JP2002321345A - インクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットプリンタ

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JP2002321345A
JP2002321345A JP2001128327A JP2001128327A JP2002321345A JP 2002321345 A JP2002321345 A JP 2002321345A JP 2001128327 A JP2001128327 A JP 2001128327A JP 2001128327 A JP2001128327 A JP 2001128327A JP 2002321345 A JP2002321345 A JP 2002321345A
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JP
Japan
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ink
head
printing
line head
line
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Application number
JP2001128327A
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English (en)
Inventor
Hoaki Kobayashi
穂明 小林
康博 ▲高▼井
Yasuhiro Takai
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Publication of JP2002321345A publication Critical patent/JP2002321345A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/21Ink jet for multi-colour printing
    • B41J2/2121Ink jet for multi-colour printing characterised by dot size, e.g. combinations of printed dots of different diameter
    • B41J2/2125Ink jet for multi-colour printing characterised by dot size, e.g. combinations of printed dots of different diameter by means of nozzle diameter selection

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  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラインヘッドを用いた場合に、印字、メンテ
ナンス及びインク補給を適切に行い、ひいては装置のコ
ンパクト化及び異なる解像度の印字を行い得るインクジ
ェットプリンタを提供する。 【解決手段】 印字手段は、複数のラインヘッド30…
を有し、各ラインヘッド30…は、各色相毎の、インク
を吐出する印字ヘッド32と、印字ヘッド32へインク
を補給するインク貯蔵部と、インク吐出を制御するヘッ
ド制御基板とを有する。複数のラインヘッド30をシャ
フト11の周りに回転させることによって、用紙への印
字、印字ヘッドのメンテナンス、及びインク貯蔵部への
インク補給を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートに向けてイ
ンクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関
するものであり、より詳細には、ラインヘッドを備えた
インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェットプリンタに用いら
れるインクヘッドは、大別して、シリアルヘッドとライ
ンヘッドとの2種類に分けられる。
【0003】上記シリアルヘッドとは、インクを吐出す
るインクノズルがガイドレール上を左右に移動しながら
数ドッド毎に印刷を行うインクヘッドである。シリアル
ヘッドのインクヘッドは、シリアルヘッド自体が小さい
ので、装置をコンパクトにできるとともに、シリアルヘ
ッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニットの配置
及び設計が容易である。しかし、1ライン分の画像を印
刷するために、シリアルヘッドを左右に移動させながら
数ドットずつ印刷する必要があるので、印刷速度がライ
ンヘッドと比べて遅い。また、印刷解像度が、シリアル
ヘッドのインクノズルの配列ピッチに限定されるという
欠点がある。
【0004】一方、ラインヘッドとは、印刷するシート
の幅方向つまりシート搬送方向と略垂直な方向であるラ
イン方向の全幅をカバーする多数のインクノズルを備え
たインクヘッドである。このラインヘッドでは、インク
ノズルを多数備えているため、高速に印刷できる。ま
た、シート搬送方向の印刷解像度は、シートの搬送速度
及びインクの噴出タイミングの調整によって変更が可能
である。しかし、インクノズルを多数備えているため、
ラインヘッド自体が大きくなり、ラインヘッドのメンテ
ナンスが問題になる。
【0005】すなわち、シリアルヘッドを用いたプリン
タでは、ヘッドのサイズが小さいため、メンテナンスユ
ニットをシート搬送路を避けた場所(以下、「ホームポ
ジション」という)に配設できる。このため、メンテナ
ンスユニットをホームポジション上に設置しておけば、
1ライン分の画像を形成した後に、ホームポジションに
おいてヘッドのメンテナンスを行える。
【0006】一方、ラインヘッドを用いたプリンタで
は、ヘッド自体が大きいので、ホームポジションを設け
られない。したがって、ラインヘッドでは、メンテナン
スユニットの設置場所が問題になる。そこで、シート搬
送路の上部に、メンテナンスユニットとラインヘッドと
を並列に配置し、メンテナンスを行う際に、ノズルをメ
ンテナンスユニットに向けるようにラインヘッド自体を
回転させ、メンテナンスユニットをラインヘッドに接近
させる構成が広く用いられている。しかし、この構成で
は、ラインヘッド自体の回転によって、インクヘッド内
に備えられているインクノズルの中に空気が入り込み、
印刷不良を引き起こす場合がある。また、インクノズル
内に備えられている電極に空気が入り込み、電極の発熱
効果によりインクヘッドが破壊されてしまう可能性もあ
る。
【0007】また、特開平11−291511号公報に
は、ラインヘッドとシートとの距離を一定に保つために
備えられているプラテンの下方にメンテナンスユニット
を配置した構成が開示されている。そして、この構成で
は、印刷動作の行われていないときに、プラテンを退避
させ、メンテナンスユニット上昇させてラインヘッドに
近接させることにより、メンテナンスを行うようになっ
ている。
【0008】一方、印字の高速化を図るために、特開平
10−34902号公報には、1つのキャリッジの両側
にそれぞれ印字ヘッドを設け、2つの給紙カセット(奇
数ページ用と偶数ページ用)から上記2つの印字ヘッド
にぞれぞれ用紙を搬送しつつ同時に印字を行い、奇数ペ
ージは反転路で反転させた上で1つの排紙トレー上に排
出するようにしたインクジェット画像形成装置が提案さ
れている。このように、2枚の用紙に同時に印字を行う
ことによって、印字速度が大幅に高速化できる手法が開
示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のラインヘッド自体を回転させてメンテナンスを行う
構成では、上記の問題点に加え、ラインヘッド自体を回
転させるものとメンテナンスユニットをヘッドに近づけ
るものとの2つの駆動機構が必要であり、プリンタの機
構を複雑化してしまうという問題点がある。
【0010】また、プラテンを退避させ、ラインヘッド
の下方からメンテナンスを行う構成においても、プラテ
ンの退避とメンテナンスユニットの移動とを実行するた
めの2つの駆動機構が必要である。
【0011】さらに、特開平10−34902号公報に
記載されているインクジェット画像形成装置では、給紙
カセットが2つ必要になる等装置が大型化してしまうと
いう問題点があった。また、奇数ぺ一ジの用紙を反転し
て排出するため、偶数ページと奇数ページの先端/後端
が逆になってしまうという問題点もある。さらに、この
インクジェット画像形成装置では、複数枚の連続印字時
には大幅な印字の高速化が期待できるものの、印刷物に
おける解像度を変えて印字を行うことができないという
問題点もあった。
【0012】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、ラインヘッドを用いた場
合に、印字、メンテナンス及びインク補給を適切に行
い、ひいては装置のコンパクト化及び異なる解像度の印
字を行い得るインクジェットプリンタを提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
プリンタは、上記課題を解決するために、原稿を読み取
る読み取り手段から送信される画像情報、又はネットワ
ーク上に繋がれた端末装置から転送される画像情報を印
字する印字手段と、印字に用いる用紙を収納しかつ印字
要求に応じて用紙を搬送する給紙手段と、印字終了後の
用紙を搬送しかつ装置外部に排出する排紙手段を備えた
インクジェットプリンタにおいて、上記印字手段は、複
数のラインヘッドを有し、各ラインヘッドは、各色相毎
の、インクを吐出する印字ヘッドとこの印字ヘッドへイ
ンクを補給するインク貯蔵部とインク吐出を制御するヘ
ッド制御基板とを有する一方、上記複数のラインヘッド
を回転支持軸の周りに回転させることによって、用紙へ
の印字、印字ヘッドのメンテナンス、及びインク貯蔵部
へのインク補給を行なうことを特徴としている。
【0014】上記の発明によれば、複数のラインヘッド
を回転支持軸の周りに回転させることによって、用紙へ
の印字、印字ヘッドのメンテナンス、及びインク貯蔵部
へのインク補給を行なう。
【0015】すなわち、複数のラインヘッドを例えば観
覧車のように回転支持軸の周りに回転させることによっ
て、各ラインヘッドを例えば下方の印字位置に導くこと
ができるとともに、その印字位置以外の回転位置では印
字ヘッドのメンテナンス、インク貯蔵部へのインク補給
を行なうことができる。
【0016】また、各ラインヘッドとして、異なる解像
度の印字を行う印字ノズルを使用すれば、該当するライ
ンヘッドを印字位置にまで回転させることにより、その
解像度の印字を行うことができる。
【0017】また、このように各ラインヘッドを回転支
持軸の周りに回転させることにより、円形軌道の近傍で
印字、メンテナンス及びインク補給の全てができるの
で、装置もコンパクトになる。
【0018】したがって、ラインヘッドを用いた場合
に、印字、メンテナンス及びインク補給を適切に行い、
ひいては装置のコンパクト化及び異なる解像度の印字を
行い得るインクジェットプリンタを提供することができ
る。
【0019】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、印字
手段は、回転支持軸と一体に回転するアームと、このア
ームの先端に設けられた各連結軸に回動自在に軸支され
る各キャリッジを有するとともに、各ラインヘッドは、
これら各キャリッジに保持されていることを特徴として
いる。
【0020】上記の発明によれば、印字手段は、回転支
持軸と一体に回転するアームと、このアームの先端に設
けられた各連結軸に回動自在に軸支される各キャリッジ
を有している。そして、各ラインヘッドは、これら各キ
ャリッジに保持されている。
【0021】このため、各ラインヘッドは各キャリッジ
に保持され、アームが回転支持軸と一体に回転すること
によって、各ラインヘッドが観覧車のように回転し、そ
のとき、絶えず、印字ヘッドを下方に向けさせることが
できる。
【0022】したがって、印字ヘッドを絶えず下方に向
けた状態で用紙への印字、印字ヘッドのメンテナンス、
及びインク貯蔵部へのインク補給を行なうので、各ライ
ンヘッド自体を回転することによる吐出ノズルへの空気
流入による印字不良や電極に空気が入り込むことによる
印字ヘッドの破壊を防止することができる。
【0023】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドのホームポジションは、印字位置、印字ヘッ
ドのメンテナンス位置、及びインク貯蔵部へのインク補
給位置とは異なる回転停止位置であることを特徴として
いる。
【0024】上記の発明では、各ラインヘッドのホーム
ポジションは、印字位置、印字ヘッドのメンテナンス位
置、及びインク貯蔵部へのインク補給位置とは異なる回
転停止位置となっている。
【0025】したがって、各ラインヘッドが装置の停止
中つまり電源のOFF時及び待機中に、何らかの衝撃、
例えば、ユーザのインクタンク補給時や持ち運び等での
衝撃を受けた場合にも、メンテナンスユニット、補給用
インクタンク等と各ラインヘッドとが接触して、これら
メンテナンスユニット、補給用インクタンク及び印字ヘ
ッド等を破壊するというおそれがなくなる。
【0026】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドの印字ヘッドは、各ラインヘッド間で互いに
インク吐出径が異なることを特徴としている。
【0027】上記の発明によれば、各ラインヘッド間で
互いに、例えば200dpi用、300dpi用、60
0dpi用及び1200dpi用等のようにそれぞれイ
ンク吐出径が異なるので、これによって、例えばライン
ヘッドを回転して所望のインク吐出径を印字位置にセッ
トすることによって、確実に、異なる解像度の印字を行
い得るインクジェットプリンタを提供することができ
る。
【0028】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドにおける各色相用の吐出ノズルの配置は、各
ラインヘッド間において、同一基準位置からの距離が各
色相用の吐出ノズル毎にそれぞれ同じであることを特徴
としている。
【0029】すなわち、例えば、各ラインヘッド間にお
いて、各色相用の吐出ノズルの配置が異なっていると、
メンテナンス時にはメンテナンス工程の顔拭き工程にお
いて、吐出ノズルに多色のインクの混色が発生する。ま
た、印字時には、インク配置位置が異なると、各解像度
によって制御方式が異なり、複数のインク吐出タイミン
グ制御が必要となる。
【0030】しかし、本発明では、各ラインヘッドにお
ける各色相用の吐出ノズルの配置は、各ラインヘッド間
において、同一基準位置からの距離が各色相用の吐出ノ
ズル毎にそれぞれ同じとなっている。
【0031】このため、メンテナンス工程の顔拭き工程
において、吐出ノズルに多色のインクの混色が発生する
ことがなくなる。また、一つのタイミング制御にて多解
像度の印字が可能となる。
【0032】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、給紙
手段は、画像情報の解像度によって用紙の搬送速度を変
更する一方、印字手段は、その変更した搬送速度に対応
して各ラインヘッドでのインク吐出を行なうことを特徴
としている。
【0033】上記の発明によれば、用紙の搬送速度に対
応して各ラインヘッドでのインク吐出を行なうので、副
走査方向の解像度変換が可能となる。
【0034】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、印字
位置には、回転してくる各ラインヘッドと対峙する例え
ばプラテン等の印字位置用紙搬送部材が設けられるとと
もに、この印字位置用紙搬送部材に対して、印字位置に
おける各ラインヘッドとの対向空隙距離を変更させる例
えば駆動源によるカム方式等の距離変更手段が設けられ
ていることを特徴としている。
【0035】すなわち、印字工程で、インクジェットプ
