JP2002322507A - 溶銑の脱燐精錬方法 - Google Patents

溶銑の脱燐精錬方法

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JP2002322507A
JP2002322507A JP2001283118A JP2001283118A JP2002322507A JP 2002322507 A JP2002322507 A JP 2002322507A JP 2001283118 A JP2001283118 A JP 2001283118A JP 2001283118 A JP2001283118 A JP 2001283118A JP 2002322507 A JP2002322507 A JP 2002322507A
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oxygen
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refining
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JP2001283118A
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Yuji Ogawa
雄司 小川
Shinya Kitamura
信也 北村
Mitsutaka Matsuo
充高 松尾
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Original Assignee
Nippon Steel Corp
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラグ・メタル界面の酸素活量を高め、高効
率な脱燐精錬を可能とするとともに発生スラグ量を低減
する方法を提供する。 【解決手段】 フラックス添加と酸素上吹きを行って溶
銑を脱燐精錬する際に、上吹き酸素がスラグにより遮断
されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、
上吹きランス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラック
ス添加量の少なくとも1つ以上を調節する。また、溶銑
を脱珪および脱燐精錬する際に、溶銑中Si濃度が0.
1質量%以上である期間中は、上吹き酸素が直接溶銑に
接触するように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、
ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量の少なくと
も1つ以上を調節し、溶銑中Si濃度が0.1質量%未
満まで脱珪が進行した以降は、上吹き酸素が直接溶銑に
接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス高
さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量の少な
くとも1つ以上を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に転炉型容器を
用いて溶銑を精錬精錬する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製鋼トータルコストのミニマム化や低燐
鋼の安定溶銑に関して、従来溶銑の脱燐法として、
(1)トーピードカー内の溶銑に脱燐用フラックスをイ
ンジェクションして予備脱燐を行う方法、(2)取鍋内
の溶銑に脱燐用フラックスをインジェクションするかも
しくは吹付けて、予備脱燐を行う方法、あるいは(3)
2基の転炉を用いて、一方で脱燐を行い、他方で脱炭を
行う方法(例えば、特開昭63−195210号公報)
が用いられている。
【0003】しかしながら、トーピードカーや溶銑鍋等
の溶銑搬送容器を用いた場合、容器容量が小さく強攪拌
精錬を行うことが困難で、特に脱燐反応は平衡から遠
く、目標の脱燐量を達成するためには必要以上のフラッ
クスを使用しなければならず、かつ精錬に長時間を要す
という欠点がある。また、搬送容器を用いる脱燐処理プ
ロセスでは、年々増加するスクラップを溶解消費するこ
とができないという問題もある。上記の観点から、近年
は、容器容量が大きく、強攪拌下での脱燐精錬が可能
な、上吹き酸素を用いた転炉型容器による脱燐処理方法
へ移行しつつある。
【0004】これらの脱燐方法においては、脱燐反応は
簡単に記述すると主として次式で示される。
【0005】 2[P]+5[O]+3CaO→3CaO・P25 (1) ここで、[P]、[O]はスラグ・メタル界面に存在す
