JP2002333702A - プラズマエッチング方法及びフォトマスクの製造方法 - Google Patents

プラズマエッチング方法及びフォトマスクの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマエッチングによってマスク基板の表
面にパターンを加工する際に、マスク基板の表面におけ
るエッチング速度の均一性を改善する。 【解決手段】 表面に遮光膜12によるパターンが形成
された石英基板11を反応性ガスプラズマを利用してエ
ッチングする際、石英基板11の厚さを、当該石英基板
11を透過する高周波電圧の透過率が80%以上になる
様に設定する。なお、石英基板11の自重による撓みを
抑えるため、エッチングの後、石英基板11の裏面に透
光性の支持板116を接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性ガスプラズ
マを利用して被加工材表面のエッチングを行うプラズマ
エッチング方法に係り、特に、半導体素子の製造プロセ
スの内、リソグラフィプロセスにおいて使用されるフォ
トマスクを作成する際のプラズマエッチング方法、及び
この方法を適用したフォトマスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】a.位相シフトマスク 図9に、リソグラフィプロセスにおいて使用されるステ
ッパの概要を示す。フォトマスク144はステッパにセ
ットされ、光源141から発射された光は、フライアイ
レンズ142及びコンデンサレンズ143を通って平行
光線となってフォトマスク144に入射し、更に投影レ
ンズ145を通ってウエハ146の表面に収束する。こ
れによって、フォトマスク144上に形成されている遮
光膜によるパターン144aが、ウエハ146上に塗布
されているレジスト146aに縮小転写される。
【0003】最近の半導体素子の高集積化を志向した微
細加工技術に対する要求の高度化に伴い、ステッパの光
学系及びフォトマスクについて、パターン解像力の向
上、露光焦点深度の増大などを目指した改良の試みが盛
んに行われている。
【0004】その中で、フォトマスクに関しては、マス
クパターン面上の一部に位相シフタを設け、光学像の一
部を位相反転させて非反転部と重ね合わることによっ
て、解像力を向上させ、且つ焦点深度を増加させる位相
シフトマスクが開発されている。この様な位相シフトマ
スクとして、レベンソンマスク、ハーフトーンマスク、
シフタエッジマスク、自己整合マスクなどが発表されて
いる。これらの位相シフトマスクの中で、解像力、焦点
深度の改善効果が最も大きいのは、レベンソンマスクで
ある。
【0005】レベンソンマスクの構造の一例を図10に
示す。図10は、特開昭62−189468号公報に開
示されている基板掘り込み型レベンソンマスクである。
図10において、151は石英ガラス製のマスク基板、
152は遮光膜、154は位相シフタを表しており、マ
スク基板151を、所定のパターンに合わせて下式で与
えられる深さdだけ掘り込むことによって位相シフタ1
54が形成されている、 d=λ/2(n−1) ・・・(1) ここで、nはマスク基板の屈折率、λは露光波長を表
す。
【0006】図11に、基板掘り込み型レベンソンマス
クの製造工程の概要を示す。先ず、図11(a)に示す
様に、遮光膜152によってパターンが形成されたマス
ク基板151の光透過部156の一つ置きに、図11
(b)に示す様に、レジスト153のパターンを形成す
る。このレジストのパターンをマスクに用いて、マスク
基板をエッチングすることにより位相シフタ154が形
成される。その後、レジスト153を除去して、図11
(c)に示す様な基板掘り込み型レベンソンマスクを得
る。
【0007】位相シフタにより与えられる位相差は、1
80度近傍の所定の目標値に均一化されている必要があ
る。図12は、透過光の強度分布に与えるフォーカスの
条件の影響を示したものであり、縦軸は透過光の強度、
横軸はウエハ表面上の位置、154は位相シフタ部、1
55は非シフタ部を表す。
【0008】図12に示す様に、位相差が目標値(例え
ば180度)から外れた場合、露光の際、デフォーカス
部分において、互いに隣接する開口部を透過した光の間
でその強度に差が生じる。これによって、ウエハ上のデ
