JP2002316977A - 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法

Info

Publication number
JP2002316977A
JP2002316977A JP2001252848A JP2001252848A JP2002316977A JP 2002316977 A JP2002316977 A JP 2002316977A JP 2001252848 A JP2001252848 A JP 2001252848A JP 2001252848 A JP2001252848 A JP 2001252848A JP 2002316977 A JP2002316977 A JP 2002316977A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
general formula
optically active
group
aralkyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001252848A
Other languages
English (en)
Inventor
Michi Watanabe
美地 渡辺
Takeshi Nakato
毅 中藤
Jun Takehara
潤 竹原
Kazuaki Sugano
和明 菅野
Shuji Ichikawa
修治 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001252848A priority Critical patent/JP2002316977A/ja
Publication of JP2002316977A publication Critical patent/JP2002316977A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Pyrrole Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性なアスパラギン酸を原料とし
て、安全且つ安価に、高品質の光学活性1H−3−アミ
ノピロリジン化合物を製造するための工業的に有利な製
造方法の提供。 【解決手段】 光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無
水物を、一級アミンと反応させた後、脱水閉環して光学
活性1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−
2,5−ジオン化合物を得、次いでこの化合物の3位ア
ミノ基を脱保護して光学活性1−アラルキル−3−アミ
ノピロリジン−2,5−ジオン化合物を得、引き続きこ
の化合物のカルボニル基を還元して光学活性1−アラル
キル−3−アミノピロリジン化合物又はそのプロトン酸
塩を得、更にこの化合物を水素化分解して光学活性1H
−3−アミノピロリジン又はそのプロトン酸塩を得るこ
とを特徴とする光学活性1H−3−アミノピロリジン化
合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性1H−3
−アミノピロリジン化合物の製造方法に関する。更に詳
しくは、光学活性なアスパラギン酸を原料として、光学
活性1H−3−アミノピロリジン化合物を製造する方法
の改良に関する。本発明により得られる3R或いは3S
の立体配置を有する光学活性な1H−3−アミノピロリ
ジン化合物は、医薬、農薬を初めとする各種有機化合物
の合成中間体として有用である。特に、抗菌剤:(1
R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチ
ル]−1−メチル−2−[(2S,4S)−2−[(3S)−
3−(L−プロリルアミノ)ピロリジン−1−イルカル
ボニル]ピロリジン−4−イルチオ]−1−カルバペン−
2−エム−3−カルボン酸、又は向精神薬:(S)−N
−(1−ベンジル−3−ピロリジニル)−5−クロロ−
4−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−2−メトキ
シベンズアミド等の製造用中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、光学活性な1H−3−アミノピロ
リジン化合物を製造する方法としては、(1)ラセミ体
を光学分割する方法、(2)プロキラルな原料を用いる
方法、(3)光学活性な原料から合成する方法等が挙げ
られる。(1)に関しては、ラセミN−ベンジル−3−
アミノピロリジンを原料とし、D−及びL−酒石酸、L
−(+)−マンデル酸、又はL−(−)−ピログルタミ
ン酸等の光学活性カルボン酸を分割剤として用いて、優
先晶析させて光学活性N−ベンジル−3−アミノピロリ
ジンを得た後に、脱保護して光学活性1H−3−アミノ
ピロリジンを得る方法(特開平2−218664号公
報)、D−及びL−酒石酸誘導体を分割剤として用いて
優先晶析させて光学活性N−ベンジル−3−アミノピロ
リジンを得る方法(特開平9−176115号公報)等
が知られている。しかし、これらの方法は、原料すなわ
ち、ラセミN−ベンジル−3−アミノピロリジンの合成
に多工程を要すること、分割工程における理論収率は5
0%に止まること及び分割剤や対掌体の回収リサイクル
に多工程を要すること等により、効率的な製造方法とは
言い難い。
【0003】(2)については、N−ベンジル−3−ピ
ロリンの不斉ヒドロホウ素化により、3位へ立体選択的
に水酸基を導入し、メシル化及び求核置換反応によりア
ジド化し、引き続きこれを還元する方法(J.Med.
Chem.,31,1586(1988))等が知られ
ている。しかし、原料となるN−ベンジル−3−ピロリ
ンや、反応試薬が高価であるため、この方法は工業的に
有利な方法とは言い難い。
【0004】(3)については、例えば、光学活性な
1,2,4−三置換ブタンから得られる光学活性1,
2,4−トリス(メタンスルホニル)ブタンと、ベンジ
ルアミンとを反応させて、中間に立体配置を保持した1
−ベンジル−3−メタンスルホノキシピロリジンを製造
し、これをベンジルアミンで置換反応することにより、
立体配置の反転を伴って、光学活性1−ベンジル−3−
ベンジルピロリジンを製造する方法(C.K.Ingo
ld,Structure and Mechanis
m in Organic Chemistry,Se
cond Edition.Cornel Unive
rsity Press,1969,p519)が知ら
れている。しかし、この方法では、出発原料である光学
活性な1,2,4−三置換ブタンの大量製造法が確立さ
れていない。
【0005】また、光学活性なアスパラギン酸を原料と
する例として例えば次の2例がある。すなわち、光学活
性なアスパラギン酸のアミノ基を保護し、カルボキシル
基を還元して水酸基を導入し、次に水酸基を保護して環
化し、最後に脱保護して目的物を得る方法(特表平7−
506110号、特開平8−053412号各公報)が
知られている。また、N−ベンジルオキシカルボニル−
L−アスパラギン酸にパラホルムアルデヒドを添加し、
p−トルエンスルホン酸を触媒として環状物とした後
に、ベンジルアミンを付加し、酸アミドを単離し、チオ
ニルクロリド及びアルコールでエステル化した後、環化
して、立体選択的な(3S)−1−ベンジル−3−ベン
ジルオキシカルボニルアミノ−ピロリジン−2,5−ジ
オンを製造する方法(Arch.Pharm. Re
s.(1996),19(4),312〜316)が知
られている。
【0006】しかし、これらの方法では、多段階の反応
工程を要すること、各工程にて製造された化合物の精
製、単離が困難であること等により、これらの方法は、
工業的な製造方法として満足できるものではない。更
に、N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン
酸より、酸無水物を経てベンジルアミンを付加させて、
酸アミドを単離し、無水酢酸を用いて閉環して、立体選
択的な(3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカ
ルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオン(スクシン
イミド化合物)を製造する方法(特開平1−11062
6号公報)が知られている。しかし、本発明者らの検討
によれば、この方法ではスクシンイミド合成工程におい
てラセミ化が起こる(比較例1)。また、引き続き、上
記スクシンイミド化合物を還元する工程に用いられるリ
チウムアルミニウムハイドライド(比較例2)は高価で
あることから、この方法は工業的に有利な方法とは言い
難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光学
活性なアスパラギン酸を原料として、安全且つ安価に、
高品質の光学活性1H−3−アミノピロリジン化合物を
製造するための工業的に有利な製造方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、先ず、光学活性アミノ基
保護アスパラギン酸無水物と一級アミンとを有機溶媒中
で反応させた後、酸触媒存在下に脱水閉環させることに
より、光学純度の低下を伴うことなく光学活性1−アラ
ルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン
化合物(スクシンイミド化合物)を製造することができ
ることを見出し、次に、得られたスクシンイミド化合物
を脱保護した後、水素化ホウ素ナトリウムに硫酸ジメチ
ル又は塩化アルミニウムを添加し調製した還元剤により
還元し、高純度・高光学純度の3−アミノピロリジン化
合物が得られることを見出し、更に、この3−アミノピ
ロリジン化合物又はそのプロトン酸塩を、水素化分解す
ることにより、立体配置を保持した光学活性1H−3−
