JP2002335002A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法

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JP2002335002A
JP2002335002A JP2001138168A JP2001138168A JP2002335002A JP 2002335002 A JP2002335002 A JP 2002335002A JP 2001138168 A JP2001138168 A JP 2001138168A JP 2001138168 A JP2001138168 A JP 2001138168A JP 2002335002 A JP2002335002 A JP 2002335002A
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resin
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Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
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明治 高林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コスト削減を達成できる簡易な被覆構成によ
って、耐候性・耐久性に優れた特性を有する光起電力素
子を提供する。 【解決手段】 電極層と光電変換層が積層された積層構
造を有する光起電力素子の受光面側に、厚み分布を持っ
た樹脂層107が設けられており、この樹脂層の厚み
は、光起電力素子中央部よりも光起電力素子端部の方が
厚いことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性・耐久性に
優れた光起電力素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題への意識の高まりとともに、太
陽電池の研究開発が盛んに行われており、従来の地上設
置型や屋根上設置型に加え、光起電力素子を建材と一体
化させ、太陽電池としての発電機能と屋根材としての意
匠性を兼ね備えた建材一体型太陽電池モジュールが開発
されている。
【0003】一方で、発電コストの削減を追及し、発電
機能にのみに特化させた太陽電池モジュールを管理環境
下で設置し、小規模な発電所として利用する試みがされ
ている。管理環境とは、設置した太陽電池モジュールを
柵や塀で囲い、施錠を設けることによって、取り扱い者
以外の一般の人々が立ち入ることができない完全に管理
された状態を指す。
【0004】このような管理環境下で設置する太陽電池
モジュールは、従来の汎用的な使用目的の太陽電池モジ
ュールが考慮していたあらゆる偶発的な事象にも耐えう
る安全設計の一部を低減することで発電コストを削減で
きる可能性がある。例えば、従来の太陽電池モジュール
では、取扱い教育を受けていない人間が誤って引っ掻く
などの表面傷に対しても十分に絶縁性が保持できるよう
な被覆材構成が設計されている。しかしながら、管理環
境下で設置する太陽電池モジュールは、このようなこと
を考慮する必要が無く、被覆材を大幅に削減することが
できる。
【0005】本出願人は、そのような太陽電池モジュー
ルの一案として、光起電力素子が直接雨などの水分が接
触しないような最低限の被覆構成を有する薄膜の樹脂層
を発電領域に設けた光起電力素子を提案している。この
ような簡易被覆構成を有する光起電力素子を管理環境下
に設置することにより、非常に安価な太陽光発電システ
ムを提供できる可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被覆材
として薄膜樹脂層のみを有した上記のような光起電力素
子を実用化するには、以下のような懸念がある。
【0007】通常、光起電力素子は電極層・光電変換層
が積層され形成されている。かかる光起電力素子の電気
特性を長期的に安定させる為には、各層の変質を抑える
とともに、これらの各層間での密着性を保持し、電気特
性を維持することが重要となる。光起電力素子内の各界
面での密着性を低下させる要因としては、各層界面の水
分侵入や各層の熱膨張率の違いが挙げられる。
【0008】また、水に溶解しやすい金属や金属酸化物
によって裏面電極または裏面反射層が形成されている光
起電力素子において、その層界面が光起電力素子端部や
端部断面に露出している場合、水分との接触は大きな問
題となる。
【0009】特に、ロール・ツー・ロール法により光電
変換層・電極層をロール状の導電性基板上に順次成膜し
た大面積の光起電力素子ロールから、所望の大きさの光
起電力素子を切断工程により切り出す場合、光起電力素
子の端部や端部断面に電極層・光電変換層、及びそれら
の界面が露出している。さらに、このような切断面で剪
断ずりによりプラス電極である電極層とマイナス極側の
導電性基板が接触する場合がある。この電気的接触を取
り除く為、光起電力素子を電解質液に浸漬し、対向電極
間に電圧を加え、電極層を溶出させて電気的接触を取り
除く方法がある。しかしながら、このような光起電力素
子端部の切断面には剪断による変形応力が残り、構造的
にも弱く、水分との接触で各層界面の密着性は加速的に
低下し、剥離が生じる恐れがある。
【0010】このような水分との接触問題の対策として
光起電力素子上に設けた樹脂層の全体の厚みを増やし、
樹脂層を水分が透過しにくい構成にする方法がある。