バイスパターンによる段差部において互いに隣接する開
口部の間でパターン寸法に違いが生じ、デバイス特性を
劣化させる要因となる。位相シフタにより得られる位相
差は基板掘込み深さdに比例する。この基板掘り込み深
さはエッチング速度に依存するため、マスク基板面内で
のエッチング速度を均一にする必要がある。
【0009】b.プラズマエッチング マスク基板のエッチングには、Siウエハのエッチング
と同様に、異方性を備え微細パターンのエッチングが可
能な、反応性イオンエッチングなどのプラズマエッチン
グが用いられる。プラズマエッチングは、反応室内で高
周波電圧によって反応性ガスをプラズマ状態に解離させ
るとともに、反応室内にセットされた被加工材(マスク
基板)に高周波電圧を印加して、被加工材の表面に電圧
を励起させ、反応性ガスプラズマ中の電子あるいはイオ
ンなどの荷電粒子を引き込むことによって、物理的及び
化学的に被加工材の表面をエッチングするものである。
プラズマエッチングにおいて、エッチング速度は被加工
材の表面電圧の上昇に従って増大する。
【0010】c.エッチング速度の不均一性(マスクパ
ターンに起因するもの) 被加工材の表面でレジストなどの耐エッチング性被膜
(エッチングマスク)によるパターンで覆われている非
エッチング領域と、耐エッチング性被膜が取り除かれて
いるエッチング領域とでは、プラズマエッチングの過程
において、その材質の違いに起因して、電子あるいはイ
オンなどの荷電粒子による帯電量に差が生ずる。この様
子を、図13及び図14に示す。
【0011】図13は、比較的大きな面積の耐エッチン
グ性被膜のパターン186に隣接して、微細パターンの
被エッチング部187が配置されている領域でのマスク
基板表面の近傍における電位の分布の状態を示し、図1
4は、微細パターンのみが配置されている領域188で
の電位の分布の状態を示す。図中、181はマスク基
板、182は耐エッチング性被膜、189は等電位面を
表す。
【0012】図13に示される様に、比較的大きな面積
の耐エッチング性被膜186の近傍では、当該被膜18
6に蓄積された電荷によって電位分布が影響を受けるの
で、マスク基板の表面電圧が上昇する。他方、当該被膜
186から離れるに従って、前記電荷による影響が小さ
くなり、マスク基板の表面電圧が低下する。この様に、
比較的大きな面積の耐エッチング性被膜の周辺部におい
て、マスク基板の表面電圧に差が生ずる。エッチング速
度はマスク基板の表面電圧に依存するので、その結果、
比較的大きな面積の耐エッチング性被膜の周辺部におい
て、エッチング速度に差が現れる。他方、図14に示さ
れる様に、微細パターンのみが配置され、それらの間の
サイズの差が小さい領域では、耐エッチング性被膜18
2上の電荷蓄積量の差も小さくなり、領域内での表面電
圧の差はほとんど問題にならない。
【0013】以上の様な現象に起因して、例えば、図1
5に示される様な、比較的大きな面積の耐エッチング性
被膜186の近傍に存在する位相シフタ207と、当該
被膜186から遠く離れた位置に存在する位相シフタ2
08とを較べると、当該被膜186の近傍の位相シフタ
207の部分の方が表面電位が高いので、エッチング速
度が大きくなる。この結果、当該被膜186から離れた
位置にある位相シフタ208の位相差を、目標値通り1
80度に加工した場合、当該被膜186の近傍の位相シ
フタ207の位相差は180度よりも大きくなり、前者
の位相シフタ208と較べて、焦点深度が低下すると言
う問題が生じる。
【0014】d.エッチング速度の不均一性(マスク基
板の厚みに起因するもの) 以上のマスクパターンの配置の粗密による影響に加え
て、マスク基板が厚い場合には、以下で説明する様に、
マスク基板の中心部と周縁部との間でエッチング速度に
差が現れる。
【0015】従来のフォトマスクでは、マスク基板とし
て、例えば一辺5インチのものが使用されていた。とこ
ろが、現在では、より露光有効面積の大きい一辺6イン
チのものが主流になりつつある。マスク基板の大型化に
伴い、ステッパ装着時のマスク基板の自重による撓みが
増大し、その結果、投影露光像にパターンサイズの変
動、パターンの歪み等が生じるため露光時の焦点深度が
低下する問題がある。このため、実際には、上記の撓み
を減少させるべくマスク基板の厚みを増加させている。