リンタの印字品位を決定する重要な要素の1つとして用
紙上面と印字ヘッドとの間の対向空隙距離の確保があ
る。この対向空隙距離の確保は、従来では、ユーザが使
用する用紙種類を選択した後、レバー等で手動調整を行
っていた。
【0036】しかし、本発明においては、その対向空隙
距離の調整を、例えば駆動源によるカム方式等の距離変
更手段を採用することにより、プラテン等の印字位置用
紙搬送部材高さを調整することによって実現することが
可能となる。したがって、用紙が印字ヘッドを擦った
り、対向空隙距離が適正でないことによる印字品位の低
下の招来を未然に防止できる。なお、対向空隙距離は、
インクジェットプリンタの機構と、印字解像度、インク
飛翔粒の大きさ、飛翔速度によって異なるが、一般的に
は約0.5〜2.0mmの範囲とされている。
【0037】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドが印字位置に到達したときにおける例えばプ
ラテン等の印字位置用紙搬送部材の対向空隙距離の調整
は、印字要求によって給紙される用紙厚みとこの印字位
置用紙搬送部材の厚さとに基づいて、各ラインヘッドの
印字ヘッドにおける吐出ノズルの先端と搬送される用紙
の上面との距離が常に一定となるように行なわれること
を特徴としている。
【0038】上記の発明によれば、例えばプラテン等の
印字位置用紙搬送部材の対向空隙距離の調整は、印字要
求によって給紙される用紙厚みとこの印字位置用紙搬送
部材の厚さとに基づいて、各ラインヘッドの印字ヘッド
における吐出ノズルの先端と搬送される用紙の上面との
距離が常に一定となるように行なわれる。
【0039】したがって、例えばプラテン等の印字位置
用紙搬送部材の上昇時の高さが規制され、吐出ノズルと
プラテンとの衝突が防止できる。このため、吐出ノズル
の破壊、及び印字用紙が通過した後のプラテンのインク
汚れによる用紙裏面汚れの防止を図ることができる。
【0040】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドの印字ヘッドには、吐出ノズルからのインク
の乾燥を防止するインク乾燥遮蔽部材が配置されるとと
もに、印字すべきラインヘッドが印字位置に到達したと
きに、このインク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を
解除する遮蔽解除手段が設けられていることを特徴とし
ている。
【0041】上記の発明によれば、各ラインヘッドの印
字ヘッドには、吐出ノズルからのインクの乾燥を防止す
るインク乾燥遮蔽部材が配置される。このため、複数の
ラインヘッドに配置される吐出ノズルからのインク乾燥
が防止でき、印字ヘッドの目詰まり防止、印字ヘッドメ
ンテナンスサイクルの長寿命化、及びメンテナンス時に
インクの吸引、唾吐きの各動作でインクを消費すること
によるインク消費量の低減が図れる。
【0042】また、本発明では、印字すべきラインヘッ
ドが印字位置に到達したときに、遮蔽解除手段が、イン
ク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を解除するので、
印字に際して、インク乾燥遮蔽部材が邪魔になることも
ない。
【0043】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、遮蔽
解除手段は、インク乾燥遮蔽部材のラインヘッド回転前
方側端部とラインヘッド回転後方側端部とをそれぞれ保
持すべくキャリッジの側壁に取り付けられたスプリング
と、インク乾燥遮蔽部材の下方に配置されて、ラインヘ
ッドの回転に伴ってこのインク乾燥遮蔽部材のラインヘ
ッド回転前方側端部に当接するインク乾燥遮蔽部材回動
突起とからなっていることを特徴としている。
【0044】上記の発明によれば、各ラインヘッドの下
側には吐出ノズルからのインクの乾燥を防止するインク
乾燥遮蔽部材が設けられているとともに、このインク乾
燥遮蔽部材はラインヘッド回転前方側端部とラインヘッ
ド回転後方側端部との2箇所をスプリングで保持されて
いる。したがって、各ラインヘッドは回転するので、イ
ンク乾燥遮蔽部材に当接する位置にまでインク乾燥遮蔽
部材回動突起を突き上げることにより、当接後にさらに
ラインヘッドを回転させると、ラインヘッドのみが回転
しインク乾燥遮蔽部材が止まることになり、吐出ノズル
のインク乾燥遮蔽部材による遮蔽が解除される。
【0045】その結果、印字すべきラインヘッドが印字
位置に到達したときに、遮蔽解除手段が、確実に、イン
ク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を解除するので、
印字に際して、インク乾燥遮蔽部材が邪魔になることも
ない。
【0046】また、インク乾燥遮蔽部材は、スプリング
で保持されているので、インク乾燥遮蔽部材回動突起の
インク乾燥遮蔽部材への係止を解除すれば、インク乾燥
遮蔽部材は、元の位置に戻り、吐出ノズルを遮蔽するこ
とができる。
【0047】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、上記
印字手段は、回転してくる各ラインヘッドに対峙する補
給用インクタンクと、上記補給用インクタンクを、回転
してくる各ラインヘッドに対してインクを補給すべく当
接した当接位置と退避した退避位置とに移動させるイン
クタンク移動手段とを備えていることを特徴としてい
る。
【0048】すなわち、インクジェットプリンタではイ
ンクの補給が必要であり、その手法は、一般的には、イ
ンクタンクとインク貯蔵部とを有しインク貯蔵部ヘのイ
ンク補給方式を用いる手法と、インクカートリッジを用
いて、所定印字が終了後インクの有無によってユーザに
インクカートリッジの交換を促す方式とがある。
【0049】本発明においては、複数の回転するライン
ヘッドを用いるため、その回転負荷を低減することから
前者のインクタンクとインク貯蔵部とを有しインク貯蔵
部ヘのインク補給方式を用いる手法を用いる。したがっ
て、インク貯蔵部の容量を少なくすることが好ましい。
【0050】そして、本発明では、インクタンク移動手
段により、補給用インクタンクを複数のラインヘッドの
回転軌跡から退避可能とする。これによって、複数のラ
インヘッドの回転時に、補給用インクタンクがラインヘ
ッドを構成する各部材に接触することなく回転すること
ができる。
【0051】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、補給
用インクタンクは、その内部にインク収納部を有すると
ともに、上記インク収納部の下部には、各ラインヘッド
に設けられたインク貯蔵部に挿入してインクを補給する
ためのインク補給用管と、このインク補給用管の開口の
開閉を行なうインク補給用駆動手段とが設けられている
ことを特徴としている。
【0052】上記の発明によれば、ラインヘッドのイン
ク貯蔵部にインクを補給するときには、補給用インクタ
ンクにおけるインク収納部の下部に設けられたインク補
給用管を、インク貯蔵部に挿入してインクを補給する。
そして、インク補給用駆動手段にてインク補給用管の開
口を開け、インクを補給する。
【0053】したがって、インク補給が容易で簡便に実
施できるととともに、補給時のインク漏れを解消するこ
とができる。
【0054】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、補給
用インクタンクは、複数種類の色相のインクをそれぞれ
区分けして収納すべくインク収納部が分割されていると
ともに、各ラインヘッドに設けられた各色相毎のインク
貯蔵部に設けられるインク供給部の位置は、各色相のイ
ンクに応じて互いに位置が異なることを特徴としてい
る。
【0055】上記の発明によれば、補給用インクタンク
のインク収納部は色相毎に分割されている。また、ライ
ンヘッドのインク貯蔵部に設けられるインク供給部の位
置も、各色相のインクに応じて互いに位置が異なる。
【0056】このため、補給動作時に間違って補助イン
クタンクに異なった色相のインクを補給しなくなり、イ
ンクの混色を防止でき、印字品位の安定が図れる。
【0057】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、回転
してくる各ラインヘッドに対峙するメンテナンスユニッ
トと、上記メンテナンスユニットを、回転してくる各ラ
インヘッドの印字ヘッドに対して、メンテナンスすべく
当接した当接位置と、退避した退避位置とに移動させる
メンテナンスユニット移動手段とを備えていることを特
徴としている。
【0058】すなわち、インクジェットプリンタでは、
印字ヘッド、吐出ノズルを清掃、吸引するメンテナンス
工程が回避不可能である。
【0059】そこで、本発明では、回転する複数のライ
ンヘッドのメンテナンスを効率良く実施するために、回
転してくる各ラインヘッドに対峙するメンテナンスユニ
ットを設けている。また、メンテナンスユニット移動手
段によって、メンテナンスユニットを複数のラインヘッ
ドの回転軌跡から退避可能としている。
【0060】したがって、複数のラインヘッドが回転す
るときに、メンテナンスユニットがラインヘッドを構成
する各部材、特に印字ヘッドや吐出ノズルに接触するこ
となく回転することができる。
【0061】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、メン
テナンスユニットは、その内部に、インク吸引用サクシ
ョンによって廃棄されたインクを回収する廃棄インク回
収部と、印字ヘッド面の清掃を行う弾性ブレードと、こ
の弾性ブレードを進退駆動するブレード駆動手段とを備
えていることを特徴としている。
【0062】上記の発明によれば、メンテナンスユニッ
トは、その内部に、インク吸引用サクションによって廃
棄されたインクを回収する廃棄インク回収部と、印字ヘ
ッド面の清掃を行う弾性ブレードと、この弾性ブレード
を進退駆動するブレード駆動手段とを備えているので、
メンテナンス工程のインク吸引工程、唾吐き工程、及び
顔拭き工程の実施が可能となる。また、廃棄インク回収
部を有することによって、インクの機内飛散を防止する
ことができる。
【0063】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、弾性
ブレードは、メンテナンスユニットの内部において、複
数個設けられるとともに、各弾性ブレードは、同一駆動
源からなるブレード駆動手段によってそれぞれ進退移動
されることを特徴としている。
【0064】上記の発明によれば、弾性ブレードは、メ
ンテナンスユニットの内部において、複数個設けられる
とともに、各弾性ブレードは、同一駆動源からなるブレ
ード駆動手段によってそれぞれ進退移動される。
【0065】このため、ラインヘッドを用いたときのメ
ンテナンス工程で最も時間のかかる顔拭き工程の時間短
縮が可能となる。また、複数の色相別に弾性ブレードを
複数個設けることによって、メンテナンス工程でのイン
クの混色が防止可能となり、印字品位の向上が図れる。
【0066】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態について図1ないし図12に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。
【0067】本実施の形態のラインヘッドを有するイン
クジェットプリンタ1は、図2に示すように、下部に給
紙トレイ2が設けられるとともに、その上側には排紙ト
レイ8が設けられている。
【0068】上記の給紙トレイ2は、印刷用の用紙を蓄
積しておくためのものである。また、排紙トレイ8は、
搬送路の終端に設けられ、印刷済みの用紙を載置するた
めの載置台である。
【0069】上記インクジェットプリンタ1の内部に
は、図3に示すように、給紙トレイ2に収納された用紙
Pの搬送方向に沿って、順に、ピックアップローラ3、
PS(Paper Stop)ローラ4、プラテン5、乾燥ユニット
6及び排出ローラ7、及び上述した排紙トレイ8が設け
られている。さらに、本実施の形態のインクジェットプ
リンタ1は、図示しないコンピュータ等の画像処理装置
から送信される画像データを受信し、上記の各部材2〜
7を制御して画像形成である印刷を行う図示しない制御
部を備えている。
【0070】上記のピックアップローラ3は、上記制御
部から受ける給紙命令に応じて、給紙トレイ2にセット
された用紙Pを、1枚毎に搬送路に送り込むための給紙
ローラである。PSローラ4は、搬送路上の用紙Pを、
印刷に適した位置に配置するためのものである。すなわ
ち、PSローラ4は、給紙トレイ2から搬送されてきた
用紙Pの印刷領域の先端を、印刷の開始位置まで搬送
し、その状態で一旦停止する。そして、後述する印刷工
程に応じて、順次、用紙Pを搬送させるように設定され
ている。
【0071】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1は、用紙Pの搬送方向の略垂直な方向であるライ
ン方向に沿って、インクを吐出する印字ヘッド32…を
複数備えたラインヘッド30を有している。ラインヘッ
ド30は、制御部の制御により、搬送路を搬送されてき
た用紙Pに対して、印字ヘッド32…からインクを吐出
して画像を印刷するものである。このラインヘッド30
は、一度に多数のドットを印刷でき、印字ヘッド32…
が、用紙Pの全幅に備えられたラインヘッド30の場
合、1ラインを一度に印刷できるようになっている。
【0072】上記のプラテン5は、用紙Pを搬送するた
めの台であり、ラインヘッド30と用紙Pとの間隔を一
定にするために備えられている。また、乾燥ユニット6
は、印刷によって用紙Pに吐出されたインクを乾燥させ
るものである。排出ローラ7は、排紙トレイ8に対し
て、排紙路上の用紙Pを適切に排出するための排紙装置
である。
【0073】なお、上記ラインヘッド30、プラテン5
及び後述するアームとしての十字状アーム12等のライ
ンヘッド30を回転させるための機構並びにメンテナン
スユニット50及び補給用インクタンク60は本発明の
印字手段としての機能を有している一方、給紙トレイ
2、PSローラ4は給紙手段としての機能を有し、さら
に、乾燥ユニット6、排出ローラ7及び排紙トレイ8は
排紙手段としての機能を有している。
【0074】次に、上記構成のインクジェットプリンタ
1における印字手段の詳細について以下に説明する。
【0075】本実施の形態では、図1に示すように、回
転支持軸としてのシャフト11に一体に取り付けられた
十字状アーム12が設けられており、この十字状アーム
12はシャフト11の回転に伴って一体に回転するよう
になっている。そして、この十字状アーム12の各アー
ムの先端には回動穴がそれぞれ穿設されているととも
に、この回動穴には各ラインヘッド30…を内蔵するキ
ャリッジ20の連結軸としての回動ピン21が通されて
おり、これによって、キャリッジ20はこの回動ピン2
1に回動可能に軸支されている。したがって、本実施の
形態では、十字状アーム12はアームが十字状に4個存
在することから、ラインヘッド30…も4個存在するも
のとなっている。なお、本実施の形態では、ラインヘッ
ド30…は4個としているが、必ずしもこれに限らず、
他の複数個であってもよい。また、アームとしての十字
状アーム12についても、必ずしも十字状に限らず、三
角形、四角形等の多角形又は円形、楕円形であってもよ
い。
【0076】上記シャフト11は、図4に示すように、
上記インクジェットプリンタ1の中央を貫通して設けら
れているとともに、その両端部に上記十字状アーム12
・12が設けられている。そして、シャフト11の片方
の最端部には、従動ギア13が設けられており、この従
動ギア13は駆動ギア14に歯合されて回転駆動源15
と連結されている。
【0077】一方、十字状アーム12・12に懸架され
るキャリッジ20は、図5(a)に示すように、横方向
に長い直方体の筐体からなっており、側壁には回動ピン
21・21が設けられている。したがって、キャリッジ
20は、図5(b)に示すように、十字状アーム12に
穿設された回動穴12aに回動ピン21が通されること
によりに軸支されて回動可能となっている。