【0011】上記樹脂層の水分透過に関しては、膜厚依
存的な透湿防止効果が認められるが、このような光起電
力素子全体が厚膜樹脂層で被覆された構成では、簡易被
覆した光起電力素子が目的としているコスト低減を達成
できなくなるだけではなく、零度以下の温度環境下で光
起電力素子と樹脂層との熱収縮率の差に起因する光起電
力素子の反りが発生する。このような素子変形は、光電
変換層に対して応力がかかり電気特性が低下してしまう
恐れだけではなく、変形応力が大きく、前記光起電力素
子の各層の密着力や光起電力素子と樹脂との界面の密着
力以上になった場合、層間剥離が発生する恐れもある。
【0012】一方で、樹脂層に用いる樹脂材料としてガ
ラス転移点の低い柔軟性のある材料を選択し、前記内部
応力を緩和する方法がある。しかしながら、このような
樹脂材料は結晶性が低く水蒸気透過率が高くなり所望の
防湿効果が得られない。また、表面にタックが生じ易
く、屋外に設置した場合に埃、塵が付着してしまう。そ
の結果、樹脂層の光透過率が減少し、光起電力素子の電
気特性を低下させてしまう。
【0013】本発明は、上記の問題点に鑑み、コスト削
減を達成できる簡易な被覆構成によって、耐候性・耐久
性に優れた特性を有する光起電力素子を提供することを
目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の構成は、以下の通りである。
【0015】即ち、本発明の光起電力素子は、少なくと
も電極層と光電変換層が積層された積層構造を有する光
起電力素子の受光面側に、厚み分布を持った樹脂層が設
けられており、該樹脂層の厚みは、光起電力素子中央部
よりも光起電力素子端部の方が厚いことを特徴としてい
るものである。
【0016】また、本発明の別の光起電力素子は、少な
くとも電極層と光電変換層が積層された積層構造を有す
ると共に該電極層及び該光電変換層の一部が端部に露出
している光起電力素子の受光面側に、厚み分布を持った
樹脂層が設けられており、該樹脂層の厚みは、光起電力
素子中央部よりも光起電力素子端部の方が厚いことを特
徴としているものである。
【0017】これら本発明の光起電力素子は、更なる好
ましい特徴として、「前記光起電力素子端部断面が前記
樹脂層によって被覆されていること」、「前記樹脂層は
紫外線吸収剤を含有し、受光面側から非受光面側に向け
て紫外線吸収剤の濃度分布が形成されていること」、
「前記樹脂層が、少なくとも2層以上の紫外線吸収剤の
濃度が異なる樹脂層からなること」、を含む。
【0018】また本発明は、少なくとも電極層と光電変
換層が積層された積層構造を有する光起電力素子の受光
面側に、樹脂層を形成する工程を有する光起電力素子の
製造方法において、前記樹脂層を形成する工程で、該樹
脂層に光起電力素子中央部よりも光起電力素子端部の方
が厚くなるような厚み分布を持たせることを特徴として
いるものである。
【0019】さらに本発明は、少なくとも電極層と光電
変換層が積層された積層構造を有すると共に該電極層及
び該光電変換層の一部が端部に露出している光起電力素
子の受光面側に、樹脂層を形成する工程を有する光起電
力素子の製造方法において、前記樹脂層を形成する工程
で、該樹脂層に光起電力素子中央部よりも光起電力素子
端部の方が厚くなるような厚み分布を持たせることを特
徴としているものである。
【0020】これら本発明の光起電力素子の製造方法
は、更なる好ましい特徴として、「前記樹脂層を形成す
る工程において、該樹脂層の材料を塗布法により光起電
力素子受光面側に塗布すること」、「前記樹脂層の材料
を塗布した後に、受光面側が凸となる形状に光起電力素
子を保持した状態で、該材料を乾燥硬化されること」、
「前記樹脂層を、少なくとも2層以上の紫外線吸収剤の
濃度が異なる樹脂層を順次配設することにより形成する
こと」、を含む。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
詳述するが、本発明は本実施形態に何ら限定されるもの
ではない。
【0022】図1は本発明の光起電力素子の一例を示す
概略構成図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は
図1(a)中のA−A’面における断面図である。図1
において、101は導電性基板、102は裏面反射層、
103は光電変換層、104は透明電極層、105aは
第一の集電電極、105bは第二の集電電極、106は
粘着材、107は樹脂層である。
【0023】本発明の光起電力素子には、従来公知の光
起電力素子が適宜用いられる。その中でも、アモルファ
スシリコン系光起電力素子は製造コストにおいて他の結
晶系、化合物半導体系光起電力素子より有利であり、機
械的にも可撓性を有し、加工しやすく、様々な太陽電池
モジュール形態への応用ができるため好ましい。
【0024】以下、本発明の光起電力素子を構成する部
材について説明する。
【0025】(導電性基板101)導電性基板101は
光起電力素子の基板になると同時に、下部電極の役割も
果たす。この材料としては、シリコン、タンタル、モリ
ブデン、タングステン、ステンレス、アルミニウム、
銅、チタン、カーボンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が
形成してある樹脂フィルムやセラミックスガラスなどが
ある。
【0026】(裏面反射層102)前記導電性基板10
1上には裏面反射層102として、金属層、あるいは金
属酸化物層、あるいは金属層と金属酸化物層を複数積層
して形成しても良い。金属層には、例えば、Ti,C
r,Mo,W,Al,Ag,Ni,Cu,などが用いら
