JP2002311599A - 感光性樹脂凸版の現像方法、及び現像装置 - Google Patents

感光性樹脂凸版の現像方法、及び現像装置

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JP2002311599A JP2001113053A JP2001113053A JP2002311599A JP 2002311599 A JP2002311599 A JP 2002311599A JP 2001113053 A JP2001113053 A JP 2001113053A JP 2001113053 A JP2001113053 A JP 2001113053A JP 2002311599 A JP2002311599 A JP 2002311599A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像液を循環使用することにより廃液処分コ
ストを低減する感光性樹脂印刷版の現像方法を提供す
る。 【解決手段】 露光によりレリーフ画像が形成された感
光性樹脂凸版を回転ドラムに装着して、ドラムを回転さ
せながら、現像液を印刷版表面に対して高圧で噴射させ
ると共に回転ブラシにて現像を行い、前記ブラシの回転
は続けながら、感光性樹脂版上の現像液を水で洗い流
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、段ボール印刷、フ
ィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷等のフレキ
ソ印刷で使用される感光性樹脂凸版の現像方法と現像装
置に関するものであり、感光性樹脂版の現像処理におい
て排出される廃液の極少化と、ウオータージェットと呼
ばれる高圧水を噴射して洗浄する方式にて、高圧ポンプ
の動力を上げることなく、またそれと共に増加する騒音
をも抑制し、高い生産性を得ることを可能とする技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリ
ント印刷、ラベル印刷に代表される凸版印刷用の版材に
は従来から感光性樹脂版が使用されている。感光性樹脂
凸版としては、塗布可能な形態を有するいわゆる液状タ
イプ、或いはあらかじめ一定の形状に成形されたいわゆ
るシート状タイプの2種類に大きく分類され、液状タイ
プの感光性樹脂としては例えばAPR(商標名、旭化成
製)が最も代表的な商品であり、製版装置としてもAL
F/AJF/AWF/ASF(いずれも商標名、全て旭
化成製)などが市場へ提供されている。この液状タイプ
感光性樹脂を使用した製版プロセスとしては、既にイメ
ージセッター等のフィルム作製システムで画像が形成さ
れているネガフィルムを露光装置の下ガラス板上にセッ
トし、その上を透明なカバーフィルムで覆い、カバーフ
ィルム上に感光性樹脂を一定の厚みで塗布し、更にその
上にベースフィルムを積層した後に、上ガラス板でベー
スフィルムを押さえ、下ガラス板の下方より紫外光を照
射させることによりネガフィルムの画像が感光性樹脂層
に転写されレリーフ画像として形成される。次に、未硬
化樹脂をゴムブレードなどで除去、回収し、最後にレリ
ーフ画面上に残った未硬化樹脂を洗浄液(現像液)で完
全に洗い落とす。その後必要な後処理を施すことによっ
て印刷に供される感光性樹脂凸版を製造するという方法
がとられている。
【0003】ところで、現在未硬化樹脂を洗い落とす工
程においては、使用する洗浄液に、ある一定量以上未硬
化樹脂が溶け込むと、洗浄能力が低下し、使用不能とな
る。この使用不能となった洗浄液は、そのまま下水ある
いは自然環境への排出ができないものであるため、産業
廃棄物処分業者に洗浄廃液としてその処分を委託しなけ
ればならない。その量は多量であり、その処分を委託す
る処分コストが高く経済的に問題となっている。
【0004】また、特開平12−029227号公報で
は水性現像液を感光層に向けて高圧で噴射させて現像す
る方式が提示されているが、記載されている7.5〜5
0MPaもの高圧を発生可能なポンプは一般的にプラン
ジャー方式であり、例えば画像面積が1平方mを越える
ような大サイズの感光性樹脂版を、市場が要求する処理