アミノピロリジン化合物又はそのプロトン酸塩を収率よ
く製造することができることを見出し、本発明に到達し
た。
【0009】即ち、本発明の要旨は、 1.下記一般式(1):
【0010】
【化12】
【0011】(式中、Rはベンゼン環上に置換基を有し
ていてもよいベンジルオキシカルボニル基を示す)で表
されるアミノ基保護アスパラギン酸無水物を、一級アミ
ンR′NH2 (但し、R′は芳香環上に置換基を有して
いてもよいアラルキル基を示す)と反応させた後、脱水
閉環して下記一般式(2):
【0012】
【化13】
【0013】(式中、Rは上記一般式(1)と同義であ
り、R′は前記の通りである)で表される1−アラルキ
ル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン化合
物を得、次いで上記一般式(2)で表わされる化合物の
3位アミノ基を脱保護して下記一般式(3):
【0014】
【化14】
【0015】(式中、R′は上記一般式(2)と同義で
ある)で表される1−アラルキル−3−アミノピロリジ
ン−2,5−ジオン化合物を得、引き続き上記一般式
(3)の化合物のカルボニル基を還元して下記一般式
(4):
【0016】
【化15】
【0017】(式中、R′は上記一般式(2)と同義で
ある)で表される1−アラルキル−3−アミノピロリジ
ン化合物又はそのプロトン酸塩を得、更に上記一般式
(4)の化合物を水素化分解して1H−3−アミノピロ
リジン又はそのプロトン酸塩を得ることを特徴とする1
H−3−アミノピロリジン化合物の製造方法。
【0018】2.下記一般式(1′)又は(1″):
【0019】
【化16】
【0020】(式中、Rはベンゼン環上に置換基を有し
ていてもよいベンジルオキシカルボニル基を示す)で表
される光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無水物を、
一級アミンR′NH 2 (但し、R′は芳香環上に置換基
を有していてもよいアラルキル基を示す)と反応させた
後、脱水閉環して下記一般式(2′)又は(2″):
【0021】
【化17】
【0022】(式中、Rは上記一般式(1)と同義であ
り、R′は前記の通りである)で表される光学活性1−
アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5−ジ
オン化合物を得、次いで上記一般式(2′)又は
(2″)で表わされる化合物の3位アミノ基を脱保護し
て下記一般式(3′)又は(3″):
【0023】
【化18】
【0024】(式中、R′は上記一般式(2)と同義で
ある)で表される光学活性1−アラルキル−3−アミノ
ピロリジン−2,5−ジオン化合物を得、引き続き上記
一般式(3′)又は(3″)の化合物のカルボニル基を
還元して下記一般式(4′)又は(4″):
【0025】
【化19】
【0026】(式中、R′は上記一般式(2)と同義で
ある)で表される光学活性1−アラルキル−3−アミノ
ピロリジン化合物又はそのプロトン酸塩を得、更に上記
一般式(4′)又は(4″)の化合物を水素化分解して
光学活性1H−3−アミノピロリジン又はそのプロトン
酸塩を得ることを特徴とする光学活性1H−3−アミノ
ピロリジン化合物の製造方法。
【0027】3.一般式(1′)又は(1″)の光学活
性アミノ基保護アスパラギン酸無水物を前記一級アミン
R'NH2 と反応させた後、酸触媒の存在下に脱水閉環
させることを特徴とする一般式(2′)又は(2″)の
光学活性1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン
−2,5−ジオン化合物の製造方法。 4.一般式(B′)又は(B″)の光学活性アミノ基保
護アスパラギン酸を脱水反応に付して光学活性アミノ基
保護アスパラギン酸無水物を生成させ、この光学活性ア
ミノ基保護アスパラギン酸無水物を取出すことなく、一
級アミンR′NH2(但し、R′は芳香環上に置換基を
有していてもよいアラルキル基を表す)を反応させた
後、脱水閉環させることを特徴とする一般式(2′)又
は(2″)の光学活性1−アラルキル−3−アミノ基保
護ピロリジン−2,5−ジオン化合物の製造方法。
【0028】5.一般式(3′)又は(3″)の光学活
性1−アラルキル−3−アミノピロリジン−2,5−ジ
オン化合物のカルボニル基を、水素化ホウ素ナトリウム
に硫酸ジメチル又は塩化アルミニウムを添加し調製した
還元剤により還元することを特徴とする一般式(4′)
又は(4″)の光学活性1−アラルキル−3−アミノピ
ロリジン化合物又はそのプロトン酸塩の製造方法。
【0029】6.一般式(Y):
【0030】
【化20】
【0031】(式中、R21は水素原子又はメチル基、R
22は水素原子又は生体内で加水分解を受けるエステル残
基、R27は水素原子、メチル基又はエチル基、Bは1,
4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレンメチル、メ
チレン、メチルメチレン、エチレン、トリメチレン又は
2−ヒドロキシプロピレン基、R28はホルムイミドイ
ル、アセトイミドイル、アミジノ基又はBと結合して5
ないし6員環構造を形成しうるアルキレン基を示す)で
表わされる1−メチルカルバペネム誘導体を製造するに
あたり、請求項1又は2に記載の方法により製造された
アミノピロリジン化合物又はそのプロトン酸塩を合成中
間体として用いることを特徴とする前記式(Y)で表わ
される1−メチルカルバペネム誘導体の製造方法。
【0032】7.一般式(X):
【0033】
【化21】
【0034】(式中、R11はハロゲン原子、R12は炭素
数1〜3のアルコキシ基、R14はハロゲン原子置換若し
くは未置換の炭素数3〜6の炭化水素環基を示す)で表
わされるN−(3−ピロリジニル)ベンズアミド誘導体
を製造するにあたり、請求項1又は2に記載の方法によ
り製造された式(4)の化合物を合成中間体として用い
ることを特徴とする前記式(X)で表わされるN−(3
−ピロリジニル)ベンズアミド誘導体の製造方法にあ
る。
【0035】本発明によれば、光学活性アスパラギン酸
を原料として、安全且つ安価に高品質の光学活性1H−
3−アミノピロリジン化合物を工業的に有利に製造する
ことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、アスパラギン酸を原料として、1H−
3−アミノピロリジン化合物を製造する方法である。特
に本発明は、光学活性アスパラギン酸を原料として、光
学活性1H−3−アミノピロリジン化合物を製造する方
法に好適である。本発明の製造工程の一例を以下のスキ
ームIに示した。
【0037】
【化22】
【0038】光学活性アミノ基保護アスパラギン酸の製
造(工程A) 光学活性アミノ基保護アスパラギン酸は、市販されてい
るものを用いることもできるし、光学活性アスパラギン
酸からも合成できる。例えば、(3S)−N−ベンジル
オキシカルボニルアミノアスパラギン酸を製造する場
合、市販の光学活性アスパラギン酸に塩基の存在下で、
ベンジルオキシカルボニルクロライドと反応させて製造
する(特開昭64−63565号、特開昭60−190
754号、特開昭60−185755号、特開昭60−
136550号、特開昭57−14570号、特開昭5
6−110661号各公報等)。
【0039】光学活性3−アミノ基保護ピロリジン−
2,5−ジオン化合物の製造(工程B及び工程1) 光学活性アミノ基保護アスパラギン酸を脱水反応に付す
ことにより、下記一般式(1′):
【0040】
【化23】
【0041】(式中、Rはベンゼン環上に置換基を有し
ていてもよいベンジルオキシカルボニル基を示す)で表
わされる光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無水物が
得られる。具体的には、有機溶媒中、又は無溶媒で、脱
水剤と共に加熱すればよい。ここで、ベンゼン環に付い
ていてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜3のアルコキシ
基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子;及びニトロ基等を挙げることができる。
【0042】置換基Rの具体例としては、ベンジルオキ
シカルボニル基、4−ブロモベンジルオキシカルボニル
基、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニル基、4
−ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベン
ジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル基及び3,5−ジメトキシベンジルオキシカ
ルボニル基等を挙げることができる。これらの中、ベン
ジルオキシカルボニル基、4−ブロモベンジルオキシカ
ルボニル基等が好ましい。
【0043】有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸低級アルキルエステ
ル;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
等が挙げられる。好ましくは低級脂肪酸低級アルキルエ
ステルであり、更に好ましくは酢酸エチルである。脱水
剤としては、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物等の低
級脂肪酸の酸無水物;アセチルクロライド、プロピオニ
ルクロライド等の低級脂肪酸の酸塩化物;塩化チオニル
等のハロゲン化剤等が用いられる。
【0044】一般式(1′)で表わされる化合物のう
ち、例えば、N−ベンジルオキシカルボニル−L−アス
パラギン酸無水物を製造する場合、脱水剤としてアセチ
ルクロライドを使用し、その使用量は、(3S)−N−
ベンジルオキシカルボニルアミノアスパラギン酸に対し
て1.0モル倍以上、好ましくは1.2倍モル以上であ