【0078】すなわち、回動ピン21は、キャリッジ2
0を十字状アーム12に接合するだけでなく、十字状ア
ーム12の回動穴12aに遊嵌されることによって、十
字状アーム12が回転したときにキャリッジ20の天地
を逆転しない構成としている。このことは、インクジェ
ットプリンタ1のラインヘッド30にとっては重要なこ
とである。つまり、前記シャフト11が回転することに
よってキャリッジ20が十字状アーム12によって上方
に移動しながら回転すると、回動ピン21が単純にキャ
リッジ20を位置固定した状態では、キャリッジ20を
収納するラインヘッド30が印字位置で逆方向を向く形
となる。このような状態では、各ラインヘッド30…
は、後述するように、その中に配置されるインク貯蔵部
が重力の関係で下方に滞留し、印字ヘッドとインク貯蔵
部との間に空気層を挟む形態となる。そして、このまま
放置されると、印字ヘッド中のインクはインク貯蔵部に
逆流することとなり、印字ヘッドに空気層が発生する。
このように空気層が混入した印字ヘッドをシャフト11
の回転によって、ラインヘッド30が印字位置に回転し
て到達した後に印字を実施すると、インク吐出用の電極
周辺の空気層が発熱し、インクを必要量吐出しないだけ
でなく、電極部の温度が上昇し、電極破壊が発生する。
すなわち、印字ヘッドが破壊される状態となる。したが
って、回転する十字状アーム12とキャリッジ20とは
回動ピン21・12で回転自在の構成とし、十字状アー
ム12が回転して、常にキャリッジ20つまりラインヘ
ッド30は下方を向いた形を保持する必要がある。な
お、本実施の形態では、十字状アーム12に回動穴12
aを穿設し、この回動穴12aに回動ピン21を通して
いるが、必ずしもこれに限らず、十字状アーム12に突
設ピンを設け、これをキャリッジ20に形成した穴に通
してキャリッジ20を回動自在にすることも可能であ
る。
【0079】また、図5(a)に示すように、キャリッ
ジ20は、下部の殆ど全面が開口22となっており、両
側壁23・23の内側下部にはラインヘッド30の側面
を固定するための側面位置固定部材24・24がそれぞ
れ設けられている。また、キャリッジ20の上部には、
蓋部材25・25がそれぞれ側壁23・23の上端部に
回動自在に設けられており、この蓋部材25・25を開
けてラインヘッド30をキャリッジ20に収納した後、
この蓋部材25・25を閉じることにより、ラインヘッ
ド30の上部を固定できるようになっている。すなわ
ち、蓋部材25・25の回動中心の近傍及びキャリッジ
20の側壁23・23の上端部にはそれぞれキャリッジ
20を固定するための位置固定用突起26・26が設け
られている。
【0080】次に、上記キャリッジ20に収納、保持さ
れるラインヘッド30について、以下に説明する。
【0081】ラインヘッド30は、図6(a)(b)に
示すように、インク貯蔵部31と印字ヘッド32とヘッ
ド制御基板としてのインク吐出制御基板33とによって
構成されされている。
【0082】上記インク貯蔵部31は、その内部に発泡
性部材の吸収部材からなるインク吸収部34を有してお
り、貯蔵されるインクを印字ヘッド32に均一に補給す
るための役目をしている。また、このインク貯蔵部31
へは、インク貯蔵部31の上部にあるインク供給部35
を通して後述する補給インクタンクからインクが供給さ
れるようになっている。なお、本実施の形態において
は、ラインヘッド30にインク貯蔵部31を設ける構成
となっているが、その目的は、前記十字状アーム12に
て回転駆動を行うときに、複数のラインヘッド30…を
回転させるときの回転負荷を少しでも小さくするために
インク貯蔵部31を用いているものであり、回転負荷に
耐えることが可能な回転駆動源15が使用可能である場
合には、インクカートリッジ方式を採用しても良い。
【0083】次に、インク吐出制御基板33について説
明する。先ず、画像情報がインクジェットプリンタ1の
図示しない制御部に入力されると、この制御部にて印字
用画像処理と解像度確認が行なわれる。そして、印字用
画像データとして変換された後に、インク吐出制御基板
33にその変換データが転送され、印字ヘッド32に対
してインク吐出速度に応じて、各ノズル1つ1つにイン
ク吐出信号が伝達される。
【0084】次に、上記印字ヘッド32のノズルについ
て詳細に説明する。上述したように、本実施の形態のラ
インヘッド30は、十字状アーム12に懸架される4個
のラインヘッド30…からなっている。本実施の形態で
は、これら4個のラインヘッド30…について、図7
(a)〜(d)に示すように、各印字ヘッド32…のノ
ズル径がそれぞれ200dpi用、300dpi用、6
00dpi用、1200dpi用となるように、各ライ
ンヘッド30a・30b・30c・30dを使い分けて
いる。これは、4個のラインヘッド30…を有すること
から、同一の解像度を印字するためのラインヘッド30
…を4個有することよりも異なった解像度用のラインヘ
ッド30…を有する方が有効であるためである。すなわ
ち、印字要求を行う画像情報によっては、例えばFAX
からの印字要求解像度は低解像度が多く、逆に、コンピ
ュータ等からの印字要求では高解像度が多い。
【0085】なお、このように使い分けることは、イン
クジェットプリンタ1の解像度認識範囲とその性能とに
よって異なることは明らかである。
【0086】例えば、200dpi用ドットを印字する
ための印字ヘッド32aは、図7(a)に示すように、
黒インク吐出用ノズルが配置されている。この黒インク
吐出用ノズルは、モノクロ用して使用される。各ノズル
の配置は例えば3列で構成され、この3列で印字の主走
査方向の1ライン印字が可能となる。なお、同図におい
ては、ノズルの配置は例えば3列となっているが、必ず
しも3列に限らず、他の複数列であってもよい。また、
ノズルとして、この黒インク吐出用ノズル以外に、フル
カラー用のノズル(加法混色を基本としたイエローノズ
ル、マゼンタノズル、シアンノズル)が設けられてい
る。そして、これらのフルカラー用のノズルも黒インク
吐出用ノズルと同様の配置が行われている。
【0087】ここで、解像度が異なっても、印字用ノズ
ルの配置位置は特に注意が必要である。すなわち、同図
7(a)〜(d)に示すように、各解像度が異なっても
ノズルの配置ポジションを同一位置とする必要がある。
具体的には、各ラインヘッド30…において、所定基準
位置からの距離(同図ではLy、Lm、Lc、Lb)を
同一とする必要がある。
【0088】この理由は、ノズル配置位置が異なる時、
印字位置では、用紙Pへの印字スタート位置が固定でき
ずに、印字品位の低下を招来する。このとき印字品位を
確保するためには上記インク吐出制御基板33が各イン
ク吐出スタート位置を記憶し、画像情報に合わせて複雑
な制御を行なう必要がある。しかし、本実施の形態のよ
うに、ノズル配置位置を各解像度においてそれぞれ同一
位置からスタートさせることによってスタート位置検出
用の制御は1つで済み、印字品位の向上も図れる。
【0089】また、後述するように、メンテナンスユニ
ットにおいてはさらに深刻であり、メンテナンス工程の
顔拭き工程では弾性ブレードがインクノズル面を清掃す
るもっとなっているが、吐出ノズル21…の配置位置が
各ラインヘッド30…よって異なると、弾性ブレードが
複数のインク色によって汚れ、その結果、吐出ノズル2
1…の混色を招来し、印字品位の低下を招くこととな
る。
【0090】次に、印字解像度と用紙搬送速度の関係に
ついて説明する。本実施の形態における複数のラインヘ
ッド30…のラインは印字方向の主走査方向に配列され
ており、副走査方向つまり印字用紙搬送方向について
は、吐出ノズルから吐出されるインク粒の吐出サイクル
と用紙搬送速度とによって印字枚数が決定する。例え
ば、200dpi用ドットの印字ヘッド32aでは、イ
ンク粒吐出サイクルを100回/秒とすると、用紙搬送
速度は (1inch/200dpi)×l00回/秒≒12.
68(mm/sec) となり、搬送される用紙PがA4サイズ(210×29
9mm)の時は、印字速度は約2.5枚/分となる。し
たがって、ラインヘッド30の印字速度を向上する手法
の1つとしては、インク粒吐出サイクル回数を増加する
ことが必要であり、上記100回/秒のインク粒吐出サ
イクルを1000回/秒とすることによって印字速度は
約25枚/分となる。
【0091】しかし、印字品位の保証及び吐出ノズルの
保証からインク粒吐出サイクルのむやみな増加は望めな
い。すなわち、インク粒吐出サイクルを増加した時、吐
出ノズルヘのインク補給が充分可能であるか、また、イ
ンクを吐出する吐出ノズル内の電極の発熱現象がインク
の組成分解、乾燥を招来し、印字用紙上の印字色相の変
化を来たさないか等々の問題点を持っている。このよう
な現象は、例えばサーマル系の吐出ノズルを有する装置
で顕著に表れる。また、上記の説明では、同一解像度に
ついての説明を行ったが、本実施の形態のように、複数
の解像度に対応可能なインクジェットプリンタ1におい
ては、解像度が異なることによって印字速度が低下す
る。例えば、200dpi用ドットの印字ヘッド32a
と1200dpi用ドットの印字ヘッド32dとでは、
印字速度は印字ヘッド32aの方が印字ヘッド32dに
比べて6倍早くなる。
【0092】この対処方法は、上記インク粒吐出サイク
ルとラインヘッド30の配列数及び用紙搬送速度とによ
って調整する必要がある。
【0093】したがって、本実施の形態では、ポイント
説明を明確にするために、主走査方向の印字ラインが1
ラインの実施の形態を説明したが、実装置に搭載する時
は、印字速度とインク粒吐出サイクルとを考慮し、一度
に複数の主走査方向の印字を行える複数ライン方式を用
いて、上記インク粒吐出サイクルを極力小さくし、上記
問題点の発生を解消することが必要である。
【0094】また、本実施の形態では、モノクロ、フル
カラー用の印字ヘッド32a・32b・32c・32d
について述べたが、この吐出ノズルの配置に、指定色の
ノズルを配置しても良い。指定色とは、ユーザが良く使
用するインク色であってよく、会社、学校等の推奨色を
配置することも可能である。また、インクジェットプリ
ンタ1が指定する指定色は、通常、画像形成装置が印字
禁止とする印刷物の再生印字、例えば紙幣等の有価証券
等の印字が行なわれたときに用いることが可能である。
図示しない制御部において、印字要求を受け付けた画像
情報が、前記印字禁止の画像情報と判断されたときに
は、インクジェットプリンタ1はフルカラー印字及びモ
ノクロ印字を行わず、指定色による画像情報をスクラン
ブルしたモザイク状の印字を行うことによって、ユーザ
に注意を促すことが可能である。
【0095】次に、上記構成の十字状アーム12に懸架
されたラインヘッド30…によるインクジェットプリン
タ1の基本動作について説明する。
【0096】図1に示すように、十字状アーム12の回
転によって、各ラインヘッド30が回転される。ここ
で、本実施の形態では、回転する各ラインヘッド30の
最下位置が印字位置となっており、プラテン5が存在し
ている。また、本実施の形態のインクジェットプリンタ
1では、各ラインヘッド30の印字ヘッド32をメンテ
ナンスするメンテナンスユニット50と、図8に示すよ
うに、各ラインヘッド30にインクを補給するための補
給用インクタンク60とが設けられている。上記メンテ
ナンスユニット50は、回転するラインヘッド30の下
側に位置し、各ラインヘッド30における印字ヘッド3
2…の目詰まり防止及びメンテナンスサイクルの長寿命
化、インク消費量の低減のために、メンテナンス工程と
してインクの吸引、唾吐き及び吐出ノズルのいわゆる顔
拭きを行なうものである。
【0097】また、補給用インクタンク60は、各ライ
ンヘッド30のインク貯蔵部31のインクの貯蔵量か少
なくなったときに、ラインヘッド30の上側からライン
ヘッド30のインク貯蔵部31にインクを注入するもの
である。
【0098】このことから、十字状アーム12の回転と
キャリッジ20の周辺に配置されるプラテン5、メンテ
ナンスユニット50及び補給用インクタンク60の配置
は重要である。すなわち、図1に示すように、先ず、プ
ラテン5及びメンテナンスユニット50は、キャリッジ
20に搭載される各ラインヘッド30の下面に配置され
る印字ヘッド32の回転軌跡を基に配置される必要があ
る。ここで、十字状アーム12の回転中心は当然のこと
ではあるがシャフト11シャフト10にある。しかし、
十字状アーム12に対して回動ピン21によって連結さ
れ回転するキャリッジ20に組み込まれる各ラインヘッ
ド30の下方に配置される印字ヘッド32の回転軌跡
は、同図に示す一点鎖線の通りとなる。
【0099】このとき、仮に、プラテン5とメンテナン
スユニット50とのいずれもその配置位置が固定では、
印字ヘッド32と接触し、印字ヘッド32の破壊を招来
する。したがって、十字状アーム12が回転中は、プラ
テン5及びメンテナンスユニット50は、印字位置及び
メンテナンス位置に対して下方に退避した状態であり、
十字状アーム12の回転によって各ラインヘッド30が
印字位置及びメンテナンス位置に到達及び停止をした後
に、上昇する機構が必要となる。すなわち、印字時には
プラテン5が上昇し、メンテナンス時にはメンテナンス
ユニット50が上昇する必要がある。
【0100】また、補給用インクタンク60との関係に
ついては、図8に示すように、ラインヘッド30のイン
ク供給部35の回転軌跡は同図に示す一点鎖線の通りと
なるので、インクを補給するときには、補給用インクタ
ンク60はこの回転軌跡の位置に存在する必要がある
が、その他の場合には、回転の障害となるので、他の位
置に退避する必要がある。したがって、補給用インクタ
ンク60は、上側に退避するようになっている。
【0101】具体的には、各ラインヘッド30つまりキ
ャリッジ20のホームポジション、印字時、メンテナン
ス時、インク補給時の配置は、図9(a)(b)及び図
10(a)(b)に示すようになる。すなわち、ライン
ヘッド30のホームポジションでは、図9(a)に示す
ように、プラテン5及びメンテナンスユニット50は、
それぞれ下降した位置となっている。また、各ラインヘ
ッド30の印字時においては、図9(b)に示すよう
に、プラテン5が上昇した位置となる。なお、このと
き、メンテナンスユニット50は下降した状態を維持し
ている。さらに、ラインヘッド30のメンテナンス時に
おいては、図10(a)に示すように、メンテナンスユ
ニット50が上昇してラインヘッド30に当接した位置
となる。また、ラインヘッド30のインク補給時におい
ては、図10(b)に示すように、補給用インクタンク
60が下降してラインヘッド30の上側に当接した状態
となる。それぞれをこのように配置させる理由は、イン
クジェットプリンタ1が印字要求を受けた後に、4つの
ラインヘッド30…から必要な印字ヘッド32を選択し
て、回転、位置固定するタイミングを極力少なくする所
にある。
【0102】上記構成のインクジェットプリンタ1によ
って、当該インクジェットプリンタ1をコンパクトにす
るラインヘッド駆動方式が可能となるとともに、複数の
ラインヘッド30…を有することによる印字のバリエー
ションが広がる。
【0103】次に、上記構成のインクジェットプリンタ
1における4個のラインヘッド30…を保持したキャリ
ッジ20…の回転と、印字動作、メンテナンス動作、及
びインク補給動作を、図11に示すフローチャートに基
づいて説明する。最初に、電源OFF状態から電源ON
状態になったときの動作について説明する。
【0104】先ず、装置に電源が投入されると(S
1)、図示しない制御部は各ラインヘッド30が回転す
る時に、その回転周辺部材であるプラテン5、メンテナ
ンスユニット50及び補給用インクタンク60が、各ラ
インヘッド30…の回転時に障害となるか否かを確認す
る(S2)。回転に対して障害となるときには、周辺部
材を退避させる一方(S3)、回転に対して障害となら
ない時は、各キャリッジ20がホームポジションに存在
するか否かの判定を行う(S4)。各キャリッジ20が
ホームポジションに存在しない場合には、キャリッジ2
0をホームポジション位置に移動する(S5)。このS
2及びS4の動作確認は、インクジェットプリンタ1の
電源OFF時の装置移動や、何らかのショックを受けて
各ラインヘッド30に障害が発生したか否かの確認動作
