JP2002317372A - 不織布の製造方法及び装置 - Google Patents

不織布の製造方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性を落とさずに繊維径を小さくすること
が可能で、不織布を安定的に製造できるスパンボンド不
織布の製法及び装置の提供。 【解決手段】 溶融紡糸された多数の連続フィラメント
を冷却室に導入した冷却風により冷却した後、延伸風で
延伸し、移動捕集面上に堆積させるスパンボンド不織布
の製造法であって、冷却室に導入される冷却風を上下方
向に少なくとも2段に分割し、最下段の冷却風風速が、
最上段の冷却風風速よりも大きくすることを特徴とする
製法及び、紡糸されたフィラメントを冷却風により冷却
する冷却室と、冷却されたフィラメントを延伸する延伸
部と、延伸部から引出されたフィラメントを堆積させる
移動捕集面を備え、冷却室に導入される冷却風が上下方
向に少なくとも2段に分割され、各段の冷却風の風速を
それぞれ独立に制御可能とした不織布製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療、衛生資材、
土木資材、産業資材、包装資材などの各種用途に用いら
れる不織布、ことにスパンボンド不織布の製造方法及び
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スパンボンド不織布の製造方法には、溶
融紡糸したフィラメントを冷却風で冷却し、丸型エアガ
ン或いはスリットエアガンに通して延伸したのち、セパ
レータやオシレータによりメッシュベルト上に散布する
開放型のものと、特開昭57−35053号、特開昭6
0−155765号等に示されるように、紡糸したフィ
ラメントを冷却室に導入した冷却風により冷却したの
ち、冷却風をそのまま延伸風としてノズルを通して引出
し、メッシュベルト上に散布する密閉型のものとがあ
る。
【0003】スパンボンド不織布製造工程においては、
紡糸ノズルから溶融紡糸された多数の連続フィラメント
に冷却風を吹き付けることにより、フィラメントを冷却
するが、生産性を上げるために吐出量を多くした場合、
それにともなって冷却風も十分に必要となる。冷却風が
少ないとフィラメントの冷却が不十分となり、ウェブに
樹脂固まり(ショット)が発生したり、開放型の場合に
は、エアガン等の延伸装置に詰まりを生じたりする。他
方、冷却風が多いと過冷却により糸切れが発生する。
【0004】密閉型のものでは、簡便なプロセスで良好
なフィラメントが得られ、均一性に優れたウェブを得る
ことができるが、冷却室に導入した冷却風で延伸を行
い、冷却風と延伸風を共用しているため、冷却と延伸を
独立して行うことができない。そのため、繊維径を小さ
くするため、延伸風を多くして延伸張力を上げようとす
ると、同時に冷却風も多くなるため糸切れが発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、冷却風を多
くしても糸切れを生じず、生産性を落とさずに繊維径を
小さくすることが可能で、不織布を安定的に製造できる
ようにするスパンボンド不織布の製造方法及び装置を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の不織布の製造方
法は、紡糸ノズルから溶融紡糸された多数の連続フィラ
メントを冷却室に導入した冷却風により冷却したのち、
延伸風で延伸し、移動捕集面上に堆積させるスパンボン
ド不織布の製造方法であって、冷却室に導入される冷却
風を上下方向に少なくとも2段に分割し、最下段の冷却
風の風速が、最上段の冷却風の風速よりも大きくしたこ
とを特徴とする。
【0007】本発明において、冷却室に導入される冷却
風の分割は、上下方向に2〜20段程度に分割すること
が好ましく、2段に分割した場合、上段の冷却風の風速
(V )と下段の冷却風の風速(V)との速度比(V
/V)が、0<V/V <0.7であることが好
ましい。
【0008】また冷却室に導入される冷却風を、上下方
向にn段(n≧3)に分割した場合、最上段の冷却風の
風速(V)と最下段の冷却風の風速(V)との速度
比(V/V)が、0<V/V<0.7であるこ
とが好ましく、また上からm番目(但し、n≧m≧2)
の冷却風の風速Vが、V≧Vm−1を満足すること
が好ましい。
【0009】本発明においては、前記分割された各段の
冷却風の温度は10〜70℃の範囲が実用的に好まし
く、各段の温度は互いに同一でも、少なくとも一部が異
なっていてもよい。とくに最上段の冷却風の温度が10
〜40℃の範囲であり、最下段の温度が最上段の温度よ
り10℃以上高く、30〜70℃の範囲であることが好
