
結果、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を架橋させたも
のには、未反応の水酸基などの官能基が多く存在してお
り、この水酸基などの官能基に放電生成物等が付着しや
すいことが判明した。ここで、放電生成物等が付着して
も、これらは通常、クリーニングブレードなどによって
除去することが可能である。しかし、これを繰り返す
と、クリーニングブレードによる磨耗により感光体の寿
命が低下する上、感光体の劣化も避けられない。
【0012】そこで、本発明者等は、感光体の寿命や劣
化等を考慮しつつ更に鋭意検討を進めた結果、帯電時に
一時的に最表面層上に被覆層を形成し、最表面層に含ま
れる水酸基などの官能基と、帯電時に生成される放電生
成物等との反応を防止することで、水酸基などの官能基
と放電生成物等との反応に起因する画像欠陥の発生を防
止し得る上に、帯電が終わった後は、被覆層の少なくと
も一部を除去することで放電生成物等が簡単に除去で
き、しかもクリーニングブレードなどによって感光層表
面の磨耗量を著しく低減できることを見出し、本発明を
完成するに至ったものである。
【0013】即ち本発明は、三次元架橋した珪素樹脂を
含有し且つ電荷輸送性を有する最表面層を備えた電子写
真感光体を用いて画像を形成する画像形成方法であっ
て、前記最表面層上に被覆物質を供給し、前記最表面層
の幅全体にわたって被覆層を形成する被覆層形成工程
と、前記被覆層を帯電させる帯電工程と、前記被覆層を
経て前記最表面層に露光して静電潜像を形成する露光工
程と、前記静電潜像を可視化する現像工程と、可視化さ
れた像を被転写媒体に転写する転写工程と、前記被覆層
の少なくとも一部を除去する除去工程とを含むことを特
徴とする画像形成方法である。
【0014】この発明によれば、最表面層上に被覆物質
が供給され、最表面層の幅全体にわたって被覆層が形成
される。このため、帯電に際して、放電生成物等は最表
面層に付着し得ず、被覆層に付着する。従って、放電生
成物等と水酸基などの官能基との反応が抑制される。被
覆層に付着した放電生成物等は、露光、現像、転写の各
工程を終えた後に被覆層の少なくとも一部を除去するこ
とにより簡単に除去される。従って、最表面層の表面に
付着物は残らず、最表面層が常に新鮮な状態を保つこと
ができる。また、最表面層が三次元架橋した珪素樹脂を
含有し、大きい機械的強度を有するため、最表面層の磨
耗が著しく低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の画像形成方法につ
いて詳細に説明する。
【0016】先ず本発明の画像形成方法の説明に先立っ
て、本発明の画像形成方法に用いる電子写真感光体につ
いて詳細に説明する。
【0017】(電子写真感光体)本発明に用いる電子写
真感光体は、導電性基材と、この導電性基材上に設けら
れる感光層とを備えており、感光層の最表面層は次のよ
うに構成される。
【0018】(最表面層)本発明に用いる最表面層は、
三次元架橋したケイ素樹脂を含み且つ電荷輸送性を有す
るものであり、三次元架橋したケイ素樹脂中に低分子の
電荷輸送性化合物を分散させたもの、又は電荷輸送性有
機基を有する三次元架橋したケイ素樹脂を含有するもの
で構成される。
【0019】このうち、最表面層は、表面硬度の局所的
なバラツキを抑制できることから、電荷輸送性有機基を
有する三次元架橋したケイ素樹脂を含有するもので構成
されることが好ましい。
【0020】上記三次元架橋したケイ素樹脂は、次のよ
うにして得ることができる。即ち、少なくとも下記一般
式(I) で表される電荷輸送性有機ケイ素化合物の1
種以上及び三官能又は四官能のケイ素化合物を加水分解
した後、加水分解物を架橋させることにより上記三次元
架橋したケイ素樹脂を得ることができる。この場合、最
表面層について十分な硬度が得られ、機械的な耐久性が
向上する。
【0021】W−[D−SiR3-aa]b (I) (式中、Wは電荷輸送性有機基、Dは2価の官能基、R
は水素原子、アルキル基又は置換若しくは無置換のアリ
ール基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の
整数、bは1〜4の整数を表す) 上記式(I)中、Wで表される電荷輸送性有機基は、電
荷輸送性を有していれば特に限定されないが、電荷輸送
性有機基としては、例えばトリアリールアミン構造、ベ
ンジジン構造、アリールアルカン構造、アリール置換エ
チレン構造、スチルベン構造、アントラセン構造、ヒド
ラゾン構造等を有するものが用いられる。
【0022】上記式(I)中、Dで表される2価の官能
基は、光電特性を付与するためのWを3次元的な無機ガ
ラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのもの
である。また、2価の官能基は、堅い反面、もろさも有
する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与
し、膜の強度を向上させるという働きも有する。2価の
官能基は、具体的には、−Cn2n−、−Cn
(2n-2)−、−Cn(2n-4)−(nは1〜15の整数であ
る)、−CH2−C64−若しくは−C64−C64
で表される2価の炭化水素基、オキシカルボニル基(−
COO−)、チオ基(−S−)、オキシ基(−O−)、
イソシアノ基(−N=CH−)又はこれら2種以上の組
み合わせによる2価の基である。なお、これらの2価の
基は側鎖にアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ア
ミノ基などの置換基を有していてもよい。
【0023】上記式(I)中、Si基は、互いに架橋反
応を起こして3次元的なシロキサン結合(Si−O−S
i結合)、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成す
るためのものである。
【0024】上記式(I)中、Rは水素原子、アルキル
基又は置換若しくは無置換のアリール基を表すものであ
る。
【0025】上記式(I)中、Qで表される加水分解性
基とは、上記式(I)で表される電荷輸送性有機ケイ素
化合物の加水分解物の硬化反応において、シロキサン結
合(O−Si−O)を形成し得る官能基のことをいう。
このような加水分解性基の好ましい例としては、例えば
水酸基、アルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基、
ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、ク
ロロ基が挙げられるが、これらの中でも、−OR´(R
´は炭素数2〜15のアルキル基または炭素数1〜4の
トリメチルシリル基)で表される基がより好ましい。こ
のような加水分解性基を有する電荷輸送性有機ケイ素化
合物を用いると、硬化反応性が高く、且つ、安定性に優
れるという利点がある。
【0026】また、上記三官能又は四官能のケイ素化合
物は、得られる三次元架橋したケイ素樹脂の硬度を、上
記式(I)で表される電荷輸送性有機ケイ素化合物の加
水分解物を架橋させた場合より向上させるためのもので
ある。三官能のケイ素化合物の具体例は、例えばトリエ
トキシシラン、トリメトキシシラン、トリイソプロポキ
シシランなどであり、四官能の化合物の具体例は、例え
ばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ライソプロポキシシランなどである。三官能又は四官能
の化合物の添加量は通常、上記式(I)で表される電荷
輸送性有機ケイ素化合物100重量部に対し0.1〜2
0重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。
0.1重量部未満では、硬度が不足し、磨耗が大きくな
り、感光体の寿命が短くなる傾向がある。一方、20重
量部を超えると、感光体に接触する部材(例えば帯電ロ
ール、クリーニングブレード)が欠損することがある。
【0027】さらに、上記式(I)で表される電荷輸送
性ケイ素化合物、三官能又は四官能のケイ素化合物の加
水分解に際しては、水を添加する。水の添加量は特に限
定されないが、生成物の保存安定性やさらに重合に供す
る際のゲル化抑制に影響するため、好ましくは−SiR
3-aaで示される加水分解性ケイ素置換基を含有する材
料の加水分解性置換基をすべて加水分解するのに必要な
理論量に対して30〜500%、さらに好ましくは50
〜300%の範囲の割合で使用することが好ましい。水
の量が500%よりも多い場合、生成物の保存安定性が
悪くなったり、電荷輸送性有機ケイ素化合物が析出しや
すくなる傾向がある。一方、水の量が30%より少ない
場合、未反応の化合物が増大し、最表面層形成用塗布液
を塗布したり硬化させたりする時に相分離を起こした
り、強度低下を起こしやすくなる傾向がある。
【0028】また、膜の成膜性、可とう性を調整する場
合には、上記式(I)で表される電荷輸送性ケイ素化合
物、三官能又は四官能のケイ素化合物の加水分解に際し
て、必要に応じて、他のカップリング剤、フッ素化合物
を混合しても良い。他のカップリング剤としては、各種
シランカップリング剤が用いられ、フッ素化合物として
は、市販のシリコン系ハードコート剤が用いられる。
【0029】また、上記式(I)で表される電荷輸送性
ケイ素化合物、三官能又は四官能のケイ素化合物の加水
分解に際しては、−SiR3-aaで示される置換ケイ素
基を有する分子量1000以上のポリマーを添加するこ
とが好ましい。かかるポリマーは、得られる三次元架橋
した樹脂の粘度の調節を可能とし、膜厚をコントロール
するのに効果的である。このポリマーは、−SiR3-a
aで示される置換ケイ素基を有するモノマー(例え
ば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルト
リメトキシシランなど)にアゾビスイソブチロニトリル
やベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤を添加して
重合させることにより合成できる。合成に際しては、−
SiR3-aaで示される置換ケイ素基を有するモノマー
と、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、スチ
レン、アクリロニトリルなどのモノマーとを任意の比率
で混合し、共重合体とすることもできる。分子量は低す
ぎると機械的な強度に劣るため、スチレン換算の値で1
000以上が好ましい。また、高すぎると、溶液粘度の
調整が困難となるため、分子量はスチレン換算の値で2
000000以下が好ましい。また、上記式(I)で表
される電荷輸送性有機ケイ素化合物、三官能又は四官能
の化合物の加水分解は、必要に応じてメタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒ
ドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテ
ル類等の溶剤を用いて行う。上記溶剤は、単独であるい
は任意に混合して用いることができる。溶剤を使用する
場合、溶剤としては、沸点が150℃以下のもの(例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール
等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類)が好ま
しい。溶剤としては、生成される加水分解物の保存安定
性を向上させる観点からは、アルコール類が好ましい。
【0030】溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎる
と電荷輸送性有機ケイ素化合物が析出しやすくなり、多
すぎると低粘性になり、塗布成形性が低下するため、溶
剤量は、上記式(I)で表される電荷輸送性有機ケイ素
化合物1重量部に対して通常は0.5〜30重量部、好
ましくは1〜20重量部である。
【0031】また、上記式(I)で表される電荷輸送性
有機ケイ素化合物、三官能又は四官能のケイ素化合物の
加水分解に際しては通常、固体触媒が用いられる。固体
触媒は、加水分解反応を促進するためのものであり且つ
上記式(I)で表される電荷輸送性有機ケイ素化合物、
三官能又は四官能のケイ素化合物や、他のカップリング
剤、フッ素化合物、水、反応生成物および溶媒のいずれ
にも不溶であるものであれば特に限定されず、かかる固
体触媒としては、例えばアンバーライト15E、アンバ
ーライト200C、アンバーリスト15(以上、ローム
・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−
H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以
上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−10
8、レバチットSPC−118(以上、バイエル社
製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社
製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26
−C、デュオライトC−433、デュオライト−464
(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポ
ン社製)、などの陽イオン交換樹脂;アンバーライトI
RA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ロ
ーム・アンド・ハース社製)などの陰イオン交換樹脂;
Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2
CH2COOH)2などのプロトン酸基を含有する基が表
面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポ
リオルガノシロキサンなどのプロトン酸基を含有するポ
リオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リン
モリブデン酸などのヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル
酸、モリブデン酸などのイソポリ酸;シリカゲル、アル
