JP2002316943A - 抗ニキビ組成物及びそれを含有するニキビ用化粧料 - Google Patents
抗ニキビ組成物及びそれを含有するニキビ用化粧料Info
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Abstract
キビを予防すると共にニキビの治療効果を有する抗ニキ
ビ組成物及びニキビ用化粧料を提供する。 【解決手段】 Propionibacterium属の菌から抽出され
た分子量1kDa〜40kDaの蛋白質を抗原として免
疫した鶏の卵から得られた抗体を有効成分として含有さ
せる。
Description
炎症を予防・防止する抗ニキビ組成物及びニキビ用化粧
料に関する。
の人が罹患する最も一般的な炎症性の皮膚疾患であり、
主として思春期に発現し、20代後半には減少する。ニ
キビは、種々の要因が複雑に絡み合って引き起こされる
と言われており、第1段階として皮脂の分泌過剰と毛穴
の閉塞による面皰の形成、第2段階として面皰の形成に
よる皮脂の貯留に伴いP.acnes,P.granul
osumなどの皮膚常在菌が増殖し、それらの菌体が産
生する物質により毛包上皮が破壊され、炎症が引き起こ
されると考えられている。
例えば以下のようなものが提案されている。特開平2
−121908号公報には、P.acnesが菌体外に
産生するリパーゼを免疫した鶏が産生する卵より調製さ
れた卵黄抗体を含有することを特徴とするニキビ用化粧
料が開示されている。
に特異的に結合する鶏卵抗体を含有する抗ニキビ菌皮膚
外用剤が開示されている。
sのリパーゼによって産生される遊離脂肪酸はC16以
上の長鎖脂肪酸(オレイン酸、リノレン酸が最も多い)
が主であり、毛包上皮に刺激を与えて炎症を引き起こす
と考えられているC8〜C14の遊離脂肪酸(Kell
um,R.E. et al.:Arch.Derm.,54:
48,1970)とは異なっている。すなわち、遊離脂
肪酸生成を阻止する抗リパーゼ剤の外用は臨床的には無
効であり(Weeks,J.g.etal.:J.Inve
st.Derm.,69:236,1977)、上記のニ
キビ用化粧料によるニキビの予防及び治療には充分な効
果は期待できない。
生される遊離脂肪酸は皮表を酸性に保ちStaphyl
ococcus aureus,β-hemolytic
Streptococcus等の病原性の強い皮膚常在
菌の発育を抑制して皮表を浄化する働きがあり、P.a
cnes,P.granulosumなどの皮膚常在菌の
生育を強く抑制することは皮膚の浄化作用を阻害し、か
えって他の病原菌による疾患を招く恐れがあり望ましい
ものではない。
抗原として全菌体を用いるため、得られる抗体の抗体
価、すなわちニキビ菌の制菌効果が低く、ニキビの予防
及び治療には事実上効果は期待できない。
細菌叢に影響を与えることなくニキビを予防すると共に
ニキビの治療効果を有する抗ニキビ組成物及びニキビ用
化粧料を提供することにある。
を達成するため鋭意検討を行った結果、P.acnes
から抽出した1kDa〜40kDaの蛋白質を抗原に用
いて鶏に免疫し、その鶏が産生する卵より調製した抗体
が、ニキビ菌に由来する炎症に対して高い抗炎症作用を
有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
ropionibacterium属の菌から抽出され
た分子量1kDa〜40kDaの蛋白質を抗原として鶏
に免疫した鶏の卵から得られた抗体を有効成分として含
有することを特徴とする。
用し、皮膚の常在細菌叢に影響を与えることなくニキビ
を予防すると共にニキビの治療効果を有する抗ニキビ組
成物を提供できる。
ニキビ組成物を有効成分として含有する。上記発明によ
れば、効果的にニキビを予防・抑制するニキビ用化粧料
を提供できる。
pionibacterium属の菌から抽出された分
子量1kDa〜40kDaの蛋白質を抗原として鶏に免
疫し、その鶏が産生する卵より調製される抗体を有効成
分として含有する。上記Propionibacter
ium属の菌としては、例えばPropionibac
terium acnes,Propionibacte
riumgranulosum,Propioniba
cterium limphophilumなどが挙げ
られる。
下のような方法で調製できる。
し、ホルマリンで不活化処理を行った後、適当な緩衝
液、例えばグリシン−HClバッファー(pH2.
