JP3656002B2 - 光学活性アミドカルボン酸の製造方法および精製方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬農薬中間体等として有用な光学活性置アミドカルボン酸を光学純度よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より光学活性アミドカルボン酸類の製造方法として、以下の2つの方法が知られている。
(1)下式で示す不斉還元によって(S)−アミドカルボン酸を製造する方法(Chem. Pharm. Bull., 40(1), 224−6(1992))。
【0003】
【化4】
(2)下式で示す酵素を用いてメチルコハク酸ジメチルの4−エステル部分を位置選択的にかつ立体選択的に(R)体のみをモノアミド化して、(R)−アミドカルボン酸メチルエステルを製造する方法(Tetrahedron, 51(5), 1495−502(1995))。
【0004】
【化5】
しかしながら、上記(1)の方法では、高価な不斉触媒を用いなければならず、また特殊な不斉還元用の設備が必要である。
【0005】
また、上記(2)の方法は、光学活性アミドカルボン酸エステルが得られ、直接に光学活性アミドカルボン酸を得る方法ではない。さらに、その際得られた光学活性アミドカルボン酸エステルの光学純度をそれ以上向上させる方法がないという問題もある。
【0006】
一方、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度を上げるための精製方法としては、熱時下にて再結晶を行うことが一般的である。しかし、本発明が目的とするところの下記一般式(I)で表される主炭素鎖の炭素数が4のアミドカルボン酸の場合には、40℃を超える熱をかけることによってアミド基とカルボキシル基の位置が反対の一般式(III)で表される位置異性体が生成してくるという問題がある。
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、光学活性アミドカルボン酸を原料よりも光学純度の高い結晶で簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、位置異性体の生成を伴うことなく、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることのできる精製方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(II)で表される光学活性2−置換コハク酸−4−エステルに一般式NHR2R3(但し、R2、R3は独立に水素原子もしくは炭素数1〜2のアルキル基を示すか、あるいはR2とR3がいっしょになってそれらが結合する窒素原子と共に、場合によってはさらに酸素原子または窒素原子を含む炭素数3〜4の5員または6員の複素単環を形成してもよい。)で表されるアミン類を反応させてアミド化した後、酸析することを特徴とする一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸の製造方法に関する。
【0012】
【化8】
但し、式(I)中、*は不斉炭素を示し、R1は炭素数1〜10で、それぞれフェニル基またはフッ素原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基を示し、R2およびR3は前記と同義である。
【0013】
【化9】
但し、式(II)中、*は不斉炭素を示し、R1は前記と同義であり、R4は炭素数1〜10で、それぞれフェニル基またはフッ素原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基を示す。
【0014】
この方法によれば、高価な不斉触媒を用いたり、特殊な不斉還元用の設備も必要とせず、光学活性アミドカルボン酸を直接的にしかも原料より高い光学純度で得ることができる。
【0015】
また本発明は、前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸を含む溶液から40℃以下の温度で再沈殿させることを特徴とする精製方法に関する。この方法では、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<光学活性アミドカルボン酸の製造方法>
本発明の光学活性アミドカルボン酸の製造方法は、1)アミド化反応(光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩の形成)、2)酸析の二段階の工程を経ることによって行われる。
【0017】
まず、第1段階のアミド化反応の工程は、次の反応式で示すように、光学活性2−置換コハク酸−4−エステルにNHR2R3を反応させて光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩を形成する反応である。
【0018】
【化10】
ここで原料となる一般式(II)で表される光学活性2−置換コハク酸−4−エステルは、例えば特開平8−285号公報や特開平8−310994号公報に記載されているような、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルにエステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体または菌体処理物を作用させる方法、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルをキラルなアミンとの塩を形成させジアステレオマーとして再結晶させる優先晶析法、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルを光学分割カラムを用いて光学分割する方法等により得ることができる。