るPとOであり、PがOにより酸化された後、スラグ中
のCaOで固定化されると言われている。したがって、
スラグ中のCaO濃度が高いほど、またスラグ・メタル
界面の酸素活量が高いほど、脱燐反応は効率よく進行す
る。
【0006】しかしながら、スラグ中CaO濃度を増加
するために、多量の生石灰を脱燐用フラックスとして添
加すると生成スラグ量が増大する。CaO濃度が高いス
ラグは粉状化しやすいため、路盤材等への有効利用が困
難であり、スラグの多くは埋め立て処分等となる一種の
産業廃棄物になる。少量の生石灰添加で、CaO濃度を
低くすると有効利用しやすくなるとともに生成スラグ量
も低減できる。ただし、その場合は、脱燐反応を進行さ
せるためにスラグ・メタル界面の酸素活量を高める必要
がある。
【0007】従来の技術では、上吹き酸素や鉄鉱石等の
酸化鉄源の添加によりスラグ中酸化鉄濃度を高めること
でスラグ・メタル界面の酸素活量を高める脱燐精錬を行
っている。しかし、溶銑の脱燐精錬の場合、スラグ・メ
タル界面では脱炭反応が同時に進行するため、バルクス
ラグの酸化鉄濃度と平衡する酸素活量よりスラグ・メタ
ル界面の酸素活量はかなり低くなっている。そのため、
脱燐速度や脱燐効率が不十分であるとともに、スラグ中
の酸化鉄濃度を過剰に高めているが故に、スロッピング
による操業不安定や鉄歩留まりの低下、生成スラグ量増
大等を招いている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点に鑑み、スラグ・メタル界面の酸素活量を高め、高効
率な脱燐精錬を可能とするとともに発生スラグ量を低減
する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明の要旨とするところは、(1)フラックス添
加と酸素上吹きを行って溶銑を脱燐精錬する際に、上吹
き酸素がスラグにより遮断されて直接溶銑に接触しない
ように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、ランスの
ノズル孔径と数、フラックス添加量の少なくとも1つ以
上を調節することを特徴とする溶銑の脱燐方法、(2)
上記溶銑の脱燐方法において、下記(1)式で計算され
る酸素ジェットによるスラグ凹み深さLSが下記(2)
式で計算される酸素ジェットが当たっていない部分のス
ラグ厚みLSo未満となるように、上吹き酸素流量、上吹
きランス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添
加量の少なくとも1つ以上を調節することを特徴とする
溶銑の脱燐方法、(3)フラックス添加と酸素上吹きを
行って溶銑を脱珪および脱燐精錬する際に、溶銑中Si
濃度が0.1質量%以上である期間中は、上吹き酸素が
直接溶銑に接触するように、上吹き酸素流量、上吹きラ
ンス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量
の少なくとも1つ以上を調節し、溶銑中Si濃度が0.
1質量%未満まで脱珪が進行した以降は、上吹き酸素が
直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹き
ランス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加
量の少なくとも1つ以上を調節することを特徴とする溶
銑の脱珪および脱燐方法、(4)上記溶銑の脱珪および
脱燐方法において、溶銑中Si濃度が0.1質量%以上
である期間中は、下記(1)式で計算される酸素ジェッ
トによるスラグ凹み深さLSが下記(2)式で計算され
る酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚みLSo
以上となるように、上吹き酸素流量、上吹きランス高
さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量の少な
くとも1つ以上を調節し、溶銑中Si濃度が0.1質量
%未満まで脱珪が進行した以降は、下記(1)式で計算
される酸素ジェットによるスラグ凹み深さLSが下記
(2)式で計算される酸素ジェットが当たっていない部
分のスラグ厚みLSo未満となるように、上吹き酸素流
量、上吹きランス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラ
ックス添加量の少なくとも1つ以上を調節することを特
徴とする溶銑の脱珪および脱燐方法、にある。
【0010】ここで、上記した式(1),(2)は以下
の通りである。
