JP2002336683A - 複合壁膜化マイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた画像記録シート - Google Patents

複合壁膜化マイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた画像記録シート

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JP2002336683A
JP2002336683A JP2001145494A JP2001145494A JP2002336683A JP 2002336683 A JP2002336683 A JP 2002336683A JP 2001145494 A JP2001145494 A JP 2001145494A JP 2001145494 A JP2001145494 A JP 2001145494A JP 2002336683 A JP2002336683 A JP 2002336683A
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dispersion medium
composite
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Yukio Kubota
幸雄 久保田
Minoru Suzuki
実 鈴木
Kazuyuki Shinpo
和幸 新保
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 均一で欠陥がなく且つ厚い外壁膜を有する複合壁膜化マ
イクロカプセルを提供する。 【課題】 【解決手段】 耐熱性合成樹脂製内壁膜上に、(イ) 酸性
又はアルカリ性の分散媒に溶解又は分散可能であるとと
もに、(ロ) 上記分散媒への溶解又は分散時に上記内壁膜
の電荷と反対の極性の電荷を帯びる化合物からなる外壁
膜を形成する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂製内壁膜
と外壁膜とからなる複合壁膜化マイクロカプセルに関
し、均一で欠陥がなく且つ厚い外壁膜を有する複合壁膜
化マイクロカプセル及びこれを用いた画像記録シートに
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら高解像度の記録方式として、感圧感熱記録方式が提案
されている。感圧感熱記録方式は、色材を封入したマイ
クロカプセルを塗布した記録紙を、サーマルヘッドで加
熱・加圧することにより、マイクロカプセルを破壊して
記録紙に色材を定着させ画像を形成する方法である。
【0003】最近では、感圧感熱記録方式をカラー画像
形成システムに適用した例が報告されており、例えば、
特開平11-170692号には、図1に示すように、各色ごと
のマイクロカプセルの破壊温度・破壊圧力領域が重複し
ないよう設計されたシアン、マゼンダ、イエロー等複数
の色に対応したマイクロカプセルを用い、各色ごとに選
択的に加圧と加熱とを制御することにより、高精度のフ
ルカラー画像を形成する方法が開示されている。
【0004】このような用途においては、図2に示すよ
うに、合成樹脂壁膜12を有し、カラホーマー溶液11を内
包するマイクロカプセルの表層に、適当な融点を有する
とともに、耐圧性及び耐溶剤性に優れた外壁13を形成し
た複合壁膜化マイクロカプセル1を用いるのが有効であ
る。すなわち、融点が異なる外壁材の種類を選択するこ
とにより融点を制御でき、また内壁の膜厚の制御により
破壊圧力を制御することができる。このような外壁膜を
形成することができる材料としては、加熱すると融解す
るが、冷却すると固化する性質を有するワックス類が用
いられている。
【0005】カプセル表面にワックス外壁膜を形成して
複合壁膜化する方法としては、相分離法(融解分散冷却
法)が一般的である。相分離法によれば、まず溶媒中に
ワックスを分散させ、ワックスの融点以上に加熱すると
ともによく撹拌してワックスエマルジョンとした後、こ
れにマイクロカプセルを投入して溶解したワックスを集
め、徐々に冷却することによりマイクロカプセルの周囲
にワックスを沈積させて、外壁膜を形成する。
【0006】しかしながら、従来の相分離法では、カプ
セル壁材とワックスとの親和性が低く、更にワックスの
析出が激しいため、得られるワックス外壁膜が均質でな
く、部分的にしかワックスが沈積されなかったり、カプ
セル表面にワックスが角状に析出することを、本発明者
らは実験により確認した。すなわち、感圧感熱記録にお
いては、所定の温度で正確にワックス外壁を融解させる
ためにワックスが均質に被覆されている必要があるが、
従来技術では、ワックス析出時に微妙な温度調節を行っ
ても均一な複合壁膜が得られないというのが実情であっ
た。またこのため厚い外壁膜を得ることが困難であり、
充分な温度特性が得られなかった。
【0007】従って本発明の目的は、上記従来技術の欠
点を解消し、均一で欠陥がなく且つ厚い外壁膜を有する
複合壁膜化マイクロカプセルを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、合成樹脂製内壁膜上に(イ) 酸性
又はアルカリ性の分散媒に溶解又は分散可能であるとと
もに、(ロ) 上記分散媒への溶解又は分散時に上記内壁膜
の電荷と反対の極性の電荷を帯びる化合物からなる外壁
膜を形成することにより、上記問題を解決できることを