ミナ、クロミア、ジルコニア、酸化カルシウム(Ca
O)、酸化マグネシウム(MgO)などの単元系金属酸
化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ
−ジルコニア、ゼオライト類などの複合系金属酸化物;
酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト
などの粘土鉱物;硫酸リチウム(LiSO4)、硫酸マ
グネシウム(MgSO4)などの金属硫酸塩;リン酸ジ
ルコニア、リン酸ランタンなどの金属リン酸塩;硝酸リ
チウム(LiNO3)、硝酸マンガン(Mn(N
32)などの金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロ
ピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体など
のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固
体;アミノ変性シリコーン樹脂などのアミノ基を含有す
るポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
【0032】これらの固体触媒は、固定床中に設置し反
応を流通式に行うこともできるし、バッチ式に行うこと
もできる。固体触媒の使用量は、特に限定されないが、
加水分解性ケイ素置換基(−SiR3-aa)を含有する
材料の合計量に対して0.001〜20wt%、特に
0.01〜10wt%が好ましい。
【0033】上述した式(I)で示される電荷輸送性有
機ケイ素化合物、三官能又は四官能の化合物、水、溶
剤、−SiR3-aaで示される加水分解性基を有する置
換ケイ素基を有するポリマー、他のカップリング剤、フ
ッ素化合物、固体触媒は、全てを同時に混合し、加水分
解してもよいが、加水分解の度合いを調節するため逐次
追加するか、あるいは、固体触媒を除去した後に追加し
てもよい。但し、−SiR3-aaで示される加水分解性
基を有する置換ケイ素基を有するポリマーを添加する場
合、固体触媒と該ポリマーが同時に存在すると著しくゲ
ル化が促進され、最表面層形成用塗布液のコーティング
が困難となるため、ポリマーは、固体触媒を除去した後
に追加することが好ましい。この場合、得られたコーテ
ィング膜の相溶性を向上させるため、固体触媒を除去し
てからコーティングするまでに1時間以上放置(熟成さ
せる)することが有効である。放置する時間としては、
1〜250時間が好ましく、2〜200時間がより好ま
しい。
【0034】上記加水分解反応に際して、反応温度は原
料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好
ましくは5〜70℃、特に好ましくは10〜50℃の温
度で行う。また、反応時間に特に制限はないが、反応時
間が長すぎるとゲル化を生じ易くなる傾向があり、短す
ぎると反応が不十分となる傾向がある。このため、反応
時間は、10分から100時間の範囲とすることが好ま
しい。
【0035】上記のようにして加水分解反応を行った後
は、加水分解物に硬化触媒を添加し、最表面層形成用塗
布液を得る。上記硬化触媒としては、以下のようなもの
を挙げることができる。
【0036】即ち、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプ
ロトン酸;アンモニア、トリエチルアミン等の塩基;ジ
ブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オ
クエ酸第一錫等の有機錫化合物;テトラ−n−ブチルチ
タネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタ
ン化合物;アルミニウムトリブトキシド、アルミニウム
トリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合
物;有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、
亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられるが、最表面層形
成用塗布液の保存安定性の点で金属化合物が好ましく、
さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセ
チルアセテートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に
設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水
分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して
0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%が
より好ましい。
【0037】最表面層を形成するに際しては通常、上記
最表面層形成用塗布液を電荷輸送層又は電荷発生層等に
塗布し、加熱して架橋させることにより硬化させる。こ
のときの塗布方法としては、ブレードコーティング法、
マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング
法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エア
ーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の
通常の方法を用いることができる。なお、1回の塗布に
より必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布する
ことにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重
ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行っても良い
し、複数回重ね塗布した後に一括して行っても良い。
【0038】硬化温度は、任意に設定できるが、所望の
強度を得るためには140℃以上、より好ましくは15
0℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意
に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬
化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化
を図ることも有効である。ここで、高湿度状態とは、相
対湿度(RH)が80〜95%の状態をいう。さらに、
液の安定性の観点から、必要に応じて、ヘキサメチルジ
シラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面
処理を行い、疎水化することもできる。
【0039】なお、最表面層形成用塗布液には、最表面
層の硬度の向上、表面潤滑性の向上、クラック防止など
の観点から、有機微粒子あるいは無機微粒子が添加され
てもよい。有機微粒子としては、例えばポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)、ポリスチレンなどが挙げら
れる。有機微粒子としては、第8回ポリマー材料フォー
ラム講演要旨集1PC06(1999)に掲載されてい
るような、表面に水酸基などの反応性基を有するものが
分散性にすぐれ、均一な高強度膜を得易く、好ましい。
無機微粒子としては、例えばTiO2、SiO2、ZnO
などが挙げられる。
【0040】また、感光体表面の機械的強度を高め、感
光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間
接触することになるため、最表面層に対して従来より強
い酸化耐性が要求される。このため、複写機中で発生す
るオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の
劣化を防止する観点から、最表面層形成用塗布液には、
酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加する
ことが好ましい。酸化防止剤としては、例えばヒンダー
ドフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジア
ミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロ
マン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄
化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤の例と
しては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオ
カルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙
げられる。これらの添加量は、最表面層形成用塗布液の
全固形分量に対して15wt%以下であることが好まし
く、10wt%以下であることがより好ましい。
【0041】更に、最表面層形成用塗布液には、クリー
ニングブレード、接触帯電装置などとの接触による摩擦
力を低減する目的で各種潤滑剤を添加しても良い。潤滑
剤は特に限定されるものではなく、公知のものが使用で
きるが、具体例を挙げると、シリコンオイル、コロイダ
ルシリカ、疎水性シリカ、球状シルセスキオキサン、ポ
リテトラフロロエチレンなどである。
【0042】上記最表面層が電荷輸送層上のオーバーコ
ート層として用いられる場合、その厚さは通常、0.5
〜10μm、好ましくは0.7〜8μmである。
【0043】本発明に用いる最表面層は、優れた機械強
度を有する上に光電特性も十分であるため、これをその
まま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもでき
る。
【0044】以上、最表面層が、電荷輸送性有機基を有
する三次元架橋したケイ素樹脂を含有する場合について
説明したが、上述した通り、最表面層は、三次元架橋し
たケイ素樹脂中に低分子の電荷輸送性化合物を分散させ
たもので構成されてもよい。
【0045】この場合、三次元架橋したケイ素樹脂は、
次のようにして得ることができる。即ち、3つ以上の官
能基を持つケイ素化合物と電荷輸送性物質とを含む系を
反応させて架橋させることにより形成できる。
【0046】3つ以上の官能基を持つケイ素化合物は、
下記一般式(A)〜(B)で表される。
【0047】一般式(A):Si(Z)4 一般式(B):R1−Si(Z)3 (式中、R1は、式中のケイ素に炭素が直接結合した形
の有機基を表し、Zは水酸基又は加水分解性基を表す) 上記一般式(A)、(B)中のZが加水分解性基の場合
は、加水分解性基としてメトキシ基、エトキシ基、メチ
ルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキ
シ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メ
トキシエトキシ基等が挙げられる。R1で示されるケイ
素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、
エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、
トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グ
リシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプ
ロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)ア
クリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒ
ドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニ
ル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピ
ル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β
(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ
基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフルオロプ
ロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル
エチル等の含ハロゲン基、その他、ニトロ、シアノ置換
アルキル基等を挙げることができる。
【0048】電荷輸送材料の具体例としては、オキサジ
アゾ−ル誘導体、ピラゾリン誘導体、芳香族第3級アミ
ノ化合物、芳香族第3級ジアミノ化合物、1,2,4−
トリアジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、キナゾリン誘導
体、ベンゾフラン誘導体、α−スチルベン誘導体、エナ
ミン誘導体、カルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、キノン
系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フロオ
レノン化合物、オキサジアゾール系化合物、キサントン
系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物な
どの電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からな
る基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わ
せて使用できる。
【0049】また、塗布液への添加物や、成膜条件は、
前述の電荷輸送性有機基を有する三次元架橋したケイ素
樹脂の説明において使用したのと同様の添加物、条件を
用いることができる。
【0050】(電子写真感光体の層構成)次に、本発明
に用いる電子写真感光体の具体的な層構成について説明
する。図1〜図8は、本発明による電子写真感光体の種