【0011】 LS=Lhexp(−0.78h/Lh) (1) 但し、Lh=63×(ρSM)-1/3×(Fo2/n/d)2/3S :酸素ジェットによるスラグ凹み深さ(mm) h :ランス先端から酸素ジェットが当たっていない部
分のスラグ上面までの距離(mm) Lh :h=0のときのスラグ凹み深さ(mm) ρS :スラグの嵩密度(=約1500kg/m3) ρM :溶銑の密度(=6900kg/m3) Fo2:上吹き酸素流量(Nm3/h) n :上吹きランスのノズル孔数(−) d :上吹きランスのノズル孔直径(mm) LSo=WS/ρS /(πD2/4)×1000 (2) 但し、WS=WCaO/(%CaO)f×100LSo :酸素ジェット
が当たっていない部分のスラグ厚み(mm) WS :スラグ質量(kg) D :スラグ表面における精錬容器の内直径(m) WCaO :添加フラックス中の総CaO質量(kg) (%CaO)f:精錬後のスラグ中CaO濃度(質量%)
【0012】
【発明の実施の形態】通常、転炉容器を用いた溶銑の脱
燐精錬においては、溶銑装入後に生石灰を主体とする脱
燐用フラックスを添加し、上吹き酸素により溶銑中のP
を酸化して脱燐を行う。この際、上吹き酸素ジェットは
スラグ層を突き抜けて直接溶銑表面に接触した状態とな
っている。本発明では、ランスのノズル径とノズル数の
適正な設計と、フラックスの添加量に応じた操業中の上
吹き酸素流量とランス高さの調整により、図1で示すよ
うに、上吹き酸素がスラグで遮断され、直接溶銑表面に
接触しないように制御する。その理由は以下の通りであ
る。
【0013】本発明者らは、小型炉を用いた種々の溶銑
脱燐実験から、酸素がスラグにより遮断されて溶銑表面
に接触しないように吹き付けた条件下においては、接触
するように酸素を吹き付けた条件下での実験と比較し
て、同一のスラグ中酸化鉄濃度においても極めて脱燐が
速くかつ低P濃度まで進行することを発見した。その時
のスラグ中と溶銑中のP濃度から推定されるスラグ・メ
タル界面の酸素活量と、スラグ中の酸化鉄と平衡する酸
素活量を比較すると、酸素が溶銑と接触する場合には前
述のようにスラグ中酸化鉄と平衡する酸素活量に比べて
推定したスラグ・メタル界面の酸素活量がかなり低くな
っているのに対し、酸素が溶銑と接触しないようにした
場合にはスラグ・メタル界面の酸素活量がスラグ中酸化
鉄と平衡する酸素活量に近く、むしろそれよりも高くな
っている場合が多かった。これは、次の作用によるもの
と考えられる。
【0014】酸素が溶銑に接触すると、まず鉄を酸化し
て純粋な酸化鉄を生成する。この酸化鉄は溶銑中のCに
より還元され、還元しきれなかった酸化鉄がスラグ中へ
移行し、スラグ・メタル界面で脱燐に寄与する。この
時、スラグ中酸化鉄はスラグ・メタル界面で溶銑中Cに
よっても還元されるため、界面近傍の酸化鉄濃度はバル
クスラグの酸化鉄濃度より低くなり、平衡する酸素活量
もバルクスラグの酸化鉄と平衡する酸素活量よりも低く
なる。一方、脱燐精錬時のような約3%以上の酸化鉄を
含むスラグは、例えばTransaction ISIJ,20(1980),p.80
1-809でも示されているように、スラグ中の鉄イオンの
価数変化(Fe2+⇔Fe3+)すなわち正孔の移動によ
り、極めて速く酸素を透過することが知られている。し
たがって、酸素が溶銑に接触しない場合でも、スラグに
接した酸素は高速でスラグ中を移行し、スラグ・メタル
界面に達する。界面に到達した酸素により、PやCの酸
化と同時に鉄の酸化も起こるため、界面近傍のスラグ中
酸化鉄濃度はバルクスラグの酸化鉄濃度よりもむしろ高
くなり、それと平衡する界面の酸素活量もバルクスラグ
の酸化鉄濃度から推定する活量よりも高くなる。そのた
め、(1)式で示した脱燐反応がより速やかに進行す
る。
【0015】上記の理由により、本発明では上吹き酸素
をスラグで遮断して溶銑表面に接触しないように制御す
ることで、従来と同量の脱燐フラックス添加の場合に
は、脱燐反応は高速かつ低P濃度まで進行するため低P
鋼の溶製が容易になる。また、少量の脱燐フラックス添
加によっても従来と同等の脱燐能を有するため、発生ス
ラグ量も低減される。
【0016】ここで、精錬用のフラックスとしては、生
石灰、石灰石、脱炭滓、ドロマイト等の脱燐を促進する
ためのCaOを含む添加剤や、蛍石、アルミナ、造塊滓
等のスラグの溶融を促進するための添加剤が用いられ
る。
【0017】また、Si濃度が0.1質量%以上の溶銑
を脱珪および脱燐精錬する場合、溶銑中のSi濃度が
0.1質量%以上の場合にはPよりもSiの方が優先的
に酸化される割合が大きいため、上述のような界面酸素
活量増加による脱燐反応効率向上効果は小さく、むしろ
酸素を直接溶銑に接触させた方が速く脱珪が進行する。
したがって、溶銑中Si濃度が0.1質量%以上である