れ、金属酸化物層には、例えば、ZnO,TiO2,S
nO2,ITOなどが用いられる。前記金属層及び金属
酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビ
ーム蒸着法、スパッタリング法などがある。
【0027】(光電変換層103)光電変換層としては
pn接合、pin接合、ショットキー接合などの半導体
接合を有する構造を持つことが必要である。また、シン
グルセルだけでなくpin接合またはpn接合を複数重
ねたタンデムセル、トリプルセルも好適に用いられる。
前記タンデムセル構成の具体例としては例えばa−Si
のi層を有するpinのトップセルとボトムセルとを積
層した構成、a−Siのi層を有するpinのトップセ
ルとa−SiGeのi層を有するpinのボトムセルを
積層した構成が挙げられる。また、トップセルをa−S
iのi層を有するpin構造のものとし、ボトムセルを
薄膜多結晶のpn構造のものにしてもよい。前記トリプ
ルセル構成の具体例としては、a−Siのi層を有する
pin構造のトップセルとミドルセル、そしてa−Si
Geのi層を有するpin構造のボトムセルを積層した
構成;a−Siのi層を有するpin構造のトップセ
ル、a−SiGeのi層を有するpin構造のミドルセ
ル、そしてa−SiGeのi層を有するpin構造のボ
トムセルを積層した構成が挙げられる。
【0028】前記光電変換層の形成方法としてはシラン
ガスなどを原料とするプラズマCVD法、真空蒸着法、
スパッタ法、熱分解法などがある。
【0029】(透明電極層104)透明電極層104は
光起電力素子の上部電極の役目を果たしている。これに
用いる材料としては、例えば、In23、SnO2、I
23−SnO2(ITO)、ZnO、TiO2、Cd2
SnO4、高濃度不純物ドープした結晶性半導体層など
がある。形成方法としては抵抗加熱蒸着、スパッタ法、
スプレー法、CVD法、不純物拡散法などがある。
【0030】尚、ロール基板上に形成された大面積光起
電力素子から小面積光起電力素子を切り出す際に、光起
電力素子端部の電気的短絡の影響を無くす為に、透明電
極層の一部を取り除いた透明電極層除去部104bを設
け、光起電力素子発電領域部と導電性基板101との絶
縁を図っても良い。
【0031】(集電電極105a,105b)透明電極
層104の上には電流を効率よく集電するために、グリ
ッド電極105aを設けてもよい。グリッド電極105
aの形成方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱
法、CVD法、光CVD法、導電性ペーストを印刷する
方法や導電性ペーストを塗布した金属ワイヤーを貼り付
ける方法などがある。導電性ペーストは、通常微粉末状
の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポ
リマーに分散させたものが用いられる。バインダーポリ
マーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、アク
リル、アルキド、ポリビニルアセテート、ウレタン、フ
ェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0032】また、光起電力素子外部に電気を取り出し
やすいように正極バスバー電極105bを設けることが
好ましい。バスバー電極105bは、電気抵抗の低い金
属または合金で形成することができる。具体的な材料と
しては、銅、銀、金、白金、アルミニウム、ニッケルな
どの金属、合金が挙げられる。その形状としては帯状の
箔体が好ましい。同様な材料を用いて、負極バスバー電
極を作製することもできる。
【0033】(絶縁体106)絶縁体106は、高分子
フィルムの両面に粘着材を配したものが好適に用いられ
る。高分子フィルムと粘着材は複数積層してもよい。こ
の場合、複数の種類の高分子フィルムまたは粘着材を用
いてもよい。
【0034】上記粘着材としては、アクリル系、シリコ
ーン系、エポキシ系、ポリウレタン系、または複合型粘
着材などが挙げられる。これらの粘着材の中で、接着
性、タック、保持力、耐電性、耐湿性などに優れている
ものが好適に用いられる。また、アクリル系およびシリ
コーン系の粘着材は耐久性や耐熱性、保持力に優れてお
り、特に好ましい。中でも、耐候性に優れていることが
求められる本発明の使用用途では、シリコ−ン系粘着材
がより好適に用いられる。
【0035】上記高分子フィルムは、粘着材とともにグ
リッド電極105aまたはバスバー電極105bを透明
電極層104上に配置するための絶縁体106の一部と
して用いられ、バスバー電極105bにより複数の光起
電力素子を電気接続する際の半田の熱や、バスバー電極
部材のバリや折れ曲がりなどから光電変換層103を保
護するために耐熱性、強度を有することが望ましい。ま
た、絶縁性を有することにより、グリッド電極105a
またはバスバー電極105bと導電性基板(下部電極)
101とが短絡することを防止できる。前記高分子フィ
ルム材料としては、PET、PPS、PI等の耐熱樹脂
材料挙げられる。
【0036】(樹脂層107)本発明の光起電力素子で
は、樹脂層107は、図1(b)に示すように光起電力
素子受光面側に厚み分布を有するように設けられ、光起
電力素子端部の樹脂厚が素子中央部より厚く形成され
る。かかる樹脂層107を設けることにより、光起電力
素子が水分を始めとする外部の劣化因子に直接触れるこ
とを防止できる。また、光起電力素子端部の樹脂層膜厚
が素子中央部の膜厚よりも厚い膜厚分布を有すること
で、樹脂層全体の内部応力を増やすことなく、構造的に