である。
【0105】次に、障害がなく定められた位置にある各
ラインヘッド30…は、印字動作を行うための初期動作
として、メンテナンスが行われる。すなわち、回転駆動
源15を用いて、1つのラインヘッド30をメンテナン
ス所定位置に回転させる(S6)。ラインヘッド30を
回転させることによって配置された当該ラインヘッド3
0の印字ヘッド32には退避していたメンテナンスユニ
ット50が上昇してキャッピングされる(S7)。印字
ヘッド32における全ての吐出ノズルがキャッピングさ
れるとメンテナンス工程である吸引工程、唾吐き工程及
び顔拭き工程が実施される(S8)。その後、インク貯
蔵部31内のインク残量を検出し(S9)、インクの補
給が必要な時は、補給用インクタンク60が上側から下
側に位置移動し、密着した後にインク補給を行う(S1
0)。
【0106】このようにしてメンテナンス、インク補給
が終了すると、メンテナンスユニット50及び補給用イ
ンクタンク60は、各ラインヘッド30…の回転の障害
とならない位置に退避する(S11)。この動作を繰り
返し実施することによって、全てのラインヘッド30…
に対し、印字ヘッド32のメンテナンスとインクの補給
動作が行われる(S6〜S12)。
【0107】そして、全てのラインヘッド30…のメン
テナンス及びインク補給が終了すると、回転駆動源15
を駆動させて、各キャリッジ20をホームポジションに
移動し(S13)、インクジェットプリンタ1は待機状
態となる。なお、この時、インクジェットプリンタ1が
待機状態となる時の各ラインヘッド30…の配置はいず
れの位置にあっても良い。すなわち、各ラインヘッド3
0…がいずれの位置で停止をしても、次に示すフローチ
ャートで説明する印字要求内容によって、回転駆動源1
5が駆動することによる適正位置に配置可能であるた
め、いずれの位置で停止をしても良い。また、回転駆動
源15の回転方向は、正転・逆転の両方が可能であると
することもできるが、一方向の回転とする方が良い。こ
れは、後述する図23に示すように、キャリッジ20に
は、印字ヘッド32を保護するためのヘッド用カバー部
材27が設けられるが、このヘッド用カバー部材27
は、ヘッドカバー上下用駆動部80の突起部82によっ
て、図20(a)〜(d)に示すように、印字ヘッド3
2の遮蔽が開放されるようになっている。ところが、こ
のヘッドカバー上下用駆動部80は、一方向の回転を考
慮して設定されているので、1個で足りるが、逆方向の
回転も考える場合には、逆回転用のヘッドカバー上下用
駆動部80をも設ける必要がある。また、ヘッドカバー
上下用駆動部80をキャリッジ20の周りに2ヵ所に設
けるだけでなく、ヘッド用カバー部材27の退避位置へ
の回転移動がキャリッジ20の前方側及び後方側への両
方の回転方向となるため、移動距離が多くなる。これら
のことは、各ラインヘッド30…が回転する時に近接す
るプラテン5、メンテナンスユニット50及び補給用イ
ンクタンク60の退避距離を大きくすることを意味す
る。また、その結果、装置の大型化及び部品点数の増加
を招来することになる。したがって、一方向の回転のみ
とする方が好ましい。
【0108】次に、待機状態となっているインクジェッ
トプリンタ1に、印字要求がなされた時の動作を、図1
2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0109】先ず、待機状態のインクジェットプリンタ
1に印字要求がなされると(S20)、図示しない制御
部では、得られた画像情報から印字解像度の判別を行
い、その解像度に適した印字ヘッド32の選択が行われ
る(S21)。選択された印字ヘッド32を搭載するラ
インヘッド30は、回転駆動源15の駆動によってプラ
テン5の上部に配置される(S22)。
【0110】次に、図示しない制御部は、印字に用いら
れる用紙Pのサイズ及び厚みを検出し、プラテン5の上
部を搬送される用紙Pの上面とラインヘッド30の吐出
ノズル21…との間の空隙距離を一定とするために、プ
ラテン5の下側に配置されるカムを用いてプラテン高さ
を調整する(S23)。このようにして、プラテン5の
高さが調整され、プラテン5とラインヘッド30との間
の空隙距離が一定になると、解像度に合わせた速度に用
紙搬送速度を制御した状態で、用紙Pの搬送が行われる
(S24)。用紙Pが印字位置に到達すると、印字ヘッ
ド32の吐出ノズルは、画像情報に基づいた印字を実行
する(S25)。
【0111】このようにして印字を行っている吐出ノズ
ルの内、吐出ノズルのメンテナンスサイクルに到達した
吐出ノズルがあるか否かの判定を、図示しない制御部は
絶えず実施している(S26)。
【0112】メンテナンスサイクルに到達した吐出ノズ
ルが検出されると、インクジェットプリンタ1は、印字
を一旦停止し、プラテン5を退避位置に移動する(S2
7)。印字が一旦停止したラインヘッド30は、回転駆
動源15の回転駆動によって印字ヘッド32のメンテナ
ンスの位置であるメンテナンスユニット50が存在する
位置まで回転し(S28)、前記図11に示すフローチ
ャートの説明で実施したメンテナンス(S6〜S12)
を実施する(S29〜S30)。
【0113】次いで、メンテナンスが終了した該当ライ
ンヘッド30からメンテナンスユニット50が退避し
(S31)、回転駆動源15の回転駆動によって該当ラ
インヘッド30が印字位置に戻ると(S32)、退避し
ていたプラテン5は元の位置に復帰し(S33)、印字
は再開される。
【0114】一方、インク貯蔵部31のインク残量の検
出も同時に行われており(S34)、インク残量がない
と判定されるとメンテナンス工程(S27〜S33)と
同様にインク補給工程が行われる(S35〜S40)。
【0115】このようにして印字要求を受けた印字が全
て完了すると(S41)、印字位置にあったプラテン5
は退避し、印字ヘッド32との距離を確保する(S4
2)。その後、回転駆動源15の回転駆動によって、各
ラインヘッド30はホームポジションに移動し(S4
3)、待機状態となる。
【0116】なお、上記の説明においては、吐出ノズル
のメンテナンス、及びインク補給を、印字工程中に組み
込んだ説明を行ったが、必ずしもこれに限らず、用紙P
の継ぎ目つまり搬送される複数の用紙Pの間で実施して
もよい。どちらかと言えば、印字本位を確保するために
は、印字中の用紙Pを一旦停止するよりも、用紙Pの継
ぎ目で実施する方がより効率的である。
【0117】このように、本実施の形態のインクジェッ
トプリンタ1では、4個のラインヘッド30のシャフト
11の周りに回転させることによって、用紙Pへの印
字、印字ヘッド32のメンテナンス、及びインク貯蔵部
31へのインク補給を行なう。
【0118】すなわち、4個のラインヘッド30を例え
ば観覧車のようにシャフト11の周りに回転させること
によって、各ラインヘッド30…を下方の印字位置に導
くことができるとともに、その印字位置以外の回転位置
では印字ヘッド32のメンテナンス、及びインク貯蔵部
31へのインク補給を行なうことができる。
【0119】また、各ラインヘッド30…として、異な
る解像度の印字を行う印字ノズルを使用すれば、該当す
るラインヘッド30を印字位置にまで回転させることに
より、その解像度の印字を行うことができる。
【0120】また、このように各ラインヘッド30…を
シャフト11の周りに回転させることにより、円形軌道
の近傍で印字、メンテナンス及びインク補給の全てがで
きるので、装置もコンパクトになる。
【0121】したがって、ラインヘッド30を用いた場
合に、印字、メンテナンス及びインク補給を適切に行
い、ひいては装置のコンパクト化及び異なる解像度の印
字を行い得るインクジェットプリンタ1を提供すること
ができる。
【0122】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、印字手段は、シャフト11と一体に回転す
る十字状アーム12と、この十字状アーム12の各先端
に設けられた回動ピン21…に回動自在に軸支される各
キャリッジ20を有している。そして、各ラインヘッド
30…は、これら各キャリッジ20に保持されている。
【0123】このため、各ラインヘッド30…は各キャ
リッジ20…に保持され、十字状アーム12がシャフト
11と一体に回転することによって、各ラインヘッド3
0…が観覧車のように回転し、そのとき、絶えず、印字
ヘッド32を下方に向けさせることができる。
【0124】したがって、印字ヘッド32を絶えず下方
に向けた状態で用紙Pへの印字、印字ヘッド32のメン
テナンス、及びインク貯蔵部31へのインク補給を行な
うので、各ラインヘッド30…自体を回転することによ
る吐出ノズルへの空気流入による印字不良や電極に空気
が入り込むことによる印字ヘッド32の破壊を防止する
ことができる。
【0125】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、各ラインヘッド30…間で互いに、200
dpi用、300dpi用、600dpi用及び120
0dpi用等のようにそれぞれインク吐出径が異なるの
で、これによって、各ラインヘッド30…を回転して所
望のインク吐出径を印字位置にセットすることによっ
て、確実に、異なる解像度の印字を行い得るインクジェ
ットプリンタ1を提供することができる。
【0126】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、給紙手段は、画像情報の解像度によって用
紙Pの搬送速度を変更する一方、印字手段は、その変更
した搬送速度に対応して各ラインヘッド30…でのイン
ク吐出を行なう。
【0127】このため、用紙Pの搬送速度に対応して各
ラインヘッド30…でのインク吐出を行なうので、副走
査方向の解像度変換が可能となる。
【0128】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30…は、十字状アーム12の回転によって、その天地
の変化が生じないように、回動ピン21とキャリッジ2
0との連結部で回動自在に連結される。
【0129】このため、回転される複数のラインヘッド
30…は、回転による印字ヘッド32に空気の流入がな
く、印字ヘッド32のインク吐出時に使用されるヘッド
内電極の加熱過剰を防止することができ、印字ヘッド3
2の破壊を防止可能となる。
【0130】すなわち、単純に複数のラインヘッド30
を回転すると、ヘッド内インクが重力によってインク貯
蔵部31に逆流し、印字ヘッド32のインクがなくな
り、吐出ノズルから空気の流入を招来し、上記問題が発
生することになる。
【0131】また、本実施の形態では、回動ピン21及
び十字状アーム12は、回転駆動源15によって回転さ
れ、回転駆動源15が印字領域外に配置される。
【0132】このため、複数のラインヘッド30…の回
転が、印字位置、プラテン5及びメンテナンスユニット
50、並びに補給用インクタンク60の障害とならずに
回転可能となる。また、外部から駆動を導くことで駆動
メカ機構が簡略化できる。
【0133】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30…のホームポジションは、印字位置、印字ヘッド3
2のメンテナンス位置、及びインク貯蔵部31へのイン
ク補給位置から回避した位置となっている。
【0134】このため、複数のラインヘッド30…が装
置の停止中つまり電源のOFF時及び待機中に何らかの
衝撃、例えば、ユーザのインクタンク補給時や持ち運び
等での衝撃を受けても印字位置、メンテナンスユニット
50、補給用インクタンク60及び印字ヘッド32の破
壊を招来しない。
【0135】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30…は、印字要求があったときに、画像情報に基づく
印字に必要なラインヘッド30が選択されてホームポジ
ションから印字位置まで回動される。
【0136】さらに、各ラインヘッド30…の印字ヘッ
ド32は、各ラインヘッド30…間で互いにインク吐出
径が同一である。
【0137】このため、印字要求された画像情報の解像
度で、複数のラインヘッド30…から必要なラインヘッ
ド30を選択可能となるだけでなく、印字工程中のイン
ク吐出量もコントロール可能となり、品位の確保と印字
要求に合った印字が可能となる。
【0138】また、本実施の形態では、複数のラインヘ
ッド30…の異なる吐出ノズルの配置は、複数のライン
ヘッド30…において同一基準位置からの距離が同じ距
離から配置される。
【0139】すなわち、各ラインヘッド30の吐出ノズ
ルが印字ヘッド32の中で異なった位置に配置されてい
ると、メンテナンス時にはメンテナンス工程の顔拭き工
程において、吐出ノズルに他色のインクの混色が発生す
ることがある。また、印字時には、インク配置位置が異
なると、各解像度によって制御方式が異なり、複数のイ
ンク吐出タイミング制御が必要となる。しかし、本実施
の形態では、1つタイミング制御で多解像度の印字が可
能となる。
【0140】また、本実施の形態では、各色相は、モノ
クロ印字が可能な黒、フルカラー印字が可能な複数のフ
ルカラー、及び印字要求に際し指定色を印字するための
指定色である。
【0141】また、インクを吐出する印字ヘッド32と
この印字ヘッド32へインクを補給するインク貯蔵部3
1とインク吐出を制御するインク吐出制御基板33とを
有するとともに、上記複数のラインヘッド30…をシャ
フト11の周りに回転させることによって、用紙への印
字、印字ヘッド32のメンテナンス、及びインク貯蔵部
31へのインク補給を行なう。
【0142】このため、複数のラインヘッド30…に配
置される色相は、印字手段においてモノクロ印字が可能
な黒インク用ヘッド、フルカラー印字が可能な複数のフ
ルカラーインク用ヘッド、印字要求に際し指定色を印字
するための指定色用インクヘッドを有するので、印字色
バリュエーションが、モノクロ、カラー、指定色とな
り、選択範囲が広がる。なお、ここで、指定色印字とは
ユーザが、色指定を行って印字をするものや、画像情報
で例えば紙幣等の有価証券等の印字禁止物と判定された
時に、装置が当該印字色を指定色とすることをいう。
【0143】また、本実施の形態では、インクのメンテ
ナンスはは、装置の電源投入時、又は印字継続中に各印
字ヘッド32からのインク吐出回数が所定回数を超過す
るメンテナンスサイクル時に実施される。
【0144】このため、メンテナンスサイクル時には、
印字工程が一旦停止してメンテナンスを実施する。すな
わち、このような時に、印字を再開する時間が早い程、
ユーザには印字速度の向上として喜ばれることとなる
が、本実施の形態によって上記問題点の解消が可能とな
る。
【0145】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30のメンテナンスは、装置の電源投入時には全てのラ
インヘッド30…のメンテナンスを実施する一方、メン
テナンスサイクル時には該当ラインヘッド30のみのメ
ンテナンスを実施する。
【0146】このため、メンテナンスは、印字ヘッド3
2の詰りが発生した時や詰りが発生することが予測され
る時に実施する必要があり、本実施の形態のようにメン
テナンスを行なうことによって、ノズル詰りは解消でき
る。
【0147】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30のインク貯蔵部31へのインク補給タイミングは、
装置の電源投入時、又は印字継続中に印字ヘッド32か
らのインク吐出回数が所定回数を超過するインク補給サ
イクル時に実施される一方、その補給動作はインク貯蔵
部31に配置されるインク容量検知センサのインク有無
検出に基づいて実施される。
【0148】また、各ラインヘッド30…へのインク補
給は、装置の電源投入時には全てのラインヘッド30…
へのインク補給を実施し、インク補給サイクル時には該
当ラインヘッド30のみのインク補給を行う。
【0149】さらに、各ラインヘッド30のインク貯蔵
部31の容量は、印字ヘッド32のメンテナンスサイク
ル間に印字ヘッド32が吐出を行うインク量以上であ
る。
【0150】このため、インク貯蔵部31の容量が必要
以上であっても複数ラインヘッド30…の回転負荷が大
