JP2002337341A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

Info

Publication number
JP2002337341A
JP2002337341A JP2002102150A JP2002102150A JP2002337341A JP 2002337341 A JP2002337341 A JP 2002337341A JP 2002102150 A JP2002102150 A JP 2002102150A JP 2002102150 A JP2002102150 A JP 2002102150A JP 2002337341 A JP2002337341 A JP 2002337341A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pixel
ink droplets
pulse signal
heater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002102150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3380811B2 (ja
Inventor
Takuro Sekiya
卓朗 関谷
Kyuhachiro Iwasaki
久八郎 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2002102150A priority Critical patent/JP3380811B2/ja
Publication of JP2002337341A publication Critical patent/JP2002337341A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3380811B2 publication Critical patent/JP3380811B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つの画素を形成するために吐出されるイン
ク滴の数を画像濃度情報に応じて変えることによりがそ
の大きさを変えて階調記録を行ない、しかも、高画質、
高階調の記録を行なうようにする。 【解決手段】 インクを貯留する液室とこの液室に液路
を介して連通されたインク吐出口と前記液路内に設けら
れたヒーターとを有し、前記ヒーターにパルス信号を入
力して前記液路内のインクに気泡を発生させると共にこ
の気泡の膨張に伴う作用力によって前記インク吐出口か
らインク滴24を吐出させるインクジェット記録ヘッド
23において、前記ヒーターに入力される一つのパルス
信号のエネルギーを“E=0.6×10−6〜14.8
×10−6(J)”とすると共に前記インク吐出口の開
口面積を“S=2×10−6〜5×10−6(c
)”とし、“E/S”の値を0.3〜3とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドに関し、より詳細には、それぞれ分離独立して飛翔
する1個から複数個のインク滴を被記録体上における同
一箇所へ付着させ、同一箇所に付着するインク滴の数を
変えることにより画素径が異なる画素を形成するように
したインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録方法は、記録時にお
ける騒音の発生が無視できる程度に極めて小さいという
点で、オフィス用等として注目されている。その中で、
高速記録が可能であり、しかも、普通紙に特別の定着処
理を必要とせずに記録を行なうことができる、所謂、イ
ンクジェット記録方法は極めて有力な記録方法であり、
これまでにも様々な方式が提案され、又は、既に製品
化、実用化されている。
【0003】このようなインクジェット記録方法は、所
謂インクと称される記録液体の小液滴(インク滴)を飛
翔させ、このインク滴を被記録体に付着させることによ
って記録を行なうものであり、例えば、本出願人が特公
昭56−9429号公報において開示している。ここ
で、この特公昭56−9429号公報に開示した発明を
要約すれば、液室内のインクを加熱して気泡を発生させ
ることによりインクに圧力上昇を生じさせ、このインク
を微細なノズル先端のインク吐出口から吐出させて記録
を行なうものである。
【0004】その後この原理を利用して多くの発明がな
され、その一つとして、例えば、特開昭59−2072
65号公報に開示された発明が知られている。これは、
階調記録を行なうための方法を示しており、一つのヒー
ターに一群のパルス信号を加えて一個のインク滴を放出
するようにしたものである。つまり、この発明では、加
えられたパルス信号の数に応じて吐出するインク滴の数
が変化するが、これらのインク滴は互いに結合した状態
で飛翔し、被記録体上の同一箇所に付着するものであ
る。
【0005】また、特開昭63−53052号公報に開
示された発明が知られている。この発明は、被記録体
(用紙)の湿潤時間内に被記録体上で融合する一連のイ
ンク滴を吐出することによって階調記録を行なう方法で
ある。それによると、インク滴は高速度で他のインク滴
に結合しない状態で飛翔する。そして、インク滴は被記
録体に到着したときに被記録体の湿潤時間内でお互いが
融合する。被記録体上におけるドット(画素)寸法は、
被記録体の湿潤時間内にその被記録体上で融合するイン
ク滴の数をふやすことによって大きくなる。
【0006】さらに、特公昭59−43312号公報に
開示された発明が知られている。この発明は、気泡を発
生させるために入力されたパルス信号に対する出力の応
答性及び安定性を充分に高めるため、最高のインク滴形
成頻度におけるパルス信号の入力周期をパルス信号のピ
ークエネルギーの半値幅の少なくとも3倍として入力し
たものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−2072
65号公報に開示された発明においては、複数個のイン
ク滴が飛翔中に結合されたままになっているためには、
それらは低速度で飛翔しなければならない。そして、低
速度で飛翔するインク滴は軌跡が悪く、プリントの信頼
性が悪くなる。また、このインク滴はインクジェット記
録ヘッドの欠陥や移動速度の変化を受けやすく、インク
ジェット記録ヘッドの移動速度が速ければ低速度で飛翔
する一群のインク滴は被記録体上に付着した際に円形の
画素を形成せず、得られる画像が不鮮明になる。
【0008】特開昭63−53052号公報に開示され
た発明においては、インク滴を吐出させる際に発生する
気泡の完全崩壊と次のインク滴の吐出のための抵抗素子
の加熱の間の時間が0.1μsから1.0msの範囲内
にあるという記載がなされているのみで、具体的にはど
のような条件でインク滴を吐出させたら良いか、或い
は、どのような構造のインクジェット記録ヘッドを用い
たら良いかが記載されておらず、実現が不可能であっ
た。
【0009】特公昭59−43312号公報に開示され
た発明においては、単にパルス信号のオン・オフによる
インク滴吐出の安定化について記載されているのみで、
階調記録法(グレースケールプリント)については一切
記載がなく、単に2値記録の安定化条件を示しただけの
ものである。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みなされたもの
で、従来にない小エネルギーで非常に微小なインク滴形
成を行ない、そのインク滴の数を変えることにより画素
径を変えて階調記録を行なうインクジェット記録ヘッド
を提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
インクを貯留する液室とこの液室に液路を介して連通さ
れたインク吐出口と前記液路内に設けられたヒーターと
を有し、前記ヒーターにパルス信号を入力して前記液路
内のインクに気泡を発生させると共にこの気泡の膨張に
伴う作用力によって前記インク吐出口からインク滴を吐
出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ヒー
ターに入力される一つのパルス信号のエネルギーを“E
=0.6×10−6〜14.8×10−6(J)”とす
ると共に前記インク吐出口の開口面積を“S=2×10
−6〜5×10−6(cm)”とし、“E/S”の値
を0.3〜3とした。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明では、インク吐出口の開口
面積を従来例にない微小な面積にすると共にヒーターに
入力するパルス信号のエネルギーを微小にし、その比率
“E/S”の値を0.3〜3とすることにより、微小な
インク滴の吐出が安定して行なわれる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。まず、図17は本発明に係る第一のインクジェット
記録ヘッドの発熱体基板の一実施例を説明するための側
面図で、基板1上には第一電極2、絶縁層3、ヒーター
4、第二電極5、保護層6が順次積層状態で形成されて
いる。なお、第一電極2における一端(A部)はリード
線を取出す部分であり、他端(B部)はヒーター4の一
端が接続される部分である。
【0014】図18(a)〜(d)は、図17に示した
構成を得るための手順を示した図で、はじめに、同図
(a)に示したように第一電極2を基板1上に形成す
る。同図(b)はこの第一電極2を覆う絶縁層3を形成
したもので、第一電極2の両端(A部,B部)は絶縁層
3による被覆を行なわない。同図(c)は絶縁層3上の
一部にヒーター4を形成し、同図(d)は絶縁層3上の
一部に第二電極5を形成したもので、ヒーター4の一端
が第一電極2のB部に接続され、第二電極5の一端がヒ
ーター4の他端に接続されている。
【0015】ここで、本発明に使用される材料は、例え
ば、電極2,5の材料としてはAl,Au等があげら
れ、蒸着、スパッタリング、メッキ等の技術を用いて付
与され、よく知られているように、フォトリソグラフィ
ー技術によってパターンが形成される。絶縁層3の材料