見出し、本発明に想到した。
【0009】すなわち、本発明の複合壁膜化マイクロカ
プセルは、酸性又はアルカリ性の分散媒への溶解又は分
散時に上記内壁膜の電荷と反対の極性の電荷を帯びる化
合物からなる外壁膜を有することを特徴とする。
【0010】また本発明の複合壁膜化マイクロカプセル
の製造方法は、(1) 酸性又はアルカリ性分散媒中で上記
内壁膜と反対の極性の電荷を帯びる化合物を上記分散媒
に溶解又は分散させ、(2) 合成樹脂製内壁膜からなるマ
イクロカプセルを上記分散媒に分散させ、(3) 上記分散
媒のpHを調整することにより、上記化合物を上記内壁膜
上に析出させて上記外壁膜を形成することを特徴とす
る。
【0011】アルカリ性分散媒中で負電荷を帯びる上記
化合物はビスフェノールA、ビスフェノールS、4,4'-エ
チリデンビスフェノール、4-α-クミルフェノール及び
オルトフェニルフェノールからなる群から選ばれた少な
くとも一種であるのが好ましい。
【0012】また酸性分散媒中で正電荷を帯びる上記化
合物は、N,N'-ジフェニルグアニジン、1,3-ジオルトト
リルグアニジン及び1-オルトトリルビグアニドからなる
群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
【0013】上記外壁膜は、酸性又はアルカリ性分散媒
に溶解又は分散して上記内壁膜と反対の極性の電荷を帯
びる化合物からなる少なくとも1つの第1の層と、上記
第1の層が溶解又は分散しない分散媒に溶解又は分散し
て上記第1の層と反対の極性の電荷を帯びる化合物から
なる少なくとも1つの第2の層とが交互に積層してなる
多層外壁膜であってもよい。
【0014】酸性又はアルカリ性分散媒中で正電荷を帯
びる上記内壁膜用の合成樹脂は、メラミン−ホルムアル
デヒドポリマー及び/又は尿素−ホルムアルデヒドポリ
マーからなるのが好ましい。
【0015】また酸性又はアルカリ性分散媒中で負電荷
を帯びる上記内壁膜用の合成樹脂は含ハロゲン高分子か
らなるのが好ましい。
【0016】上記多層外壁膜は、 (a) 酸性又はアルカ
リ性分散媒中で上記内壁膜と反対の極性の電荷を帯びる
化合物を上記分散媒に溶解又は分散させた後、上記内壁
膜からなるマイクロカプセルを分散させることにより外
壁膜用の第1の層を形成し、次いで(b) 上記分散媒のpH
を調整することにより第1の層が溶解又は分散しないよ
うにするとともに、上記第1の層と反対の極性の電荷を
帯びる化合物を溶解又は分散させることにより外壁膜用
の第2の層を形成し、必要に応じて上記工程(a) 及び
(b) を繰り返すことにより、上記第1の層と上記第2の
層とを交互に積層することにより形成するのが好まし
い。
【0017】本発明によれば、酸性又はアルカリ性の分
散媒への溶解又は分散時に上記内壁膜の電荷と反対の極
性の電荷を帯びる化合物を用いて外壁膜を形成するた
め、電気的引力が利用でき、均一で欠陥がなく且つ容易
に厚い外壁膜が得られる。更に、上記化合物として結晶
性有機化合物を用いると、該結晶性有機化合物析出時の
結晶成長力も利用できるため、より厚膜化が容易にな
る。
【0018】
【発明の実施の形態】[1] 複合壁膜化マイクロカプセル 本発明の複合壁膜化マイクロカプセルは、合成樹脂製内
壁膜上に酸性又はアルカリ性の分散媒への溶解又は分散
時に上記内壁膜の電荷と反対の極性の電荷を帯びる化合
物からなる外壁膜を形成してなる。以下、複合壁膜化マ
イクロカプセル及びそれを用いた画像記録シートについ
て詳細に説明する。
【0019】(A) 内壁膜からなるマイクロカプセル 複合壁膜化マイクロカプセルを構成するマイクロカプセ
ル(以後「核マイクロカプセル」とする)は、合成樹脂
からなる壁膜を有し、使用前の保管もしくは輸送中に生
じる加圧あるいは加熱においては破壊せず、内容物を十
分に保持できるが、所定の圧力以上に加圧すると破壊さ
れ、内部に包含している色材(インク、発色剤等)を放
出し得るものが好ましい。
【0020】上記核マイクロカプセルの壁膜(以後、核
マイクロカプセルの壁膜を「内壁膜」と呼ぶ)を構成す
る合成樹脂は、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂のど
ちらでもよく、例としてメラミン−ホルムアルデヒドポ
リマー、尿素−ホルムアルデヒドポリマー、ポリ尿素、
ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステ
ル、含ハロゲン高分子等を挙げることができる。好まし
くは、メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、尿素−ホ
ルムアルデヒドポリマー、及びその両方から成るポリマ
ー、並びに含ハロゲン高分子である。合成樹脂から成る
壁膜を有するマイクロカプセルは公知のin situ法、界
面重合法、コアセルベーション法等により形成すること
ができる。
【0021】例えばメラミン−ホルムアルデヒドポリマ
ーからなる核マイクロカプセルを作成する場合、水に可
溶性のメラミン−ホルマリンプレポリマーを用いる。色
材を溶解したオイルを保護コロイド水溶液中に乳化分散
したO/Wエマルジョンに、このプレポリマー水溶液を
加えて弱酸性領域(pH3〜6)で加熱撹拌するとO/W
界面に高分子が沈着してマイクロカプセルが得られる。
尚、保護コロイドとしては、メラミン−ホルムアルデヒ
ドポリマーの重縮合反応を促進する酸触媒としての機能
