JP2002327229A - 圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材 - Google Patents
圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材Info
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Abstract
アルミニウム合金押出材を得る。 【解決手段】 Mg:0.5〜1.8%(質量%、以下
同じ)、Zn:4.0〜8.0%、Ti:0.005〜
0.3%、Cu:0.05〜0.6%を含有し、さら
に、Mn:0.1〜0.7%、Cr:0.03〜0.3
%、Zr:0.05〜0.25%のうち1種又は2種以
上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、繊維
状組織を有し、かつJIS5号引張試験片にて引張試験
を実施したときの破断面の肉厚減少率が20%以上であ
るアルミニウム合金押出材。
Description
エネルギー吸収部材として好適な圧壊特性に優れるアル
ミニウム合金押出材に関する。
ルギー吸収部材が用いられている。例えば軽衝突時の車
体の損傷を緩和するためのエネルギー吸収部材として、
自動車用バンパー補強材があり、これには、軽量化の観
点からアルミニウム合金押出材の使用が検討されている
(特開平7−70688号公報、特開平8−17013
9号公報等)。このバンパー補強材は、例えば断面矩形
の中空押出材として成形されるもので、いわゆるクラッ
シャブル材であり、衝突などにより外部からエネルギー
が与えられたとき、その衝突エネルギーを中空部分の変
形(潰れ)により吸収し、他の部材が極力破損しないよ
うにするものである。図1は中空矩形断面(フランジ部
1a、1b及びウエブ部1c、1d)を有するバンパー
補強材1の変形過程を示すもので、バンパー補強材1の
外側フランジ部1a側に対し垂直に圧縮荷重が加えられ
ると、主として対向するウエブ部1c、1dが変形する
ことにより中空矩形断面が変形し(仮想線参照)、その
変形の過程で荷重によるエネルギーが吸収される。
ネルギーの大きさ(最小値)は法規格などによって決ま
っており、一方、バンパー補強材により吸収可能なエネ
ルギーの大きさが余りに大きいと、過剰設計となって重
量が過大となってしまう。従って、バンパー補強材は必
要なエネルギーを吸収することができるように、しかも
過剰設計となって重量が過大とならないように設計され
る。
ー吸収部材を代表するバンパー補強材には、エネルギー
吸収量が大きく、かつ軽量であることが要求される。こ
の要求に対処するため、最近では、バンパー補強材を構
成するアルミニウム合金押出材の材料強度を高くするこ
とが試みられている。しかし、前記公報に記載された7
000系(Al−Mg−Zn系)アルミニウム合金のよ
うに、高強度化した材料を用いた場合、ウエブ部に割れ
が生じやすくなり、割れが生じたときは逆にエネルギー
吸収力が低下する。すなわち、アルミニウム合金押出材
のエネルギー吸収力と軽量化のための高強度化は相矛盾
する課題であり、これまで、これを合金成分、組織等、
冶金的に解決することは難しかった。
たもので、Al−Mg−Zn系アルミニウム合金の高強
度材を用いて強度を高め、同時に圧壊時の割れを防止し
て高いエネルギー吸収量を確保することを目的とする。
な圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材を開発すべ
く種々実験研究を行う過程で、押出材から採取したJI
S5号引張試験片を引張試験した場合の試験片の破断面
の肉厚減少率が、押出材の圧壊特性と密接な関係にある
ことを見いだし、それをもとに本発明を得ることができ
た。
押出材は、Mg:0.5〜1.8%、Zn:4.0〜
8.0%、Ti:0.005〜0.3%、Cu:0.0
5〜0.6%を含有しさらに、Mn:0.1〜0.7
%、Cr:0.03〜0.3%、Zr:0.05〜0.