【0019】
ここで、R1としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;これらアルキル基中の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素置換アルキル基;ベンジル等のフェニル置換アルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖状または分岐状のアルコキシ基;これらアルコキシ基中の1個以上の水素原子がフッ素原子またはフェニルで置換されたアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ等の直鎖状または分岐状のアルキルチオ基;これらアルキルチオ基中の1個以上の水素原子がフッ素原子またはフェニルで置換されたアルキルチオ基を挙げることができる。
【0020】
この中でも、炭素数1〜8のものが好ましく、特にメチル、エチル、n−ブチル、ベンジルが好ましい。
【0021】
また、R4としても、上記R1と同じ基を挙げることができ、その中でも、炭素数1〜8のものが好ましく、特にメチル、エチル、n−ブチル、ベンジルが好ましい。
【0022】
また、一般式NHR2R3で表されるアミン類としては、例えば、アンモニア、メチルアミンおよびエチルアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン、モルホリン、ピペラジン等の環状アミン等を挙げることができる。この中でもアンモニアおよび1級アミンが好ましい。
【0023】
このアミド化反応に使用するアミン類の量は、1当量はアミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩の形成に使われるため、光学活性2−置換コハク酸−4−エステル1モルに対して、2〜10倍モルが好ましいが、反応速度や反応率および釜効率等の面から2〜4倍モルが実用的である。また、ガス状のアミン類はガスで直接反応系内に吹き込んでも、溶媒に吸収させたものを使用してもどちらでもよい。
【0024】
このアミド化反応は一般に溶媒中で行い、その際に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、水、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。この中でも水、およびアルコール系溶媒が好ましく、特に水およびメチルアルコールが好ましい。また、上述した溶媒を2種混合して用いてもよく、その場合、水またはアルコール系溶媒(好ましくはメチルアルコール)を50%以上、特に70%以上含むことが好ましい。
【0025】
このアミド化反応において、溶媒の使用量は、光学活性2−置換コハク酸−4−エステル1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、反応速度や反応率および釜効率等の面から0.5〜3mlが実用的である。
【0026】
このアミド化反応の反応温度は、例えば−20〜100℃の範囲であればよいが、好ましくは−10〜50℃である。また、反応圧力は、例えば絶対圧で50kPa〜5MPaであり、好ましくは50kPa〜1MPaで、さらに好ましくは80kPa〜120kPaである。さらにこのときの反応時間は、通常0.1〜100時間で、好ましくは1〜80時間である。ここでの反応時間はアミン投入後の経過時間である。
【0027】
このアミド化反応の反応率は、原料の光学活性2−置換コハク酸−4−エステルと生成物の光学活性アミドカルボン酸が共にUV吸収を有するため、高速液体クロマトグラフィー等を利用して知ることができる。
【0028】
このアミド化反応は、生産性や酸析時の析出率の面から、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーの面積百分率から得られるの反応率が、例えば90%以上となるように温度、時間等の条件を設定することが好ましい。
【0029】
次の第2段階目の酸析の工程は、第1段階のアミド化反応で得られた光学活性アミドカルボン酸アンモニウム塩またはアミン塩に酸を添加して遊離の光学活性アミドカルボン酸を得る工程である。この際、光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩を単離してから酸析することも可能であるが、一般には、上記のアミド化反応後の反応液に、酸またはその水溶液を添加すればよい。
【0030】
ここで使用する酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等が挙げられるが、水溶液として用いる場合に濃度調整が容易な、かつ安価で汎用的な硫酸または塩酸を使用することが好ましい。酸の使用量は通常、使用したアミン類に対して0.5〜2当量が好ましく、一般にカルボン酸のpKaが約3であることを考慮に入れるとpHを約2に調整するだけの量で十分である。酸の使用量が0.5当量未満であると光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩が中和されずに残ったり、2当量を超えるとアミド基が酸性加水分解されて収率が低下することがある。このような酸処理は通常−50〜120℃で行われるが、好ましくは−10〜40℃である。
