JP2002327299A - 電解めっき装置用めっき液保持部材 - Google Patents

電解めっき装置用めっき液保持部材

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JP2002327299A JP2001131323A JP2001131323A JP2002327299A JP 2002327299 A JP2002327299 A JP 2002327299A JP 2001131323 A JP2001131323 A JP 2001131323A JP 2001131323 A JP2001131323 A JP 2001131323A JP 2002327299 A JP2002327299 A JP 2002327299A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な膜厚のめっき層を確実に形成すること
ができる電解めっき装置用めっき液保持部材を提供する
こと。 【解決手段】 この電解めっき装置1は、被めっき物5
に接触する陰極2、めっき液15が通過可能な構造を有
する陽極14、めっき液保持部材21を備える。めっき
液保持部材21は多孔質炭化珪素板P1からなり、その
表層部分における炭化珪素粒子23は炭化珪素よりも水
に対する濡れ性のよい物質により被覆されている。めっ
き液15は陽極14及びめっき液保持部材21を介して
被めっき物5に供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解めっき装置用
めっき液保持部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェハ上に配線を形成する手法、
とりわけ近年においては半導体ウェハ上に銅配線を形成
する手法として、電解めっき装置を用いた電解銅めっき
に注目が集められている。
【0003】従来における一般的な電解めっき装置で
は、めっき槽内にめっき液を満たした状態でめっき液に
半導体ウェハを浸漬するとともに、半導体ウェハ側に陰
極を接続して電気を流すことにより、成膜を行うように
なっている。
【0004】しかしながら、このような従来装置を用い
てファインかつ均一な銅配線を形成するためには、例え
ば、めっき液を流動させたり、陰極と陽極との距離をあ
る程度確保しておく必要があった。このため、装置が巨
大化する傾向にあった。また、この従来装置の場合、1
回の成膜に必要なめっき液の量が多く、半導体の低コス
ト化を達成するうえで不利であった。
【0005】そこで最近では、上記の問題を解消しうる
次世代の電解めっき装置が提案されるに至っている。こ
の新しい電解めっき装置は、めっき液供給部、陰極、陽
極、めっき液保持部材等を備えている。めっき供給部の
下端部には陽極が設けられている。陽極にはめっき液を
通過させるためのスリットが形成されている。陽極の下
面側には、多孔質アルミナからなるめっき液保持部材が
設けられている。一方、陰極には半導体ウェハが接触し
た状態で支持される。半導体ウェハの上面と、めっき液
保持部材の下面とは、僅かな間隙を隔てて対向した状態
となる。
【0006】従って、めっき液供給部に供給されてきた
めっき液は、陽極のスリットを通過してめっき液保持部
材に到った後、めっき液保持部材の気孔を介して半導体
ウェハ側に供給される。この状態で電極間に通電を行う
ことにより半導体ウェハ上に電解めっきが施され、静止
浴であってもファインな銅配線が形成されるようになっ
ている。
【0007】そして、本願発明者は、銅めっき液に侵さ
れやすいという多孔質アルミナの欠点を解消すべく、多
孔質炭化珪素を用いためっき液保持部材を既に提案して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多孔質
炭化珪素製のめっき液保持部材の場合、何らかの原因に
よりめっき時に部材表面に気泡が発生し、それによって
めっき液の通り道である気孔が部分的に遮断されること
を確認した。このため、めっき液の通りが悪い箇所がで
き、めっき液保持部材の下面から滲出するめっき液の量
がばらつくおそれがあった。ゆえに、均一な膜厚のめっ
き層を確実に形成するためには、その原因を究明すると
