JP2002322509A - CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法 - Google Patents
CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶鋼に有効な接種核を形成するCaを添加し
て安価に溶鋼の凝固組織を微細にし、内部割れや中心偏
析、センターポロシティ等の内部欠陥を防止することが
できるCaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方
法を提供する。 【解決手段】 凝固初晶がγ鉄である溶鋼11に、トー
タルAl量を0.03重量%以下にし、Ca材13を下
式を満たすように溶鋼11に添加してから鋳造する。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総
O重量%) ここで、総Ca重量%は溶鋼中に含まれるCaも濃度、
総O重量%は溶鋼中に含まれるOの濃度である。
て安価に溶鋼の凝固組織を微細にし、内部割れや中心偏
析、センターポロシティ等の内部欠陥を防止することが
できるCaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方
法を提供する。 【解決手段】 凝固初晶がγ鉄である溶鋼11に、トー
タルAl量を0.03重量%以下にし、Ca材13を下
式を満たすように溶鋼11に添加してから鋳造する。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総
O重量%) ここで、総Ca重量%は溶鋼中に含まれるCaも濃度、
総O重量%は溶鋼中に含まれるOの濃度である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凝固する際、凝固
初晶がγ鉄である溶鋼に接種核を生成させ、この溶鋼が
凝固した鋳片の凝固組織を微細にするCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法に関する。
初晶がγ鉄である溶鋼に接種核を生成させ、この溶鋼が
凝固した鋳片の凝固組織を微細にするCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶鋼を冷却して凝固させた鋳片
は、溶鋼から造塊法や連続鋳造法により、スラブ、ブル
ーム、ビレット、薄鋳片等を鋳造し、これを所定のサイ
ズに切断して製造している。また、鋼材は、前記の鋳片
を加熱炉等を用いて加熱した後に、粗圧延や仕上げ圧延
等を施すことにより、鋼板や形鋼等に加工される。しか
し、この鋳片は、溶鋼を鋳造してから凝固させるため、
凝固するまでの過程において、内部の凝固収縮時の負圧
に起因するセンターポロシティ(ザク)、バルジングや
前記凝固収縮時の負圧に起因する中心偏析、あるいはバ
ルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固殻)に加わる歪
みに起因する内部割れ等の内部欠陥が生じる場合があ
る。こうして、鋳片に発生した内部欠陥は、圧延後も鋼
板や形鋼等の鋼材に残存して、鋼材の品質が低下した
り、場合によっては製品として使用できない(屑化)等
の問題が生じる。この対策として、特公平7−8461
7号公報に記載されているように、溶鋼を連続鋳造する
際に、過熱温度(実際の溶鋼温度からその溶鋼の液相線
温度を差し引いた温度)を40℃以下にして鋳型内で冷
却しながら引き抜きを行って、凝固した鋳片の等軸晶の
割合を70%以上にして、鋳片の凝固組織を微細にする
ことにより、その鋳片を加工して得られるフェライト系
ステンレス鋼板に発生するリジングを防止する方法が行
われている。更に、特開昭53−90129号公報に記
載されているように、溶鋼が凝固する際、凝固核となる
金属酸化物の添加と電磁攪拌を組合せて、鋳片の厚み方
向における凝固組織を微細な等軸晶にし、鋳片の表面に
発生する表面割れ等の表面欠陥や内部に発生するセンタ
ーポロシティ(ザク)、中心偏析、内部割れ等の内部欠
陥を防止する方法が行われている。
は、溶鋼から造塊法や連続鋳造法により、スラブ、ブル
ーム、ビレット、薄鋳片等を鋳造し、これを所定のサイ
ズに切断して製造している。また、鋼材は、前記の鋳片
を加熱炉等を用いて加熱した後に、粗圧延や仕上げ圧延
等を施すことにより、鋼板や形鋼等に加工される。しか
し、この鋳片は、溶鋼を鋳造してから凝固させるため、
凝固するまでの過程において、内部の凝固収縮時の負圧
に起因するセンターポロシティ(ザク)、バルジングや
前記凝固収縮時の負圧に起因する中心偏析、あるいはバ
ルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固殻)に加わる歪
みに起因する内部割れ等の内部欠陥が生じる場合があ
る。こうして、鋳片に発生した内部欠陥は、圧延後も鋼
板や形鋼等の鋼材に残存して、鋼材の品質が低下した
り、場合によっては製品として使用できない(屑化)等
の問題が生じる。この対策として、特公平7−8461
7号公報に記載されているように、溶鋼を連続鋳造する
際に、過熱温度(実際の溶鋼温度からその溶鋼の液相線
温度を差し引いた温度)を40℃以下にして鋳型内で冷
却しながら引き抜きを行って、凝固した鋳片の等軸晶の
割合を70%以上にして、鋳片の凝固組織を微細にする
ことにより、その鋳片を加工して得られるフェライト系