ましい。このような温度差をつけることにより、糸切れ
の発生を顕著に抑制することが可能である。
【0010】本発明によれば、多数の連続フィラメント
を溶融紡糸する紡糸ノズルと、紡糸されたフィラメント
を冷却風により冷却する冷却室と、冷却されたフィラメ
ントを延伸する延伸部と、延伸部から引き出されたフィ
ラメントを堆積させる移動捕集面とからなるスパンボン
ド不織布の製造装置であって、冷却室に導入される冷却
風が上下方向に少なくとも2段に分割され、各段の冷却
風の風速をそれぞれ独立して制御可能としたことを特徴
とする不織布の製造装置が提供される。
【0011】このような不織布の製造装置において、冷
却室に導入される冷却風の吹付け面積の割合が、最上段
の吹付け面積/全吹付け面積として0.1〜0.9の範
囲にあることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の不織布の製造方法は、紡
糸口金の紡糸ノズルから吐出された多数の連続フィラメ
ントを冷却室に導入し、一方向又は対向する二方向から
冷却風を導入して冷却したのち、密閉型の場合は、冷却
風をそのままノズルで絞って延伸風としてそれによりフ
ィラメントを延伸し、開放型の場合は、フィラメントを
別途延伸風を導入する丸型エアガン或いはスリットエア
ガンに通して延伸し、移動捕集面上に堆積させるスパン
ボンド不織布の製造方法であって、冷却室に導入される
冷却風を上下方向に少なくとも2段に分割し、最下段の
冷却風の風速が、最上段の冷却風の風速よりも大きくす
る方法である。本発明において、上方向とは、紡糸ノズ
ルに近づく方向をいい、下方向とは紡糸ノズルより遠ざ
かる方向を言う。
【0013】冷却室に導入される冷却風を上下方向に2
段に分割した場合、上段の冷却風の風速をVとし、下
段の冷却風の風速をVとすると、V<Vである。
ここで、風速とは、冷却風供給室出口(冷却室入り口)
の単位断面積あたり冷却風の流量を意味する。
【0014】またこの場合、上段の冷却風の風速
(V)と下段の冷却風の風速(V)との速度比(V
/V)が、好ましくは0<V/V<0.7、よ
り好ましくは0.01≦V/V≦0.5、さらには
0.05≦V/V≦0.4であることが好ましい。
【0015】冷却室に導入される冷却風の分割はまた、
上下方向に3段以上、好ましくは3〜20段に分割する
ことができる。n段(n≧3)に分割した場合、最上段
の冷却風の風速(V)と最下段の冷却風の風速
(V)との速度比(V/V)が、好ましくは0<
/V<0.7、より好ましくは0.01≦V
≦0.5、さらには0.05≦V/V≦0.4
となっていること好ましく、また上からm番目(但し、
n≧m≧2)の冷却風の風速Vが、V≧Vm−1
満足することが好ましい。
【0016】各段における冷却風の吹付け面積、すなわ
ち分割された冷却風供給室出口(冷却室入り口)の断面
積の割合は、所望の冷却条件(冷却速度)に応じて適宜
決められるが、最上段において冷却風速度が最も小さい
場合には、好ましくは、吹付け面積(断面積)の割合
(最上段/全面積)が、0.1〜0.9、好ましくは
0.2〜0.8の範囲である。断面積がこの範囲にあれ
ば、生産性を落とさずに所望品質の不織布を製造するこ
とが可能である。
【0017】前記分割された各段の冷却風の温度は10
〜70℃の範囲が実用的に好ましく、各段の温度は互い
に同一でも、少なくとも一部が異なっていてもよい。と
くに冷却室を2分割した場合、上側の冷却風の温度が1
0〜40℃の範囲にあり、下側の冷却風の温度が上側の
それより10℃以上高く、かつ30〜70℃の範囲にあ
ることが好ましい。また冷却室を3分割以上した場合に
は、最上段の冷却風の温度が10〜40℃であり、最下
段の温度が最上段の温度より10℃以上高く、30〜7
0℃であることが好ましい。
【0018】使用できる不織布の原料は、熱可塑性の重
合体であれば、特に限定されず、例えば、ポリエステル
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げら
れる。なかでも、生産性に優れる点で、ポリオレフィン
樹脂が好ましい。
【0019】本発明の不織布の製造装置は、多数の連続
フィラメントを溶融紡糸する紡糸ノズルと、紡糸された
フィラメントを一方向又は対向する二方向から冷却風に
より冷却する冷却室と、密閉型の場合は、冷却風をその
ままノズルで絞って延伸風としてそれによりフィラメン
トを延伸する延伸部と、開放型の場合は、フィラメント
を別途導入する延伸風により延伸する丸型エアガン或い
はスリットエアガンと、延伸部から引き出されたフィラ
メントを堆積させる移動捕集面とからなるスパンボンド