【0016】マスク基板の自重による撓みωは、マスク
基板を平板と仮定したとき、一辺の長さをa、厚さを
h、自重をP、ヤング率をE、αを撓み係数とすると、
次式で表される。
【0017】 ω=α・P・a4 /(E・h3 )・・・(2) 従って、厚さの異なる(h1 ,h2 )2枚の基板の間で
の撓み(ω1 ,ω2 )の比は、次式で表される。
【0018】 ω1 /ω2 =(h1 /h2 2 ・・・(3) 従来、フォトマスクを作成する場合、マスク基板とし
て、ステッパに装着した時の自重による撓みに対して十
分な強度を持つ厚い透光性基板を用い、その表面にマス
クパターンを直接、形成していた。
【0019】プラズマエッチングにおいては、前述の様
に、エッチング速度はマスク基板の表面電圧の増加に従
って増大する。他方、高周波電圧は物体を透過する際に
減衰を生じる。例えば、図16に示す様に、0.25イ
ンチ厚及び0.09インチ厚の石英基板について、その
基板の表面電圧を比較すると、同じ高周波電圧パワーを
与えた場合、0.25インチ厚の石英基板の基板表面電
圧は、0.09インチ厚の石英基板の基板表面電圧の2
分の1程度しかならない。
【0020】この様に、マスク基板の厚みの増加に伴っ
て高周波電圧の透過率が低下すると、マスク基板の上方
の空間部に存在する反応ガスのプラズマ中の反応性イオ
ンを、マスク基板の表面に引き付ける力が減少する結
果、エッチング速度が低下する。
【0021】図17は、マスク基板に高周波電圧を印加
した場合の、エッチング速度に対する高周波電圧の透過
率の影響を示したものである。図中、a、b、cは、そ
れぞれ、マスク基板がない場合、マスク基板が薄く高周
波電圧の透過率が高い場合、マスク基板が厚く高周波電
圧の透過率が小さい場合における、マスク基板の中心付
近でのエッチング速度に対応している。これに対して、
マスク基板の周縁部付近では、マスク基板を透過する高
周波電圧よりもマスク基板の周囲に形成される高周波電
場の寄与が大きいので、エッチング速度は、中心部と比
較してマスク基板の厚さの影響を受けにくい。
【0022】以上の様な、マスク基板の中心部と周縁部
との間のエッチング速度の差は、マスク基板が薄い場合
には、余り問題にはならない。一方、マスク基板が厚く
なった場合には、マスク基板の中心部と周縁部との間の
エッチング速度の差が拡大するので、大きな問題とな
る。即ち、マスク基板が厚い場合、基板の周縁部におけ
る基板表面電圧が相対的に高めになるので、エッチング
速度が相対的に増大し、マスク基板面内でのエッチング
量の均一性が損なわれる。
【0023】更に、図18に示す様に、マスク基板31
の周囲に、マスク基板よりも導電率が高い部材37が配
置される様な構造の反応室35を有するプラズマエッチ
ング装置においては、マスク基板の周縁部付近に高周波
電圧の通過経路としてマスク基板の底面から表面に透過
する経路41の他に、マスク基板の周囲を透過する経路
42が存在する。高周波電圧は、導電率の高い物質を透
過し易いので、印加された高周波電圧パワーは経路42
に集中する。これにより、経路42を透過する高周波電
圧は、マスク基板が存在しない場合の透過率100%よ
りも大きくなるので、マスク基板の中心部と周縁部との
間での基板表面電圧の差が、更に拡大する。これに伴っ
て、マスク基板の中心部と周縁部との間でのエッチング
速度の差が拡大し、その結果、マスク基板面内でのエッ
チング量の均一性が損なわれ、加工寸法精度を低下させ
る原因となる。
【0024】以上の様に、プラズマエッチングによって
位相シフトマスクを加工する場合、マスク基板の厚さの
影響によって、マスク基板の中心部付近に配置された位
相シフタと、マスク基板の周縁部付近に配置された位相
シフタとの間で、得られる位相差に差が生ずると言う問
題がある。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様な
問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、
プラズマエッチングによって被加工材の表面にパターン
を加工する際に、被加工材の表面におけるエッチング速
度の均一性を改善して、エッチング形状の精度を向上さ
せる方法を提供することにある。特に、位相シフトマス