25%のうち1種又は2種以上を含有し、残部Al及び
不可避不純物からなるアルミニウム合金押出材であり、
これが繊維状組織を有し、かつJIS5号引張試験片に
て引張試験を実施したときの破断面の肉厚減少率が20
%以上であることを特徴とする。ここで、破断面の肉厚
減少率(以下、絞りという)とは、引張試験片の破断面
を正面からみたときの当該破断面の中央部の肉厚(試験
片の板面に対し垂直に測定した肉厚)をa(図1参照)
とし、引張試験片の元の肉厚をa0としたとき、(1−
a/a0)×100で表されるものとする。このアルミ
ニウム合金押出材は圧壊特性に優れ、特に横方向の圧縮
荷重を受けるバンパー補強材、フレーム、ドアビーム等
の自動車用部材として好適である。
ム合金押出材の各成分の添加理由及び組成限定理由につ
いて説明する。 Zn ZnはMgと共存して合金に時効性を与え、人工時効に
より強度を向上させる作用を有する。Znの含有量が
4.0%未満では強度の向上が十分でなく、エネルギー
吸収量が少なくなる。一方、8.0%を超えると押出性
が低下するとともに、伸び及び曲げ加工性が低下する。
さらに耐SCC性及び一般耐食性が低下する。従って、
Znの含有量は4.0〜8.0%とし、なかでも6.0
〜7.0%がより好ましい。
る。しかし、Mgの含有量が0.5%未満では強度を向
上させる効果を十分に得ることができず、エネルギー吸
収量が少なくなる。一方、1.8%を超えると押出性が
低下するとともに伸びも低下する。さらに耐SCC性、
曲げ加工性が低下する。従って、Mgの含有量は0.5
〜1.8%とし、0.6〜1.0%がより好ましく、さ
らに0.7〜0.9%がより好ましい。
果がある。しかし、含有量が0.005%未満ではその
効果を十分得ることができず、また0.3%を超えると
結晶粒微細化効果が飽和して巨大化合物が発生してしま
う。従って、Tiの含有量は0.005〜0.3%とす
る。 Cu Cuはアルミニウム合金の強度を高める作用があり、目
標とする高強度を得るため添加される。また、Cuは耐
SCC性を改善する作用がある。しかし、Cu含有量が
0.05%未満ではその効果が不十分で、エネルギー吸
収量が少なく、耐SCC性に劣るようになる。一方、
0.6%を超えると押出性が悪くなり、さらに焼入れ感
受性を高め強度低下を招くとともに、曲げ加工性及び一
般耐食性を劣化させる。また、溶接性も悪くなる。従っ
て、Cuの含有量は0.05〜0.6%、望ましくは
0.1〜0.2%である。
形成し、合金を強化する作用があるため、1種又は2種
以上が添加される。しかし、それぞれ、0.1%、0.
03%、0.05%未満ではその効果が不十分であり、
一方、それぞれ0.7%、0.3%、0.25%を超え
ると押出性が悪くなり、さらに焼入れ感受性を高め強度
低下を招く。従って、Mn:0.1〜0.7%、Cr:
0.03〜0.3%、Zr:0.05〜0.25%の範
囲とする。Zrは0.1〜0.2%が望ましい。繊維状
組織を形成するためには1種又は2種以上を合計で0.
1%以上含有することが望ましく、特に空冷によるプレ
ス焼入れを行う場合、焼入れ感受性の低下を防ぐため合
計で0.4%以下が望ましい。
含まれる不純物であり、0.35%を超えて合金中に存
在すると鋳造時に粗大な金属間化合物を晶出し、合金の
機械的性質を損なう。従って、Feの含有量は0.35
%以下に規制する。また、アルミニウム合金を鋳造する
際には地金、添加元素の中間合金等様々な経路より不純
物が混入する。混入する元素は様々であるが、Fe以外
の不純物は単体で0.05%以下、総量で0.15%以
下であれば合金の特性にほとんど影響を及ぼさない。従
って、これらの不純物は単体で0.05%以下、総量で
0.15%以下とする。なお、不純物のうちBについて
はTiの添加に伴い合金中にTiの1/5程度の量で混
入するが、より望ましい範囲は0.02%以下、さらに
0.01%以下が望ましい。
本発明で定義された絞りの値が20%以上のとき圧壊割
れ特性に優れる理由については、絞りの値は材料の局部
的な変形能を示す1つの指標であり、一方、押出材が圧
壊変形する場合、材料のごく表面に発生する伸びは30
%程度に達し、このような領域では材料は絞りのような
局部的な変形をしていると考えられることから、絞りの
値が所定値以上の場合に割れの発生が抑制されたものと
推測される。上記組成範囲内において絞りの値を20%
以上とするには、例えば空冷によるプレス焼入れであれ
ば焼入れ時の冷却速度を上げることが有効である。下記
実施例に示すように、時効処理により高強度化したもの
で20%以上の絞りを得ることができた。
おいて、アルミニウム合金押出材の結晶組織は繊維状組
織を有するものとする。ここで、繊維状組織とは、押出
材にみられる熱間加工組織で、押し出し方向に長く伸ば
された結晶粒組織のことであり、等軸再結晶組織に比べ
て強度を高め、高い絞りを得て押出材の圧壊割れ性を向
上させる。表面再結晶組織が形成された場合でも、押出
材断面厚さの1/2程度以上の厚さで形成されている必
要がある。また、アルミニウム合金押出材の断面形状は
特に限定されるわけではないが、適宜の閉断面形状、例
えば荷重方向にほぼ垂直に向く前後のフランジ部、及び
それらを連結し荷重方向にほぼ平行に向く一対のウエブ
部からなる略矩形断面とされる。
金を常法により溶解し、半連続鋳造法により直径200