ステンレス鋼板に発生するリジングを防止する方法が行
われている。更に、特開昭53−90129号公報に記
載されているように、溶鋼が凝固する際、凝固核となる
金属酸化物の添加と電磁攪拌を組合せて、鋳片の厚み方
向における凝固組織を微細な等軸晶にし、鋳片の表面に
発生する表面割れ等の表面欠陥や内部に発生するセンタ
ーポロシティ(ザク)、中心偏析、内部割れ等の内部欠
陥を防止する方法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
7−84617号公報では、過熱温度が低いため、鋳造
途中で溶鋼が凝固し、ノズル詰まりや鋳型内湯面の皮張
りを生じて鋳造が困難になる。更に、溶鋼の粘性が増加
するため、介在物の浮上が阻害されて介在物に起因した
欠陥等が発生するなどから十分な等軸晶を備えた鋳片が
できる程の低い過熱温度にすることが困難である。ま
た、特開昭53−90129号公報では、鋳型内の溶鋼
に、Co、B、Mo、V、Ni等の酸化物を添加してい
る。これ等の酸化物は、低炭素やフェライト系ステンレ
ス等の溶鋼の場合は凝固核として有効に作用するが、凝
固初晶がγ鉄である高炭素の溶鋼が凝固する際に凝固核
として有効に作用しない。その結果、鋳片の内部組織が
粗大化し、内部に割れや中心偏析、センターポロシティ
等が発生する。しかも、電磁攪拌装置を併用しても、電
磁攪拌力が作用する局部的な部位の凝固組織を微細にで
きるものの、鋳片の全断面の凝固組織を均一に微細にす
ることが困難であり、表面及び内部欠陥の発生を安定し
て防止することができず、しかも、電磁攪拌装置を多段
に配置すると、多大の設備費用を伴う問題がある。
7−84617号公報では、過熱温度が低いため、鋳造
途中で溶鋼が凝固し、ノズル詰まりや鋳型内湯面の皮張
りを生じて鋳造が困難になる。更に、溶鋼の粘性が増加
するため、介在物の浮上が阻害されて介在物に起因した
欠陥等が発生するなどから十分な等軸晶を備えた鋳片が
できる程の低い過熱温度にすることが困難である。ま
た、特開昭53−90129号公報では、鋳型内の溶鋼
に、Co、B、Mo、V、Ni等の酸化物を添加してい
る。これ等の酸化物は、低炭素やフェライト系ステンレ
ス等の溶鋼の場合は凝固核として有効に作用するが、凝
固初晶がγ鉄である高炭素の溶鋼が凝固する際に凝固核
として有効に作用しない。その結果、鋳片の内部組織が
粗大化し、内部に割れや中心偏析、センターポロシティ
等が発生する。しかも、電磁攪拌装置を併用しても、電
磁攪拌力が作用する局部的な部位の凝固組織を微細にで
きるものの、鋳片の全断面の凝固組織を均一に微細にす
ることが困難であり、表面及び内部欠陥の発生を安定し
て防止することができず、しかも、電磁攪拌装置を多段
に配置すると、多大の設備費用を伴う問題がある。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、溶鋼に有効な接種核を形成するCaを添加して安価
に溶鋼の凝固組織を微細にし、内部割れや中心偏析、セ
ンターポロシティ等の内部欠陥を防止することができる
CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を提
供することを目的とする。
で、溶鋼に有効な接種核を形成するCaを添加して安価
に溶鋼の凝固組織を微細にし、内部割れや中心偏析、セ
ンターポロシティ等の内部欠陥を防止することができる
CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係るCaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法
は 凝固初晶がγ鉄である溶鋼に、トータルAl量を
0.03重量%以下にし、Ca材を下式を満たすように
前記溶鋼に添加してから鋳造する。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総O重量%)・・・(1) ここで、総Ca重量%は溶鋼中に含まれるCa(カルシ
ウム)の濃度、総O重量%は溶鋼中に含まれるO(酸
素)の濃度である。この方法により、凝固する溶鋼の接
種核として作用するγ−Feとの格子歪が7%未満であ
るCaOを生成することができ、このCaOを起点に、
凝固を開始して等軸晶の生成を促進するので、凝固した
鋳片の凝固組織を微細にすることができる。そして、鋳
片の内部に発生する凝固収縮時の負圧に起因するセンタ
ーポロシティや中心偏析、バルジング等凝固途中に凝固
シェル(凝固殻)に加わる歪みに起因する内部割れ等を
抑制する。溶鋼中の総Ca重量%が0.0005重量%
未満になると、生成する接種核であるCaOの絶対量が
少なくなり、溶鋼が凝固した鋳片の凝固組織を微細にす
ることができない。一方、溶鋼中の総Ca重量%が溶鋼
中の総O重量%の2.5倍を超えて多くしても、接種核
として有効なCaOの生成を増すことができず、添加す
るCaのコストが上昇する。
係るCaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法
は 凝固初晶がγ鉄である溶鋼に、トータルAl量を
0.03重量%以下にし、Ca材を下式を満たすように
前記溶鋼に添加してから鋳造する。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総O重量%)・・・(1) ここで、総Ca重量%は溶鋼中に含まれるCa(カルシ
ウム)の濃度、総O重量%は溶鋼中に含まれるO(酸
