JP2002318303A - 光学部材およびその製造方法 - Google Patents

光学部材およびその製造方法

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JP2002318303A JP2001124216A JP2001124216A JP2002318303A JP 2002318303 A JP2002318303 A JP 2002318303A JP 2001124216 A JP2001124216 A JP 2001124216A JP 2001124216 A JP2001124216 A JP 2001124216A JP 2002318303 A JP2002318303 A JP 2002318303A
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康裕 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡便な製造設備で製造できる光学部材
であって、遮光膜のアウトガス発生量を低減した光学部
材を提供する。 【解決手段】 石英製のレンズ1の外周面に無機系遮光
塗料を塗布して遮光膜2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遮光膜の設けられ
たレンズやプリズム等の光学部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にレンズやプリズム等の光学部材
は、光学装置系で発生するフレアやゴースト防止のた
め、光学装置の鏡筒内部やレンズ等の最外周面に遮光塗
料が塗布され、使用に供されている。従来、光学用部材
の遮光塗料用のバインダーとしては、フタル酸樹脂、塩
化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂やウレタ
ン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキッド樹脂
やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の合成樹脂系塗料が
用いられ、さらに、これら樹脂中にカーボンブラックや
酸化鉄等、種々の顔料が混合され、遮光塗料としての機
能が付与されている。
【0003】ところで、これら合成樹脂塗料を光学部材
に用いた場合、遮光塗料の硬化時、硬化後に発生する未
硬化モノマー成分および低分子量成分のアウトガス(揮
発成分)により、光学部材表面にガス成分が付着して、
光学性能を著しく低下させることがあった。
【0004】この点を改善する手段として、従来、アウ
トガスの少ない遮光材を選択する方法が検討されてき
た。例えば特開平11−14876号公報には、光学部
材用遮光膜材としてNi,Si,Au,Pt,W,M
o,Cr,Ti,Al及びこれらの合金または化合物の
群より選択された1つ以上の金属成分をスパッタ法や真
空蒸着法を用いることで金属遮光膜を形成する方法が開
示されている。この手法により光学部材に形成された金
属遮光膜は、合成樹脂系遮光膜と比較して、金属遮光膜
のアウトガスの放出・飛散が低減され、光学部材の光学
性能が向上する。
【0005】
【発明が解決しようする課題】近年においては光学機器
等の光学性能が飛躍的に向上しており、アウトガスによ
る汚染の防止の程度も従来にない高い水準が望まれるよ
うになってきている。従来用いられていたウレタン樹
脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂塗料によるレンズやプリ
ズム等の遮光では、合成樹脂系遮光塗料から発生するア
ウトガスにより、光学部材の本来有する光学性能を損な
う可能性がある。
【0006】一方、金属遮光膜を選択的形成させる方法
では、遮光以外の面に遮光材が付着しないようにマスク
工程が必要となる上、真空蒸着装置やスパッタ装置など
の高額な設備の導入が必要となる。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みなされたもので
あって、比較的簡便な製造設備で製造できる光学部材で
あって、遮光膜のアウトガス発生量を低減した光学部材
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、光学部
品と、その表面の少なくとも一部に設けられた遮光膜と
を備える光学部材において、前記遮光膜は、前記光学部
品の表面に無機系遮光塗料を塗布することにより形成さ
