JP2002322251A - ポリエステルまたはその共重合体の連続式製造法 - Google Patents

ポリエステルまたはその共重合体の連続式製造法

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JP2002322251A JP2001127029A JP2001127029A JP2002322251A JP 2002322251 A JP2002322251 A JP 2002322251A JP 2001127029 A JP2001127029 A JP 2001127029A JP 2001127029 A JP2001127029 A JP 2001127029A JP 2002322251 A JP2002322251 A JP 2002322251A
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polyester
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stirring
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Tomiji Matsuki
富二 松木
Yoko Furuta
洋子 古田
Kazuteru Akiba
和輝 秋葉
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Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続式の溶融重縮合法において、重縮合反応の
反応性を向上させ、高重合度で高品質のポリエステルま
たはその共重体が得られる連続式製造法を提供する。 【解決手段】芳香族ジカルボン酸もしくはその誘導体を
主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオー
ルを主成分とするジオールおよび全ポリマに対し0〜9
0重量%の数平均分子量600〜4000のポリアルキ
レンエーテルグリコールを、有機チタン化合物及び/又
は有機スズ化合物の存在下で反応せしめて、ポリエステ
ルまたはその共重合体を連続的に製造するに際し、中間
工程の予備重縮合反応槽に、ボトムパドルおよび格子翼
を有し反応液の上下方向の撹拌性に優れた撹拌翼を装備
する攪拌反応槽を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルまた
はその共重合体の連続式製造法、特に予備重縮合反応工
程を高効率混合性および高反応性が得られる反応槽を使
用することにより、高粘度・高品質のポリマを工業的に
有利に得ることができるポリエステルまたはその共重合
体の連続式製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルまたはその共重合体は、機
械的性質、成形加工性、耐熱性、耐薬品性、柔軟性、屈
曲疲労性などの性能バランスが優れることから、機械部
品、自動車部品、電気・電子部品等の成形樹脂として、
さらに、繊維、フィルムをはじめ、一般消費材にまで至
る幅広い用途に使用されている。
【0003】このポリエステルまたはその共重合体の製
造法は、従来から、ジカルボン酸とジオールを先ずエス
テル化反応せしめ次いで重縮合せしめる直接重合法と、
ジカルボン酸ジアルキルエステルとジオールを先ずエス
テル交換反応せしめ次いで重縮合せしめるエステル交換
重合法の二つに大別されるが、両者とも最終的に重縮合
反応を経て所望の高粘度ポリエステルまたはその共重合
体を工業的に有利に製造することが共通する課題となっ
ている。
【0004】また、ポリエステルまたはその共重合体を
連続的に溶融重縮合せしめる製造プロセスとしては、1
〜複数の反応槽でエステル化またはエステル交換反応を
行い、それに続く予備重縮合反応槽でプレポリマーとし
た後、後続するピストンフロータイプの最終重縮合機
(以下、フィニッシャーと記す)で目標レベルの粘度ま
で重縮合を進めるのが通常である。連続式プロセスの生
産性向上、最終ポリマーの高粘度化達成については、フ
ィニッシャーに関する種々の出願、公知文献があり、多
岐にわたる検討がなされている(例えば、特公昭47−
27179号公報、特公昭61−59173号公報、特
公昭62−50179号公報)が、高粘度化の性能、生
産能力、設備費用のバランスの点で十分満足できるもの
とはいえない。一方フィニッシャーの前段である予備重
縮合槽については、顕著な効果をもたらす検討例は見あ
たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は連続式の予備
重縮合反応を特定の撹拌反応槽を用いて反応することで
最終の重縮合反応性を向上させ、高粘度・高品質のポリ
エステルまたはその共重体が得られる連続式製造法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
達成するために、連続式の製造における予備重縮合反応
装置面において、特に槽内液の撹拌混合性と反応性に注
目して鋭意検討した結果、特定の攪拌反応槽を適用する
ことで、予備重縮合反応の反応性および予備重縮合反応
から得られるプレポリマの品質を向上させるとともに、
その後の最終の重縮合反応性も向上でき、結果的に高粘
度・高品質のポリエステルまたはその共重体が得られる
を見出し本発明に到達した。
【0007】すなわち前記した本発明の目的は、芳香族
ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸ジアルキルエス
テルを主とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオ
ールを主とするジオール成分、および全ポリマに対し0
〜90重量%の数平均分子量600〜4000のポリア
ルキレンエーテルグリコールとを有機チタン化合物およ
び/または有機スズ化合物の存在下で反応せしめてポリ
エステルまたはその共重合体を連続式にて製造するに際
し、エステル化反応またはエステル交換反応率が90%
以上に到達した反応生成物を、ポリマ試料8gをo−ク
ロロフェノール100mlに溶解し、オストワルド粘度
計を使用して25℃で測定した相対粘度8以上にまで重
縮合せしめる予備重縮合反応段階を、槽内中心部に槽外
から回転ができる撹拌軸を設置し、該軸に、槽底部に下
端部を近接させて配置されるボトムパドルを有し、該ボ
トムパドル部より上位部分にアーム部分と該アーム部分
から直角方向に延びるストリップからなる格子翼を装備
した攪拌反応槽で実施することを特徴とするポリエステ
ルまたはその共重合体の連続式製造法、によって達成で
きる。
【0008】さらに、該予備重縮合反応を撹拌反応槽内
の側壁面に下部から上部まで回転軸方向に沿う複数本の
邪魔板を間隔を置いて固定して有る攪拌反応槽で実施す
ることは本発明の好ましい態様である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】まず、本発明の予備重縮合反応に用いられ
る攪拌反応槽について述べる。
【0011】一般的に槽内反応液の混合状態は、反応液
の種類および仕込量によって異なるが、槽内側壁面の形
状および攪拌翼の形状,攪拌速度等の攪拌条件によって
も大きく影響される。攪拌による循環流の方向が攪拌軸
および側壁面に対し垂直方向(以下、横方向と記す)に
近い場合の槽内反応液の混合状態は、特に槽内の底部と
上部が置換できる流れがないために混合性が低いと考え
られる。
【0012】一方、攪拌による循環流の方向が攪拌軸お
よび側壁面と同一方向(以下、縦方向と記す)に近い場
合の槽内反応液の混合状態は、槽内の底部と上部が置換
できる流れがあるために混合性が高いと考えられる。
【0013】ポリエステルまたはその共重合体の連続式
製造法において、予備重縮合反応槽の攪拌による循環流
方向と予備重縮合反応性の関係を検討した結果、循環流
の横方向に比べて、循環流の縦方向の方が、プレポリマ
の粘度上昇レベル(反応時間の短縮効果)およびプレポ
リマの品質面で優れており、予備重縮合反応性を向上で
きることがわかった。この理由としては、循環流の縦方
向の方が横方向に比べて、槽内反応液の混合性が高いこ
とから、(1)連続式の槽内滞留時間差で生じる反応進行
度の異なる不均一な反応液全体を速やかに均一な反応系
になること、(2)反応液全体が均一系になり加熱温度差
が生じないこと、(3)反応系外へ速やかに蒸発するべき
の反応生成グリコール成分が底部から上部に押し上げら
れて滞留しないこと、(4)特に、ポリエーテルエステル
ブロック共重合体を製造するに際に、ポリアルキレンエ
ーテルグリコールを予備重縮合反応槽へ添加する条件で
は、エステル化反応あるいはエステル交換反応の生成物
とポリアルキレンエーテルグリコールが速やかに混合で
き均一な反応系になること、等が推察される。
【0014】この攪拌による循環流を縦方向にし、槽内
の底部と上部の混合状態を良好に高める攪拌反応槽の構
成としては、槽内中心部に槽外から回転ができる撹拌軸
を設置し、該軸に、槽底部に下端部を近接させて配置さ
れるボトムパドルを有し、該ボトムパドル部より上位部