吹錬初期には、上吹き酸素を直接溶銑に接触させて効率
的に脱珪を行い、溶銑中Si濃度が0.1質量%未満と
なって、脱燐反応が進行しやすくなった段階で酸素が直
接溶銑に接触しない条件に制御することがより望ましい
実施の形態である。
【0018】なお、酸素は通常上吹きランスのノズルか
ら吹き付けられるが、その際、溶銑中のPの移動を促進
するために、酸素や窒素、二酸化炭素、アルゴン、炭化
水素等のガスを炉体の底部や側面に配置した羽口から吹
き込んでも良い。
【0019】上吹き酸素が溶銑に接触するかしないかを
判定する条件としては、酸素ジェットによるスラグの凹
み深さLSと、酸素ジェットが当たっていない部分のス
ラグ厚みLSoとを比較して、LS≧LSoの場合が接触す
る条件、LS<LSoの場合が接触しない条件と言える。
酸素ジェットの凹み深さの推定には、溶鉄の場合、「鉄
冶金反応工学」(瀬川清著,1969,日刊工業新聞
社)p.94によると下記(3)式で表される。
【0020】 L=Lhexp(−0.78h/Lh) (3) 但し、Lh=63×(Fo2/n/d)2/3 L :酸素ジェットによる溶鉄の凹み深さ(mm) h :ランス先端から酸素ジェットが当たっていない部
分の溶鉄上面までの距離(mm) Lh:h=0のときの溶鉄凹み深さ(mm) Fo2:上吹き酸素流量(Nm3/h) n :上吹きランスのノズル孔数(−) d :上吹きランスのノズル孔直径(mm) ここで、Lhを表す式の係数63は溶鉄の密度に対して求
められたものであり、式の導出過程から、酸素ジェット
が吹き付けられる液体の密度の-1/3乗に比例することが
わかる。従って、酸素ジェットによるスラグの凹み深さ
Sを推定する場合には、係数63の代わりに63×(ρS
M)-1/3を用いればよく、前述の(1)式となる。
【0021】また、酸素ジェットが当たっていない部分
のスラグ厚みLSoは、電気導通法やマイクロ波等により
実際に測定しても良いが、測定精度が必ずしも十分では
なく測定するためのコストもかかるため、測定が困難で
ある場合が多い。従って、スラグ質量と精錬容器の内径
およびスラグの嵩密度から前述の(2)式を用いて簡便
に推定する方が実用的である。スラグ質量は、添加した
フラックス中のCaO質量と生成したスラグ中のCaO
濃度から推定するのが最も簡便な方法であるが、溶鉄の
SiやPの濃度変化からマスバランスにより推定しても
良い。スラグの嵩密度は、発明者らが電気導通法により
測定したスラグ厚みと推定したスラグ質量から、約15
00kg/m3であることが判明した。
【0022】(1)式で示されるように、LSを制御す
るための操作因子としては、上吹き酸素流量、上吹きラ
ンス高さ、ランスのノズル孔径と数があり、LSoはフラ
ックス添加量により変化する。従って、これらの因子の
うち少なくとも1つ以上を調節して、酸素ジェットと溶
鉄のスラグによる遮断条件を制御すれば良い。
【0023】具体的な実施の形態としては、以下のよう
な方法がある。
【0024】まず、Si濃度が0.1質量%未満の溶銑
を脱燐精錬する場合には、吹錬中常に酸素ジェットを溶
銑に直接接触しないようにするのが望ましく、通常添加
するフラックスの質量により決定されるLSoと通常操業
での上吹き酸素流量と上吹きランス高さに応じて、
(1)式で求められるLSがLS<LSoを満足するように
ランス孔の数および/または直径を設計して使用すれば
良い。または、既存の上吹きランスをそのまま用いて、
S<LSoを満足するように、上吹き酸素流量、上吹き
ランス高さ、フラックス添加量の1つ以上の操業条件を
変更しても良い。
【0025】Si濃度が0.1質量%未満の溶銑を脱珪
および脱燐精錬する場合には、上記と同様な方法で、吹
錬中常に酸素ジェットを溶銑に直接接触しないようにし
ても良いが、前述の通り、溶銑中Si濃度が0.1質量
%以上の期間中は、上吹き酸素が溶銑に接触するように
した方がより望ましい。従って、変更可能な上吹き酸素
流量、上吹きランス高さ、フラックス添加量の範囲内
で、(1)式で求められるLSがLS≧LSoとLS<LSo
をいずれも満足できるように、上吹きランスのノズルの
直径と数を設計して、溶銑中Si濃度が0.1質量%以
上の吹錬初期にはLS≧LSoとなるように、溶銑中Si
濃度が0.1質量%未満となった以降はLS<LSoとな
るように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、フラッ
クス添加量の少なくとも1つ以上を調整するのが最良の
形態である。あるいは、上吹きランスのノズル内に駆動
系を設け、操業中に酸素が噴出するノズルの直径や数が
調節可能なようにランスを製作し、溶銑中Si濃度が
0.1質量%となる前後でノズルの直径および/または
数を変更しても良い。