々の層構成を示す断面図である。図1は、導電性基材3
上に順次、下引き層4、電荷発生層1、電荷輸送層2、
保護層5が設けられた感光層、図2は、図1の感光層か
ら保護層5を除いた構成、図3は、図1の感光層から下
引き層を除いた構成、図4は、図3の感光層から保護層
5を除いた構成を示しており、図5は、導電性基材3上
に順次、下引き層4、電荷発生機能と電荷輸送機能を有
する層6、保護層5が設けられた感光層、図6は、図5
の感光層から下引き層を除いた構成、図7は、図5の感
光層から保護層を除いた構成、図8は、図7の感光層か
ら下引き層を除いた構成を示している。本発明の画像形
成方法においては、これらいかなる層構成の電子写真感
光体でも使用することができる。
【0051】なお、図1、図3、図5、図6においては
保護層5が感光層の最表面層となっており、図2、図4
においては電荷輸送層2が感光層の最表面層となってお
り、図7、図8においては電荷発生機能と電荷輸送機能
を有する層6が感光層の最表面層となっている。
【0052】以下、電子写真感光体のうち導電性基材
3、下引き層4、電荷発生層1、電荷輸送層2、電荷発
生機能と電荷輸送機能を有する層6について説明する。
【0053】(導電性基材)導電性基材3としては、ア
ルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケルなどの金属ドラ
ム、又はシート、紙、プラスチック若しくはガラス上に
アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタ
ン、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼、銅−インジ
ウム合金等の金属を蒸着したもの、シート、紙、プラス
チック若しくはガラス上に酸化インジウム、酸化錫など
の導電性金属化合物を蒸着したもの、シート、紙、プラ
スチック若しくはガラス上に金属箔をラミネートしたも
の、又はカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−
酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散
し、これをシート、紙、プラスチック若しくはガラス上
に塗布することによって導電処理した物など公知の材料
を用いることができる。
【0054】導電性基材3として金属ドラムを用いる場
合、金属ドラムは素管のままであってもよいが、事前に
鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス
研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの表面
処理が行われていても構わない。但し、導電性基材に表
面処理したものを用いる方が好ましい。この場合、基材
表面が粗面化され、レーザービームのような可干渉光源
を用いた場合に感光層内に発生しうる干渉光による木目
状の濃度斑(モアレ模様)を防止することが可能とな
る。
【0055】(下引き層)下引き層4は、高分子化合物
単体で構成されてもよいが、高分子化合物中に微粒子を
分散させたもの、高分子化合物と有機金属化合物との混
合物などで構成されてもよい。
【0056】上記高分子化合物としては、ポリビニルブ
チラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール
樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼ
ラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタク
リル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビ
ニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッ
ド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0057】上記高分子化合物中に分散させる微粒子と
しては、例えば酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化
物、シリコーン樹脂、二酸化珪素などの珪素化合物、ポ
リテトラフルオロエチレンなどのフッ素化合物が挙げら
れる。上記微粒子の粒径は0.1〜3μmであることが
好ましい。上記微粒子は通常、下引き層中に10〜60
wt%、より好ましくは30〜70wt%含有される。
下引き層形成用塗布液を調製するに際しては、高分子化
合物を溶解した溶剤中に微粒子を添加して分散処理を行
う。微粒子を高分子化合物中に分散させる方法として
は、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトラ
イター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカ
ーなどの方法を用いることができる。
【0058】また、高分子化合物と混合させる有機金属
化合物としては、シリコン、ジルコニウム、チタニウ
ム、アルミニウム、マンガン原子などを含有する有機金
属化合物などがある。これらの有機金属化合物は、単独
で、あるいは複数種類の有機金属化合物の混合物として
用いることができる。 中でも、シリコン原子もしくは
ジルコニウム原子を含有する有機金属化合物は、残留電
位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使
用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
【0059】シリコン原子を含有する有機金属化合物は
特に限定されるものではないが、中でも特に好ましく用
いられる有機金属化合物は、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン
などのシランカップリング剤である。
【0060】ジルコニウム原子を含有する有機金属化合
物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウム
アセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミ
ン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、ア
セト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウム
アセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウム
ラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジ
ルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジル
コニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン
酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシ
ド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステア
レートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
【0061】チタニウム原子を含有する有機金属化合物
の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラ
ノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマ
ー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタン
アセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネー
ト、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート
アンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテート
エチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポ
リヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
【0062】アルミニウム原子を含有する有機金属化合
物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノ
ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウ
ムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウム
ジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセ
トアセテート)などが挙げられる。
【0063】下引き層4の厚さは、0.1〜30μmの
範囲が望ましい。下引き層4が、高分子化合物中に金属
酸化物などの微粒子を分散させたもので構成されている
場合には、その厚さは10μm〜30μmの範囲が好ま
しく、下引き層が、高分子化合物単体又は高分子化合物
と有機金属化合物との混合物で構成されている場合に
は、その厚さは0.1〜10μmの範囲が好ましい。
【0064】(電荷発生層)電荷発生層1は通常、主と
して電荷発生材料と結着樹脂とで構成される。電荷発生
材料は、電荷発生能を有するものであれば特に限定され
るものではなく公知のものが使用できる。このような電
荷発生材料の具体例としては、クロロガリウムフタロシ
アニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニル
フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシ
アニン化合物;ビスアゾ化合物、トリスアゾ化合物、ス
クアリウム化合物、ピロロピロール化合物などが挙げら
れる。
【0065】上記結着樹脂としては、ビスフェノールA
タイプ、ビスフェノールZタイプあるいはその他のタイ
プのポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタク
リル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブ
タジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニト
リル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレ
イン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹
脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−ア
ルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどが挙
げられる。これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以
上混合して用いることが可能である。
【0066】上記電荷発生材料は、上記結着樹脂100
重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲で添加される
ことが好ましい。
【0067】なお、上記電荷発生層1は、電子写真装置
内で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光 、熱に
よる電子写真感光体の劣化を防止する点から、酸化防止
剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を含有してもよ
い。
【0068】酸化防止剤は特に限定されるものではな
く、公知のものが使用できるが、酸化防止剤としては、
例えばフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸
化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤又は有機燐系酸化防止
剤などが挙げられる。
【0069】有機硫黄系酸化防止剤および有機燐系酸化
防止剤は2次酸化防止剤と言われ、上記フェノール系あ
るいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用すると、こ
れらの相乗効果により、電子写真感光体の劣化を一層防
止することができる。
【0070】上記光安定剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テ
トラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0071】また、感度の向上、残留電位の低減、繰り
返し使用時の疲労低減等の観点から、電荷発生層は、1
種以上の電子受容性物質を含有してもよい。かかる電子
受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン
酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブ
ロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロ
ベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリ
ニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香
酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。
これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、C
N、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導
体が特に好ましい。
【0072】また、電荷発生層の厚さは、一般には0.