ともに、所定の対応策を講じることが必要であるとの結
論に達した。
【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、均一な膜厚のめっき層を確実に形
成することができる電解めっき装置用めっき液保持部材
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
願発明者が鋭意研究を行ったところ、極性の小さな分子
構造の炭化珪素自体は水に対する濡れ性があまり良くな
いことに着目し、それゆえ炭化珪素がめっき液を撥水し
て気泡の発生に至るということを知見した。従って本願
発明者は、炭化珪素において気泡が発生しやすい部分の
濡れ性を改善すれば好結果が得られるであろうとの仮説
のもとに、さらに鋭意研究を行って、最終的に下記の発
明を想到するに至ったのである。
【0011】即ち、請求項1に記載の発明では、表層部
分における炭化珪素粒子が炭化珪素よりも水に対する濡
れ性のよい物質により被覆されている多孔質炭化珪素板
からなることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保
持部材をその要旨とする。
【0012】請求項2に記載の発明では、表層部分にお
ける炭化珪素粒子が親水性の高い物質により被覆されて
いる多孔質炭化珪素板からなることを特徴とする電解め
っき装置用めっき液保持部材をその要旨とする。
【0013】請求項3に記載の発明では、表層部分にお
ける炭化珪素粒子の表面が酸化している多孔質炭化珪素
板からなることを特徴とする電解めっき装置用めっき液
保持部材をその要旨とする。
【0014】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1に記載の発明によると、めっき液保持部材
は多孔質炭化珪素板からなり、その多孔質炭化珪素板の
表層部分における炭化珪素粒子は、炭化珪素よりも水に
対する濡れ性のよい物質により被覆されている。このた
め、めっき液を撥水することがなく、部材表面に気泡を
発生させにくい。
【0015】請求項2に記載の発明によると、めっき液
保持部材は多孔質炭化珪素板からなり、その多孔質炭化
珪素板の表層部分における炭化珪素粒子は、親水性の高
い物質により被覆されている被覆されている。このた
め、水に対する濡れ性が改善される結果、めっき液を撥
水することがなく、部材表面に気泡を発生させにくい。
【0016】請求項3に記載の発明によると、めっき液
保持部材は多孔質炭化珪素板からなり、その多孔質炭化
珪素板の表層部分における炭化珪素粒子の表面は酸化し
て、酸化珪素(シリカ)からなる層となっている。酸化
層であるシリカは炭化珪素に比べて極性の大きな分子構
造を呈しているため、炭化珪素よりも親水性が高く水に
対する濡れ性もよい。このため、めっき液を撥水するこ
とがなく、部材表面に気泡を発生させにくい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態の電解銅めっき装置1を図1に基づき詳細に説明す
る。
【0018】この電解銅めっき装置1を構成する陰極2
は、上端側にいくほど拡径する円環状の部材であって、
その下端側にはフランジ3が形成されている。陰極2は
例えば導電性の金属材料を用いて形成されている。陰極
2の下端側開口部4の径は、被めっき物である半導体ウ
ェハ(例えばシリコンウェハ)5の径よりも若干小さめ
に設定されている。半導体ウェハ5は図示しないステー
ジにより下方側からフランジ3に対して押圧される。そ
の結果、半導体ウェハ5の上面側外周部がフランジ3の
下面側に密着し、この状態で半導体ウェハ5が保持され
るようになっている。このとき、陰極2はいわば有底状
となるため、半導体ウェハ5の上面側にできる領域には
電解銅めっき液15が溜まるようになっている。
【0019】一方、この電解銅めっき装置1を構成する
ホルダ12は、使用時において、陰極2の上方において
近接した状態で配置される。ホルダ12の下端側には開
口部13が設けられており、その開口部13付近には板
状の陽極14が取り付けられている。陽極14は例えば
導電性の金属材料を用いて円形状に形成されている。陽