きくなる一方、インク容量の大小による負荷変動が大き
く制御が困難となる。これに対し、本実施の形態では、
インク貯蔵部31のインク容量を規制することによっ
て、駆動負荷の増大を防止するとともに、吐出ノズルの
メンテナンスサイクル分のインク量が確保されることに
よるメンテナンス実施期間を最低限インク容量として保
証できる。
【0151】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図13ないし図17に基づいて説明すれば、以
下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形
態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材につ
いては、同一の符号を付し、その説明を省略する。ま
た、前記実施の形態1で述べた各種の特徴点について
は、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るも
のとする。
【0152】本実施の形態では、ラインヘッド30がイ
ンク補給領域に到達した時の動作について説明する。
【0153】前記実施の形態1において説明したよう
に、インクジェットプリンタ1では、印字ヘッド32に
インクを送り込むためのインク貯蔵部31を補助インク
タンクとして機能させている。このように、補給用イン
クタンク方式を用いた理由は、各ラインヘッド30…を
1つの回転駆動源15によって回転駆動するため、負荷
の増大、及び負荷の変動を極力避けるためにインク貯蔵
部の容量を小さくしたものである。すなわち、インク貯
蔵部31内のインク容量によって負荷が変化するためで
ある。
【0154】しかし、駆動変化の少ない回転駆動源15
や駆動方法を用いるのであれば、従来から用いられてい
るカートリッジタイプのインク貯蔵部や、大容積のイン
クタンクを搭載しても良い。本実施の形態のインク貯蔵
部31の容積は、印字可能最大サイズの用紙1枚に1色
のインクで印字を全面に行う時のインク消費量、又は全
吐出ノズルがメンテナンスサイクル間に吐出するインク
のトータル量を確保するかのいずれか一方を容量の最少
量としている。
【0155】このように設定されたラインヘッド30の
構成を、前記実施の形態1でも説明したが、ここでは、
インク補給との関係においてより詳細に説明する。
【0156】各ラインヘッド30は、図13(b)、図
14(b)、図15(b)、図16(b)に示すよう
に、それぞれイエロー(Y)用のイエローラインヘッド
30a、マゼンタ(M)用のマゼンタラインヘッド30
b、シアン(C)用のシアンラインヘッド30c、ブラ
ック(B)用のブラックラインヘッド30dを有してい
る。
【0157】そして、各イエローラインヘッド30a、
マゼンタラインヘッド30b、シアンラインヘッド30
c、ブラックラインヘッド30dはいずれも、それぞれ
概ねインク貯蔵部31、印字ヘッド32、発泡性部材等
のインク吸収部材からなるインク吸収部34、インク供
給部35、空気抜き弁36を有している。
【0158】上記インク供給部35は、インク漏れを防
止する弁35aとこの弁35aを補給時に動作させる弁
用スプリング35bで構成され、この弁用スプリング3
5bの両端は上記弁35aとインク貯蔵部31の垂下壁
面31aとに取り付けられている。
【0159】上記のインク貯蔵部31は、貯蔵部分が上
記垂下壁面31aで上部が区切られたものとなってい
る。ただし、垂下壁面31aの下側においては、インク
貯蔵部31は連通されたものとなっている。また、イン
ク貯蔵部31の下部には、図示しない吐出ノズルと連結
するインク吸収部34が配置されている。
【0160】ここで、本実施の形態では、図13
(b)、図14(b)、図15(b)、図16(b)に
示すように、インク供給部35は、各色相によってその
インク貯蔵部31における配置位置が異なるようになっ
ている。この理由は、本実施の形態では、補給用インク
タンク60を、図13(a)、図14(a)、図15
(a)、図16(a)に示すように、各色相によって長
手方向で、4つのブロックのインク収納部に仕切ってお
り、その結果、このブロックに対応するように、インク
貯蔵部31のインク供給部35の配置位置を異ならして
いるものである。すなわち、省スペースでインク補給を
行う時に、各々のインク供給部35に異なった色のイン
ク補給を行わないようにして、インクの混色を避けるた
めである。
【0161】補給用インクタンク60から補給されたイ
ンクはインク貯蔵部31に貯められるとともに、下部に
配置する例えば発泡性のスポンジのような部材等からな
るインク吸収部34によってインクは吸収され、図示し
ない吐出ノズルに供給される。
【0162】また、補給用インクタンク60は、図13
(a)、図14(a)、図15(a)、図16(a)に
示すように、各色相によって仕切られた各ブロックに、
それぞれ、上側にインク入口61及び空気抜き穴62、
下側にインク補給口63を有している。また、インク補
給口63には、ラインヘッド30におけるインク貯蔵部
31のインク供給部35に挿入可能なインク補給用管と
してのインク注入管64と、このインク注入管64の開
口を塞ぐ弁を開閉するインク補給用駆動手段としての開
閉ソレノイド65とが設けられている。
【0163】次に、インクの補給工程における動作につ
いて説明する。
【0164】前述したように、補給用インクタンク60
は、通常、各ラインヘッド30…の回転軌跡から退避し
た状態に配置されている。この状態で、ラインヘッド3
0のインク貯蔵部31へインク補給の必要性が生じた時
は、図17に示すように、キャリッジ20が回転するこ
とによってインク補給領域に到達する。到達したキャリ
ッジ20の上側には補給用インクタンク60が配置さ
れ、各色相のインクが貯められた状態にある。
【0165】ここで、本実施の形態では、補給用インク
タンク60の上側には、この補給用インクタンク60を
上下移動させるインクタンク移動手段としての補給タン
ク上下用駆動部70が設けられている。
【0166】この補給タンク上下用駆動部70は、補給
用インクタンク60に当接する当接棒71とこの当接棒
71に当接するカム72とこのカム72を回転させるカ
ム軸の端部に取り付けられた従動ギア73とこの従動ギ
ア73に歯合される駆動ギア74とこの駆動ギア74を
駆動する駆動部75とからなっている。
【0167】この補給タンク上下用駆動部70では、駆
動部75が駆動ギア74を回転駆動することによって、
従動ギア73を介してカム72が回転し、これによっ
て、当接棒71が上下移動して補給用インクタンク60
を上下移動させるようになっている。なお、補給用イン
クタンク60には、この補給用インクタンク60を上方
向に付勢する図示しないバネが設けられている。
【0168】したがって、上記構成の補給タンク上下用
駆動部70を備えた補給用インクタンク60では、ライ
ンヘッド30のインク貯蔵部31にインクを供給すると
きには、到達したキャリッジ20の上側に配置された補
給用インクタンク60がこの補給タンク上下用駆動部7
0によって下降移動する。
【0169】これによって、補給用インクタンク60
が、キャリッジ20に搭載されるラインヘッド30のイ
ンク貯蔵部31の上面に到達する。
【0170】この時、補給用インクタンク60の下面に
配置されるインク注入管64は、キャリッジ20におけ
るラインヘッド30のインク貯蔵部31の上面のインク
供給部35に挿入される。その後、補給用インクタンク
60の図示しないインク供給用モータの駆動によってイ
ンクがラインヘッド30のインク貯蔵部31に補給され
る。
【0171】上記動作が終了すると、補給用インクタン
ク60では、インク供給用モータの駆動が停止するとと
もに、補給タンク上下用駆動部70によって補給用イン
クタンク60がインク貯蔵部31の上面から退避する。
補給用インクタンク60の退避が完了すると、キャリッ
ジ20は、ホームポジション又は印字位置に回転配置さ
れる。
【0172】これによって、回転する各ラインヘッド3
0…へのインク補給が容易に可能となるととともに、イ
ンク補給の量を必要以上に行なわないことから、回転移
動の負荷低減が図れ、回転駆動源15のコンパクト化及
び駆動時のスムーズな回転が可能となる。さらに、補給
用インクタンク60を移動式とし、各ラインヘッド30
…の回転中は、その回転軌跡から退避した状態で保持す
ることから、各ラインヘッド30…の破壊を防止でき
る。
【0173】このように、本実施の形態のインクジェッ
トプリンタ1では、印字手段は、回転してくる各ライン
ヘッド30…に対峙する補給用インクタンク60と、こ
の補給用インクタンク60を、回転してくる各ラインヘ
ッド30…に対してインクを補給すべく当接した当接位
置と退避した退避位置とに移動させる補給タンク上下用
駆動部70とを備えている。
【0174】すなわち、インクジェットプリンタ1では
インクの補給が必要であり、その手法は、一般的には、
補給用インクタンク60とインク貯蔵部31とを有しこ
のインク貯蔵部31ヘのインク補給方式を用いる手法
と、インクカートリッジを用いて、所定印字が終了後イ
ンクの有無によってユーザにインクカートリッジの交換
を促す方式とがある。
【0175】本実施の形態においては、複数の回転する
ラインヘッド30…を用いるため、その回転負荷を低減
することから前者の補給用インクタンク60とインク貯
蔵部31とを有しそのインク貯蔵部31ヘのインク補給
方式を用いる手法を用いる。したがって、インク貯蔵部
31の容量を少なくすることが好ましい。
【0176】そして、本実施の形態では、補給タンク上
下用駆動部70により、補給用インクタンク60を複数
のラインヘッド30…の回転軌跡から退避可能とする。
これによって、複数のラインヘッド30…の回転時に、
補給用インクタンク60がラインヘッド30を構成する
各部材に接触することなく回転することができる。
【0177】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、ラインヘッド30のインク貯蔵部31にイ
ンクを補給するときには、補給用インクタンク60にお
けるインク収納部の下部に設けられたインク注入管64
を、インク貯蔵部31に挿入してインクを補給する。そ
して、開閉ソレノイド65にてインク注入管64の開口
を開け、インクを補給する。
【0178】したがって、インク補給が容易で簡便に実
施できるととともに、補給時のインク漏れを解消するこ
とができる。
【0179】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、補給用インクタンク60のインク収納部は
色相毎に分割されている。また、ラインヘッド30のイ
ンク貯蔵部31に設けられるインク供給部35の位置
も、各色相のインクに応じて互いに位置が異なる。
【0180】このため、補給動作時に間違って補給用イ
ンクタンク60に異なった色相のインクを補給しなくな
り、インクの混色を防止でき、印字品位の安定が図れ
る。
【0181】また、本実施の形態では、補給用インクタ
ンク60は、退避位置として、回転する各ラインヘッド
30…回転軌跡外に配置される。
【0182】このため、複数のラインヘッド30…は、
補給用インクタンク60に接触することなく回転可能と
なり、印字領域にも影響を及ぼさない補給機構が可能と
なる。
【0183】また、本実施の形態では、補給用インクタ
ンク60のホームポジションは、各ラインヘッド30の
回転軌跡外に退避した退避位置である。
【0184】このため、十字状アーム12によって複数
のラインヘッド30…がいつ回転を行っても補給用イン
クタンク60と接触することが回避可能となる。
【0185】また、本実施の形態では、補給用インクタ
ンク60は、各ラインヘッド30…の中から選択指定さ
れたラインヘッド30がインク補給位置に回転して到達
した後に、退避位置から当接位置へ上下移動する。
【0186】このため、該当ラインヘッド30に対する
インク補給が可能となり、補給不要のラインヘッド30
…への影響が無くなる。
【0187】また、本実施の形態では、各ラインヘッド
30のインク貯蔵部31におけるインク注入管64の挿
入位置には弁35aが配置されているとともに、上記弁
35aは、インク注入管64が挿入されることによって
開状態となる。
【0188】このため、補給用インクタンク60の機密
性向上、インク漏れの解消が可能となる。
【0189】また、本実施の形態では、弁35aには、
インク注入管64の挿入に対抗して付勢する付勢手段と
しての弁用スプリング35bが設けられている。
【0190】また、各ラインヘッド30に備えられた各
インク貯蔵部31の下部には、インクの吸収性を向上し
得る発泡性部材を有し、かつ印字ヘッド32の吐出ノズ
ルに連結されるインク供給部35を備えている。
【0191】このため、補給されたインクが均一に印字
ヘッド32内の吐出ノズルに供給され、インク不足によ
る印字不良、及び印字ヘッド32の破壊がなくなる。な
お、供給インクが無くなってインク吐出を行うと、吐出
ノズル内のインク飛翔用電極が過熱し、インクノズル破
壊を招来する。
【0192】また、本実施の形態では、インク貯蔵部3
1のインク貯蔵容積は、印字可能な最大用紙全面に少な
くとも1枚以上印字可能なインク量を貯蔵し得る容積で
ある。
【0193】このため、印字工程での少なくとも1枚の
印字中に印字を停止してインク補給サイクルに上記複数
のラインヘッド30…が移動することが無く、印字速度
の向上が図れる。
【0194】また、本実施の形態では、インク貯蔵部3
1のインク貯蔵容積は、各ラインヘッド30を構成する
1色の全ての吐出ノズルが各吐出ノズル目詰まりを防止
するためのメンテナンスサイクルが終了後、次のメンテ
ナンスサイクルまでに吐出するインク量の積算値以上を
貯蔵し得る容積である。
【0195】このため、メンテナンスサイクルとインク
補給工程とを同時に処理可能となり、上記複数のライン
ヘッド30…の移動を少なくすることによって印字速度
の向上が図れる。
【0196】また、本実施の形態では、インク貯蔵部3
1のインク貯蔵容積は、少なくとも全ての複数のライン
ヘッド30のインク貯蔵部31にインクを満杯状態にし
たときにも回転駆動源15に回転負荷変動を生じさせな
い範囲の容積である。
【0197】これによって、確実に、複数のラインヘッ
ド30を回転させることができる。
【0198】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の形態
について図18ないし図20に基づいて説明すれば、以
下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形
態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能
を有する部材については、同一の符号を付し、その説明
を省略する。また、前記実施の形態1及び実施の形態2
で述べた各種の特徴点については、本実施の形態につい
ても組み合わせて適用し得るものとする。
【0199】本実施の形態では、ラインヘッド30が印
字領域に到達した時の動作について説明する。
【0200】最初にキャリッジ20の詳細構造について
説明する。
【0201】図18に示すように、本実施の形態のキャ
リッジ20の側壁23には、2本のスプリング26a・
26bが取り付けられており、各スプリング26a・2
6bの他端はインク乾燥遮蔽部材としてのヘッド用カバ
ー部材27に取り付けられている。また、ヘッド用カバ
ー部材27は該当する印字ヘッド32に当接する位置に
撥水材料からなるクッション材28が配置され、印字ヘ
ッド32の破壊と印字ヘッド32からのインク蒸発を防
止している。
【0202】このように配置されるヘッド用カバー部材
27は、図19にも示すように、下方に設けられた遮蔽
解除手段としてのヘッドカバー上下用駆動部80におけ
るカム81及びインク乾燥遮蔽部材回動突起としての突
起部82並びにカム81を駆動するカム駆動源83によ
って、キャリッジ20の側壁23に移動するようになっ
ている。
【0203】一方、同図に示すように、印字位置用紙搬
送部材としてのプラテン5の下側には、距離変更手段と
してのプラテン上下用駆動部90が設けられており、こ