分にアーム部分と該アーム部分から直角方向に延びるス
トリップからなる格子翼を装着し、かつ、必要に応じて
槽内側壁面に下部から上部まで回転軸方向に沿う複数本
の邪魔板(バッフル)を間隔を置いて固定して有る攪拌
反応槽であることを特徴として挙げられる。
【0015】本発明で使用する具体的な攪拌反応槽とし
て、特開昭61−200842号公報に記載されている
住友重機械工業(株)社製の“マックスブレンド”が好
ましい。
【0016】図1は本発明に適用することができる上記
“マックスブレンド”に相当する撹拌反応槽の例であ
り、図1(a)は側断面説明図、(b)はA−A断面説明図で
ある。
【0017】この撹拌反応槽1には外部から回転可能な
撹拌軸2を中心に有し、その撹拌軸2には、下端部にボ
トムパドル3aと格子翼3bを有する撹拌翼3が設けら
れ、槽内側壁面には、下部から上部まで回転軸方向に沿
う4本の邪魔板4が間隔を置いて固定されている。
【0018】また、図2は従来の撹拌反応槽の例であ
り、ヘリカルリボン型の撹拌槽に相当するものである。
【0019】なお、本発明の予備重縮合反応槽は反応中
の槽内において、攪拌翼の周速が0.5m/sec以
上、さらに0.7m/sec以上が好ましい。この攪拌
翼の周速は、撹拌翼外周(撹拌翼外周直径×π(m))×
撹拌回転数(rpm)÷60の関係式から求めた値であ
る。攪拌翼の周速が0.5m/sec以下になると撹拌
効果が不十分になり、反応系内の温度および液混合性が
不均一になるために反応性が低下する。撹拌翼の周速の
上限は、反応槽の容積および形状に関係する攪拌翼の外
周直径、および回転数によって決まるが、目安として、
攪拌翼にかかる抵抗負荷が大きくなって攪拌翼そのもの
が変形したり、攪拌軸およびその周辺機器類に異常発生
等の問題が起きずに、安定した攪拌反応槽の運転が維持
できるレベルにとどめるべきである。
【0020】次に、本発明における予備重縮合反応と
は、エステル化反応またはエステル交換反応率が90%
以上に到達した反応生成物を、ポリマ試料8gをo−ク
ロロフェノール100mlに溶解し、オストワルド粘度
計を使用して25℃で測定した相対粘度8以上にまで反
応せしめる段階である。この際、予備重縮合反応に連続
供給するエステル化反応またはエステル交換反応を経過
して得た反応生成物の反応率は90%以上に到達してい
ることが必須であり、該反応率が90%未満になると、
予備重縮合反応槽およびフィニッシャーにおける重縮合
反応性が低下し、所望の高品質の最終ポリマを得ること
が困難になる。さらに、予備重縮合反応段階にて上記反
応生成物の相対粘度を8以上にまで高めてフィニッシャ
ーに連続供給することが重要であり、該相対粘度が8未
満になると、フィニッシャーにおける高粘度(高重合
度)化の重縮合反応が不十分になり、高粘度の最終ポリ
マを得ることに不利になる。
【0021】本発明は、芳香族ジカルボン酸を主成分と
するジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分と
するジオールおよび全ポリマに対し、0〜90重量%の
数平均分子量600〜4000のポリアルキレンエーテ
ルグリコールを必須成分として形成されるポリエステル
を連続的に製造する方法である。
【0022】本発明の芳香族ジカルボン酸成分とは、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−
2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボ
ン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸な
ど、あるいはこれら芳香族ジカルボン酸のジアルキルエ
ステルが挙げられる。これらのうち、特にテレフタル酸
成分、イソフタル酸成分が好ましく使われ、テレフタル
酸成分単一で、またはテレフタル酸成分とイソフタル酸
成分を混合して、あるいはテレフタル酸成分と他の芳香
族ジカルボン酸成分1種または2種以上を混合して用い
られる。
【0023】また、他のジカルボン酸成分として脂肪族
ジカルボン酸成分を芳香族ジカルボン酸成分と併用する
こともできる。脂肪族ジカルボン酸成分とは、C2〜C
36の脂肪族ジカルボン酸成分であり、例えばシュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレ
イン酸、フマル酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等、あるいはこれら脂肪族ジカルボン酸
のジアルキルエステルが挙げられ、特にドデカンジカル