01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲
に設定される。
【0073】電荷発生層は、電荷発生層形成用塗布液を
導電性基材又は下引き層等に塗布し、乾燥することによ
り得ることができる。電荷発生層形成用塗布液は、結着
樹脂、電荷発生材料を溶剤中に分散させることにより得
ることができる。
【0074】使用する溶剤は特に限定されるものではな
く、かかる溶剤としては、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエー
テルなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロルメタ
ン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエチレン
などの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのア
ミド類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなど
のエステル類;あるいはベンゼン、トルエン、キシレ
ン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香
族類などが用いられる。これらの溶剤は、単独であるい
は2種以上混合して用いることができる。なお、上記電
荷発生層形成用塗布液には、平滑性向上のためのレベリ
ング剤としてシリコーンオイルを微量添加してもよい。
【0075】電荷発生材料を結着樹脂中に分散させる方
法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミ
ル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイ
ドミルなどの方法を用いることができる。
【0076】また、電荷発生層形成用塗布液の塗布は、
感光体の形状や用途に応じて浸漬コーティング法、リン
グ塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗
布法、ローラー塗布法などの塗布法を用いて行うことが
できる。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥する
ことが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度
で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが好ましい。
【0077】(電荷輸送層)本発明に用いる最表面層
は、電荷輸送機能を有するため、前述したように電荷輸
送層として用いることも可能であるが、最表面層につい
ては既に説明したので、ここでは、最表面層が電荷輸送
層2上にオーバーコート層として設けられる場合の電荷
輸送層について説明する。この場合の電荷輸送層は通
常、主として電荷輸送材料と結着樹脂とで構成される。
【0078】上記電荷輸送材料は、電荷を輸送する機能
を持つ材料であれば特に限定されるものではないが、電
荷輸送材料としては、例えばオキサジアゾール誘導体、
ピラゾリン誘導体、芳香族第3級アミノ化合物、芳香族
第3級ジアミノ化合物、1,2,4−トリアジン誘導
体、ヒドラゾン誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラ
ン誘導体、α−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、カ
ルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール若し
くはその誘導体などの正孔輸送物質;キノン系化合物、
テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合
物、オキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、
チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物などの電子輸
送物質;あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖
又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これら電荷
輸送材料は1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0079】上記結着樹脂は、特に限定されるものでは
ないが、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリスチレン樹脂、含ケイ素架橋型樹脂等又はこ
れらの混合物で構成される。
【0080】電荷輸送材料は、結着樹脂100重量部に
対し20重量部〜1000重量部添加されることが好ま
しい。
【0081】なお、電荷輸送層2においても、電荷発生
層1の場合と同様の理由から、電荷発生層1に用いるの
と同様の酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤
を含有してもよい。また、電荷発生層1の場合と同様の
理由から、電荷輸送層2は、1種以上の電子受容性物質
を含有してもよい。
【0082】上記電荷輸送層2の厚さは一般には5〜5
0μm、好ましくは10〜30μmの範囲に設定され
る。
【0083】電荷輸送層2は、電荷輸送層形成用塗布液
を導電性基材3又は下引き層1等に塗布し乾燥すること
により得ることができる。電荷輸送層形成用塗布液は、
結着樹脂、電荷輸送材料を溶剤中に分散させることによ
り得ることができる。
【0084】上記溶剤としては、前述した電荷発生層形
成用塗布液の溶剤と同様のものを使用することができ
る。
【0085】電荷輸送層形成用塗布液の塗布は、電荷発
生層形成用塗布液の場合と同様の塗布法を用いて行う。
乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥することが好
ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜
2時間の範囲の時間で行うことが好ましい。
【0086】(電荷発生機能と電荷輸送機能を有する層
6)電荷発生機能と電荷輸送機能を有する層6は、例え
ば電荷発生材料及び電荷輸送材料を有する材料で構成さ
れていれば、特に限定されない。上記電荷発生材料、電
荷輸送材料としては、上記の電荷発生層及び電荷輸送層
の説明において例示された電荷発生材料、電荷輸送材料
が挙げられる。また、上記の電荷発生材料及び電荷輸送
材料のみでは成膜できない場合には、層6は結着樹脂を
含んでもよい。この場合の結着樹脂としては、上記の電
荷発生層及び電荷輸送層の説明において例示された結着
樹脂が挙げられる。
【0087】上記層6の厚さは一般には5〜50μm、
好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
【0088】層6は、当該層を形成するための層塗布液
を導電性基材3又は下引き層4等に塗布し乾燥すること
により得ることができる。上記塗布液は、電荷発生材
料、電荷輸送材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させるこ
とにより得ることができる。
【0089】上記溶剤としては、前述した電荷発生層形
成用塗布液の溶剤と同様のものを使用することができ
る。
【0090】上記層形成用塗布液の塗布は、電荷発生層
形成用塗布液の場合と同様の塗布法を用いて行う。乾燥
は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥することが好まし
い。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時
間の範囲の時間で行うことが好ましい。
【0091】(画像形成方法)次に、本発明の画像形成
方法について詳細に説明する。