る。加熱温度は、10〜100℃、好ましくは30〜6
0℃の範囲である。反応時間は、加熱温度により異なる
が、通常、1〜5時間で実質的に反応が終了する。反応
は、好ましくは生成する塩化水素を除去するため、窒素
等の不活性ガス流通下、攪拌しながら行われる。反応終
了後、溶媒と過剰分のアセチルクロライドを減圧留去
し、貧溶媒を加えて晶析させる。貧溶媒としては、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素やヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。得ら
れた結晶を濾過、減圧乾燥し光学活性アミノ基保護アス
パラギン酸無水物が得られる。
【0045】上記した方法により得られた光学活性アミ
ノ基保護アスパラギン酸無水物と一級アミンR′HN2
(ここで、R′は芳香環上に置換基を有していてもよい
アラルキル基を表す)とを、好ましくは有機溶媒の存在
下で反応させた後、好ましくは酸触媒の存在下で脱水閉
環させることにより、下記一般式(2′):
【0046】
【化24】
【0047】(式中、Rは上記一般式(1′)と同義で
あり、R′は前記と同義である)で表わされる光学活性
1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5
−ジオン化合物が製造される。一級アミンR′HN2
芳香環に付いていてもよい置換基としては、例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜3
のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等の
ハロゲン原子;及びニトロ基等を挙げることができる。
【0048】このような一級アミンとしては、例えば、
ベンジルアミン、2−ブロモベンジルアミン、3−ブロ
モベンジルアミン、4−ブロモベンジルアミン、2,4
−ジクロロベンジルアミン、2,6−ジクロロベンジル
アミン、3,4−ジクロロベンジルアミン、2−ニトロ
ベンジルアミン、3−ニトロベンジルアミン、4−ニト
ロベンジルアミン等を挙げることができる。これらの
中、ベンジルアミンが好ましい。特に、上記一般式
(2′)で表わされる化合物の1例として、光学活性
(3S)−1−ベンジル−3−(カルボベンジルオキシ
アミノ)−ピロリジン−2,5−ジオンを製造する場合
には、一級アミンとして、ベンジルアミンを用いる。
【0049】反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ジイソプロピルエ
ーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類、あるいはこ
れらを含む混合溶媒等が使用できる。それらの中でも好
ましくは、トルエンが用いられる。更に好ましくは、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルホキシド又はポリエチレングリコールジアルキルエ
ーテル等の極性溶媒とトルエンとの混合溶媒系が用いら
れる。上記極性溶媒の混合比は、トルエンに対し1〜2
0容量%、好ましくは5〜10容量%の範囲である。
【0050】酸触媒としては、硫酸、燐酸、p−トルエ
ンスルホン酸等のプロトン酸;塩化アルミニウム、塩化
亜鉛等のルイス酸等が挙げられる。これらの中でも、p
−トルエンスルホン酸が好ましい。酸触媒の使用量は、
(N−カルボベンジルオキシ)−アスパラギン酸無水物
に対して0.1〜50モル%、好ましくは1〜20モル
%の範囲である。
【0051】反応温度は、使用する溶媒の沸点により異
なるが、光学純度低下を防止するためには60〜150
℃、好ましくは80〜120℃の範囲である。更に、生
成する水を共沸により連続して系外に除去することが好
ましい。反応終了後、溶媒を留去し、酢酸エステル類等
の易溶性溶媒を加えたものを、酸及びアルカリ水溶液で
順次洗浄し、最後に溶媒を留去することにより、高い光
学純度及び化学純度を有する一般式(2′)で表わされ
る化合物、特に1例として、光学活性(3S)−1−ベ
ンジル−3−(カルボベンジルオキシアミノ)−ピロリ
ジン−2,5−ジオンが得られる。
【0052】反応溶媒に芳香族炭化水素を含有する有機
溶媒を用いた場合、反応終了後に溶媒を留去することな
く晶析精製することができる。すなわち、反応終了後に
反応液を70℃以上に保ちながらアルカリ水溶液、更に
飽和食塩水で洗浄し、加熱還流で共沸脱水させた後、冷
却晶析させることができる。結晶は65℃付近で晶出
し、更に20℃で攪拌し、より高い光学純度に精製され
た光学活性(3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキ
シカルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオンを得る
ことができる。
【0053】芳香族炭化水素としてはトルエンが好まし
く、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素
を加えた混合溶媒を使用することもできる。また、光学
活性アミノ基保護アスパラギン酸から光学活性アミノ基
保護アスパラギン酸無水物を合成し、取り出すことなく
ワンポットで光学活性1−アラルキル−3−アミノ基保
護ピロリジン−2,5−ジオン化合物を合成することが
できる。即ち、上記製造法と同様にして光学活性アミノ
基保護アスパラギン酸無水物を合成後、反応溶媒を交換
し、上記製造法に準じた方法で、一級アミンR'NH2
反応させ、次いで脱水閉環させることにより所望の光学
活性1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−
2,5−ジオン化合物を合成できる。
【0054】一般式(2′)で表される光学活性3−ア
ミノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン化合物は、更に
医薬、農薬等の各種有機化合物の合成中間体として有用
な化合物へと誘導することができる。
【0055】光学活性1−アラルキル−3−アミノピロ
リジン−2,5−ジオン化合物の製造(工程2) 下記一般式(3′):
【0056】
【化25】
【0057】(式中、R′は上記一般式(2′)と同義
である)で表わされる光学活性1−アラルキル−3−ア
ミノピロリジン−2,5−ジオン化合物は、光学活性1
−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5−
ジオン化合物の3位アミノ基を脱保護することにより製
造することができる。具体的には、水素雰囲気下、Pd
/C等の金属触媒を用いて接触還元し、3位アミノ基の
保護基を脱離することにより得る。例えば、(3S)−
3−アミノ−1−ベンジルピロリジン−2,5−ジオン
を製造する場合には、水、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール又は1,2−ジメトキシエタン等
の溶媒中、触媒として5%又は10%Pd/Cを(3
S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニルア
ミノピロリジン−2,5−ジオンに対して、0.1〜
1.0モル%、好ましくは0.2〜0.5モル%用いて
行う。本反応は、20〜150℃の温度で常圧〜30k
g/cm3 で進行する。好ましくは常圧〜5kg/cm
3 である。反応は、通常、2〜30時間で完結する。
【0058】またこの際に、次工程の溶媒として1,2
−ジメトキシエタンを用いる場合は、本脱保護の反応に
おいて1,2−ジメトキシエタンを溶媒にすることで触
媒の濾過のみ行い、生成物を単離することなく次工程に
供することができる。
【0059】光学活性1−アラルキル−3−アミノピロ
リジン化合物の製造法1(工程3) 下記一般式(4′):
【0060】
【化26】
【0061】(式中、R′は上記一般式(2′)と同義
である)で表わされる光学活性1−アラルキル−3−ア
ミノピロリジン化合物は、光学活性1−アラルキル−3
−アミノピロリジン−2,5−ジオン化合物のカルボニ
ル基を還元することにより製造することができる。具体
的には、水素化ホウ素ナトリウムに硫酸ジメチルを添加
したものを還元剤として使用する。
【0062】光学活性(3S)−3−アミノ−1−ベン
ジルピロリジンを製造する場合には、水素化ホウ素ナト
リウムの量は基質光学活性(3S)−3−アミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオンに対して1〜7倍
モルの範囲であり、好ましくは4〜7倍モルの範囲であ
る。硫酸ジメチルは、水素化ホウ素ナトリウムに対して
等モルを使用する。
【0063】還元は不活性有機溶媒中で行われる。不活
性有機溶媒としては、ジエチルエーテル、メチルt−ブ
チルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシエ
タン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル等の鎖状エーテル類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、
トルエン、キシレン及びテトラリン等の炭化水素類及び
これらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは、環状エーテ
ル類、特に好ましくはテトラヒドロフランを使用する。
【0064】水素化ホウ素ナトリウムのテトラヒドロフ
ラン溶液に硫酸ジメチルを−10〜10℃にて滴下した
のち、0〜20℃の範囲で、5〜10時間攪拌し、次に
基質のテトラヒドロフラン溶液を−10〜10℃にて加
えて攪拌する。反応温度は0〜100℃であり、好まし
くは室温〜50℃である。反応時間は反応温度により変
