JP2002311953A - 楽音信号処理装置 - Google Patents

楽音信号処理装置

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JP2002311953A JP2001119192A JP2001119192A JP2002311953A JP 2002311953 A JP2002311953 A JP 2002311953A JP 2001119192 A JP2001119192 A JP 2001119192A JP 2001119192 A JP2001119192 A JP 2001119192A JP 2002311953 A JP2002311953 A JP 2002311953A
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資之 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音楽的効果の付与態様を音量レベルに応じて
制御する際における不自然さをなくす。 【解決手段】 楽音信号発生回路20から出力された楽
音信号からなる左右チャンネル信号L,Rは、効果回路
30にて音楽的効果が付与されて出力される。この音楽
的効果の付与態様は、レベル検出回路51,52、最大
値抽出回路53および制御信号発生器57により、左右
チャンネル信号L,Rのうちで大きい方の音量レベルに
応じて変更制御される。また、選択回路54、ポテンシ
ョメータ55および比較器56の作用により、前記大き
い方の音量レベルが閾値未満のときには、同閾値に応じ
て前記音楽的効果の態様が制御される。これにより、左
右チャンネル信号L,Rの一方の出力が中断されても、
減衰系の楽音信号であっても、音楽的効果の態様が急激
に変化することがなくなって良好となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発生される楽音信
号の音量レベルに応じて同楽音信号に付与される音楽的
効果の態様を変更制御する楽音信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、楽音信号発生回路から発生さ
れる楽音信号の音量レベルを検出して、同検出した音量
レベルに応じて同楽音信号に付与される音楽的効果の態
様を変更制御する楽音信号処理装置は知られている。ま
た、この種の楽音信号処理装置においては、楽音信号を
左右チャンネルに振分けて楽音信号発生回路から出力す
るようにした場合には、左右チャンネルの各楽音信号の
音量レベルの平均値に応じて、各楽音信号に付与される
音楽的効果の態様を変更制御するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置のように、左右チャンネルの各楽音信号の音量レベル
の平均値に応じて、各楽音信号に付与される音楽的効果
の態様を変更制御すると、次のような問題がある。すな
わち、ユーザが一方のチャンネルの楽音信号の発生を中
断したとき、前記音量レベルの平均値が急激に半分に低
下し、楽音信号に付与される音楽的効果の態様が急激に
変化して音楽的に不自然になるという問題がある。ま
た、一方のチャンネルで持続系の楽音信号を発生すると
ともに、他方のチャンネルで減衰系の楽音信号を発生す
る場合において、減衰系の楽音信号の音量レベルの変化
が激しいので、楽音信号に付与される音楽的効果の態様
が急激に変化し過ぎて音楽的に不自然になるという問題
もある。
【0004】また、楽音信号の音量レベルに応じて比例
的に同楽音信号に付与される音楽的効果の態様を変更制
御すると、楽音信号の音量レベルが低くなったとき、安
定した音楽的効果の付与がなされないという問題もあ
る。特に、減衰系の楽音信号においては、音量レベルの
変動が大きく、音楽的効果の態様の変化が激しくて音楽
的に不自然であるという問題もある。
【0005】
【発明の概要】本発明は、上記問題に対処するためにな
されたもので、その目的は、発生楽音信号の音量レベル