クの作成の際に、マスク基板の面内で、位相シフタの位
相差の均一性を確保することが可能なプラズマエッチン
グ方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマエッチ
ング方法は、表面に遮光膜、半透明膜あるいはレジスト
によるパターンが形成された透光性基板の、前記遮光
膜、前記半透明膜あるいは前記透光性基板を反応性ガス
プラズマを利用してエッチングする際に、前記透光性基
板の厚さを、前記透光性基板を透過する高周波電圧の透
過率が80%以上になる様に設定する。
【0027】図1に、石英基板の厚さと高周波電圧透過
率との関係の一例を示す。図1に示す様に、石英基板の
場合、その厚さを1mm以下とすれば、透過率として8
0%以上の値が得られる。
【0028】なお、透光性基板(マスク基板)を上記の
様に薄くした場合、曲げ剛性が大幅に不足するので、プ
ラズマエッチングの終了後、その裏面に透光性の支持板
を接合してフォトマスクとする。一例として、6インチ
角のフォトマスクの場合、石英基板の厚さを1mmと
し、透光性の支持板の厚さを5.3mmとすると、石英
基板単体で構成されたフォトマスクの自重による撓みは
0.74μmであるのに対し、前記支持板を裏面に接合
したフォトマスクの撓みは0.02μmとなる。この様
に、フォトマスクの撓みを小さく押さえることにより、
このフォトマスクを用いたリソグラフィプロセスにおけ
る、露光光学像の焦点深度を大きくすることができる。
【0029】また、本発明の第二のプラズマエッチング
方法は、導電性ステージの上に被加工材を載せて、反応
性ガスプラズマを利用して被加工材の表面をエッチング
する際に、前記被加工材の周囲の前記導電性ステージの
上に絶縁シールドを配置するとともに、前記被加工材の
厚さを、前記被加工材を透過する高周波電圧の透過率
が、前記絶縁シールドを透過する高周波電圧の透過率と
ほぼ等しくなる様に設定することを特徴とする。具体的
には、前記被加工材を透過する高周波電圧の透過率が、
前記絶縁シールドを透過する高周波電圧の透過率の80
%以上、120%以下になる様に、前記被加工材の板厚
を設定する。
【0030】例えば、図2に示す様なプラズマエッチン
グ装置において、高周波電圧のパワーが透過する経路
を、コンデンサで構成された回路でモデル化し、石英基
板31(被加工材)の比誘電率をεr 、厚さをDr 、絶
縁シールド36の比誘電率をε s 、厚さをDs とする
と、石英基板31の厚さDr を、 Dr =(εr /εs )・Ds ・・・(4) とした場合に、石英基板31及び絶縁シールド36を透
過する高周波電圧のパワーが等しくなる。一例として、
絶縁シールド36を厚さ2mmのアルミナ(比誘電率ε
s =8.5)で作成した場合、石英基板(比誘電率=
3.8)の厚さを1mm程度に設定すればよい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0032】[例1]マスク基板の板厚を調整すること
によって高周波電圧の透過率を増大させ、プラズマエッ
チングの際、マスク基板面内でエッチング速度の均一化
を図る例について説明する。
【0033】図3に、先に示したプラズマエッチング装
置(図2)を用いて、石英基板のプラズマエッチングを
行った場合の、石英基板の厚さと基板表面電圧との関係
を示す。プラズマエッチングの条件としては、反応性ガ
スとしてCl2 ガスを用い、その流量を25sccm、
反応室内の圧力を0.5mTorr、印加する高周波電
圧の周波数を13.56MHzとし、高周波のパワーを
60、75及び100Wの3水準とした。図3に示す様
に、高周波パワーが、それぞれ、60、75、100W
の時、厚さが6.4mmの石英基板では、基板表面電圧
(Vdc)は、それぞれ、15、20、30V程度となっ
た。一方、厚さが1mmの石英基板では、基板表面電圧
(Vdc)は、それぞれ、60、80、120V程度まで
増加した。石英基板の厚さを1mmとすることにより、
石英基板を透過する際の高周波電圧の減衰量が減少し
て、印加した高周波電圧のパワーが、十分に、基板表面
に達して、基板表面電圧が増加することがわかる。
【0034】[例2]次に、厚さの異なる石英基板を用
いてプラズマエッチングを行い、基板面内でのエッチン
