JP2002327765A - 転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents

転がり軸受ユニットの製造方法

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JP2002327765A
JP2002327765A JP2001131468A JP2001131468A JP2002327765A JP 2002327765 A JP2002327765 A JP 2002327765A JP 2001131468 A JP2001131468 A JP 2001131468A JP 2001131468 A JP2001131468 A JP 2001131468A JP 2002327765 A JP2002327765 A JP 2002327765A
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bearing unit
radial
resonance frequency
ball bearings
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JP2001131468A
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Hiromitsu Muraki
宏光 村木
Norihiro Aoki
則広 青木
Norikazu Kitagawa
乃一 北川
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量産した場合でも、ラジアル剛性のばらつき
が生じにくい転がり軸受ユニット4aを、低コストで安
定して提供する。 【解決手段】 上記転がり軸受ユニット4aを構成する
玉軸受7、7を、予めラジアル隙間の大きさ毎に2以上
の区分に分ける。そして、同一区分内から選び出した1
対の玉軸受7、7を、内筒5と外筒6との間に、上記各
区分毎に異なる所定のアキシアル共振周波数(アキシア
ル剛性)で固定する。この結果、加工誤差等に基づく上
記各玉軸受7、7のラジアル隙間のばらつきに拘わら
ず、上記転がり軸受ユニット4aのラジアル剛性を所望
の値に規制でき、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばハードデ
ィスクドライブ装置(HDD)、フレキシブルディスク
ドライブ装置(FDD)等の磁気ディスクドライブ装置
に組み込む転がり軸受ユニットの製造方法の改良に関
し、この転がり軸受ユニットのラジアル剛性を所望の値
に規制する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等の記憶装置として使用す
るHDDは、例えば特開平7−111053号公報に記
載されている様に、図6に示す様な構造を有する。HD
Dの使用時にハードディスク1は、ダイレクトドライブ
型の電動モータにより高速で回転する。又、先端部にヘ
ッド2を設けたスイングアーム3の基端部は、例えば図
7に示す様な転がり軸受ユニット4により、上記ハード
ディスク1の回転軸と平行な支持軸に対し、揺動変位自
在に支持している。
【0003】この図7に示す転がり軸受ユニット4は、
内側部材である円筒状の内筒5と、この内筒5の周囲に
配置された、外側部材である円筒状の外筒6と、これら
内筒5と外筒6とを相対回転自在に支持する1対の玉軸
受7、7とを備える。このうちの玉軸受7、7はそれぞ
れ、外周面に深溝型若しくはアンギュラ型の内輪軌道8
を有する内輪9と、内周面に深溝型若しくはアンギュラ
型の外輪軌道10を有する外輪11と、上記内輪軌道8
と外輪軌道10との間に転動自在に設けた、それぞれが
転動体である複数個の玉12、12とから成る。これら
各玉12、12は、保持器(図示省略)により転動自在
