JP2002331986A - 電動アシスト自転車用モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動アシスト自転車のモータにアウターロー
タモータを使用する場合、永久磁石のコストが高くて装
着の作業性が悪く、且つ、コギングトルクが発生して必
要な人力駆動力が大きくなっている。 【解決手段】 駆動モータとしてアウターロータータイ
プの永久磁石式同期モータを使用し、このモータの永久
磁石を長方形状とし、モータのヨークには溝を設けて、
この溝に永久磁石を装着して構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電動アシスト自転
車に係わり、特にアシスト自転車に搭載されるモータに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電動アシスト自転車は２つの駆動力を備
えており、その一つはペダルからの駆動力でチェーンを
介してケーシングの回転側に伝達して車輪を回転させる
駆動力と、他の一つはペダルにかかるトルクを検出し、
そのトルクと同じ大きさのトルクでモータを回転し、減
速機構を介して車輪を駆動するように構成されている。
このような電動アシスト自転車は種々提案されている
が、何れも駆動部にモータを配設することに伴い、その
構成の小形化，軽量化を図ることを目的としてモータを
高速化し、ギアやプリーによって減速して必要とするト
ルクを得るようにしている。更に、駆動部とタイヤ部を
チェーンおよびワンウエクラッチを介して連結している
ものと、タイヤ部にモータを設けた場合でも減速機構を
設けている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した駆動輪とモー
タ間との駆動力伝達をギアで減速しながら行うギア変速
方式のものは、ギア連結のために効率が低いものとなっ
ている。また、モータは設置スペースの関係でそのサイ
ズが限定されているため、効率の良いモータが適用でき
ないものとなっている。このため、モータ効率にギア効
率を乗じたものが自転車の総合効率となることから、５
０％以下となっているのが現状である。効率が５０％以
下の場合には、原理的に回生制御をすることができない
ので、バッテリーの消費量が多くなり、一回の充電時に
おける走行距離が短く、バッテリー寿命が短くなる等の
問題を有している。バッテリー電源がなくなり、モータ
電源がオフされた状態では人力のみの走行となるが、そ
の際、ギアの機械的損失、モータの機械的損失が大きい
ことにより必要とする人力駆動力が大きくなって、自転
車走行にいわゆる重い感じが拭いきれないものとなって
いる。

【０００４】このような問題は、駆動輪の軸部分に永久
磁石を使用したアウターロータモータを配設したダイレ
クトドライブ方式を採用することによって解決できる。
しかし、ダイレクトドライブ方式の場合においても、設
置スペースの制約によりモータの小形化が要求され、そ
の要求に対応するためには高価な円弧状に形成された高
性能希土類磁石を使用する必要がある。また、アウター
ロータのために磁石装着の作業性が悪く、生産性の低
下、品質確保が困難となる問題があり、コスト高となる
新たな問題が発生している。更に、モータ電源オフの状
態では、いわゆるコギングトルクのために自転車走行に
重い感じと違和感が生じている。

【０００５】本発明の目的は、これらの問題を解決した
自転車用モータを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の第１は、バッテ
リーを電源とする駆動モータを搭載し、このモータとバ
ッテリー間に力行，回生両方向への電力切換を可能にし
た電力変換装置を備えた自転車において、前記駆動モー
タを永久磁石を有するアウターロータの同期モータと
し、このモータの回転子ヨークに磁石装着用の溝を形成
し、この溝内に断面長方形状に形成された永久磁石を装
着したことを特徴としたものである。