としては、SiO、Si等がやはり同様な手法
で付与、パターン形成される。ヒーター4も形成手段は
同様で、材料としては、窒化タンタル、ニクロム、ホウ
化ハフニウム等があげられる。
【0016】尚、本発明では、説明を簡略化するため
に、必要最小限の構成のみについて説明したが、例え
ば、電極2,5の形成方法として、Au或いはAlを薄
く蒸着した後、Auメッキによって厚く形成してなる二
層構造とすることも考えられるし、絶縁層3も多層構造
であってもよい。また、基板1には、ヒーター4の熱を
逃がさないような蓄熱層を設けることも必要であろう。
【0017】図19は、図18に示した第一電極2が複
数の第二電極5及びヒーター4に対して、共通電極とな
るように構成した実施例を示した図である。
【0018】このような方法で本出願人は、ヒーター4
の配列密度が48本/mm(1200dpi相当)の発
熱体基板を製作した(尚、1枚の基板1上のヒーター4
は256個)。
【0019】つぎに、この発熱体基板をインクジェット
記録ヘッドとして完成させるためにはインクの液路やイ
ンク吐出口を形成する必要がある。例えば、上述した発
熱体基板に、図20に示したような溝7及び凹部8を形
成した蓋基板9を接合することによってインクジェット
記録ヘッドは完成するが、本発明では、後述するインク
吐出口及び液路の配列密度を、24本/mm、32本/
mm、48本/mmという具合に非常に高密度にしてい
るので、高精度な液路パターン精度を得るためにフォト
リソグラフィー技術によって記録ヘッド形成を行なっ
た。
【0020】つぎに、フォトリソグラフィー技術によっ
て形成するインクジェット記録ヘッドの例を図21乃至
図28に基づいて説明する。図21は発熱体基板を示し
たもので、基板10上にはヒーター11とこのヒーター
11を覆う薄膜12とが形成されている。なお、この工
程においては、Si、ガラス、セラミックス等の材料よ
りなる基板10上にヒーター11を所要の個数配置し、
更に、必要に応じて耐インク性、電気絶縁性を付与する
目的で、SiO、Ta、ガラス等の薄膜12を
被覆する。なお、ヒーター11には、図示されていない
がパルス信号入力用の電極が接続されている。
【0021】図22に示した工程では、図21の工程を
経て得られた薄膜12の表面を清浄化すると共に乾燥さ
せた後、スピンコーティングによって液状フォトレジス
トを塗布し、プリベーキング(例えば、80℃で30
分)を行なう。液状フォトレジストは、他にロールコー
ティング、ディップコーティング等によっても良好に塗
布することができる。尚、液路パターンを形成するため
にドライフィルムフォトレジストを使用することが従来
より提案されているが、ドライフィルムフォトレジスト
は、本来の使用目的(プリント基板のパターン形成用)
からして、高密度パターンを形成するには難がある。現
状では、16本/mm程度のものまでは形成できるが、
それ以上の高密度配列は困難であり、本発明のように、
高密度なパターンを形成する場合には適さない。本発明
では、液状フォトレジストとして東京応化工業製BMR
S−1000を使用し、スピンコーティング時の回転数
を500〜2500rpmの範囲で変化させることによ
り、形成されるフォトレジスト層13の厚さを7〜30
μmまで変えることができた。
【0022】ついで、フォトレジスト層13上に所定の
パターンを有するフォトマスク14を重ねた後、このフ
ォトマスク14の上方から露光を行なう。このとき、ヒ
ーター11とフォトマスク14のパターンとの位置合わ
せは周知の方法で行なう。
【0023】図23は、上記露光済みフォトレジスト層
13の未露光部分をトリクロルエタン等の所定の有機溶
剤からなる現像液にて溶解除去した工程を示したもので
ある。そして、現像液により未露光部分を溶解除去した
後、基板10上に残されたフォトレジスト層13の露光
部分の耐インク性を向上させるため、熱硬化処理(例え
ば、150〜250℃で30分〜6時間加熱)、又は、
紫外線照射(例えば、50〜200mW/cm2 又はそ
れ以上の紫外線強度)を行ない、充分に重合硬化反応を
進める。なお、上記の熱硬化処理と紫外線照射との双方
を行なうことも効果的である。
【0024】図24はフォトレジスト層13中に形成し
た溝15や凹部(図示せず)を覆う蓋基板を示したもの
で、電磁波を透過する材料、例えば、透紫外光材料より
なる平板状部材16の片面に感光性樹脂膜であるドライ
フィルムフォトレジスト17がラミネートされている。
ドライフィルムフォトレジスト17のラミネート方法
は、市販のラミネータを使用して平板状部材16とドラ
イフィルムフォトレジスト17との間に空気が入らない
ようにして行なう。本発明では、ドライフィルムフォト
レジスト17として、東京応化工業製SY−325を使
用した。
【0025】図25は、図24に示した蓋基板のドライ
フィルムフォトレジスト17と図23に示した発熱体基
板上のフォトレジスト層13とを押圧貼付した工程を示
したものである。なお、この押圧貼付に際しては、非酸
素雰囲気下での紫外線照射(例えば、50〜200mW
/cm又はそれ以上の紫外線強度)を平板状部材16
の上方から行ない、ドライフィルムフォトレジスト17
を充分に硬化させる。更に、熱硬化処理(例えば、13
0〜250℃で30分〜6時間加熱)するのも有効であ
る。
【0026】ここで、図26は図25に示した工程終了
後の状態を斜視図で示したもので、溝15を蓋基板で覆
うことによりインクが流れる液路18が形成され、ま
た、凹部を蓋基板で覆うことによりインクを貯留する液
室19が形成されている。なお、蓋基板には、前記液室
19内へインクを供給するインク供給管20(図28に
図示)が接続されるインク導入孔21が形成されてい
る。そして、前記液路18の先端側の部分をA−A線に
そって切断すると共にその切断面を平滑化してインク吐
出口22(図28に図示)を形成し、さらに、インク導
入孔21にインク供給管20を取付けることによりイン
クジェット記録ヘッド23が完成する。なお、A−A線
にそった切断は、ヒーター11とインク吐出口22との
間隔を最適化するために行なうもので、切断する領域は
適宜決定される。また、この切断に際しては、半導体工
業で通常使用されているダイシング法が採用される。
【0027】ここで、図27は、図26におけるB−B
線にそった断面図を示したものであり、一方、図28は
A−A線にそった切断とインク供給管20の取付けとを
終了して完成したインクジェット記録ヘッド23を示し
た断面図である。
【0028】本発明者は、以上のような方法によってフ
ォトレジスト層13の厚さを変えることにより、インク
吐出口22や液路18を、24本/mmから、最高48
本/mmの配列密度で形成し、インクジェット記録ヘッ
ドを完成した。
【0029】なお、この時のインク吐出口22のサイズ
は、その配列密度が24本/mmの場合には22×22
μm、その配列密度が32本/mmの場合には17×1
7μm、その配列密度が48本/mmの場合には14×
14μmである。
【0030】このような構成において、図1は図21乃
至図28において説明したようにして形成したインクジ
ェット記録ヘッド23を用いてインク滴24を連続的に
吐出させ、それらのインク滴24を被記録体(例えば、
用紙)25上の同一箇所に付着させて一つの画素26を
形成する様子を示したものである。ここで重要な点は、
本発明では、ヒーター11へのパルス信号の入力に応じ
て各インク滴24が分離独立して吐出及び飛翔し、被記
録体25に付着する点である(特開昭59−20726
5号公報に開示された発明では各インク滴がつながった
状態で吐出、飛翔する)。また、各インク滴24が細長
柱状となって飛翔する点である(特開昭63−5305
2号公報に開示された発明では各インク滴が球状となっ
て飛翔する)。なお、細長柱状となったインク滴24の
大きさは、直径寸法に対して長さ寸法が3〜10倍とな
っている。
【0031】ここで、インク滴24がこのような細長柱
状となって飛翔するための条件は、インク滴24の飛翔
速度が速く、外乱(例えば、周囲の空気の流れ)の影響
を受けにくいということである。そこで、インク滴24
の形状と飛翔速度との関係、及び、複数個のインク滴2
4が一つの画素26を形成する際における各インク滴2
4の被記録体25上における狙った位置からのずれ量と
の関係を調べ、表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】なお、ここで使用したインクジェット記録
ヘッド23は、 インク吐出口22のサイズ 17×17μm ヒーター11のサイズ 14×84μm ヒーター11の抵抗値 75Ω である。なお、インク柱の形状及びインク滴の飛翔速度
の測定に際してはインクに代えて以下のような成分のビ
ークル(インクから染料成分を除去した透明液体)を使
用した。
【0034】 グリセリン 18.0% エチルアルコール 4.8% 水 77.2% 一方、画素位置精度の測定には以下のような成分のイン
クを使用した。
【0035】 グリセリン 18.0% エチルアルコール 4.8% 水 75.0% C.I.ダイレクトブラック154 2.2% なお、インク滴24を付着させる被記録体25として
は、(株)リコー製のPPC用紙6200を使用し、ヒ
ーター11に入力するパルス信号の周波数を20kHz
とした。
【0036】表1より、I/I、つまり、インク滴
24の直径寸法(I)に対するインク滴24の長さ寸
法(I)の比が2.8以下のものは、インク滴24の
飛翔速度が遅く(5.0m/sに達しない)、被記録体
25上の狙った位置へインク滴24を付着させることが
できず(1ドット以上ずれるものは画質が悪くなる)、
実用的でないことがわかる。つまり、飛翔するインク滴
24は、細長柱状(I /Iが3以上)となるような
条件で吐出させなければならないことがわかる。そし
て、その時のインク滴24の飛翔速度は、5〜10m/
s或いはそれ以上であり、外乱に対して強く、飛翔の直
進性が良く、狙いとする位置に精度良く付着させること
ができる。
【0037】つぎに、図2はインク滴24の形状をより