【0092】本発明の画像形成方法は、上述した電子写
真感光体を用いて画像を形成するものであり、最表面層
上に被覆物質を供給し、前記最表面層の幅全体にわたっ
て被覆層を形成する被覆層形成工程と、前記被覆層を帯
電させる帯電工程と、前記被覆層を経て前記最表面層に
露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像
を可視化する現像工程と、可視化された像を被転写媒体
に転写する転写工程と、前記被覆層の少なくとも一部を
除去する除去工程とを含むことを特徴とする。
【0093】(被覆層形成工程)上記被覆層形成工程に
おいては、前記最表面層上に被覆物質を供給し、前記最
表面層の幅全体にわたって被覆層を形成する。
【0094】ここで、被覆物質を供給する位置は、特に
限定されないが、帯電工程に先立って最表面層が被覆層
で被覆されるのが好ましく、クリーニング工程の直後や
現像位置での供給が好ましい。
【0095】上記被覆物質は、潤滑性を有し且つ最表面
層から剥離可能な物質であれば特に限定されないが、被
覆物質としては、耐フィルミング性とクリーニングブレ
ードの欠損防止の観点から、脂肪酸塩を含有する物質が
用いられることが好ましい。
【0096】上記脂肪酸塩としては、例えばステアリン
酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マンガ
ン、ステアリン酸マグネシウム、エイコ酸ナトリウム、
エイコ酸カリウム、n−デカン酸カルシウムなどが挙げ
られる。これらの中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸ナトリウム、ステアリン酸マンガン、ステアリン酸
マグネシウム等のステアリン酸塩が好ましい。これは、
ステアリン酸塩は化学的安定性、特に光などの外的刺激
に対する安定性が高く、ポリエステルなどの離型材にも
使用されており価格が安価だからである。これらの中で
最適なのは、ステアリン酸亜鉛である。ステアリン酸亜
鉛は、微粒子化が容易であるからである。
【0097】上記被覆物質中の脂肪酸塩の含有率は通
常、5〜100重量%であり、好ましくは20〜100
重量%である。5重量%未満では、感光体表面からの離
型性が不十分となる傾向がある。
【0098】また、被覆物質は通常、上記脂肪酸塩のほ
か、樹脂材料等を含有する。樹脂材料は、トナーとの分
散性を強めるためのものであり、その具体例としては、
ポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン系共重合
体、ポリカーボネート等が挙げられる。被覆物質中の樹
脂材料の含有率は、通常は0〜95重量%であり、好ま
しくは0〜70重量%である。95重量%を超えると、
脂肪酸塩の効果が不十分となる傾向がある。
【0099】最表面層上に形成される被覆層の厚さは通
常帯電時において0.01〜1μmとなるようにし、好
ましくは0.05〜0.5μmとなるようにする。厚さ
が0.01μm未満では、放電生成物等が最表面層に付
着し、フィルミング防止効果が不十分となる傾向があ
る。一方、厚さが1μmを超えると、帯電不良となる傾
向がある。
【0100】本発明の画像形成方法では、被覆層を最表
面層の幅全体にわたって形成するが、ここでいう幅全体
とは、帯電すべき領域の幅のことをいい、具体的には最
表面層の幅の70〜100%の範囲のことを言う。ま
た、幅とは、電子写真感光体の回転軸方向に沿った最表
面層の長さのことを言う。
【0101】被覆物質を最表面層上に供給する方法とし
ては、例えば最表面層の幅方向に沿った開口を有する容
器に被覆物質を充填し、被覆物質を加圧しながらその開
口を通じて供給する方法、上記容器に被覆物質を注入
し、開口に設けられたローラを通じて被覆物質を供給す
る方法が挙げられる。そのほか、トナーに被覆物質を分
散して供給する等の方法も可能である。
【0102】(帯電工程)本発明に用いる帯電工程にお
いては、被覆層を帯電させる。帯電させる方法として
は、コロナ放電等の非接触式、帯電ローラや帯電ブラシ
を用いる接触式の方法が挙げられる。このうち、接触式
の方法を用いて被覆層を形成することが好ましい。この
場合、帯電を均一にでき、画像欠陥の発生がより十分に
防止できるという利点がある。
【0103】(露光工程)本発明に用いる露光工程にお
いては、電子写真感光体に露光して所望の静電潜像を形
成する。
【0104】(現像工程)本発明に用いる現像工程にお
いては、上記露光工程で形成された静電潜像を可視化す
る。現像工程は、一成分現像方式、二成分現像方式のい
ずれを用いて行ってもよいが、画質の向上という理由か
ら、二成分現像方式を用いて行うことが好ましい。この
場合、静電潜像の可視化のために用いる現像剤は、トナ
ーとキャリアとで構成される。
【0105】ここで、先ずトナーについて説明する。
【0106】トナーは、上述した脂肪酸塩を含有する微
粒子(以下、「脂肪酸塩含有微粒子」という)を含むこ
とが好ましい。この場合、余分な被膜形成のための装置
を必要としないという利点がある。
【0107】脂肪酸塩含有微粒子中の脂肪酸塩の含有率
は通常、5〜100重量%であり、好ましくは20〜1
00重量%である。脂肪酸塩の含有率が5重量%未満で
は、脂肪酸塩の効果が不十分となる傾向がある。
【0108】脂肪酸塩含有微粒子は、上記脂肪酸塩のほ
か、樹脂材料などを含有する。上記樹脂材料の具体例と
しては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン系
共重合体、ポリカーボネートが挙げられる。
【0109】トナーの体積平均粒径は好ましくは2〜1
0μmであり、このとき、脂肪酸塩含有微粒子の体積平
均粒径は0.01〜5μmであることが好ましい。ま
た、トナーの体積平均粒径はより好ましくは2.5〜7
μmであり、このとき、脂肪酸塩含有微粒子の体積平均
粒径が0.03〜1μmであることが好ましい。トナー
の体積平均粒径が2μm未満では、クリーニングブレー
ドなどによるクリーニング性が低下することがあり、1
0μmを超えると、添加する脂肪酸塩がトナー表面積に
対して不足することとなり、被膜面積の不足が生じやす
くなり、十分な効果が発揮できないことがある。また、
脂肪酸塩含有微粒子の体積平均粒径が0.01μm未満
では、被覆膜の形成が不十分になることがあり、逆に5
μmを超えると、脂肪酸塩含有微粒子がトナーと融着し
てフィルミングを増やしてしまうことがある。トナー中
の脂肪族酸含有微粒子の重量比は、特に限定されるもの
ではないが、0.001〜20重量%であることが好ま
しく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。
脂肪酸塩含有微粒子の重量比が0.001重量%未満に
なると、被覆膜を感光体全面に形成できなくなることが
あり、逆に20重量%を超えると脂肪酸塩が過剰にな
り、トナー中の他の外添剤のフィルミングを起こす原因
になることがある。
【0110】トナーは通常、上記脂肪酸塩含有微粒子の
ほか、着色剤、結着樹脂を含有する。
【0111】前記着色剤としては、例えばカーボンブラ
ック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエ
ロー、ウルトラマリンブルー、デイユポンオイルレッ
ド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フ
タロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサート、
ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベン
ジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:
1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピ
グメント・レッド122、C.I.ピグメント・イエロ
ー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.
ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イ
エロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、
C.I.ピグメント・ブルー15:3などの公知の顔料
が使用できる。これらは単独で使用しても良く、2種以
上を併用して使用しても良い。また、顔料微粒子を分散
させる方法としては、顔料製造工程において顔料の含水
ケーキ中の水分を溶融状態の樹脂で置換したメルトフラ
ッシング法が好適である。
【0112】前記結着樹脂としては、例えばポリスチレ
ン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン
−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリ
コーン樹脂、ポリアミド、変成ロジン、パラフィン、ワ
ックス類等が挙げられ、これらの中でも、定着性の点か
ら、ポリエステルが好ましい。
【0113】トナーは、上記着色剤、結着樹脂のほか、
必要に応じて、離型剤、粉砕性向上剤、帯電制御剤、磁
性粉などを含有してもよい。
【0114】上記離型剤としては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンワックス、マ
イクロクリステリンワックス、パラフィンワックス等の
脂肪族炭化水素系ワックス、カルナバワックス、モンタ
ン酸エステルワックス等の脂肪酸ワックス等の公知の離
型剤が挙げられる。上記粉砕性向上剤としては、トナー
の生産性を向上させるためのものであり、脂肪族炭化水
素モノマーと炭素数9以上の芳香族炭化水素モノマーと
の共重合体である石油樹脂が好適である。脂肪族炭化水
素モノマーの具体例としては、イソプレン、ピペリレ
ン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン
から選ばれる少なくとも1種類以上が挙げられ、芳香族
炭化水素モノマーの具体例としては、ビニルトルエン、
α−メチルスチレン、インデン、イソプロペニルトルエ
ンから選ばれる少なくとも1種類以上が挙げられる。
【0115】上記帯電制御剤としては、例えばクロム系
アゾ顔料、鉄系アゾ顔料、アルミニウムアゾ顔料、サリ
チル酸金属錯体等が挙げられる。
【0116】上記磁性粉としては、例えばコバルト、
鉄、ニッケル等の強磁性金属、コバルト、鉄、ニッケ
ル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガン
等の金属の合金、酸化物等の公知の磁性体粉末が挙げら
れる。
【0117】なお、電子写真装置に用いる帯電装置の種
類、現像方式、転写方式などにもよるが、感光体表面へ
の放電生成物等の付着が被覆層のみでは防げない場合に
は、トナーは、上記脂肪酸塩含有微粒子のほか、感光体
表面を意識的に若干磨耗させる目的で、感光体研磨効果
のある金属酸化物、炭化ケイ素化合物、高分子化合物の
微粉末を分散させた状態で含有することが好ましい。
【0118】上記金属酸化物の具体例としては、酸化チ
タン、酸化セリウム、二酸化珪素、チタン酸ストロンチ
ウム、酸化バリウム、アルミナ等が挙げられ、炭化ケイ
素化合物の具体例としては、シリコンカーバイトが挙げ
られ、高分子化合物の具体例としては、ポリスチレンビ
ーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズなどが挙げられ
る。
【0119】トナー中の上記金属酸化物、炭化ケイ素化
合物、高分子化合物の微粉末の含有率は特に限定される
ものではないが、0.01〜5重量%であることが好ま
しく、0.05〜3重量%であることがより好ましい。
微粉末の含有率が0.01重量%未満になると、研磨効
果が不十分になることがあり、逆に5重量%を超えると
フィルミングの原因となることがある。
【0120】なお、トナーは、上記脂肪酸塩含有微粒子
や上記金属酸化物、炭化ケイ素化合物、高分子化合物の
微粉末を上記着色剤、結着樹脂中に内包させたものであ
ってもよいが、上記着色剤及び結着樹脂からなるトナー
母体粒子に上記脂肪酸塩含有微粒子や上記金属酸化物、
炭化ケイ素化合物、高分子化合物の微粉末を外添させた
ものであってもよい。
【0121】一方、キャリアは通常、鉄粉、フェライ
ト、マグネタイト等や、溶融混練法又は重合法により樹
脂中に磁性体を分散させた樹脂分散キャリアで構成され
る。ここで、樹脂分散キャリア中の樹脂の具体例として
は、ポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン系共重
合体、ポリカーボネートが挙げられる。
【0122】キャリアとしては、鉄粉、フェライト、マ
グネタイト等や樹脂分散キャリアの表面を樹脂で被覆し
た樹脂被覆キャリアが好ましい。キャリアが樹脂被覆キ
ャリアで構成されると、トナーの小粒径化による帯電の
立ち上がりや帯電分布の悪化、及び帯電量の低下からく
る地汚れや濃度ムラを改善することができる。
【0123】キャリアを被覆する樹脂は、任意の樹脂か
ら選択することができ、被覆樹脂の具体例としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂、スチ
レン−アクリル酸共重合体シリコーン樹脂、フッ素樹
脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、
フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹
脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。こ
れらの樹脂は1種類単独で用いても良いし、2種類以上
を併用して用いても良い。
【0124】上記現像剤は、例えば混練粉砕法、懸濁重
合法や乳化重合法に代表される湿式製造法等の従来公知
の製造方法により製造することができる。混練粉砕法の
場合には、少なくとも着色剤、結着樹脂および脂肪酸塩
含有微粒子を混合し、さらに必要に応じて帯電制御剤や
磁性粉をヘンシェルミキサーで混合した後、バンバリー
ミキサーやエクストルーダー等の混練機で溶融混練し、
混練物を圧延、冷却後、ハンマーミルでの粗粉砕、ジェ
ットミルでの微粉砕を行い、風力分級機で分級してトナ
ー母体粒子を作製し、これにヘンシェルミキサー等で外
添剤を混合してトナーとすることができる。
【0125】以上、現像剤がトナー及びキャリアの二成
分で構成される二成分系現像剤の場合について説明した
が、本発明に用いる現像工程においては、現像剤がトナ
ーのみからなる一成分系現像剤を用いてもよい。一成分
系現像剤には、非磁性一成分現像剤と、磁性一成分現像
剤があるが、非磁性一成分現像剤としては前記した二成
分現像剤で使用されるトナーと同等のものが使用でき、
結着樹脂と着色剤とを含むトナーを用いることができ
る。また、磁性一成分現像剤としては結着樹脂と磁性体
および着色剤とを含むトナーを用いることができる。
【0126】また、現像剤のトナーとして脂肪酸塩含有
微粒子を含むものが用いられる場合、現像と同時に最表
面層への被覆層形成が行われる。即ち現像工程と被覆層
形成工程が同時に行われることになる。
【0127】(転写工程)本発明に用いる転写工程で
は、上記現像工程で可視化された像を被転写媒体に転写
する。転写は、コロナ転写法、ローラ転写法、ベルト転
写法等の静電転写法のほか、圧力転写法、粘着転写法等
を用いて行うことができる。
【0128】(除去工程)本発明に用いる除去工程は、
感光体表面に形成された被覆層の少なくとも一部を除去
するものであり、被覆層は通常、クリーニングブレー
ド、ブラシ等を用いて感光体表面から除去する。これに
より、被覆層に付着した放電生成物等が感光体表面から
確実に除去され、画質への悪影響が十分に防止される。
なお、現像位置で被覆層を形成し、被覆層の除去手段と
してクリーニングブレードを用いる場合、被覆層の全部
をクリーニングブレードで除去してしまうと、帯電工程
において最表面層が露出された状態となるため最表面層
に放電生成物等が付着してしまう。このため、この場合
には、被覆層の一部(表面部分)のみを除去するように
する。これに対して、クリーニングブレードと帯電装置
との間で被覆層を形成する場合には、クリーニングブレ
ードで被覆層が除去されても最表面層上に新たに被覆層
が形成されるので、被覆層の一部のみに限らず、被覆層
の全体を除去してもよい。
【0129】(電子写真装置)次に、本発明の画像形成
方法を適用する電子写真装置について説明する。
【0130】図9は、本発明の画像形成方法を適用する
電子写真装置の第1形態を示す概略断面図である。図9
に示す電子写真装置は、電子写真装置本体と、これに着
脱自在に設けられる電子写真プロセスカートリッジとを
備えており、電子写真装置本体は、現像装置11、転写
部材12、定着装置15及び取付けレール16により構
成されている。更に、電子写真プロセスカートリッジ1
7は、ハウジング18内に、電子写真感光体7、コロナ
放電方式の帯電装置8、露光装置10及びクリーニング
装置13を一体に支持している。クリーニング装置13
は、クリーニングブレード13aを有している。また電
子写真プロセスカートリッジ17は取付けレール16に
取付け可能となっている。
【0131】更に、電子写真装置は、帯電装置8とクリ
ーニング装置13との間に被覆物質を供給する容器20
を備えており、容器20は供給口20aを有し、供給口
20aは、最表面層の幅と同じ長さに形成されている。
また容器20の供給口20aには供給ローラ23が設け
られている。そして、容器20には、上述した被覆物質
が導入されるようになっている。
