JP2002317203A - マルテンサイト系ステンレス鋼粒子 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレス鋼粒子

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Masao Ozawa
誠生 小澤
Katsunori Takada
勝典 高田
Yasuhiro Kimura
泰廣 木村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイス鋼、あるいは鋳鋼に準じる硬さを有
し、さらに、ピーニング処理における微粒投射物として
使用されても、被投射材表面における耐食性劣化を抑制
するとともに、靭性が良好で割れないくいマルテンサイ
ト系ステンレス鋼粒子を提供する。 【解決手段】 マルテンサイト系ステンレス鋼粒子の組
成として、以下の条件を満足させる。Feを主成分とし
て含有し、0.35〜0.8質量%のCと、8〜20質
量%のCrと、を含有する。さらに、Cの含有量をWC
(質量%)、Crの含有量をWCr(質量%)、Moの含
有量をWMo(質量%)、Siの含有量をWSi(質量
%)、Mnの含有量をWMn(質量%)、Niの含有量を
WNi(質量%)とし、M=538−317WC−33WM
n−28WCr−17WNi−11WSi−11WMo、P=WC
r+3.3WMo、としたとき、Mの値が15以上で、か
つ、Pの値が8以上とする。上記組成を採用し、ガス噴
霧法により球状のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マルテンサイト
系ステンレス鋼粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼等の表面硬さを向上させる
処理として、微粒投射物を被投射材に投射して、該被投
射材の表面硬さを向上させるショットピーニングに代表
されるいわゆるピーニング処理がある。該ピーニング処
理に使用される微粒投射物としては、被投射材の表面を
圧縮するだけの硬さのものを使用するのがよい。これに
より、従来、該微粒投射物を構成する材料としては、ハ
イス鋼、鋳鋼、セラミックス、及びSUS440やSU
S420J2等のマルテンサイト系ステンレス鋼等が使
用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現用の
ハイス、鋳鋼、あるいは上記のようなマルテンサイト系
ステンレス鋼にて微粒投射物を構成すると、被投射材の
表面における耐食性が劣化しやすい。一方、このような
被投射材の耐食性劣化を抑えられるSUS316等にお
いては、硬さが不足し被投射材表面における十分な硬さ
向上の効果が得られない。また、セラミックスにて構成
された微粒投射物の場合においては、被投射材の表面と
の衝突により、該セラミックス微粒投射物が割れやすい
という問題がある。
【0004】本発明の目的は、ハイス鋼、鋳鋼あるいは
SUS440等のマルテンサイト系ステンレス鋼に準じ
る硬さを有し、さらに、ピーニング処理における微粒投
射物として使用されても、被投射材表面における耐食性
劣化を抑制するとともに、靭性が良好で割れないくいマ
ルテンサイト系ステンレス鋼粒子を提供することにあ
る。
【0005】
【発明を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼粒子は、Feを主成分として含有し、0.35〜
0.8質量%のCと、8〜20質量%のCrと、を含有
するとともに、Cの含有量をWC(質量%)、Crの含
有量をWCr(質量%)、Moの含有量をWMo(質量
%)、Siの含有量をWSi(質量%)、Mnの含有量を
WMn(質量%)、Niの含有量をWNi(質量%)とし、 M=538−317WC−33WMn−28WCr−17WN
i−11WSi−11WMo、 P=WCr+3.3WMo としたとき、Mの値が15以上で、かつ、Pの値が8以
上となることを特徴とする。なお、本明細書中におい
て、「主成分」(「主に」あるいは「主体」も同義)と
は、対象となる組織中において、その成分の含有量(質
量%)が最も多いことを意味する。
【0006】微粒投射物を構成する材料の種類により、
被投射材の耐食性が影響されるのは、微粒投射物を構成
する材料が被投射材の表面と衝突することにより、該表
面に付着するためと考えられる。実際、微粒投射物とし
て、耐食性の優れたものを使用するほうが被投射材表面
において耐食性の劣化が生じにくくなることがわかって
いる。そこで、微粒投射物を耐食性の良好な材料で構成
すれば、被投射材表面における耐食性の劣化が抑えられ
ることとなるが、微粒投射物の材料の耐食性を向上させ
ようとすると、該材料の硬さが劣化し、被投射材に対し
て十分なピーニング処理を施せないものであった。