0)、KCl−HClバッファー(pH2.0)に懸
濁、撹拌する。この懸濁液を遠心して上清を回収し、ゲ
ルろ過により分子量1kDa〜40kDaの画分を分取
後、必要に応じて凍結乾燥を行う。この分子量1kDa
〜40kDaの画分には、ニキビ発症時の炎症に関与す
ると認められている菌体由来のプロテアーゼ及びヒアル
ロニダーゼ等が含まれると考えられる。
しては、種々の方法が知られており、いずれの方法を採
用してもよく、例えばProduction and
Characterization of Anti-
human InsulinAntibodies i
n the Hen’s Egg(Agric.Bio
l.Chem.,55(8).2141-2143.1
991)に記載された方法等を採用できる。
抗体は、上記ニキビ菌抽出蛋白質を抗原として鶏に過免
疫を行い、その鶏が産生する卵(以下、免疫卵という)
から調製される。なお、免疫卵から得られる上記抗原に
対する抗体とは、卵黄及び/又は卵白中に含まれる抗体
であり、好ましくは卵黄中に含まれる抗体である。
により免疫卵から調製できる。免疫卵から卵黄を分離
し、得られた卵黄を粉末化する。この卵黄粉末をエタノ
ール等の溶媒を用いて脱脂して脱脂卵黄粉末を得る。得
られた脱脂卵黄粉末1質量部に対して3〜6質量部の緩
衝液(例えばリン酸バッファー、トリス−HClバッフ
ァー等を加えて撹拌・抽出し、上清を回収する。この上
清を適宜脱塩、濃縮、粉末化することにより調製でき
る。
て上記抗体を0.1mg〜1g含むことが好ましく、5
mg〜500mg含むことがより好ましい。上記抗体の
含有量が0.1mg未満であると充分なニキビの予防及
び治療効果が得られず、1000mg以上では、製品の
物性に影響を与え、問題を生じる可能性がある。
末をそのまま本発明の抗ニキビ組成物として用いること
もできる。
本的成分の他に、緑茶ポリフェノール、ぶどうポリフェ
ノール、りんごポリフェノールなどの天然抗菌剤、ヒア
ルロン酸などの保湿剤、パラベンなどの防腐剤等を適宜
含むことができる。
成物を有効成分として含有する。ニキビ用化粧料におけ
る上記抗ニキビ組成物の添加量は抗体換算で0.001
質量%以上が好ましい。上記抗ニキビ組成物の添加量が
抗体換算で0.001質量%未満であると、充分なニキ
ビの予防及び治療効果が期待できない。
えばクリーム、軟膏、ローション、乳液等が挙げられ
る。
詳細に説明する。 実施例1 1)P.acnesの培養 ブレインハートインフュージョン培地を用いてP.ac
nes(ATCC11827)を嫌気的に37℃で3〜
5日間培養し、この培養液を遠心分離して菌体を回収
し、菌体をホルマリンで不活化した後、凍結乾燥して菌
体粉末を得た。
にイオン交換水に分散し、超音波処理した。この溶液を
抗原液Aとした。
21908号公報に記載された方法にしたがってリパー
ゼ活性を示す画分を分取後、凍結乾燥して粉末化した。
この粉末を蛋白質として2mg/mlになるようにイオ
ン交換水に溶解して、抗原液Bとした。
衝液(pH2.0)50mlに添加し、室温で3時間撹
拌した後、遠心分離して上清を回収した。この上清をゲ
ルクロマトグラフィー(YMC−Pack Diol−
200,500×8mm I.D.,YMC)に供し
た。そして、分子量40kDa以下の蛋白質画分を分取
後、これを凍結乾燥して粉末化した。この粉末を蛋白質
として2mg/mlになるようにイオン交換水に溶解し
て、抗原液Cとした。
羽)に分け、上記3種類の抗原液をフロイントコンプリ
ートアジュバントと混合し、筋肉注射(抗原液1ml/
羽)による免疫操作を行った。初回免疫後1週ごとに集
められた鶏卵から卵黄を分離し、これを抗体価測定用サ
ンプルとした。抗原液Aを免疫した鶏から得られた卵を
免疫卵Aとし、同様に免疫卵B、免疫卵Cとした。
それぞれの免疫抗原を固相化したプレートを用いた酵素
免疫測定法にて測定した。初回免疫から2週間目に卵黄
中抗体価が上昇し、抗体価が低下した時点(11週目)
を確認後、初回免疫と同様に追加免疫を行った。その
後、週毎の抗体価を測定し、14週目でピークに達する
ことを確認した。その結果を図1に示す。抗体価上昇を