極14の複数箇所には、銅めっき液15を上面側から下
面側に通過させるための構造としてスリット16が設け
られている。ホルダ12の上面には、めっき液供給管1
7及びめっき液回収管18がそれぞれ設けられている。
めっき液供給管17は、ホルダ12及び陽極14によっ
て区画される空間19と、図示しないめっき液タンクと
の間を連通させている。銅めっき液15が不足すると、
このめっき液供給管17を介して前記空間19内に銅め
っき液15が補充されるようになっている。めっき液回
収管18は、前記空間19内における銅めっき液15の
量が一定量を超えたときに、その余剰分を回収する役割
を果たしている。なお、回収された銅めっき液15は、
めっき液タンクに戻されて再利用されるようになってい
る。
【0020】ホルダ12の開口部13には、陽極14の
下面側に接するようにしてめっき液保持部材としてのめ
っき液保持プレート21が設けられている。めっき液保
持プレート21は、陽極14とほぼ同じ大きさかつほぼ
同じ形状(即ち円板状)となっている。めっき液保持プ
レート21は、外周部分から横方向に突出するフランジ
部21aを備えている。このフランジ部21aは、ホル
ダ12の開口部13に設けられた支持部13aによって
支持されている。なお、フランジ部21aの下面と支持
部13aの上面との間には、シール部材であるゴム製の
環状パッキング22が介在されている。
【0021】めっき液保持プレート21は、銅めっき液
15を自身の気孔内に保持することにより、ホルダ12
の移送時における下面側からの銅めっき液15の流出を
防止する役割も果たしている。なお、めっき液保持プレ
ート21の下面は、半導体ウェハ5の上面と僅かな間隙
を隔てた状態で対向配置されている。具体的にいうと、
本実施形態では前記間隙の大きさが1mm程度となるよ
うに設定されている。
【0022】次に、本実施形態において用いられるめっ
き液保持プレート21の材質等について詳細に説明す
る。本実施形態のめっき液保持プレート21は多孔質セ
ラミック板であり、具体的には多孔質炭化珪素板(多孔
質SiC板)P1が用いられている。多孔質炭化珪素を
選択した理由は、多孔質炭化珪素は多孔質アルミナに比
べて耐食性及び電気伝導性に優れ、めっき液保持プレー
ト21用材料として極めて好都合だからである。
【0023】めっき液保持プレート21の気孔率は20
%〜50%であることがよく、30%〜45%であるこ
とがなおよい。また、平均気孔径は10μm〜60μm
であることがよく、20μm〜50μmであることがな
およい。
【0024】気孔率が20%未満であると、圧力損失の
増大により銅めっき液15がスムーズに流れにくくなる
ことで、銅めっき液15の滲出しやすさが場所によって
バラついてしまう。即ち、めっき液保持プレート21の
下面側から供給される銅めっき液15の量が不均一にな
り、結果として銅めっき層の膜厚が不均一になるおそれ
がある。逆に気孔率が50%を超える場合には、圧力損
失の増大は避けられるものの、銅めっき液15を保持す
る性質が損なわれる。ゆえに、この場合においてもめっ
き層の膜厚が不均一になるおそれがある。
【0025】平均気孔径が10μm未満であると、圧力
損失の増大により銅めっき液15がスムーズに流れにく
くなることで、銅めっき液15の滲出しやすさが場所に
よってバラついてしまう。即ち、めっき液保持プレート
21の下面側から供給されるめっき液15の量が不均一
になり、結果として銅めっき層の膜厚が不均一になるお
それがある。逆に平均気孔径が60μmを超える場合に
は、圧力損失の増大は避けられるものの、銅めっき液1
5を保持する性質が損なわれる。ゆえに、この場合にお
いても銅めっき層の膜厚が不均一になるおそれがある。
【0026】めっき液保持プレート21の体積固有抵抗
は101Ωm〜105Ωmであることがよく、102Ωm
〜104Ωmであることがなおよい。体積固有抵抗が1
1Ωm未満のものを実現しようとすると、材料の選定
や焼成条件の設定等が難しくなって、めっき液保持プレ
ート21の製造コストが高騰するおそれがある。また、
そればかりでなくめっき液保持プレート21の多孔性が
損なわれ、めっき液保持性という基本性能が損なわれる
おそれもある。逆に105Ωmを超える場合には電気伝