【０００７】本発明の第２は、前記装着された永久磁石
の前後位置の回転子ヨークにそれぞれ溝を設け、各溝内
に補助磁石を装着したことを特徴としたものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施形態を示す
駆動部の断面図を示したもので、自転車の後輪に配設さ
れる。１は車軸、２は車軸に嵌合されたベアリングで、
その外側にはラチェット３を介して一体的にスプロケッ
ト４が回動自在に取り付けられている。このスプロケッ
ト４には、図示省略されているが、ペダルに連設された
チェンが張られている。５は継ぎ手で、円盤状で且つ中
空部を有するように形成され、その一部はラチェット３
と連結されており、また、外側には車輪のスポークが取
り付けられるスポーク孔６が穿設されている。継ぎ手５
の中空部は密封されるように構成され、その部内には車
軸１に固着された支柱板７が延伸して配設されている。
支柱板７の任意部には鍔部８が形成され、この鍔部８と
継ぎ手５との間にはベアリング９が嵌挿されている。

【０００９】また、支柱板７の先端には、円周方向に沿
って固定子鉄心１０が配設され、この固定子鉄心１０に
は固定子巻線１１が巻装されている。固定子鉄心１０と
対向した継ぎ手５の内面にはギャップＧを介して永久磁
石１２が円周に沿ってＮ，Ｓ極交互に配設されて回転子
となっている。１３は継ぎ手５に形成されたヨークであ
る。これら１０〜１３によってアウタロータータイプの
永久磁石式の同期モータが構成されており、このモータ
の回転子とタイヤ部とをスポークで張設結合することに
よって、減速機構を設けることなく効率よくタイヤを駆
動することができる。

【００１０】１４はプリント板で、このプリント板１４
には図示省略されている電力変換部の素子やその素子を
制御するための制御部の回路部品が実装されていて支柱
板７にボルト等によって固定されている。１５は撓み継
ぎ手で、固定側と回転側間に配設されている。

【００１１】図２はモータの部分拡大図を示したもの
で、ヨーク１３には予め溝１６が設けられ、その溝１６
に永久磁石１２が装着される。永久磁石１２は断面が長
方形に形成されている。断面長方形に形成することによ
って、ギャップＧ面の磁束分布は完全なる正弦波分布は
得られないが、電機子が内側で円弧状を有しているアウ
ターロータ形状の特殊性を利用して、ギャップ長と磁石
厚さ、幅を適切に選ぶことにより磁石面が平面でも特性
的にはほとんど遜色のない正弦波状に近い磁束分布のも
のが得られる。したがって、長方形状の磁石１２と溝１
６の深さを適宜組み合わせることによって、コストの安
い作業性の容易な長方形状磁石を使うことで製品の量産
化が実現できる。特にアウターロータの場合には、ヨー
クの内径に磁石を配置するために後着磁が難しく、どう
しても着磁した磁石の装着作業となる。この装着作業は
接着剤を使うため困難を極め、磁石の位置ずれが起きや
すく品質確保も困難であった。なお、モータは最もコギ
ングトルクの少ない２０極１８スロット構成となってい
る。

【００１２】図６，７はコギングトルクの発生メカニズ
ムを説明すためのもので、図７は従来のモータを示す図
である。磁石２１の図の上部側は、円弧状に形成される
ヨーク内面に密着させるために円弧状に形成され、ま
た、図の下部側はギャップの磁束密度を正弦波状にする
ために円弧状に形成されている。コギングトルクは電機
子スロット開口部２３と磁石端部が重なった位置になっ
たとき駆動方向と反対の方向にトルクが発生することに
よって起こる。磁石２０より発生する磁束は、電機子ス
ロット端に向かうＡとヨーク２１に漏れる磁束Ｂとがあ
り、磁束Ａを小さくすればコギングは軽減できる。磁束
ＡとＢの大きさは磁石端とスロット端間の距離と、磁石
端とヨーク間距離の長さに反比例する。図７で示す従来
のものはＡの方が大きくなっており、コギングトルクの
発生が大となっている。

【００１３】図６で示す本発明のものは、磁石を装着す
るためにヨーク１３に溝１６を設け、その溝内に磁石を
装着したことによりヨーク１３の位置が高くなって磁束
Ｂの方が大きくなり、相対的に磁束Ａを軽減している。
したがって、コギングトルクも軽減して人の感覚では感
じ得ない程度にまで軽減される。