グ速度の分布を測定した。石英基板は、6インチ角で、
板厚は1mm及び6.4mmである。図4に、使用した
電子ビーム励起プラズマエッチング装置の概要を示す。
図中、31は石英基板、32は導電性ステージ(サセプ
タ)、33は高周波電源、34は反応性ガスプラズマ、
35は反応室、97は電子ビーム、98はビームライン
を表す。エッチングの条件としては、反応ガスをC
4、その流量を15sccm、反応チャンバ内の圧力
を0.5mTorr、印加する高周波電圧のパワーを6
0Wとした。
【0035】図5に、エッチング速度の面内分布を示
す、図中、横軸は基板のエッジからの距離、縦軸はエッ
チング速度を表す。従来、フォトマスクに使用されてい
る厚さ6.4mm、一辺152mmの正方形の石英基板
の場合、基板周縁部でのエッチング速度が、中心部のエ
ッチング速度に較べて40%程度も大きくなっている。
一方、本発明に基く厚さ1mmの石英基板の場合、石英
基板の中心部のエッチング速度が増大した結果、基板周
縁部と中心部とのエッチング速度の差は3%まで縮小し
て、基板全体でのエッチング速度の均一性が改善されて
いる。
【0036】[例3]次に、上記のプラズマエッチング
方法を、基板掘り込み型レベンソンマスクの作成に適用
した例について説明する。
【0037】6インチ角、厚さ6.4mm及び1mmの
石英基板を用いて、上記と同じエッチングの条件で、位
相シフタの加工を行った。基板掘り込み型レベンソンマ
スクの作成プロセスの概要は、先に示したもの(図1
1)と同一である。露光波長を248nmとし、位相シ
フタの目標エッチング量を245nmに設定した。
【0038】エッチング時間は、厚さ1mmの石英基板
については8分、厚さ6.4mmの石英基板については
11分とした。なお、装置安定性に起因するエッチング
速度変動によるエッチング量のずれをなくすため、マス
ク基板中心付近にエッチング量モニター用のパターンを
配置し、このエッチング量を段差測定器で測定し、中心
部のエッチング量を目標値に一致させた。
【0039】フォトマスクの中心部における目標の位相
シフト量を180°に設定したとき、厚さ1mmの石英
基板を用いた場合、基板中心部と周縁部との間の位相シ
フト量のずれは2.6°であった。一方、厚さ6.4m
mの石英基板を用いた場合、基板中心部と周縁部との間
の位相シフト量のずれは72°であった。
【0040】次に、上記の様にして作成されたフォトマ
スクを用いてラインアンドスペースパターンの露光を行
った。
【0041】なお、厚さ1mmの石英基板のフォトマス
クをそのまま露光装置にセットすると、先に述べた様
に、マスク基板の自重による撓みが大きく、焦点深度が
低下する。例えば、6インチ角、厚さ1mmのフォトマ
スクの露光領域を120mm角としたとき、露光領域内
での基板の撓み量はおよそ0.58μmとなり、その撓
み量分の露光焦点深度が低下する。そこで、厚さ1mm
の石英基板については、厚さ5.3mmの透光性基板を
接合して、自重による撓みを抑えた。図6に、このフォ
トマスクの断面図を示す。図中、11は厚さ1mmの石
英基板、12は遮光膜、116は補強用の透光性の支持
板を表す。
【0042】透光性の支持板116の材質は、撓みに対
して十分な剛性を有し、且つ、石英基板11との界面で
露光光の反射を抑えることができる材質を選ぶ必要があ
る。基板の自重による撓みωは、一辺の長さをa、板厚
をh、自重をP、Eをヤング率、αを撓み係数とする
と、次式で表される。
【0043】 ω=α・P・a4 /(E・h3 )・・・(5) 上式から、支持板116としては、その密度をρとした
場合、(ρ/E)の値が石英基板11と同等かあるいは
それ以下である材料で構成されていることが望ましい。
【0044】また、界面での反射を抑えるために、支持
板116の光学定数n(屈折率)、k(消衰係数)につ
いては、石英基板11のそれとの違いが1%以内である
ことが望ましい。更に、石英基板11に支持板116を
接合する方法についても、界面での反射を十分、抑える
ことが可能な接合方法を採用する必要がある。この例で
は、両基板を圧着する方法を採用した。具体的には、両
基板界面を真空中で接合し、これを大気中に取り出す真
空接合法を用いた。
【0045】この様にして接合されたフォトマスクを用
いて、露光波長248nm、NA=0.75、σ=0.