導性が低くなりすぎてしまい、めっき液保持プレート2
1が実質的に陽極14として機能しなくなるおそれがあ
る。ゆえに、半導体ウェハ5の上面付近の銅めっき液1
5に、強くかつ安定した電界を与えることができなくな
るおそれがある。
【0027】なお、めっき液保持プレート21の密度は
1.6g/cm3〜2.5g/cm3、 曲げ強度は30
MPa〜150MPa、ヤング率は50GPa〜200
GPa、熱伝導率は50W/m・K〜150W/m・K
であることがよい。また、めっき液保持プレート21を
構成する多孔質炭化珪素としては、高純度多孔質炭化珪
素が用いられることがよい。具体的には、不純物である
重金属の濃度が0.5%以下の多孔質炭化珪素が用いら
れることがよい。
【0028】多孔質炭化珪素板P1の表層部分における
炭化珪素粒子23は、炭化珪素よりも水に対する濡れ性
のよい物質により被覆されている。本実施形態において
具体的には、多孔質炭化珪素板P1の表層部分における
炭化珪素粒子の表面が酸化され、そこに酸化珪素(シリ
カ:SiO2)からなる層(以下、シリカ層24と呼
ぶ。)が形成されている。シリカを選択した理由は、シ
リカは炭化珪素に比べて極性の大きな分子構造を呈して
いるため、炭化珪素よりも親水性が高く水に対する濡れ
性もよいからである。炭化珪素に比べて極性の大きな分
子構造を呈するシリカ以外の珪素系セラミック化合物も
使用できるが、アルミニウム等の金属不純物を極力含ま
ないものであることが望ましい。
【0029】シリカ層24の厚さは50nm〜200n
mであることがよい。シリカ層24が薄すぎると、親水
性が十分に高くならず、水に対する濡れ性を十分に改善
できないからである。逆に、シリカ層24を厚くしよう
とすると、酸化処理の条件設定が難しくなるばかりでな
く、炭化珪素本来の好適な物性(例えば導電性や強度)
が損なわれるおそれがある。
【0030】多孔質炭化珪素板P1においてシリカ層2
4が形成されている部分の表面からの深さd1は、10
0μm〜300μmであることがよい。また、シリカ層
24は表層部分のみに形成されていて、その内部領域に
ついては形成されていないことが望ましい。深さd1が
少なすぎると、水に対する濡れ性を十分に改善できない
おそれがある。逆に、深さd1を多くしようとすると、
酸化処理の条件設定が難しくなるばかりでなく、炭化珪
素本来の好適な物性が損なわれるおそれがある。
【0031】ここで、本実施形態のめっき液保持プレー
ト21を製造する方法について説明する。まず、原料で
ある炭化珪素粉末を1種または2種以上用意する。そし
て、炭化珪素粉末に溶剤やバインダ等を配合したうえ
で、これをよく混合する。次いで、この混合物を乾燥し
た後、その乾燥混合物を顆粒化する。そして、前記造粒
工程により得られた顆粒を材料として成形を行い、円板
状の成形体を作製する。この場合、成形時の密度分布が
±0.05g/cm3の範囲内に収まるように条件を設
定することがよい。本実施形態では、これを実現するた
めのプレス法として静水圧プレスを採用している。次
に、成形工程により得られた成形体を不活性雰囲気下に
て2000℃〜2300℃程度の温度で常圧焼成するこ
とにより、成形体を焼結させて焼結体(即ち多孔質炭化
珪素板P1)を得る。この場合、焼成時における成形体
の面内温度分布が±1℃以内に収まるように条件を設定
することがよい。最後に、多孔質炭化珪素板P1を酸化
させる処理を行い、表層部分の炭化珪素粒子23の表面
をシリカに変えることにより、めっき液保持プレート2
1を完成させる。
【0032】上記酸化処理としては、例えば多孔質炭化
珪素板P1を酸化性雰囲気下で加熱する等の乾式処理
や、酸化剤を用いた湿式処理等が挙げられる。乾式酸化
処理を行う場合、加熱温度は500℃以上、特には80
0℃〜1200℃程度に設定されることがよい。加熱温
度が低すぎると、炭化珪素の酸化反応が進まず、十分な
厚さのシリカ層24を形成できなくなるおそれがある。
逆に、加熱温度が高すぎると、エネルギーロスが多く高
コスト化につながるばかりでなく、過度の酸化反応によ
ってシリカ層24の形成が多孔質炭化珪素板P1の内部
にまで及ぶ結果、物性の低下につながってしまう。
【0033】乾式酸化処理を行う場合、加熱時間は0.