時間10数分の範囲で現像させようとした場合には10
数KWもの動力を必要とし、ポンプから発生する激しい
騒音に加えノズル噴霧時の騒音が加算されて、作業者に
は耐えられないほど著しく作業環境を悪化させるという
問題が提起されている。以上のような現状から、使用済
み現像液の処分コストを低減する方法、及び騒音を低く
抑えながら生産性を向上させる方法の開発が強く要望さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その要望に
応えるものであり、露光工程後の感光性樹脂凸版に対す
る現像液の循環使用により現像廃液の発生量を抑制し、
その廃液処分コストを低減すると同時に、高生産性と低
騒音を両立させて作業環境を向上させることを可能とす
る製版方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、現像液を用いて
物理的な衝突力により未硬化樹脂を印刷版から除去し、
かつ高圧噴霧と共に回転ブラシによる補助洗浄を追加す
ることにより、生産性を犠牲にすることなく騒音が劇的
に低下した知見を得て、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、下記の通りである。
【0007】1.下記(a)〜(c)及び/又は、
(d)の工程を含むことを特徴とする感光性樹脂凸版の
現像方法。 (a)露光後現像前の感光性樹脂版をドラムの外周面に
感光性樹脂層を外側に向けて巻き付けてドラムと一体に
回転可能とする版材装着工程 (b)ドラムを回転させながら、高圧現像液を感光性樹
脂版に向けて噴射させると共に、円柱状ブラシをドラム
と逆方向に回転させながら現像液で未硬化の感光性樹脂
を洗い出す洗浄工程 (c)高圧現像液噴射を停止して低圧水噴射に切り替え
ると共に、前記ブラシの回転は続けながら感光性樹脂版
上の現像液を水で洗い流すリンス工程 (d)低圧水噴射とブラシ回転を停止して、圧気を感光
性樹脂版に向けて吹きつけて感光性樹脂版上の水を吹き
飛ばす水切り工程
【0008】2.現像液の温度が40℃以上であること
を特徴とする1.に記載の感光性樹脂凸版の現像方法。 3.現像液が水性現像液であることを特徴とする1.〜
2.のいずれかに記載の感光性樹脂凸版の現像方法。 4.現像液へ混入した未硬化の感光性樹脂をフィルター
で除去して現像液を再使用することを特徴とする1.〜
3.のいずれかに記載の感光性樹脂凸版の現像方法。 5.リンス水をそのまま現像液へ混入させて現像液とし
て再利用することを特徴とする1.〜4.のいずれかに
記載の感光性樹脂凸版の現像方法。
【0009】6.ドラムが1〜60RPMの回転数で回
転することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の
感光性樹脂凸版の現像方法。 7.現像液が5〜20MPaの高圧力で噴射することを
特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の感光性樹脂凸
版の現像方法。 8.ブラシが1〜10RPSの回転数で回転することを
特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の感光性樹脂凸
版の現像方法。 9.直線上に均等配置された複数個の現像液噴射ノズル
をドラムの軸芯方向に沿って往復動させながら、感光性
樹脂版に向けて現像液をスパイラル態様で噴射させて現
像することを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載の
感光性樹脂凸版の現像方法。
【0010】10.下記(a)〜(c)及び/又は、
(d)の手段を含むことを特徴とする感光性樹脂凸版の
現像装置。 (a)露光後現像前の感光性樹脂版をドラムの外周面に
感光性樹脂層を外側に向けて巻き付けてドラムと一体に
回転可能とする版材装着手段 (b)ドラムを回転させながら、高圧現像液を感光性樹
脂版に向けて噴射させると共に、円柱状ブラシをドラム
と逆方向に回転させながら現像液で未硬化の感光性樹脂
を洗い出す洗浄手段 (c)高圧現像液噴射を停止して低圧水噴射に切り替え
ると共に、前記ブラシの回転は続けながら感光性樹脂版