【0031】
酸処理によって析出した結晶は、光学活性アミドカルボン酸が主であるが、アミド化に使用したアンモニアまたはアミンの酸塩および水分が少量含まれることがある。この製造方法を、得られる目的の光学活性アミドカルボン酸の光学純度を原料よりも向上させることができる。
【0032】
<光学活性アミドカルボン酸の精製方法>
本発明の光学活性アミドカルボン酸の精製方法の好ましい具体的方法としては、精製を行う光学活性アミドカルボン酸の可溶溶媒の溶液中に40℃以下の温度で貧溶媒を投入して沈殿を析出させる方法(方法1)、あるいは精製を行う光学活性アミドカルボン酸の水溶液中に、40℃以下の温度で、水に対して光学活性アミドカルボン酸よりも溶解度の高い無機塩を投入して沈殿を析出させる方法(方法2)を挙げることができる。
【0033】
方法1および方法2のいずれの場合においても、再沈殿は40℃以下であって溶液が凝固しない温度以上で行えばよいが、位置異性体の生成を極力低減するためには35℃以下が好ましく、また一般には−20℃以上が好ましい。また、再沈殿を行う際の圧力は絶対圧で50kPa〜5MPaであり、好ましくは50kPa〜1MPaで、さらに好ましくは80kPa〜120kPaである。さらに再沈殿の時間は、特に制限はないが通常0.1〜24時間で、好ましくは0.1〜5時間である。ここでの再沈殿の時間は、方法1の場合は貧溶媒を投入後以降の経過時間で、方法2の場合は無機塩を投入後以降の経過時間である。
【0034】
方法1で用いられる可溶溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましい。また、これらの混合溶媒を使用してもよい。 可溶溶媒の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜10mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸を溶解するのに必要十分量あればよい。
【0035】
方法1で用いられる貧溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、1−ヘキセン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒等の使用が好ましい。また、これらの混合溶媒を使用してもよい。
【0036】
貧溶媒の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜500mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜200mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸が析出するのに必要十分量あればよい。
【0037】
ここで光学活性アミドカルボン酸を溶解させる可溶溶媒、および沈殿させる貧溶媒は、精製する光学活性アミドカルボン酸の種類によって異なり、上記に列挙した可溶溶媒および貧溶媒の中から、それぞれの光学活性アミドカルボン酸に適した可溶溶媒と貧溶媒を選択すればよい。
【0038】
可溶溶媒と貧溶媒の組み合わせ(可溶溶媒/貧溶媒)の例としては、例えば、メチルアルコール/n−ヘキサン、メチルアルコール+酢酸エチル/n−ヘキサン、メチルアルコール/i−プロピルアルコール、メチルアルコール/n−ブチルアルコール、メチルアルコール/トルエン、i−プロピルアルコール/n−ヘキサン等を挙げることができる。
【0039】
一方、方法2における水の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜10mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸を溶解するのに必要十分量あればよい。
【0040】
方法2で再沈殿に用いられる無機塩としては、水に対する溶解度が光学活性アミドカルボン酸よりも高い硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩等が好ましいが、この中でも、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩酸塩が実用的で好ましい。
【0041】
無機塩の使用量は、光学活性アミドカルボン酸が析出するのに必要十分量あればよいが、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜100gが好ましく、さらに0.5〜50gが実用的で好ましい。また、水溶液に対する無機塩の飽和溶解度より若干少ない程度が、析出した光学活性アミドカルボン酸中に無機塩分の混入が少なくなり、収率の面からも好ましい。
【0042】
本発明の精製方法を用いると、精製前の光学活性アミドカルボン酸より光学純度をさらに向上させると共に、化学純度も向上させることができる。
【0043】