1時間以上、特には0.5時間〜5時間程度に設定され
ることがよい。加熱時間が短すぎると、十分な厚さのシ
リカ層24を形成できなくなるおそれがある。逆に、加
熱時間が長すぎると、シリカ層24の形成が多孔質炭化
珪素板P1の内部にまで及ぶ結果、物性の低下につなが
るおそれがある。
【0034】次に、上記のように構成されためっき液保
持プレート21を用いた電解銅めっき装置1の使用方法
について説明する。この電解銅めっき装置1の場合、め
っき液供給管17を経て供給されてきた銅めっき液15
が、前記空間19に一定量溜まるようになっている。当
該空間19に供給されてきた銅めっき液15は、陽極1
4のスリット16を通過してめっき液保持プレート21
に到る。そして、銅めっき液15はさらにめっき液保持
プレート21の気孔を介して半導体ウェハ5の上面側に
供給される。従って、この状態で陽極14及び陰極2間
に通電を行うことにより、静止浴のまま電解銅めっきが
施される。すると、半導体ウェハ5の上面側にあらかじ
め掘られた配線用溝を埋めるように銅めっき層が析出
し、結果として所望パターン形状の銅配線が形成される
ようになっている。
【0035】
【実施例】[実施例1の作製]実施例1の作製において
は、原料炭化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気
精錬社製、平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平
洋ランダム社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が
7:3となるようにして用いた。そして、これら2種の
炭化珪素粉末にさらに水、バインダであるアクリル系樹
脂を配合し、これをポットミルを用いてよく混合した。
前記混合工程により得られた均一な混合物を所定時間乾
燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適
量採取し、これをスプレードライヤにより顆粒化した。
【0036】そして、前記造粒工程により得られた顆粒
を材料として、100MPa〜130MPa程度の圧力
で静水圧プレスを行い、円板状の成形体を作製した。次
に、成形工程により得られた成形体をアルゴン雰囲気下
にて2100℃〜2200℃の温度で常圧焼成した。焼
成により得られた多孔質炭化珪素板P1を加熱炉内にセ
ットし、大気中にて乾式酸化処理としてのベーキングを
行った。ここでは加熱温度を1000℃に設定し、加熱
時間を3時間に設定した。その結果、表層部分における
炭化珪素粒子23がシリカ層24により被覆された多孔
質炭化珪素製の円板状めっき液保持プレート21を得
た。なお、シリカ層24の被覆厚は100nm〜150
nm、酸化された部分の深さd1は150μm〜200
μmであった。
【0037】また、このようにして得られた実施例1の
めっき液保持プレート21(具体的には表層部分を除く
領域)では、気孔率が約25%、平均気孔径が約15μ
m、体積固有抵抗が103Ωm、密度が2.4g/c
3、曲げ強度が130MPa、熱伝導率が140W/
m・K、重金属濃度が0.5%以下であった。 [実施例2の作製]実施例2の作製においては、原料炭
化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気精錬社製、
平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平洋ランダム
社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が9:1となる
ようにして用いた。そして、これら2種の炭化珪素粉末
にさらに水、バインダであるアクリル系樹脂を配合し、
これを万能混合機を用いてよく混合しながら同時に造粒
を行った。
【0038】そして、前記混合・造粒工程により得られ
た顆粒を材料として、50MPa程度の圧力で静水圧プ
レスを行い、円板状の成形体を作製した。次に、成形工
程により得られた成形体をアルゴン雰囲気下にて225
0℃の温度で常圧焼成した。焼成により得られた多孔質
炭化珪素板P1を加熱炉内にセットし、大気中にて乾式
酸化処理としてのベーキングを行った。ここでは加熱温
度を1200℃に設定し、加熱時間を4時間に設定し
た。その結果、表層部分における炭化珪素粒子23がシ