化するが、実質基質が消失するまでであり、例えば25
℃の場合は10時間で、50℃の場合は6時間で反応が
完結する。その際、反応温度を30℃以下に保つことに
より光学純度の低下を抑制できる。反応終了後に水又は
メタノールを加えて過剰の還元剤を分解する。反応液を
濃縮してから塩酸等で酸性として数時間攪拌した後、水
層を苛性ソーダ等でアルカリ性にし有機溶媒で抽出する
ことにより、光学活性(3S)−3−アミノ−1−ベン
ジルピロリジンが高光学純度且つ高化学的純度にて得る
ことができる。
【0065】光学活性1−アラルキル−3−アミノピロ
リジン化合物の製造法2(工程3) 水素化ホウ素ナトリウムに塩化アルミニウムを添加した
ものを還元剤として使用する方法でも光学活性1−アラ
ルキル−3−アミノピロリジン化合物を製造することが
できる。この方法では、硫酸ジメチルを添加したものに
比べ水素化ホウ素ナトリウムの量を低減することができ
る。
【0066】光学活性(3S)−3−アミノ−1−ベン
ジルピロリジンを製造する場合には、水素化ホウ素ナト
リウムの量は基質光学活性(3S)−3−アミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオンに対して1〜7倍
モルの範囲であり、好ましくは2〜5倍モルの範囲であ
る。塩化アルミニウムは水素化ホウ素ナトリウムに対し
て0.1〜等倍モル使用するが、好ましくは0.33倍
モル使用する。
【0067】還元は不活性有機溶媒中で行われる。不活
性有機溶媒としては、ジエチルエーテル、メチルt−ブ
チルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシエ
タン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル等の鎖状エーテル類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;
トルエン、キシレン及びテトラリン等の炭化水素類:及
びこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは鎖状エーテ
ル類、特に好ましくは1,2−ジメトキシエタンを使用
する。
【0068】水素化ホウ素ナトリウムの1,2−ジメト
キシエタン溶液に、塩化アルミニウムを0〜10℃にて
添加した後、0〜50℃の範囲で、1〜5時間攪拌し、
これに基質のジメトキシエタン溶液を0〜10℃を加え
て攪拌する。反応温度は0〜100℃であり、好ましく
は室温〜50℃である。反応時間は反応温度により変化
するが、実質基質が消失するまでであり、例えば25℃
の場合は12時間で反応が完結する。その際、反応温度
を30℃以下に保つことにより光学純度の低下を抑制で
きる。反応終了後に水又はメタノールを加えて過剰の還
元剤を分解する。反応液を濃縮してから塩酸等で酸性と
して数時間攪拌した後、水層を苛性ソーダ等でアルカリ
性にし有機溶媒で抽出することにより、光学活性(3
S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジンが高光学純
度且つ高化学的純度にて得ることができる。
【0069】光学活性1H−3−アミノピロリジン化合
物の製造(工程4) 光学活性1H−3−アミノピロリジン化合物又はそのプ
ロトン酸塩は、光学活性1−アラルキル−3−アミノピ
ロリジン化合物又はその塩を、水素化分解することによ
り製造することができる。具体的には、水素雰囲気下、
Pd/C等の金属触媒を用いて接触還元し、1位の保護
基を脱離することにより得られる。例えば(3S)−1
H−3−アミノピロリジン・二塩酸塩を製造する場合に
は、オートクレーブ中で、水、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等の溶媒を単独で又は混合
して用い、好ましくは、酢酸、塩酸等の酸を添加するこ
とにより、反応速度を向上させることができる。酸は、
(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジンに対
し、1.0〜5.0モル倍、好ましくは1.0〜2.0
モル倍を添加する。
【0070】触媒としては、例えば、Pd/Cを(3
S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジンに対して
0.25〜5.0モル%、好ましくは1.0〜3.0モ
ル%用いて行う。本反応は、20〜150℃の温度で常
圧〜30kg/cm3 好ましくは常圧〜10kg/c
3、特に好ましくは常圧〜5kg/cm3の水素雰囲気
下で進行する。反応は通常2〜30時間で完結する。反
応後、触媒を濾別し、塩化水素または塩酸を加え晶析さ
せ、濾取した粗結晶を更に再結晶することにより、高い
化学純度且つ光学純度を有する(3S)−1H−3−ア
ミノピロリジン・二塩酸塩が得られる。
【0071】本発明の目的化合物である光学活性1H−
3−アミノピロリジン化合物から、一般式(Y):
【0072】
【化27】
【0073】(式中、R21は水素原子又はメチル基、R
22は水素原子又は生体内で加水分解を受けるエステル残
基、R27は水素原子、メチル基又はエチル基、Bは1,
4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレンメチル、メ
チレン、メチルメチレン、エチレン、トリメチレン又は
2−ヒドロキシプロピレン基、R28はホルムイミドイ
ル、アセトイミドイル、アミジノ基又はBと結合して5
ないし6員環構造を形成しうるアルキレン基を示す)で
表わされる抗菌剤として有用な1−メチルカルバペネム
誘導体を製造することができる。
【0074】ここで、生体内で加水分解を受けるエステ
ル残基とは、例えば、ピバロイルオキシメチル、アセト
キシメチル、1−メチルシクロヘキシルカルボニルオキ
シメチル等のアシルオキシアルキル基;1−(イソプロ
ポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシ
ルカルボニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニ
ルオキシアルキル基;5−メチル−2−オキソ−1,3
−ジオキソレン−4−イルメチル基等の5位にアルキル
基又はアリル基を有してもよい1−(2−オキソ−1,
3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基等が挙げられ
る。
【0075】上記1−メチルカルバペネム誘導体は、日
本特許第2955276号に記載の方法で製造されてい
る抗菌剤である。前記1−メチルカルバペネム誘導体の
製造方法の一例として、本発明の方法により製造された
光学活性アミノピロリジン化合物を用いて、(1R,5
S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1
−メチル−2−[(2S,4S)−2−[(3S)−3−(L
−プロリルアミノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]
ピロリジン−4−イルチオ]−1−カルバペン−2−エ
ム−3−カルボン酸を製造するための反応をスキームI
Iに示した。
【0076】一般式(Y)で表わされる化合物はこの反
応スキームに準じて、それぞれ既知の方法を組み合わせ
て製造できる。
【0077】
【化28】
【0078】光学活性1H−3−アミノピロリジン化合
物(5′)と、塩基及びジ−tert−ブチルカルボナ
ートとを、t−ブタノール溶媒中反応させることによ
り、化合物(6)を得ることができる。塩基としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;トリ
エチルアミン、トリメチルアミン、イソプロピルアミン
等の有機三級アミン類等が挙げられる。これらの中で好
ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機
塩基である。必要であれば、カラムシリカゲルクロマト
グラフィー又は晶析等によって精製してもよい(工程
C)。
【0079】工程Dから工程Hは、特許第295527
6号公報に記載の方法で実施可能である。すなわち、工
程Cで得られた光学活性な化合物(6)と1−(4−ニ
トロベンジルオキシカルボニル)−L−プロリン(化合
物D−1)とを、アセトニトリル溶媒中、N,N−カル
ボニルジイミダゾールを添加し縮合反応を行うことで化
合物(7)が得られる(工程D)。
【0080】化合物(7)とトリフルオロ酢酸とを、ジ
クロロメタン溶媒中反応させることにより、ピロリジン
のトリフルオロ酢酸塩として化合物(8)を得ることが
できる(工程E)。化合物(8)と化合物(9)とを、
縮合剤(化合物(F−1))を用いて、アセトニトリル
溶媒中で縮合反応することにより、化合物(10)を得
ることができる(工程F)。
【0081】アニソール、トリフルオロ酢酸及びトリフ
ルオロメタンスルフォン酸中、化合物(10)の脱ベン
ジル化を行い、化合物(11)を得ることができる(工
程G)。化合物(11)と化合物(12)とを、アセト
ニトリル溶媒中、ジイソプロピルアミンを用いて縮合反
応することにより、化合物13を得ることができる(工
程H)。
【0082】テトラヒドロフラン−水溶液中、パラジウ
ム炭素触媒を用い、水素を付加させることにより、化合
物(13)を脱保護して、(1R,5S,6S)−6−
[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−
[(2S,4S)−2−[(3S)−3−(L−プロリルアミ
ノ)ピロリジン−1−イルカルボニル]ピロリジン−4
−イルチオ]−1−カルバペン−2−エム−3−カルボ
ン酸(14)を得ることができる(工程J)。
【0083】また、本発明の製造方法により製造された
光学活性アミノピロリジン化合物から、向精神薬である
下記一般式(X):
【0084】
【化29】