【0007】そこで、本発明者等は鋭意検討の結果、上
記のような組成にて構成されたマルテンサイト系ステン
レス鋼粒子にあっては、ピーニング処理に使用される微
粒投射物として良好な硬さを有するとともに、該微粒投
射物として被投射材の表面に衝突させても、該被投射物
表面における耐食性劣化も生じにくいことを見出し本発
明の完成に至った。さらに、本発明のステンレス鋼粒子
は、靭性も良好で被投射材との衝突後に割れ等の微粒投
射物の破壊が発生しにくい。
【0008】また、本発明のステンレス鋼粒子は、JI
S−Z2244に規定されているビッカース硬さ試験を
荷重0.49Nにて行ったときのビッカース硬さが60
0HV0.05以上となるのがよい。これにより、ピー
ニング処理に使用される微粒投射物として好適に使用さ
れる。上記ビッカース硬さが600HV0.05未満で
あると、硬さが不足しピーニング用の微粒投射物として
使用しても、被投射材表面の硬さを十分に向上させるこ
とができない場合がある。より望ましくは、上記ビッカ
ース硬さが650HV0.05以上であるのがよい。
【0009】上記本発明のマルテンサイト系ステンレス
鋼粒子は、例えば、ガス噴霧法にて作製される。上記ガ
ス噴霧法は、上記組成のステンレス鋼の溶湯流に対し
て、N やAr等のガスを吹き付けることにより、該溶
湯流を微小溶湯に分離し、冷却させるものである。該ガ
ス噴霧法にて作製されたステンレス鋼粒子は、その冷却
過程で、ステンレス鋼溶湯自身の表面張力により、その
外形形状が球状となる。さらに、噴出するガスの圧力を
高圧とすることで、粒度の小さな粒子を精度良く得るこ
とができ、具体的には、その平均粒度を20〜100μ
mとすることができる。このように、精度良く得られた
平均粒度20〜100μmのステンレス鋼粒子をピーニ
ング処理における微粒投射物として使用することによ
り、被投射材表面に該処理による効果を均一に付与する
ことができる。
【0010】微粒投射物の硬さ及び平均粒度は、被投射
材の表面におけるマイクロディンプル(微小窪み)の形
成形態に影響を与える。このマイクロディンプルによ
り、例えば、研磨面の加工溝をなくすことができ、被投
射材表面における硬さ及び耐食性の向上に寄与する。一
方で、マイクロディンプルの過剰な形成により被投射物
表面が粗くなると、逆に被投射物表面における硬さ及び
耐食性を劣化させる場合がある。ピーニング処理による
マイクロディンプルの形成は、処理後の被投射材表面粗
さが、研磨面における表面粗さよりも滑らかとなるよう
にするのがよい。前述のようなビッカース硬さ及び平均
粒度の微粒投射物を使用すれば、被投射材の表面粗さが
比較的滑らかとなるようなマイクロディンプルを形成す
ることができる。
【0011】また、上記ガス噴霧法においては、溶湯を
微小溶湯に分離する際に溶湯が冷却されて、該マルテン
サイト系ステンレス鋼に対する焼入れが行なわれること
になる。本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子に
おいては、上記のようなガス噴霧ままでのビッカース硬
さが600HV0.05以上となる。なお、上記ガス噴
霧法においては、その冷却速度及び冷却温度等が制限さ
れるため、ビッカース硬さ1100HV0.05を超え
るステンレス鋼粒子を得ることは困難である。また、ピ
ーニング処理における微粒投射物として使用する場合、
1100HV0.05を超える硬さは明らかにオーバー
スペックであり、被投射材表面に与える効果の顕著な向
上もそれほど期待できない。また、本発明のステンレス
鋼粒子は、靭性も良好であるため、ピーニング処理をし
ても割れ、欠けの心配もない。
【0012】また、上記ガス噴霧法により、本発明のマ
ルテンサイト系ステンレス鋼粒子は、該粒子全体に対す
るマルテンサイト相の形成量が、75体積%以上となる
のがよい。これにより、上記規定したビッカース硬さに
おいて、600HV0.05以上を実現することがで
き、ひいては、ピーニング処理用の微粒投射物として好
適に使用することができる。マルテンサイト相の形成量
は、より望ましくは85体積%以上であるのがよい。
【0013】以下、本発明の合金材料における各成分の
含有範囲の限定理由を述べる。 (1)Feを主成分として含有する。 Feは、本発明のステンレス鋼粒子を構成するのに必須
の成分である。本発明においては、基本的な組成とし
て、マルテンサイト系ステンレス鋼を採用しているの
で、Feを主成分として含有させる。
【0014】(2)0.35〜0.8質量%のC Cは、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子を構
成するのに必須の元素であり、該ステンレス鋼粒子の硬
さに影響を及ぼす最も重要な元素である。そのため、上
記範囲内にて含有させる。含有量が0.35質量%未満
であると、上記規定のビッカース硬さで600HV0.