れた膜であることを特徴とする光学部材、が提供され
る。
【0009】また、本発明によれば、光学部品と、その
表面の少なくとも一部に設けられた遮光膜とを備える光
学部材の製造方法であって、前記光学部品の表面に無機
系遮光塗料を塗布した後、乾燥することにより、前記遮
光膜を形成する工程を含むことを特徴とする光学部材の
製造方法が提供される。
【0010】ここで、無機系遮光塗料とは、フタル酸樹
脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アル
キッド樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の合成樹
脂を用いない塗料であり、バインダーとしてカップリン
グ剤等を利用した塗料をいう。
【0011】本発明において、「光学部品」とはレンズ
やプリズム等の部品をいい、その表面の少なくとも一部
に遮光膜を設けたものを「光学部材」という。
【0012】本発明によれば、無機系遮光塗料を塗布す
ることによって遮光膜を形成しているので、遮光膜のア
ウトガス発生量を顕著に低減することができる。また、
本発明に係る光学部材は、煩雑な工程を経ることなく、
比較的簡便な製造設備で製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の光学部材は、光学部品の
表面の少なくとも一部に遮光膜が形成された構成を有す
る。光学部品としてはレンズやプリズム等が挙げられ
る。本発明の光学部材には、たとえば10nm以上400
nm以下の波長の光が適用され、レーザー光等が適用され
る。
【0014】本発明における無機系遮光塗料は、たとえ
ば、顔料と、これを光学部品に定着せしめるバインダー
とを含む構成とすることができ、適宜溶剤を使用するこ
ともできる。バインダーとしては、たとえばカップリン
グ剤が好ましく用いられる。カップリング剤とは、基材
となる光学部品と、顔料等の遮光材料とを結合する機能
を有する化合物をいう。
【0015】本発明におけるカップリング剤の例とし
て、シラン系カップリング剤およびチタン系カップリン
グ剤が挙げられる。シラン系カップリング剤としては、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルト
リエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i
−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシ
シラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメ
トキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。
【0016】チタン系カップリング剤としては、テトラ
イソプロポキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソ
キシ)チタン、テトラステアロキシチタン等のテトラア
ルコキシチタン、ならびにジイソプロポキシ・ビス(ア
セチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス
(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシ・ビ
ス(ラクタト)チタン、チタン−i−プロポキシオクチ
レングリコレート等が挙げられる。
【0017】本発明に使用する溶剤としてはカップリン
グ剤と相溶性のよい、n−ヘキサン、ジエチルエーテ
ル、イソプロピルエーテル、n−ペンタン、酢酸n−ブチ
ル、キシレン、トルエン、THF、酢酸エチル、トリクロ
ロエチレン、MEK、クロロホルム、2−エチルエキサノ
ール、ジオキサン、アセトン、t−ブタノール、メチル
セロソルブ、IPA、アセトニトリル、1−プロパノー
ル、ベンジルアルコール、エタノール、炭酸プロピレ
ン、エチレングリコール、メタノール、グリセリン等が
挙げられる。
【0018】無機系塗料中に含有させる顔料としては、
無機系顔料と有機系顔料に大別することができる。
【0019】無機系顔料としては、シリカ、アルミナ、
酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化
マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、フェライト
類等の酸化物系顔料;水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム
等の水酸化物系顔料;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロ
タルサイト等の炭酸塩系顔料;硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、石膏繊維等の硫酸塩系顔料;ケイ酸カルシウ
ム、タルク、クレー、マイカ、モンモリナイト、ベント
ナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリ
サイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン等
の窒化物系顔料;カーボンブラック、グラファイト、炭
素繊維、炭素バルン、木炭粉末等が挙げられる。
【0020】また、有機系フィラーとしては、テフロン
(登録商標)粉、木粉、パルプ、ゴム粉、アラミド等の
各種有機物が挙げられる。
【0021】本発明において、遮光塗料の塗布方法とし
ては様々な方法を採用することができる。たとえば、ス
プレー方式、刷毛塗り方式、スピンコート方式等が挙げ
られる。遮光塗料の固化温度もしくは硬化温度は、特に
制限がないが、10℃以上60℃以下とする。
【0022】本発明において、遮光塗料を塗布する前に
光学部品の表面に対して密着性向上のための処理を行う
こともできる。たとえば、オゾン雰囲気中で光学部品に
紫外線を照射する処理や、光学部品に対してコロナ放電
等の放電処理を行うことができる。
【0023】
【実施例】(第1の実施例)本実施例の光学部材の構成
を図1に示す。石英製のレンズ1の外周部に無機系遮光
塗料による遮光膜2が形成されている。レンズ1は、レ
ンズ用セル3により保持されている。
【0024】遮光塗料としては、無機系遮光塗料を用い
た。この無機系遮光塗料は、顔料としてカーボンブラッ
ク、バインダーとしてエチルトリエトキシシランを含有
するものである。
【0025】無機系遮光塗料の塗布装置としては、高性
能塗布装置(セレクトコート:ノードン製)を用いた。
【0026】レンズ1への無機系遮光塗料の塗布は以下
のようにして行った。まず、無機系遮光塗料を塗布する
前に、塗料の塗りムラが発生しないように、有機溶剤を
用いて石英製レンズ1を洗浄した。有機溶剤としてはイ
ソプロピルアルコール(IPA)を用いた。具体的には、
図2に示すように石英レンズ1をIPAで満たした超音波
洗浄容器4中に浸漬し、約5分間、石英レンズ表面を洗
浄した。
【0027】洗浄および乾燥を行った後、レンズに遮光
塗料を塗布する。遮光塗料の塗布は図4に示す装置を用
いて行った。まず、遮光塗料を約10g秤量し、これを
塗布装置であるセレクトコート付属の塗布用シリンジ6
に注入する。レンズ1をレンズ固定用治具7により固定
した後、シリンジを用い、レンズ最外周面に約30ミク
ロン程度の厚みに遮光塗料を塗布する。塗布する際の塗
布装置の空気圧力、移動速度等は、これらの条件と遮光
膜厚みとの相関を予備実験によってあらかじめ把握して
おき、この結果に基づいて決定される。レンズ最外周面
に遮光塗料を塗布した後、塗料を完全に硬化させるた
め、一昼夜室温で放置する。放置時間の経過にしたがっ
て遮光塗料が重量が変化し、完全硬化すると重量変化が
認められなくなる。本実施例では、熱重量分析法(TG
A)により遮光塗料の重量を測定し、その重量変化が認
められなくなったことをもって遮光塗料が完全に硬化し
たことを確認した。
【0028】以上のようにして得られた光学部材(レン
ズ)について、遮光膜自体のアウトガス量を測定した。
アウトガス量は、図6に示すチャンバー10内にレンズ
1を設置し、GC/MS測定することにより求めた。その結
果、アウトガス量として、約1.5ppmと従来の遮光膜に
比べて少ない値が得られた。
【0029】つづいてこのレンズを鏡筒に組み込んだ
後、波長248nmの光線の透過率を測定した。その結
果、組み込み直後の透過率(λ=248nm)は表1に示
すように92.8%であり、また1ヶ月経過後のレンズ
の透過率は92.7%であった。従来の合成樹脂系遮光
塗料を用いたときに生じていた遮光塗料中に含有されて
いるモノマー成分の流出・飛散による光学部材の汚染は
ほとんどないものと考えられる。
【0030】(第1の比較例)遮光塗料として、カーボ
ンブラックを混合した市販の二液型のエポキシ系遮光塗
料を用いたこと以外は第1の実施例と同様にして光学部
材(レンズ)を作製した。エポキシ系遮光塗料の塗布装
置としては、高性能塗布装置(セレクトコート・ノード
ソン製)を用いた。
【0031】得られた光学部材(レンズ)について、遮