【0132】次に、この電子写真装置を用いた画像形成
方法について説明する。
【0133】先ず電子写真感光体7を、その回転軸Cを
中心として回転させる。すると、供給ローラ23が回転
して容器20から感光体7の表面に被覆物質21が供給
される。すると、感光体7の表面には、最表面層の幅全
体にわたって被覆層22が形成されることとなる。そし
て、最表面層が被覆層22で覆われた状態で上述した帯
電工程が行われる。
【0134】このとき、帯電に際して放電生成物等が生
成されるが、この放電生成物等は、最表面層が被覆層2
2で被覆されていなければ、最表面層に存在する未反応
の水酸基などの官能基と反応し、これにトナーが付着し
てフィルミングを引き起こすものである。
【0135】しかし、本発明の画像形成方法では、最表
面層が被覆層22で被覆されているため、放電生成物等
は最表面層に付着することなく、被覆層22に付着す
る。従って、放電生成物等と水酸基などの官能基との反
応が抑制される。そして、被覆層22は、露光、現像、
転写の各工程を終えた後にクリーニングブレード13a
によって除去される。従って、放電生成物等が簡単に除
去され、最表面層の表面に付着物は残らず、最表面層が
常に新鮮な状態に保持される。よって、感光体7を繰り
返し使用しても、フィルミングの発生が十分に防止さ
れ、画質欠陥の発生が十分に防止される。
【0136】更に、最表面層は、三次元架橋したケイ素
樹脂を含有し、大きい機械的強度を有しているため、ク
リーニングブレード13aが最表面層に接触したとして
も、最表面層の磨耗は著しく低減される。従って、電子
写真感光体7の寿命が十分に延長されることとなる。
【0137】また、現像工程において、上記脂肪酸塩含
有微粒子を含むトナーを用いることが好ましい。この場
合、被膜を均一に作れるという利点が得られる。
【0138】図10は、本発明の画像形成方法を適用す
る電子写真装置の第2形態を示す概略断面図である。図
10に示すように、電子写真装置は、電子写真感光体7
を備えており、電子写真感光体7の周囲には、電子写真
感光体7の回転方向に沿って順次、帯電装置8、露光装
置10、現像装置11、転写装置12、クリーニング装
置13、除電装置14が配置されている。帯電装置8に
は、電源9により電位が与えられるようになっている。
また、クリーニング装置13は、クリーニングブレード
13aを有しており、クリーニングブレード13aは、
電子写真感光体7の表面に接触するように配置されてい
る。なお、15は定着装置、19は紙等の被転写媒体で
ある。
【0139】この電子写真装置においても、第1形態に
係る電子写真装置の場合と同様に画像を形成する。この
ため、感光体7を繰り返し使用しても、フィルミングの
発生が十分に防止され、画質欠陥の発生が十分に防止さ
れる。更にクリーニングブレード13aが最表面層に接
触したとしても、最表面層の磨耗は著しく低減されるた
め、電子写真感光体7の寿命が十分に延長される。
【0140】図11は、本発明の画像形成方法を適用す
る電子写真装置の第3形態を示す概略断面図である。図
11に示す電子写真装置は、帯電装置として接触帯電装
置8を用いる点で、図10に示す電子写真装置と相違す
る。この場合、接触帯電装置8は、帯電ローラーや帯電
ブラシ等の帯電部材を有し、帯電部材は、電子写真感光
体7の表面に接触している。帯電ローラーとしては、例
えば導電性を付与したゴム状のBCRとよばれるロール
部材などが用いられる。
【0141】この電子写真装置においても、第1形態の
電子写真装置と同様に画像を形成する。このため、感光
体7を繰り返し使用しても、フィルミングの発生が十分
に防止され、画質欠陥の発生が十分に防止される。更に
クリーニングブレード13aが最表面層に接触したとし
ても、最表面層の磨耗は著しく低減されるため、電子写
真感光体7の寿命が十分に延長される。
【0142】また、接触帯電装置8を用いると、画像上
の欠陥を十分に防止できるという利点のほかに、コロナ
放電式等の非接触帯電方式の帯電装置を用いる場合と比
較してオゾンを発生しにくいという利点も得られる。
【0143】更に、電子写真装置において接触帯電装置
8を用いる場合、一般的には電流リークが多くなる傾向
があるが、この電子写真装置によれば、上記のような接
触帯電装置を用いる場合でも電流リークの発生が少ない
良好な特性が得られる。
【0144】なお、図10、図11に示す電子写真装置
は、除電装置14を備えているが、本発明の電子写真装
置は、必ずしも除電装置を備える必要はない。
【0145】また、図9〜図11に示す電子写真装置
は、被覆物質を供給するための容器20を備えている
が、現像装置11によって被覆物質が供給される場合に
は容器20は必ずしも必要ではない。
【0146】上記電子写真装置としては、例えばライト
レンズ系複写機、近赤外光もしくは可視光に発光するレ
ーザービームプリンター、デイジタル複写機、LEDプ
リンター、レーザーファクシミリなどが挙げられる。
【0147】以下、本発明の内容を、実施例を用いて具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではない。
【0148】
【実施例】<電子写真感光体の作製> (ベース感光体A)ホーニング処理を施した外径84m
m、長さ343mmのアルミニウム基材を準備した。
【0149】一方、ジルコニウム化合物(商品名:マツ
モト製薬社製オルガノチックスZC540)20重量
部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A110
0)2.5重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品
名:積水化学社製エスレックBM−S)10重量部及び
ブタノール45重量部を攪拌混合し、下引き層形成用塗
布液を得た。そして、この塗布液を、浸漬コーティング
法を用いて上記アルミニウム基材上に塗布し、150℃
において10分間加熱乾燥することにより膜厚1.0μ
mの下引層を得た。
【0150】次に、電荷発生材料として、Cukα線を
用いたX線回折スペクトルにおいて、7.4°、16.
6°、25.5°、28.3° のブラッグ角 (2θ±
0.2°)において強い回折ピークを持つクロロガリウ
ムフタロシアニン1重量部を、ポリビニルブチラール
(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1重量部
および酢酸n−ブチル100重量部と混合し、その混合
物を、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時
間分散処理し、電荷発生層形成用分散液を得た。この分
散液を、浸漬コーティング法により上記下引き層の上に
塗布し、これを100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約
0.15μmの電荷発生層を得た。
【0151】次に、下記構造式(1)で表される化合物
を2重量部、下記構造式(2)で示される高分子化合物
(粘度平均分子量 39,000)3重量部をクロロベ
ンゼン20重量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液
を得た。
【0152】
【化1】
【0153】
【化2】
【0154】そして、この塗布液を浸漬コーティング法
で上記電荷発生層上に塗布し、110℃で40分間加熱
して膜厚20μmの電荷輸送層を得た。こうして得られ
た感光体を「ベース感光体A」とした。
【0155】(感光体−1)下記化合物(3)、化合物
(4)をそれぞれ2重量部と、テトラメトキシシラン
0.05重量部を、イソプロピルアルコール5重量部、
テトラヒドロフラン3重量部、蒸留水0.3重量部に溶
解させ、これにイオン交換樹脂(アンバーリスト15
E)0.05重量部を加え、室温で攪拌することにより
24時間加水分解を行った。
【0156】
【化3】
【0157】
【化4】
【0158】得られた液体から、イオン交換樹脂を濾過
分離し、得られた濾液2重量部に対し、アルミニウムト
リスアセチルアセトナート0.04重量部、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.02
重量部を加え、得られた液体を表面保護層形成用塗布液
Aとした。
【0159】この表面保護層形成用塗布液Aを浸漬コー
ティング法により上記ベース感光体Aの上に塗布し、室
温で30分間風乾した後、150℃で1時間加熱処理し
て硬化した。こうして膜厚約3μmの表面保護層を形成
し、これを感光体−1とした。
【0160】(感光体−2〜4)感光体−1の表面保護
層の作製に際して、化合物(4)の代わりに下記化合物
(5)〜(7)をそれぞれ用いて表面保護層を形成した
以外は感光体−1の場合と全く同様にして感光体−2〜
4を作製した。
【0161】
【化5】
【0162】
【化6】
【0163】
【化7】
【0164】(感光体−5)感光体−1の表面保護層の
作製に際して、化合物(3)の代わりに下記化合物
(8)を用いて表面保護層を形成した以外は感光体−1
の場合と全く同様にして感光体−5を作製した。
【0165】
【化8】
【0166】(感光体−6〜8)感光体−5における表
面保護層の作製に際して、化合物(4)の代わりに上記
化合物(5)〜(7)を用いて表面保護層を形成した以
外は感光体−5の場合と全く同様にして感光体−6〜8
を作製した。
【0167】<現像剤の作製> (現像剤−1)テレフタル酸/2,2−ビス(4−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン/シクロヘキサンジ