に応じて同楽音信号に付与される音楽的効果の態様を変
更制御する楽音信号処理装置において、良好な音楽的効
果の変化を実現するようにした楽音信号処理装置を提供
することにある。
【0006】前記目的を達成するために、本発明の構成
上の特徴は、複数の楽音信号を形成するとともに同形成
した複数の楽音信号を複数の楽音信号系列に振分けて出
力する楽音信号発生回路と、前記出力された複数系列の
楽音信号に音楽的効果を付与して出力する効果回路とを
備えた楽音信号処理装置において、複数系列の楽音信号
の各音量レベルをそれぞれ検出する音量レベル検出手段
と、前記検出された各音量レベルのうちで最大の音量レ
ベルを抽出する最大音量レベル抽出手段と、前記抽出さ
れた最大の音量レベルに応じて変化する制御信号を効果
回路に出力して同効果回路にて楽音信号に付与される音
楽的効果の態様を変更制御する効果制御手段とを設けた
ことにある。
【0007】前記本発明の構成上の特徴においては、複
数系列の楽音信号に付与される音楽的効果は、各系列の
楽音信号の音量レベルのうちで最大の音量レベルに応じ
て変更制御されることになる。したがって、ユーザが一
部の系列の楽音信号の発生を中断しても、一部の系列の
楽音信号が減衰系の場合であっても、前記最大の音量レ
ベルの変化はそれほど大きくなることはなく、楽音信号
に付与される音楽的効果の態様が急激に変化することを
回避できるので、良好な音楽的効果の変化を実現でき
る。
【0008】また、本発明の他の構成上の特徴は、楽音
信号を形成して出力する楽音信号発生回路と、前記出力
された楽音信号に音楽的効果を付与して出力する効果回
路とを備えた楽音信号処理装置において、楽音信号の音
量レベルを検出する音量レベル検出手段と、検出音量レ
ベルと所定の閾値とを比較する比較手段と、比較手段の
比較結果に基づいて、検出音量レベルが閾値以上のとき
検出音量レベルに応じて効果回路にて楽音信号に付与さ
れる音楽的効果の態様を変更制御し、検出音量レベルが
閾値未満のとき検出音量レベルとは独立して効果回路に
て楽音信号に付与される音楽的効果の態様を所定態様に
維持制御する効果制御手段とを設けたことにある。
【0009】前記本発明の他の構成上の特徴において
は、楽音信号の音量レベルが所定の閾値よりも低くなっ
たときには、効果制御手段は、検出音量レベルとは独立
して、効果回路にて楽音信号に付与される音楽的効果の
態様を所定態様に維持制御する。したがって、楽音信号
の音量レベルが低くなっても、特に楽音信号が減衰系の
場合でも、楽音信号に付与される音楽的効果の態様を常
に安定して制御できるので、良好な音楽的効果の変化を
実現できる。
【0010】さらに、本発明の他の構成上の特徴は、前
記所定の閾値を所望に値に設定することが可能な閾値変
更手段を設けたことにある。これによれば、比較手段に
て比較される閾値を自由に変更できるので、ユーザは、
音楽的効果の態様の変更制御における一部の特性を所望
の特性に設定できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態を図
面を用いて説明すると、図1は、本発明の楽音信号処理
装置を適用した電子楽器の全体をブロック図により示し
ている。
【0012】この電子楽器は、発生楽音の音高を指定す
るための複数の鍵からなる鍵盤10を有している。鍵盤
10の各鍵の押離鍵は押鍵検出回路11によって検出さ
れるようになっており、押鍵検出回路11によって検出
された鍵の押離鍵を表す押離鍵信号は押鍵割当て回路1
2に供給されるようになっている。押鍵割り当て回路1
2は、鍵盤10におけるいずれかの鍵の押鍵に応答し
て、同押鍵された鍵に対応した楽音信号の形成を楽音信
号発生回路20に設けられた複数の楽音信号形成チャン
ネルのうちのいずれかのチャンネルに割当てる。この場
合、押鍵割り当て回路20から前記割当てられた楽音信
号形成チャンネルに対して、押鍵された鍵を表すキーコ
ードKCおよび押鍵を表すキーオン信号KONが供給さ
れる。また、押鍵割当て回路20は、鍵盤10における
いずれかの鍵の離鍵に応答して、同離鍵された鍵に対応