本発明の精製方法は、どのような方法によって得られた光学活性アミドカルボン酸に対しても適用可能である。例えば前述の<光学活性アミドカルボン酸の製造方法>によって得られた光学活性アミドカルボン酸の精製に適用することにより、光学純度が高くしかも化学純度も高い光学活性アミドカルボン酸を容易に得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の化合物の構造決定は核磁気共鳴(NMR)で、反応率、化学純度および光学純度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析を行った。
【0045】
[HPLC測定条件](反応率および化学純度測定用)
HPLCカラム:TSK−GEL ODS−120A(東ソー(株)製)
検出:UV220nm
移動層:水:メチルアルコール=8:2
カラム温度:室温
流速:0.7ml/分
[HPLC測定条件](光学純度測定用)
HPLCカラム:CHIRALPAK AS(ダイセル化学工業(株)製)
検出:UV220nm
移動層:n−ヘキサン:i−プロピルアルコール=1:1
カラム温度:室温
流速:0.5ml/分
[実施例1] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の製造
この実施例では、次の反応経路により標記化合物を合成した。
【0046】
【化11】
即ち、攪拌機、フィードポンプ、温度計を備えたグラスライニングされた反応釜に、大気圧下、25wt%−アンモニア水を37.3kg(原料に対して3倍モル仕込み)、攪拌下、内温を8〜10℃に保つように2.25時間掛けて原料の光学活性メチルコハク酸−4−メチルエステル(化学純度92.3%、光学純度95%ee)を25kg投入し、続いて徐々に室温に戻してから70時間静置しアミド化反応を行った。この時反応率は、HPLC分析により97%以上となった。
【0047】
次に、この反応液を再び冷却し、内温2〜10℃に保ちながら50wt%の硫酸水溶液を4.75時間かけて加えてpHを約2に調整して標記化合物を析出させた後、これを濾別して目的物を得た。得られた標記化合物の反応結果、分析結果は以下の通りである。
【0048】
標記化合物取得量:21.9kg(光学純度99.33%ee、化学純度76.4wt%(位置異性体0.15%)、水分12.6wt%、無機塩分11.0wt%) 標記化合物の1H−NMR(DMSO−d6)δppm:1.08(3H,d,J=7.02Hz), 2.12(1H,dd,J=15.12, 6.75Hz), 2.44(1H,dd,J=15.12, 7.02Hz),2.70(1H,td,J=7.02, 7.02, 6.75Hz), 6.74(1H,br−s), 7.29(1H,br−s)
[実施例2〜6] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の精製(方法1)
大気圧下、光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸(光学純度99.33%ee、化学純度79.8wt%(位置異性体0.15%)、水分8.5wt%、無機塩分11.7wt%)10gを、表1に示す可溶溶媒(実施例5と6は混合溶媒)中に室温で溶解し、溶け残りを濾過した後その濾液を冷却し、10℃で表1に示す貧溶媒を滴下した後、生成した沈殿を濾別して精製された光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸を得た。いずれも化学純度97%以上で、かつ、光学純度の高い標記化合物の結晶を得た。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
[実施例7] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の精製(方法2)
大気圧下、実施例1で得られた光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸1000g(光学純度99.33%ee、化学純度76.4wt%(位置異性体0.15%)、水分12.6wt%、無機塩分11.0wt%)10gを水2.93kgに30〜32℃で溶解し、濾過後、この濾液に、攪拌下30℃で10分掛けて工業用硫酸アンモニウム1420gを投入し、1時間保持後、さらに20℃で1時間保持した後、沈殿物を濾別して光学純度の高い標記化合物の結晶を得た。
【0050】
標記化合物取得量:694g(光学純度99.95%ee、化学純度80.4wt%(位置異性体0.14%)、水分14.0wt%、無機塩分5.6wt%)。収率:73.0%。)
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、光学活性アミドカルボン酸を原料よりも光学純度の高い結晶で簡便に製造することができる。
【0052】
また本発明によれば、位置異性体の生成を伴うことなく、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬農薬中間体等として有用な光学活性置アミドカルボン酸を光学純度よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より光学活性アミドカルボン酸類の製造方法として、以下の2つの方法が知られている。
(1)下式で示す不斉還元によって(S)−アミドカルボン酸を製造する方法(Chem. Pharm. Bull., 40(1), 224−6(1992))。
【0003】
【化4】