ボン酸成分、ダイマー酸成分が好ましく使われる。これ
らは単一で、または他の脂肪族ジカルボン酸成分1種以
上を混合し、芳香族ジカルボン酸成分と併用して使われ
る。この際、脂肪族ジカルボン酸成分の添加量は、全酸
成分に対して上限40モル%まで添加できるが、40モ
ル%以上の添加量になるとポリマ融点の低下幅が大きく
なり、成形性とか耐熱性等の実用性能面が劣るので好ま
しくない。
【0024】また、ジオール成分は1,4−ブタンジオ
ールを主に使用するが、他のジオールとしては、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペン
タメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチ
ロールなどの脂環式ジオール等が挙げられ、特にプロピ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
が好ましく使われる。これらは1,4−ブタンジオール
と1種以上を混合し、全ジオール成分の30モル%以下
で用いることもできる。
【0025】また、ポリエーテルエステルブロック共重
合体を製造するに際しては、数平均分子量600〜40
00のポリアルキレンエーテルグリコールとは、脂肪族
ポリエーテルであり、例えば、ポリ(エチレンオキシ
ド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ
(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキ
シドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレ
ンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合
体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体
などが挙げられ、特にポリエステルエーテルブロック共
重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)
グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールの
エチレンオキシド付加物が好ましい。これらは単一で、
または他の脂肪族ポリエーテル1種以上を混合して用い
ることが可能である。これらの分子量は、600〜40
00の範囲であり、好ましくは800〜3000の範囲
である。600以下だと弾性特性等のエラストマとして
の特性が不十分になり、また、4000以上になるとポ
リマの相溶性が悪化して高性能のエラストマが得られな
い。これらのポリアルキレンエーテルグリコールの添加
量は、全ポリマに対して上限90重量%であり、好まし
くは、樹脂としての物性および成形性等のバランスの点
から、上限85重量%である。90重量%以上になる
と、エラストマ樹脂としての耐久性および耐熱性等の物
性が低下し、成形性も劣るようになる。
【0026】このポリアルキレンエーテルグリコールの
添加は、フィニッシャー以外ならどの段階でもよい。そ
の全量または一部をエステル化反応あるいはエステル交
換反応の反応開始前または途中に添加してもよく、また
全量もしくはエステル化反応あるいはエステル交換反応
で添加した以外の残部をそれ以降の予備重縮合反応槽ま
での各槽に添加してもよい。ポリアルキレンエーテルグ
リコールを出来るだけ後段階の反応槽に添加すること
は、品種切り替えに伴う過渡期品発生量を抑える点で好
ましい。
【0027】本発明のエステル化反応あるいはエステル
交換反応時に存在させる有機チタン化合物の例として
は、 (R1O)nTi(OR2)4-n (ただし、R1,R2は炭素数1〜10の脂肪族、脂環族
または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数を
含む)である)で表されるチタン酸エステルおよび縮合
物である。
【0028】具体的には、チタン酸のメチルエステル、
テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエス
テル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチル
エステル、テトラ-tert−ブチルエステル、シクロヘキ
シルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、
トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどが
ある。これらのうちでもテトラ−n−プロピルエステ
ル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピル
エステルが好ましく、特にテトラ−n−ブチルエステル
が好ましく用いられる。これらの有機チタン化合物は、
一種でもよく、二種以上を併用することもできる。
【0029】この有機チタン化合物の添加量は、通常、
生成ポリマ量に対して0.005〜0.4重量%、好ま
しくは0.01〜0.3重量%の範囲である。添加量が
0.005重量%より少ないと、エステル化反応ないし
重縮合反応の触媒効果が不十分であり、特にエステル化
反応においては反応時間が遅延するとともに、THFの
副生量が増加する。一方、添加量が0.4重量%より多
いと、触媒効果が飽和状態になるばかりか、生成ポリマ
の透明性が低下したり、ポリマ物性低下などの欠点が生
じるので好ましくない。
【0030】有機チタン化合物の添加時期としては、エ
ステル化反応あるいはエステル交換反応時に一括または
分割して添加してもよく、必要に応じ重縮合反応触媒と
して、エステル化あるいはエステル交換反応終了以降の
各槽に分割添加することもできる。
【0031】また、本発明でいうスズ化合物はモノアル
キルスズ化合物,モノアリールスズ化合物,ジアルキル
スズ化合物,ジアリールスズ化合物,トリアルキルスズ
化合物,トリアリールスズ化合物,テトラアルキルスズ
化合物などの有機スズ化合物である。これらのうちで特
にモノアルキルスズ化合物が好ましい。これら有機スズ
化合物の添加量は、生成ポリマ量に対して0.005〜
0.1重量%程度が好ましい範囲である。エステル化反
応性あるいはエステル交換反応性を更に高め、かつTH
Fの副生を一層抑制するために、これら有機スズ化合物
を前記有機チタン化合物と併用添加してエステル化ある
いはエステル交換反応を行うことは好ましい実施態様で
ある。
【0032】また、重縮合反応を良好に進めるために、
ヒンダードフェノール系安定剤またはアミド基含有ヒン
ダードフェノール系安定剤を予備重縮合反応までの任意
の時点に、あるいは予備重縮合反応槽中に添加すること
が有効である。これら安定剤の添加量は、生成ポリマに
対し0.02〜0.6重量%が好ましい範囲である。
【0033】また、予備重縮合反応槽において反応を良
好に進めるために、反応温度は230〜250℃、好ま
しくは235〜245℃で、反応圧力は減圧度130×
10 2〜2×102Pa(1mmHg=1.33322×
102Pa)、好ましくは、60×102〜3×102
aの条件が適用される。
【0034】
【実施例】以下に実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0035】なお、本例中、部とは重量部を意味し、エ
ステル化反応率、さらに、重縮合反応で得られたプレポ
リマおよびポリマの相対粘度、溶融粘度(MFR)、溶
液ヘイズ、カルボキシル末端基量および融点は次の方法
にて求めた。 [エステル化反応生成物の反応率] 反応率(%)=[(ケン化価−酸価)/ケン化価]×1
00 ケン化価:生成物をアルカリ加水分解し、酸で逆滴定し
て得た値。
【0036】酸化 :生成物をO−クレゾール/クロ
ロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで
滴定して得た値。 [相対粘度]ポリマ試料8gをo−クロロフェノール1
00mlで100℃,約1時間で溶解し放冷後、オスト
ワルド粘度計を使用して25℃で測定値した。 [溶融粘度(MFR)]ASTM D1238に従い、荷
重2160gで所定温度にて測定した。 [溶液ヘイズ]試料5.4gをフェノール/四塩化エタ
ン(60/40wt%)の混合溶媒40mlに加熱 溶解し、この
溶液を20mmセルに入れて直読ヘイズコンピューター
(スガ試 験機HGM-30DP)で測定した値。 [カルボキシル末端基量]サンプル1.5gをO−クレ
ゾール・クロロホルム混合溶媒50mlに加熱溶解し、
N/25エタノール性水酸化ナトリウム溶液で滴定し
た。 [融点]差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−
910型)を使い、窒素ガス雰囲 気下、10℃/分の
昇温速度で加熱したときの融解ピークの頂上温度を測定
し た。 <実施例1>テレフタル酸148部、1,4−ブタンジ
オール136部(テレフタル酸に対し1.7モル比)
を、テトラブチルチタネート0.07部、ブチルヒドロ
キシスズオキサイド0.06部とともに均一に調製した