した楽音信号を発生中の楽音信号形成チャンネルを探し
出し、同探し出した楽音信号形成チャンネルに対して離
鍵を表すキーオフ信号KOFを供給する。
【0013】楽音信号発生回路20は、前述した複数の
楽音信号形成チャンネルを備え、同時に複数の楽音信号
を形成出力することができるようになっている。各楽音
信号形成チャンネルは、キーコードKCおよびキーオン
信号KONの入力に応答して、同キーコードKCによっ
て指定される音高の楽音信号をそれぞれ形成出力し始
め、キーオフ信号KOFの入力に応答して発生中の楽音
信号を減衰させてその発生を停止する。また、この楽音
信号発生回路20は、形成された複数の楽音信号を複数
の楽音信号系列に振分けて、効果回路30に出力する。
なお、この第1実施形態において、楽音信号形成回路2
0から出力される複数系列の楽音信号はアナログ信号で
ある。
【0014】また、本実施形態においては、楽音信号系
列の数は「2」であり、これらの楽音信号系列は左チャ
ンネル信号Lおよび右チャンネル信号Rとして出力され
る。この場合、例えば鍵盤10がメロディ用鍵盤(また
はメロディ用鍵域)と伴奏用鍵盤(または伴奏用鍵域)
で構成されていれば、メロディ用鍵盤で演奏された楽音
信号が左チャンネル信号Lとして振分けられるととも
に、伴奏用鍵盤の演奏による楽音信号が右チャンネル信
号Rとして振分けられる。また、これに代え、図示しな
いオートリズムによる演奏音、図示しない自動演奏装置
(シーケンサ)による演奏音およびユーザによる演奏音
などの演奏音の種類に応じて、楽音信号が左右チャンネ
ル信号L,Rに振分けられるようにしてもよい。さら
に、ピアノ音、バイオリン音、ギター音、打楽器音など
のように発生される楽音信号の音色の種類によって、楽
音信号が左右チャンネル信号L,Rに振分けられるよう
にしてもよい。
【0015】効果回路30は、左右チャンネル信号L,
Rに対して種々の音楽的効果を付加し、同音楽的効果の
付加された左右チャンネル信号L,Rをアンプ41,4
2を介してスピーカ43,44にそれぞれ供給する。音
楽的効果としては、音色(または音質)を変更する効
果、フェイザー効果(位相シフトした信号と元信号を混
合)、フランジャー効果(遅延信号と原音信号を混
合)、トレモロ、コーラスなどの変調効果などの種々の
効果が採用され、これらの効果は図示しない制御データ
又はユーザによる選択によって選択的に楽音信号に付与
される。
【0016】また、この効果回路30は、後述する制御
信号発生器57から出力される制御信号の大きさに応じ
て、左右チャンネル信号L,Rに対して付与される音楽
的効果の態様を変更制御して出力する。言い換えれば、
制御信号発生器57は、効果回路30に制御信号を出力
して、効果回路30にて楽音信号に付加される音楽的効
果の態様を制御信号の大きさに応じて変更制御する。例
えば、音色(または音質)を変更する効果であれば、制
御信号に応じてフィルタのカットオフ周波数、共振周波
数、共振度などが変更制御される。フェイザー効果であ
れば、位相のシフト量が変更制御される。フランジャー
効果であれば、楽音信号の遅延時間が変更制御される。
トレモロ、コーラスなどの変調効果であれば、変調の深
さ、変調の周波数が変更制御される。
【0017】また、この電子楽器は、楽音信号の音量レ
ベルに応じて効果回路30にて楽音信号に付与される音
楽的効果の態様を変更制御するために、レベル検出回路
51,52を備えている。レベル検出回路51,52
は、整流回路及び積分回路(ローパスフィルタ)で構成
され、左右チャンネル信号L,Rの振幅エンベロープを
検出して音量レベルとして最大値抽出回路53にそれぞ
れ出力する。最大値抽出回路53は、レベル検出回路5
1,52から出力される各音量レベルを表す電圧信号の
うちの大きな方の電圧信号を最大音量レベルLmaxとし
て選択回路54の第1入力に供給する。選択回路54の
第2入力には、ポテンショメータ55からの閾値レベル
Lthを表す電圧信号が入力されている。このポテンショ
メータ55の可動子は操作子55aの操作によって可動