リカ層24により被覆された多孔質炭化珪素製の円板状
めっき液保持プレート21を得た。なお、シリカ層24
の被覆厚は100nm〜200nm、酸化された部分の
深さd1は200μm〜300μmであった。
【0039】また、このようにして得られた実施例2の
めっき液保持プレート21(具体的には表層部分を除く
領域)では、気孔率が約40%、平均気孔径が約30μ
m、体積固有抵抗が103Ωm、密度が1.9g/c
3、曲げ強度が50MPa、熱伝導率が80W/m・
K、重金属濃度が0.5%以下であった。 [比較例]焼成工程後に酸化処理を実施しないことのみ
を除き、基本的には実施例1と同様の手順に準じて、多
孔質炭化珪素製の円板状めっき液保持プレート21を作
製した。従って比較例では、シリカ層24の被覆厚はほ
ぼ0nm、酸化された部分の深さd1は0μmであっ
た。 [評価試験の方法及び結果]ここでは評価試験として下
記のことを行った。即ち、各々のめっき液保持プレート
21上に水(伝導度が1±0.5μs/cm2のイオン
交換水)を滴下し、30秒経過後にぬれ角(接触角)θ
を測定した。なお、測定には接触角測定器(ERMA社
製、商品名:G−1−1000)を用いた。
【0040】その結果、実施例1ではθ=40°、実施
例2ではθ=35°、比較例ではθ=44°であった。
以上のことから明らかなように、シリカ層24の形成を
行った実施例1,2のほうが、比較例に比べて水に対す
る濡れ性がよいことが確認された。
【0041】そして、実施例1,2のめっき液保持プレ
ート21を用いて実際に電解銅めっきを実施してみたと
ころ、部材表面に気泡が発生する様子もなく、銅めっき
液15の通り道である気孔が部分的に遮断されることも
なかった。従って、めっき液保持プレート21の下面か
ら滲出する銅めっき液15の量が均一になり、半導体ウ
ェハ5上に均一な膜厚の銅配線を形成することが可能で
あった。
【0042】従って、本実施形態の実施例によれば以下
のような効果を得ることができる。 (1)上記実施例のめっき保持プレート21は、多孔質
炭化珪素板P1からなり、その表層部分における炭化珪
素粒子23は炭化珪素よりも水に対する濡れ性のよいシ
リカ層24により被覆されている。従って、銅めっき液
15を撥水することがなく、部材表面に気泡を発生させ
にくい。このため、銅めっき液15の通りが悪い箇所の
発生を未然に防止することができ、めっき液保持プレー
ト21の下面から滲出する銅めっき液15の量がばらつ
きにくくなる。ゆえに、均一な膜厚の銅めっき層(即ち
銅配線)を確実に形成することができる。
【0043】(2)上記実施例では、表層部分における
炭化珪素粒子23の表面を酸化することにより、そこに
シリカ層24を形成している。また、上述した乾式酸化
処理であれば薬剤等も不要であるため、比較的簡単にか
つ安価に濡れ性の改善を図ることができる。ゆえに、め
っき液保持プレート21の高コスト化も防止される。
【0044】(3)上記実施例では、乾式酸化処理の際
に好適な温度・時間条件にて加熱を行っている。従っ
て、好適な物性の低下や高コスト化を伴うことなく、必
要十分なシリカ層24を確実に形成することができる。
【0045】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 表層部分の炭化珪素粒子23は表面のみならず、そ
の内部までもシリカに変化していてもよい。
【0046】・ CVD等の手法により表層部分の炭化
珪素粒子23をシリカ層24で被覆することも可能であ
る。 ・ 炭化珪素よりも親水性が高い(水に対する濡れ性の
良い)物質からなる層は、シリカに代表される珪素系セ
ラミック化合物からなる層のみに限定されず、例えば珪
素を含まない他のセラミック化合物からなる層であって
もよい。また、セラミック化合物以外の非金属材料から
なる層であってもよい。
【0047】・ 実施形態の電解めっき装置1は、電解
銅めっきを実施する場合のみならず、例えば電解ニッケ
ルめっきや電解金めっき等を実施する場合にも勿論使用
可能である。
【0048】・ 被めっき物はシリコンやガリウム砒素
などからなる半導体ウェハ5のみに限定されることはな
く、例えばセラミック製、金属製またはプラスティック
製の基材などであってもよい。
【0049】・ 実施形態の電解めっき装置1は、配線
の形成のみに利用されるばかりでなく、例えばバンプ等