上の現像液を水で洗い流すリンス手段 (d)低圧水噴射とブラシ回転を停止して、圧気を感光
性樹脂版に向けて吹きつけて感光性樹脂版上の水を吹き
飛ばす水切り手段
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の印刷版現像方法は、図1
で示すように、ドラムに感光性樹脂版を装着して回転さ
せながら、水性現像液を特定の条件で高圧噴射させると
共に、円柱状ブラシを回転させて洗浄した後、水を用い
たリンス行程と圧気を用いた水切り行程を伴う一連の工
程からなる。まず、図1に沿って本発明の実施態様に係
わる現像方法及び現像装置についてその概要を説明す
る。
【0012】本発明に係る現像装置は、現像前の感光性
樹脂版を保持して回転する版装着ドラム120と、高圧
の現像液噴射と共に回転ブラシによる現像処理と、及び
その後のリンス処理と水切り処理を連続して行う処理槽
110と、現像液を収容し加熱する現像液タンク112
と、現像液の高圧化を行う高圧プランジャーポンプ13
0とから構成されている。まず版装着ドラム120の構
成について説明する。版装着ドラム120の材質は磁石
が作用するマルテンサイト系のステンレスであり、現像
対象の感光性樹脂版200の先端をスプリングアクショ
ン方式にて挟持する版先端クランプ機構122と、版尻
を固定する着脱式のマグネットクランプ123を備え、
モーターを備えたドラム回転機構121に連結されてい
る。
【0013】版装着ドラム120外周面で保持された感
光性樹脂版200に向けて高圧の現像液を吹き付ける噴
射ノズル132が、ドラム軸芯方向に沿って所定の速度
で往復動する手段を備えたノズルヘッダー131上に等
間隔で複数個配列されている。このノズルヘッダー13
1の入力側には耐温性、耐圧性に優れている高圧専用ホ
ース134を介して高圧プランジャーポンプ130と接
続され、高圧プランジャーポンプ130の入力側には、
供給ホース133を介して現像液タンク112が接続さ
れている。また、版装着ドラム120との接圧調整機能
を備えドラム幅に相当する長さの円柱状ブラシ140が
モーターを備えたブラシ回転機構141に連結されてい
る。
【0014】処理槽110には現像処理後、感光性樹脂
版200表面に残存する現像液を洗い流すためにリンス
水を噴霧する噴射ノズル151が、ノズルヘッダー15
0上に等間隔で複数個配列されている。このノズルヘッ
ダー150の入力側はホース152と電磁弁153を介
して水道水配管と接続されている。更に感光性樹脂版表
面に残存するリンス水を圧気で吹き飛ばすエアブローノ
ズル160がエアー配管161と電磁弁162を介して
コンプレッサーと接続されている。
【0015】次に現像液タンク112の構成について説
明する。現像液を所定の温度まで加熱、或いは所定の温
度で保温する加熱ヒーター113が設けられており、更
に現像液タンク112内に収容している現像液の表層に
は、現像液内に混入した未硬化樹脂を濾過するために、
必要に応じてオイル吸着マット或いは不織布フィルター
或いは紙フィルターなどのフィルター114が設置され
ている。
【0016】以上の構成における現像装置では、感光性
樹脂版200が装着されたドラム120が、図1の矢印
方向へ回転を開始すると、高圧プランジャーポンプ13
0の駆動と共に、円柱状ブラシ140も図1の矢印方向
へ回転を開始する。現像液タンク112内で所定の温度
まで加熱された現像液は高圧プランジャーポンプ130
で吸引されて高圧力が加えられた状態でノズルヘッダー
131に供給される。そしてノズルヘッダー131に供
給された現像液はノズル132から微粒化された状態で
噴射されると共に、ノズルヘッダー131のドラム軸芯
方向に沿った往復動が加わることにより感光性樹脂版2
00はスパイラル態様で洗浄されることになる。また、
噴射された現像液は感光性樹脂版200表面等を経て円
柱状ブラシ140に供給され、現像液を保持したブラシ
140の回転により感光性樹脂版200上の未硬化樹脂
は洗い流される。
【0017】かくして噴射ノズル132から飛び出した
現像液は感光性樹脂版200の現像に使用された後、フ
ィルタ−114を介して未硬化樹脂が取り除かれて現像