05以上の硬さを得ることが困難となる。一方、Cの含
有量が0.8質量%を超えると、炭化物の形成が顕著と
なる。この炭化物の形成により、例えば、後述するCr
が該炭化物に取り込まれると、マトリクス中に固溶する
Crの含有量が相対的に減少して、該マルテンサイト相
の耐食性を劣化させるため好ましくない。また、Cの含
有量が0.8質量%を超えると、マルテンサイト変態開
始温度(Ms点)を下げすぎてしまい、焼き入れ性を劣
化させる懸念もある。なお、Cの含有量は、より望まし
くは0.4〜0.6質量%の範囲に設定するのがよい。
【0015】(3)8〜20質量%のCr Crは、ステンレス鋼粒子の耐食性を確保する上で必須
の元素であり8質量%以上含有させる。しかしながら、
含有量が20質量%を超えると、相安定性が損なわれて
靭性の低下を招く。Crの含有量は、望ましくは9〜1
6質量%の範囲で設定するのが良く、より望ましくは1
0〜13質量%の範囲で設定するのが良い。
【0016】また、本発明のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼粒子においては、7質量%以下のMoを含有させる
こともできる。さらに、1質量%以下のSiを含有させ
ることもできる。 (4)7質量%以下のMo Moは、耐食性や強度をより向上することができるた
め、必要に応じて添加しても良い。これらの効果を効果
的に得るためには、その含有量を2質量%以上とする。
一方、過剰な添加は、熱間加工性を害するほか、Ms点
を過剰に低下させ焼入れ性を劣化させる。また、コスト
の上昇を招くため、その上限を7質量%とする。
【0017】(5)1質量%以下のSi Siは、鋼の脱酸剤として不可避的に含有される。ま
た、ステンレス鋼溶湯の流動性を向上させ、ガス噴霧法
における生産性を向上させることから、ある程度積極的
に含有させてもよい。溶湯の流動性を向上させる効果を
十分に得るためには、0.15質量%以上は含有させる
のがよい。一方、含有量が過剰となると、ステンレス鋼
粒子の硬さを低下させるので、その含有量を1質量%以
下に留めておくのがよい。粒子の硬さをより考慮するの
であれば、その含有量を0.7質量%以下に押さえてお
くのがより望ましい。
【0018】また、本発明のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼においては、Mnの含有量を1質量%以下、Niの
含有量を1質量%以下とするのがよい。 (7)Mnの含有量を1質量%以下に制限する。 Mnは、鋼の脱酸剤として不可避的に含有される。しか
し、過剰に含有されると、オーステナイト相を安定化さ
せ、残留オーステナイト相を増加させる。その結果、硬
さを低下させるので、その含有量を1質量%以下に制限
するのがよい。
【0019】(8)Niの含有量を1質量%以下に制限
する。 Niの過剰な添加は、マルテンサイト変態開始温度(M
s点)を低下させるとともに、母相であるオーステナイ
ト相の安定性が過度に高められ、硬さを確保するために
必要なマルテンサイト量を得にくくなる場合がある。そ
のため、1質量%以下にその含有量を制限するのがよ
い。
【0020】本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼粒
子においては、マルテンサイト変態が、ガス噴霧による
溶湯の冷却により行なわれる。そのため、該方法により
マルテンサイト相が形成されるように、組成の調整を行
う必要がある。さらに、得られるマルテンサイト相の硬
さも要求されるものを実現する必要がある。そこで、本
発明者等は、以下の式Aにより、マルテンサイト相の安
定性の目安としてMを規定し、該Mの値がある一定値以
上であれば、本発明の条件を満足することを見出した。
すなわち、 M=538−317WC−33WMn−28WCr−17WNi−11WSi−11WM o・・・式A、 として、Mの値が15以上となる。上記の式Aにより規
定されたM値は、ステンレス鋼粒子におけるマルテンサ
イト相の安定性の目安となる。そして、該Mの値が15
以上とすることにより、ステンレス鋼粒子におけるマル
テンサイト相を安定化し、その硬さを向上させることが
可能となり、ひいては、前述にて規定されたビッカース
硬さを600HV0.05以上とすることができる。M
の値が15未満であると、マルテンサイト相の安定性が
十分に維持されなくなるとともに、要求されるビッカー
ス硬さを実現できなくなる。Mの値は、望ましくは20
以上とするのがよい。なお、必須成分の添加元素(C及
びCr)の含有量の下限値から、Mの値は203.05
を上限とする。
【0021】さらに、本発明においては、ステンレス鋼
粒子の耐食性も良好なものに維持する必要がある。そこ
で、本発明者等は、ステンレス鋼粒子における耐食性の
目安として、以下の式BのようにP値を設定し、該Pの
値が一定値以上であれば、得られるステンレス鋼粒子の