に保持している。又、図示を省略するが必要に応じて、
上記外輪11の両端部内周面に係止溝を、それぞれ全周
に亙り形成すると共に、これら各係止溝にシールド板の
外周縁を係止して、上記複数個の玉12、12を設置し
た空間内のグリースが漏洩するのを防止する。
【0004】上述の様な1対の玉軸受7、7は、互いの
外輪11、11同士の間に間座13を挟持した状態で、
これら各外輪11、11を上記外筒6の内周面で軸方向
に離隔した2個所位置に、接着により内嵌固定してい
る。又、上記各内輪9、9は、図8に示す様に、鉛直方
向上側の一方の内輪9に重錘(デッドウェイト)14を
載置した状態で、即ち、互いに近付く方向のアキシアル
荷重を加えた状態で、上記内筒5の外周面で軸方向に離
隔した2個所位置に、接着により外嵌固定している。こ
の為、上記各玉12、12には、互いに逆方向の接触角
で(外向き或は背面組み合わせ型の)予圧が付与されて
いる。尚、この様に各玉軸受7、7に予圧を付与する理
由は、これら各玉軸受7、7の剛性を確保し、回転精度
を向上させる為である。
【0005】又、上記予圧を適正な値に規制する転がり
軸受ユニットの製造方法として、上記重錘14、或は、
ばね等により所定のアキシアル荷重を上記各内輪9、9
に加える方法の他、本発明の対象となる転がり軸受ユニ
ットの製造方法である、図1に示す様な方法も考えられ
ている。この転がり軸受ユニットの製造方法は、転がり
軸受ユニット4aを構成する各玉軸受7、7を内筒5と
外筒6との間に、この転がり軸受ユニット4aのアキシ
アル共振周波数を測定しつつ圧入する。そして、このア
キシアル共振周波数が所定の値になった状態で、上記各
玉軸受7、7を上記内筒5と外筒6との間に固定する。
【0006】即ち、上記各玉軸受7、7の内輪9、9を
微動送り装置15により互いに近付く方向に押圧しつ
つ、この微動送り装置15の下面とロードセルを備えた
ステージ16の上面との間に設けた加振装置17、17
により、上記各内輪9、9及び内筒5に振動を加える。
又、これと同時に、上記外筒6の側面に当接若しくは近
接対向させたセンサ18を通じて、上記転がり軸受ユニ
ット4aのアキシアル共振周波数を測定する。そして、
このアキシアル共振周波数が所定の値になった状態で、
上記各内輪9、9を押圧するのをやめ、上記玉軸受7、
7の圧入を終了する。この様にアキシアル共振周波数を
所定の値に規制する方法の場合、このアキシアル共振周
波数とアキシアル剛性とが対応する為、このアキシアル
剛性を所望通りに確保する事ができる。又、上記各玉軸
受7、7と上記内筒5及び外筒6とを締り嵌めで固定し
ている為、組立作業の簡素化並びに容易化も図れる。
又、図示の例の場合は、前述の図7に示す様な間座13
に代えて、上記外筒6の中間部内周面に径方向内方に突
出した凸部19を、円周方向に全周に亙り設けている。
【0007】上述の様な転がり軸受ユニット4、4aに
よりスイングアーム3(図6)の基端部を、前記支持軸
に対して揺動自在に支持するには、この支持軸に上記内
筒5を外嵌固定すると共に、上記外筒6に上記スイング
アーム3の基端部を構成するEブロック等の部材を外嵌
固定する。そして、このEブロック等の部材の一部分
に、上記スイングアーム3を駆動する(揺動させる)為
の、ボイスコイルモータ(VCM)を取り付ける。この
状態で、上記スイングアーム3の先端部に支持した前記
ヘッド2(図6)が、このスイングアーム3の揺動に伴
って、前記ハードディスク1(図6)の表面に近接した
状態のまま、この表面を倣う様に移動しつつ、信号の読
み取り並びに書き込みを行なう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、HDD等の記憶
装置の高密度化が進み、ハードディスク1やフレキシブ
ルディスクに信号を記録するトラックの幅が益々狭くな
っている。又、磁気記録の読み取り並びに書き込みの高
速化も図られている。そして、この様に極端に幅が狭く