を有するもの(例えば、スチレンスルホン酸系ポリマ
ー、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、エチレンと
無水マレイン酸の共重合体、アラビアゴム、ポリアクリ
ル酸等)を用いることができる。
【0022】上記核マイクロカプセルの粒径は、0.1〜1
00μm、好ましくは1〜20μmの範囲であるのが、均一な
外壁膜を形成できるため好ましい。また上記核マイクロ
カプセルの形状は特に制限はないが、球形及び楕円形が
好ましい。
【0023】(B) 核マイクロカプセルの複合壁膜化 本発明の複合壁膜化マイクロカプセルの外壁膜の形成
は、核マイクロカプセルが帯びている電荷の符号と反対
の符号の電荷を帯びる化合物を用い、互いの電気的引力
を利用することを基本とする。
【0024】マイクロカプセルの電気的性質は、その壁
膜を構成する高分子の末端基の性質、芯物質が電解質溶
液である場合にはその電解質がカチオンかアニオンか、
該電解質溶液の濃度、内壁膜及び外壁膜の膜厚、マイク
ロカプセルを分散させる分散媒のイオン強度等により影
響を受ける。従って、所定のpHの分散媒中における核マ
イクロカプセルの電荷の符号を予め調べておくのが好ま
しい。これには例えば、所定のpHの分散媒中における核
マイクロカプセルの表面電位を測定すればよい。表面電
位は上記分散媒中での核マイクロカプセルの電気泳動速
度の測定から求めることができる。
【0025】以下、本発明の複合壁膜化マイクロカプセ
ル及びそれを用いた画像記録シートについて詳細に説明
する。本発明の複合壁膜化マイクロカプセルの製造方法
は、(1)核マイクロカプセルの電荷を調べる工程、(2)
化合物を核マイクロカプセル表面に析出させる工程、
(3) 洗浄、濾過及び乾燥する工程とからなる。
【0026】(1)核マイクロカプセルの電荷を調べる工
程 まず所定pHの分散媒中における核マイクロカプセルの電
荷の符号を調べる。これには上述のように上記分散媒中
での核マイクロカプセルの電気泳動速度の測定から表面
電位を求めるのが好ましい。また複合壁膜化に際し、上
記(A)の方法等で得た核マイクロカプセルは、予め十分
に洗浄してカプセル表面に析出した染料等を除去してお
くのが好ましい。
【0027】(2) 化合物を核マイクロカプセル表面に析
出させる工程 (a) 核マイクロカプセルの電荷が正の場合 上記(1)の方法で測定した結果、酸性又はアルカリ性分
散媒中における核マイクロカプセルが正電荷を帯びるも
のとしては、例えば、上記(A)の方法で得たメラミン−
ホルムアルデヒドポリマー及び尿素−ホルムアルデヒド
ポリマーからなる核マイクロカプセルを挙げることがで
きる。このような核マイクロカプセルに対しては、酸性
又はアルカリ性分散媒中で溶解・解離して負電荷を帯び
る化合物(以後、化合物(A)とする)により外壁膜を形
成することができる。
【0028】上記化合物(A)としては酸性又はアルカリ
性分散媒中で溶解・解離して負電荷を帯びる結晶性有機
化合物(以後、結晶性有機化合物(A)とする)が好まし
い。結晶性有機化合物(A)を用いることにより、分散液
をpH調整すると電気的引力により核マイクロカプセル表
面が結晶性有機化合物(A)により被覆され、さらに該結
晶性有機化合物(A)析出時の結晶成長力を利用できるた
め、外壁膜の厚膜化が可能となる。
【0029】結晶性有機化合物(A)は、融点が100 〜300
℃であるのが好ましい。このような結晶性有機化合物
(A)のうちアルカリ性分散媒中で解離して負電荷を帯び
るものとしては、フェノール性水酸基、カルボキシル
基、スルホン酸基等を有するものが好ましい。例えば、
上記結晶性有機化合物(A)の例として、ビスフェノール
A、ビスフェノールS、4,4'-エチリデンビスフェノー
ル、4-α-クミルフェノール、オルトフェニルフェノー
ル、メタフェニルフェノール、パラフェニルフェノー
ル、テトラメチルビスフェノールA、ビスフェノールA
P、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノー
ルZ、ヘキサフルオロビスフェノールA、4,4'-(1-エチ
ル-2-メチルトリメチレン)ビスフェノール、1-ナフト
ール、2-ナフトール、α-ジナフトール、β-ジナフトー
ル、γ-ジナフトール、2,4,6-トリフェニルフェノー
ル、2,6-ジフェニルフェノール、4-(4-ビフェニリル)-
2,6-ジフェニルフェノール、α-ナフトエ酸、β-ナフト
エ酸、ビフェニル-2-カルボン酸、ビフェニル-3-カルボ
ン酸、ビフェニル-4-カルボン酸、ナフタリン-1-スルホ
ン酸、ナフタリン-2-スルホン酸等を挙げることができ
る。好ましくは、ビスフェノールA、ビスフェノールS、
4,4'-エチリデンビスフェノール、4-α-クミルフェノー
ル及びオルトフェニルフェノールからなる群から選ばれ
た少なくとも一種の化合物である。
【0030】以下、アルカリ性分散媒中で解離して負電
荷を帯びる結晶性有機化合物(A)を用いて外壁膜を形成
する例を説明する。
【0031】上記の結晶性有機化合物(A)は、予めその
析出pHを調べておくのが好ましい。例えば表1にその例
を示す。
【0032】
【表1】
【0033】次に、融点等を考慮した結果選択された結
晶性有機化合物(A)の析出pH値よりも高いpHのアルカリ
性分散媒を調製する。上記アルカリ性分散媒は、正電荷
を帯びる核マイクロカプセル1重量部に対して2 〜100
重量部用いるのが好ましい。得られたアルカリ性分散媒