素)の濃度である。この方法により、凝固する溶鋼の接
種核として作用するγ−Feとの格子歪が7%未満であ
るCaOを生成することができ、このCaOを起点に、
凝固を開始して等軸晶の生成を促進するので、凝固した
鋳片の凝固組織を微細にすることができる。そして、鋳
片の内部に発生する凝固収縮時の負圧に起因するセンタ
ーポロシティや中心偏析、バルジング等凝固途中に凝固
シェル(凝固殻)に加わる歪みに起因する内部割れ等を
抑制する。溶鋼中の総Ca重量%が0.0005重量%
未満になると、生成する接種核であるCaOの絶対量が
少なくなり、溶鋼が凝固した鋳片の凝固組織を微細にす
ることができない。一方、溶鋼中の総Ca重量%が溶鋼
中の総O重量%の2.5倍を超えて多くしても、接種核
として有効なCaOの生成を増すことができず、添加す
るCaのコストが上昇する。
【0006】更に、前記Ca材を分割添加すると良い。
これにより、溶鋼へ添加した際のCa歩留りが高めら
れ、しかも、溶鋼中に含まれるSiO2 、Al2 O2 、
MnO等の酸化物との還元反応を促進して接種核として
作用するCaOの生成も高めることができる。
これにより、溶鋼へ添加した際のCa歩留りが高めら
れ、しかも、溶鋼中に含まれるSiO2 、Al2 O2 、
MnO等の酸化物との還元反応を促進して接種核として
作用するCaOの生成も高めることができる。
【0007】また、前記溶鋼に最初に添加した前記Ca
材によって前記Ca濃度を0.0010重量%以下とす
るのが好ましい。これにより、接種核として作用するC
aOの生成をより確実に高めることができ、溶鋼が凝固
した鋳片の凝固組織を安定して微細化することができ
る。
材によって前記Ca濃度を0.0010重量%以下とす
るのが好ましい。これにより、接種核として作用するC
aOの生成をより確実に高めることができ、溶鋼が凝固
した鋳片の凝固組織を安定して微細化することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法に適
用する溶鋼の処理装置の全体断面図である。図1に示す
ように、本発明の一実施の形態に係るCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を適用する溶鋼の処理
装置10は、軌条や形鋼等の凝固初晶がγ−Fe(γ
鉄)である溶鋼11を入れた取鍋12と、Ca材の一例
である表面を薄鋼板で覆ったCaワイア13を巻いた図
示しないドラムを装着したCaワイア供給手段14と、
Caワイア13をスラグ15を貫通して溶鋼11中に添
加するガイドパイプ16とを備えている。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法に適
用する溶鋼の処理装置の全体断面図である。図1に示す
ように、本発明の一実施の形態に係るCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を適用する溶鋼の処理
装置10は、軌条や形鋼等の凝固初晶がγ−Fe(γ
鉄)である溶鋼11を入れた取鍋12と、Ca材の一例
である表面を薄鋼板で覆ったCaワイア13を巻いた図
示しないドラムを装着したCaワイア供給手段14と、
Caワイア13をスラグ15を貫通して溶鋼11中に添
加するガイドパイプ16とを備えている。
【0009】次に、溶鋼の処理装置10を用いて本発明
の一実施の形態に係るCaOを利用した凝固組織に優れ
た溶鋼の処理方法について説明する。軌条や形鋼等の凝
固初晶がγ鉄となる炭素濃度0.50〜1.50重量%
を含み、トータルAl(アルミニウム)量を0.03重
量%以下にした溶鋼11を取鍋12に入れ、その溶鋼1
1を厚さT80〜150mmのスラグ15が覆うように
した。更に、溶鋼11は、Al脱酸を行う際、Alある
いはAl合金の添加量を少なくし、トータルAl量を
0.03重量%以下に調整しておき、更に、溶鋼11を
サンプリングして分析を行い、溶鋼11中のトータルA
l量、総O(酸素)量を、求める。溶鋼11中のトータ
ルAl量を0.03重量%以下にするのは、トータルA
l量が0.03重量%を超えると、Caワイア13に含
まれるCa(カルシウム)と酸化物の反応によって生成
したCaOと脱酸生成物であるAl2 O3 が結合し、C
aO・Al2 O3 の低融点の化合物を形成し、溶鋼11
中では、溶融状態で存在して接種核としての作用を発現
できないからである。
の一実施の形態に係るCaOを利用した凝固組織に優れ
た溶鋼の処理方法について説明する。軌条や形鋼等の凝
固初晶がγ鉄となる炭素濃度0.50〜1.50重量%
を含み、トータルAl(アルミニウム)量を0.03重
量%以下にした溶鋼11を取鍋12に入れ、その溶鋼1
1を厚さT80〜150mmのスラグ15が覆うように
した。更に、溶鋼11は、Al脱酸を行う際、Alある
いはAl合金の添加量を少なくし、トータルAl量を
0.03重量%以下に調整しておき、更に、溶鋼11を
サンプリングして分析を行い、溶鋼11中のトータルA
l量、総O(酸素)量を、求める。溶鋼11中のトータ
ルAl量を0.03重量%以下にするのは、トータルA
l量が0.03重量%を超えると、Caワイア13に含
まれるCa(カルシウム)と酸化物の反応によって生成
したCaOと脱酸生成物であるAl2 O3 が結合し、C
aO・Al2 O3 の低融点の化合物を形成し、溶鋼11
中では、溶融状態で存在して接種核としての作用を発現
できないからである。