(2)下式で示す酵素を用いてメチルコハク酸ジメチルの4−エステル部分を位置選択的にかつ立体選択的に(R)体のみをモノアミド化して、(R)−アミドカルボン酸メチルエステルを製造する方法(Tetrahedron, 51(5), 1495−502(1995))。
【0004】
【化5】
しかしながら、上記(1)の方法では、高価な不斉触媒を用いなければならず、また特殊な不斉還元用の設備が必要である。
【0005】
また、上記(2)の方法は、光学活性アミドカルボン酸エステルが得られ、直接に光学活性アミドカルボン酸を得る方法ではない。さらに、その際得られた光学活性アミドカルボン酸エステルの光学純度をそれ以上向上させる方法がないという問題もある。
【0006】
一方、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度を上げるための精製方法としては、熱時下にて再結晶を行うことが一般的である。しかし、本発明が目的とするところの下記一般式(I)で表される主炭素鎖の炭素数が4のアミドカルボン酸の場合には、40℃を超える熱をかけることによってアミド基とカルボキシル基の位置が反対の一般式(III)で表される位置異性体が生成してくるという問題がある。
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、光学活性アミドカルボン酸を原料よりも光学純度の高い結晶で簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、位置異性体の生成を伴うことなく、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることのできる精製方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(II)で表される光学活性2−置換コハク酸−4−エステルに一般式NHR2R3(但し、R2、R3は独立に水素原子もしくは炭素数1〜2のアルキル基を示すか、あるいはR2とR3がいっしょになってそれらが結合する窒素原子と共に、場合によってはさらに酸素原子または窒素原子を含む炭素数3〜4の5員または6員の複素単環を形成してもよい。)で表されるアミン類を反応させてアミド化した後、酸析することを特徴とする一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸の製造方法に関する。
【0012】
【化8】
但し、式(I)中、*は不斉炭素を示し、R1は炭素数1〜10で、それぞれフェニル基またはフッ素原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基を示し、R2およびR3は前記と同義である。
【0013】
【化9】
但し、式(II)中、*は不斉炭素を示し、R1は前記と同義であり、R4は炭素数1〜10で、それぞれフェニル基またはフッ素原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基を示す。
【0014】
この方法によれば、高価な不斉触媒を用いたり、特殊な不斉還元用の設備も必要とせず、光学活性アミドカルボン酸を直接的にしかも原料より高い光学純度で得ることができる。
【0015】
また本発明は、前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸を含む溶液から40℃以下の温度で再沈殿させることを特徴とする精製方法に関する。この方法では、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<光学活性アミドカルボン酸の製造方法>
本発明の光学活性アミドカルボン酸の製造方法は、1)アミド化反応(光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩の形成)、2)酸析の二段階の工程を経ることによって行われる。
【0017】
まず、第1段階のアミド化反応の工程は、次の反応式で示すように、光学活性2−置換コハク酸−4−エステルにNHR2R3を反応させて光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩を形成する反応である。
【0018】
【化10】
ここで原料となる一般式(II)で表される光学活性2−置換コハク酸−4−エステルは、例えば特開平8−285号公報や特開平8−310994号公報に記載されているような、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルにエステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物の培養物、菌体または菌体処理物を作用させる方法、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルをキラルなアミンとの塩を形成させジアステレオマーとして再結晶させる優先晶析法、ラセミ体2−置換コハク酸−4−ジエステルを光学分割カラムを用いて光学分割する方法等により得ることができる。
【0019】