に上記選定された結晶性有機化合物(A)を溶解する。上
記溶解操作は、上記結晶性有機化合物(A)を上記核マイ
クロカプセル100重量部に対して1 〜250重量部用いる
のが好ましい。
【0034】次いで上記核マイクロカプセルを上記アル
カリ性分散媒に分散させる。この時、15 〜30℃、撹拌
速度50 〜800rpmで10 〜60分間撹拌するのが好ましい。
以上の工程により核マイクロカプセルと結晶性有機化合
物(A)が十分分散した分散液が得られる。
【0035】得られた分散液のpHを上記結晶性有機化合
物(A)の析出pH範囲になるように調整することにより、
上記分散液中の核マイクロカプセル表面に結晶性有機化
合物(A)を電気的引力により誘引させ、更に結晶性有機
化合物(A)を析出させ外壁膜を形成する。この時、調整
したpHにおいて上記溶解操作と同様の温度及び撹拌速度
で0.5 〜5時間撹拌するのが好ましい。この後、更にpH
を7付近(pH6〜8)まで調整しつつ0.5 〜5時間撹拌
するのが好ましい。上記条件により均一で欠陥がなく且
つ厚い外壁膜が得られる。上記結晶性有機化合物(A)
が、核マイクロカプセル100重量部に対して1重量部未
満だと析出が遅く、250重量部超だと外壁膜が均一にな
らない。また撹拌速度は50rpm未満だと外壁膜が均一に
なり難く、800rpm超だと析出が遅くなる上に核マイクロ
カプセルの破壊が起こる恐れがある。各結晶性有機化合
物(A)の析出pH例を表1に示す。
【0036】(b) 核マイクロカプセルの電荷が負の場合 上記(1)の方法で測定した結果、酸性又はアルカリ性分
散媒中における核マイクロカプセルが負電荷を帯びるも
のとしては、例えば壁膜が含ハロゲン高分子からなるも
のを挙げることができる。含ハロゲン高分子としては、
塩化ビニリデン及びアクリロニトリルからなる共重合体
等が挙げられる。該共重合体は、トリメタクリル酸トリ
メチロールプロパン等の一分子中に2個以上の炭素−炭
素二重結合を有する架橋性単量体により架橋されている
ものが好ましい。このような核マイクロカプセルに対し
ては、酸性又はアルカリ性分散媒中で溶解・解離して正
電荷を帯び、析出pH以上の分散媒中では溶解しない化合
物(以後化合物(B)とする)により外壁膜を形成するこ
とができる。
【0037】上記化合物(B)としては酸性又はアルカリ
性分散媒中で溶解・解離して正電荷を帯びる結晶性有機
化合物(以後、結晶性有機化合物(B)とする)が好まし
い。結晶性有機化合物(B)の融点に関する要件は前述の
結晶性有機化合物(A)の場合と同様である。上記結晶性
有機化合物(B)のうち酸性又はアルカリ性分散媒中で正
電荷を帯びるものとしてはアミド基等の塩基性基を有す
るものが好ましい。例えばN,N'-ジフェニルグアニジ
ン、1,3-ジオルトトリルグアニジン及び1-オルトトリル
ビグアニド等が挙げられる。好ましくは、N,N'-ジフェ
ニルグアニジン、1,3-ジオルトトリルグアニジン及び1-
オルトトリルビグアニドからなる群から選ばれた少なく
とも一種の化合物である。
【0038】以下、酸性又はアルカリ性分散媒中で解離
して正電荷を帯びる結晶性有機化合物(B)を用いて外壁
膜を形成する例を説明する。
【0039】上記結晶性有機化合物(B)は、予めその析
出pHを調べておくのが好ましい。例えば表2にその例を
示す。
【0040】
【表2】
【0041】次に、融点等を考慮した結果選定された結
晶性有機化合物(B)の析出pHよりも低いpHの酸性分散媒
を調製する。上記酸性分散媒は、負電荷を帯びる核マイ
クロカプセル1重量部に対して2 〜100重量部用いるの
が好ましい。得られた上記酸性分散媒に上記選定された
結晶性有機化合物(B)を溶解させる。上記溶解操作は、
上記結晶性有機化合物(B)を上記核マイクロカプセル100
重量部に対して1 〜250重量部用いるのが好ましい。
【0042】次いで上記核マイクロカプセルを上記酸性
分散媒に分散させる。当該溶解操作の温度・撹拌条件等
は結晶性有機化合物(A)を溶解させる場合と同様でよ
い。この工程により核マイクロカプセルと結晶性有機化
合物(B)が十分分散した分散液が得られる。
【0043】次いで上記の工程で得られた分散液のpHを
上記結晶性有機化合物(B)の析出pH範囲になるように調
整することにより、分散液中の核マイクロカプセル表面
上に上記結晶性有機化合物(B)を電気的引力により誘引
させ、更に上記結晶性有機化合物(B)を析出させ外壁膜
を形成する。当該析出操作の温度・撹拌条件等も結晶性
有機化合物(A)を析出させる場合と同様でよい。各結晶
性有機化合物(B)の析出pH例を表2に示す。
【0044】結晶性有機化合物(A)又は(B)で構成される
外壁膜の厚さは、用途によって異なるが、通常0.01 〜
3μmである。なお、膜厚は該結晶性有機化合物(A)又は
(B)の濃度、温度、撹拌速度、pH等により調節すること
ができる。効率的な操作のためには、該結晶性有機化合
物(A)又は(B)の濃度で調節するのが好ましい。
【0045】(c) 外壁膜の多層化 より外壁膜の厚膜化を図りたい場合は、外壁膜を多層化
する。以下、正電荷を帯びている核マイクロカプセル上
に、アルカリ性分散媒中で解離して負電荷を帯びる結晶
性有機化合物(A)及び酸性分散媒中で解離して正電荷を
帯びる結晶性有機化合物(B)を用いて多層外壁膜を形成
する例を説明する。
【0046】この場合上述の(a)の工程と同様に、外壁
膜を形成したい結晶性有機化合物(A)の析出pHよりも高
いpHのアルカリ性分散媒を調製し、上記結晶性有機化合