耐食性も良好となることを見出した。すなわち、 P=WCr+3.3WMo・・・式B として、Pの値が8以上となる。Pが8以上とすること
により、得られるステンレス鋼粒子の耐食性を良好なも
のに維持することができる。上記式Bを構成するのは、
Cr及びMoの含有量であって、どちらも耐食性に寄与
する元素であるので、上記式Bにて規定されるP値は、
得られるステンレス鋼粒子の耐食性の目安となる。な
お、上記Pの値が8未満である場合は、十分な耐食性が
得られず、ピーニング用の微粒投射物として使用したと
き、被投射材の表面における耐食性を良好なものとする
ことができない。なお、Pの値は、望ましくは12以上
とするのがよい。また、CrとMoの含有量の上限値か
らPの値は43.1を上現とする。
【0022】本発明のステンレス鋼粒子においては、上
記MおよびPの条件を同時に満たすように、構成成分の
組成を調整するようにする。これにより、硬さも良好
で、さらに耐食性も良好なステンレス鋼粒子を得ること
ができ、ひいては、該ステンレス鋼粒子を微粒投射物と
して使用するピーニング処理により、被投射材の表面に
おける硬さひいては耐磨耗性、及び耐食性を良好なもの
とすることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために、以下
の実験を行った。 (実施例1)まず、表1に示す配合組織(質量%)によ
り、各々50kg鋼塊を高周波誘導炉にて溶融させる。
そして溶融したステンレス鋼溶湯から、ガス噴霧法にて
ステンレス鋼粒子を作製した。ガス噴霧法にて使用され
るガスは、窒素を使用した。得られたステンレス鋼粒子
の平均粒度は、どの組成のステンレス鋼粒子においても
20〜100μmであった。
【0024】
【表1】
【0025】上記のようにして得られた各ステンレス鋼
粒子において、JIS−Z2244に規定されているビ
ッカース硬さを、荷重0.49Nの条件にて測定した。
測定されたビッカース硬さをそれぞれ表2に示す。
【0026】次に、ピーニング処理の被投射材として、
0.4C+8Cr鋼を採用し、該鋼種を直径15mm、
長さ100mmの棒材に加工して、該棒材に以下の処理
を施すことにより、ピーニング用の被投射試験片とす
る。 ・焼入れ:1050℃にて30min加熱後、油冷。 ・焼戻し:150℃にて60min加熱後、水冷。 ・番手#1000のエメリーペーパーによって外周研磨
加工。 このようにして得られた被投射試験片に対して、表1に
示すステンレス鋼粒子を微粒投射物として使用し、ピー
ニング処理を行い、処理後の硬さ及び耐食性を調べるた
めの硬さ測定用試験片と湿潤試験片とを採集した。ピー
ニングの条件としては、0.3mmNカバレージ150
%とした。これらのピーイング処理後の試験片表面にお
いて、表面粗さを求め、試験片表面におけるマイクロデ
ィンプルの形成性を評価した。具体的には、研磨面より
も表面粗さがなめらかになったものをマイクロディンプ
ルの形成良好(◎)とし、研磨面よりも粗くなったもの
をマイクロディンプルの形成不良(×)として評価し
た。結果を表2に示す。なお、上記ピーニング処理にお
いて微粒投射物として使用された後でも、本発明にかか
るステンレス鋼粒子には、割れ等が発生しておらず、靭
性が良好であることが確認された。
【0027】上記硬さ測定用試験片の外周面に対して、
JIS−2244に規定されているビッカース硬さ試験
により、荷重0.49Nでのビッカース硬さを、微粒投
射物毎にそれぞれ求めた。結果を表2に示す。
【0028】さらに、上記湿潤試験片に対して、50℃
の相対湿度98%RHの雰囲気中に96時間保持するこ
とにより湿潤試験を行った。試験後の評価は目視によ
り、A:腐食せず、B:若干の腐食有り、C:腐食あ
り、D:全面腐食、の4段階にて評価した。結果を表2
に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2に示すように、本発明にかかるマルテ
ンサイト系ステンレス鋼粒子においては、噴霧ままの状
態でビッカース硬さ600HV0.05以上を実現でき
ることがわかる。さらに、本発明のステンレス鋼粒子に
よりピーニング処理した被投射材においては、その表面
硬さも良好でビッカース硬さ900HV0.05以上を
実現できる。さらに、被投射材表面の耐食性も良好に維
持できることがわかる。
【0031】また、比較材No.6〜9及びNo.12
においては、Mの値が本発明の条件を満足しないため
に、噴霧ままのビッカース硬さも600HV0.05未
満となり、十分な硬さを得られていない。さらに、比較
材No.10においては、Cの含有量が本発明の条件を
満足せず、同様に十分な硬さが得られていない。その結
果、該鋼粒子により構成された微粒投射物を使用したピ
ーニング処理において、被投射材における表面硬さが、
本発明の場合と比較して十分に得られていないことがわ