【００１４】図３，４，５は、磁石１２の回転方向の前
後に補助磁石１７，１８を設けて磁束分布を改善した方
法を示したものである。補助磁石１７，１８は、それぞ
れヨーク１３に設けられた溝にそれぞれ装着されるもの
で、装着角度を任意にすることにより所望の磁束波形と
するものである。

【００１５】以上のように構成された駆動部は、電力変
換部を介してバッテリーに接続されるが、電力変換部は
力行，回生両方向への電力の授受が可能となるよう構成
されているので、力行時にはペダルを踏み込むことによ
りスプロケット４、ラチェット３および継ぎ手５に駆動
力が伝達され、それらは各ベアリング２、９によって支
承されながら回転する。この回転によって継ぎ手５（ヨ
ーク１３）に装着された永久磁石１２も回転し、回転す
る永久磁石１２と固定子巻線１１との間で発生する吸引
力と反発力を利用して回転子位置によって固定子巻線１
１に流れる電流方向を切り替えることにより回転を継続
させ、所定のアシスト率で自転車は走行する。また、長
い下り坂等では回生状態が発生し、電力は電力変換部を
介してバッテリーに供給し、このバッテリーを充電す
る。

【００１６】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、自転車
の駆動モータをアウターロータータイプの永久磁石式同
期モータとし、そのモータの磁石を長方形状にしてヨー
クに設けられた溝に装着するように構成したものである
から、コストの安い磁石の使用が可能となり、しかも、
作業性がよくなって量産が実現でき、動力アップの目的
でモータ径を大きくした場合でも、磁石が円弧状でない
ので同一磁石がそのまま使用できるものである。また、
コギングトルクが軽減され、モータ電源オフの場合でも
自転車走行時には重さや違和感は生じないものである。
更には、永久磁石を使用することによって、励磁成分電
流を永久磁石で置換しているのでモータ電流はトルク成
分電流のみとなって高効率で運転ができる。また、下り
坂などにより走行速度が設定された速度以上となったと
きやブレーキ操作時に回生制動をかけることができ、走
行中に自然とバッテリーが充電されるので、バッテリー
の充電間隔を長くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す駆動部の構成図。

【図２】本発明の実施形態を示すモータの部分拡大図。

【図３】本発明の他の実施形態を示すモータの部分拡大
図。

【図４】本発明の他の実施形態を示すモータの部分拡大
図。

【図５】本発明の他の実施形態を示すモータの部分拡大
図。

【図６】コギングトルクの説明図（本発明）

【図７】コギングトルクの説明図（従来）。

【符号の説明】

１…車軸 ２，９…ベアリング ３…ラチェット ４…スプロケット ５…継ぎ手 ６…スポーク孔 ７…支柱板 ８…鍔部 １０…固定子鉄心 １１…固定子巻線 １２…永久磁石 １３…ヨーク １６…溝 １７，１８…補助磁石

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 5H115 PA11 PG04 PG10 PI16 PI29 PO02 PO06 PO17 PU10 PV09 QE06 QE10 QI04 UI32 UI40 5H621 AA02 GA04 GB10 HH05 JK02 JK03 JK08 JK15 5H622 AA02 AA03 CA02 CA05 CA10 CB02 CB03 PP05 PP11 PP17 PP19 QB04

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バッテリーを電源とする駆動モータを搭
   載し、このモータとバッテリー間に力行，回生両方向へ
   の電力切換を可能にした電力変換装置を備えた自転車に
   おいて、前記駆動モータを永久磁石を有するアウターロ
   ータの同期モータとし、このモータの回転子ヨークに磁
   石装着用の溝を形成し、この溝内に断面長方形状に形成
   された永久磁石を装着したことを特徴とした電動アシス
   ト自転車用モータ。
2. 【請求項２】 前記装着された永久磁石の前後位置の回
   転子ヨークにそれぞれ溝を設け、各溝内に補助磁石を装
   着したことを特徴とした請求項１記載の電動アシスト自
   転車用モータ。