【0010】このように、溶鋼11のトータルAl量を
0.03重量%以下に調整した後、前記した測定された
総O重量%を考慮して、Caワイア供給手段14のドラ
ムを作動し、Caワイア13をガイドパイプ16で案内
しながらスラグ15を貫通して溶鋼11中に送給し、溶
鋼11にCaワイア13を添加し、溶鋼11中のCa濃
度が下式(1)を満たすようにする。そして、溶鋼11
中に多量のCaOを生成させる。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総O重量%)・・・(1) ここで、総Ca重量%は溶鋼11中に含まれるCa(カ
ルシウム)の濃度、総O重量%は溶鋼11中に含まれる
O(酸素)の濃度である。なお、総Ca重量%につい
て、0.0005重量%以上にしたのは、0.0005
重量%未満になると、溶鋼11中に生成するCaOの絶
対量が少なくなり、接種核としての作用も不足し、鋳片
の凝固組織の微細化が図れないからである。更に、総O
重量%は、溶鋼11中に含まれるSiO2 、MnO、A
l2 O3 等の酸化物中の酸素濃度である。この総O重量
%の2.5倍以下の総Ca重量%としたのは、溶鋼11
に添加したCaが化学量論的にSiO2 、MnO、Al
2 O3等の酸化物を還元してCaOを生成するためであ
る。この値が総O重量%の2.5倍を超えると、溶鋼1
1中のCa濃度が増加し、溶鋼が凝固させて加工した鋼
材の品質を阻害する。
0.03重量%以下に調整した後、前記した測定された
総O重量%を考慮して、Caワイア供給手段14のドラ
ムを作動し、Caワイア13をガイドパイプ16で案内
しながらスラグ15を貫通して溶鋼11中に送給し、溶
鋼11にCaワイア13を添加し、溶鋼11中のCa濃
度が下式(1)を満たすようにする。そして、溶鋼11
中に多量のCaOを生成させる。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総O重量%)・・・(1) ここで、総Ca重量%は溶鋼11中に含まれるCa(カ
ルシウム)の濃度、総O重量%は溶鋼11中に含まれる
O(酸素)の濃度である。なお、総Ca重量%につい
て、0.0005重量%以上にしたのは、0.0005
重量%未満になると、溶鋼11中に生成するCaOの絶
対量が少なくなり、接種核としての作用も不足し、鋳片
の凝固組織の微細化が図れないからである。更に、総O
重量%は、溶鋼11中に含まれるSiO2 、MnO、A
l2 O3 等の酸化物中の酸素濃度である。この総O重量
%の2.5倍以下の総Ca重量%としたのは、溶鋼11
に添加したCaが化学量論的にSiO2 、MnO、Al
2 O3等の酸化物を還元してCaOを生成するためであ
る。この値が総O重量%の2.5倍を超えると、溶鋼1
1中のCa濃度が増加し、溶鋼が凝固させて加工した鋼
材の品質を阻害する。
【0011】Caワイア13の添加により生成したCa
Oは、格子定数が0.481nmであり、γ鉄の場合
は、0.516nmであるため、γ鉄との格子整合度の
関係は、一般に用いられている下式(2)を用いて求め
ることができる。このCaOの格子整合度δ(%)は、
約6.8%となるため、溶鋼11が凝固を開始する際、
接種核として有効に作用する。 格子整合度δ(%)=(CaOの格子定数−γ鉄の格子定数)/(γ鉄の格子定 数)×100 ・・・・・(2) そして、この溶鋼11を連続鋳造することにより、溶鋼
11が冷却されて凝固する過程において、溶鋼11が凝
固を開始する温度より高温でCaOが生成し、このCa
Oが接種核となり、この接種核を起点にそれぞれ凝固が
開始され、凝固組織が等軸晶からなる微細化した鋳片を
製造することができる。凝固組織が微細な鋳片は、表面
に発生する表面欠陥の発生も少なく、特に、内部の凝固
収縮に起因するセンターポロシティ(ザク)や中心偏
析、あるいはバルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固
殻)に加わる歪み等に起因する内部割れを抑制でき、こ
れ等の内部欠陥を防止して鋳片の品質を高めることがで
きる。
Oは、格子定数が0.481nmであり、γ鉄の場合
は、0.516nmであるため、γ鉄との格子整合度の
関係は、一般に用いられている下式(2)を用いて求め
ることができる。このCaOの格子整合度δ(%)は、
約6.8%となるため、溶鋼11が凝固を開始する際、
接種核として有効に作用する。 格子整合度δ(%)=(CaOの格子定数−γ鉄の格子定数)/(γ鉄の格子定 数)×100 ・・・・・(2) そして、この溶鋼11を連続鋳造することにより、溶鋼
11が冷却されて凝固する過程において、溶鋼11が凝
固を開始する温度より高温でCaOが生成し、このCa
Oが接種核となり、この接種核を起点にそれぞれ凝固が
開始され、凝固組織が等軸晶からなる微細化した鋳片を
製造することができる。凝固組織が微細な鋳片は、表面
に発生する表面欠陥の発生も少なく、特に、内部の凝固
収縮に起因するセンターポロシティ(ザク)や中心偏
析、あるいはバルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固
殻)に加わる歪み等に起因する内部割れを抑制でき、こ
れ等の内部欠陥を防止して鋳片の品質を高めることがで
きる。
【0012】また、溶鋼11に、Caワイア13を添加
する場合、複数に分割添加すると、Ca歩留りが向上
し、生成するCaOを微細に分散するので好ましい。即
ち、1回目のCaワイア13の添加は、溶鋼11のCa