mmの鋳塊に鋳造した。この鋳塊を均質化処理した後、
図2に示す断面形状に押し出し、押出加工時の高温状態
(460℃)から空冷により焼入れ(プレス焼入れ)し
た。空冷はノズルから噴射される高速の冷却空気を押出
材の表面に直接噴射して行われ、その冷却速度は約30
0℃/minであった。これは、プレス焼入れに用いら
れる通常のファン空冷よりかなり大きい冷却速度であ
る。ただし、No.11、12については、プレス焼入
れを通常のファン空冷(冷却速度;約200℃/mi
n)により行った。続いて、この押出材を短尺に切断
し、同じく表1に示す時効処理を施して供試材とした。
から長さ方向にJIS5号試験片を採取して引張試験を
行い、各供試材の機械的性質を測定した。また、30t
on万能試験機を用い、図3に示すように、専用ステイ
2(供試材取付面:長さ方向80mm×幅方向50m
m)に両面テープで固定した供試材3の上面より剛体4
を押し付け、横圧壊試験を行った(変位量35mm=有
効ストロークまで)。各供試材の機械的性質、横圧壊試
験による各供試材の最大荷重、有効ストローク内の吸収
エネルギーとその圧壊割れ性を表2に示す。表2に示す
圧壊割れ性は、ウエブ部の割れ性を3段階で評価したも
ので、◎:割れなし、○:微小割れあり、肉厚を貫通す
る分断割れなし、×:分断割れあり、である。なお、N
o.1(No.3、11も同じ)については押出速度を
7m/分とし、その他はNo.1と同等の表面品質が得
られる限界押出速度を測定し、この押出速度がNo.1
に対し同等のもの(No.1の90%以上の場合)を
○、70〜89%の場合を△、69%以下の場合を×と
評価した。その結果を同じく表2に示す。
−Zn系合金鋳塊を、前記の押出材と同じ製造条件で押
出成形−プレス焼入れし、2mm×150mmの押出材
(フラットバー)を得、これに同じ熱処理を施して供試
材とした。各供試材について、耐SCC性を下記要領に
て測定した。クロム酸水溶液(純水1リットル中、無水
クロム酸36g、重クロム酸カリ30g、塩化ナトリウ
ム3g)を試験液として用い、各供試材から押出直角方
向(LT方向)に応力がかかるように試験片を採取し、
試験温度95℃、3点曲げの要領で材料耐力の100%
及び75%の負荷を与える条件で実施した。評価基準
は、360分浸漬後、拡大鏡にて25倍で観察し、材料
表面の亀裂の有無で評価した。亀裂のないものを○、1
00%負荷試験片のみ亀裂発生の場合は△、75%負荷
試験片にも亀裂発生の場合は×と評価した。
で絞りが20%以上であるNo.1、2は、最大荷重、
吸収エネルギー及び耐割れ性など、横圧壊特性に優れ、
押出性、耐SCC性にも優れる。一方、組成が本発明の
範囲内であるが、絞りが20%未満であるNo.3、
4、11、12は耐割れ性に劣る。No.3については
時効時間が不足したこと、No.4については再結晶組
織であること、No.11、12については空冷による
プレス焼入れの冷却速度が低いことが影響した可能性が
ある。また、主要成分が本発明の規定を外れるNo.4
〜10は、絞りが20%以上で耐割れ性は比較的よい
が、押出性(No.5、9)、耐SCC性(No.5、
7、10)、強度(No.6、8、9)、最大荷重及び
吸収エネルギー(No.6、8、9)のいずれかの特性
が劣っている。
金を使用することで強度を高め、同時に衝突の圧縮荷重
を受けたときの圧壊特性、特に横圧壊に対する耐割れ性
に優れるアルミニウム合金押出材を得ることができる。
本発明に係るアルミニウム合金押出材は、例えば、バン
パー補強材、ドアビーム(ドア内の前後方向等に配置さ
れ、側方からの衝撃荷重を受け止めるエネルギー吸収部
材)、インパクトビーム(ドアの前後方向に配置され、
軸方向の衝撃荷重を受け止めるエネルギー吸収部材)、
ステアリングメンバー(車体幅方向に配置されるインス
トルメントパネルの補強材)、自動車フレーム(サイド
メンバー、クロスメンバー、バンパーステイ、サイドフ
レーム等)、鉄道車両、船舶等のフレーム等の用途に用
いることができる。
程の一形態(仮想線)を示す図である。
形状を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 Mg:0.5〜1.8%(質量%、以下
同じ)、Zn:4.0〜8.0%、Ti:0.005〜
0.3%、Cu:0.05〜0.6%を含有し、さら
に、Mn:0.1〜0.7%、Cr:0.03〜0.3
%、Zr:0.05〜0.25%のうち1種又は2種以
上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミ
ニウム合金押出材であり、これが繊維状組織を有し、か
つJIS5号引張試験片にて引張試験を実施したときの
破断面の肉厚減少率が20%以上であることを特徴とす
る圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材。
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- 2001-04-27 JP JP2001133364A patent/JP4183396B2/ja not_active Expired - Fee Related
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