詳細に示したものである。同図(a)に示したインク滴
24が最も理想とする形状であるが、同図(b)に示し
たようにサテライト24aと称するミスト状の極微小の
インク滴を伴って飛翔したり、同図(c)や(d)に示
したようにインク滴24が二つ(場合によっては三つ)
に分離して飛翔する場合もある。これらの差異は、イン
ク吐出口22の寸法、インクの物性(粘度,表面張
力)、パルス信号の形状等によるが、いずれの場合もヒ
ーター11に入力されるパルス信号は一つである。従っ
て、ここでは、同図(c)や(d)に示したように本来
一つのインク滴24であるべきものが分離して飛翔する
場合も、一つのパルス信号に対して一つのインク滴24
が形成されたものとして取扱う。なお、このように分離
したりサテライト24aを伴って飛翔しても、上述のよ
うにその飛翔速度が5〜10m/s或いはそれ以上であ
れば、これらのサテライト24aや分離したインク滴2
4は被記録体25上の略同じ位置に付着するため、形成
される画素26は真円に近く、画質が低下するという問
題を生じない。
【0038】つぎに、図3はヒーター11へ連続的に入
力するパルス信号の数を変えることにより一つの画素2
6を形成するインク滴24の数を変え、インク滴24の
数が変わることによって形成される画素26の大きさが
変わる様子を示したものである。同図(a)では、1個
のパルス信号がヒーター11へ入力されると共にインク
吐出口22からは1個のインク滴24が吐出され、1個
のインク滴24が被記録体25上に付着して画素26が
形成されている。同図(b)では、3個のパルス信号が
入力されると共に3個のインク滴24が吐出され、3個
のインク滴24によって1個の画素26が形成されてい
る。同図(c)では、5個のパルス信号が入力されると
共に5個のインク滴24が吐出され、5個のインク滴2
4によって1個の画素26が形成されている。同図
(d)では、8個のパルス信号が入力されると共に8個
のインク滴24が吐出され、8個のインク滴24によっ
て1個の画素26が形成されている。なお、インク滴2
4の数が増えるにつれて形成される画素26が大きくな
る。
【0039】ここで、本発明では、大きな画素26を得
るためには、ヒーター11に連続的に入力するパルス信
号の数を増やし、連続的に吐出されるインク滴24の数
を増やすことにより実現できるが、パルス信号の数を増
やせば、必然的に1個の画素26を形成するために要す
る時間が長くなる。従って、飛翔するインク滴24は、
特開昭59−207265号公報に開示されたように互
いにつながると、上述したようにインク滴の飛翔軌跡が
悪くなりプリントの信頼性が悪くなる等の支障が起こる
ため、各インク滴24が互いにつながらない範囲ででき
るだけ高い頻度でインク滴24を発生させることが、記
録スピードを上げるうえで重要なポイントになる。
【0040】そこで、本発明者は、互いにつながらない
インク滴24の形成頻度をどこまで上げることができる
かを調べるため、以下のようなインクジェット記録ヘッ
ドを製作し、その条件を調べた。
【0041】 インク吐出口のサイズ 17×17μm ヒーターのサイズ 14×84μm ヒーターの抵抗値 75Ω インク吐出口の配列密度 32本/mm(約800dp
iに相当) インク吐出口の数 256個 このインクジェット記録ヘッド23と、表面張力が4
9.3dyn/cmで粘度が1.39cpのビークルと
を用い、ヒーター11の駆動電圧を6V、パルス信号の
パルス幅をPw=4μsとし、パルス信号の周波数を2
0kHzとしてビークルを吐出させたところ、良好な吐
出が連続して行なわれた。この時の吐出スピードは、イ
ンク吐出口22から0.5mm先の位置において、1
1.7m/sであった。
【0042】そして、この時の気泡の様子を透明な平板
状部材16(図24乃至図28に図示)の上から観察し
てその時間的変化を調べたものが図4であり、入力した
パルス信号と気泡の様子とを時間軸をそろえて示した。
それによると、駆動電圧をオンしてパルス信号を入力す
ると、パルス信号の入力からやや遅れて(0.2μs
後)気泡の生成が開始され、その後気泡は次第に膨張
し、駆動電圧をオフ(4μs後)してからも気泡は膨張
を続け、気泡が最大値となる時の時間は4.9μs後で
あった。その後気泡は収縮を始め、駆動電圧をオンして
から14.7μs後に完全に消滅した。
【0043】つぎに、パルス信号の周波数を、10kH
z、30kHz、40kHzとして同様に気泡生成のプ
ロファイルを調べたが、気泡が最大になるまでの時間、
気泡消滅時の時間にはほとんど差異が見られず(気泡が
最大になるまでの時間は4.8〜5.1μs、気泡消滅
時の時間は14.7〜15μs)、気泡生成のプロファ
イルはパルス信号の周波数には依存しないことがわかっ
た。
【0044】そこで、パルス信号の周波数をさらに上
げ、インク滴24の吐出が安定して行なわれる限界を調
べたところ、周波数が51kHzまで安定した吐出が行
なわれることがわかった。この時におけるインク滴24
の飛翔速度は12.5m/sであった。さらに周波数を
上げて55kHzにしたところ、2〜3秒間インク滴2
4の吐出を行なった後、吐出しなくなった。
【0045】その理由を調べるため、周波数が50〜5
5kHzの間で気泡生成のプロファイルを注意深く調べ
たところ、周波数が51kHzまでは図4に示したよう
なパターンで気泡の発生から消滅までが行なわれた。こ
れに対し、周波数が52kHzでは、最初の数秒は図4
に示したようなパターンで気泡の発生から消滅までが行
なわれたが、その後は消滅しない気泡がヒーター11の
上方を覆ってしまい、気泡の発生,膨張,収縮,消滅と
いうパターンが行なわれなくなり、それ故、インク滴2
4の吐出も停止したのである。
【0046】従って、気泡が発生して消滅するまでのパ
ターンを安定して繰り返すためのパルス信号の上限周波
数、言い替えるならば、インク滴24の吐出が安定して
行なわれるためのパルス信号の上限周波数は51kHz
ということになる。
【0047】ここで、パルス信号の周波数が51kHz
時の駆動電圧と気泡の様子とを時間軸を揃えて図5に示
した。図5において、“T”はパルス信号を入力してか
ら気泡が最大になるまでの時間(この場合は、T=4.
9μs)である。そして、図5からは、この実験で使用
したインクジェット記録ヘッド23において2回目以降
の気泡の発生を安定して行なわせるためには、先のパル
ス信号を入力してから“4T(=19.6μs)”以降
に次のパルス信号を入力すればよいことがわかる。尚、
周波数が51kHzのパルス信号は、1回のパルス信号
の周期が1/(51×1000)秒、即ち、19.6μ
sである。
【0048】別の見方をすれば、先の気泡が消滅してか
ら次の気泡が発生を開始するまでの時間を“Ti”を、
前記“T”より大きくなるようにすれば、ほぼ安定し
て、しかも、最高の発生頻度で気泡生成、及び、インク
滴24の吐出を行なうことができることがわかる。
【0049】以上の結果は、インク吐出口22のサイズ
が17×17μm、インク吐出口22の配列密度が32
本/mmのインクジェット記録ヘッドにおける気泡生成
のプロファイルを調べた結果であるが、インク吐出口2
2のサイズや配列密度を変えた他のインクジェット記録
ヘッドにおける気泡生成のプロファイルを表2に示す。
尚、表2中に示した各時間は、パルス信号を入力してか
らの時間である。また、このパルス信号の周波数は全て
5kHzとした。
【0050】
【表2】
【0051】つぎに、これらのインクジェット記録ヘッ
ドにおけるパルス信号の周波数を5kHzから徐々に上
げていき、気泡生成限界、別の表現をすれば、インク滴
24の吐出限界を調べた。その結果、48本/mmのイ
ンクジェット記録ヘッドでは、約75kHzが上限であ
り、その時のインク滴24の飛翔速度は11.1m/s
であった。また、24本/mmのインクジェット記録ヘ
ッドでは、約46kHzが上限であり、その時のインク
滴24の飛翔速度は10.7m/sであった。そして、
これらのインクジェット記録ヘッドでは、それ以上にパ
ルス信号の周波数を上げるとインク滴24の吐出が停止
してしまい、上述したインクジェット記録ヘッド(イン
ク吐出口サイズが17×17μm、配列密度が32本/
mmのヘッド)での実験で見られたように、気泡がヒー
ター全面を覆う状態となった。
【0052】一方、16本/mmのインクジェット記録
ヘッドでは、パルス信号の周波数を9〜9.5kHzま
で上げるとインク滴の吐出が停止し、8本/mmのイン
クジェット記録ヘッドでは、パルス信号の周波数を6〜
7kHzまで上げた時点でインク滴の吐出が停止した。
そこで、これらのインクジェット記録ヘッドのヒーター
を観察したところ、ヒーターが破壊されていたことがわ
かった。
【0053】つまり、全てのインクジェット記録ヘッド
では、パルス信号の周波数を上げていくとある時点でイ
ンク滴の吐出が行なわれなくなるものの、その原因が異
なることがわかった。インク吐出口の配列密度が24本
/mm、48本/mmのインクジェット記録ヘッドで
は、上述した32本/mmのインクジェット記録ヘッド
と同様に、ヒーターによる気泡生成のサイクルが限界に
達してインク滴の吐出が停止したのに対し、インク吐出
口の配列密度が16本/mm、8本/mmのインクジェ
ット記録ヘッドでは、ヒーターの破壊によってインク滴
の吐出が停止したのである。
【0054】この原因は、発生する気泡の大きさに依存
するものと考えられる。一般に、気泡が崩壊、消滅する
際には、キャビテーション作用によって非常に大きな衝
撃力が働くことが知られている。その衝撃力は、発生す
る気泡が大きければ大きい程その消滅時にヒーターに強
く作用する。上記の実験結果では、インク吐出口の配列
密度が8本/mm、16本/mmのインクジェット記録
ヘッドでパルス信号の周波数を徐々に上げていったとき
にヒーターが壊れたのはその衝撃力によるものと考えら
れる。つまり、パルス信号の周波数が5kHzの時には
異常がなかったものの、この周波数を徐々に上げていっ
たためにキャビテーションによる衝撃力の繰り返し回数
が徐々に上がり、ヒーターがその衝撃力に耐えられなく
なって破壊されたものと考えられる。