なっているトラックを、ヘッド2により忠実に、しかも
高速でトレースする必要上、上記スイングアーム3の揺
動変位に伴う位置決め精度並びに揺動速度の向上が求め
られている。そして、この様な要求に応じるべく、上記
転がり軸受ユニット4、4aとして剛性の高いもの、特
にスイングアームの揺動方向を考慮すると、ラジアル方
向の剛性の高いものが求められている。ところが、前述
の図7〜8及び図1に示す様な従来の転がり軸受ユニッ
ト4、4aの場合には、この様な要求に応える事が難し
い。
【0009】即ち、この従来の転がり軸受ユニット4、
4aの場合は、この転がり軸受ユニット4、4aを構成
する1対の玉軸受7、7に付与される予圧に、ばらつき
が生じる可能性がある。この為、上記転がり軸受ユニッ
ト4、4aを量産した場合に、上記与圧のばらつきに基
づいて、各個体毎に、ラジアル剛性が大きかったり小さ
かったりする可能性がある。即ち、前述の図8に示す様
な重錘14等により、上記各玉軸受7、7に常に所定の
(一定の)アキシアル荷重を加える場合は、得られる予
圧が、内輪軌道8及び外輪軌道10や各玉12、12の
加工誤差の影響を受け易い。より具体的には、これら内
輪軌道8及び外輪軌道10や各玉12、12の加工誤差
に基づいて、これら各軌道8、10の曲率やラジアル隙
間にばらつきが生じる。そして、この様なばらつきを考
慮せず、上述の様に常に一定のアキシアル荷重を加えて
予圧付与を行なうと、この予圧が適正な値から外れてし
まう可能性が生じる。
【0010】しかも、上述の様な所定のアキシアル荷重
を加えつつ接着剤で各玉軸受7、7を固定する転がり軸
受ユニット4の場合、これら各転がり軸受7、7に付与
された与圧を測定する事が面倒になる。即ち、これら各
転がり軸受7、7に適正な与圧が付与されているか否か
を管理すべく、上記転がり軸受ユニット4のアキシアル
共振周波数を、この転がり軸受ユニット4の組立完了後
に、自由状態で衝撃を加える事(インパクト加振)によ
り測定していた。この様に、測定作業と組立作業とを別
々に行なっている為、上記転がり軸受ユニット4の製造
工程が煩雑になり、製造コストが嵩む原因となってい
た。
【0011】一方、前述の図1に示したアキシアル共振
周波数を測定しつつ転がり軸受ユニット4aを組み立て
る場合は、アキシアル共振周波数の測定作業と組立作業
とを同時に行なう分、製造コストの低廉化を図れる。と
ころが、やはり上述の様な加工誤差に基づく与圧のばら
つきは避けられず、各個体毎のラジアル剛性が大きかっ
たり、或いは小さかったりと、ばらつきが生じる可能性
がある。この点を明らかにする為に本発明者は、ラジア
ル隙間の大きい1対の玉軸受を組み込んだ転がり軸受ユ
ニットと、同じく隙間の小さい1対の玉軸受を組み込ん
だ転がり軸受ユニットとの間での、与圧とアキシアル剛
性及びラジアル剛性との関係を調べた。この結果に就い
て、図2を使用して説明する。
【0012】この図2中、実線はラジアル隙間の小さ
い玉軸受を組み込んだ転がり軸受ユニットのアキシアル
剛性を、破線は同じくラジアル剛性を、それぞれ示し
ている。又、一点鎖線は、ラジアル隙間の大きい玉軸
受を組み込んだ転がり軸受ユニットのアキシアル剛性
を、二点鎖線は同じくラジアル剛性を、それぞれ示し
ている。そして、この図2から明らかな様に、アキシア
ル剛性の値、即ち、このアキシアル剛性に対応するアキ
シアル共振周波数の値が一定の場合、上記ラジアル隙間
の大きさによって上記ラジアル剛性が大きく異なる可能
性がある。
【0013】即ち、例えばアキシアル剛性Jに対応する
アキシアル共振周波数で、上記ラジアル隙間の小さい1
対の玉軸受、及び、同じく隙間の大きい1対の玉軸受を
それぞれ組み込むと、上記隙間の小さい転がり軸受に付
与される与圧は、実線よりイとなり、上記隙間の大き
い転がり軸受に付与される与圧は、一点鎖線よりロと
なる。そして、これら各与圧イ、ロに対応する上記各転
がり軸受ユニットのラジアル剛性をそれぞれ求めると、