されるもので、同操作子55aの操作位置に応じて閾値
レベルLthは連続的に変化する。
【0018】これらの最大音量レベルLmaxおよび閾値
レベルLthは、比較器56の正負の入力にもそれぞれ入
力されている。比較器56の出力は選択回路54の選択
制御入力に供給されており、比較器56は、最大音量レ
ベルLmaxが閾値レベルLth以上であるとき選択回路5
4にハイレベル信号を出力して、選択回路54に第1入
力である最大音量レベルLmaxを選択出力させる。一
方、最大音量レベルLmaxが閾値レベルLth未満である
とき、比較器56は、選択回路54にローレベル信号を
出力して、選択回路54に第2入力である閾値レベルL
thを選択出力させる。
【0019】選択回路54の出力電圧は、制御信号発生
器57に入力される。制御信号発生器57は、選択回路
54と共に効果制御手段を構成するもので、入力信号を
そのレベルに応じて変化するレベルを有する制御信号に
変換して出力するもので、所定の変換特性を有する関数
発生器などで構成されている。この変換特性は、例えば
図2の細い実線に示すように、入力信号のレベルが増加
するに従って出力信号(制御信号)のレベルが増加する
ように定められている。したがって、この場合、最大値
抽出回路53の出力信号である最大音量レベルLmaxが
閾値レベルLth以上であれば、制御信号発生器57は、
図2の太い実線のように、最大音量レベルLmaxの増加
に従って増加する制御信号を出力する。しかし、最大値
抽出回路53の出力信号である最大音量レベルLmaxが
閾値レベルLth未満であれば、制御信号発生器57は、
選択回路54および比較器56との協働により、図2の
太い破線のように、閾値レベルLthに対応した一定レベ
ルの制御信号を出力する。
【0020】次に、上記のように構成した第1実施形態
の動作を説明する。ユーザが鍵盤10の各鍵を押離鍵操
作すると、押鍵検出回路11の押離鍵検出動作および押
鍵割当て回路12の割当て動作により、楽音信号発生回
路20は、前記押離鍵操作に対応した楽音信号を形成し
て出力する。この楽音信号の発生においては、複数の楽
音信号が、左右チャンネル信号L,Rに振分けられて出
力される。例えば、前述したように、演奏された鍵盤の
種類、演奏音の種類、発生楽音信号の音色の種類などに
応じて、複数の楽音信号は左右チャンネル信号L,Rに
振分けられる。
【0021】そして、この左右チャンネル信号L,R
は、効果回路30に導かれ、同効果回路30にて、音色
(または音質)を変更する効果、フェイザー効果、フラ
ンジャー効果、トレモロ、コーラスなどの変調効果など
の種々の効果が付与される。この効果の付与された左右
チャンネル信号L,Rは、アンプ41,42を介してス
ピーカ43,44に導かれて、スピーカ43,44から
楽音として発音される。
【0022】一方、レベル検出回路51,52、最大値
抽出回路53、選択回路54、比較器56及び制御信号
発生器57は、発生される楽音信号の音量レベルに応じ
た制御信号を効果回路30に出力して、効果回路30に
て発生楽音信号に付与される音楽的効果の態様を制御す
る。
【0023】この音楽的効果の付与態様の制御において
は、レベル検出回路51,52が左右チャンネル信号
L,Rの各音量レベルをそれぞれ検出し、最大値抽出回
路53が左右チャンネル信号L,Rの各音量レベルのう
ちの大きい方の音量レベルを抽出して最大音量レベルL
maxとして出力する。そして、最大音量レベルLmaxが閾
値レベルLth以上であれば、選択回路54、比較器56
および制御信号発生器57の作用により、効果回路30
には図2の太い実線で示すような制御信号が供給され、
同効果回路30にて左右チャンネル信号L,Rに付与さ
れる音楽的効果の態様は、最大音量レベルLmaxに応じ
て変更制御される。
【0024】したがって、ユーザが左右チャンネル信号
L,Rの一方の系列の楽音信号の発生を中断しても、ま
た一方の系列の楽音信号が減衰系の場合であっても、最
大音量レベルLmaxの変化はそれほど大きくなることは
なく、楽音信号に付与される音楽的効果の態様が急激に