【0026】なお、溶銑中Si濃度の変化は、サブラン
ス等により溶銑サンプルを採取して迅速分析を行っても
良いが、分析に数分を要し、制御遅れが生じる。通常、
溶銑中Si濃度は吹き込んだ酸素量により精度良く推定
できるため、酸素流量に応じて吹錬時間から求めること
ができる。
【0027】
【実施例】試験転炉を用いて、溶銑の脱燐実験を実施し
た。
【0028】まず、約4.5質量%のC、約0.1質量
%のP、約0.05質量%のSiを含む初期温度約13
00℃の溶銑約6tを用いて脱燐精錬を行った。 (実施例1)溶銑を転炉に装入し、脱燐フラックスであ
るCaO濃度95質量%の生石灰15kgを投入した
後、上吹きランスからの酸素の吹き付けにより10分間
の脱燐精錬を行った。上吹きランスとしては、予め設
計、製作したノズル孔数4、ノズル孔直径30mmのもの
を使用し、酸素流量は精錬開始から終了まで1000Nm
3/h一定とした。上吹きランス高さは、ランス先端から
スラグ表面までの距離が1.7m一定となるように調整
した。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は42質量%で
あった。 (実施例2)実施例1と同じ条件下で、上吹きランス形
状のみ異なる脱燐精錬を行った。上吹きランスとして
は、ノズル孔数8、ノズル孔直径15mmのものを使用し
た。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は42質量%であ
った。 (実施例3)実施例1と同じ条件下で、上吹きランス形
状と精錬中のランス高さのみ変更した脱燐精錬を行っ
た。上吹きランスとしては、ノズル孔数4、ノズル孔直
径15mmのものを使用し、精錬中のランス高さは、ラン
ス先端からスラグ表面までの距離が3.0m一定となる
ように調整した。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は4
1質量%であった。 (実施例4)実施例1と同じ条件下で、上吹きランス形
状と精錬中の酸素流量のみ変更した脱燐精錬を行った。
上吹きランスとしては、ノズル孔数4、ノズル孔直径1
5mmのものを使用し、精錬中の酸素流量は500Nm3/h
一定とした。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は41質
量%であった。 (実施例5)実施例1と同じ条件下で、生石灰投入量、
上吹きランス形状、精錬中の酸素流量およびランス高さ
を変更した脱燐精錬を行った。生石灰の投入量は10k
gとし、上吹きランスとしては、ノズル孔数6、ノズル
孔直径20mmのものを使用し、精錬中の酸素流量は80
0Nm3/h、ランス高さは、ランス先端からスラグ表面ま
での距離が2.0m一定とした。精錬終了後のスラグ中
CaO濃度は39質量%であった。 (比較例1)実施例1と同じ条件下で、上吹きランス形
状のみ異なる脱燐精錬を行った。上吹きランスとして
は、ノズル孔数4、ノズル孔直径15mmのものを使用し
た。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は42質量%であ
った。
【0029】実施例1〜5は、いずれも(1)式を用い
て計算すると、上吹き酸素が溶銑と接触しない条件とな
っており、比較例1は接触する条件である。表1に、精
錬条件と精錬後の溶銑中P濃度および排出された最終ス
ラグ質量の一覧を示す。表1からわかるように、比較例
1と同じ生石灰投入量で、ノズル孔の数や直径、酸素流
量、ランス高さのいずれかを変更した実施例1〜4は、
いずれも精錬後の溶銑中P濃度が著しく低下しており、
高い脱燐効率が得られている。また、実施例5では、生
石灰投入量を減らしたにもかかわらず、同等の精錬後溶
銑中P濃度が得られており、排出される最終スラグ量を
大幅に削減できることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】次に、約4.5質量%のC、約0.1質量
%のP、約0.4質量%のSiを含む溶銑約6tを用い
て脱珪および脱燐精錬を行った。精錬前の溶銑温度は、
この場合も約1300℃に調整した。この組成の溶銑を
1000Nm3/hの酸素流量で精錬する場合、精錬開始
1.5分で溶銑中Si濃度が0.1質量%未満となるこ
とを予め確認し、精錬開始1.5分を精錬制御条件変更
の時期とした。 (実施例6)溶銑を試験転炉に装入し、生石灰105k
gを投入した後、上吹きランスからの酸素の吹き付けに
より12分間の脱珪および脱燐精錬を行った。上吹きラ
ンスとしては、予め設計、製作したノズル孔数4、ノズ
ル孔直径20mmのものを使用し、酸素流量は精錬開始か
ら終了まで1000Nm3/h一定とした。上吹きランス高