スラリー状液、および数平均分子量約1000のポリ
(テトラメチレンオキシド)グリコール60部の混合液
を調製し補充しながら、撹拌翼を備えた第1エステル化
反応槽(槽内温度210℃,槽内減圧度800×102
Paに保持)へ連続的に供給し、反応生成水と副生TH
Fを精留塔を通じて系外に留去させて反応を進めた。次
に、第1エステル化反応槽の生成物を抜き出し、第1エ
ステル化反応槽と同一の撹拌翼を備えた第2エステル化
反応槽(槽内温度225℃,槽内減圧度600×102
Paに保持)へ連続的に供給し、反応生成水と副生TH
Fを精留塔を通じて系外に留去させて反応を進めた。第
1エステル化反応槽および第2エステル化反応槽の槽内
液量を3L、槽内液滞留を1時間30分になるように、
上記スラリー原料の供給速度およびエステル化生成物の
抜き出し速度を調節しつつ、上記のスラリー原料を供給
開始してから18時間後に連続エステル化反応工程が定
常状態になった。
【0037】次に、テトラブチルチタネート0.3
部、”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒ
ンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.3部および1,
4−ブタンジオール8部のスラリー状液を補充調製しな
がら、第2エステル化反応槽から抜き出した生成物(エ
ステル化反応率=98.8%)とともに、槽内温度24
0℃,槽内減圧度20×102Paに保持した住友重機
械工業社製の”マックスブレンド”撹拌翼を備えた予備
重縮合反応槽へ連続的に供給して反応を定常状態になる
まで進めた。予備重縮合反応槽の生成物を連続的に抜き
出して冷却固化後に細粒状にカットしてプレポリマサン
プルとし評価した結果、表1の品質特性を得た。
【0038】次に、予備重縮合反応槽から抜き出したプ
レポリマを、槽内温度250℃,槽内減圧度2×102
Pa以下に保持した最終重縮合反応槽へ連続的に供給し
て反応を進めた後、最終重縮合反応槽からストランド状
で連続的に抜き出した溶融ポリマを水冷固化し、カッタ
ーにてカッティング後、ペレットとした。予備重縮合反
応槽および最終重縮合反応槽の槽内液量を3L、槽内液
滞留を1時間30分になるように、エステル化反応生成
物の供給速度および溶融ポリマの抜き出し速度を調節
し、第2エステル化反応槽の生成物を予備重縮合反応槽
に供給開始してから15時間後に連続重縮合反応工程が
定常状態に達し、表1に示した品質のポリマを得た。
【0039】以下に示す比較例1に比べて、予備重縮合
反応槽での粘度(重合度)上昇が大きく、また触媒の不
溶化の尺度となる溶液ヘイズが小さくカルボキシル末端
基量も少ないため、最終重合機で得られるポリマーの粘
度が高く、またカルボキシル末端基量の少ない高品質の
ものが得られていることが判る。 <比較例1>予備重縮合反応槽を図2および表1に記載
したヘリカルリボン型の撹拌翼を備えた反応槽で行った
以外は実施例1と同条件にて最終重縮合反応まで連続反
応を実施し、表1に示した品質の最終ポリマを得た。 <実施例2>テレフタル酸90部、1,4−ブタンジオ
ール93部(テレフタル酸に対し1.9モル比)をテト
ラブチルチタネート0.08部とともに均一に調整した
スラリー状液を調製し補充しながら、撹拌翼を備えた第
1エステル化反応槽(槽内温度210℃,槽内減圧度8
00×102Paに保持)へ連続的に供給し、反応生成
水と副生THFを精留塔を通じて系外に留去させて反応
を進めた。次に、第1エステル化反応槽の生成物を抜き
出し、第1エステル化反応槽と同一の撹拌翼を備えた第
2エステル化反応槽(槽内温度225℃,槽内減圧度6
00×102Paに保持)へ連続的に供給し、反応生成
水と副生THFを精留塔を通じて系外に留去させて反応
を進めた。第1エステル化反応槽および第2エステル化
反応槽の槽内液量を3L、槽内液滞留を2時間になるよ
うに、上記スラリー原料の供給速度およびエステル化生
成物の抜き出し速度を調節しつつ、上記のスラリー原料
を供給開始してから18時間後に連続エステル化反応工
程が定常状態になった。
【0040】次に、分子量約2000のポリ(テトラメ
チレンオキシド)グリコール189部、テトラブチルチ
タネート0.8部および”イルガノックス”1098
(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止
剤)0.4部の混合液を調製し補充しながら、第2エス
テル化反応槽から抜き出した生成物(エステル化反応率
=99.3%)とともに、槽内温度240℃,槽内減圧
度20×102Paに保持した住友重機械工業社製の”