不織布の製造装置であって、冷却室に導入される冷却風
を上下方向に少なくとも2段に分割し、各段の冷却風の
風速をそれぞれ独立して制御可能としたものであり、こ
れにより最下段の冷却風の風速を、最上段の冷却風の風
速よりも大きくするなど各段の風速を自由に選ぶことが
できる。
【0020】以下図を用いて、本発明を説明する。図1
は本発明による方法を実施する装置例(密閉型)の部分
断面部分を示す斜視図である。基本構成は、紡糸ノズル
を多数有する紡糸口金2、フィラメントを冷却する冷却
室3、冷却風を供給する冷却風供給室12、冷却された
フィラメントを延伸する延伸部7、延伸部7から引き出
されたフィラメントを堆積させる移動捕集面8とからな
る。
【0021】溶融樹脂は溶融樹脂導入管1より紡糸口金
2に導入される。紡糸口金の下方には、多数の紡糸ノズ
ルが具備されていて、その紡糸ノズルより多数のフィラ
メント10が紡出される。紡糸されたフィラメント10
は冷却室3へ導入される。冷却室3上部の紡糸口金と冷
却風供給室12の間には、主として低分子量ポリマーの
蒸気を排気するための排気ノズル4が装着されている。
この排気ノズル4からの排気量は、適宜調節バルブ5に
より調節される。
【0022】冷却室3において、フィラメントは対向す
る二方向から冷却風(流れ方向を矢印11で図1に示
す)を受けて、冷却される。冷却風供給室12の出口に
は、メッシュ6を取り付けて整流効果を持たしている。
冷却風供給室12は上下方向に少なくとも2段に分割さ
れており、最下段の冷却風の風速が、最上段の冷却風の
風速よりも大きくされる。その際、図1のような2段に
分割されている場合には、上段の冷却風の風速と下段の
冷却風の風速との速度比が、前記のような比率であると
好ましい。冷却風の温度は、各段で同一であっても異な
っていてもよく、いずれの場合にも前記のような温度範
囲にあることが好ましい。
【0023】このように冷却風を上下方向に分割して、
冷却条件を変えることにより、冷却風を多くしても糸切
れを生じず、生産性を落とさずに繊維径を小さくするこ
とが可能となる。そして、ショット等の品質不良を起こ
すことなく、安定的に不織布を製造することができるよ
うになる。
【0024】冷却室3の下部は、両側から絞られて細い
隘路(延伸部7)が形成されている。冷却風は隘路で風
速を増して延伸風となって、冷却されたフィラメントを
延伸する。延伸部7から引き出されたフィラメントは、
メッシュ又はパンチングプレートなどで形成された移動
捕集面8上に堆積されてウェブが形成される。移動捕集
面8の下部には、延伸部から排気された延伸風を吸引す
るための吸引装置9が取り付けられている。堆積されて
得られたウェブは、図示しない装置により交絡処理され
て不織布となる。交絡方法は、特に限定されず、ニード
ルパンチング法、ウォータージェット法、エンボス処理
法、超音波融着法などのいずれで行ってもよい。以上は
密閉型のスパンボンド不織布製造装置について述べた
が、開放型では、延伸部に丸型エアガン或いはスリット
エアガンが取り付けられ、新たに延伸風が導入されるほ
かは、密閉型と同様である。
【0025】この様な不織布の製造方法では、フィラメ
ントの冷却が最適な条件で行われるので、冷却風を多く
しても糸切れを生じず、生産性を落とさずに繊維径を小
さくすることが可能で、不織布を安定的に製造できる。
【0026】
【実施例】以下の実施例、比較例で用いた測定方法は以
下の通りである。 (1)糸切れ ノズル面の紡糸状況を観察し、5分間あたりに糸切れす
る回数を求め、以下の基準で評価した。 ◎:糸切れなし(0回/5分) ○:糸切れややあり(1〜2回/5分) ×:糸切れあり(3回以上/5分)
【0027】(2)ショット 流れ方向に長さ2mの不織布をサンプルとし、その中に
みられるショットの数を数え、比較例1のサンプルをブ
ランクとし、それと比較して評価した。
【0028】(実施例1〜5、比較例1、2)図1に示
す装置を用い不織布の製造を行った。原料樹脂として、
ASTM D1238に準拠し荷重2.16kg温度230℃で測
定したメルトフローレート60g/10分のプロピレン
単独重合体を用い、溶融樹脂温度を200℃、単孔吐出
量を0.57g/minとし、冷却風供給室出口断面積
を上段/全面積が0.44になるように分割し、表1に
示す冷却風流量、風速、及び温度で、不織布(幅100
mm)の製造を行った。評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】(実施例6〜8、比較例3)表2に示す条
件に変更した以外は実施例1と同様にして不織布の製造
を行った。評価結果を表2に併記する。
【0031】
【表2】
【0032】[実施例9〜10、比較例4]冷却風供給