3の露光装置でサイズ0.15μmのラインアンドスペ
−スパターンの投影露光を行ったところ、マスク全面で
1.7μmの焦点深度が得られた。一方、従来方式の厚
さ6.4mmの石英基板を用いたフォトマスクを用いて
同様のラインアンドスペ−スパターンを投影露光した場
合には、マスク基板周縁部において位相シフト効果が低
下して、ウエハ上の段差部ではパターンを解像すること
が不可能であった。
【0046】次に、本発明の方法に基くプラズマエッチ
ング方法によって位相シフタを加工したフォトマスクを
用いて、DRAMのチップの露光を行った。
【0047】作成したフォトマスクは、1G−DRAM
のメモリセル部配線層のフォトマスクである。厚さ1m
mの石英基板を用いて、メモリセル部のビット線・ワー
ド線を構成する0.15μmデザインルール周期パター
ン部に位相シフタを設けた。なお、位相シフタのエッチ
ングには、先に示した電子ビーム励起プラズマエッチン
グ装置(図4)を用いた。エッチングの条件としては、
反応ガスをCF4 、その流量を15sccm、反応チャ
ンバ内の圧力を0.5Torr、RFバイアスを60W
とし、エッチング時間を8分間とした。位相シフタの加
工の後、石英基板の裏面に、厚さ5.3mmの石英製の
透光性支持板を接合した。
【0048】このフォトマスクを用いてDRAMのチッ
プの露光を行ったところ、チップ全面で、メモリセル部
のビット線・ワード線のパターンを寸法精度良く解像す
ることができ、デバイスの電気的特性を向上することが
できた。なお、従来方式のフォトマスクを用いた場合に
は、チップ周縁部での寸法制御性が悪く、段差部で絶縁
性が低下したりあるいは逆に導通したりして、均一な電
気的特性は得られなかった。
【0049】[例4]マスク基板の周囲の導電性ステー
ジ上に絶縁シールドすることによって、プラズマエッチ
ングの際、マスク基板面内でエッチング速度の均一化を
図る例について説明する。
【0050】先に図2に示したプラズマエッチング装置
を用いて、絶縁シールド36として厚さ2mmのアルミ
ナ製の板を使用し、被加工材31として厚さ1mmの石
英基板を用いてエッチングを行った場合の石英基板の表
面近傍での電位分布状態の模式図を、図7に示す。な
お、プラズマエッチングの条件としては、反応性ガスと
してCF4 ガスを用い、その流量を15sccm、反応
室内の圧力を0.5mTorrとし、高周波電圧のパワ
ーを60Wとした。
【0051】以上の様に、石英基板31の周囲の導電性
ステージ上に絶縁シールド36を配置してプラズマエッ
チングを行った場合、導電性ステージから反応チャンバ
の上部に透過する高周波電圧が、導電性ステージ上で、
石英基板31が載せられた部分と、その周囲に配置され
た絶縁シールド36の部分とで等しくなるため、電位分
布39が全面で一様になる。その結果、エッチング速度
の面内均一性が改善され、更に、露光光に対する位相の
制御性が向上し、露光光学像の焦点深度を大きくするこ
とができる。
【0052】なお、比較のために、絶縁シールドを使用
しない従来のエッチング装置の場合の、石英基板31の
表面近傍での電位分布状態の模式図を、図8に示す。石
英基板31の周囲に導電率が高い部材37が配置されて
いる場合、石英基板の周縁部の電圧が増大するので、電
位分布39が不均一になる。
【0053】[例5]次に、上記のプラズマエッチング
方法を、基板掘り込み型レベンソンマスクの作成に適用
した例について説明する。
【0054】プラズマエッチング装置は、先に示したも
の(図2)と同一である。絶縁シールド36として厚さ
2mmのアルミナ板(比誘電率8.5)を使用し、マス
ク基板31として厚さ1mmの石英基板を使用した。作
成したフォトマスクはレベンソンマスクである。エッチ
ングの条件としては、反応性ガスをCF4 、その流量を
15sccm、反応チャンバ内圧力を0.5mTor
r、印加する高周波電圧のパワーを60Wとし、露光波
長248nmに対する位相シフタ深さ245nmを得る
ため、エッチング時間を7分30秒に設定した。
【0055】この条件で位相シフタのエッチングを行っ
た結果、厚さ1mmの石英基板の全面で、目標位相差1
80°に対して、誤差を1.8°以内に抑えることがで
きた。このマスク基板に、厚さ5.3mmの透光性支持
板を接合して、剛性を補った。この様にして得られたフ
ォトマスクを用いて、0.15μmサイズのラインアン
ドスペースパターンを、露光波長248nm、NA=
0.75、σ=0.3の露光装置により投影露光した結
果、焦点深度1.9μmを得た。
【0056】なお、本発明に基くプラズマエッチング方
法は、以上に示した例に限定されるものではない。
【0057】エッチングマスクとなるレジスト上に形成
する被膜の種類については、他のSiO2 膜(スパッタ
膜)や、エッチングガスに対する反応がマスク基板材と
類似している他の膜でも良い。