さは、ランス先端からスラグ表面までの距離が0.7m
一定となるように調整した。精錬終了後のスラグ中Ca
O濃度は43質量%であった。 (実施例7)実施例6と同じ条件下で、上吹きランス高
さのパターンのみ変更した脱珪および脱燐精錬を実施し
た。上吹きランス高さは、ランス先端からスラグ表面ま
での距離が、精錬開始後1.5分までは0.5m一定と
なるように、精錬開始1.5分後から精錬終了までは
0.7m一定となるように調整した。精錬終了後のスラ
グ中CaO濃度は42質量%であった。 (実施例8)実施例6と同じ条件下で、上吹きランス形
状と上吹き酸素流量のパターンを変更した脱珪および脱
燐精錬を実施した。上吹きランスとしては、ノズル孔数
4、ノズル孔直径15mmのものを使用した。酸素流量
は、精錬開始後1.5分までは1000Nm3/h一定とな
るように、精錬開始1.5分後から精錬終了までは50
0Nm3/h一定となるように調整した。精錬終了後のスラ
グ中CaO濃度は42質量%であった。 (実施例9)実施例6と同じ条件下で、生石灰投入量と
上吹きランス形状および上吹きランス高さのパターンを
変更した脱珪および脱燐精錬を実施した。上吹きランス
としては、ノズル孔数5、ノズル孔直径20mmのものを
使用した。生石灰投入量は77kgとし、上吹きランス
高さは、ランス先端からスラグ表面までの距離が、精錬
開始後1.5分までは0.5m一定となるように、精錬
開始1.5分後から精錬終了までは0.7m一定となる
ように調整した。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は3
9質量%であった。 (比較例2)実施例6と同じ条件下で、上吹きランス形
状のみ異なる脱燐精錬を行った。上吹きランスとして
は、ノズル孔数4、ノズル孔直径15mmのものを使用し
た。精錬終了後のスラグ中CaO濃度は43質量%であ
った。
【0032】比較例2は(1)式を用いて計算すると、
精錬中常に上吹き酸素が溶銑に接触する条件となってお
り、精錬中常に上吹き酸素が溶銑に接触しないようにし
た実施例6では、比較例2と比べて精錬後の溶銑中P濃
度が大幅に低下できていることがわかる。溶銑中Si濃
度が0.1質量%未満となる精錬開始後1.5分以降の
み酸素が溶銑に接触しないようにした実施例7、8で
は、更に精錬後の溶銑中P濃度が低下しており、脱燐効
率が大きく向上していることがわかる。また、生石灰投
入量を低減しても、溶銑中Si濃度が0.1質量%未満
となる精錬開始後1.5分以降のみ酸素が溶銑に接触し
ないようにすることで、実施例9のように比較例2と同
等の精錬後溶銑中P濃度が得られており、排出される最
終スラグ量を大幅に削減できることが確認できた。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明により、高効率な脱燐精錬を可能
とするとともに、発生スラグ量を大幅に低減することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶銑脱燐精錬時の転炉型容器内の酸素ジェッ
ト、スラグ、溶銑の状況を示す模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松尾 充高 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K014 AA03 AC14 AC17 4K070 AB06 AC02 AC38 BA05 BB02 BB08 BD13 BD14 CF02 EA09 EA10 EA15 EA27 EA30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス添加と酸素上吹きを行って溶
    銑を脱燐精錬する際に、上吹き酸素がスラグにより遮断
    されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、
    上吹きランス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラック
    ス添加量の少なくとも1つ以上を調節することを特徴と
    する溶銑の脱燐精錬方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶銑の脱燐方法におい
    て、下記(1)式で計算される酸素ジェットによるスラ
    グ凹み深さLSが下記(2)式で計算される酸素ジェッ
    トが当たっていない部分のスラグ厚みLSo未満となるよ
    うに、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、ランスのノ
    ズル孔径と数、フラックス添加量の少なくとも1つ以上