のプラテン上下用駆動部90におけるカム91及び突起
部92並びにカム91を駆動するカム駆動源93によっ
て、プラテン5が上下移動するようになっている。
【0204】上記構成のインクジェットプリンタ1にお
いて、ラインヘッド30が印字領域に到達する時の動作
について説明する。
【0205】すなわち、図20(a)に示すように、各
ラインヘッド30を搭載するキャリッジ20が印字要求
によって回転する時、印字に使用するキャリッジ20が
印字位置近傍に近づくと、図20(b)に示すように、
カム81がカム駆動源83によって回転し、突起部82
を押し上げることとなる。この時、回転しているキャリ
ッジ20の下側に配置されるヘッド用カバー部材27は
突起部82と接触することによって横移動する。
【0206】次に、図20(c)に示すように、キャリ
ッジ20が印字位置に到達したときには、ヘッド用カバ
ー部材27はスプリング26a・26bによって完全に
キャリッジ20の背面側に移動する。そして、印字処理
の実行中は、カム81が上昇した状態で停止し、印字ヘ
ッド32は開放状態となる。
【0207】この時、印字処理として印字ヘッド32と
搬送される用紙Pの上面との空隙距離を一定とするため
に印字位置から退避していたプラテン5は、図19に示
すプラテン上下用駆動部90のカム駆動源93、カム9
1及び突起部92によって上昇し、空隙距離を確保す
る。なお、用紙Pの種類については、本実施の形態で
は、インクジェットプリンタ1の図示しない操作表示部
に、例えば、普通紙、葉書、OHP等の用紙の種類につ
いて設定する部分を有しており、通常は普通紙にセット
されているが、これを例えば、OHP等に設定すること
により、その厚みに応じた空隙距離を確保するようにな
っている。ただし、必ずしもこれに限らず、厚みを検出
する検出装置を設けることも可能である。
【0208】さらに、印字が終了し、キャリッジ20が
ホームポジション又はメンテナンス位置、インク補給位
置に移動する時は、図20(c)に示すように、ヘッド
用カバー部材27と突起部82との接触状態が解除さ
れ、キャリッジ20に配置されるスプリング26a・2
6bの反発力によって元の状態、すなわち図20(a)
に示す位置に戻る。
【0209】このような動きをするヘッド用カバー部材
27のカム駆動源83、カム81及び突起部82を構成
するヘッドカバー上下用駆動部80の配置は、図19に
示すように、印字工程の関係から当然ではあるが非印字
領域であって、さらにキャリッジ20の回転動作の障害
とならないキャリッジ20の側壁23の外側に配置する
必要がある。
【0210】また、プラテン5の退避、上昇のためのカ
ム駆動源93、カム91及び突起部92を構成するプラ
テン上下用駆動部90の配置は、印字位置を左右する動
作のため、空隙距離等の確保から画像領域内であってか
つプラテン5の下部に配置する方が良い。
【0211】上記構成によって、ラインヘッド30…を
構成する複数の吐出ノズルの非印字時、及び非動作時の
乾燥が防止できるとともに、印字ヘッド32が印字領域
に到達したときに、吐出ノズルとプラテン5との接触に
よるヘッド破壊が防止可能となる。さらに、印字時の印
字ヘッド32と用紙Pの上面との空隙距離を常に一定と
することが可能となり、印字品位の向上が図れる。
【0212】このように、本実施の形態のインクジェッ
トプリンタ1では、印字位置には、回転してくる各ライ
ンヘッド30…と対峙するプラテン5が設けられるとと
もに、このプラテン5に対して、印字位置における各ラ
インヘッド30との対向空隙距離を変更させるカム駆動
源93によるカム方式のプラテン上下用駆動部90距が
設けられている。
【0213】すなわち、印字工程で、インクジェットプ
リンタ1の印字品位を決定する重要な要素の1つとして
用紙P上面と印字ヘッド32との間の対向空隙距離の確
保がある。この対向空隙距離の確保は、従来では、ユー
ザが使用する用紙Pの種類を選択した後、レバー等で手
動調整を行っていた。
【0214】しかし、本実施の形態においては、その対
向空隙距離の調整を、カム駆動源93よるカム方式等の
プラテン上下用駆動部90を採用することにより、プラ
テン5高さを調整することによって実現することが可能
となる。したがって、用紙Pが印字ヘッド32を擦った
り、対向空隙距離が適正でないことによる印字品位の低
下の招来を未然に防止できる。なお、対向空隙距離は、
インクジェットプリンタ1の機構と、印字解像度、イン
ク飛翔粒の大きさ、飛翔速度によって異なるが、一般的
には約0.5〜2.0mmの範囲とされている。
【0215】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、プラテン5の対向空隙距離の調整は、印字
要求によって給紙される用紙Pの厚みとこのプラテン5
の厚さとに基づいて、各ラインヘッド30…の印字ヘッ
ド32における吐出ノズルの先端と搬送される用紙Pの
上面との距離が常に一定となるように行なわれる。
【0216】したがって、プラテン5の上昇時の高さが
規制され、吐出ノズルとプラテン5との衝突が防止でき
る。このため、吐出ノズルの破壊、及び用紙Pが通過し
た後のプラテン5のインク汚れによる用紙Pの裏面汚れ
の防止を図ることができる。
【0217】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、各ラインヘッド30…の印字ヘッド32に
は、吐出ノズルからのインクの乾燥を防止するヘッド用
カバー部材27が配置される。このため、複数のライン
ヘッド30…に配置される吐出ノズルからのインク乾燥
が防止でき、印字ヘッド32の目詰まり防止、印字ヘッ
ドメンテナンスサイクルの長寿命化、及びメンテナンス
時にインクの吸引、唾吐きの各動作でインクを消費する
ことによるインク消費量の低減が図れる。
【0218】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、印字すべきラインヘッド30が印字位置に
到達したときに、ヘッドカバー上下用駆動部80がヘッ
ド用カバー部材27の吐出ノズルへの遮蔽を解除するの
で、印字に際して、ヘッド用カバー部材27が邪魔にな
ることもない。
【0219】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、ヘッドカバー上下用駆動部80は、ヘッド
用カバー部材27のラインヘッド回転前方側端部とライ
ンヘッド回転後方側端部とをそれぞれ保持すべくキャリ
ッジ20の側壁23・23に取り付けられたスプリング
26a・26bと、ヘッド用カバー部材27の下方に配
置されて、ラインヘッド30の回転に伴ってこのヘッド
用カバー部材27のラインヘッド回転前方側端部に当接
する突起部82とからなっている。
【0220】すわなち、各ラインヘッド30…は回転す
るので、ヘッド用カバー部材27に当接する位置にまで
突起部82を突き上げることにより、当接後にさらにラ
インヘッド30を回転させると、ラインヘッド30のみ
が回転し、ヘッド用カバー部材27が止まることにな
り、吐出ノズルのヘッド用カバー部材27による遮蔽が
解除される。
【0221】その結果、印字すべきラインヘッド30が
印字位置に到達したときに、ヘッドカバー上下用駆動部
80が、確実に、ヘッド用カバー部材27の吐出ノズル
への遮蔽を解除するので、印字に際して、ヘッド用カバ
ー部材27が邪魔になることもない。また、ヘッド用カ
バー部材27は、スプリング26a・26bで保持され
ているので、突起部82のヘッド用カバー部材27への
係止を解除すれば、ヘッド用カバー部材27は、元の位
置に戻り、吐出ノズルを遮蔽することができる。
【0222】また、本実施の形態では、プラテン上下用
駆動部90は、回転可能な距離調整用偏心カムであるカ
ム91と、このカム91に当接する連接部材としての突
起部92とからなるとともに、上記突起部92の先端に
は、進退移動自在のプラテン5が当接されている。ま
た、カム91は、このカム91の一旦に突起部92が当
接し、他端がプラテン5と当接することによって高さ変
更がなされる。
【0223】このため、プラテン5の上下移動が容易と
なると共に、高さ調整の微調整が可能となり、用紙Pの
種類が多種にわたっても、その対応が可能となる。
【0224】また、本実施の形態では、プラテン5のホ
ームポジションは、各ラインヘッド30…が印字位置に
到達したときにおいて最大対向空隙距離となる位置であ
る。
【0225】このため、移動回転する複数のラインヘッ
ド30…に収納された印字ヘッド32の吐出ノズルとプ
ラテン5とが回転軌跡による接触を回避可能となり、吐
出ノズルの破壊、及び衝突時の衝撃によるインク飛散が
防止できる。
【0226】また、本実施の形態では、ヘッド用カバー
部材27及び突起部82は、印字可能な用紙サイズ領域
外に配置される。
【0227】このため、ヘッド用カバー部材27の回動
基準位置が規制され、印字領域での障害とならない。
【0228】また、本実施の形態では、ヘッド用カバー
部材27は、吐出ノズルとの当接位置に、吐出ノズルを
保護し、吐出ノズルからインクを吸収しない撥水性クッ
ション部材であるクッション部材28を備えている。
【0229】このため、ヘッド用カバー部材27が印字
ヘッド32から離脱/当接する際に、ヘッド用カバー部
材27が印字ヘッド32の吐出ノズルに直接当たらない
ため、吐出ノズルへのの衝撃を緩和でき、破壊を招来し
ない。
【0230】〔実施の形態4〕本発明の他の実施の形態
について図21ないし図23に基づいて説明すれば、以
下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形
態1ないし実施の形態3の図面に示した部材と同一の機
能を有する部材については、同一の符号を付し、その説
明を省略する。また、前記実施の形態1ないし実施の形
態3で述べた各種の特徴点については、本実施の形態に
ついても組み合わせて適用し得るものとする。
【0231】本実施の形態では、各ラインヘッド30の
メンテナンス工程について詳細に説明する。
【0232】最初に、ラインヘッド30のメンテナンス
について説明する。ラインヘッド30…のメンテナンス
は、印刷指示のあったとき、インクジェットプリンタ1
の電源投入時、及び印刷の中のメンテナンスサイクルに
ラインヘッド30…のノズル使用回数が到達した時に行
われる。ここで、ラインヘッド30…のメンテナンス工
程としては、3つのメンテナンス工程がある。
【0233】先ず、1つ目は、吐出ノズルに残ったイン
クの吸い出しを行うインク吸引工程である。すなわち、
吐出ノズルからインクを吐出する際、吐出ノズルの中は
負圧になる。したがって、印刷が終わった直後では、イ
ンクが吐出されなくなるので、外気とともに周囲のゴミ
が吐出ノズル内に入り込む可能性がある。そして、この
ようなゴミは、吐出ノズルの目詰りの原因となる。ま
た、目詰りは、組成の変化によって固化したインクによ
っても引き起こされる。そこで、インク吸引工程におい
て、吐出ノズル内に残ったインクとゴミとの吸引を行う
ようになっている。
【0234】2つ目は、吐出ノズルが目詰りを起こして
いないか調べるための唾吐き工程である。これは、吐出
ノズルから少量のインクを吐き出させ、目詰まりの有無
を調べる工程である。具体的には、吐出ノズル内のイン
ク粒飛翔用電極周辺の熱によって組成が変化したおそれ
のあるインクを吐出ノズル外に放出するためにインク粒
飛翔用電極に飛翔用電圧よりも低い電圧を印加すること
によってインクの放出を行う。
【0235】3つ目は、吐出ノズルの表面に残留してい
るインクを拭き取るための、顔拭き工程である。印刷時
や唾吐き工程時において、吐出ノズルの付近にインクが
飛び散ってしまうことがある。また、用紙Pに着弾した
インクの跳ね返りによって吐出ノズルが汚れる場合があ
る。そこで、この工程によって、飛び散ったインクを、
ブレードと呼ばれる弾性部材で拭き取るようになってい
る。なお、この弾性部材は、例えば、画像形成装置のク
リーニング機構等に用いられるゴム形の弾性部材であ
る。なお、通常、メンテナンスでは上記の3つの工程を
連続して行うようになっている。
【0236】ここで、本実施の形態では、このようなメ
ンテナンス工程を実施するために、図21(a)(b)
に示すように、メンテナンスユニット50には、弾性ブ
レードとしての顔拭き用ブレード51と、その顔拭き用
ブレード51を駆動するブレード駆動手段としての駆動
シャフト52及びブレード駆動源53とが配置され、さ
らにインク吸引工程と唾吐き工程とを実施した時の廃棄
インクの廃棄インク回収部としての廃棄インク収納部5
4が配置されている。なお、この廃棄インク収納部54
は図示しないインク吸引用サクションに導かれている。
【0237】上記メンテナンスユニット50の上部は開
放されており、その開放部分が前記各ラインヘッド30
の印字ヘッド32と接触する。接触部では、吸引工程で
の気密性を向上させるためのクッション部材55が配置
され、このクッション部材55が印字ヘッド32の外周
部と当接することによって気密性の向上が図られる。
【0238】また、上記顔拭き用ブレード51は、メン
テナンスユニット50内においては、4個設けられてい
る。これは、前述した補給用インクタンク60と同様
に、各色相毎に区分けしているためである。したがっ
て、メンテナンスユニット50内においても、各色相毎
に弾性部材からなる分割壁56…が設けられている。
【0239】このような構成のメンテナンスユニット5
0は、前述したように、通常、各ラインヘッド30の印
字ヘッド32の回転軌跡から退避した状態に配置されて
いる。そこで、本実施の形態では、図22に示すよう
に、このメンテナンスユニット50を上下移動させるた
めのメンテナンスユニット移動手段としてのメンテナン
スユニット上下用駆動部100が設けられている。
【0240】このメンテナンスユニット上下用駆動部1
00は、メンテナンスユニット50の下側に設けられ、
カム101、突起部102及びカム駆動源103を有し
ている。
【0241】なお、同図に示すように、前述したヘッド
カバー上下用駆動部80は、キャリッジ20に一体とな
って、キャリッジ20の側壁23の外側に設けられてい
る。
【0242】上記構成において、ラインヘッド30にお
ける印字ヘッド32のメンテナンスの必要性が生じた時
は、図23に示すように、キャリッジ20を回転させる
とともに、ヘッドカバー上下用駆動部80におけるカム
81の回転及び突起部82上下動によって、ヘッド用カ
バー部材27が印字ヘッド32からキャリッジ20の背
面側に移動する(前記図20(c)参照)。
【0243】その後に、メンテナンスユニット上下用駆
動部100によってメンテナンスユニット50が、図2
2に示すように、ラインヘッド30における印字ヘッド
32と当接する。その後に、メンテナンス工程が実施さ
れ、メンテナンス工程の終了後、メンテナンスユニット
上下用駆動部100が駆動することによってメンテナン
スユニット50が退避する。メンテナンスユニット50
が退避した後にキャリッジ20はホームポジション又は
印字位置に回転配置される。この時、ヘッド用カバー部
材27とヘッドカバー上下用駆動部80における突起部
82とが離れることによって、キャリッジ20の背面に
配置されいたヘッド用カバー部材27がスプリング26
a・26bの反発力によって、ヘッド用カバー部材27
は印字ヘッド32を覆う形となる。
【0244】上記構成によって、回転するラインヘッド
30…のメンテナンスが可能になるとともに、メンテナ
ンスユニット50と、印字ヘッド32内の吐出ノズルの
衝突によるヘッド破壊を解消することが可能となる。ま
た、本実施の形態のメンテナンスユニット50メンテナ
ンスユニットによって、インクジェットプリンタ1のコ
ンパクト化、及び効率良いメンテナンス工程が実施可能
となる。
【0245】このように、本実施の形態のインクジェッ
トプリンタ1では、回転してくる各ラインヘッド30…
に対峙するメンテナンスユニット50と、このメンテナ
ンスユニット50を、回転してくる各ラインヘッド30
…の印字ヘッドに対して、メンテナンスすべく当接した
当接位置と、退避した退避位置とに移動させるメンテナ
ンスユニット上下用駆動部100とを備えている。
【0246】すなわち、インクジェットプリンタ1で
は、印字ヘッド32及び吐出ノズルを清掃、吸引するメ