のような半導体における外部接続端子の形成などに利用
されることも可能である。さらに、当該電解めっき装置
1は、上記配線のように電気を流すことを目的とする金
属層の形成のみに利用されるに止まらず、電気を流すこ
とを特に目的としない金属層の形成に使用されても構わ
ない。
【0050】・ めっき液保持プレート21の上面は陽
極14の下面に対して非接触状態で配置されていても構
わない。次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想
のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的
思想を以下に列挙する。
【0051】(1) めっき液が通過可能な構造を有す
る陽極と、被めっき物に接触する陰極と、前記陽極にお
ける前記被めっき物側に配置された多孔性のめっき液保
持部材とを備え、前記めっき液が前記陽極及び前記めっ
き液保持部材を介して前記被めっき物に供給される電解
めっき装置において、前記めっき液保持部材は多孔質炭
化珪素板からなり、その多孔質炭化珪素板の表層部分に
おける炭化珪素粒子は、炭化珪素分子よりも極性の大き
な分子構造の物質により被覆されていることを特徴とす
る電解めっき装置。従って、この技術的思想1に記載の
発明によれば、均一な膜厚のめっき層を確実に形成する
ことができる電解めっき装置を提供することができる。
【0052】(2) 請求項3、技術的思想1のいずれ
か1つに記載されためっき液保持部材の製造方法であっ
て、多孔質炭化珪素板を酸化性雰囲気下で加熱すること
により、前記多孔質炭化珪素板の表層部分における炭化
珪素粒子の表面に酸化層を形成すること。
【0053】(3) 請求項3、技術的思想1のいずれ
か1つに記載されためっき液保持部材を製造する方法で
あって、多孔質炭化珪素板を800℃〜1200℃の酸
化性雰囲気下で0.5時間〜5時間加熱することによ
り、前記多孔質炭化珪素板の表層部分における炭化珪素
粒子の表面に酸化層を形成すること。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記
載の発明によれば、均一な膜厚のめっき層を確実に形成
することができる電解めっき装置用めっき液保持部材を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における電解銅めっき装置
の概略断面図。
【図2】同電解銅めっき装置を構成するめっき液保持プ
レートの表層部分の様子を示す概念図。
【図3】実施例及び比較例の評価試験の方法を説明する
ための図。
【符号の説明】
1…電解めっき装置としての電解銅めっき装置、2…陰
極、5…被めっき物としての半導体ウェハ、14…陽
極、21…めっき液保持部材としてのめっき液保持プレ
ート、23…炭化珪素粒子、24…シリカ層、P1…多
孔質炭化珪素板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K024 AA09 AB01 BB12 CB06 CB08 CB21 CB26 GA16 4M104 AA01 AA05 BB04 BB05 DD52 HH12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表層部分における炭化珪素粒子が炭化珪素
    よりも水に対する濡れ性のよい物質により被覆されてい
    る多孔質炭化珪素板からなることを特徴とする電解めっ
    き装置用めっき液保持部材。
  2. 【請求項2】表層部分における炭化珪素粒子が親水性の
    高い物質により被覆されている多孔質炭化珪素板からな
    ることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保持部
    材。
  3. 【請求項3】表層部分における炭化珪素粒子の表面が酸
    化している多孔質炭化珪素板からなることを特徴とする
    電解めっき装置用めっき液保持部材。
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JP2000232078A (ja) * 1999-02-10 2000-08-22 Toshiba Corp メッキ方法及びメッキ装置
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