弱い光起電力素子端部を水分等の侵入から十分に防ぐこ
とができる樹脂層膜厚を確保することができる。これに
より、屋外の温度変化にも適応できる、耐久性の高い光
起電力素子が得られる。さらに、大面積光起電力素子か
ら剪断分割によって作製される光起電力素子の場合、分
割断面に導電性基板101、裏面反射層102、光電変
換層103、透明電極層104及びそれぞれの界面が露
出している。このような場合、光起電力素子端面を被覆
していることがより好ましく、本発明の製造方法により
これを達成できる。尚、本発明における樹脂層107の
膜厚分布は、図1(b)に示されるような膜厚勾配に限
定されるものではなく、例えば光起電力素子端部が部分
的に厚膜化された構成でも良い。
【0037】以下に本発明に用いられる樹脂層材料につ
いて説明する。
【0038】本発明の樹脂層107は、光起電力素子を
水分を始めとする劣化環境因子から保護するものであ
る。よって、樹脂材料自体の水蒸気透過率が低いことが
望ましい。好ましくは、40℃・90%RHでの水蒸気
透過率が0.01乃至40g/m2・dayであること
が望ましい。より好ましくは、0.1乃至20g/m2
・dayである。前記水蒸気透過率が0.01g/m2
・dayより小さいと樹脂自体の可撓性がなくなり、密
着性が低下する。一方、40g/m2・dayより大き
い場合には、防湿効果は期待できない。尚、前述した剪
断分割によって作製される光起電力素子のように、透明
電極層104や光電変換層103の一部が光起電力素子
端部断面に露出している光起電力素子においては、かか
る光起電力素子端部断面を被覆する樹脂層は、5g/m
2・day以下であることが更に望ましい。
【0039】また、樹脂層107は、光起電力素子に到
達する光量減少をなるべく抑えるために、400nm以
上1000nm以下の波長領域においては全光線透過率
が80%以上であることが好ましく、90%であること
が特に好ましい。
【0040】更には、屋外の温度変化にも光起電力素子
の他の構成部材との密着性を保ち、樹脂層内の内部応力
が小さいものが好ましい。そのような樹脂材料として
は、ガラス転移温度が−30℃乃至95℃であることが
望ましい。より望ましくは、10℃乃至75℃である。
このガラス転移温度が−30℃よりも低いと、前述した
ように樹脂表面にタックが生じ易くなり、塵、埃が付着
し透過率を低下させてしまい電気特性が低下する場合が
ある。一方、ガラス転移温度が95℃よりも高いと、可
撓性が低い為に前述のように樹脂層/光起電力素子の密
着力低下や、樹脂層内の内部応力に起因する光起電力素
子内の界面で剥離を生じる恐れがある。
【0041】これらを満たす樹脂層材料としては、アク
リル樹脂、フッ素樹脂やシロキサンポリマー、シリコン
変性アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素シ
リコーン樹脂等やこれらのポリマーブレンド材料が挙げ
られる。上記樹脂材料に耐熱性、耐侯性の向上を目的と
して、架橋を行なってもよい。架橋剤としては、少なく
とも1つ以上のイソシアネート基を含むイソシアネート
化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、イソシア
ネート化合物、ブロックイソシアネート化合物で架橋さ
れたアクリル樹脂は、可撓性を有し温度変化に対しても
接着性を安定して確保でき、また光や熱に対しても耐黄
変性に優れている。前記イソシアネート化合物、ブロッ
クイソシアネート化合物を構成するモノマーとしては、
例えば2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシア
ネート、1、3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト(HDI)等が挙げられる。これらの中でも、高透明
が求められる用途では無黄変型であるH6XDI、HD
Iが好ましい。イソシアネート基のコーティング剤中の
混合比はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好
ましく、0.5〜2.0が特に好ましい。
【0042】また、樹脂層107は、光起電力素子の表
面に設けられることから高い耐候性が要求される。この
樹脂層107の耐候性を向上させるために、樹脂層を構
成する材料に紫外線吸収剤(UVA)を添加するにより
光劣化を抑え耐候性を向上させることが望ましい。UV
Aとしては、従来公知のUVAから適宜選択して使用す
ることができる。
【0043】前記UVAを配合した樹脂層107の光透
過率は、光劣化を抑制するために370nmより小さい
波長光をほぼ完全に遮光することが望ましい。また、樹
脂の光劣化に大きく寄与しない370nm以上の光を透
過し、光起電力素子に到達する光量減少を抑えるために
400nm以上800nm以下の可視光波長領域におけ
る光透過率が80%以上となるように、前記UVAの添
加量を設計することがより望ましい。
【0044】また、前記UVA以外に、従来公知のヒン
ダードアミン系光安定化剤、熱酸化防止剤を適宜選択し
併用して用いても良い。
【0045】次に本発明の樹脂層形成方法について説明
する。
【0046】樹脂層107の形成方法としては、液体等
の流体塗布、粉体塗装、ラミネーションなどが挙げられ
る。中でも、塗布による方法が最も安価で且つ容易に所
望の形状を得ることができるので望ましい。
【0047】塗布装置としては、スプレーコート、ロー
ルコーター、バーコーター、ディッピング、カーテンコ
ート、刷毛塗り、Tダイによるキャスティング法から適
宜選択される。