ンテナンス工程が回避不可能である。
【0247】そこで、本実施の形態では、回転する複数
のラインヘッド30…のメンテナンスを効率良く実施す
るために、回転してくる各ラインヘッド30…に対峙す
るメンテナンスユニット50を設けている。また、メン
テナンスユニット上下用駆動部100によって、メンテ
ナンスユニット50を複数のラインヘッド30…の回転
軌跡から退避可能としている。
【0248】したがって、複数のラインヘッド30…が
回転するときに、メンテナンスユニット50がラインヘ
ッド30を構成する各部材、特に印字ヘッド32や吐出
ノズルに接触することなく回転することができる。
【0249】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、メンテナンスユニット50は、その内部
に、インク吸引用サクションによって廃棄されたインク
を回収する廃棄インク収納部54と、印字ヘッド32面
の清掃を行う顔拭き用ブレード51と、この顔拭き用ブ
レード51を進退駆動する駆動シャフト52及びブレー
ド駆動源53とを備えているので、メンテナンス工程の
インク吸引工程、唾吐き工程、及び顔拭き工程の実施が
可能となる。また、廃棄インク収納部54を有すること
によって、インクの機内飛散を防止することができる。
【0250】また、本実施の形態のインクジェットプリ
ンタ1では、顔拭き用ブレード51は、メンテナンスユ
ニット50の内部において、複数個設けられるととも
に、各顔拭き用ブレード51…は、同一駆動源からなる
駆動シャフト52及びブレード駆動源53によってそれ
ぞれ進退移動される。
【0251】このため、ラインヘッド30を用いたとき
のメンテナンス工程で最も時間のかかる顔拭き工程の時
間短縮が可能となる。また、複数の色相別に顔拭き用ブ
レード51…を複数個設けることによって、メンテナン
ス工程でのインクの混色が防止可能となり、印字品位の
向上が図れる。
【0252】また、本実施の形態では、メンテナンスユ
ニット50は、退避位置として、回転する各ラインヘッ
ド30…の回転軌跡内に配置されるとともに、印字可能
な用紙サイズ領域外に少なくとも1つ以上配置される。
【0253】このため、複数のラインヘッド30…はメ
ンテナンスユニット50に接触することなく回転可能と
なり、印字領域にも影響を及ぼさないメンテナンスが可
能となる。
【0254】また、本実施の形態では、メンテナンスユ
ニット50のホームポジションは、各ラインヘッド30
…の回転軌跡に対して退避した位置である。
【0255】このため、十字状アーム12によって複数
のラインヘッド30…がいつ回転を行っても、メンテナ
ンスユニット50と接触することが回避可能となる。
【0256】また、本実施の形態では、メンテナンスユ
ニット50は、各ラインヘッド30…の中から選択指定
されたラインヘッド30がメンテナンス位置に回転して
到達した後に、退避位置から当接位置へ上下移動する。
【0257】このため、該当ラインヘッド30に対する
メンテナンスが可能となり、メンテナンス不要のライン
ヘッド30…への影響が無くなる。
【0258】また、本実施の形態では、メンテナンスユ
ニット50は、その上面に、各ラインヘッド30の下部
に配置される印字ヘッド32と当接する開口部を有する
ととともに、その開口部周辺のメンテナンスユニット5
0壁面には、クッション部材55が配置される。
【0259】このため、メンテナンスユニット50と印
字ヘッド32とが当接するときの衝撃力を吸収すること
が可能となる。さらに、クッション部材55を介してメ
ンテナンスユニット50が印字ヘッド32と接触するこ
とによって、メンテナンスユニット50の機密性が向上
し、インク吸引工程の効率アップが図れるとともに、吸
引、唾吐き、顔拭きを行った廃棄インクの機内飛散を未
然に防ぐことが可能となる。
【0260】また、本実施の形態では、メンテナンスユ
ニット50は、装置が非通電状態から通電状態に移行し
たとき、吐出ノズルがメンテナンスサイクル時に到達し
たとき、及び吐出ノズルが交換されたときに、メンテナ
ンス工程を実施する。
【0261】また、各ラインヘッド30の最下部には、
印字ヘッド32が非印字時及び非動作時に、吐出ノズル
からのインクの乾燥を防止するヘッド用カバー部材27
が配置される。
【0262】このため、複数のラインヘッド30…の下
部に配置される吐出ノズルからのインク乾燥を防止する
ことができ、印字ヘッド32の目詰まり防止、及びイン
クヘッドメンテナンスサイクルの長寿命化、並びにメン
テナンス時にインクの吸引、唾吐きの各動作でインクを
消費することによるインク消費量の低減が図れる。
【0263】また、本実施の形態では、ヘッド用カバー
部材27は、各ラインヘッド30…を保持するキャリッ
ジ20の側壁23・23に配置されるスプリング26a
・26bと、印字位置の近傍に配置される突起部82に
よって吐出ノズルが開放、遮蔽される。
【0264】このため、複数のラインヘッド30…の中
から選択されたラインヘッド30が十字状アーム12の
回転によって、メンテナンス位置に到達したときに回転
駆動するだけで、容易にインク乾燥遮蔽部材をインクヘ
ッド部から退避させることが可能となる。また、メンテ
ナンス終了後、ラインヘッド30…が回転するだけでヘ
ッド用カバー部材27が移動し、印字ヘッド32の保護
を行うことが容易となる。
【0265】また、本実施の形態では、ヘッド用カバー
部材27と突起部82とは、印字可能な用紙サイズ領域
外に配置される。
【0266】このため、ヘッド用カバー部材27の回動
基準位置が規制され、メンテナンス領域の障害とならな
い。
【0267】また、本実施の形態では、ヘッド用カバー
部材27には、吐出ノズルとの当接位置には吐出ノズル
を保護し、吐出ノズルからインクを吸収しないクッショ
ン部材28が配置される。
【0268】このため、ヘッド用カバー部材27が印字
ヘッド32から離脱/当接する際に、ヘッド用カバー部
材27が印字ヘッド32の吐出ノズルに直接当たらない
ため、吐出ノズルの衝撃を緩和でき、破壊を招来しな
い。
【0269】
【発明の効果】本発明のインクジェットプリンタは、以
上のように、印字手段は、複数のラインヘッドを有し、
各ラインヘッドは、各色相毎の、インクを吐出する印字
ヘッドとこの印字ヘッドへインクを補給するインク貯蔵
部とインク吐出を制御するヘッド制御基板とを有する一
方、上記複数のラインヘッドを回転支持軸の周りに回転
させることによって、用紙への印字、印字ヘッドのメン
テナンス、及びインク貯蔵部へのインク補給を行なうも
のである。
【0270】それゆえ、複数のラインヘッドを例えば観
覧車のように回転支持軸の周りに回転させることによっ
て、各ラインヘッドを例えば下方の印字位置に導くこと
ができるとともに、その印字位置以外の回転位置では印
字ヘッドのメンテナンス、インク貯蔵部へのインク補給
を行なうことができる。
【0271】また、各ラインヘッドとして、異なる解像
度の印字を行う印字ノズルを使用すれば、該当するライ
ンヘッドを印字位置にまで回転させることにより、その
解像度の印字を行うことができる。
【0272】また、このように各ラインヘッドを回転支
持軸の周りに回転させることにより、円形軌道の近傍で
印字、メンテナンス及びインク補給の全てができるの
で、装置もコンパクトになる。
【0273】したがって、ラインヘッドを用いた場合
に、印字、メンテナンス及びインク補給を適切に行い、
ひいては装置のコンパクト化及び異なる解像度の印字を
行い得るインクジェットプリンタを提供することができ
るという効果を奏する。
【0274】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、印字
手段は、回転支持軸と一体に回転するアームと、このア
ームの先端に設けられた各連結軸に回動自在に軸支され
る各キャリッジを有するとともに、各ラインヘッドは、
これら各キャリッジに保持されているものである。
【0275】それゆえ、各ラインヘッドは各キャリッジ
に保持され、アームが回転支持軸と一体に回転すること
によって、各ラインヘッドが観覧車のように回転し、そ
のとき、絶えず、印字ヘッドを下方に向けさせることが
できる。
【0276】したがって、印字ヘッドを絶えず下方に向
けた状態で用紙への印字、印字ヘッドのメンテナンス、
及びインク貯蔵部へのインク補給を行なうので、各ライ
ンヘッド自体を回転することによる吐出ノズルへの空気
流入による印字不良や電極に空気が入り込むことによる
印字ヘッドの破壊を防止することができるという効果を
奏する。
【0277】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドのホームポジションは、印字位置、印字ヘッ
ドのメンテナンス位置、及びインク貯蔵部へのインク補
給位置とは異なる回転停止位置であるものである。
【0278】それゆえ、各ラインヘッドが装置の停止中
つまり電源のOFF時及び待機中に、何らかの衝撃、例
えば、ユーザのインクタンク補給時や持ち運び等での衝
撃を受けた場合にも、メンテナンスユニット、補給用イ
ンクタンク等と各ラインヘッドとが接触して、これらメ
ンテナンスユニット、補給用インクタンク及び印字ヘッ
ド等を破壊するというおそれがなくなるという効果を奏
する。
【0279】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドの印字ヘッドは、各ラインヘッド間で互いに
インク吐出径が異なるものである。
【0280】それゆえ、ラインヘッドを回転して所望の
インク吐出径を印字位置にセットすることによって、確
実に、異なる解像度の印字を行い得るインクジェットプ
リンタを提供することができるという効果を奏する。
【0281】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドにおける各色相用の吐出ノズルの配置は、各
ラインヘッド間において、同一基準位置からの距離が各
色相用の吐出ノズル毎にそれぞれ同じであるものであ
る。
【0282】それゆえ、メンテナンス工程の顔拭き工程
において、吐出ノズルに多色のインクの混色が発生する
ことがなくなる。また、一つのタイミング制御にて多解
像度の印字が可能となるという効果を奏する。
【0283】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、給紙
手段は、画像情報の解像度によって用紙の搬送速度を変
更する一方、印字手段は、その変更した搬送速度に対応
して各ラインヘッドでのインク吐出を行なうものであ
る。
【0284】それゆえ、用紙の搬送速度に対応して各ラ
インヘッドでのインク吐出を行なうので、副走査方向の
解像度変換が可能となるという効果を奏する。
【0285】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、印字
位置には、回転してくる各ラインヘッドと対峙する例え
ばプラテン等の印字位置用紙搬送部材が設けられるとと
もに、この印字位置用紙搬送部材に対して、印字位置に
おける各ラインヘッドとの対向空隙距離を変更させる例
えば駆動源によるカム方式等の距離変更手段が設けられ
ているものである。
【0286】それゆえ、その対向空隙距離の調整を、距
離変更手段を採用することにより、プラテン等の印字位
置用紙搬送部材高さを調整することによって実現するこ
とが可能となる。したがって、用紙が印字ヘッドを擦っ
たり、対向空隙距離が適正でないことによる印字品位の
低下の招来を未然に防止できるという効果を奏する。
【0287】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドが印字位置に到達したときにおける例えばプ
ラテン等の印字位置用紙搬送部材の対向空隙距離の調整
は、印字要求によって給紙される用紙厚みとこの印字位
置用紙搬送部材の厚さとに基づいて、各ラインヘッドの
印字ヘッドにおける吐出ノズルの先端と搬送される用紙
の上面との距離が常に一定となるように行なわれるもの
である。
【0288】それゆえ、印字位置用紙搬送部材の上昇時
の高さが規制され、吐出ノズルとプラテンとの衝突が防
止できる。このため、吐出ノズルの破壊、及び印字用紙
が通過した後のプラテンのインク汚れによる用紙裏面汚
れの防止を図ることができるという効果を奏する。
【0289】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、各ラ
インヘッドの印字ヘッドには、吐出ノズルからのインク
の乾燥を防止するインク乾燥遮蔽部材が配置されるとと
もに、印字すべきラインヘッドが印字位置に到達したと
きに、このインク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を
解除する遮蔽解除手段が設けられているものである。
【0290】それゆえ、インク乾燥遮蔽部材が配置され
るので、複数のラインヘッドに配置される吐出ノズルか
らのインク乾燥が防止でき、印字ヘッドの目詰まり防
止、印字ヘッドメンテナンスサイクルの長寿命化、及び
メンテナンス時にインクの吸引、唾吐きの各動作でイン
クを消費することによるインク消費量の低減が図れると
いう効果を奏する。
【0291】また、本発明では、印字すべきラインヘッ
ドが印字位置に到達したときに、遮蔽解除手段が、イン
ク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を解除するので、
印字に際して、インク乾燥遮蔽部材が邪魔になることも
ないという効果を奏する。
【0292】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、遮蔽
解除手段は、インク乾燥遮蔽部材のラインヘッド回転前
方側端部とラインヘッド回転後方側端部とをそれぞれ保
持すべくキャリッジの側壁に取り付けられたスプリング
と、インク乾燥遮蔽部材の下方に配置されて、ラインヘ
ッドの回転に伴ってこのインク乾燥遮蔽部材のラインヘ
ッド回転前方側端部に当接するインク乾燥遮蔽部材回動
突起とからなっているものである。
【0293】それゆえ、印字すべきラインヘッドが印字
位置に到達したときに、遮蔽解除手段が、確実に、イン
ク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を解除するので、
印字に際して、インク乾燥遮蔽部材が邪魔になることも
ない。
【0294】また、インク乾燥遮蔽部材は、スプリング
で保持されているので、インク乾燥遮蔽部材回動突起の
インク乾燥遮蔽部材への係止を解除すれば、インク乾燥
遮蔽部材は、元の位置に戻り、吐出ノズルを遮蔽するこ
とができるという効果を奏する。
【0295】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、上記
印字手段は、回転してくる各ラインヘッドに対峙する補
給用インクタンクと、上記補給用インクタンクを、回転
してくる各ラインヘッドに対してインクを補給すべく当
接した当接位置と退避した退避位置とに移動させるイン
クタンク移動手段とを備えているものである。
【0296】それゆえ、インクタンク移動手段により、
補給用インクタンクを複数のラインヘッドの回転軌跡か
ら退避可能とする。これによって、複数のラインヘッド
の回転時に、補給用インクタンクがラインヘッドを構成
する各部材に接触することなく回転することができると
いう効果を奏する。
【0297】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、補給
用インクタンクは、その内部にインク収納部を有すると
ともに、上記インク収納部の下部には、各ラインヘッド
に設けられたインク貯蔵部に挿入してインクを補給する
ためのインク補給用管と、このインク補給用管の開口の
開閉を行なうインク補給用駆動手段とが設けられている
ものである。
【0298】それゆえ、ラインヘッドのインク貯蔵部に
インクを補給するときには、補給用インクタンクにおけ
るインク収納部の下部に設けられたインク補給用管を、
インク貯蔵部に挿入してインクを補給する。そして、イ
ンク補給用駆動手段にてインク補給用管の開口を開け、
インクを補給する。
【0299】したがって、インク補給が容易で簡便に実