変化することを回避できるので、良好な音楽的効果の変
化を実現できる。
【0025】また、最大音量レベルLmaxが閾値レベル
Lth未満であれば、選択回路54、ポテンショメータ5
5および比較器56の作用により、制御信号発生器57
にはポテンショメータ55からの閾値レベルLthが常に
供給されることになる。そして、制御信号発生器57か
ら効果回路30には、図2の太い破線のように、最大音
量レベルLmaxとは無関係に、閾値レベルLthに対応し
た一定レベルの制御信号が供給される。したがって、効
果回路30にて楽音信号に付与される効果の態様は、左
右チャンネル信号L,Rの音量レベルとは無関係に、所
定態様に維持制御される。これにより、楽音信号の音量
レベルが低くなっても、特に減衰系の楽音信号の場合で
も、楽音信号に付与される音楽的効果の態様を常に安定
して制御できるので、良好な音楽的効果の変化を実現で
きる。
【0026】また、前記閾値レベルLthは、操作子55
aの操作によってユーザが任意に変更できる。したがっ
て、ユーザは、音楽的効果の態様の変更制御における一
部の特性をユーザの所望の特性にすることができる。
【0027】次に、本発明の第2実施形態に係る電子楽
器について説明する。この第2実施形態に係る電子楽器
は、図3に示すように、上記第1実施形態と同様な鍵盤
10、押鍵検出回路11および押鍵割当て回路12を備
えている。なお、この第2実施形態においては、鍵盤1
0はメロディ用鍵盤(またはメロディ用鍵域)と伴奏用
鍵盤(または伴奏用鍵域)とを備えていることを特徴の
一つとしている。そして、押鍵割当て回路12は、上記
第1実施形態と同様なキーコードKC、キーオン信号K
ONおよびキーオフ信号KOFの他に、前記キーコード
KCおよびキーオン信号KONがメロディ用鍵盤の押鍵
に関するものであるか、伴奏用鍵盤の押鍵に関するもの
であるかを表す鍵識別信号U/Lを出力する。なお、こ
れらの各種信号KC,KON,KOF,U/Lは、楽音
信号の各時分割チャンネルに対応した時分割タイミング
で楽音信号発生回路20Aに出力され、特に鍵識別信号
U/Lは前記時分割タイミングで繰り返し出力される。
【0028】楽音信号発生回路20Aは、上記第1実施
形態の楽音信号発生回路20とほぼ同一機能を有するも
のであるが、左右チャンネル信号L,Rとしてディジタ
ル形式の楽音信号が出力される点で上記第1実施形態の
ものとは異なる。この楽音信号発生回路20Aにおいて
は、時分割チャンネルごとに発生される楽音信号および
同チャンネルごとに発生される振幅エンベロープ信号を
利用するために、その内部が詳細に示されている。すな
わち、楽音信号発生回路20Aは、波形発生部21、フ
ィルタ部22、フィルタ制御信号発生部23、振幅制御
部24、振幅エンベロープ波形発生部25、左右チャン
ネル振分け部26およびアキュムレータ27,28を備
えている。
【0029】波形発生部21は、キーコードKCによっ
て表された音高に対応したレートで音源波形の波形サン
プル値を波形メモリから読出しまたは演算により順次繰
り返す出力する。フィルタ部22は、フィルタ制御信号
発生部23からのフィルタ制御信号により、波形発生部
21から出力された一連の波形サンプル値により表され
た波形信号の周波数特性を制御して出力する。フィルタ
制御信号発生部23は、キーオン信号KONおよびキー
オフ信号KOFに応答して、楽音信号の発生中に時間変
化するフィルタ制御信号を出力する。振幅制御部24
は、フィルタ部22からの波形信号に振幅エンベロープ
波形発生部25からの振幅エンベロープ波形を付与して
出力する。振幅エンベロープ波形発生部25は、キーオ
ン信号KONおよびキーオフ信号KOFに応答して、楽
音信号の発生開始から終了までの振幅エンベロープを表
す振幅エンベロープ波形信号を出力する。
【0030】これらの波形発生部21、フィルタ部2
2、フィルタ制御信号発生部23、振幅制御部24およ
び振幅エンベロープ波形発生部25は、それぞれ同期し
て時分割動作し、同時に発音可能な楽音数に等しい複数