【0048】塗布方法としては、光起電力素子端部、つ
まり切断等の剪断応力によって構造を破壊された部分及
び少なくとも切断部から透明電極層除去部104b含む
部分までは素子中央部より厚膜化できる塗布方法がより
好ましい。具体的には、光起電力素子端部での塗料吐出
量を増やして塗る方法や、被塗布物である光起電力素子
全面を塗布した後に、所望の光起電力素子端部を複数回
塗布する複数回塗布方法、所望の位置でコーティング速
度を低減し、膜厚分布を作製する方法等のいずれによっ
ても被塗布物である光起電力素子上に所望の膜厚分布を
得ることができる。
【0049】複数回塗布する場合、前記樹脂層として同
一樹脂材料を複数回塗布することが望ましい。同一材料
を複数回塗布することにより材料間の熱膨張(収縮)の
違いに由来する層間剥離を懸念する必要がない。さら
に、同一の条件下で乾燥・硬化できるため乾燥・硬化条
件を変更したり、装置を追加する必要がないので好まし
い。
【0050】先に挙げた塗布方法を用いた最も好適な樹
脂層形成方法としては、光起電力素子に液体もしくは熱
流動性を有する塗料で塗装を行った後に、光起電力素子
が受光面側に凸となるような曲面形状(カール形状)を
有した状態で保持し、引き続き乾燥・硬化工程を行う製
造方法がある。これにより、簡易な装置で所望の塗膜形
状を得ることができる。前記曲面形状は、光起電力素子
の電気特性に影響がない程度の形状であることは勿論の
こと、塗布物が被塗布物である光起電力素子より落下し
ない程度であることが望ましい。尚、光起電力素子の前
記曲面形状は、所望の樹脂層膜厚及び使用する塗料によ
り適宜設計される。光起電力素子を所望の曲面形状に保
持する方法としては、基板をロール状態に保持する方
法、光起電力素子の電気特性に影響のない程度の塑性変
形を与える方法、樹脂層材料の塗布前に加工処理する方
法や乾燥・硬化時に曲面形状を形成できるような架台に
光起電力素子を保持する方法などが挙げられるが、所望
の曲面形状等に応じて適宜選択される。
【0051】以上説明した樹脂層形成方法を適用できる
樹脂層材料の形態としては、前記樹脂層材料を溶剤で溶
解または分散した塗料形態としても固形分のまま使用し
ても良く、製造装置に合わせて適宜選択することができ
る。
【0052】樹脂層材料を塗料として使用する場合、そ
の粘度は1乃至1000mPa・sであることが好まし
く、5乃至500mPa・sであることがより好まし
い。このような粘度範囲の樹脂層材料を塗布した後に、
光起電力素子を前記曲面形状に保持した状態で乾燥させ
ることにより、塗膜を形成した樹脂層材料の表面張力に
より光起電力素子端部断面に達した樹脂層材料が垂れず
に残り、光起電力素子端部断面を効果的に被覆すること
も可能である。一方、粘度が1mPa・sより小さい
と、表面張力が小さい為に、塗布した樹脂層材料が光起
電力素子端部から垂れ落ちてしまい所望の膜厚分布を得
ることが難しい。また、粘度が1000mPa・sより
大きいと、塗布後の塗布パターン形状が残ってしまい所
望の膜厚分布を得ることができない場合がある。
【0053】上記のように塗布された樹脂層材料を前述
したような曲面保持状態のまま乾燥・硬化させることに
より、所望の膜厚分布を有する樹脂層が形成される。こ
の時、溶剤系塗料は、溶剤を揮発した後に硬化反応を始
めることが望ましい。硬化反応前の溶剤揮発量の目安と
しては、75%以上で、より好ましくは95%以上であ
る。硬化条件は、樹脂層材料に用いた硬化剤の種類によ
り適宜選択される。例えば、架橋剤がブロッキングタイ
プのイソシアネートの場合、ブロック剤を選択すること
により、硬化温度を選択できる。硬化時間は5乃至60
分間であることが望ましい。60分間以上である場合、
加熱による樹脂の黄変など劣化が発生する恐れがある。
【0054】また、樹脂層内のUVA等添加剤を膜厚方
向に濃度分布を持たせることも可能である。UVAは、
樹脂劣化に大きく寄与しない380乃至410nm付近
の波長光を吸収してしまうため、光起電力素子に到達す
る光量を過剰に削減してしまう。そのため、耐候性と光
起電力素子の電気特性を考慮して、添加量を決定するこ
とが望ましい。また、添加剤は屋外での長期曝露で樹脂
層表面から散逸する恐れがあるので、同じ量のUVAを
添加した場合でも樹脂層表面側にUVAが配向している
ことがより望ましい。このような形態を容易に作り出す
方法としては、UVA等の添加剤を含まない第一の樹脂
層を形成し、さらにその上にUVAを添加した第二の樹
脂層を設ける方法がある。第一の樹脂層材料と第二の樹
脂層材料を異なった材料から選択することが可能である
が、密着性を考慮すると同じ樹脂材料からなることが好
ましい。
【0055】以上の工程で光起電力素子上に設けた樹脂
層の平均膜厚は、選択する樹脂層材料特性によって適宜
選択されるが、1μm乃至200μmであることが好ま
しく、20μm乃至150μmが特に好ましい。200
μm以下であれば、前記塗布方法を適宜選択すること
で、比較的容易に樹脂層の形成が可能である。さらに、
乾燥時間を調整することで硬化時に発泡することがなく
優れた外観の光起電力素子を得ることができる。
【0056】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。
【0057】(実施例1)図1に示す構成のアモルファ
スシリコン(a−Si)光起電力素子を以下のようにし
て製造した。
【0058】先ず、洗浄したステンレスのロール状基板
上に、スパッタ法で裏面反射層102としてAl層(膜
厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)を順次形