【0085】(式中、R11はハロゲン原子、R12は炭素
数1〜3のアルコキシ基、R14はハロゲン原子置換若し
くは未置換の炭素数3〜6の炭化水素環基を示す)で表
わされるN−(3−ピロリジニル)ベンズアミド誘導体
を製造することができる。ここで、R11は、ハロゲン原
子であり、例えば、フッ素、塩素等が挙げられる。R12
は、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、例えば、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基
等が挙げられる。R14は、ハロゲン原子置換若しくは未
置換の炭素数3〜6の炭化水素環基であり、例えば、シ
クロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、
フェニル基、2−フルオロシクロプロピル基、2,2−
ジフルオロシクロプロピル基等が挙げられる。
【0086】上記N−(3−ピロリジニル)ベンズアミ
ド誘導体は、WO95/08533に記載の方法で製造
できる。上記N−(3−ピロリジニル)ベンズアミド誘
導体の製造法の一例として、(S)−N−(1−ベンジ
ル−3−ピロリジニル)−5−クロロ−4−(シクロプ
ロピルカルボニルアミノ)−2−メトキシベンズアミド
を製造するための反応をスキームIIIに示した。
【0087】
【化30】
【0088】工程Kから工程Lは、WO95/0853
3(AU7665694)に記載の方法で実施可能であ
る。すなわち、化合物(15)と塩化シクロプロピオニ
ルとを、ピリジン存在下、塩化メチレン溶媒中で反応さ
せることにより、化合物(16)が得られる(工程
K)。次に、化合物(16)と光学活性1H−3−アミ
ノピロリジン化合物(4)とを、トリエチルアミン(T
EA)及びクロロギ酸エチルを用いて縮合させることに
より、(S)−N−(1−ベンジル−3−ピロリジニ
ル)−5−クロロ−4−(シクロプロピルカルボニルア
ミノ)−2−メトキシベンズアミド(17)を得ること
ができる(工程L)。
【0089】
【実施例】以下、本発明を、実施例により具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。反応経路をスキームIV
に示した。
【0090】
【化31】
【0091】なお、生成物の構造は1H−NMR(CD
Cl3)で確認し、化学純度は高速液体クロマトグラフ
ィー(以下HPLCと略す)又はガスクロマトグラフィ
ー(以下GCと略す)を用いて分析し、光学純度につい
ては光学異性体分離用カラムを付した高速液体クロマト
グラフィー分析により、鏡像体過剰率(%ee)として
算出した。以下に光学純度検定のためのHPLC条件を
記す。
【0092】なお光学活性アミノ基保護アスパラギン酸
は、市販されているものを用いるか、光学活性アスパラ
ギン酸から前記した方法により合成したものを用いた。 N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸の
分析: カラム;Chiralpak AD 溶離液;n−ヘキサン/2−プロパノール/ぎ酸=80
/20/1 流速;0.5ml/min 検出波長;254nm (3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニ
ルアミノピロリジン−2,5−ジオンの分析: カラム;Chiralpak AD 溶離液;n−ヘキサン/2−プロパノール/ぎ酸=80
/20/1 流速;0.5ml/min 検出波長;254nm (3S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジン−2,
5−ジオンの分析: カラム;CROWNPAK CR(+) 溶離液;過塩素酸水溶液(pH2)/メタノール=9/
1 流速;0.6ml/min 検出波長;210nm (3S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンの分
析: カラム;Chiralcel WH 溶離液;硫酸銅水溶液(0.5mM)/メタノール=7
0/30 流速;0.6ml/min 検出波長;254nm (3S)−1H−3−アミノピロリジン・二塩酸塩の分
析: カラム;SUMICHIRAL OA−6100 溶離液;硫酸銅水溶液(0.5mM) 流速;1ml/min 以下に化学純度検定のためのHPLC、GC条件を記
す。 (3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニ
ルアミノピロリジン−2,5−ジオンの分析(HPL
C): カラム;Mightysil RP−18 GP 溶離液;水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=50
0/300/0.8 流速;1.0ml/min 検出波長;210nm (3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジンの分析
(GC) カラム;NEUTRABOND−1: カラム温度;100℃−250℃(昇温速度:10℃/
min) キャリアーガス;ヘリウム(17.7ml/min) HPLCによる化学純度(%)=目的物の面積百分率
(%) 鏡像体過剰率(%ee)=100×{(一方の立体配置
を有する目的物のモル数)−(他方の立体配置を有する
目的物のモル数)}/{(一方の立体配置を有する目的
物のモル数)+(他方の立体配置を有する目的物のモル
数)}
【0093】実施例1 (工程B′):N−ベンジルオキシカルボニル−L−ア
スパラギン酸無水物(化合物1′−2)の製造 N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸
(化合物B′−2)20.1g(75.2mmol)を
酢酸エチル80.0mlに懸濁し、溶液を窒素雰囲気
下、10℃にて攪拌した。アセチルクロライド17.7
g(98%、221.0mmol)を10〜15℃で滴
下し、室温で1時間、60℃で2時間攪拌した。反応終
了後、溶媒と過剰分のアセチルクロライドを減圧留去し
た。残留物にヘプタン121mlを加えて、晶析させた
後、これを濾過洗浄、減圧乾燥し白色結晶18.7g
(75.1mmol)を得た。得られた固体は 1H−
NMR分析によりN−ベンジルオキシカルボニル−L−
アスパラギン酸無水物(化合物1′−2)であることを
確認した。また、これを加水分解しN−ベンジルオキシ
カルボニル−L−アスパラギン酸としたHPLCによる
分析の結果は光学純度100%eeであった。
【0094】実施例2 (工程1′):(3S)−1−ベンジル−3−ベンジル
オキシカルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオン
(化合物2′−2)の製造 工程Bで得られたN−ベンジルオキシカルボニル−L−
アスパラギン酸無水物(化合物1′−2)21.9g
を、トルエン240ml、ジメチルホルムアミド26m
lに溶解し、30〜40℃でベンジルアミン8.1g
(75.2mmol)を滴下し、昇温し1時間加熱還流
した。反応液を30〜40℃まで冷却し、p−トルエン
スルホン酸・一水和物1.4g(7.5mmol)を加
えた後、ディーンスターク管を設置し、攪拌しながら1
10℃で24時間加熱還流下脱水させた。反応液を冷却
後、酢酸エチル350mlを加え、飽和食塩水180m
lで3回分液洗浄し、乾燥後に溶液を50mlまで濃縮
し、析出した結晶を減圧濾過し、50mlのヘキサンで
3回洗浄し、19.7gの結晶を得た。得られた結晶は
1H−NMR分析により(3S)−1−ベンジル−3−
ベンジルオキシカルボニルアミノピロリジン−2,5−
ジオン(化合物2′−2)であることを確認し、HPL
Cによる分析の結果は化学純度99.0%、光学純度1
00%eeであった。
【0095】実施例3 (工程1′):(3S)−1−ベンジル−3−ベンジル
オキシカルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオン
(化合物2′−2)の製造 N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸無
水物(化合物1′−2)97.81g(392.81m
mol)を、トルエン980ml、ジメチルホルムアミ
ド126mlに溶解し、22〜33℃でベンジルアミン
42.03g(392.81mmol)を滴下した後、
ディーンスターク管を設置し、攪拌しながら1時間加熱
還流した。反応液を冷却しp−トルエンスルホン酸・一
水和物7.46g(39.26mmol)を加え、11
0℃で30時間加熱還流下にて共沸脱水させた(反応収
率77%、光学純度96%ee)。反応終了後、反応液
を70℃に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1
40mlで2回分液洗浄し、更に飽和食塩水70mlで
1回分液洗浄した。次に得られた有機層を30分加熱還
流し共沸脱水した後、冷却晶析させた。結晶は65℃で
晶出し、65〜20℃まで1時間攪拌、更に10℃以下
で30分攪拌した。得られた結晶を濾過し、トルエン1
50mlで洗浄、更に減圧乾燥して白色結晶75.91
g(224.59mmol、単離収率57.2%)を得
た。得られた固体は 1H−NMR分析により(3S)
−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ
ピロリジン−2,5−ジオン(化合物2′−2)である
ことを確認した。また、HPLCによる分析の結果は化
学純度100%、光学純度99.6%eeであった。
【0096】実施例4 (工程5′):(3S)−1−ベンジル−3−ベンジル
オキシカルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオン
(化合物2′−2)の製造 N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸
(化合物B′−2)5.0g(18.73mmol)を
酢酸エチル15mlに懸濁し、溶液を窒素雰囲気下、室
温にて攪拌した。アセチルクロライド1.76g(98
%、22.48mmol)を滴下し、60℃で2時間攪
拌した。反応終了後、トルエン50mlとジメチルホル
ムアミド6mlを加えて90〜103℃に加熱し、酢酸
エチルと過剰分のアセチルクロライドを共沸させ20m
l留去した。ここでN−ベンジルオキシカルボニル−L
−アスパラギン酸無水物(化合物1′−2)は、取り出
すことなく次の工程に用いた。これに44〜54℃でベ
ンジルアミン2.0g(18.69mmol)を滴下し
た後、ディーンスターク管を設置し、攪拌しながら30
分加熱還流した。更に反応液を冷却しp−トルエンスル
ホン酸・一水和物0.36g(18.95mmol)を
加え、110℃で8時間加熱還流し共沸脱水させた(反
応収率80%、光学純度94%ee)。反応液を冷却
後、反応液を70℃に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液10mlで2回分液洗浄し、更に飽和食塩水1
0mlで1回分液洗浄した。次に得られた有機層を30
分加熱還流し共沸脱水した後、冷却晶析させた。結晶は
65℃で晶出し、20℃まで1時間攪拌、更に10℃以
下で30分攪拌した。得られた結晶を濾過し、トルエン
20mlで洗浄、更に減圧乾燥して白色結晶4.64g
(13.73mmol、単離収率71.1%)を得た。
得られた固体は 1H−NMR分析により(3S)−1
−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニルアミノピロ
リジン−2,5−ジオン(化合物2′−2)であること
を確認した。また、HPLCによる分析の結果は化学純
度100%、光学純度100%eeであった。
【0097】実施例5 (3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニ
ルアミノピロリジン−2,5−ジオン(化合物2′−
2)の精製 (3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオキシカルボニ
ルアミノ−ピロリジン−2,5−ジオン13.94g
(光学純度92.9%ee)(化合物2′−2)をトル
エン69.7mlに加え、更に80℃に加熱し完全溶解
させた後、冷却晶析させた。結晶は65℃で晶出し、2
0℃まで1時間攪拌した。得られた結晶を濾過し、トル
エン70mlで洗浄、更に減圧乾燥して白色結晶13.
10g(回収率94.0%)を得た。また、HPLCに
よる分析の結果は化学純度100%、光学純度100%
eeであった。
【0098】実施例6 (工程2′):(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピ
ロリジン−2,5−ジオン(化合物3′−2)の製造 (3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオン6.76g(20
mmol)(化合物2′−2)をエタノール400ml
に加熱溶解し(40℃)、10%Pd/C53mg
(0.05mmol)を添加し、水素を常圧にて液温2
0〜25℃で12時間攪拌した。反応後、触媒を濾別し
エタノールを減圧留去し、残留物を真空乾燥し4.1g
の油状物を得た。得られた油状物は 1H−NMRによ
り(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジン−
2,5−ジオン(化合物3′−2、収率91%)である
ことを確認した。
【0099】実施例7 (工程2′):(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピ
ロリジン−2,5−ジオン(化合物3′−2)の製造 (3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオン113.08g
(334.56mmol、光学純度99.5%ee)
(化合物2′−2)をエタノール1220mlに溶解
し、5%Pd/C1.78g(0.84mmol)を添
加し、水素を常圧にて液温20〜24℃で34時間攪拌
した(光学純度98.9%ee)。反応終了後、触媒を
濾別しエタノール60mlで洗浄、更に溶媒を1130
ml減圧留去(液温20〜32℃)した後、その残留物
にヘプタン600mlを加えて晶析した。これを濾過し
ヘプタン100mlで洗浄後、減圧乾燥し白色結晶6
3.82g(312.8mol、単離収率93.5%)
を得た。得られた結晶は1H−NMRにより(3S)−
3−アミノ−1−ベンジルピロリジン−2,5−ジオン
(化合物3′−2)であることを確認した。またGCに
よる分析の結果は化学純度100%、HPLCによる分
析の結果は光学純度98.2%eeであった。
【0100】実施例8 (工程3′):(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピ
ロリジン(化合物4′−2)の製造 窒素気流下、水素化ホウ素ナトリウム4.68g(95
%、117.6mmol)を、テトラヒドロフラン72
ml中で攪拌し、液温7〜14℃にて硫酸ジメチル1
5.6g(95%、117.6mmol)を滴下した
後、攪拌しながら14〜24℃で4時間反応させた。気
体の発生終了後、テトラヒドロフラン18mlに溶解し
た(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジン−
2,5−ジオン(化合物3′−2)6.0g(29.4
1mmol、光学純度99.5%ee)を9〜15℃に
て滴下し、室温で19時間攪拌した。この反応液に7〜
11℃で水3ml加え、更にこれを減圧濃縮した。濃縮
後、これに35%塩酸5mlを加えて内温110℃にて
1時間還流、これを冷却し水酸化ナトリウムの固体4g
(96%)を加えて攪拌した。これをセライト濾過しト
ルエン20mlで3回抽出した後、乾燥、濾過、更にト
ルエン20mlで洗浄した。溶媒を減圧留去して4.8
2g(27.4mmol)の黄色液体を得た。得られた
液体は1H−NMRにより(3S)−3−アミノ−1−
ベンジルピロリジン(化合物4′−2)であることを確
認した。またGCによる分析の結果は化学純度89.6
%、HPLCによる分析の結果は光学純度97.1%e
eであった。
【0101】実施例9 (工程3′):(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピ
ロリジン(化合物4′−2)の製造 内容積300mlのガラス製三つ口フラスコに、窒素気
流下、水素化ホウ素ナトリウム2.3g(60mmo
l)、テトラヒドロフラン50mlを攪拌子と共に仕込
み、液温0〜5℃にて硫酸ジメチル7.6g(60mm
ol)を滴下した後、攪拌しながら0〜20℃で7時間
反応させた。気体の発生終了後、液温0〜5℃にてテト
ラヒドロフラン8mlに溶解した(3S)−3−アミノ
−1−ベンジルピロリジン−2,5−ジオン(化合物
3′−2)2.0g(10.0mmol、光学純度9
9.5%ee)を滴下して、20〜30℃にて2時間、
引き続き50℃にて5時間攪拌した。この反応液に氷冷
下で水5mlを加え、テトラヒドロフランを減圧留去し
た。室温下に6N塩酸40mlを加えて20〜25℃に
て18時間攪拌後、析出した白色固体を減圧濾過により
取り除き、固体をクロロホルム20mlで2回洗浄し
た。得られた溶液中のクロロホルムを減圧留去し、残留
物に20重量%水酸化ナトリウム水溶液60mlを加え
溶液をpH13としてクロロホルム(100ml×2)
で抽出した。乾燥後溶媒を減圧留去し、1.4g(収率
80%)の液体を得た。得られた液体は1H−NMRに
より(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジン
(化合物4′−2)であることを確認し、GCによる分
析の結果、化学純度は94.7%、HPLCによる分析
の結果は光学純度100%eeであった。
【0102】実施例10 (工程2′及び3′):(3S)−3−アミノ−1−ベ
ンジルピロリジン(化合物4′−2)の製造 (3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオン75.27g(2
29.69mmol、光学純度99.6%ee)(化合
物2′−2)を1,2−ジメトキシエタン300mlに
溶解し、5%Pd/C1.18g(0.57mmol)
を添加し、水素を常圧にて22〜26℃で25時間攪拌
した(光学純度100%ee)。反応後触媒を濾別し、
1,2−ジメトキシエタン50mlで洗浄した。本溶液
は(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジン−
2,5−ジオン(化合物3′−2)を取り出すことなく
次の工程に用いた。
【0103】次に窒素気流下、室温にて水素化ホウ素ナ
トリウム26.6g(95%、668mmol)、ジメ
トキシエタン230mlを仕込み、攪拌下、液温10〜
30℃で塩化アルミニウム29.72g(222.7m
mol)を添加し、40℃で30分攪拌した。次に液温
4〜7℃にて先程調製した(3S)−3−アミノ−1−
ベンジルピロリジン−2,5−ジオン(化合物3′−
2)の1,2−ジメトキシエタン溶液を滴下して、23
〜27℃で16.5時間、30℃で1.5時間反応させ
た。この反応液に12〜17℃で水180ml加え、溶
媒を70〜86℃で減圧濃縮し、溶媒585ml留去し
た。濃縮後、これに35%塩酸139.34g(133
6.14mmol)を加え内温65〜78℃にて1時間
還流後、冷却して水酸化ナトリウムの固体111.33
g(96%、2672mmol)を加えた。これをセラ
イト濾過しトルエン200mlで分液抽出した後、水層
を更にトルエン100mlで分液抽出した。集めたトル