【0058】また、エッチングマスクもレジストに限定
されるものではなく、水酸基、カルボン酸基、アルデヒ
ド骨格を有する有機樹脂などを用いても良い。
【0059】また、レジストのシリル化に気相シリル化
材TMDSを用いたが、この他、HMDS(ヘキサメチ
ルジシラザン)、DMSDEA(ジエチルアミノジメチ
ルアミン)、TMSDEA(ジエチルアミノトリメチル
シラン)、TMSDMA(ジメチルアミノトリメチルシ
ラン)、DMSDMA(ジメチルシリルジメチルアミ
ン)、など他の気相シリル化材を用いても良い。また、
HMCTS(ヘキサメチルシクロトリシラザン)、
(B)DMADMS(ビス−ジメチルアミノジメチルシ
ラン)、(B)DMAMS(ビス−ジメチルアミノメチ
ルシラン)などの溶液中に浸して液相シリル化処理を行
っても良い。上記の例では、エッチングマスクの処理は
シリル化のみによって行ったが、位相シフタのプラズマ
エッチング前に、シリル化されたレジスト表面をオゾ
ン、一酸化炭素など酸化性ガス雰囲気中に曝すなどの処
理を付加し、表面を酸化しても良い。
【0060】マスク基板の厚さを調整して、エッチング
量の面内均一性を向上させる方法におけるマスク基板等
の板厚、あるいは支持基板の接合方法についても上記の
例に限定されるものではない。
【0061】例えば、接合する透光性支持板の厚さにつ
いては、接合する透光性支持板の厚さについて、マスク
基板を接合する前のフォトマスク中央部パターンの焦点
深度をd、透光性基板を接合した後のフォトマスクの撓
みをω、基板の1辺の長さをa、露光有効エリアの長さ
をbとすると、 露光波長が248nm以下の場合、 d−ω×b/a>1.0μm、 露光波長が248nm以上の場合、 d−ω×b/a>1.5μm、 の関係を満足する様に、透光性の支持板の厚さを選択す
るのが好ましい。
【0062】また、透光性支持板を接合する方法として
は、例えば、屈折率が透光性基板のそれと近い接着剤
を、マスク基板の裏面全面に塗布し接着する方法でもあ
る。または露光用マスクの露光領域外のみに接着剤を塗
布して接着する方法もある。またはクリップでとめる方
法もある。
【0063】被加工材の周囲に絶縁シールドを配置し
て、エッチング量の面内均一性を向上させる方法におけ
る絶縁シールドの材質についてもアルミナに限定される
ものではない。例えば蛍石の様な、比誘電率が3.8以
上の材料ならば使用することができる。
【0064】本発明に基くプラズマエッチング方法が適
用されるプラズマエッチング装置についても、図2に示
される平行平板型RIE、あるいは図4に示される電子
ビーム励起プラズマエッチング装置に限定されるもので
はなく、他の種類のRIE装置など、プラズマ中の荷電
粒子を彼加工材の表面に引き付けて異方性エッチングを
行う装置において、本発明の方法を適用できる。
【0065】また、本発明に基くプラズマエッチング方
法を適用して作成されるフォトマスクの例として、基板
掘り込み型レベンソンマスクを示したが、他の種類のフ
ォトマスクを作成する場合にも、本発明の方法を適用で
きる。例えば、透光性膜からなる位相シフタを基板上に
堆積させた後、シフタパターンをエッチングして作成さ
れるレベンソンマスク、あるいは、上記の例によって作
成されたレベンソンマスクに、更に、光透過部の石英基
板全てにウェットエッチング或いは異方性エッチングを
付加したレベンソンマスク等を作成する際にも、本発明
の方法を適用できる。更に、レベンソンマスクのみでな
く、シフタエッジ型、ハーフトーン型などのマスクを作
成する際にも、本発明の方法を適用できる。
【0066】露光に使用する光源に関しても、上記の例
で用いたKrFエキシマレーザー光源(波長248n
m)のみでなく、例えばg線、i線等の、他の波長で露
光を行うフォトマスクに対しても、本発明の方法により
作成されたフォトマスクを適用することができる。
【0067】更に、本発明のプラズマエッチング方法
は、石英基板などマスク基板のエッチングに限定される
ものではない。この他に、被加工材として、Siウエハ
などの半導体基板、液晶基板などを用いた場合にも、本
発明を適用できる。
【0068】
【発明の効果】本発明のプラズマエッチング方法の様
に、マスク基板として、従来と比較して板厚が薄い基板
を使用すれば、基板中央部と基板周縁部との間のエッチ
ング速度の均一性が向上し、高精度のフォトマスクを作
成することができる。その結果、投影露光光学像の焦点
深度を大幅に改善することができる。
【0069】また、上記の方法に加えて、本発明による
第二のプラズマエッチング方法の様に、マスク基板の周
囲の導電性ステージの上に絶縁シールドを配置して、マ
スク基板を透過する高周波電圧と、当該絶縁シールドを
透過する高周波電圧を同等に調整すれば、更に、高精度
のフォトマスクを作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】石英基板の厚さと高周波電圧の透過率の関係を