成した。次いで、プラズマCVD法により、SiH4
PH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、SiH4
とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4とBF
3とH2の混合ガスからp型微結晶μc−Si層を形成
し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜厚
100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p層
膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si光電変換層
103を形成した。次いで、透明電極層104として、
In23薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下でIn
を抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。
【0059】この後、上記裏面反射層102、タンデム
型a−Si光電変換層103及び透明電極層104が形
成されたロール状基板を、剪断刃により355mm×2
40mmとなるように分割して光起電力素子を得た。
【0060】次に、市販の印刷機を用いて透明電極層1
04上の所定の位置に塩化第二鉄を主成分とするエッチ
ングペーストを印刷して、光起電力素子の発電部領域が
800cm2となるように透明電極層104の一部を除
去し、透明電極層除去部104bを形成した。
【0061】次に、得られた光起電力素子の欠陥除去処
理を行った。すなわち、電導度が50乃至70mSとな
るように調製した塩化アルミニウムの水溶液中に、光起
電力素子の透明電極層104と対向するように電極板を
浸漬し、光起電力素子側をアースとして電極板に3.5
ボルトの正電位を2秒間印加することによりシャントし
ている部分の透明電極層を選択的に分解した。
【0062】次に、集電用のグリッド電極105a、バ
スバー電極105bを設ける。具体的には、先ず、透明
電極層104の発電領域外に粘着材を有する絶縁体10
6を配置する。次に、グリッド電極105aとして導電
性コートした直径100μmの銅線を6mm間隔で配置
し、末端を絶縁体106の粘着材上に仮固定する。次
に、グリッド電極105aの末端部と接合するように、
バスバー電極105bを絶縁体106上に配置し、加熱
圧着することでこれを固定した。
【0063】[樹脂層の形成]次に、樹脂層107を形
成した。具体的には、先ず、光起電力素子受光面上にア
クリル樹脂からなる第一の樹脂層用コーティング剤(M
EKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレートを
NCO/OH=1.5となるように添加。更に、固形分
が35wt%となるようキシレン、MIBK、酢酸エチ
ルにて希釈、粘度15mPa・s)を乾燥後の平均膜厚
が25μmとなるようにスプレー塗布した。その後、乾
燥・硬化用の架台に光起電力素子を設置し、光起電力素
子の両切断面に対して素子中央部が5mm高くなる滑ら
かな曲線状態で保持し、60℃のオーブンで10分間乾
燥した。さらに、100℃の乾燥オーブンに投入し、1
0分間で昇温した。次に、第一の樹脂層上に第一の樹脂
層材料と同じアクリル樹脂に耐候性処方の添加剤を加え
た第二の樹脂層用コーティング剤(MEKオキシムでブ
ロックしたHDIイソシアヌレートをNCO/OH=
1.5となるように添加。アクリル/ウレタン固形分1
00重量部に対して、紫外線吸収剤として2−〔4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル〕−5−(オクチルオキシ)フェノ
ール0.3重量部、光安定化剤としてビス(2、2、6
−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.1重
量部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノニルフェニ
ル)フォスファイト0.2重量部を配合した。更に、固
形分が45wt%となるようキシレン、MIBK、酢酸
エチルにて希釈、粘度90mPa・s)をスプレー塗布
した。その後、再び乾燥・硬化用の架台に光起電力素子
を設置し、光起電力素子の両切断面に対して素子中央部
が5mm高くなる滑らかな曲線状態で保持し、60℃の
オーブンにて10分間乾燥した。さらに、100℃のオ
ーブンに10分間投入し、更に180℃まで10分間で
昇温した。次に、180℃にて5分間加熱して硬化し、
第二の樹脂層(平均膜厚50μm)を設けた。
【0064】以上の工程により、光起電力素子受光面上
に第一の樹脂層と第二の樹脂層からなる樹脂層107を
設け、図1に示したような本発明の光起電力素子を21
枚得た。これらの光起電力素子のうち1枚については下
記試験項目(1)の端部樹脂層膜厚測定を行い、残り2
0枚について以下の試験項目(2)、(3)について各
10枚で評価を行った。
【0065】(1)光起電力素子端部の樹脂層膜厚測定 光起電力素子端部の断面をCCD観察し、膜厚を測定し
た。
【0066】(2)光/温度サイクル複合試験 試験箱に光起電力素子を投入し、メタルハライドランプ
による100mW/cm2の強度での300nm〜40
0nmの波長域の紫外線照射と結露を繰り返すデューサ
イクル試験を5000時間行った。次に、光起電力素子
を温度サイクル試験箱に投入し、箱内の環境を85
℃、85%RH状態で22時間、続いて−40℃状態