光膜自体のアウトガス量を測定した。アウトガス量は、
図6に示すチャンバー10内にレンズ1を設置し、GC/
MS測定することにより求めた。その結果、アウトガス量
として、約95ppmと第1の実施例に比べて高い値が得
られた。
【0032】つづいてこのレンズを鏡筒に組み込んだ
後、波長248nmの光線の透過率を測定した。その結
果、組み込み直後の透過率(λ=248nm)は表1に示
すように92.8%であり、また1ヶ月経過後のレンズ
の透過率は89.6%であった。従来の合成樹脂系遮光
塗料を用いたときに生じていた遮光塗料中に含有されて
いるモノマー成分の流出・飛散による光学部材の汚染は
ほとんどないものと考えられる。本比較例で用いたエポ
キシ系遮光塗料のモノマー成分の流出・飛散により、レ
ンズ表面が汚染され、透過率が低下したものと考えられ
る。本比較例で用いた遮光塗料では、レンズの透過率が
低下し、レンズ本来の光学性能を充分に発揮できないこ
とが明らかとなった。
【0033】(第2の実施例)遮光機能を付与するため
の顔料として酸化鉄を用い、バインダーとしてシランカ
ップリング剤であるエチルトリメトキシシランを用い、
溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)を含む無機
系遮光塗料を用いたこと以外は第1の実施例と同様にし
て光学部材(レンズ)を作製した。溶媒、カップリング
剤及び顔料は、図5に示すホモジナイザー8(T25BS
4:IKA製)を用いて均一に分散した。分散条件として
は、混合スピードを16,000rpm、混合時間を10分
間とした。ホモジナイザーより取り出された無機系塗料
の外観を観察すると、顔料が溶媒中に良好に分散してい
ることが確認された。
【0034】次に、無機系遮光塗料の塗布方法につい
て、以下に詳細に述べる。
【0035】無機系遮光塗料の塗布装置としては、高性
能塗布装置(セレクトコート:ノードソン製)を用い
た。まず、無機系遮光塗料を塗布する前に、塗料の塗り
ムラが発生しないように、石英製レンズ1をUV/O3洗浄
した。すなわち、オゾンオゾン雰囲気中で前記光学部品
に紫外線を照射した。UV/O3洗浄装置(不図示)として
は、アイオゾン洗浄装置(岩崎電気製)を用いた。具体
的には、石英製のレンズをオゾン洗浄機中の容器中に浸
漬し、石英レンズ表面を約5分間、洗浄した。
【0036】その後、実施例1と同様にしてレンズに遮
光塗料を塗布した。
【0037】得られた光学部材(レンズ)について、遮
光膜自体のアウトガス量を測定した。アウトガス量は、
図6に示すチャンバー10内にレンズ1を設置し、GC/
MS測定することにより求めた。その結果、アウトガス量
として、約3.5ppmと従来の遮光膜に比べて少ない値が
得られた。
【0038】つづいてこのレンズを鏡筒に組み込んだ
後、波長248nmの光線の透過率を測定した。その結
果、組み込み直後の透過率(λ=248nm)は表1に示
すように92.8%であり、また1ヶ月経過後のレンズ
の透過率は92.6%であった。従来の合成樹脂系遮光
塗料を用いたときに生じていた遮光塗料中に含有されて
いるモノマー成分の流出・飛散による光学部材の汚染は
ほとんどないものと考えられる。
【0039】(第3の実施例)本実施例では、遮光機能
を付与するための顔料としてカーボンブラックを用い、
バインダーとしてチタン系カップリング剤であるテトラ
アルコキシチタネートを用い、溶剤としてエチルアルコ
ールを含む無機系遮光塗料を用いた。溶媒、カップリン
グ剤及び顔料は、図5に示すホモジナイザー8(T25B
S4:IKA製)を用いて均一に分散した。分散条件として
は、混合スピードを20,000rpm、混合時間を15分
間とした。ホモジナイザーより取り出された無機系塗料
の外観を観察すると、顔料が溶媒中に良好に分散してい
ることが確認された。無機系遮光塗料の塗布装置として
は、スプレー塗布装置(不図示)を用いた。
【0040】次に、無機系遮光塗料のスプレー塗布方法
について、以下に詳細に述べる。まず、無機系遮光塗料
を塗布する前に、塗料の密着性を向上させるため、図3
に示すように石英製のレンズ1表面に対してコロナ放電
処理を行った。コロナ放電処理装置5としては、コロナ
放電処理装置(HFSS103:春日電機製)を用いた。石
英レンズ1をコロナ放電処理装置に配置し、石英レンズ
表面処理を約3分間行った。
【0041】次にレンズに遮光塗料を塗布する。まず、
遮光塗料を約10g秤量し、塗布装置であるスプレー装
置に注入される。注入後、レンズ最外周面にスプレーを