液タンク112内に再び帰還してくる。そして現像液タ
ンク112に接続された供給ホース133を介してまた
高圧プランジャーポンプ130内へと吸引されて循環使
用される。引き続いて、感光性樹脂版200表面に残存
する現像液を洗い落とすために、電磁弁153を開き水
道から直接に供給される水をリンス水噴射ノズル151
から吹き付ける。このリンス水はそのまま現像液タンク
112内へと流れ込み現像液として利用される。リンス
処理終了後に電磁弁162を開きコンプレッサーから供
給される圧縮空気をエアブローノズル160より感光性
樹脂版200に吹き付けて残存するリンス水を吹き飛ば
す。
【0018】前記のごとく、図1で例示された構成に基
づく感光性樹脂凸版の現像方法・装置を用いた、本発明
に係わる高圧現像液噴射と回転ブラシによる現像方法及
び装置は、通常の手法により露光工程に供された、液状
又は固体状感光性樹脂印刷版に対して適用できる。
【0019】すなわち、所望の画像がデザインされたネ
ガフィルムをカバーフィルム、感光性樹脂、ベースフィ
ルム、マスキングフィルムの順に積層されたものの上に
配置し露光工程を行う。露光工程後はカバーフィルムを
剥がし、必要に応じて未硬化樹脂をゴムヘラやエアーナ
イフ等にて感光性樹脂版本体からある程度除去、回収し
て現像負荷を軽減させておき、その後、上記の感光性樹
脂版現像装置の開閉扉111を開け、感光性樹脂版20
0を処理槽110に挿入して版先端をクランプ機構12
2にて挟持させた後、版装着ドラム120を適当な位置
まで回転させて版尻をマグネットクランプ123にて固
定する。このように版装着ドラム120外周面に現像前
の感光性樹脂版200の感光性樹脂層を外側に向けて巻
き付けて固定させた後、上記の現像処理を行うことがで
きる。
【0020】以下、本発明の実施の態様についてより具
体的に説明する。本発明では、水性現像液を用いること
が好ましい。ここでいう、水性現像液とは、現像液の組
成のうち、水の占める割合が最大であることを示す。従
来、液状感光性樹脂の現像液として一般的な水系現像液
としては、化学的作用で樹脂を溶解することにより、現
像を行うために1〜5%の界面活性剤水溶液を含有させ
たものが用いられるが、この現像方法では現像工程によ
って除去された未硬化樹脂が現像液中に溶け込むため、
樹脂成分だけを現像液中から除去することが困難とな
る。このような、未硬化樹脂を含有する現像液は、その
樹脂溶解性が低下して現像性能に好ましくない影響を及
ぼす。これに対し、本発明にいう水性現像液は、界面活
性剤水溶液を全く含有しない純粋な水道水であり、疎水
性の樹脂成分は本発明の水性現像液中に溶け込むことが
できず、現像工程後、使用済みの水性現像液から疎水性
の未硬化樹脂成分だけを除去することが容易となる。
【0021】このように、本発明においては、水性現像
液を用いた場合、現像後の水性現像液に含まれる未硬化
樹脂と現像液の分離が容易となり、現像液の循環使用、
ひいては現像液の長寿命化を図ることができる。本発明
においては、前記、水性現像液中の樹脂成分を分離、除
去するために装置の適当な箇所にフィルター類を設置す
ることで、上記現像液の寿命延長効果をさらに増大させ
ることもできる。例えば、現像液を感光性樹脂版に噴射
後、使用済み現像液が収容される現像液タンク(図1、
112)の表層にオイル吸着マット或いは不織布フィル
ター或いは紙フィルターなどのフィルター類(図1、1
14)を設置する。現像液がそれらフィルター類を通過
して、現像液タンクに戻ることによって、現像液中の大
半の未硬化樹脂がフィルターで濾過され、水性現像液を
再使用することができる。
【0022】本発明にいう水性現像液は感光性樹脂版に
対して噴射されたときの物理的衝撃による未硬化樹脂の
現像効果を十分に発揮するために5MPa〜20MPa
の高圧力で噴射させることが好ましい。5MPaより低
い圧力では、物理的衝撃により未硬化樹脂を除去すると
いう現像効果を充分に発揮できない場合があり、20M
Pa以上だと噴射された現像液の衝撃により、後露光前
でまだ充分に物性強度が高くない感光性樹脂版表面のレ
リーフ形状が損傷を受ける場合がある。特に線幅が50
0μm以下である独立線や面積率が5%以下であるハイ