で1時間とし、を繰り返し行なう。また、→、
→の移行は各30分間として計24時間にて1サイ
クルとして20サイクルを行った。その後、100mW
/cm2の擬似太陽光光源照射下において光起電力素子
の電気特性測定と外観検査を行った。 <評価基準> ○:10枚全てにおいて、電気特性、外観ともに問題無
し。 △:1枚以上で剥離が生じたが、電気特性は実使用上問
題がない。 ×:1枚以上で剥離が生じ、電気特性も実使用上で問題
となる低下が生じた。
【0067】(3)人工酸性雨サイクル試験 試験箱に光起電力素子を投入し、箱内にpH3.5の酸
性雨溶液(5%中性NaCl溶液+硝酸+水酸化ナトリ
ウム溶液)を用い噴霧24時間、乾燥24時間で構成さ
れる1サイクルを合計24サイクル行った。その後、1
00mW/cm 2の擬似太陽光光源照射下において電気
特性測定と外観検査を行った。 <評価基準> ○:10枚全てにおいて、電気特性、外観ともに問題無
し。 △:1枚以上で剥離が生じたが、電気特性は実使用上問
題がない。 ×:1枚以上で剥離が生じ、電気特性も実使用上で問題
となる低下が生じた。
【0068】(実施例2)実施例1の[樹脂層の形成]
において、第一の樹脂層用コーティング材料を以下のよ
うに変更した以外は実施例1と同様にして光起電力素子
を得た。
【0069】第一の樹脂層用コーティング材料を、アク
リル樹脂からなる樹脂層用コーティング剤(MEKオキ
シムでブロックしたHDIイソシアヌレートをNCO/
OH=1.5となるように添加。アクリル/ウレタン固
形分100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−
〔4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,
3,5−トリアジン−2−イル〕−5−(オクチルオキ
シ)フェノール0.3重量部、光安定化剤としてビス
(2、2、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ
ート0.1重量部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノ
ニルフェニル)フォスファイト0.2重量部を配合し
た。更に、固形分が35wt%となるようキシレン、M
IBK、酢酸エチルにて希釈、粘度15mPa・s)と
する。
【0070】(比較例1)実施例1において、[樹脂層
の形成]を以下のように変更した以外は実施例1と同様
にして光起電力素子を得た。
【0071】[樹脂層の形成]光起電力素子受光面上に
アクリル樹脂からなる第一の樹脂層用コーティング剤
(MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレー
トをNCO/OH=1.5となるように添加。更に、固
形分が35wt%となるようキシレン、MIBK、酢酸
エチルにて希釈、粘度15mPa・s)を乾燥後の平均
膜厚が25μmとなるようにスプレー塗布した。その
後、乾燥・硬化用の架台に光起電力素子を設置し、光起
電力素子の両切断面と素子中央部が平坦になるように保
持し、10分間乾燥した。さらに、100℃の乾燥オー
ブンに投入し、10分間で昇温した。次に、第一の樹脂
層上に第一の樹脂層材料と同じアクリル樹脂に耐候性処
方の添加剤を加えた第二の樹脂層用コーティング剤(M
EKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレートを
NCO/OH=1.5となるように添加。アクリル/ウ
レタン固形分100重量部に対して、紫外線吸収剤とし
て2−〔4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−
1,3,5−トリアジン−2−イル〕−5−(オクチル
オキシ)フェノール0.3重量部、光安定化剤としてビ
ス(2、2、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート0.1重量部、酸化防止剤としてトリス(モノ−
ノニルフェニル)フォスファイト0.2重量部を配合し
た。更に、固形分が45wt%となるようキシレン、M
IBK、酢酸エチルにて希釈、粘度90mPa・s)を
スプレー塗布した。その後、再び乾燥・硬化用の架台に
光起電力素子を設置し、光起電力素子の両分割断面と素
子中央部が平坦になるように保持し、10分間乾燥し
た。さらに、100℃の乾燥オーブンに投入し、180
℃まで20分間で昇温した。次に、180℃にて5分間
加熱して硬化し、第二の樹脂層(平均膜厚50μm)を
形成した。
【0072】(比較例2)実施例1において、[樹脂層
の形成]を以下のように変更した以外は実施例1と同様
にして光起電力素子を得た。
【0073】[樹脂層の形成]光起電力素子受光面上に
アクリル樹脂からなる第一の樹脂層用コーティング剤
(MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレー
トをNCO/OH=1.5となるように添加。更に、固
形分が45wt%となるようキシレン、MIBK、酢酸
エチルにて希釈、粘度90mPa・s)を乾燥後の平均
膜厚が50μmとなるようにスプレー塗布した。その
後、乾燥・硬化用の架台に光起電力素子を設置し、光起
電力素子の両切断面とセル中央部が平坦になるように保
持し、10分間乾燥した。さらに、100℃の乾燥オー
ブンに投入し、10分間で昇温した。次に、第一の樹脂
材料と同じアクリル樹脂に耐候性処方の添加剤を加えた
第二の樹脂層用コーティング剤(MEKオキシムでブロ
ックしたHDIイソシアヌレートをNCO/OH=1.