ここで、R1としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;これらアルキル基中の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素置換アルキル基;ベンジル等のフェニル置換アルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖状または分岐状のアルコキシ基;これらアルコキシ基中の1個以上の水素原子がフッ素原子またはフェニルで置換されたアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ等の直鎖状または分岐状のアルキルチオ基;これらアルキルチオ基中の1個以上の水素原子がフッ素原子またはフェニルで置換されたアルキルチオ基を挙げることができる。
【0020】
この中でも、炭素数1〜8のものが好ましく、特にメチル、エチル、n−ブチル、ベンジルが好ましい。
【0021】
また、R4としても、上記R1と同じ基を挙げることができ、その中でも、炭素数1〜8のものが好ましく、特にメチル、エチル、n−ブチル、ベンジルが好ましい。
【0022】
また、一般式NHR2R3で表されるアミン類としては、例えば、アンモニア、メチルアミンおよびエチルアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン、モルホリン、ピペラジン等の環状アミン等を挙げることができる。この中でもアンモニアおよび1級アミンが好ましい。
【0023】
このアミド化反応に使用するアミン類の量は、1当量はアミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩の形成に使われるため、光学活性2−置換コハク酸−4−エステル1モルに対して、2〜10倍モルが好ましいが、反応速度や反応率および釜効率等の面から2〜4倍モルが実用的である。また、ガス状のアミン類はガスで直接反応系内に吹き込んでも、溶媒に吸収させたものを使用してもどちらでもよい。
【0024】
このアミド化反応は一般に溶媒中で行い、その際に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、水、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。この中でも水、およびアルコール系溶媒が好ましく、特に水およびメチルアルコールが好ましい。また、上述した溶媒を2種混合して用いてもよく、その場合、水またはアルコール系溶媒(好ましくはメチルアルコール)を50%以上、特に70%以上含むことが好ましい。
【0025】
このアミド化反応において、溶媒の使用量は、光学活性2−置換コハク酸−4−エステル1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、反応速度や反応率および釜効率等の面から0.5〜3mlが実用的である。
【0026】
このアミド化反応の反応温度は、例えば−20〜100℃の範囲であればよいが、好ましくは−10〜50℃である。また、反応圧力は、例えば絶対圧で50kPa〜5MPaであり、好ましくは50kPa〜1MPaで、さらに好ましくは80kPa〜120kPaである。さらにこのときの反応時間は、通常0.1〜100時間で、好ましくは1〜80時間である。ここでの反応時間はアミン投入後の経過時間である。
【0027】
このアミド化反応の反応率は、原料の光学活性2−置換コハク酸−4−エステルと生成物の光学活性アミドカルボン酸が共にUV吸収を有するため、高速液体クロマトグラフィー等を利用して知ることができる。
【0028】
このアミド化反応は、生産性や酸析時の析出率の面から、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーの面積百分率から得られるの反応率が、例えば90%以上となるように温度、時間等の条件を設定することが好ましい。
【0029】
次の第2段階目の酸析の工程は、第1段階のアミド化反応で得られた光学活性アミドカルボン酸アンモニウム塩またはアミン塩に酸を添加して遊離の光学活性アミドカルボン酸を得る工程である。この際、光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩を単離してから酸析することも可能であるが、一般には、上記のアミド化反応後の反応液に、酸またはその水溶液を添加すればよい。
【0030】
ここで使用する酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等が挙げられるが、水溶液として用いる場合に濃度調整が容易な、かつ安価で汎用的な硫酸または塩酸を使用することが好ましい。酸の使用量は通常、使用したアミン類に対して0.5〜2当量が好ましく、一般にカルボン酸のpKaが約3であることを考慮に入れるとpHを約2に調整するだけの量で十分である。酸の使用量が0.5当量未満であると光学活性アミドカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩が中和されずに残ったり、2当量を超えるとアミド基が酸性加水分解されて収率が低下することがある。このような酸処理は通常−50〜120℃で行われるが、好ましくは−10〜40℃である。
【0031】
酸処理によって析出した結晶は、光学活性アミドカルボン酸が主であるが、アミド化に使用したアンモニアまたはアミンの酸塩および水分が少量含まれることがある。この製造方法を、得られる目的の光学活性アミドカルボン酸の光学純度を原料よりも向上させることができる。
【0032】
<光学活性アミドカルボン酸の精製方法>