用い、約30ミクロン程度の厚みに遮光塗料を塗布す
る。塗布する際の塗布装置の空気圧力、移動速度等は予
め行った遮光膜の厚みとの相関により決定される。さら
に、レンズ最外周面に遮光塗料を塗布した後、塗料を完
全に硬化させるため、一昼夜室温で放置する。
【0042】得られた光学部材(レンズ)について、遮
光膜自体のアウトガス量を測定した。アウトガス量は、
図6に示すチャンバー10内にレンズ1を設置し、GC/
MS測定することにより求めた。その結果、アウトガス量
として、約2.5ppmと従来の遮光膜に比べて少ない値が
得られた。
【0043】つづいてこのレンズを鏡筒に組み込んだ
後、波長248nmの光線の透過率を測定した。その結
果、組み込み直後の透過率(λ=248nm)は表1に示
すように92.8%であり、また1ヶ月経過後のレンズ
の透過率は92.7%であった。従来の合成樹脂系遮光
塗料を用いたときに生じていた遮光塗料中に含有されて
いるモノマー成分の流出・飛散による光学部材の汚染は
ほとんどないものと考えられる。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】遮光膜形成後のアウトガス発生量の少な
い無機系塗料を従来のエポキシ系やアクリル系の遮光塗
料の代替品として使用することにより、光学部材のアウ
トガスの付着による光学部材表面の汚れを防止できるこ
とから、これまで以上の高性能な光学部材の設計・製造
が可能となる。
【0046】特に光学部材であるレンズの遮光用とし
て、無機系遮光材を用いた場合、遮光塗料の硬化後に発
生する未反応モノマーの低減を図ることが可能となり、
優れた光学性能を安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学部品の例を示す図である。
【図2】レンズ表面を超音波洗浄する様子を説明するた
めの図である。
【図3】レンズ表面にコロナ放電処理する様子を説明す
るための図である。
【図4】レンズ表面に無機系遮光塗料を塗布する様子を
説明するための図である。
【図5】ホモジナイザーにより無機系遮光塗料を調製す
る様子を説明するための図である。
【図6】無機系遮光膜のアウトガス量の測定方法を説明
するための図である。
【図7】カップリング剤の基材への反応過程を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1 レンズ 2 遮光膜 3 レンズ用セル 4 超音波洗浄装置 5 コロナ放電処理装置 6 シリンジ 7 レンズ用固定治具 8 ホモジナイザー 9 未調整の遮光塗料 10 チャンバー 11 チタンカップリング剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学部品と、その表面の少なくとも一部
    に設けられた遮光膜とを備える光学部材において、前記
    遮光膜は、前記光学部品の表面に無機系遮光塗料を塗布
    することにより形成された膜であることを特徴とする光
    学部材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光学部材において、前
    記無機系遮光塗料は、バインダーとしてカップリング剤
    を含むことを特徴とする光学部材。
  3. 【請求項3】 光学部品と、その表面の少なくとも一部
    に設けられた遮光膜とを備える光学部材の製造方法であ
    って、前記光学部品の表面に無機系遮光塗料を塗布した
    後、乾燥することにより、前記遮光膜を形成する工程を
    含むことを特徴とする光学部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光学部材の製造方法に
    おいて、前記無機系遮光塗料は、バインダーとしてカッ
    プリング剤を含むことを特徴とする光学部材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の光学部材の製
    造方法において、前記無機系遮光塗料を塗布する前に、
    オゾン雰囲気中で前記光学部品に紫外線を照射すること
    を特徴とする光学部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3または4に記載の光学部材の製
    造方法において、前記無機系遮光塗料を塗布する前に、
    前記光学部品に対してコロナ放電処理することを特徴と
    する光学部材の製造方法。
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