5となるように添加。アクリル/ウレタン固形分100
重量部に対して、紫外線吸収剤として2−〔4,6−ビ
ス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリア
ジン−2−イル〕−5−(オクチルオキシ)フェノール
0.3重量部、光安定化剤としてビス(2、2、6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.1重量
部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノニルフェニル)
フォスファイト0.2重量部を配合した。更に、固形分
が48wt%となるようキシレン、MIBK、酢酸エチ
ルにて希釈、粘度120mPa・s)をスプレー塗布し
た。その後、乾燥・硬化用の架台に光起電力素子を設置
し、光起電力素子の両切断面とセル中央部が平坦になる
ように保持し、10分間乾燥した。さらに、100℃の
乾燥オーブンに投入し、180℃まで20分間で昇温し
た。次に、180℃にて5分間加熱して硬化し、第二の
樹脂層(平均膜厚70μm)を形成した。
【0074】尚、以上の実施例及び比較例で使用した樹
脂層材料の40℃・90%RHでの水蒸気透過率は、約
8g/m2・dayであった。
【0075】表1に、実施例及び比較例で製造した光起
電力素子の評価試験結果を示す。
【0076】
【表1】
【0077】表1に示されるように、実施例1の光起電
力素子では、光/温度サイクル複合試験、人工酸性雨サ
イクル試験の何れの耐久性試験でも良好な結果が得られ
た。
【0078】実施例1の光起電力素子は樹脂層表面側の
第二の樹脂層にのみUVAが含まれているのに対し、実
施例2の光起電力素子では第一及び第二の樹脂層にUV
Aが含まれ、実施例1の光起電力素子よりも樹脂層に含
まれるUVA量が多い構成である。このような構成で
は、実施例1と同様な耐久性試験においては良好な結果
が得られたものの、UVAが多い分入射光量が減少し、
初期電気特性が若干低下するのが確認された。
【0079】比較例1、2の光起電力素子は、樹脂層に
膜厚分布を持たせていない構成である。比較例1の光起
電力素子における樹脂層の平均膜厚は、実施例1及び実
施例2の光起電力素子と同様に75μmであるが、比較
例1の光起電力素子では、光/温度サイクル複合試験で
透明電極層と樹脂層界面で剥離が見られないものの、人
工酸性雨サイクル試験においては、光起電力素子端部で
導電性基板と光電変換層とで剥離が生じた。一方、比較
例2の光起電力素子は、光起電力素子端部の樹脂厚は実
施例1及び実施例2の光起電力素子と同じであるが、樹
脂厚の膜厚分布が無く、樹脂層の平均膜厚は120μm
と厚い。この比較例2の光起電力素子では、比較例1の
光起電力素子とは異なり、人工酸性雨サイクル試験で良
好な結果を得ることができたものの、樹脂層全体の膜厚
が増した分樹脂層内の内部応力が大きくなり、その結
果、光/温度サイクル複合試験のような耐久試験で剥離
を生じてしまった。また、比較例2の光起電力素子で
は、厚膜化した分だけ添加されたUVA量が増加し、光
入射量の減少が原因と見られる初期電気特性の低下が見
られた。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光起電力素子端部の樹脂層厚を素子中央部より増やすこ
とにより、コスト増加を最小限にして光起電力素子端部
への水分の侵入を効果的に防ぐことができると共に、樹
脂層内の内部応力の増加を最小限に抑え、従来問題とな
った光起電力素子内の層間剥離を効果的に防ぐことがで
き、コスト削減を達成できる簡易な被覆構成によって、
耐候性・耐久性に優れた特性を有する光起電力素子を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す概略構成図
であり、(a)は正面図、(b)は部分断面図である。
【符号の説明】
101 導電性基板(ステンレス基板) 102 裏面反射層 103 光電変換層 104 透明電極層 104b 透明電極層除去部 105a グリッド電極 105b バスバー電極 106 絶縁体 107 樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高林 明治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA05 BA18 CA15 CB13 DA03 DA04 DA15 FA02 FA14 GA05 GA06 JA02 JA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも電極層と光電変換層が積層さ
    れた積層構造を有する光起電力素子の受光面側に、厚み
    分布を持った樹脂層が設けられており、該樹脂層の厚み
    は、光起電力素子中央部よりも光起電力素子端部の方が
    厚いことを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 少なくとも電極層と光電変換層が積層さ
    れた積層構造を有すると共に該電極層及び該光電変換層
    の一部が端部に露出している光起電力素子の受光面側
    に、厚み分布を持った樹脂層が設けられており、該樹脂
    層の厚みは、光起電力素子中央部よりも光起電力素子端
    部の方が厚いことを特徴とする光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記光起電力素子端部断面が前記樹脂層
    によって被覆されていることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記樹脂層は紫外線吸収剤を含有し、受
    光面側から非受光面側に向けて紫外線吸収剤の濃度分布
    が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 前記樹脂層が、少なくとも2層以上の紫
    外線吸収剤の濃度が異なる樹脂層からなることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の光起電力素子。
  6. 【請求項6】 少なくとも電極層と光電変換層が積層さ
    れた積層構造を有する光起電力素子の受光面側に、樹脂
    層を形成する工程を有する光起電力素子の製造方法にお
    いて、 前記樹脂層を形成する工程で、該樹脂層に光起電力素子
    中央部よりも光起電力素子端部の方が厚くなるような厚
    み分布を持たせることを特徴とする光起電力素子の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも電極層と光電変換層が積層さ
    れた積層構造を有すると共に該電極層及び該光電変換層
    の一部が端部に露出している光起電力素子の受光面側
    に、樹脂層を形成する工程を有する光起電力素子の製造
    方法において、 前記樹脂層を形成する工程で、該樹脂層に光起電力素子
    中央部よりも光起電力素子端部の方が厚くなるような厚
    み分布を持たせることを特徴とする光起電力素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記樹脂層を形成する工程において、該
    樹脂層の材料を塗布法により光起電力素子受光面側に塗
    布することを特徴とする請求項6又は7に記載の光起電
    力素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記樹脂層の材料を塗布した後に、受光
    面側が凸となる形状に光起電力素子を保持した状態で、
    該材料を乾燥硬化されることを特徴とする請求項8に記
    載の光起電力素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記樹脂層を、少なくとも2層以上の
    紫外線吸収剤の濃度が異なる樹脂層を順次配設すること
    により形成することを特徴とする請求項6乃至9のいず
    れかに記載の光起電力素子の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006173298A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Fuji Electric Holdings Co Ltd 太陽電池モジュール
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