【0055】一方、インク吐出口の配列密度が24本/
mm、48本/mmのインクジェット記録ヘッドのヒー
ターが破壊されなかったのは、発生する気泡が非常に小
さく、従ってヒーターに作用する衝撃力も小さいためと
考えられる。
【0056】この点に関し、より詳細に調べるため、本
発明者はインク吐出口の配列密度が異なる各種のインク
ジェット記録ヘッドのヒーターに対し、空気中及びビー
クル中でパルス信号を入力すると共にその周波数を変え
てそれらのヒーターの耐久性を調べた。使用したインク
ジェット記録ヘッドは、インク吐出口の配列密度が8本
/mm、16本/mm、24本/mm、32本/mm、
48本/mmのもので、駆動電圧やパルス信号のパルス
幅は、上述した気泡生成のプロファイルを調べた場合と
同様にした。その結果、空気中で駆動した場合には、パ
ルス信号の周波数を100kHzとして3時間駆動(パ
ルス信号を10入力)したが、全てのインクジェット
記録ヘッドのヒーターにおいて異常が認められなかっ
た。一方、ビークル中で同様の試験を行なったところ、
表3に示すような結果が得られた。
【0057】
【表3】
【0058】つまり、インク吐出口の配列密度が8本/
mm、16本/mmのように、ヒーターが大きく発生す
る気泡が大きい場合には、気泡生成のサイクルの上限に
達する以前のパルス信号の周波数においてヒーターが破
壊されてしまうのに対し、インク吐出口の配列密度が2
4本/mm、32本/mm、48本/mmのように、ヒ
ーターが小さく発生する気泡が小さい場合には、気泡生
成のサイクルの上限付近で駆動させても、10以上の
ヒーターの耐久性があることがわかった。尚、発生する
気泡の大きさは、その長手方向の長さが、8本/mmの
ものは380μm、16本/mmのものは195μm、
24本/mmのものは115μm、32本/mmのもの
は90μm、48本/mmのものは60μmであった。
【0059】以上の結果から、ある程度インク吐出口が
小さく、高密度に配列されたインクジェット記録ヘッド
では、インク滴の吐出を高い頻度で行なうための上限
は、パルス信号を入力してから気泡が最大になるまでの
時間を“T”としたとき、次のパルス信号を入力する時
間は先のパルス信号を入力してから“4T”以降とすべ
きものであることがわかる。別の見方をすると、先の気
泡が消滅してから次の気泡が発生を開始するまでの時間
を“T”より大きくなるように駆動すれば、ほぼ安定し
てしかも最高の発生頻度でインク滴の吐出を行なうこと
ができることがわかる。
【0060】次に、本発明の別の特徴について説明す
る。本発明では、従来に比べて非常に小さいエネルギー
でインク滴の吐出を行なっている。また、本発明で使用
するインクジェット記録ヘッドのインク吐出口も非常に
小さいため、従来よりある、例えば、特公昭59−43
312号公報に開示されているような50×40μmと
いった大きなインク吐出口からインク滴を吐出する場合
に比べてインク滴の吐出がかなり難しくなる。その一番
の理由は、インク吐出口が小さくなって流体抵抗が大き
くなるからであるが、これも、最適の条件を見出すこと
により安定したインク滴の吐出を行なうことが可能であ
る。
【0061】そこで本発明者は、インク滴を吐出させる
ために要するエネルギーが、インク吐出口の単位面積当
りどのくらい必要であるかを調べた。以下にそれを記
す。ここで使用したインクジェット記録ヘッドは、イン
ク吐出口の配列密度がそれぞれ24本/mm、32本/
mm、48本/mmのもので、それぞれのインク吐出口
のサイズは22×22μm、17×17μm、14×1
4μmであり、その他のディメンションや実験で使用し
たビークルの成分等は先に行なった実験の場合と同様で
ある。尚、実験の内容としては、インク滴の吐出に要す
るエネルギーを変えるために駆動電圧を変化させ、吐出
したインク滴の飛翔速度Vi(m/s)を測定した。ま
た、各インクジェット記録ヘッドのヒーターに入力する
パルス信号の周波数は、それぞれのインクジェット記録
ヘッドの使用限界(上限)から約10%低い周波数とし
た。即ち、24本/mmのインクジェット記録ヘッドで
は40kHz、32本/mmのインクジェット記録ヘッ
ドでは45kHz、48本/mmのインクジェット記録
ヘッドでは65kHzとした。又、パルス信号のパルス
幅は固定とし、各インクジェット記録ヘッドごとに、
4.5μs、4μs、3μsとした。表4にその結果を
示す。
【0062】
【表4】
【0063】これにより、インク吐出口の面積に対する
インク滴の吐出に要するエネルギーの比“E/S(J/
cm)”が0.3近傍以下では、インク滴は球状とな
り、その飛翔速度が遅く、不安定で実用的でないことが
わかった。一方、3より大きくなると、ヒーターの耐久
限界に達してヒーターが破壊されて使用できなくなるこ
とがわかった。
【0064】別の見方として、本発明のように従来例に
はない微小なインク吐出口(14×14μm〜22×2
2μm)から非常に高い周波数(少なくとも10kHz
以上)のパルス信号でインク滴を吐出するような場合
に、安定してインク滴を吐出させるためには、表4よ
り、インク吐出口の配列密度が24本/mmのインクジ
ェット記録ヘッドでは1.46μJ(駆動電圧5V時)
〜15.0μJ(駆動電圧16V時)、インク吐出口の
配列密度が32本/mmのインクジェット記録ヘッドは
0.90μJ(駆動電圧4.1V時)〜8.74μJ
(駆動電圧12.8V時)、インク吐出口の配列密度が
48本/mmのインクジェット記録ヘッドは0.62μ
J(駆動電圧3.8V時)〜5.97μJ(駆動電圧1
1.8V時)であり、これらを総合して0.6μJ〜1
5.0μJ程度の範囲で使用するのがよい。
【0065】本発明では、被記録体(例えば、紙)上に
形成する画素の大きさを、10〜75kHzという非常
に高い頻度で発生させた非常に微小なインク滴を1個〜
複数個略同一箇所へ付着させることによって変化させ
る。この1個〜複数個のインク滴を略同一箇所へ付着さ
せるために画像濃度情報がインクジェット記録ヘッドに
入力され、この画素濃度情報に応じた1個〜複数個のパ
ルス信号によって1個〜複数個の微小なインク滴を発生
させるわけであるが、被記録体上に複数個のインク滴を
付着させた場合にその画素径が変えられる範囲にも限界
があり、無制限に多くのインク滴を同一箇所に付着させ
ればよいというものではない。
【0066】本発明者はこの点に鑑み、発生させるイン
ク滴の数と被記録体上に形成される画素の大きさとの関
係を調べた。ここで使用したインクジェット記録ヘッド
は、インク吐出口のサイズが17×17μm、インク吐
出口の配列密度が32本/mm、その他の寸法等は上述
した実験で使用したインクジェット記録ヘッドと同様で
ある。また、使用したインクの組成は、 グリセリン 18.0% エチルアルコール 4.8% 水 75.0% C.I.ダイレクトブラック154 2.2% である。さらに、吐出の条件は、駆動電圧が6V、パル
ス信号のパルス幅が4μs、パルス信号の周波数が45
kHzである。この条件でパルス信号数を1,2,3,
…と変えて最大50まで入力し、それぞれのパルス信号
数に応じて形成される被記録体上の画素径を測定した。
被記録体としては、(株)リコー製のPPC用紙620
0と、三菱マットコート紙NMとを用いた。図6にその
結果を示す。尚、図6のグラフは、横軸に一つの画素を
形成するために吐出させたインク滴の数(パルス信号
数)、縦軸は形成された画素の画素径である。
【0067】これより分かるように、被記録体の略同一
箇所に付着させるインク滴の数を増加させるにつれて画
素径を大きくすることができるが、ある値以上のインク
滴の数になると、画素径を大きくすることに関してあま
り寄与しなくなる。ここでは、インク滴の発生頻度、つ
まり、パルス信号の周波数を45kHzとしたが、複数
個のインク滴によって一個の画素を形成しているため、
実際の画素形成頻度は、画素を形成するインク滴の数の
とりかたにもよるが、45kHzよりはるかに遅くな
る。
【0068】ここで、最大画素を得るためにn個のイン
ク滴を使用すると仮定すれば、画素形成頻度は45kH
z/nとなる。この画素形成頻度は、一個のインク滴に
よって一個の画素を形成する場合も、n個のインク滴に
よって一個の画素を形成する場合も同じであり、n個の
インク滴により一個の画素を形成する場合が律則条件と
なる。このインク滴発生頻度と、画素形成頻度との関係
を図7に示す。
【0069】図7に示した例では、1個〜22個の範囲
でインク滴の数を変えることにより大きさの異なる画素
を形成する例を示しているが、インク滴を形成するパル
ス信号の周波数を22kHzとすると、画素の形成頻度
は1kHzに低下する。画素形成頻度は1枚のプリント
を実行するスピードを決定するものであるから、できる
だけ速いほうがよい。従って、一個の画素を形成するた
めのインク滴の数を必要以上に増やすと、プリントスピ
ードが遅くなり好ましくない。このような観点から図6
の結果をみると、インク滴の数が20個より少ない場合
には、画素径はインク滴の数に応じて比較的大きく変化
するが、20個〜30個の範囲になると、画素径の変化
がややにぶくなる。さらに、30個以上になると、イン
ク滴の数を増やしても画素径はほとんど変わらず、これ
以上インク滴を被記録体上の同一個所へ付着させても意
味がないことがわかる。
【0070】つまり、一つの画素をその径を変えて記録
するためには、多くても30個までの範囲でインク滴の
数を変えて記録するのが望ましく、好適には20個まで
の範囲でインク滴の数を変えるのがよく、最適には10
個までの範囲でインク滴の数を変えるのがよい。これ
は、図6のグラフからも明らかなように、インク滴の数
が10個までの範囲では画素径の変化率が最も良く、1
0個〜20個までの範囲ではその変化率がやや低くな
り、20個〜30個の範囲ではその変化率がさらに低く
なり、30個以上ではほとんど変化しなくなるからであ
る。
【0071】別の見方をすれば、本発明は、インク滴の
形成頻度が従来の16本/mm程度のインク吐出口配列
密度のインクジェット記録ヘッドでは実現できなかった
10kHz以上のパルス信号でその特徴を発揮し、又、