エン層を加熱還流し20分共沸脱水した。更に溶媒を減
圧留去して39.58g(収率90.5%)の黄色液体
を得た。得られた液体は1H−NMRにより(3S)−
3−アミノ−1−ベンジルピロリジン(化合物4′−
2)であることを確認した。またGCによる分析の結果
は化学純度89.6%、HPLCによる分析の結果は光
学純度99.2%eeであった。
【0104】実施例11 (工程4′):(3S)−1H−3−アミノピロリジン
・二塩酸塩(化合物5′−2)の製造 (3S)−3−アミノ−1−ベンジルピロリジン(化合
物4′−2)38.66g(196.8mmol、化学
純度89.6%)をエタノール270mlに溶解し、酢
酸11.86g(393.6mmol)、5%Pd/C
1.05g(0.492mmol)を加えて、水素4.
5kg/cm3加圧下にて60〜70℃で6時間攪拌し
た。反応後触媒を濾別しエタノール116mlで洗浄、
濾液に塩化水素ガス70gを10〜40℃で吹き込んで
晶析させた。これを更に5℃以下で30分攪拌し、得ら
れた粗結晶を濾過、エタノール100mlで洗浄し、こ
れを乾燥させ粗結晶28.88g(収率91.9%、化
学純度96.7%、光学純度99.3%ee)を得た。
この粗結晶28.25gを取りエタノール300mlと
水60ml、更に塩化水素ガス36gを加え、80℃で
加熱完溶させた。またこれを冷却したところ75℃で晶
析、0℃まで2時間冷却熟成し、濾過した後エタノール
100mlで洗浄、減圧乾燥して白色結晶23.21g
(146.0mmol)を得た。得られた結晶は 1
−NMR、更に元素分析により(3S)−1H−3−ア
ミノピロリジン・二塩酸塩(化合物5′−2)であるこ
とを確認した。またGCによる分析の結果は化学純度9
9.6%、HPLCによる分析の結果は光学純度99.
3%eeであった。
【0105】比較例1 (工程1′):(3S)−1−ベンジル−3−ベンジル
オキシカルボニルアミノ−ピロリジン−2,5−ジオン
(化合物2′−2)の製造 実施例1で得られた、N−ベンジルオキシカルボニル−
L−アスパラギン酸無水物(化合物1′−2)の粗結晶
8.0gをエタノール50mlに懸濁させ、エタノール
10mlに溶解したベンジルアミン10.3ml(94
mmol)を滴下した。添加後、20℃で18時間攪拌
した。反応液を1NのHCl溶液でpH3に酸性化して
得られた沈殿物を吸引濾過によって単離し、水25ml
で3回洗浄した。減圧下乾燥し、白色固体8.3gを得
た。固体8.0gを無水酢酸15mlに懸濁し、60℃
で24時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却後、溶
媒を減圧下留去し、残留物を10mlのジクロロメタン
に溶解した。炭酸ナトリウム水溶液50ml、水50m
lで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下
留去し、7.2gの結晶を得た。得られた結晶は1H−
NMRにより(3S)−1−ベンジル−3−ベンジルオ
キシカルボニルアミノピロリジン−2,5−ジオン(化
合物2′−2)であることを確認し、HPLCによる分
析の結果、光学純度は65%eeであった。
【0106】比較例2 (工程3′):(3S)−3−アミノ−1−ベンジルピ
ロリジン(化合物4′−2)の製造 内容積300mlのガラス製三口フラスコに、窒素気流
下、リチウムアルミニウムハイドライド0.23g
(6.2mmol)、テトラヒドロフラン10mlを攪
拌子と共に仕込み、液温0〜5℃にてテトラヒドロフラ
ン5mlに溶解した(3S)−3−アミノ−1−ベンジ
ルピロリジン−2,5−ジオン(化合物3′−2)1.
2g(5.6mmol)を滴下して、20〜30℃で1
8時間攪拌した。この反応液に氷冷下で水230ml
と、6N水酸化ナトリウム溶液69mlを添加した。得
られた沈殿物を減圧濾過により除去し、酢酸エチル50
mlで3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後
溶媒を減圧留去し、0.86gの液体を得た。得られた
液体は1H−NMRにより(3S)−3−アミノ−1−
ベンジルピロリジン(化合物4′−2)であることを確
認し、HPLCによる分析の結果、光学純度は97%e
eであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07D 487/04 134 (72)発明者 竹原 潤 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 菅野 和明 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 市川 修治 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4C050 KA14 KB05 KB13 KB16 KC02 4C069 AA12 AC31 CC02 4H006 AC81 4H039 CA42 CD90 CH10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、Rはベンゼン環上に置換基を有していてもよい
    ベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ
    基保護アスパラギン酸無水物を、一級アミンR′NH2
    (但し、R′は芳香環上に置換基を有していてもよいア
    ラルキル基を示す)と反応させた後、脱水閉環して下記
    一般式(2): 【化2】 (式中、Rは上記一般式(1)と同義であり、R′は前
    記の通りである)で表される1−アラルキル−3−アミ
    ノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン化合物を得、次い
    で上記一般式(2)で表わされる化合物の3位アミノ基
    を脱保護して下記一般式(3): 【化3】 (式中、R’は上記一般式(2)と同義である)で表さ
    れる1−アラルキル−3−アミノピロリジン−2,5−
    ジオン化合物を得、引き続き上記一般式(3)の化合物
    のカルボニル基を還元して下記一般式(4): 【化4】 (式中、R′は上記一般式(2)と同義である)で表さ
    れる1−アラルキル−3−アミノピロリジン化合物又は
    そのプロトン酸塩を得、更に上記一般式(4)の化合物
    を水素化分解して1H−3−アミノピロリジン又はその
    プロトン酸塩を得ることを特徴とする1H−3−アミノ
    ピロリジン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1′)又は(1″): 【化5】 (式中、Rは上記一般式(1)と同義である)で表され
    る光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無水物を、一級
    アミンR’NH 2 (但し、R′は芳香環上に置換基を有
    していてもよいアラルキル基を示す)と反応させた後、
    脱水閉環して下記一般式(2′)又は(2″): 【化6】 (式中、Rは上記一般式(1)と同義であり、R′は前
    記の通りである)で表される光学活性1−アラルキル−
    3−アミノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン化合物を
    得、次いで上記一般式(2′)又は(2″)で表わされ
    る化合物の3位アミノ基を脱保護して下記一般式
    (3′)又は(3″): 【化7】 (式中、R′は上記一般式(2)と同義である)で表さ
    れる光学活性1−アラルキル−3−アミノピロリジン−
    2,5−ジオン化合物を得、引き続き上記一般式
    (3′)又は(3″)の化合物のカルボニル基を還元し
    て下記一般式(4′)又は(4″): 【化8】 (式中、R′は上記一般式(2)と同義である)で表さ
    れる光学活性1−アラルキル−3−アミノピロリジン化
    合物又はそのプロトン酸塩を得、更に上記一般式
    (4′)又は(4″)の化合物を水素化分解して光学活
    性1H−3−アミノピロリジン又はそのプロトン酸塩を
    得ることを特徴とする光学活性1H−3−アミノピロリ
    ジン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1′)又は(1″)の光学活性
    アミノ基保護アスパラギン酸無水物を前記一級アミン
    R'NH2 と反応させた後、酸触媒の存在下に脱水閉環
    させることを特徴とする一般式(2′)又は(2″)の
    光学活性1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン
    −2,5−ジオン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無
    水物が、下記一般式(B′)又は(B″): 【化9】 (式中、Rは上記一般式(1)と同義である)で表され
    る光学活性アミノ基保護アスパラギン酸を脱水反応に付
    して得られたものである請求項1から3のいずれかに記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(B′)又は(B″)の光学活性
    アミノ基保護アスパラギン酸を脱水反応に付して光学活
    性アミノ基保護アスパラギン酸無水物を生成させ、この
    光学活性アミノ基保護アスパラギン酸無水物を取り出す
    ことなく、一級アミンR′NH2 (但し、R′は芳香
    環上に置換基を有していてもよいアラルキル基を表す)
    を反応させた後、脱水閉環させることを特徴とする一般
    式(2′)又は(2″)の光学活性1−アラルキル−3
    −アミノ基保護ピロリジン−2,5−ジオン化合物の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(2′)又は(2″)の光学活性