上記隙間の大きい玉軸受を組み込んだ転がり軸受ユニッ
トのラジアル剛性は、二点鎖線よりハとなり、上記隙
間の小さい玉軸受を組み込んだ転がり軸受ユニットのラ
ジアル剛性は、破線よりニとなる。従って、上記アキ
シアル剛性(アキシアル共振周波数)が一定にも拘わら
ず、上記隙間の大きい場合はラジアル剛性が小さくな
り、逆に隙間が小さい場合はラジアル剛性が大きくな
り、上記ハとニとの差α分だけラジアル剛性が異なる可
能性がある。言い換えれば、アキシアル剛性(アキシア
ル共振周波数)の値をJにして、転がり軸受ユニットを
量産した場合は、加工誤差等による上記各玉軸受のラジ
アル隙間の大きさに基づいて、この転がり軸受ユニット
のラジアル剛性の値が上記ハとニとの間でばらつく事に
なる。
【0014】尚、この様なばらつきを低減すべく、上記
内輪軌道8及び外輪軌道10や各玉12、12の加工精
度を高めて、上記ラジアル隙間を可及的に小さくする事
が考えられるが、加工時間や加工コスト等が嵩む等、好
ましくない。本発明は、この様な事情に鑑みて、ラジア
ル剛性を所望の値に規制でき、量産した場合でも、ラジ
アル剛性のばらつきが生じにくい転がり軸受ユニット
を、低コストで安定して提供すべく発明したものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法により
製造する転がり軸受ユニットは、前述した従来から知ら
れている転がり軸受ユニットと同様に、内側部材と、こ
の内側部材の周囲に配置された外側部材と、これら外側
部材と内側部材とを相対回転自在に組み合わせるべく、
それぞれの外輪を上記外側部材の内周面で軸方向に離隔
した2個所位置に、それぞれの内輪を上記内側部材の外
周面で軸方向に離隔した2個所位置に、それぞれ固定し
た1対の玉軸受とを備える。そして、本発明の転がり軸
受ユニットの製造方法は、上述の様な転がり軸受ユニッ
トを造る為に、この転がり軸受ユニットのアキシアル共
振周波数を測定しつつ、上記各玉軸受を上記内側部材と
外側部材との間に圧入し、アキシアル共振周波数が所定
の値になった状態で上記各玉軸受を上記内側部材と外側
部材との間に固定する。
【0016】特に、本発明の転がり軸受ユニットの製造
方法に於いては、ラジアル隙間の大きさ毎に2以上の区
分に予め分けた複数個の玉軸受のうちの、同一区分内か
ら選び出した1対の玉軸受を、上記内側部材と外側部材
との間に、上記各区分毎に異なる所定のアキシアル共振
周波数を基準として固定する。又、上記ラジアル隙間の
大きい区分の玉軸受を固定する際の所定のアキシアル共
振周波数は、同じく小さい区分の玉軸受を固定する際の
所定のアキシアル共振周波数に比べて高くする。
【0017】尚、上記ラジアル隙間は、外輪軌道の内径
から内輪軌道の外径と転動体の直径の2倍とを引いた値
である。但し、このラジアル隙間が分かれば、転がり軸
受の各部の寸法から幾何学的に、接触角も求められる。
従って、本発明を実施するに関しては、接触角の大きさ
毎に上記各玉軸受を2以上の区分に分ける事は、上記ラ
ジアル隙間の大きさ毎に分ける事と同じである。要は、
上記ラジアル隙間と接触角とのうちで、測定し易く且つ
誤差の生じにくいものを使用する事が好ましく、この点
から上記ラジアル隙間を使用する事がより好ましい。
尚、本明細書では、特に明記しない限り、上記ラジアル
隙間に接触角の意味も含むものとする。更に、玉軸受が
単列深溝型の玉軸受であって、外輪軌道及び内輪軌道の
断面形状の曲率半径のばらつきを無視できるのであれ
ば、アキシアル隙間や角隙間に関しても、同様に取り扱
える。
【0018】
【作用】上述の様に構成する本発明の転がり軸受ユニッ
トの製造方法により製造した転がり軸受ユニットは、ラ
ジアル隙間の大きさが同じ区分の玉軸受を1組として上
記転がり軸受ユニットに組み込み、しかも、これら各区
分毎に異なる所定のアキシアル共振周波数で上記各玉軸
受を内側部材及び外側部材の間に固定する為、これら各