濃度が0.0005〜0.0010重量%になるように
添加すると、Caが溶鋼11中のSiO2 、MnO、A
l2 O3 等の酸化物と反応し、生成したCaOは、微細
になって溶鋼11内に分散する。このCa濃度が0.0
010重量%の範囲を超える濃度では、生成したCaO
の微細化と分散が悪くなる。また、添加するCaの下限
濃度としては、0.0005重量%未満になると、2回
目に添加するCa量が増加し、生成するCaOの分散性
が悪くなる。そして、最初のCaワイア13を添加した
後、Caワイア13を追加添加することにより、1回目
の添加で生成して微細に分散したCaOを核として利用
して、追加したCaワイア13の添加による新たなCa
Oを晶出することができると推考でき、溶鋼11中に微
細なCaOを多量に生成することができる。この溶鋼1
1は、溶鋼11中に、微細で、多量のCaOを生成し、
溶鋼11が凝固を開始する直前にCaOが生成され、こ
のCaOが接種核となり、この接種核を起点に、それぞ
れ凝固が開始され、凝固組織をより微細にした鋳片を製
造することができる。このように、多量のCaOが生成
された溶鋼11を凝固させた鋳片は、所定の長さに切断
され、後工程の圧延等の加工が施され、軌条、形鋼等の
製品が製造される。
する場合、複数に分割添加すると、Ca歩留りが向上
し、生成するCaOを微細に分散するので好ましい。即
ち、1回目のCaワイア13の添加は、溶鋼11のCa
濃度が0.0005〜0.0010重量%になるように
添加すると、Caが溶鋼11中のSiO2 、MnO、A
l2 O3 等の酸化物と反応し、生成したCaOは、微細
になって溶鋼11内に分散する。このCa濃度が0.0
010重量%の範囲を超える濃度では、生成したCaO
の微細化と分散が悪くなる。また、添加するCaの下限
濃度としては、0.0005重量%未満になると、2回
目に添加するCa量が増加し、生成するCaOの分散性
が悪くなる。そして、最初のCaワイア13を添加した
後、Caワイア13を追加添加することにより、1回目
の添加で生成して微細に分散したCaOを核として利用
して、追加したCaワイア13の添加による新たなCa
Oを晶出することができると推考でき、溶鋼11中に微
細なCaOを多量に生成することができる。この溶鋼1
1は、溶鋼11中に、微細で、多量のCaOを生成し、
溶鋼11が凝固を開始する直前にCaOが生成され、こ
のCaOが接種核となり、この接種核を起点に、それぞ
れ凝固が開始され、凝固組織をより微細にした鋳片を製
造することができる。このように、多量のCaOが生成
された溶鋼11を凝固させた鋳片は、所定の長さに切断
され、後工程の圧延等の加工が施され、軌条、形鋼等の
製品が製造される。
【0013】
【実施例】次に、本発明に係るCaOを利用した凝固組
織に優れた溶鋼の処理方法の実施例について説明する。
炭素濃度が0.5重量%の軌条用高炭素鋼の溶鋼150
トンを取鍋に入れ、この溶鋼の上を厚みが100mmの
スラグで覆い、この溶鋼中のT−Al(トータルAl)
を0.03重量%以下にし、T−O重量%(総O重量
%)と T−Ca濃度(総Ca重量%)を変化させて溶
鋼の処理を行った。そして、この溶鋼を用い、連続鋳造
を行って鋳片を製造し、その鋳片の断面の等軸晶率
(%)、センターポロシティ評点の良否、中心偏析評点
の良否、形鋼表面疵有無を調査し、総合評価を行った。
その結果を表1に示す。実施例1は、T−O重量%を
0.0020重量%にし、T−Ca濃度を0.0005
重量%にした場合であり、等軸晶率が37%の微細な凝
固組織になり、センターポロシティ評点が良く(○)、
中心偏析評点が良く(○)、形鋼表面疵が無く、総合評
価として良い(○)結果が得られた。実施例2は、T−
O重量%を0.0021重量%にし、T−Ca濃度を
0.0007重量%に、実施例3は、T−O重量%を
0.0019重量%にし、T−Ca濃度を0.0021
重量%にした場合であり、それぞれに等軸晶率が35
%、55%、の微細な凝固組織にでき、いずれとも、セ
ンターポロシティ評点が良く(○)、中心偏析評点が良
く(○)、形鋼表面疵が無く、総合評価として良い
(○)結果が得られた。実施例4は、T−O重量%を
0.0018重量%にし、T−Ca濃度を0.0045
重量%にした場合であり、等軸晶率が86%の微細な凝
固組織になり、センターポロシティ評点が良好(◎)で
あり、中心偏析評点が良好(◎)であり、形鋼表面疵が
無く、総合評価として優れた(◎)結果が得られた。
織に優れた溶鋼の処理方法の実施例について説明する。
炭素濃度が0.5重量%の軌条用高炭素鋼の溶鋼150
トンを取鍋に入れ、この溶鋼の上を厚みが100mmの
スラグで覆い、この溶鋼中のT−Al(トータルAl)
を0.03重量%以下にし、T−O重量%(総O重量
%)と T−Ca濃度(総Ca重量%)を変化させて溶
鋼の処理を行った。そして、この溶鋼を用い、連続鋳造
を行って鋳片を製造し、その鋳片の断面の等軸晶率
(%)、センターポロシティ評点の良否、中心偏析評点
の良否、形鋼表面疵有無を調査し、総合評価を行った。
その結果を表1に示す。実施例1は、T−O重量%を
0.0020重量%にし、T−Ca濃度を0.0005
重量%にした場合であり、等軸晶率が37%の微細な凝
固組織になり、センターポロシティ評点が良く(○)、
中心偏析評点が良く(○)、形鋼表面疵が無く、総合評
価として良い(○)結果が得られた。実施例2は、T−
O重量%を0.0021重量%にし、T−Ca濃度を