メタノール=50/30/20(重量%比)の共重合に
より得られた線状ポリエステル共重合体(ポリエステル
A、重量平均分子量35000)77重量部と、マゼン
タフラッシング顔料13重量部と、イソプレン/ピペリ
レン/イソプロペニルトルエン=1.5/1.5/97
(重量%比)の共重合により得られた石油樹脂5重量部
の混合物をエクストルーダー混練機により溶融混練し、
その後、圧延して冷却し、ハンマーミルで粗粉砕し、ジ
ェットミルで微粉砕、風力分級機で分級し、体積平均粒
径7.0μmのトナー母体粒子を得た。このトナー母体
粒子100重量部に対して、ステアリン酸亜鉛微粒子
0.03重量部と、酸化チタン1.0重量部と、疎水性
シリカ0.3重量部とをヘンシェルミキサーにより混合
し、トナー粒子を得た。このトナー粒子6重量部と、フ
ェライトコアにスチレン/アクリル樹脂を2重量%コー
テイングした粒径50μmのキャリア100重量部とを
混合し、現像剤−1を製造した。トナーの比重はJIS
K7112に準じて測定した。その結果、実施例で用い
たトナーの比重は全て1.2g/cm3であった。
【0168】(現像剤−2)前記現像剤−1の製造方法
において、マゼンタフラッシング顔料をシアンフラッシ
ング顔料に変えた以外は現像剤−1と同様の製造方法に
より現像剤−2を製造した。
【0169】(現像剤−3)前記現像剤−1の製造方法
において、マゼンタフラッシング顔料13重量部をイエ
ローフラッシング顔料26重量部に変え、(ポリエステ
ルA)77重量部を(ポリエステルA)64重量部に変
えた以外は現像剤−1と同様の製造方法により現像剤−
3を製造した。
【0170】(現像剤−4〜6)現像剤−1〜3のそれ
ぞれについて、ステアリン酸亜鉛微粒子0.03重量部
を5重量部に変えた以外は現像剤−1〜3と同様の方法
で現像剤−4〜6を製造した。
【0171】(現像剤−7〜9)現像剤−1〜3のそれ
ぞれについて、ステアリン酸亜鉛微粒子0.03重量部
を(ポリエステルA)/ステアリン酸亜鉛=90/10
重量%の割合で混練製造した体積平均粒径100nmの
微粒子0.1重量部に変えた以外は現像剤−1〜3と同
様の方法により現像剤−7〜9を製造した。
【0172】(現像剤−10〜12)現像剤−1〜3の
それぞれについて、トナー母体粒子100重量部に対し
て、ステアリン酸亜鉛微粒子0.03gと、酸化チタン
1.0重量部と、疎水性シリカ0.3重量部に更に体積
平均粒径650nmの酸化セリウム0.5重量部を加え
る以外は現像剤−1〜3と同様の方法により現像剤−1
0〜12を製造した。
【0173】(現像剤−13〜15)現像剤−1〜3の
それぞれについて、ステアリン酸亜鉛微粒子0.03重
量部を使用しない以外は現像剤1〜3と同様の方法によ
り現像剤13〜15を製造した。
【0174】(実施例1〜6)実施例1〜6のそれぞれ
において、上記感光体1〜6のそれぞれを接触帯電方式
のカラープリンター(商品名:富士ゼロックス社製Do
cuprint C625PS)の感光体として装着し
た。また、実施例1〜6では全て現像剤−1〜3と標準
の黒トナー(Docuprint C625PSに付属
しているトナー)を用い、感光体の表面に被覆層が形成
されるようにした。そして、このプリンターを用いてA
3サイズ1万枚のプリントテストを行い、1万枚プリン
ト後のプリント画質を評価した。結果を表1に示す。な
お、表1において、「○」は画質良好、「×」は付着に
よる画質劣化が生じたことを意味するものである。
【0175】
【表1】
【0176】更に、プリントテスト前後の感光体膜厚
(下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層を全て含
めた膜厚)を渦電流膜厚計で測定し、感光体の磨耗量を
評価した。結果を表1に示す。
【0177】(実施例7)実施例1において現像剤−1
〜3を用いる代わりに、現像剤−4〜6を用いる以外は
実施例1と同様にしてプリント画質を評価すると共に、
感光体の磨耗量を評価した。結果を表1に示す。
【0178】(実施例8)実施例1において現像剤−1
〜3を用いる代わりに、現像剤−7〜9を用いる以外は
実施例1と同様にしてプリント画質を評価すると共に、
感光体の磨耗量を評価した。結果を表1に示す。
【0179】(実施例9)実施例1において現像剤−1
〜3を用いる代わりに、現像剤−10〜12を用いる以
外は実施例1と同様にしてプリント画質を評価すると共
に、感光体の磨耗量を評価した。結果を表1に示す。
【0180】(比較例1)実施例1において感光体−1
を用いる代わりに、ベース感光体Aを用いる以外は実施
例1と同様にしてプリント画質を評価すると共に、感光
体の磨耗量を評価した。結果を表1に示す。
【0181】(比較例2)実施例1において現像剤−1
〜3を用いる代わりに、現像剤−13〜15を用いる以
外は実施例1と同様にしてプリント画質を評価すると共
に、感光体の磨耗量を評価した。結果を表1に示す。な
お、本比較例では現像剤−13〜15にステアリン酸亜
鉛は含まれておらず、感光体の表面に被覆層は形成され
なかった。
【0182】表1から明らかなように、実施例1〜9に
よれば、長期使用後もフィルミングが未発生で、画質に
悪影響を与えず良好であった。
【0183】これに対し、比較例1によれば、感光体の
磨耗量が大きいため、長期使用後の画質が劣下した。
【0184】また、比較例2によれば、磨耗は小さかっ
たものの、長期使用後にフィルミングが多発し、画質劣
下が起った。
【0185】
【発明の効果】以上説明したように本発明の画像形成方
法によれば、帯電に際して生成する放電生成物等と最表
面層の水酸基などの官能基との反応が抑制されるため、
画質欠陥の発生を十分に防止することができる。また、
クリーニングブレード等が最表面層に接触しても、最表
面層が三次元架橋したケイ素樹脂を含有し、大きい機械
的強度を有するため、最表面層の磨耗を著しく低減する
ことが可能となり、感光体の寿命を十分に延長すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、機能分離積層構造の電子写真感光体の
第1例を示す断面図である。
【図2】図2は、機能分離積層構造の電子写真感光体の
第2例を示す断面図である。
【図3】図3は、機能分離積層構造の電子写真感光体の
第3例を示す断面図である。
【図4】図4は、機能分離積層構造の電子写真感光体の
第4例を示す断面図である。
【図5】図5は、単層構造の電子写真感光体の第1例を
示す断面図である。
【図6】図6は、単層構造の電子写真感光体の第2例を
示す断面図である。
【図7】図7は、単層構造の電子写真感光体の第3例を
示す断面図である。
【図8】図8は、単層構造の電子写真感光体の第4例を
示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の画像形成方法を適用する電子
写真装置の第1形態を示す概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の画像形成方法を適用する
電子写真装置の第2形態を示す概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の画像形成方法を適用する
電子写真装置の第3形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性基材、4
…下引き層、5…保護層、6…電荷発生機能と電荷輸送
機能を含む感光層、7…電子写真感光体、8…帯電装
置、9…電源、10…露光装置、11…現像装置、12
…転写装置、13…クリーニング装置、14…除電器、
15…定着装置、16…取付けレール、17…電子写真
プロセスカートリッジ、19…被転写媒体、20…容
器、20a…供給口、21…被覆物質、22…被覆層。
フロントページの続き (72)発明者 穂積 正彦 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 額田 克己 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA13 BB33 BB49 BB57 2H077 AD06 EA03 EA13 EA14 GA03 2H200 FA09 GA16 GA17 GA44 GB11 HA03 HA28 HB12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元架橋した珪素樹脂を含有し且つ電
    荷輸送性を有する最表面層を備えた電子写真感光体を用
    いて画像を形成する画像形成方法であって、 前記最表面層上に被覆物質を供給し、前記最表面層の幅
    全体にわたって被覆層を形成する被覆層形成工程と、 前記被覆層を帯電させる帯電工程と、 前記被覆層を経て前記最表面層に露光して静電潜像を形
    成する露光工程と、 前記静電潜像を可視化する現像工程と、 可視化された像を被転写媒体に転写する転写工程と、 前記被覆層の少なくとも一部を除去する除去工程と、を
    含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記帯電工程において、前記被覆層を接
    触帯電装置を用いて帯電させることを特徴とする請求項
    1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記現像工程において、前記被覆物質を
    含有するトナーを用いて前記静電潜像を可視化すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
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