の時分割チャンネル(楽音信号形成チャンネルに対応)
ごとに一楽音信号の一サンプル値を順次ディジタル演算
する。なお、この同時に発音可能な楽音数に等しい複数
の時分割チャンネルの演算に必要な時間を1サンプル時
間という。
【0031】左右チャンネル振分け部26は、時分割チ
ャンネルに対応した時分割タイミングごとに押鍵割当て
回路12から出力される鍵識別信号U/Lに基づいて、
振幅制御部24から前記時分割タイミングごとに出力さ
れる楽音信号波形値を左右チャンネルに振分けてアキュ
ムレータ27,28に供給する。各アキュムレータ2
7,28は、一サンプル時間ごとにその間に入力される
楽音信号波形値をそれぞれディジタル的に累算して、左
右チャンネル信号L,Rとして効果回路30Aに出力す
る。
【0032】効果回路30Aも、上記第1実施形態の効
果回路30と同様に、左右チャンネル信号L,Rに音色
(または音質)を変更する効果、フェイザー効果、フラ
ンジャー効果、トレモロ、コーラスなどの変調効果など
の種々の効果を付与するものである。しかし、この場合
には、効果回路30Aは、ディジタル処理回路で構成さ
れ、ディジタル的に音楽的効果の付与されたディジタル
形式の左右チャンネル信号L,RをD/A変換器45,
46に出力する。D/A変換器45,46は、ディジタ
ル形式の左右チャンネル信号L,Rを一サンプル時間ご
とにアナログ信号に変換して上記第1実施形態と同様な
アンプ41,42およびスピーカ43,44に出力す
る。
【0033】また、この第2実施形態においても、効果
回路30Aにて楽音信号に付与される音楽的効果の態様
を制御するための最大値抽出回路53A、選択回路54
A、閾値レベル発生器55A、比較器56Aおよび制御
信号発生器57Aが設けられている。最大値抽出回路5
3A、選択回路54A、比較器56Aおよび制御信号発
生器57Aは、ディジタル形式の信号を処理する点を除
いて、上記第1実施形態の最大値抽出回路53、選択回
路54、比較器56および制御信号発生器57と同一機
能を発揮する。特に、最大値抽出回路53Aは、上記第
1実施形態と同様な最大音量レベルLmaxを表すディジ
タル信号を選択回路54Aに出力する。閾値レベル発生
器55Aは、上記第1実施形態のポテンショメータ55
に対応するもので、操作子55aの操作位置に応じて閾
値Lthを表すディジタル信号を出力する。
【0034】また、この第2実施形態においては、上記
第1実施形態のレベル検出回路51,52と同様に左右
チャンネル信号L,Rの音量レベルを検出するための左
右チャンネル振分け回路61およびアキュムレータ6
2,63が設けられている。左右チャンネル振分け回路
61は、前述した鍵識別信号U/Lに基づいて、振幅エ
ンベロープ波形発生部25から前記時分割タイミングご
とに出力される振幅エンベロープ波形値を左右チャンネ
ルに振分けてアキュムレータ62,63に供給する。各
アキュムレータ62,63は、一サンプル時間ごとにそ
の間に入力される振幅エンベロープ波形値をそれぞれデ
ィジタル的に累算して、左右チャンネル信号L,Rの音
量レベルとして最大値抽出回路53Aに出力する。
【0035】この場合、振幅エンベロープ波形発生部2
5から時分割出力される振幅エンベロープ波形値は、同
時に発生される各楽音信号の各音量レベルの瞬時値を表
すものである。したがって、左右チャンネル振分け回路
61により左右チャンネルL,Rに対応して振分けら
れ、アキュムレータ62,63により一サンプル時間に
わたって累算された左右チャンネルL,Rごとの振幅エ
ンベロープ波形値の各累算値は、左右チャンネル信号
L,Rの各音量レベルを表している。
【0036】このように構成した第2実施形態に係る電
子楽器においても、上記第1実施形態の場合と同様に、
ユーザが鍵盤10の各鍵を押離鍵操作すると、押鍵検出
回路11および押鍵割当て回路12の動作により、前記
押離鍵操作に対応した楽音信号が左右チャンネル信号
L,Rに振分けられて楽音信号発生回路20Aから出力
される。そして、この左右チャンネル信号L,Rは、効
果回路30Aにて上記第1実施形態の場合と同様な音楽