かる。また、比較材No.11及びNo.13において
は、Cr含有量及びPの値がそれぞれ本発明の範囲外と
なり、被投射材表面における耐食性を良好に維持できて
いないことがわかる。
【0032】また、比較材No.14、No.15、及
びNo.16はそれぞれSUS440、ハイス鋼、及び
SUS316にて構成された鋼粒子である。比較材N
o.14においては、Mの値が−273と本発明材と比
較して著しく低く、噴霧ままのビッカース硬さ及び被投
射材の表面硬さも不足している。比較材No.15にお
いては、噴霧ままのビッカース硬さ及び被投射材の表面
硬さも本発明材と比較して遜色ないが、被投射材表面に
おける耐食性が良好ではない。さらに、比較材No.1
6においても、噴霧ままのビッカース硬さ及び被投射材
の表面硬さが不足している。なお、比較材No.14及
びNo.16においては、被投射材表面におけるマイク
ロディンプルの形成も良好に行なわれていないことがわ
かる。
【0033】以上示したように、本発明のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼粒子をピーニング用の微粒投射物とし
て使用することにより、被投射材表面の表面硬さを高め
つつ、該表面の耐食性も良好に維持することが可能とな
る。さらに、靭性も良好でピーニング処理使用後に、割
れ等の粒子の破壊も生じない。また、被投射物表面の表
面粗さを滑らかにすることもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 泰廣 愛知県名古屋市南区大同町二丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA06 BB04 BB06 BB07 BB16 CA01 CA07 DA09 EK01 4K018 AA33 BA17 BB04 BD06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分として含有し、0.35〜
    0.8質量%のCと、8〜20質量%のCrと、を含有
    するとともに、 Cの含有量をWC(質量%)、Crの含有量をWCr(質
    量%)、Moの含有量をWMo(質量%)、Siの含有量
    をWSi(質量%)、Mnの含有量をWMn(質量%)、N
    iの含有量をWNi(質量%)として、 M=538−317WC−33WMn−28WCr−17WN
    i−11WSi−11WMo、 P=WCr+3.3WMo、 としたとき、Mの値が15以上で、かつ、Pの値が8以
    上となることを特徴とするマルテンサイト系ステンレス
    鋼粒子。
  2. 【請求項2】 7質量%以下のMoを含有する請求項1
    に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子。
  3. 【請求項3】 1質量%以下のSiを含有する請求項1
    又は2に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子。
  4. 【請求項4】 Niの含有量が1質量%以下、Mnの含
    有量が1質量%以下とされる請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子。
  5. 【請求項5】 ビッカース硬さが600HV0.05以
    上となる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマル
    テンサイト系ステンレス鋼粒子。
  6. 【請求項6】 外形形状が球状であって、平均粒度が2
    0〜100μmである請求項1ないし5のいずれか1項
    に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼粒子。
  7. 【請求項7】 ガス噴霧法にて作製され、 噴霧ままの状態での前記ビッカース硬さが600HV
    0.05以上となる請求項5又は6に記載のマルテンサ
    イト系ステンレス鋼粒子。
  8. 【請求項8】 ショットピーニング処理に代表されるピ
    ーニング用の微粒投射物として使用される請求項1ない
    し7のいずれか1項に記載のマルテンサイト系ステンレ
    ス鋼粒子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011230279A (ja) * 2010-04-09 2011-11-17 Sanyo Special Steel Co Ltd ショットピーニング用高硬度投射材
CN107900324A (zh) * 2017-11-22 2018-04-13 温岭市恒丰粉末冶金有限公司 一种双排链轮加工工艺
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