示す図。
【図2】被加工材の周囲に絶縁シールドが配置されたプ
ラズマエッチング装置の概要を示す図。
【図3】石英基板の厚さと表面電圧の関係を示す図。
【図4】電子ビーム励起プラズマエッチング装置の概要
を示す図。
【図5】基板周縁部からの距離とエッチング速度の関係
を示す図。
【図6】マスク基板の裏面に透光性の支持板を接合した
フォトマスクの断面図。
【図7】本発明の方法に基くプラズマエッチングの際の
マスク基板の近傍の電位分布を示す図。
【図8】従来の方法に基くプラズマエッチングの際のマ
スク基板の近傍の電位分布を示す図。
【図9】ステッパの概略構成図。
【図10】基板掘り込み型レベンソンマスクの概略図。
【図11】基板掘り込み型レベンソンマスクの作成の工
程を示す図。(a)〜(c)は各工程における断面図を
表す。
【図12】レベンソンマスクの光学像の一例を示した
図。
【図13】マスク基板表面近傍の等電位面を示す図。
【図14】マスク基板表面近傍の等電位面を示す図。
【図15】実際のフォトマスクのパターンの一例を示す
図。
【図16】高周波電圧パワーと基板表面電圧の関係の一
例を示す図。
【図17】高周波電圧の透過率とエッチング速度の関係
の一例を示す図。
【図18】プラズマエッチング装置において、マスク基
板等を透過する高周波電圧の状況を説明する図。
【符号の説明】
11・・・マスク基板、12・・・遮光膜、31・・・
石英基板、32・・・導電性ステージ、33・・・高周
波電源、34・・・反応性ガスプラズマ、35・・・反
応室、36・・・絶縁シールド、37・・・導電性部
材、39・・・等電位面、97・・・電子ビーム、98
・・・ビームライン、116・・・透光性の支持板、1
41・・・光源、142・・・フライアイレンズ、14
3・・・コンデンサレンズ、144・・・フォトマス
ク、144a・・・遮光膜パターン、145・・・投影
レンズ、146・・・ウエハ、146a・・・レジス
ト、151・・・マスク基板、152・・・遮光膜、1
53・・・レジスト、154・・・位相シフタ、155
・・・非シフタ部、156・・・開口部、181・・・
マスク基板、182・・・遮光膜、186・・・比較的
大きな面積のエッチングマスク、187、188、20
7、208・・・微細パターン、189・・・等電位
面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 秀樹 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 2H095 BB17 BC27 BC28 5F004 AA01 BA04 BB18 BC08 CA08 DA01 DA04 DB00 EB07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に遮光膜、半透明膜あるいはレジス
    トによるパターンが形成された透光性基板の、前記遮光
    膜、前記半透明膜あるいは前記透光性基板を反応性ガス
    プラズマを利用してエッチングする際に、前記透光性基
    板の厚さを、前記透光性基板を透過する高周波電圧の透
    過率が80%以上になる様に設定することを特徴とする
    プラズマエッチング方法。
  2. 【請求項2】 表面に遮光膜、半透明膜あるいはレジス
    トによるパターンが形成された透光性基板の、前記遮光
    膜、前記半透明膜あるいは前記透光性基板を反応性ガス
    プラズマを利用してエッチングする際に、前記透光性基
    板の厚さを、前記透光性基板を透過する高周波電圧の透
    過率が80%以上になる様に設定するとともに、 プラズマエッチングの終了後、前記透光性基板の裏面に
    透光性の支持板を接合することを特徴とするフォトマス
    クの製造方法。
  3. 【請求項3】 表面に遮光膜が形成された厚さ1mm以
    下の石英基板と、この石英基板の裏面に接合された透光
    性の支持板とを備えたことを特徴とするフォトマスク。
  4. 【請求項4】 導電性ステージの上に被加工材を載せ
    て、反応性ガスプラズマを利用して被加工材の表面をエ
    ッチングする際に、前記被加工材の周囲の前記導電性ス
    テージの上に絶縁シールドを配置するとともに、前記被
    加工材の厚さを、前記被加工材を透過する高周波電圧の
    透過率が、前記絶縁シールドを透過する高周波電圧の透
    過率の80%以上、120%以下になる様に設定するこ
    とを特徴とするプラズマエッチング方法。
  5. 【請求項5】 前記被加工材は石英ガラスからなり、 前記絶縁シールドはアルミナからなることを特徴とする
    請求項4に記載のプラズマエッチング方法。
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