物(A)を溶解する。次いで正電荷を帯びる核マイクロカ
プセルを上記アルカリ性分散媒に分散させる。
【0047】上記の工程により、上記核マイクロカプセ
ルと上記結晶性有機化合物(A)が十分分散した分散液に
ついて、そのpHを調整することにより、上記結晶性有機
化合物(A)を析出させ第1の層を形成することができ
る。上記結晶性有機化合物(A)を析出させる際は、次に
析出させる結晶性有機化合物(B)を溶解することができ
る酸性pH範囲になるようにpHを調整する。析出時の条件
は上記(a)と同様に行う。
【0048】次に、結晶性有機化合物(B)を析出させて
第2の層を形成するが、上述の第1の層によりカプセル
表面が負電荷を帯びているため、上述の(b)と同じく、
まず結晶性有機化合物(B)を溶解する。得られた分散液
のpHを上記結晶性有機化合物(B)が析出し、且つ上記第
1の層(結晶性有機化合物(A))が溶解しない範囲に調
整することにより、上記結晶性有機化合物(B)を析出さ
せて第2の層を形成することができる。析出時の条件は
上述の(b)と同様でよい。
【0049】以上の工程により第1の層及び第2の層か
らなる多層外壁膜を形成することができる。更に多層化
を続ける場合は、必要に応じて上述の操作を繰り返すこ
とも可能である。この場合、結晶性有機化合物(A)又は
結晶性有機化合物(B)を溶解した後のpHは、上述のよう
に、溶解した結晶性有機化合物の析出pH範囲よりも酸性
側又はアルカリ性側に調整し、次の層を形成する結晶性
有機化合物が溶解できるようにする。多層化を終了する
場合、最後のpH調整は、最後に用いた化合物が析出する
pH範囲にすればよい。多層外壁膜の厚さは、用途によっ
て異なるが、通常0.01 〜3μmである。
【0050】なお核マイクロカプセルが負電荷を帯びて
いる場合についても、上述と同様な方法を用いて結晶性
有機化合物(B)(第1の層)、結晶性有機化合物(A)(第
2の層)の順に積層することにより多層外壁膜を形成す
ることができる。
【0051】(3) 洗浄、濾過及び乾燥する工程 上述の(2)(a)〜(c)のいずれかの工程で得られた複合壁
膜化マイクロカプセルを濾過により分散液中から分離
し、イオン交換水、アルコール等により洗浄する。洗浄
後に、自然乾燥又は乾燥機等により十分乾燥するのが好
ましい。尚、洗浄や乾燥の程度は、要求される複合壁膜
化マイクロカプセルの品質により適宜調節する。
【0052】[2] 画像記録シート 本発明の画像記録シートは、支持体上に、本発明の複合
壁膜化マイクロカプセル、バインダー樹脂の他、カプセ
ル内部の色材(例えばロイコ染料)と反応して発色させ
る顕色剤、増感剤、反応加速剤等各種添加剤を含有する
塗工液を塗布して少なくとも一層以上の発色層を形成す
ることにより製造する。
【0053】支持体としては、通常の感熱紙に用いられ
る紙支持体はいずれも使用することができる他、プラス
チックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフ
ィルムなどを使用することができる。支持体のカールバ
ランスを補正するため、あるいは、裏面からの耐薬品性
を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、
また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベ
ルの形態にしてもよい。
【0054】顕色剤、増感剤等は常温では固形物なの
で、通常、ボールミル、アトライザー、サンドグライン
ダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒化
された後、塗工液に添加する。
【0055】塗工液を塗布に適した濃度に調製した後、
周知のアプリケータ法、バーコーター法、ロールコーテ
ィング法、スプレーコーティング法、ダイコーティング
法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法
等を用いて、支持体上に塗布する。塗布量は、固形物の
乾燥重量で0.5〜20重量部/m2とする。
【0056】本発明の画像記録シートの発色層を所望の
画像パターンに応じて選択的に加熱して所定温度以上に
上昇させると共に、発色層を加圧することによって、複
合壁膜化マイクロカプセル壁膜を変形させて内部の色材
を放出することにより、シート上に画像を形成できる。
【0057】本発明の画像記録シートを用いて、カラー
画像記録を行うことも可能である。複数種類の色材を、
色別に破壊圧力の異なる複合壁膜化マイクロカプセルに
封入し、さらに色別に融点の異なる化合物で複合壁膜化
することにより、各複合壁膜化マイクロカプセルが色毎
に異なる温度・圧力で変形して内部の色材を放出するよ
う構成する。支持体上に複数色のカプセルを含む発色層
を形成してシート化し、発色層を特定の色のカプセルの
みが変形して内部の色材を放出するよう色別に異なった
温度及び異なった圧力で選択的に加熱・加圧すればよ
い。
【0058】従って、例えばシアン、マゼンダ、イエロ
ーの色材をそれぞれ含む複合壁膜化マイクロカプセルを
用いて発色層を構成した場合、ある色(例えばシアン)
に対応する温度と圧力でカプセル層を加熱・加圧する
と、その色(シアン)のカプセルは潰れて色材が出る
が、他の色(例えばマゼンダ、イエロー)は潰れない。
従って、色別に順次(例えばシアン、マゼンダ、イエロ
ーの順で)所定の温度・圧力で加熱・加圧すれば、簡単