0.0007重量%に、実施例3は、T−O重量%を
0.0019重量%にし、T−Ca濃度を0.0021
重量%にした場合であり、それぞれに等軸晶率が35
%、55%、の微細な凝固組織にでき、いずれとも、セ
ンターポロシティ評点が良く(○)、中心偏析評点が良
く(○)、形鋼表面疵が無く、総合評価として良い
(○)結果が得られた。実施例4は、T−O重量%を
0.0018重量%にし、T−Ca濃度を0.0045
重量%にした場合であり、等軸晶率が86%の微細な凝
固組織になり、センターポロシティ評点が良好(◎)で
あり、中心偏析評点が良好(◎)であり、形鋼表面疵が
無く、総合評価として優れた(◎)結果が得られた。
【0014】
【表1】
【0015】更に、炭素濃度が0.5重量%の軌条用高
炭素鋼の溶鋼150トンを取鍋に入れ、この溶鋼の上を
100mm厚さのスラグが覆う状態で、溶鋼中のT−A
l(トータルAl)を0.005重量%に、T−O重量
%(総O重量%)を0.0020重量%に、T−Ca濃
度(総Ca重量%)の量も0.0020重量%になるよ
うにし、Caワイアを一括添加した場合と、Caワイア
を分割して添加した場合のCa添加順序を変えて溶鋼の
処理を行った。そして、この溶鋼を連続鋳造を行って鋳
片を製造し、その鋳片の等軸晶率(%)、Ca添加効果
の効率性(凝固組織の等軸晶化性)について調査した。
その結果を表2に示す。実施例5は、Caワイアを一括
添加してT−Ca濃度を0.0020重量%にした場合
であり、等軸晶率が54%、実施例6は、Caワイアを
分割して添加したが、1回目に多量に添加したため、等
軸晶率が58%になり、それぞれCa添加効果の効率性
は、若干低くなった。実施例7は、Caワイアを分割し
て添加し、1回目に0.0010重量%の濃度にし、次
いで、2回目で、0.0020重量%の濃度にした場合
であり、等軸晶率が65%になり、Ca添加効果の効率
性が高くできた。実施例8は、Caワイアを分割して添
加し、1回目に0.0005重量%の濃度にし、次い
で、2回目で、0.0005重量%の濃度、3回目に
0.0010重量%の濃度にした場合であり、等軸晶率
が71%になり、Ca添加効果の効率性が高くできた。
炭素鋼の溶鋼150トンを取鍋に入れ、この溶鋼の上を
100mm厚さのスラグが覆う状態で、溶鋼中のT−A
l(トータルAl)を0.005重量%に、T−O重量
%(総O重量%)を0.0020重量%に、T−Ca濃
度(総Ca重量%)の量も0.0020重量%になるよ
うにし、Caワイアを一括添加した場合と、Caワイア
を分割して添加した場合のCa添加順序を変えて溶鋼の
処理を行った。そして、この溶鋼を連続鋳造を行って鋳
片を製造し、その鋳片の等軸晶率(%)、Ca添加効果
の効率性(凝固組織の等軸晶化性)について調査した。
その結果を表2に示す。実施例5は、Caワイアを一括
添加してT−Ca濃度を0.0020重量%にした場合
であり、等軸晶率が54%、実施例6は、Caワイアを
分割して添加したが、1回目に多量に添加したため、等
軸晶率が58%になり、それぞれCa添加効果の効率性
は、若干低くなった。実施例7は、Caワイアを分割し
て添加し、1回目に0.0010重量%の濃度にし、次
いで、2回目で、0.0020重量%の濃度にした場合
であり、等軸晶率が65%になり、Ca添加効果の効率
性が高くできた。実施例8は、Caワイアを分割して添
加し、1回目に0.0005重量%の濃度にし、次い
で、2回目で、0.0005重量%の濃度、3回目に
0.0010重量%の濃度にした場合であり、等軸晶率
が71%になり、Ca添加効果の効率性が高くできた。
【0016】
【表2】
【0017】これに対し、比較例1は、Caワイアの添
加を行わないで、溶鋼のCa濃度(T−Ca濃度)を高
めなかった場合であり、等軸晶率が13%と低くなり、
センターポロシティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評
点も悪く(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として
悪い(×)結果になった。比較例2は、Caワイアの添
加を行ったが、溶鋼のT−Ca濃度が0.0004重量
%になった場合であり、溶鋼中で接種核として作用する
CaO量が不足し、等軸晶率が18%と低くなり、セン
ターポロシティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も
悪く(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い
(×)結果になった。比較例3は、アルミ脱酸を行った
ため、溶鋼中のAl2 O3 (T−Al)が0.032重
量%と高くなり、Caワイアの添加を行った場合であ
り、溶鋼中に生成したCaOとAl2 O3 が反応して低
融点の酸化物を形成し、接種核として作用しなかったた
め、等軸晶率が14%と低くなり、センターポロシティ
評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も悪く(×)、形
鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い(×)結果にな
った。比較例4は、アルミ脱酸を行ったため、溶鋼中の
Al2 O3 (T−Al)が0.033重量%と高くな
り、比較例3より多量のCaワイアの添加を行った場合
であり、溶鋼中に生成したCaOとAl2 O3 が反応し