玉軸受に適正な与圧を付与できる。この為、転がり軸受
ユニットのラジアル剛性を適正な値に規制できる。この
結果、量産した場合でも、ラジアル剛性のばらつきを生
じにくく、回転精度を十分に確保できる転がり軸受ユニ
ットを安定して提供できる。又、内輪軌道及び外輪軌道
や各玉の加工精度を高度に維持する必要もない為、上記
転がり軸受ユニットの製造コストが嵩む事も防止でき
る。
【0019】
【実施例】先ず、本発明者が行なった試算に就いて説明
する。この試算は、実際の玉軸受の公差を考慮した玉軸
受、即ち、ラジアル隙間が16μmで公差範囲が±3μ
mの玉軸受(ラジアル隙間が13〜19μm、接触角に
換算すると15〜20°の玉軸受)で行ない、この玉軸
受のラジアル隙間と転がり軸受ユニットのアキシアル剛
性及びラジアル剛性との関係を調べた。この結果を、図
3に示す。尚、以下の説明で各部材に付した符号は、図
1に示した転がり軸受ユニット4aに基づく。
【0020】この図3中、実線は、アキシアル剛性
(アキシアル共振周波数)を一定とした場合の、玉軸受
7、7のラジアル隙間と転がり軸受ユニット4aのラジ
アル剛性との関係を表わしている。即ち、上記ラジアル
隙間の相違に関係なく、破線に示す様にアキシアル剛
性を9.8N/μm(1.0kgf/μm)とした場合、言
い換えれば、このアキシアル剛性に対応するアキシアル
共振周波数で常に上記各玉軸受7、7を内筒5と外筒6
との間に固定した場合の、上記ラジアル剛性を表わして
いる。これら実線及び破線から分かる様に、ラジア
ル隙間が13〜19μmの玉軸受7、7を使用し、且
つ、上記アキシアル剛性を9.8N/μmに規制して、
上記転がり軸受ユニット4aを量産した場合、この転が
り軸受ユニット4aのラジアル剛性は図の矢印αで示す
範囲にばらつく事になる。そして、このラジアル剛性の
ばらつきの範囲、即ち、ラジアル剛性の最大値から最小
値を引いた値の中央値に対する比率は、40%ととな
る。
【0021】一方、鎖線は、ラジアル隙間の大きさ毎
に3区分(13〜15μm、15〜17μm、17〜1
9μm)に分けて、これら各区分毎にアキシアル剛性
(アキシアル共振周波数)を異ならせて転がり軸受ユニ
ット4aを組み立てた場合の、上記各玉軸受7、7のラ
ジアル隙間と上記転がり軸受ユニット4aのラジアル剛
性との関係を表わしている。即ち、実線で示す様に上
記アキシアル剛性を、上記ラジアル隙間が13〜15μ
mの場合に9.8N/μmよりも小さくし、同じく15
〜17μmの場合に9.8N/μmとし、同じく17〜
19μmの範囲で9.8N/μmよりも大きくした場合
の、上記ラジアル剛性を表わしている。これら鎖線及
び実線から分かる様に、ラジアル隙間が13〜19μ
の玉軸受7、7を使用し、且つ、上述の様にアキシアル
剛性(アキシアル共振周波数)をラジアル隙間の大きさ
毎に異ならせて、上記転がり軸受ユニット4aを量産し
た場合、この転がり軸受ユニット4aのラジアル剛性は
図の矢印βで示す範囲となる。そして、このラジアル剛
性のばらつきの範囲は22%となり、上述のアキシアル
剛性を一定にした場合に比べて凡そ半分にできる。
【0022】従って、ラジアル隙間の大きさ毎に2以上
の区分(上述の場合は3区分)に予め分けた複数個の玉
軸受7、7のうちの、同一区分内から選び出した1対の
玉軸受7、7を、上記内筒5と外筒6との間に、上記各
区分毎に異なる所定のアキシアル共振周波数(アキシア
ル剛性)で固定すれば、上述の様にラジアル剛性のばら
つきを抑える事ができる。即ち、ラジアル隙間の大きさ
が同じ区分の玉軸受7、7を1組として上記転がり軸受
ユニット4aに組み込み、しかも、これら各区分毎に異
なる所定のアキシアル共振周波数で上記各玉軸受7、7
を上記内筒5及び外筒6の間に固定する為、これら各玉
軸受7、7に適正な与圧を付与できる。この為、上記転
がり軸受ユニット4aのラジアル剛性を適正な値に規制
できる。この結果、量産した場合でも、ラジアル剛性の