確認した後、鶏卵を採取し、これを免疫卵とした。
して各抗原に対する抗体を含んだ卵黄粉末をそれぞれ得
た。そして卵黄粉末1kgにエタノール5lを加えて混
合し、脱脂操作を繰り返し行い脱脂卵黄粉末を得た。
生理食塩水(PBS)1.5lを加え、撹拌して卵黄水溶
性蛋白質を抽出した。この抽出液を凍結乾燥して粉末化
し、抗原液Aの免疫卵から得られた粉末を抗体粉末A、
抗原液Bの免疫卵から得られた粉末を抗体粉末B、抗原
液Cの免疫卵から得られた粉末を抗体粉末Cとした。更
に市販の卵を用いて上記と同様の脱脂、抽出、乾燥操作
を行い、コントロール抗体粉末を調製した。
添加した乳液を調製した。抗体粉末A添加乳液を乳液
A、抗体粉末B添加乳液を乳液B、抗体粉末C添加乳液
を乳液C、コントロール抗体粉末添加乳液をコントロー
ル乳液とする。
プに分け、実施例2で得られた乳液A、乳液B、乳液
C、コントロール乳液を用いて皮膚塗布試験を行った。
乳液の塗布は、1日に朝、夕2回ずつ2ヶ月間連続で行
い、期間中のかゆみ、痛み、発赤、外観につい
て、以下の基準に基づいて判定した。その結果を表2〜
5に示す。なお、表中の単位は全て(人)とする。 判定基準 完治した:5点、著しい症状の改善が認められる:4
点、症状が改善した:3点、わずかに症状が改善した:
2点、変化なし:1点、悪化したもしくは新たな発症が
ある:0点
を使用したグループでは明確なニキビ治癒効果は認めら
れなかった。乳液B、乳液Cを使用したグループでは、
ニキビ治癒効果が高いことが確認された。特に、乳液C
のグループでは、かゆみ、痛み、発赤の炎症によ
る症状を改善する効果が極めて高いことが分かる。
含量について測定した。皮膚の水分含量の測定はニキビ
発症部位以外で行い、試験サンプル(乳液A、乳液B、
乳液C、コントロール乳液)塗布開始前(0週)、開始
後2週間、4週間、6週間、8週間の計5回行った。水
分含量は水分量により、誘電率が変化することを利用
し、それに伴って変化する静電容量から水分含量を測定
した。(株式会社Integral Corporat
ion社製 CORENOMETER CM825)そ
の結果を図2に示す。
プでは、6週目頃より皮膚の水分含量の低下が認められ
たが、乳液C、コントロール乳液を使用したグループで
は水分含量に大きな変化は認められず、健常皮膚と同様
に18%〜21%であった。なお、乳液A、乳液Bの使
用により皮膚の水分含量が低下した理由は、P.acn
esにより産生される遊離脂肪酸は皮膚表面を油性に保
ち、水分保持に関わるといわれていることから、リパー
ゼの活性阻害により遊離脂肪酸の産生が抑えられること
で皮膚の水分保持能が低下したためと考えられる。
の皮膚表面のpH変化について測定を行った。pHの測
定は、皮膚専用pHメーター(大王電機株式会社製、商
品名「C−pH−143」)を用いて、ニキビが発症し
ていない健常部位で行い、試験サンプル(乳液A、乳液
B、乳液C、コントロール乳液)塗布開始前(0週)、
開始後2週間、4週間、6週間、8週間の計5回行っ
た。その結果を図3に示す。
いpHが上昇する傾向があり、乳液A、乳液C、コント
ロール乳液は試験期間中を通じて弱酸性を示すことが分
かる。通常の皮膚表面のpHはP.acnesなどの皮
膚常在菌が産生するリパーゼにより産生される遊離脂肪
酸によって弱酸性を呈し、他の病原性の強い細菌の増殖
を抑制しているといわれている。しかし、P.acne
sが産生するリパーゼを強く阻害することにより、遊離
脂肪酸の産生も抑制され、皮膚表面のpHをアルカリ側
に変化させてしまうことが分かる。
への影響について検討した。ブレインハートインフュー
ジョン培地に、予め前培養したP.acnes(ATC
C11827)、Staphylococcusaur
eus(IFO12732)の2菌株を、それぞれ10
8個になるように接種し、試験培養液を調製した。各試
験培養液に実施例1で得られた抗体粉末(抗体粉末A、
抗体粉末B、抗体粉末C、コントロール抗体粉末)をそ
れぞれ0.1質量%になるように添加して、37℃で2
日間嫌気培養後、培地のpH及びP.acnes、St.