に且つ高速でカラー画像を形成することができる。
【0059】例えば図1に示すようにシアン、マゼン
ダ、イエローからなる複合壁膜化マイクロカプセルを同
時に加熱・加圧したとしても、温度・圧力が領域Aの場
合には、シアンの複合壁膜化マイクロカプセルは潰れる
がマゼンダとイエローの複合壁膜化マイクロカプセルは
潰れない。同様に、領域Bでは、マゼンダの複合壁膜化
マイクロカプセルは潰れるがシアンとイエローの複合壁
膜化マイクロカプセルは潰れない。また領域Cでは、イ
エローの複合壁膜化マイクロカプセルは潰れるがシアン
とマゼンダの複合壁膜化マイクロカプセルは潰れない。
このように領域AからCの間で温度・圧力を選択的に加え
ることによって、領域Aではシアンを発色させ、領域Bで
はマゼンダを発色させ、領域Cではイエローを発色させ
ることができ、シアン、マゼンダ、イエローの各画像を
順次形成し、カラー画像を形成することが可能になる。
【0060】本発明の画像記録シートは、カプセルが均
一に複合壁膜化されているため、カプセル外壁膜で破壊
温度をコントロールし、カプセル内壁膜で破壊圧力をコ
ントロールすることが可能である。すなわち、温度と圧
力の2つのパラメーターに対しカプセルの破壊条件を正
確に制御できるため、各色ごとの複合壁膜化マイクロカ
プセルの破壊温度・破壊圧力領域(領域A〜C)が重複し
ないよう設計することが容易となる。特に各色ごとの複
合壁膜化マイクロカプセルの外壁膜について、それぞれ
融点の異なる樹脂を用いることにより破壊温度をより正
確に制御できるため、たとえ破壊圧力領域が隣接してい
ても、異なる色の混入を防止することができる。
【0061】本発明の画像記録シートは、ファクシミリ
用紙、プリンター用紙、ラベル、値札、切符などの各種
の用途に用いることができる。
【0062】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0063】実施例1 芯物質をクリスタルバイオレットラクトン(CVL)とし
て、in situ法により、メラミン樹脂/ユリア樹脂で覆
われた粒径5〜8μmの核マイクロカプセルを作製し
た。
【0064】(1) 電荷の符号を調べる工程 上記核マイクロカプセル5gを1Nの水酸化ナトリウム水
溶液100mlに分散した。この分散液を用い、25 ℃で核マ
イクロカプセルの電荷を調べたところ、正電荷であっ
た。
【0065】(2) 複合壁膜化マイクロカプセルの製造工
程 ビスフェノールS3gを1Nの水酸化ナトリウム水溶液に溶
解し、全量を150mlとした(pH10)。この溶液に上記核
マイクロカプセル5gを加え、撹拌翼を500rpmの回転数
で回転させ、60分間25℃で良く分散させた。続いて濃度
10重量%のクエン酸水溶液によりpHを8.03に調整し、更
に3時間撹拌した。更に濃度10重量%のクエン酸水溶液
を添加してpHを7まで調整し、ビスフェノールSを析出
させ外壁膜を形成した。その後、濾紙(No.5B)を用い
て、複合壁膜化マイクロカプセル分散液を濾過し、複合
壁膜化マイクロカプセルのみを分離した。得られた複合
壁膜化マイクロカプセルを精製水により洗浄した後、室
温で乾燥した。
【0066】上記の方法で得た複合壁膜化マイクロカプ
セルについて、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で
観察したところ、外壁膜の沈積状態には欠陥が無く、均
一に複合壁膜化していることが確認された。平均膜厚は
0.3μmであった。尚、平均膜厚は外壁膜形成前後の平均
粒子径変化から求めた(以下同様)。
【0067】実施例2 4,4'-エチリデンビスフェノール3gを1Nの水酸化ナトリ
ウム水溶液に溶解し、全量を150mlとした(pH12)。こ
の溶液に実施例1と同じ核マイクロカプセル5gを加
え、撹拌翼を500rpmの回転数で回転させ、60分間25℃で
良く分散させた。続いて濃度10重量%のクエン酸水溶液
によりpHを11.2に調整し、更に3時間撹拌した。さらに
濃度10重量%のクエン酸水溶液を添加してpHを7まで調
整することにより4,4'-エチリデンビスフェノールを析
出させ、外壁膜を形成した。外壁膜が形成されたマイク
ロカプセルを実施例1と同様に濾過・洗浄した後乾燥し
た。
【0068】上記の方法で得た複合壁膜化マイクロカプ
セルについて、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で
観察したところ、外壁膜の沈積状態には欠陥が無く、均
一に複合壁膜化していることが確認された。平均膜厚は
0.3μmであった。
【0069】実施例3 芯物質をRed500(山田化学(株)製)として、in situ
法により、塩化ビニリデン及びアクリロニトリルからな
る共重合体高分子で覆われた粒径5〜8μmの核マイク
ロカプセルを作製した。
【0070】(1) 電荷の符号を調べる工程 上記核マイクロカプセル5gを濃度10重量%のクエン酸
水溶液に分散し、150mlの分散液を得た。この分散液を
用い、25℃で核マイクロカプセルの表面電位を調べたと
ころ、負電荷であった。
【0071】(2) 結晶性有機化合物の溶解及びpH調整に
よる複合壁膜化 1,3-ジオルトトリルグアニジン3gを濃度10重量%のク
エン酸水溶液に溶解し、全量を150mlとした(pH5)。
この溶液に上記核マイクロカプセル5gを加え、撹拌翼
を500rpmの回転数で回転させ、60分間室温で良く分散さ
せた。続いて1Nの水酸化ナトリウム水溶液によりpHを9.