    1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5
    −ジオン化合物を晶析精製することを特徴とする請求項
    1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(2′)又は(2″)の光学活性
    1−アラルキル−3−アミノ基保護ピロリジン−2,5
    −ジオン化合物の晶析精製を芳香族炭化水素を含有する
    有機溶媒により行うことを特徴とする請求項6に記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(3′)又は(3″)の光学活性
    1−アラルキル−3−アミノピロリジン−2,5−ジオ
    ン化合物のカルボニル基を、水素化ホウ素ナトリウムに
    硫酸ジメチル又は塩化アルミニウムを添加し調製した還
    元剤により還元することを特徴とする一般式(4′)又
    は(4″)の光学活性1−アラルキル−3−アミノピロ
    リジン化合物又はそのプロトン酸塩の製造方法。
  9. 【請求項9】一般式(Y): 【化10】 (式中、R21は水素原子又はメチル基、R22は水素原子
    又は生体内で加水分解を受けるエステル残基、R27は水
    素原子、メチル基又はエチル基、Bは1,4−フェニレ
    ン、1,4−シクロヘキシレンメチル、メチレン、メチ
    ルメチレン、エチレン、トリメチレン又は2−ヒドロキ
    シプロピレン基、R28はホルムイミドイル、アセトイミ
    ドイル、アミジノ基又はBと結合して5ないし6員環構
    造を形成しうるアルキレン基を示す)で表わされる1−
    メチルカルバペネム誘導体を製造するにあたり、請求項
    1又は2に記載の方法により製造されたアミノピロリジ
    ン化合物又はそのプロトン酸塩を合成中間体として用い
    ることを特徴とする前記式(Y)で表わされる1−メチ
    ルカルバペネム誘導体の製造方法。
  10. 【請求項10】一般式(X): 【化11】 (式中、R11はハロゲン原子、R12は炭素数1〜3のア
    ルコキシ基、R14はハロゲン原子置換若しくは未置換の
    炭素数3〜6の炭化水素環基を示す)で表わされるN−
    (3−ピロリジニル)ベンズアミド誘導体を製造するに
    あたり、請求項1又は2に記載の方法により製造された
    式(4)の化合物を合成中間体として用いることを特徴
    とする前記式(X)で表わされるN−(3−ピロリジニ
    ル)ベンズアミド誘導体の製造方法。
JP2001252848A 2000-08-24 2001-08-23 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法 Pending JP2002316977A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001252848A JP2002316977A (ja) 2000-08-24 2001-08-23 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000253457 2000-08-24
JP2001034853 2001-02-13
JP2001-34853 2001-02-13
JP2000-253457 2001-02-13
JP2001252848A JP2002316977A (ja) 2000-08-24 2001-08-23 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002316977A true JP2002316977A (ja) 2002-10-31

Family

ID=27344417

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001252848A Pending JP2002316977A (ja) 2000-08-24 2001-08-23 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002316977A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030020646A (ko) * 2001-09-04 2003-03-10 한미약품공업 주식회사 2-(에스)-아미노-4-페닐부틸산의 개선된 제조방법
JP2006514025A (ja) * 2002-12-23 2006-04-27 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト エポシロン誘導体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030020646A (ko) * 2001-09-04 2003-03-10 한미약품공업 주식회사 2-(에스)-아미노-4-페닐부틸산의 개선된 제조방법
JP2006514025A (ja) * 2002-12-23 2006-04-27 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト エポシロン誘導体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4170753B2 (ja) オキサゾリジノン化合物の製造方法
JP3639449B2 (ja) 3−アミノ−ピロリジン誘導体の製造方法
US5668164A (en) Process for synthesis of chiral cis-and trans-3-amino-4 substituted pyrrolidine compounds
JP4688292B2 (ja) 純粋な鏡像体であるn−メチル−n−[(1s)−1−フェニル−2−((3s)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)エチル]−2,2−ジフェニルアセトアミドの製造方法
US6531594B2 (en) Process for producing 1H-3-aminopyrrolidine and derivatives thereof
JP2002316977A (ja) 光学活性1h−3−アミノピロリジン化合物の製造方法
US8030486B2 (en) Succinic acid diester derivative, process for production thereof, and use of the derivative in the production of pharmaceutical preparation
AU2001257253B2 (en) Asymmetric synthesis of piperazic acid and derivatives thereof
WO1998045260A1 (en) Process for stereoselective preparation of azetidinones
US7842818B2 (en) Process for preparation of tetrasubstituted 5-azaspiro[2.4]- heptane derivatives and optically active intermediates thereof
JPWO2007083620A1 (ja) β−アミノ−α−ヒドロキシ酸アミド誘導体の製造法
JPH07252258A (ja) エナンチオマー的に純粋な2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0ノナン類の製造法
WO2024092892A1 (zh) 依度沙班中间体及其制备方法
JP4181233B2 (ja) ピロリジン−2,4−ジオン誘導体の製法
KR20110104933A (ko) 피페리딘 유도체의 입체선택적 합성
CN117164526A (zh) 2-(哌嗪-2-基)乙腈类衍生物及其制备方法和应用
US20080242861A1 (en) Synthesis of amino-protected cyclohexane-1,4-diyldimethanamine and its derivatives
JP3656002B2 (ja) 光学活性アミドカルボン酸の製造方法および精製方法
JPH0363272A (ja) 1―アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―3―カルボキシレートの分割方法
EP1138672A1 (en) Process for the preparation of 3-amino-pyrrolidine derivatives
JP2001131145A (ja) 光学活性3−アミノピロリジン誘導体の製造法
JPWO2005066124A1 (ja) ピロリジン誘導体の製造法
WO2002032885A1 (fr) Preparation d'esters d'acide amino-2-aza-1-oxybicyclo[3.3.0]oct-2-ene-6-carboxylique 4-n substitues et preparation de leurs produits intermediaires
JP2002275138A (ja) 2−アミノインダン誘導体の製造方法およびその中間体
JPWO2008081860A1 (ja) 光学活性コハク酸イミド誘導体およびその製造方法ならびにその使用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080527

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081007