施できるととともに、補給時のインク漏れを解消するこ
とができるという効果を奏する。
【0300】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、補給
用インクタンクは、複数種類の色相のインクをそれぞれ
区分けして収納すべくインク収納部が分割されていると
ともに、各ラインヘッドに設けられた各色相毎のインク
貯蔵部に設けられるインク供給部の位置は、各色相のイ
ンクに応じて互いに位置が異なるものである。
【0301】それゆえ、補給動作時に間違って補助イン
クタンクに異なった色相のインクを補給しなくなり、イ
ンクの混色を防止でき、印字品位の安定が図れるという
効果を奏する。
【0302】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、回転
してくる各ラインヘッドに対峙するメンテナンスユニッ
トと、上記メンテナンスユニットを、回転してくる各ラ
インヘッドの印字ヘッドに対して、メンテナンスすべく
当接した当接位置と、退避した退避位置とに移動させる
メンテナンスユニット移動手段とを備えているものであ
る。
【0303】それゆえ、メンテナンスユニット移動手段
によって、メンテナンスユニットを複数のラインヘッド
の回転軌跡から退避可能としている。
【0304】したがって、複数のラインヘッドが回転す
るときに、メンテナンスユニットがラインヘッドを構成
する各部材、特に印字ヘッドや吐出ノズルに接触するこ
となく回転することができるという効果を奏する。
【0305】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、メン
テナンスユニットは、その内部に、インク吸引用サクシ
ョンによって廃棄されたインクを回収する廃棄インク回
収部と、印字ヘッド面の清掃を行う弾性ブレードと、こ
の弾性ブレードを進退駆動するブレード駆動手段とを備
えているものである。
【0306】それゆえ、メンテナンスユニットは、その
内部に、インク吸引用サクションによって廃棄されたイ
ンクを回収する廃棄インク回収部と、印字ヘッド面の清
掃を行う弾性ブレードと、この弾性ブレードを進退駆動
するブレード駆動手段とを備えているので、メンテナン
ス工程のインク吸引工程、唾吐き工程、及び顔拭き工程
の実施が可能となる。また、廃棄インク回収部を有する
ことによって、インクの機内飛散を防止することができ
るという効果を奏する。
【0307】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記記載のインクジェットプリンタにおいて、弾性
ブレードは、メンテナンスユニットの内部において、複
数個設けられるとともに、各弾性ブレードは、同一駆動
源からなるブレード駆動手段によってそれぞれ進退移動
されるものである。
【0308】それゆえ、ラインヘッドを用いたときのメ
ンテナンス工程で最も時間のかかる顔拭き工程の時間短
縮が可能となる。また、複数の色相別に弾性ブレードを
複数個設けることによって、メンテナンス工程でのイン
クの混色が防止可能となり、印字品位の向上が図れると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインクジェットプリンタの実施
の一形態を示すものであり、十字状アームに各ラインヘ
ッドが回転可能に取り付けられた状態を示す側面図であ
る。
【図2】上記インクジェットプリンタの全体概要を示す
斜視図である。
【図3】上記インクジェットプリンタの用紙搬送経路を
示す説明図である。
【図4】上記インクジェットプリンタの十字状アームの
回転駆動系を示す正面図である。
【図5】(a)は上記ラインヘッドを収納するキャリッ
ジの構成を示す正面図、(b)は十字状アームとキャリ
ッジとの接合部分を示す拡大断面図である。
【図6】(a)は上記ラインヘッドを側面から見た模式
図、(b)は上記ラインヘッドを正面から見た模式図で
ある。
【図7】上記各ラインヘッドの印字ヘッドにおいて、そ
れぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各吐出ノズル
が配列された状態を示す底面図であり、(a)は200
dpi用の印字ヘッドの構成を示すもの、(b)は30
0dpi用の印字ヘッドの構成を示すもの、(c)は6
00dpi用の印字ヘッドの構成を示すもの、(d)は
1200dpi用の印字ヘッドの構成を示すものであ
る。
【図8】上記キャリッジに収納されるラインヘッドのイ
ンク貯蔵部の上部の軌跡を示す側面図である。
【図9】(a)はキャリッジのホームポジションを示す
側面図であり、(b)はキャリッジの印字位置を示す側
面図である。
【図10】(a)はキャリッジのメンテナンス位置を示
す側面図であり、(b)はキャリッジのインク補給位置
を示す側面図である。
【図11】ラインヘッドの準備動作を示すフローチャー
トである。
【図12】印字要求があった時のラインヘッドの動作を
示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施の形態を示すものであり、
(a)は補給インクタンクのイエロー用インク収納部の
構成を示す断面図であり、(b)はイエロー用ラインヘ
ッドの構成を示す断面図である。
【図14】(a)は補給インクタンクのマゼンタ用イン
ク収納部の構成を示す断面図であり、(b)はマゼンタ
用ラインヘッドの構成を示す断面図である。
【図15】(a)は補給インクタンクのシアン用インク
収納部の構成を示す断面図であり、(b)はシアン用ラ
インヘッドの構成を示す断面図である。
【図16】(a)は補給インクタンクのブラック用イン
ク収納部の構成を示す断面図であり、(b)はブラック
用ラインヘッドの構成を示す断面図である。
【図17】ラインヘッドを収納したキャリッジが回転し
てインク補給位置に到達する状態を示す側面図である。
【図18】本発明のさらに他の実施の形態を示すものあ
り、ラインヘッドを収納したキャリッジに取り付けられ
たヘッドカバー上下用駆動部の構成を示す側面図であ
る。
【図19】ラインヘッドを収納したキャリッジに取り付
けられたヘッドカバー上下用駆動部及びプラテン上下用
駆動部の構成を示す要部正面図である。
【図20】上記ヘッドカバー上下用駆動部の動作を示す
側面図であり、(a)はキャリッジがホームポジション
から印字位置へ移動しているときの状態を示すもの、
(b)はキャリッジの移動中において、ヘッド用カバー
部材が突起部に接触した状態を示すもの、(c)は印字
位置にキャリッジが到達し、印字しているときの状態を
示すもの、(d)は印字が終了し、キャリッジが印字位
置から退避移動するときの状態を示すものである。
【図21】(a)はメンテナンスユニットの構成を示す
正面図、(b)はメンテナンスユニットの構成を示す平
面図である。
【図22】メンテナンスユニット上下用駆動部及びヘッ
ドカバー上下用駆動部の構成を示す要部正面図である。
【図23】ラインヘッドを収納したキャリッジが回転し
てメンテナンス位置に到達する状態を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 2 給紙トレイ(給紙手段) 4 PSローラ(給紙手段) 5 プラテン(印字手段、印字位置用紙搬送部材) 6 乾燥ユニット(排紙手段) 7 排出ローラ(排紙手段) 8 排紙トレイ(排紙手段) 11 シャフト(回転支持軸) 12 十字状アーム(印字手段、アーム) 20 キャリッジ 21 回動ピン(連結軸) 23 側壁 26a スプリング 26b スプリング 27 ヘッド用カバー部材(インク乾燥遮蔽部材) 30 ラインヘッド(印字手段) 31 インク貯蔵部 32 印字ヘッド 33 インク吐出制御基板(ヘッド制御基板) 51 顔拭き用ブレード(弾性ブレード) 52 駆動シャフト(ブレード駆動手段) 53 ブレード駆動源(ブレード駆動手段) 54 廃棄インク収納部(廃棄インク回収部) 60 補給用インクタンク(印字手段) 64 インク注入管(インク補給用管) 65 開閉ソレノイド(インク補給用駆動手段) 70 補給タンク上下用駆動部(インクタンク移動手
段) 80 ヘッドカバー上下用駆動部(遮蔽解除手段) 82 突起部(インク乾燥遮蔽部材回動突起) 90 プラテン上下用駆動部(距離変更手段) 100 メンテナンスユニット上下用駆動部(メンテ
ナンスユニット移動手段) P 用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 EA12 EA16 EA17 EA27 EB20 EB50 EC19 EC64 ED09 FA13 HA21 HA22 HA37 JA05 JB04 JC20 KB05 KB08 KB20 KC11 KC21 KD08

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原稿を読み取る読み取り手段から送信され
    る画像情報、又はネットワーク上に繋がれた端末装置か
    ら転送される画像情報を印字する印字手段と、印字に用
    いる用紙を収納しかつ印字要求に応じて用紙を搬送する
    給紙手段と、印字終了後の用紙を搬送しかつ装置外部に
    排出する排紙手段を備えたインクジェットプリンタにお
    いて、 上記印字手段は、 複数のラインヘッドを有し、各ラインヘッドは、各色相
    毎の、インクを吐出する印字ヘッドとこの印字ヘッドへ
    インクを補給するインク貯蔵部とインク吐出を制御する
    ヘッド制御基板とを有する一方、 上記複数のラインヘッドを回転支持軸の周りに回転させ
    ることによって、用紙への印字、印字ヘッドのメンテナ
    ンス、及びインク貯蔵部へのインク補給を行なうことを
    特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 【請求項2】印字手段は、回転支持軸と一体に回転する
    アームと、このアームの先端に設けられた各連結軸に回
    動自在に軸支される各キャリッジを有するとともに、 各ラインヘッドは、これら各キャリッジに保持されてい
    ることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリ
    ンタ。
  3. 【請求項3】各ラインヘッドのホームポジションは、印
    字位置、印字ヘッドのメンテナンス位置、及びインク貯
    蔵部へのインク補給位置とは異なる回転停止位置である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット
    プリンタ。
  4. 【請求項4】各ラインヘッドの印字ヘッドは、各ライン
    ヘッド間で互いにインク吐出径が異なることを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載のインクジェットプリンタ。
  5. 【請求項5】各ラインヘッドにおける各色相用の吐出ノ
    ズルの配置は、各ラインヘッド間において、同一基準位
    置からの距離が各色相用の吐出ノズル毎にそれぞれ同じ
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載のインクジェットプリンタ。
  6. 【請求項6】給紙手段は、画像情報の解像度によって用
    紙の搬送速度を変更する一方、印字手段は、その変更し
    た搬送速度に対応して各ラインヘッドでのインク吐出を
    行なうことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載のインクジェットプリンタ。
  7. 【請求項7】印字位置には、回転してくる各ラインヘッ
    ドと対峙する印字位置用紙搬送部材が設けられるととも
    に、 この印字位置用紙搬送部材に対して、印字位置における
    各ラインヘッドとの対向空隙距離を変更させる距離変更
    手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  8. 【請求項8】各ラインヘッドが印字位置に到達したとき
    における印字位置用紙搬送部材の対向空隙距離の調整
    は、印字要求によって給紙される用紙厚みとこの印字位
    置用紙搬送部材の厚さとに基づいて、各ラインヘッドの
    印字ヘッドにおける吐出ノズルの先端と搬送される用紙
    の上面との距離が常に一定となるように行なわれること
    を特徴とする請求項7記載のインクジェットプリンタ。
  9. 【請求項9】各ラインヘッドの印字ヘッドには、吐出ノ
    ズルからのインクの乾燥を防止するインク乾燥遮蔽部材
    が配置されるとともに、 印字すべきラインヘッドが印字位置に到達したときに、
    このインク乾燥遮蔽部材の吐出ノズルへの遮蔽を解除す
    る遮蔽解除手段が設けられていることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェットプリン
    タ。
  10. 【請求項10】遮蔽解除手段は、 インク乾燥遮蔽部材のラインヘッド回転前方側端部とラ
    インヘッド回転後方側端部とをそれぞれ保持すべくキャ
    リッジの側壁に取り付けられたスプリングと、 インク乾燥遮蔽部材の下方に配置されて、ラインヘッド
    の回転に伴ってこのインク乾燥遮蔽部材のラインヘッド
    回転前方側端部に当接するインク乾燥遮蔽部材回動突起
    とからなっていることを特徴とする請求項9記載のイン
    クジェットプリンタ。
  11. 【請求項11】上記印字手段は、 回転してくる各ラインヘッドに対峙する補給用インクタ
    ンクと、 上記補給用インクタンクを、回転してくる各ラインヘッ
    ドに対してインクを補給すべく当接した当接位置と退避
    した退避位置とに移動させるインクタンク移動手段とを
    備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか
    1項に記載のインクジェットプリンタ。
  12. 【請求項12】補給用インクタンクは、その内部にイン
    ク収納部を有するとともに、 上記インク収納部の下部には、各ラインヘッドに設けら
    れたインク貯蔵部に挿入してインクを補給するためのイ
    ンク補給用管と、このインク補給用管の開口の開閉を行
    なうインク補給用駆動手段とが設けられていることを特
    徴とする請求項11記載のインクジェットプリンタ。
  13. 【請求項13】補給用インクタンクは、複数種類の色相
    のインクをそれぞれ区分けして収納すべくインク収納部
    が分割されているとともに、 各ラインヘッドに設けられた各色相毎のインク貯蔵部に
    設けられるインク供給部の位置は、各色相のインクに応
    じて互いに位置が異なることを特徴とする請求項12記
    載のインクジェットプリンタ。
  14. 【請求項14】回転してくる各ラインヘッドに対峙する
    メンテナンスユニットと、 上記メンテナンスユニットを、回転してくる各ラインヘ
    ッドの印字ヘッドに対して、メンテナンスすべく当接し
    た当接位置と、退避した退避位置とに移動させるメンテ
    ナンスユニット移動手段とを備えていることを特徴とす
    る請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェッ
    トプリンタ。
  15. 【請求項15】メンテナンスユニットは、その内部に、
    インク吸引用サクションによって廃棄されたインクを回
    収する廃棄インク回収部と、印字ヘッド面の清掃を行う
    弾性ブレードと、この弾性ブレードを進退駆動するブレ
    ード駆動手段とを備えていることを特徴とする請求項1
    4記載のインクジェットプリンタ。
  16. 【請求項16】弾性ブレードは、メンテナンスユニット
    の内部において、複数個設けられるとともに、各弾性ブ
    レードは、同一駆動源からなるブレード駆動手段によっ
    てそれぞれ進退移動されることを特徴とする請求項15
    記載のインクジェットプリンタ。
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