室出口断面積を最上段/全面積が0.29、2段目/全
面積が0.29となるように冷却風供給室出口を3分割
し、表3に示すような条件に変更した以外は実施例1と
同様にして不織布の製造を行った。評価結果を表3に併
記する。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明の不織布の製造方法及び装置によ
れば、冷却風は上下方向の各段に分割されており、それ
ぞれ最適な条件に調整して冷却を行うことができるの
で、冷却風を多くしても糸切れを生じず、生産性を落と
さずに繊維径を小さくすることが可能であり、ショット
などの品質悪化も起こさずに不織布を安定的に製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる方法を実施するための装置例の
部分断面を示す概略斜視図である。
【符号の説明】 1 溶融樹脂導入管 2 紡糸口金 3 冷却室 4 排気ノズル 5 調節バルブ 6 メッシュ 7 延伸部 8 移動捕集面 9 吸引装置 10 フィラメント 11 冷却風の流れ方向 12 冷却風供給室

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸ノズルから溶融紡糸された多数の連
    続フィラメントを冷却室に導入した冷却風により冷却し
    たのち、延伸風で延伸し、移動捕集面上に堆積させるス
    パンボンド不織布の製造方法であって、冷却室に導入さ
    れる冷却風を上下方向に少なくとも2段に分割し、最下
    段の冷却風の風速が、最上段の冷却風の風速よりも大き
    くしたことを特徴とする不織布の製造方法。
  2. 【請求項2】 冷却室に導入される冷却風を上下方向に
    2〜20段に分割することを特徴とする請求項1記載の
    不織布の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷却室に導入される冷却風を上下方向に
    2段に分割し、下段の冷却風の風速が、上段の冷却風の
    風速よりも大きくしたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記上段の冷却風の風速(V)と下段
    の冷却風の風速(V )との速度比(V/V)が、
    0<V/V<0.7であることを特徴とする請求項
    3に記載の不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 冷却室に挿入される冷却風を上下方向に
    n段(n≧3)に分割し、最上段の冷却風の風速
    (V)と最下段の冷却風の風速(V)との速度比
    (V/V)が、0<V/V<0.7の範囲にあ
    り、かつ上からm番目(但し、n≧m≧2)の冷却風の
    風速VがV≧Vm−1であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の不織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 各段の冷却風の温度が互いに同一又は異
    なるものであり、それぞれ10〜70℃の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5記載の不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 最上段の冷却風の温度が10〜40℃で
    あり、最下段の温度が最上段の温度より10℃以上高
    く、30〜70℃の範囲にあることを特徴とする請求項
    6記載の不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 多数の連続フィラメントを溶融紡糸する
    紡糸ノズルと、紡糸されたフィラメントを冷却風により
    冷却する冷却室と、冷却されたフィラメントを延伸する
    延伸部と、延伸部から引き出されたフィラメントを堆積
    させる移動捕集面とからなるスパンボンド不織布の製造
    装置であって、冷却室に導入される冷却風が上下方向に
    少なくとも2段に分割され、各段の冷却風の風速をそれ
    ぞれ独立して制御可能としたことを特徴とする不織布の
    製造装置。
  9. 【請求項9】 冷却室に導入される冷却風の吹付け面積
    の割合が、最上段の吹付け面積/全吹付け面積として
    0.1〜0.9の範囲にあることを特徴とする不織布の
    製造装置。
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