aureusの生菌数を測定した。結果を表6、7に示
す。
粉末を添加した場合、培地のpHが4.6〜4.7であ
った。また、抗体粉末Aを添加した場合、培地pHは
5.4、抗体粉末Bを添加した場合、pH6.2となっ
た。
することにより、P.acnesの増殖が強く抑制さ
れ、病原性の強いSt.aureusの生菌数が反対に
増える傾向が認められた。一方、抗体粉末Cを添加する
ことにより、P.acnesの生菌数は多少減少するも
のの、St.aureusの生菌数が大きく減少してい
ることが分かる。表6、表7の結果から、抗体粉末Cの
添加ではP.acnesにより産生される遊離脂肪酸の
作用によって培地pHが弱酸性になることで、St.a
ureusが生育しにくくなり、St.aureusの
生菌数が大きく減少したと考えられる。
は、P.acnesの増殖を強く阻害するにつれて培地
のpHが上昇し、St.aureusの生育に適した環
境となったため、St.aureusの生菌数が増えた
と考えられる。
酸により、pHが酸性に傾くという現象は通常の皮膚表
面でも認められているが、表6、表7の結果よりin
vitroの試験系においても遊離脂肪酸は、病原性の
強い細菌であるSt.aureusなどの細菌の増殖を
抑制するために必要不可欠なものであることが確認され
た。
ば、ニキビ菌に特異的で皮膚の常在細菌叢を変えること
なく高いニキビ予防、治癒効果を有する安全性の高い抗
ニキビ組成物及びニキビ用化粧料を提供することができ
る。
す図表である。
である。
である。
22)
Claims (2)
- 【請求項1】 Propionibacterium属
の菌から抽出された分子量1kDa〜40kDaの蛋白
質を抗原として免疫した鶏の卵から得られた抗体を有効
成分として含有することを特徴とする抗ニキビ組成物。 - 【請求項2】 前記抗ニキビ組成物を有効成分として含
有するニキビ用化粧料。
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JP2001117919A JP4280431B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 抗ニキビ用組成物及びそれを含有するニキビ用化粧料 |
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CN113171333A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-07-27 | 大连大学 | 含有纳米包埋卵黄抗体的多效修护面膜液及其制备方法 |
CN114558130A (zh) * | 2022-03-19 | 2022-05-31 | 广西博生生物科技有限公司 | 一种胶原蛋白与抗痤疮丙酸杆菌γ蛋白组合制剂的制备方法 |
WO2023068282A1 (ja) * | 2021-10-21 | 2023-04-27 | 美幸 徳田 | 飲食品、食品添加物、サプリメント、化粧品、抗体、医薬、およびその製造方法 |
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2001
- 2001-04-17 JP JP2001117919A patent/JP4280431B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN113171333B (zh) * | 2021-04-25 | 2024-02-13 | 大连大学 | 含有纳米包埋卵黄抗体的多效修护面膜液及其制备方法 |
WO2023068282A1 (ja) * | 2021-10-21 | 2023-04-27 | 美幸 徳田 | 飲食品、食品添加物、サプリメント、化粧品、抗体、医薬、およびその製造方法 |
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