ばらつきを生じにくく、回転精度を十分に確保できる転
がり軸受ユニット4aを安定して提供できる。又、内輪
軌道8及び外輪軌道10や各玉12、12の加工精度を
高度に維持する必要もない為、上記転がり軸受ユニット
4aの製造コストが嵩む事も防止できる。尚、ラジアル
隙間の大きい区分の玉軸受7、7を固定する際のアキシ
アル共振周波数は、同じく小さい区分の玉軸受7、7を
固定する際のアキシアル共振周波数に比べて高くする。
【0023】次に、本発明を実施する場合に、予圧付与
時に測定するアキシアル共振周波数を各玉軸受7、7の
ラジアル隙間毎に変える事の効果を確認する為に本発明
者が行なった実験に就いて説明する。この実験は、上述
の試算を行なった玉軸受と同様の玉軸受、即ち、ラジア
ル隙間が16μmで公差範囲が±3μmの玉軸受(ラジ
アル隙間が13〜19μm、接触角に換算すると15〜
20°の玉軸受)を使用した。そして、このラジアル隙
間の大きさ毎、即ち、ラジアル隙間が13〜15μm、
15〜17μm、17〜19μm毎に、アキシアル共振
周波数が異なる転がり軸受ユニット、及び、ラジアル隙
間の大きさが何れの値でもアキシアル共振周波数が一定
の転がり軸受ユニットの、ラジアル共振周波数を測定し
た。この測定は、図4に示す測定装置で行なった。
【0024】この図4に示す測定装置は、転がり軸受ユ
ニット4aを固定するフレーム20と、このフレーム2
0を加振する加振器21と、高速フーリエ変換(FFT =
FastFourier Transform)を行なうFFT変換器23と
から成る。そして、上記フレーム20に上記転がり軸受
ユニット4aの内側部材である回転軸23の両端部をね
じ24、24で結合固定すると共に、外側部材であるハ
ウジング25及び上記フレーム20に加速度センサ2
6、26をそれぞれ取り付ける。そして、上記加振器2
1により上記転がり軸受ユニット4aを、この転がり軸
受ユニット4aのラジアル方向に加振する。この状態
で、上記フレーム20及びハウジング25に取り付けた
上記各加速度センサ26、26の信号及び上記加振器2
1の信号を、各ケーブル27、27を通じで上記FTT
変換器23に取り込む。そして、これら各信号から、上
記フレーム20の振動成分をキャンセル(相殺)すると
共に、上記転がり軸受ユニット4aのラジアル方向の振
動成分を取り出して、このラジアル振動のピークとなる
ラジアル共振周波数を測定する。この結果を図5に示
す。
【0025】この図5のうちの実線は、各玉軸受のラジ
アル隙間の大きさ毎にアキシアル共振周波数を異ならせ
て組み立てた転がり軸受ユニット4aのラジアル共振周
波数の範囲を示している。これに対して、図5の破線
は、各玉軸受のラジアル隙間の相違に拘らず、アキシア
ル共振周波数を一定のまま組み立てた転がり軸受ユニッ
ト4aのラジアル共振周波数の範囲を示している。この
図5から明らかな様に、ラジアル隙間の各区分毎にアキ
シアル共振周波数を異ならせて組み立てた転がり軸受ユ
ニット4aは、ラジアル隙間の相違に拘らず、アキシア
ル共振周波数を一定のまま組み立てた転がり軸受ユニッ
ト4aに比べて、ラジアル共振周波数のばらつく範囲を
小さくできる。即ち、アキシアル共振周波数を一定とし
たまま組み立てた転がり軸受ユニット4aのラジアル共
振周波数のばらつく範囲、即ち、ラジアル共振周波数の
最大値から最小値を引いた値αの中央値に対する比率
は、18%となる。これに対して、アキシアル共振周波
数をラジアル隙間の大きさ毎に異ならせて組み立てた転
がり軸受ユニット4aのラジアル共振周波数のばらつく
範囲、即ち、図6のβの中央値に対する比率は、10%
と小さくできる。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用する為、ラジアル剛性を所望の値に規制できて、量産
した場合でも、ラジアル剛性のばらつきの生じにくい転
がり軸受ユニットを、低コストで安定して提供できる。