本発明の光学活性アミドカルボン酸の精製方法の好ましい具体的方法としては、精製を行う光学活性アミドカルボン酸の可溶溶媒の溶液中に40℃以下の温度で貧溶媒を投入して沈殿を析出させる方法(方法1)、あるいは精製を行う光学活性アミドカルボン酸の水溶液中に、40℃以下の温度で、水に対して光学活性アミドカルボン酸よりも溶解度の高い無機塩を投入して沈殿を析出させる方法(方法2)を挙げることができる。
【0033】
方法1および方法2のいずれの場合においても、再沈殿は40℃以下であって溶液が凝固しない温度以上で行えばよいが、位置異性体の生成を極力低減するためには35℃以下が好ましく、また一般には−20℃以上が好ましい。また、再沈殿を行う際の圧力は絶対圧で50kPa〜5MPaであり、好ましくは50kPa〜1MPaで、さらに好ましくは80kPa〜120kPaである。さらに再沈殿の時間は、特に制限はないが通常0.1〜24時間で、好ましくは0.1〜5時間である。ここでの再沈殿の時間は、方法1の場合は貧溶媒を投入後以降の経過時間で、方法2の場合は無機塩を投入後以降の経過時間である。
【0034】
方法1で用いられる可溶溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましい。また、これらの混合溶媒を使用してもよい。 可溶溶媒の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜10mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸を溶解するのに必要十分量あればよい。
【0035】
方法1で用いられる貧溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、1−ヘキセン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒等の使用が好ましい。また、これらの混合溶媒を使用してもよい。
【0036】
貧溶媒の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜500mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜200mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸が析出するのに必要十分量あればよい。
【0037】
ここで光学活性アミドカルボン酸を溶解させる可溶溶媒、および沈殿させる貧溶媒は、精製する光学活性アミドカルボン酸の種類によって異なり、上記に列挙した可溶溶媒および貧溶媒の中から、それぞれの光学活性アミドカルボン酸に適した可溶溶媒と貧溶媒を選択すればよい。
【0038】
可溶溶媒と貧溶媒の組み合わせ(可溶溶媒/貧溶媒)の例としては、例えば、メチルアルコール/n−ヘキサン、メチルアルコール+酢酸エチル/n−ヘキサン、メチルアルコール/i−プロピルアルコール、メチルアルコール/n−ブチルアルコール、メチルアルコール/トルエン、i−プロピルアルコール/n−ヘキサン等を挙げることができる。
【0039】
一方、方法2における水の使用量は、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜50mlが好ましいが、収率および釜効率等の面から0.5〜10mlが実用的で、光学活性アミドカルボン酸を溶解するのに必要十分量あればよい。
【0040】
方法2で再沈殿に用いられる無機塩としては、水に対する溶解度が光学活性アミドカルボン酸よりも高い硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩等が好ましいが、この中でも、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩酸塩が実用的で好ましい。
【0041】
無機塩の使用量は、光学活性アミドカルボン酸が析出するのに必要十分量あればよいが、光学活性アミドカルボン酸1gに対して、0.1〜100gが好ましく、さらに0.5〜50gが実用的で好ましい。また、水溶液に対する無機塩の飽和溶解度より若干少ない程度が、析出した光学活性アミドカルボン酸中に無機塩分の混入が少なくなり、収率の面からも好ましい。
【0042】
本発明の精製方法を用いると、精製前の光学活性アミドカルボン酸より光学純度をさらに向上させると共に、化学純度も向上させることができる。
【0043】
本発明の精製方法は、どのような方法によって得られた光学活性アミドカルボン酸に対しても適用可能である。例えば前述の<光学活性アミドカルボン酸の製造方法>によって得られた光学活性アミドカルボン酸の精製に適用することにより、光学純度が高くしかも化学純度も高い光学活性アミドカルボン酸を容易に得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の化合物の構造決定は核磁気共鳴(NMR)で、反応率、化学純度および光学純度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析を行った。
【0045】
[HPLC測定条件](反応率および化学純度測定用)
HPLCカラム:TSK−GEL ODS−120A(東ソー(株)製)
検出:UV220nm
移動層:水:メチルアルコール=8:2
カラム温度:室温
流速:0.7ml/分
[HPLC測定条件](光学純度測定用)
HPLCカラム:CHIRALPAK AS(ダイセル化学工業(株)製)