その上限は75kHzであるので、その画素形成頻度が
0.3〜7.5kHzとなる。
【0072】ここで、実際に記録を行なった結果につい
て説明する。尚、インク吐出口の配列密度が32本/m
m(インク吐出口の数は256)のインクジェット記録
ヘッドを4個使用し、それぞれにイエロー、マゼンタ、
シアン、ブラックの色が異なるインクをつめ、A4サイ
ズの紙(三菱製紙製のマットコート紙NM)を用いた。
又、各種記録条件は以下のとおりである。パルス信号の
周波数が45kHz、画像濃度情報に応じて1画素を形
成するためのインク滴の数を1〜15個の範囲とした。
従って、画素の形成頻度は3kHzである。さらに、階
調表現は本発明の方法によって画素径を変えただけでな
く、4×4のマトリックスを組み合わせることにより、
256階調まで変えることとした。従って、画素の密度
は32個/mmであるが、絵素の密度は8個/mmとな
った。以上の条件でA4サイズの紙へ記録を行なうため
には、34スキャン(片方向記録とした)を行なって約
2分弱で終了した。得られた画像は、銀塩写真に勝ると
も劣らない画質であった。
【0073】ついで、本発明の別の特徴について説明す
る。この特徴は、被記録体25上の同一箇所へ付着させ
ることができるインク滴24の最大数を可変としたこと
である。即ち、その記録装置がもつ本来の記録モードの
他に、被記録体25上の同一箇所へ付着させることがで
きるインク滴24の最大数を変えたモード(ドラフトモ
ード)を持たせたことである。そして、本来の記録モー
ドが1個〜10個のインク滴24によって1画素を形成
するものであるのに対し、ドラフトモードが1個〜5個
のインク滴24によって1画素を形成するものであると
すれば、2倍の速さで印写を行なうことができる。な
お、このようなドラフトモードは、最高画質は得られな
くともプリントアウトした場合における全体のおおまか
なイメージを早くつかみたいというような場合に非常に
便利である。
【0074】また、インクジェット記録ヘッドは、ノン
インパクト、ノンコンタクト記録であるため、原理的に
はあらゆる被記録体(例えば、コピー用紙、再生紙、O
HPシート、ハガキ等)に印写することが可能である。
しかし、被記録体25上で形成される画素26の大きさ
は、被記録体25の種類によって変化するものであり、
その一例を表5に示す。なお、この表5においては、
A,B,Cは種類の異なる被記録体であり、それぞれ1
滴、5滴、10滴のインク滴24によって1個の画素2
6を形成した場合におけるインク質量と画素径とを示し
ている。インク質量の測定は、現実には6×10個の
インク滴24を採取(20kHzのパルス信号で30秒
間インク滴24を吐出させて採取)し、その重量から求
めたものである。画素径は、被記録体25上の画素26
をX−Yステージ付光学顕微鏡で測定したものであり、
30個の平均値で示している。
【0075】
【表5】
【0076】表5より明らかなように、被記録体Aと被
記録体Bとでは形成される画素26の画素径は僅かに被
記録体Bが拡がるだけであるが、被記録体Cでは被記録
体A,Bに比べてはるかに拡がることがわかる。そし
て、被記録体A,B,Cを用いて全く同じ条件で同じ画
像サンプルを印写したところ、被記録体B上の画像は被
記録体A上の画像に比べて僅かに暗く、被記録体C上の
画像は被記録体A,B上の画像に比べてはるかに暗い画
像となった。なお、その時の各被記録体A,B,C上の
最大となる画素26は10滴のインク滴24によって形
成されたものである。
【0077】つぎに、被記録体A上で最大となる画素2
6を形成するインク滴24の数を11滴として同様の印
写サンプルを得たところ、前述の被記録体B上の画像と
略同じ位の濃度の画像が得られた。さらに、被記録体A
上で最大となる画素26を形成するインク滴24の数を
14滴として同様の印写サンプルを得たところ、前述の
被記録体C上の画像と略同じ位の濃度の画像が得られ
た。
【0078】以上の結果より、被記録体が変わっても、
被記録体の種類に応じて被記録体上の同一箇所へ付着さ
せるインク滴24の最大数を変化させることにより、略
同じような画像が得られることがわかる。なお、同一箇
所へ付着するインク滴24の数は、最大の画素26を形
成する場合にのみ変化するものではなく、その他の大き
さの画素26の場合にもそれに準じて変化することはい
うまでもない。
【0079】また、画像読取装置であるスキャナーを備
えたインクジェット記録装置においては、通常は、原稿
をスキャナーで読んでそれを忠実にインクジェット記録
部で出力するという使い方をするが、時には、薄い原稿
を濃く印写し、又は、濃い原稿を薄く印写する場合があ
る。その際に、同一箇所へ付着させるインク滴24の最
大数を変えることにより、任意の濃度の画像を容易に得
ることができる。
【0080】なお、以上のように被記録体25上の同一
箇所へ付着させるインク滴24の最大数を可変させるこ
とにより被記録体25上に印写された画像の濃度を調整
する方法は、ヒーター11を加熱して気泡を発生させる
形式のサーマルインクジェット記録ヘッドにのみ適用さ
れるものではなく、ピエゾ振動子を振動させることによ
りインク滴を吐出させるようにした連続流型インクジェ
ットヘッドにおいても適用が可能である。
【0081】ついで、本発明の別の特徴について説明す
る。まず、本発明のように被記録体25上の同一箇所へ
付着させるインク滴24の数を変えることにより画素径
を変化させて階調記録を行なう場合、同一箇所へ付着さ
せたインク滴24の数と画像濃度との関係は、図8に示
したように最高濃度に達するまでは直線的増加であるこ
とが望ましい。しかし、同一箇所へ付着させたインク滴
24の数と画像濃度との関係を測定すると、直線的増加
にはならず図9に示したような結果となる。なお、この
測定において使用したインクジェット記録ヘッドは、 インク吐出口22のサイズ 17×17μm ヒーター11のサイズ 14×84μm ヒーター11の抵抗値 77Ω インク吐出口22,ヒーター11の配列密度 800dpi である。また、インクとしては以下の成分のものを使用
した。
【0082】 グリセリン 18.0% エチルアルコール 4.8% 水 75.0% C.I.ダイレクトブラック154 2.2% さらに、インク滴24を付着させる被記録体25として
は、(株)リコー製のPPC用紙6200を使用した。
そして、1画素を形成するインク滴24の数が1,2,
3,…,…,20の場合で濃度測定ができるように、1
0×10mmの領域で全面印写を行い、それぞれの濃度
を測定してプロットしたものである。
【0083】図9に示した測定結果によると、画像濃度
が低い範囲では、画像濃度はインク滴24の増加に応じ
て略直線的に上昇するが、画像濃度が高くなって次第に
飽和状態に近付くと、インク滴24の増加に対して画像
濃度の上昇が緩やかになり、被記録体25上の同一箇所
へ付着させるインク滴24の数を大幅に上昇させないと
必要な画像濃度が得られなくなることがわかる。
【0084】そこで、本発明では図10に示したよう
に、インク滴24の数を変えて大きさが異なるようにし
た画素をD,D,D,…,…,D10としたとき
に、それらの画素を構成するためのインク滴24の数を
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10とするので
はなく、例えば、本発明の例では、1,2,3,4,
5,6,8,10,12,20滴という具合に設定す
る。こうすると、各画素(D 〜D10)に対して画像
濃度が図10に示したように直線的に増加し、所望の画
像濃度が容易に得られるようになり、なめらかで、高品
質の階調記録が可能となる。
【0085】ついで、本発明の別の特徴について説明す
る。この特徴は、1個〜複数個のインク滴24によって
形成される画素26の中心位置を、1画素が形成される
べき領域の中心位置に略一致させると共に、隣接する画
素26の中心間距離を略等しくし、さらに、1画素を形
成するための隣接するパルス信号群の中央位置間隔を略
等しくするようにしたものであり、これらの特徴を以下
に詳述する。
【0086】まず、図11に示した正方形の各フレーム
は被記録体25上において1画素が形成されるべき5個
の領域を示したものであり、図12はそれらの各領域内
に2値記録の画素26が形成された状態を示したもので
ある。このような2値記録の場合には、画素26の中心
と画素を形成すべき領域の中心とが容易に一致し、か
つ、画素を形成すべき領域の中心間距離Laと、隣接す
る画素26の中心間距離Lbとが略一致する。
【0087】つぎに、図13は1個〜複数個のインク滴
24によって1画素を形成する従来例を示したもので、
1画素を形成するインク滴24の数によっては、その画
素26の中心位置と1画素が形成されるべき領域の中心
位置とが一致しなくなり、さらに、隣接する画素26の
中心間距離Lc,Lc,Lc,Lcが区々とな
り、最終的には画像品質が低下するという問題がある。
これは、インクジェット記録ヘッドと被記録体とが相対
運動をしながら印写が行なわれると共に1画素を形成す
るインク滴24の数が1個〜複数個の範囲で変化して1
画素を形成する時間が異なるためである。また、1画素
を形成するための隣接するパルス信号群の中央位置間隔
Ta,Ta,Ta,Taも区々となっている。
なお、図13は1個の画素を形成する最大インク滴24
の数が5個の場合を示しており、実線で示したパルス信
号がインク滴24を吐出させる際のものである。
【0088】図14は本発明の特徴を示したもので、1
画素を形成するインク滴24の数が少ない場合(小さい
画素を形成する場合)には、インク滴24を吐出させる
パルス信号を時間的に遅延させて発生させている。具体
的には、1個のインク滴24で1画素を形成する場合に
は発生可能な5個のパルス信号のうち3番目のパルス信
号を発生させ、2個のインク滴24で1画素を形成する
場合には2番目と3番目のパルス信号を発生させてい
る。このようにすることにより、各画素26の中心位置
と1画素が形成されるべき領域の中心位置とが略一致
し、さらに、隣接する画素26の中心間距離Ld,L