て低融点の酸化物を形成し、接種核として作用しなかっ
たため、等軸晶率が19%と低くなり、センターポロシ
ティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も悪く
(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い
(×)結果になった。
加を行わないで、溶鋼のCa濃度(T−Ca濃度)を高
めなかった場合であり、等軸晶率が13%と低くなり、
センターポロシティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評
点も悪く(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として
悪い(×)結果になった。比較例2は、Caワイアの添
加を行ったが、溶鋼のT−Ca濃度が0.0004重量
%になった場合であり、溶鋼中で接種核として作用する
CaO量が不足し、等軸晶率が18%と低くなり、セン
ターポロシティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も
悪く(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い
(×)結果になった。比較例3は、アルミ脱酸を行った
ため、溶鋼中のAl2 O3 (T−Al)が0.032重
量%と高くなり、Caワイアの添加を行った場合であ
り、溶鋼中に生成したCaOとAl2 O3 が反応して低
融点の酸化物を形成し、接種核として作用しなかったた
め、等軸晶率が14%と低くなり、センターポロシティ
評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も悪く(×)、形
鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い(×)結果にな
った。比較例4は、アルミ脱酸を行ったため、溶鋼中の
Al2 O3 (T−Al)が0.033重量%と高くな
り、比較例3より多量のCaワイアの添加を行った場合
であり、溶鋼中に生成したCaOとAl2 O3 が反応し
て低融点の酸化物を形成し、接種核として作用しなかっ
たため、等軸晶率が19%と低くなり、センターポロシ
ティ評点が悪く(×)なり、中心偏析評点も悪く
(×)、形鋼表面疵が発生し、総合評価として悪い
(×)結果になった。
【0018】
【表3】
【0019】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、高炭素鋼用の溶鋼の他に、γ鉄が凝固初晶
となるNi系ステンレス鋼用の溶鋼にも適用することが
できる。更に、溶鋼へのCaの添加は、Caワイアの他
に、Ca−Si合金のワイアを用いることができ、しか
も、Ca−Si合金を取鍋の溶鋼に直接添加することも
できる。また、鋳造する際、Caを添加した溶鋼を用
い、低温鋳造したり、電磁攪拌装置による攪拌を行うこ
ともできる。
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、高炭素鋼用の溶鋼の他に、γ鉄が凝固初晶
となるNi系ステンレス鋼用の溶鋼にも適用することが
できる。更に、溶鋼へのCaの添加は、Caワイアの他
に、Ca−Si合金のワイアを用いることができ、しか
も、Ca−Si合金を取鍋の溶鋼に直接添加することも
できる。また、鋳造する際、Caを添加した溶鋼を用
い、低温鋳造したり、電磁攪拌装置による攪拌を行うこ
ともできる。
【0020】
【発明の効果】請求項1〜3記載のCaOを利用した凝
固組織に優れた溶鋼の処理方法においては、凝固初晶が
γ鉄である溶鋼に、トータルAl量を0.03重量%以
下にし、所定量のCa材を溶鋼に添加してから鋳造する
ので、溶鋼中に接種核として有効CaOを生成して、安
価で、しかも、溶鋼が凝固した鋳片の凝固組織を等軸晶
からなる微細な組織にでき、表面欠陥や内部割れや中心
偏析、センターポロシティ等の内部欠陥を防止すること
ができる。
固組織に優れた溶鋼の処理方法においては、凝固初晶が
γ鉄である溶鋼に、トータルAl量を0.03重量%以
下にし、所定量のCa材を溶鋼に添加してから鋳造する
ので、溶鋼中に接種核として有効CaOを生成して、安
価で、しかも、溶鋼が凝固した鋳片の凝固組織を等軸晶
からなる微細な組織にでき、表面欠陥や内部割れや中心
偏析、センターポロシティ等の内部欠陥を防止すること
ができる。
【0021】特に、請求項2記載のCaOを利用した凝
固組織に優れた溶鋼の処理方法においては、Ca材の添
加を分割添加するので、接種核として作用する生成した
CaOを溶鋼中に微細に分散させることができ、溶鋼の
凝固組織をより微細にし、鋳片の品質をより向上するこ
とができる。
固組織に優れた溶鋼の処理方法においては、Ca材の添
加を分割添加するので、接種核として作用する生成した
CaOを溶鋼中に微細に分散させることができ、溶鋼の
凝固組織をより微細にし、鋳片の品質をより向上するこ
とができる。
【0022】請求項3記載のCaOを利用した凝固組織
に優れた溶鋼の処理方法においては、溶鋼に最初に添加
したCa材によるCa濃度を0.0010重量%以下と
するので、生成したCaOをより微細にし、溶鋼中での
分散性を良好にでき、溶鋼の凝固組織を安定して微細に
し、より確実に鋳片の品質を高めることができる。
に優れた溶鋼の処理方法においては、溶鋼に最初に添加