    を調節することを特徴とする溶銑の脱燐精錬方法。 LS=Lhexp(−0.78h/Lh) (1) 但し、Lh=63×(ρSM)-1/3×(Fo2/n/d)2/3S :酸素ジェットによるスラグ凹み深さ(mm) h :ランス先端から酸素ジェットが当たっていない部
    分のスラグ上面までの距離(mm) Lh :h=0のときのスラグ凹み深さ(mm) ρS :スラグの嵩密度(=約1500kg/m3) ρM :溶銑の密度(=6900kg/m3) Fo2:上吹き酸素流量(Nm3/h) n :上吹きランスのノズル孔数(−) d :上吹きランスのノズル孔直径(mm) LSo=WS/ρS /(πD2/4)×1000 (2) 但し、WS=WCaO/(%CaO)f×100 LSo :酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚
    み(mm) WS :スラグ質量(kg) D :スラグ表面における精錬容器の内直径(m) WCaO :添加フラックス中の総CaO質量(kg) (%CaO)f:精錬後のスラグ中CaO濃度(質量%)
  3. 【請求項3】 フラックス添加と酸素上吹きを行って溶
    銑を脱珪および脱燐精錬する際に、溶銑中Si濃度が
    0.1質量%以上である期間中は、上吹き酸素が直接溶
    銑に接触するように、上吹き酸素流量、上吹きランス高
    さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量の少な
    くとも1つ以上を調節し、溶銑中Si濃度が0.1質量
    %未満まで脱珪が進行した以降は、上吹き酸素が直接溶
    銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス
    高さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量の少
    なくとも1つ以上を調節することを特徴とする溶銑の脱
    珪および脱燐精錬方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の溶銑の脱珪および脱燐方
    法において、溶銑中Si濃度が0.1質量%以上である
    期間中は、下記(1)式で計算される酸素ジェットによ
    るスラグ凹み深さLSが下記(2)式で計算される酸素
    ジェットが当たっていない部分のスラグ厚みLSo以上と
    なるように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、ラン
    スのノズル孔径と数、フラックス添加量の少なくとも1
    つ以上を調節し、溶銑中Si濃度が0.1質量%未満ま
    で脱珪が進行した以降は、下記(1)式で計算される酸
    素ジェットによるスラグ凹み深さLSが下記(2)式で
    計算される酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ
    厚みLSo未満となるように、上吹き酸素流量、上吹きラ
    ンス高さ、ランスのノズル孔径と数、フラックス添加量
    の少なくとも1つ以上を調節することを特徴とする溶銑
    の脱珪および脱燐精錬方法。 LS=Lhexp(−0.78h/Lh) (1) 但し、Lh=63×(ρSM)-1/3×(Fo2/n/d)2/3S :酸素ジェットによるスラグ凹み深さ(mm) h :ランス先端から酸素ジェットが当たっていない部
    分のスラグ上面までの距離(mm) Lh :h=0のときのスラグ凹み深さ(mm) ρS :スラグの嵩密度(=約1500kg/m3) ρM :溶銑の密度(=6900kg/m3) Fo2:上吹き酸素流量(Nm3/h) n :上吹きランスのノズル孔数(−) d :上吹きランスのノズル孔直径(mm) LSo=WS/ρS /(πD2/4)×1000 (2) 但し、WS=WCaO/(%CaO)f×100 LSo :酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚
    み(mm) WS :スラグ質量(kg) D :スラグ表面における精錬容器の内直径(m) WCaO :添加フラックス中の総CaO質量(kg) (%CaO)f:精錬後のスラグ中CaO濃度(質量%)
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CN114096685A (zh) * 2019-07-22 2022-02-25 杰富意钢铁株式会社 铁水的脱磷方法

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