68に調整し、更に3時間撹拌することにより1,3-ジオル
トトリルグアニジンを析出させ外壁膜を形成した。外壁
膜が形成されたマイクロカプセルを実施例1と同様に濾
過・洗浄した後乾燥した。
【0072】上記の方法で得た複合壁膜化マイクロカプ
セルについて、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で
観察したところ、外壁膜の沈積状態には欠陥が無く、均
一に複合壁膜化していることが確認された。平均膜厚は
0.2μmであった。
【0073】実施例4 N,N'-ジフェニルグアニジン3gを濃度10重量%のクエン
酸水溶液に溶解し、全量を150mlとした(pH5.1)。こ
の溶液に実施例3と同じ核マイクロカプセル5gを加
え、撹拌翼を500rpmの回転数で回転させ、60分間室温で
良く分散させた。続いて濃度10重量%のクエン酸水溶液
によりpHを10.2に調整し、更に3時間撹拌することによ
りN,N'-ジフェニルグアニジンを析出させ外壁膜を形成
した。外壁膜が形成されたマイクロカプセルを実施例1
と同様に濾過・洗浄した後乾燥した。
【0074】上記の方法で得た複合壁膜化マイクロカプ
セルについて、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で
観察したところ、外壁膜の沈積状態には欠陥が無く、均
一に複合壁膜化していることが確認された。平均膜厚は
0.2μmであった。
【0075】実施例5 ビスフェノールS3gを1Nの水酸化ナトリウム水溶液に溶
解し、全量を150mlとした(pH10)。この溶液に実施例
1と同じ核マイクロカプセル5gを加え、撹拌翼を500rp
mの回転数で回転させ、60分間室温で良く分散させた。
続いて濃度10重量%のクエン酸水溶液によりpHを8.03に
調整し、更に3時間撹拌した。更に濃度10重量%のクエ
ン酸水溶液を添加してpHを3まで調整し、ビスフェノー
ルSを析出させ、外壁膜(第1の層)を形成した。続い
て1,3-ジオルトトリルグアニジン0.5gを溶解し、撹拌翼
を500rpmの回転数で回転させ、60分間良く分散させた。
次いで1Nの水酸化ナトリウム水溶液によりpHを9.68に調
整し、2時間撹拌した。更に1Nの水酸化ナトリウム水溶
液を添加してpHを12まで調整し、1,3-ジオルトトリルグ
アニジンを析出させ外壁膜(第2の層)を形成し、多層
外壁膜にした。
【0076】上記の作業を2回繰り返した後、多層外壁
膜が形成されたマイクロカプセルを実施例1と同様に濾
過・洗浄した後乾燥した。なお最終段階のpHは9.68に調
整した。
【0077】上記の方法で得た複合壁膜化マイクロカプ
セルについて、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で
観察したところ、外壁膜の沈積状態には欠陥が無く、均
一に複合壁膜化していることが確認された。平均膜厚は
0.8μmであった。
【0078】比較例1 実施例1と同じ核マイクロカプセル0.4gを50mlのトリク
ロロエチレンで洗浄後20mlのトリクロロエチレンに分散
させた。このマイクロカプセルスラリーの温度を83℃と
し、撹拌下で三井ハイワックス405MPを0.3g加えて30分
間撹拌し続けた。その状態のまま、温度を徐々に低下さ
せていき、複合壁膜化を行った。この複合壁膜化マイク
ロカプセルのスラリーをメンブレンフィルターに通し、
複合壁膜化マイクロカプセルを分離後、水洗を行い、複
合壁膜化マイクロカプセルを得た。
【0079】出来上がった複合壁膜化マイクロカプセル
について、反射型顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で観察
したところ、膜の析出状態には欠陥が有り、表面に角状
のものが存在し、またワックスが沈積していないものも
数多く残留していた。
【0080】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の複合壁膜
化マイクロカプセルは、合成樹脂製内壁膜上に酸性又は
アルカリ性の分散媒への溶解又は分散時に上記内壁膜の
電荷と反対の極性の電荷を帯びる化合物からなる外壁膜
を形成したものであるため、均一で欠陥がなく且つ厚膜
化が容易な外壁膜を有している。また形成された外壁膜
は適度な融点を有し、耐圧性に優れている。
【0081】本発明の複合壁膜化マイクロカプセルは、
外壁膜の融点以上に加熱され、かつ合成樹脂内壁の破壊
圧力以上に加圧された場合にのみ破壊されるため、カプ
セルの破壊精度が要求される用途(感圧感熱記録等)に
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カプセルが潰れる圧力と温度との関係を示す
グラフである。
【図2】 複合壁膜化マイクロカプセルの断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・複合壁膜化マイクロカプセル 11・・・カラーホーマー溶液 12・・・合成樹脂壁膜 13・・・外壁膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新保 和幸 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H026 FF05 4G005 AA01 AB03 BA03 BA07 BB15 DB27X DC13Y DC16Y DC41Y DD34Z DD35Z EA08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂製内壁膜と外壁膜とからなる複