マックスブレンド”撹拌翼を備えた予備重縮合反応槽へ
連続的に供給して反応を定常状態になるまで進めた。予
備重縮合反応槽の生成物を連続的に抜き出して冷却固化
後に細粒状にカットしてプレポリマサンプルとし評価し
た結果、表1の品質特性を得た。さらに、予備重縮合反
応槽から抜き出したプレポリマを、槽内温度250℃,
槽内減圧度2×102Pa以下に保持した最終重縮合反
応槽へ連続的に供給して反応を進めた後、最終重縮合反
応槽からストランド状で連続的に抜き出した溶融ポリマ
を水冷固化し、カッターにてカッティング後、ペレット
とした。予備重縮合反応槽および最終重縮合反応槽の槽
内液量を3L、槽内液滞留を2時間になるように、エス
テル化反応生成物とポリ(テトラメチレンオキシド)グ
リコール原料の供給速度および溶融ポリマの抜き出し速
度を調節し、第2エステル化反応槽の生成物を予備重縮
合反応槽に供給開始してから12時間後に連続重縮合反
応工程が定常状態に達し、表1に示した品質のポリマを
得た。 <比較例2>予備重縮合反応を図2および表1に記載し
たヘリカルリボン型の撹拌翼を備えた反応槽で行った以
外は実施例2と同条件にて重縮合反応まで連続反応を実
施し、表1に示した品質の最終ポリマを得た。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の連続式の
製造法は予備重縮合反応工程を高反応性にできることか
ら、次いで行う最終重縮合反応の反応性を向上でき、結
果として高粘度・高品質のポリエステルまたはその共重
合体を有利に得ることができる。
【0043】本発明の反応性向上効果は、とりわけポリ
エーテルエステルブロック共重合体においてとりわけ大
であり、該共重合体の製造に特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における撹拌反応槽の側断面説明図(a)
およびそのA−A断面説明図(b)である。
【図2】従来のヘリカルリボン式撹拌反応槽の側断面説
明図(a)およびそのA−A断面説明図(b)である。
【符号の説明】
1 反応槽 2 撹拌軸 3 撹拌翼 4 邪魔板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋葉 和輝 愛知県名古屋市港区本星崎町字北3804番地 の19 東レ・デュポン株式会社名古屋事業 場内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC02 AD01 AD06 AE01 AE02 AE03 BA02 BA03 BA05 BA08 BA10 BD04A BD10 BF25 BF28 BF30 CB04 CB05 CB06 CB10 CC06A CH02 DB01 HA01 HB01 HB03A JB131 JC751 JF25 JF37 KC02 KC04 LA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボ
    ン酸ジアルキルエステルを主とするジカルボン酸成分と
    1,4−ブタンジオールを主とするジオール成分、およ
    び全ポリマに対し0〜90重量%の数平均分子量600
    〜4000のポリアルキレンエーテルグリコールとを有
    機チタン化合物および/または有機スズ化合物の存在下
    で反応せしめてポリエステルまたはその共重合体を連続
    式にて製造するに際し、エステル化反応またはエステル
    交換反応率が90%以上に到達した反応生成物を、ポリ
    マ試料8gをo−クロロフェノール100mlに溶解
    し、オストワルド粘度計を使用して25℃で測定した相
    対粘度8以上にまで重縮合せしめる予備重縮合反応段階
    を、槽内中心部に槽外から回転ができる撹拌軸を設置
    し、該軸に、槽底部に下端部を近接させて配置されるボ
    トムパドルを有し、該ボトムパドル部より上位部分にア
    ーム部分と該アーム部分から直角方向に延びるストリッ
    プからなる格子翼を装備した攪拌反応槽で実施すること
    を特徴とするポリエステルまたはその共重合体の連続式
    製造法。
  2. 【請求項2】該予備重縮合反応を撹拌反応槽内の側壁面
    に下部から上部まで回転軸方向に沿う複数本の邪魔板を
    間隔を置いて固定してなる攪拌反応槽で実施することを
    特徴とする請求項1に記載のポリエステルまたはその共
    重合体の連続式製造法。
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