この結果、スイングアームの位置決め精度の向上等、各
種機器の性能向上を図れ、しかも、このスイングアーム
を組み込むHDDのコスト低減等に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる転がり軸受ユニットの製造
行程を示す断面図。
【図2】玉軸受に付与された与圧と転がり軸受ユニット
のラジアル剛性及びアキシアル剛性とラジアル隙間との
関係を示すグラフ。
【図3】本発明の効果を確認する為に行なった試算の結
果を示すグラフ。
【図4】本発明の効果を確認する為に使用した測定装置
を示す図。
【図5】この測定装置による測定結果を示すグラフ。
【図6】本発明の対象となる転がり軸受ユニットにより
支承するスイングアームを組み込んだHDDの1例を、
カバーを外した状態で示す斜視図。
【図7】本発明の対象となる転がり軸受ユニットの1例
を示す断面図。
【図8】従来の製造方法の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 ハードディスク 2 ヘッド 3 スイングアーム 4 転がり軸受ユニット 5 内筒 6 外筒 7 玉軸受 8 内輪軌道 9 内輪 10 外輪軌道 11 外輪 12 玉 13 間座 14 重錘 15 微動送り装置 16 ステージ 17 加振装置 18 センサ 19 凸部 20 フレーム 21 加振器 22 FFT変換器 23 回転軸 24 ねじ 25 ハウジング 26 加速度センサ 27 ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 乃一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3C030 CA12 3J017 AA01 DA01 DB07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側部材と、この内側部材の周囲に配置
    された外側部材と、これら外側部材と内側部材とを相対
    回転自在に組み合わせるべく、それぞれの外輪を上記外
    側部材の内周面で軸方向に離隔した2個所位置に、それ
    ぞれの内輪を上記内側部材の外周面で軸方向に離隔した
    2個所位置に、それぞれ固定した1対の玉軸受とを備え
    た転がり軸受ユニットを造る為に、この転がり軸受ユニ
    ットのアキシアル共振周波数を測定しつつ、上記各玉軸
    受を上記内側部材と外側部材との間に圧入し、アキシア
    ル共振周波数が所定の値になった状態で上記各玉軸受を
    上記内側部材と外側部材との間に固定する転がり軸受ユ
    ニットの製造方法に於いて、ラジアル隙間の大きさ毎に
    2以上の区分に予め分けた複数個の玉軸受のうちの、同
    一区分内から選び出した1対の玉軸受を、上記内側部材
    と外側部材との間に、上記各区分毎に異なる所定のアキ
    シアル共振周波数を基準として固定する転がり軸受ユニ
    ットの製造方法。
  2. 【請求項2】 ラジアル隙間の大きい区分の玉軸受を固
    定する際のアキシアル共振周波数を、同じく小さい区分
    の玉軸受を固定する際のアキシアル共振周波数に比べて
    高くした、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8947832B2 (en) 2009-12-24 2015-02-03 Minebea Co., Ltd. Bearing device and swing arm assembly for magnetic disk
CN111255803A (zh) * 2018-11-30 2020-06-09 美蓓亚三美株式会社 枢轴组件轴承装置及枢轴组件轴承装置的制造方法

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