,Ld,Ldが略一致し、画質が向上する。こ
こで、“略一致”という表現を使ったのは、インク滴2
4を発生させるパルス信号が偶数個か奇数個かによって
1パルス分(インク滴1滴分)の位置ズレが発生するた
めである。しかし、この1パルス分の位置ズレはほとん
ど無視してよい値であり、2個のインク滴24で1画素
を形成する場合には3番目と4番目のパルス信号を発生
させてもよい。
【0089】なお、図13及び図14においては、隣接
する画素26間に隙間があるような図になっているが、
これは図が複雑になることを避けるためであり、実際に
はつながった直線、或いは、全面ベタ印写のような場合
には、隣接する画素26同士は互いに重なり合うように
なる。また、図13及び図14において、複数個のイン
ク滴24で1個の画素26を形成する場合、画素26が
横長状になるように示されているが、これも説明上の便
宜から極端に表現したものであり、実際には各画素26
は略丸い形となる。
【0090】一方、1画素を形成するためのパルス信号
群に関しては、隣接するパルス信号群の中央位置間隔T
,Tb,Tb,Tbが略一定となっている。
なお、ここでも“略一定”という表現を使ったのは、上
述した場合と同様に、インク滴24を発生させるパルス
信号が偶数個か奇数個かによって1パルス分(インク滴
1滴分)の位置ズレが発生するためであるが、この1パ
ルス分の位置ズレはほとんど無視してよい値である。
【0091】ついで、本発明の別の特徴を図15及び図
16に基づいて説明する。まず、2値記録を行なう通常
のインクジェット記録ヘッドでは、全面印写(ベタ印
写)を行なった場合、隣接する各画素が互いに部分的に
重なり合うようにしてインク滴が付着しない白地領域を
なくすようにしている。例えば、図15に示したよう
に、各画素26の画素径をD、隣接する画素26の中
心間距離をDとするとき、D≧√2・Dとするこ
とによって白地領域がなくなる。具体的な数字を挙げる
と、400dpiの印写密度の場合、D=63.5μ
mであるから、D≧90μmとすれば、白地領域がな
くなって全面印写が実現される。そして、このような画
素径を得るためには、例えば、前述した特公昭59−4
3312号公報に開示されたようにヒーター面に対して
水平方向にインク滴を吐出させる所謂エッジシュータ型
のサーマルインクジェット記録ヘッドでは、インクや紙
の材質等により多少の変動があるものの、インク吐出口
の大きさは略28×28μm程度に設定されている。
【0092】一方、本発明は、画素の大きさを変える多
値記録によって階調記録を行なうようにしたインクジェ
ット記録ヘッドであり、インク吐出口22が400dp
iの密度で一列に形成され、各インク吐出口22が16
×16μmの大きさに形成されている。また、ヒーター
11は15×60μmの大きさに形成され、その抵抗値
が61.7Ωに設定されている。
【0093】そして、このインクジェット記録ヘッドを
用いると共に前述した組成のインク(グリセリン 18
%,エチルアルコール 4.8%,水 75%,C.
I.ダイレクトブラック154 2.2%)を用いてイ
ンク滴を吐出させたところ、ヒーター11へ入力するパ
ルス信号の周波数が最大53kHzまで安定したインク
滴の吐出が行なわれた。
【0094】そこで、記録紙として(株)リコー製のP
PC用紙6200を使用すると共に全てのインク吐出口
22からインク滴を吐出させる全画素印写を行ない、形
成された画素26の画素径を測定した。なお、このとき
のパルス信号の周波数を48kHzとし、1画素を形成
するためのインク滴を1個〜6個の範囲で変化させたた
め、画素形成頻度は8kHzとなっている。図16
(a)は1個のインク滴で1画素を形成した状態であ
り、画素径は32.1μmである。同様に、同図(b)
は2個のインク滴で1画素を形成した状態で画素径が6
3.8μm、同図(c)は3個のインク滴で1画素を形
成した状態で画素径が72.5μm、同図(d)は4個
のインク滴で1画素を形成した状態で画素径が80.9
μm、同図(e)は5個のインク滴で1画素を形成した
状態で画素径が88.8μm、同図(f)は6個のイン
ク滴で1画素を形成した状態で画素径が96.2μmと
なっている。なお、図16(b)〜(f)のように隣接
する画素26が接触する場合における画素径の測定は、
1画素のみを単独で印写することにより行なった。
【0095】ここで、1個のインク滴で1画素を形成し
た場合において、インク吐出口22が小さいと共にそれ
に伴ってヒーター11も小さいため、各インク吐出口2
2から吐出される1個のインク滴の量が少なく、各画素
26の画素径Dが隣接する画素の中心点間距離D
平方根倍より小さくなる(即ち、D<√2・D)と
共に隣接する画素同士が互いに離反している。従って、
全画素印写を行なっても白地領域が多く残り、印写面全
体が淡いグレーとなる。そして、1個の画素26を形成
するインク滴の数を増加させるにつれて図16(b)〜
(d)に示すように各画素26の画素径が大きくなって
隣接する画素同士の重なり部分が次第に大きくなると共
に白地領域が次第に少なくなり、印写面全体が次第に黒
くなる。そして、図16(e)においては画素径が画素
26の中心点間距離の平方根倍と等しくなり(即ち、D
=√2・D)、白地領域がなくなって印写面が真っ
黒になる。また、図16(f)においては画素径が画素
26の中心点間距離の平方根倍より大きくなり、画素同
士の重なり部分がさらに大きくなると共に印写面全体が
より一層濃い黒色となる。
【0096】つぎに、前述した2値記録を行なう通常の
インクジェット記録ヘッドにより全画素印写を行なう
と、図16(e)に示した場合と同じようになり、印写
面上における白地領域がなくなる。そこで、単独で1画
素を形成して画素径を測定したところ、約95.5μm
であった。従って、このインクジェット記録ヘッドで階
調記録を行なうためには、画素を間引いて印写するしか
手段がなく、一応階調記録を行なうことはできるが40
0dpiの密度を有効に利用できないために非常に解像
度の低下した画像となる。
【0097】これに対して本発明では、1個のインク滴
で1画素を形成した場合の画素径が非常に小さく、40
0dpiの密度で印写しても隣接する画素26が重なり
合わず、隣接する画素26の間には十分に広い白地領域
が存在する。従って、その白地領域が徐々に埋るように
1画素を形成するインク滴の数を変えて画素径を大きく
していき、最終的には白地領域を全部なくすことによ
り、階調記録を行なえる。しかも、前述した2値記録を
行なう通常のインクジェット記録ヘッドにより階調記録
を行なう場合のように画素を間引く必要がなく、400
dpiの画素密度による印写を行なうために解像度の低
下は起こらず、非常に高画質印写を行なうことができ
る。
【0098】
【発明の効果】請求項1記載の発明は上述のように、ヒ
ーターに入力される一つのパルス信号のエネルギーを
“E=0.6×10−6〜14.8×10−6(J)”
とすると共にインク吐出口の開口面積を“S=2×10
−6〜5×10−6(cm)”とし、“E/S”の値
を0.3〜3としたので、従来例にない微小な開口面積
のインク吐出口からの微小なインク滴の吐出を安定して
行なわせることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるインク滴の飛翔状態
を示した説明図である。
【図2】飛翔するインク滴の形状を詳細に示した説明図
である。
【図3】パルス信号の数と吐出するインク滴の数と形成
される画素の大きさとの関係を示した説明図である。
【図4】パルス信号の入力と気泡生成の様子とを示した
説明図である。
【図5】連続的に入力されるパルス信号と気泡生成の様
子とを示した説明図である。
【図6】一つの画素を形成するインク滴の数と画素径と
の関係を示したグラフである。
【図7】インク滴の発生頻度と画素形成頻度と画素の大
きさとを示した説明図である。
【図8】被記録体上の同一箇所に付着するインク滴の数
と画像濃度との理想的な関係を示したグラフである。
【図9】被記録体上の同一箇所に付着するインク滴の数
と画像濃度との関係を測定した結果を示したグラフであ
る。
【図10】各画素と画像濃度との関係を示したグラフで
ある。
【図11】被記録体上において1画素が形成されるべき
5個の領域を示した平面図である。
【図12】被記録体上における1画素が形成されるべき
各領域内に2値記録の画素が形成された状態を示した平
面図である。
【図13】1個〜複数個のインク滴によって1画素を形
成する従来例における1画素が形成されるべき領域と画
素との位置関係及びパルス信号の発生タイミングを示し
た説明図である。
【図14】1個〜複数個のインク滴によって1画素を形
成した本発明における1画素が形成されるべき領域と画
素との位置関係及びパルス信号の発生タイミングを示し
た説明図である。
【図15】2値記録を行なう通常のインクジェット記録
ヘッドの全画素印写により形成された画素を示した平面
図である。
【図16】一つの画素を形成するインク滴の数と画素径
との関係、及び、画素の間の白地領域の関係を示した平
面図である。
【図17】一つのインクジェット記録ヘッドの発熱体基
板を示した側面図である。
【図18】発熱体基板の形成手順を示した平面図であ
る。
【図19】発熱体基板の変形例を示した平面図である。
【図20】蓋基板を示した斜視図である。
【図21】インクジェット記録ヘッドの発熱体基板を示
した正面図である。
【図22】発熱体基板上にインクを流すための溝を形成
する工程を示した正面図である。
【図23】発熱体基板上に溝の形成が終了した後の状態
を示した正面図である。
【図24】蓋基板を示した正面図である。
【図25】発熱体基板と蓋基板とを押圧貼付した状態を
示した正面図である。
【図26】発熱体基板と蓋基板とを押圧貼付した状態を
示した斜視図である。
【図27】図26におけるB−B線断面図である。
【図28】完成したインクジェット記録ヘッドを示した
縦断側面図である。
【符号の説明】
4,11 ヒーター 18 液路 19 液室 22 インク吐出口 23 インクジェット記録ヘッド 24 インク滴 25 被記録体 26 画素