的効果が付与されて出力される。
【0037】また、この第2実施形態においても、アキ
ュムレータ62,63の各出力は左右チャンネル信号
L,Rの各音量レベルを表しているので、効果回路30
Aにおいて左右チャンネル信号L,Rに付与される音楽
的効果の態様が発生される楽音信号の音量レベルに応じ
て制御される点も上記第1実施形態の場合と同じであ
る。また、この第2実施形態においても、最大音量レベ
ルLmaxが閾値レベルLth以上であれば、最大値抽出回
路53A、選択回路54A、比較器56Aおよび制御信
号発生器57Aにより、効果回路30Aにて左右チャン
ネル信号L,Rに付与される音楽的効果の態様は、最大
音量レベルLmaxに応じて変更制御される。したがっ
て、この場合も、ユーザが左右チャンネル信号L,Rの
一方の系列の楽音信号の発生を中断しても、また一方の
系列の楽音信号が減衰系の場合であっても、楽音信号に
付与される音楽的効果の態様が急激に変化することを回
避できるので、良好な音楽的効果の変化を実現できる。
【0038】また、最大音量レベルLmaxが閾値レベル
Lth未満であれば、選択回路54A、閾値レベル発生器
55A、比較器56Aおよび制御信号発生器57Aの作
用により、最大音量レベルLmaxとは無関係に、閾値レ
ベルLthに対応した一定レベルの制御信号が効果回路3
0Aに供給される。そして、この場合も、効果回路30
Aにて楽音信号に付与される音楽的効果の態様は、左右
チャンネル信号L,Rの音量レベルとは無関係に、所定
態様に維持制御されるので、楽音信号の音量レベルが低
くなっても、特に減衰系の楽音信号の場合でも、楽音信
号に付与される音楽的効果の態様を常に安定して制御で
きるので、良好な音楽的効果の変化を実現できる。
【0039】また、前記閾値レベルLthを、操作子55
aの操作によってユーザが任意に変更できる点も上記第
1実施形態と同じであり、この場合も、ユーザは、音楽
的効果の態様の変更制御における一部の特性を所望の特
性にすることができる。
【0040】さらに、この第2実施形態においては、左
右チャンネル振分け回路61およびアキュムレータ6
2,63により、振幅エンベロープ波形発生部25から
出力されるディジタル形式の振幅エンベロープ波形値を
用いて左右チャンネル信号L,Rの各音量レベルを検出
するようにした。したがって、この方法によれば、音量
レベルを表す値が直接的に演算により導出されるので、
左右チャンネル信号L,Rの音量レベルが簡単かつ正確
に検出され、簡単な構成で良好な音楽的効果の付与態様
を変更制御できる。
【0041】なお、上記第2実施形態においても、上記
第1実施形態の場合と同様に、演奏音の種類、発生楽音
信号の音色の種類などに応じて、複数の楽音信号を左右
チャンネル信号L,Rに振分けるようにしてもよい。こ
の場合、左右チャンネル振分け部26および左右チャン
ネル振分け回路61を、上記鍵識別信号U/Rに代え
て、前記演奏音の種類、発生楽音信号の音色の種類など
を表す信号を用いて振分けを制御させるようにすればよ
い。
【0042】また、上記第2実施形態においても、上記
第1実施形態の場合と同様に、左右チャンネル信号L,
Rに基づいて各音量レベルを検出するようにしてもよ
い。この場合、アキュムレータ27,28の出力を絶対
値変換するとともに、同絶対値変換された値を平滑化
(ローパスフィルタ処理)するようにして、左右チャン
ネル信号L,Rの各音量レベルを検出するようにすれば
よい。
【0043】なお、上記第1および第2実施形態におい
ては、出力される楽音信号の系列を左右の2チャンネル
したが、さらに多くの系列数を有する電子楽器にも本発
明は適用されるものである。この場合、各系列ごとにレ
ベル検出回路51(または52)を設けたり、アキュム
レータ62(または63)をそれぞれ設けるようにし
て、最大値抽出回路53,53Aで全てのレベル検出回
路またはアキュムレータ出力のうちから最大値を抽出す
るようにすればよい。
【0044】また、上記第1および第2実施形態におい
ては、全ての回路をハード回路で構成するようにした