したCa材によるCa濃度を0.0010重量%以下と
するので、生成したCaOをより微細にし、溶鋼中での
分散性を良好にでき、溶鋼の凝固組織を安定して微細に
し、より確実に鋳片の品質を高めることができる。
【図1】本発明の一実施の形態に係るCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を適用する溶鋼の処理
装置の全体断面図である。
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法を適用する溶鋼の処理
装置の全体断面図である。
10:溶鋼の処理装置、11:溶鋼、12:取鍋、1
3:Caワイア(Ca)、14:Caワイア供給手段、
15:スラグ、16:ガイドパイプ
3:Caワイア(Ca)、14:Caワイア供給手段、
15:スラグ、16:ガイドパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 浩至 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K013 AA09 BA08 BA14 CB01 CB07 EA19 EA25 FA00
Claims (3)
- 【請求項1】 凝固初晶がγ鉄である溶鋼に、トータル
Al量を0.03重量%以下にし、Ca材を下式を満た
すように前記溶鋼に添加してから鋳造することを特徴と
するCaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方
法。 0.0005重量%≦(総Ca重量%)≦2.5×(総
O重量%) ここで、総Ca重量%は溶鋼中に含まれるCaの濃度、
総O重量%は溶鋼中に含まれるOの濃度である。 - 【請求項2】 請求項1記載のCaOを利用した凝固組
織に優れた溶鋼の処理方法において、前記Ca材の添加
を分割添加することを特徴とするCaOを利用した凝固
組織に優れた溶鋼の処理方法。 - 【請求項3】 請求項2記載のCaOを利用した凝固組
織に優れた溶鋼の処理方法において、前記溶鋼に最初に
添加した前記Ca材によって前記Ca濃度を0.001
0重量%以下とすることを特徴とするCaOを利用した
凝固組織に優れた溶鋼の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001127408A JP2002322509A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001127408A JP2002322509A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002322509A true JP2002322509A (ja) | 2002-11-08 |
Family
ID=18976277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001127408A Withdrawn JP2002322509A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | CaOを利用した凝固組織に優れた溶鋼の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002322509A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014012302A1 (zh) * | 2012-07-19 | 2014-01-23 | 中国科学院金属研究所 | 一种通过钢水纯净化控制钢锭a偏析的方法 |
JP2015515541A (ja) * | 2012-03-08 | 2015-05-28 | バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド | 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板及びそのカルシウム処理方法 |
-
2001
- 2001-04-25 JP JP2001127408A patent/JP2002322509A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015515541A (ja) * | 2012-03-08 | 2015-05-28 | バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド | 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板及びそのカルシウム処理方法 |
KR101613502B1 (ko) * | 2012-03-08 | 2016-04-20 | 바오샨 아이론 앤 스틸 유한공사 | 우수한 자기 특성을 가지는 무방향성 전기강판 및 그의 칼슘 처리방법 |
WO2014012302A1 (zh) * | 2012-07-19 | 2014-01-23 | 中国科学院金属研究所 | 一种通过钢水纯净化控制钢锭a偏析的方法 |
JP2014527581A (ja) * | 2012-07-19 | 2014-10-16 | 中国科学院金属研究所 | 溶鋼の清浄化により鋼塊のa偏析を制御する方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080701 |