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを貯留する液室とこの液室に液路
    を介して連通されたインク吐出口と前記液路内に設けら
    れたヒーターとを有し、前記ヒーターにパルス信号を入
    力して前記液路内のインクに気泡を発生させると共にこ
    の気泡の膨張に伴う作用力によって前記インク吐出口か
    らインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドにお
    いて、前記ヒーターに入力される一つのパルス信号のエ
    ネルギーを“E=0.6×10−6〜14.8×10
    −6(J)”とすると共に前記インク吐出口の開口面積
    を“S=2×10−6〜5×10−6(cm)”と
    し、“E/S”の値を0.3〜3としたことを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッド。
JP2002102150A 1992-09-29 2002-04-04 インクジェット記録ヘッド Expired - Lifetime JP3380811B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002102150A JP3380811B2 (ja) 1992-09-29 2002-04-04 インクジェット記録ヘッド

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25952192 1992-09-29
JP5-28019 1993-02-17
JP2801993 1993-02-17
JP4-259521 1993-02-17
JP2002102150A JP3380811B2 (ja) 1992-09-29 2002-04-04 インクジェット記録ヘッド

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10670693A Division JP3339724B2 (ja) 1992-09-29 1993-05-07 インクジェット記録方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002337341A true JP2002337341A (ja) 2002-11-27
JP3380811B2 JP3380811B2 (ja) 2003-02-24