    合壁膜化マイクロカプセルであって、前記外壁膜は、
    (イ) 酸性又はアルカリ性の分散媒に溶解又は分散可能で
    あるとともに、(ロ) 前記分散媒への溶解又は分散時に前
    記内壁膜の電荷と反対の極性の電荷を帯びる化合物から
    なることを特徴とする複合壁膜化マイクロカプセル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合壁膜化マイクロカ
    プセルにおいて、アルカリ性分散媒中で負電荷を帯びる
    前記化合物はビスフェノールA、ビスフェノールS、4,4'
    -エチリデンビスフェノール、4-α-クミルフェノール及
    びオルトフェニルフェノールからなる群から選ばれた少
    なくとも一種であることを特徴とする複合壁膜化マイク
    ロカプセル。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の複合壁膜化マイクロカ
    プセルにおいて、酸性又はアルカリ性分散媒中で正電荷
    を帯びる前記化合物は、N,N'-ジフェニルグアニジン、
    1,3-ジオルトトリルグアニジン及び1-オルトトリルビグ
    アニドからなる群から選ばれた少なくとも一種であるこ
    とを特徴とする複合壁膜化マイクロカプセル。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の複合壁膜化マイクロカ
    プセルにおいて、前記外壁膜は、酸性又はアルカリ性分
    散媒に溶解又は分散して前記内壁膜と反対の極性の電荷
    を帯びる化合物からなる少なくとも1つの第1の層と、
    前記第1の層が溶解又は分散しない分散媒に溶解又は分
    散して前記第1の層と反対の極性の電荷を帯びる化合物
    からなる少なくとも1つの第2の層とが交互に積層して
    なる多層外壁膜であることを特徴とする複合壁膜化マイ
    クロカプセル。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の複合壁
    膜化マイクロカプセルおいて、酸性又はアルカリ性分散
    媒中で正電荷を帯びる前記内壁膜用の合成樹脂は、メラ
    ミン−ホルムアルデヒドポリマー及び/又は尿素−ホル
    ムアルデヒドポリマーからなることを特徴とする複合壁
    膜化マイクロカプセル。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4に記載の複合壁膜化マイク
    ロカプセルおいて、酸性又はアルカリ性分散媒中で負電
    荷を帯びる前記内壁膜用の合成樹脂は、含ハロゲン高分
    子からなることを特徴とする複合壁膜化マイクロカプセ
    ル。
  7. 【請求項7】 合成樹脂製内壁膜と外壁膜とからなる複
    合壁膜化マイクロカプセルの製造方法であって、(1) 酸
    性又はアルカリ性分散媒中で前記内壁膜と反対の極性の
    電荷を帯びる化合物を前記分散媒に溶解又は分散させ、
    (2) 前記内壁膜からなるマイクロカプセルを前記分散媒
    に分散させ、(3) 前記分散媒のpHを調整することによ
    り、前記化合物を前記内壁膜上に析出させて前記外壁膜
    を形成することを特徴とする複合壁膜化マイクロカプセ
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の複合壁膜化マイクロカ
    プセルの製造方法において、(a) 酸性又はアルカリ性分
    散媒中で前記内壁膜と反対の極性の電荷を帯びる化合物
    を前記分散媒に溶解又は分散させた後、前記内壁膜から
    なるマイクロカプセルを分散させることにより外壁膜用
    の第1の層を形成し、次いで(b) 前記分散媒のpHを調整
    することにより第1の層が溶解又は分散しないようにす
    るとともに、前記第1の層と反対の極性の電荷を帯びる
    化合物を溶解又は分散させることにより外壁膜用の第2
    の層を形成し、必要に応じて前記工程(a) 及び(b) を繰
    り返すことにより、前記第1の層と前記第2の層とが交
    互に積層してなる多層外壁膜を形成することを特徴とす
    る複合壁膜化マイクロカプセルの製造方法。
  9. 【請求項9】 支持体及び少なくとも一層の発色層を有
    する画像記録シートにおいて、前記発色層が請求項1〜
    6のいずれかに記載の複合壁膜化マイクロカプセルを含
    有することを特徴とする画像記録シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005131580A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Toppan Forms Co Ltd マイクロカプセルおよびその水系分散液からの回収方法
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