が、これらの回路の機能の一部または全部をプログラム
制御によるソフト処理によっても実現できる。例えば、
楽音信号の形成、音楽的効果の付加、音量レベルの検
出、最大値の抽出、楽音信号に付与される音楽的効果の
態様の変更制御などの一部または全部の処理をプログラ
ム制御によるソフト処理によって行うようにしてもよ
い。
【0045】また、上記第1および第2実施形態におい
ては、本発明を鍵盤10を有する電子楽器に適用した例
について説明したが、本発明は、鍵盤10を備えていな
くても、楽音信号を形成出力する音源回路ユニットおよ
び音楽的効果を楽音信号に付加することが可能な効果回
路ユニットを備えた各種音楽機器にも適用できる。例え
ば、自動演奏機、シーケンサ、リズム装置などの音楽機
器にも適用可能である。
【0046】さらに、本発明の実施にあたっては、上記
各実施形態及びそれらの変形例に限定されるものではな
く、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電子楽器の概略
ブロック図である。
【図2】 図1の制御信号発生器における信号の変換特
性を示すグラフである。
【図3】 本発明の第2実施形態に係る電子楽器の概略
ブロック図である。
【符号の説明】
10…鍵盤、11…押鍵検出回路、12…押鍵割当て回
路、20,20A…楽音信号発生回路、30,30A…
効果回路、43,44…スピーカ、51,52…レベル
検出回路、53,53A…最大値抽出回路,54,54
A…選択回路、55…ポテンショメータ、55A…閾値
レベル発生器、55a…操作子、56,56A…比較
器、57,57A…制御信号発生器、61…左右チャン
ネル振分け回路、62,63…アキュムレータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 貴幹 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 5D378 KK00 XX34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の楽音信号を形成するとともに同形成
    した複数の楽音信号を複数の楽音信号系列に振分けて出
    力する楽音信号発生回路と、 前記出力された複数系列の楽音信号に音楽的効果を付与
    して出力する効果回路とを備えた楽音信号処理装置にお
    いて、 前記複数系列の楽音信号の各音量レベルをそれぞれ検出
    する音量レベル検出手段と、 前記検出された各音量レベルのうちで最大の音量レベル
    を抽出する最大音量レベル抽出手段と、 前記抽出された最大の音量レベルに応じて変化する制御
    信号を前記効果回路に出力して同効果回路にて楽音信号
    に付与される音楽的効果の態様を変更制御する効果制御
    手段とを設けたことを特徴とする楽音信号処理装置。
  2. 【請求項2】楽音信号を形成して出力する楽音信号発生
    回路と、 前記出力された楽音信号に音楽的効果を付与して出力す
    る効果回路とを備えた楽音信号処理装置において、 前記楽音信号の音量レベルを検出する音量レベル検出手
    段と、 前記検出音量レベルと所定の閾値とを比較する比較手段
    と、 前記比較手段の比較結果に基づいて、前記検出音量レベ
    ルが前記閾値以上のとき同検出音量レベルに応じて前記
    効果回路にて楽音信号に付与される音楽的効果の態様を
    変更制御し、同検出音量レベルが同閾値未満のとき同検
    出音量レベルとは独立して前記効果回路にて楽音信号に
    付与される音楽的効果の態様を所定態様に維持制御する
    効果制御手段とを設けたことを特徴とする楽音信号処理
    装置。
  3. 【請求項3】前記所定の閾値を所望に値に設定すること
    が可能な閾値変更手段を設けたことを特徴とする前記請
    求項2に記載した楽音信号処理装置。
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