検出:UV220nm
移動層:n−ヘキサン:i−プロピルアルコール=1:1
カラム温度:室温
流速:0.5ml/分
[実施例1] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の製造
この実施例では、次の反応経路により標記化合物を合成した。
【0046】
【化11】
即ち、攪拌機、フィードポンプ、温度計を備えたグラスライニングされた反応釜に、大気圧下、25wt%−アンモニア水を37.3kg(原料に対して3倍モル仕込み)、攪拌下、内温を8〜10℃に保つように2.25時間掛けて原料の光学活性メチルコハク酸−4−メチルエステル(化学純度92.3%、光学純度95%ee)を25kg投入し、続いて徐々に室温に戻してから70時間静置しアミド化反応を行った。この時反応率は、HPLC分析により97%以上となった。
【0047】
次に、この反応液を再び冷却し、内温2〜10℃に保ちながら50wt%の硫酸水溶液を4.75時間かけて加えてpHを約2に調整して標記化合物を析出させた後、これを濾別して目的物を得た。得られた標記化合物の反応結果、分析結果は以下の通りである。
【0048】
標記化合物取得量:21.9kg(光学純度99.33%ee、化学純度76.4wt%(位置異性体0.15%)、水分12.6wt%、無機塩分11.0wt%) 標記化合物の1H−NMR(DMSO−d6)δppm:1.08(3H,d,J=7.02Hz), 2.12(1H,dd,J=15.12, 6.75Hz), 2.44(1H,dd,J=15.12, 7.02Hz),2.70(1H,td,J=7.02, 7.02, 6.75Hz), 6.74(1H,br−s), 7.29(1H,br−s)
[実施例2〜6] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の精製(方法1)
大気圧下、光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸(光学純度99.33%ee、化学純度79.8wt%(位置異性体0.15%)、水分8.5wt%、無機塩分11.7wt%)10gを、表1に示す可溶溶媒(実施例5と6は混合溶媒)中に室温で溶解し、溶け残りを濾過した後その濾液を冷却し、10℃で表1に示す貧溶媒を滴下した後、生成した沈殿を濾別して精製された光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸を得た。いずれも化学純度97%以上で、かつ、光学純度の高い標記化合物の結晶を得た。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
[実施例7] 光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸の精製(方法2)
大気圧下、実施例1で得られた光学活性4−アミノ−2−メチル−4−オキソ酪酸1000g(光学純度99.33%ee、化学純度76.4wt%(位置異性体0.15%)、水分12.6wt%、無機塩分11.0wt%)10gを水2.93kgに30〜32℃で溶解し、濾過後、この濾液に、攪拌下30℃で10分掛けて工業用硫酸アンモニウム1420gを投入し、1時間保持後、さらに20℃で1時間保持した後、沈殿物を濾別して光学純度の高い標記化合物の結晶を得た。
【0050】
標記化合物取得量:694g(光学純度99.95%ee、化学純度80.4wt%(位置異性体0.14%)、水分14.0wt%、無機塩分5.6wt%)。収率:73.0%。)
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、光学活性アミドカルボン酸を原料よりも光学純度の高い結晶で簡便に製造することができる。
【0052】
また本発明によれば、位置異性体の生成を伴うことなく、光学活性アミドカルボン酸の光学純度および化学純度をさらに向上させることができる。
Claims (5)
- 一般式(II)で表される光学活性2−置換コハク酸−4−エステルに一般式NHR2R3(但し、R2、R3は独立に水素原子もしくは炭素数1〜2のアルキル基を示すか、あるいはR2とR3がいっしょになってそれらが結合する窒素原子と共に、場合によってはさらに酸素原子または窒素原子を含む炭素数3〜4の5員または6員の複素単環を形成してもよい。)で表されるアミン類を反応させてアミド化した後、酸析することを特徴とする一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸の製造方法。
- 前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸を含む可溶溶媒の均一溶液中に貧溶媒を投入することを特徴とする請求項2記載の精製方法。
- 前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸を含む均一な水溶液中に無機塩を投入することを特徴とする請求項2記載の精製方法。
- 請求項1の方法により前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸を製造した後、請求項2〜4のいずれかの精製方法により精製することを特徴とする前記一般式(I)で表される光学活性アミドカルボン酸の製造方法。
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