Family

ID=27286042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002102150A Expired - Lifetime JP3380811B2 (ja) 1992-09-29 2002-04-04 インクジェット記録ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3380811B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006289758A (ja) * 2005-04-11 2006-10-26 Mimaki Engineering Co Ltd インクジェットプリンタとそれを用いたプリント方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006289758A (ja) * 2005-04-11 2006-10-26 Mimaki Engineering Co Ltd インクジェットプリンタとそれを用いたプリント方法
JP4538657B2 (ja) * 2005-04-11 2010-09-08 株式会社ミマキエンジニアリング インクジェットプリンタとそれを用いたプリント方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3380811B2 (ja) 2003-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3339724B2 (ja) インクジェット記録方法及びその装置
JP3312894B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP3384797B2 (ja) インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2002321394A (ja) インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
EP1514685B1 (en) Liquid discharge apparatus and inkjet recording apparatus
JP2002337341A (ja) インクジェット記録ヘッド
JP2002127403A (ja) インクジェットプリントヘッドの作動方法
JPH1029321A (ja) インクジェットプリント装置およびプリント方法
JP2000118009A (ja) 液体噴射装置並びにスキャナ―付き記録装置
JP2000118010A (ja) 液体噴射装置並びにスキャナ―付き記録装置
JPH09300611A (ja) インクジェット記録ヘッド
JPH0820110A (ja) サーマルインクジェットプリンタ
JP2002144557A (ja) インクジェットヘッドの駆動方法
JP3046061B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよび該記録ヘッドを用いる記録装置
JPH05112008A (ja) インクジエツト記録装置
JPH11179921A (ja) 液体噴射記録ヘッドの表面処理方法
JPH0550612A (ja) 液体噴射記録方法
JP2003127370A (ja) インクジェット式記録装置
JPH09193386A (ja) インクジェット記録ヘッド
JP2002210931A (ja) インクジェット記録装置
JPH0911464A (ja) インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドを用いたインクジェット記録装置
JPH08300655A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JPH05116312A (ja) 液滴噴射記録方法
JPS62212157A (ja) 液体噴射プリントヘッド及びプリント装置
JPH021315A (ja) 液体噴射記録ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071213

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081213

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081213

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091213

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101213

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101213

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111213

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111213

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121213

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131213

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term