ライト網点は欠けたり、感光性樹脂版から剥離したりす
る場合がある。
【0023】また本発明に用いる水性現像液の温度は、
40℃以上であることが好ましい。水性現像液を40℃
以上にすることにより未硬化樹脂が加熱されて粘度が低
下すると共に、樹脂硬化部と未硬化部の境界層の物性強
度も弱くなることにより、現像工程における、物理的衝
撃による未効果樹脂の除去効果が飛躍的に向上する。安
定した洗浄効果を得るためには、現像液の温度が40〜
80℃に保たれることが好ましい。
【0024】以下に本発明の現像装置及び工程の詳細に
ついて説明する。上記現像工程を実施するための典型的
な現像装置は、感光性樹脂版を保持して1〜60RPM
の回転数で回転する中空ドラムと、水性現像液を5MP
a〜20Mpaの圧力で噴射するノズルを等間隔で複数
個有し、ドラムの軸芯方向に沿って数10mm/秒の速
度で往復動する機構を備えたノズルヘッダーと、水性現
像液を5MPa〜20Mpaの圧力で吐出することが出
来る高圧ポンプと、1〜10RPSの回転数でドラムと
は逆方向に回転する円柱状ブラシから構成されている。
現像工程において、現像液の噴射又は噴出方向は、未硬
化樹脂を除去可能な限り特に制限されず、樹脂部表面に
対して若干斜め方向であってもよいが、通常は樹脂部表
面に対してほぼ垂直方向(例えば0〜15°程度)であ
る。また、噴射ノズルをドラムに対して往復動させるこ
とにより、感光性樹脂版全表面へ均等に水性現像液を噴
霧することが可能となる。
【0025】円柱状ブラシは外径が100mmφ程度、
ドラムに対して接圧調整機能を備えて最大+10数mm
押し込み可能となっているが、一般的には処理する感光
性樹脂版の最大厚み程度に調整される。上記の現像終了
後は、樹脂版表面に残存する水性現像液を洗い流すため
に水を噴霧すると共に、ブラシの回転を続行させている
ため、現像処理時と同様にリンス水は樹脂版表面等を経
てブラシ上に供給され、リンス水を保持したブラシの回
転により樹脂版表面の水性現像液は洗い流される。この
リンス水の組成構成は水単一であり、リンス水の水圧及
び噴射方向、時間、温度、方式は樹脂版表面に残存する
現像液を洗い流すことが可能な限り特に制限されない。
またリンス水はそのまま現像液に混入させて現像液とし
て使用する。本発明における現像工程では、現像液を高
温下かつ高圧下でスプレー噴射による現像液の微粒化に
よって、現像液組成中の水成分が蒸発し、現像液が減少
していく。そこで前記リンス水を現像液中に取り込むこ
とによって、現像液量を一定に保つことができる。リン
ス工程終了後は、樹脂版表面に残存するリンス水を除去
するために、一般的にはエアブローノズルによる水切り
工程を設ける。エアブローの圧力及び噴射方向、時間、
温度、方式は、樹脂版表面に残存するリンス水を吹き飛
ばすことが可能な限り特に制限されない。樹脂版表面に
リンス水が残っていると、後続する工程での樹脂版の搬
送時に水が滴り落ちて作業環境を低下させる。
【0026】水切り工程終了後は、公知である水中後露
光や乾燥、或いは空中後露光を経て印刷版となる。次に
実施例及び比較例により本発明の水性現像液が、化学活
性の高い従来の現像液に劣らない、若しくはこれを上回
る性能を示し、併せて現像液の高圧噴射による単一処理
と比較して騒音を大幅に低下させることが出来たことを
さらに詳細に説明する。尚、本発明の実施態様はこの実
施例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例1】感光性樹脂組成物F−320(旭化成
(株)製。以後液状感光性樹脂Aと記載)AWF型製版
機(旭化成(株)製、画像サイズ:7621270m
m)を用いて露光工程まで終了した7mm版を作成し
た。露光量はレリーフ深度2mm、シェルフ層5mm、
バック析出層1mm、また45LPI/5%のハイライ
ト形成が可能となる適正露光条件とした。
【0028】外径350mmφ幅1600mmと感光性
樹脂版を横長の状態で保持し回転する中空ドラムを備
え、高圧スプレー現像と共に回転ブラシ現像が同時に行
える実験機の現像液タンク層(容量200L)に水を投
入した。予め、60℃に昇温した熱水を用いて、露光工
程まで終了した液状感光性樹脂Aからなる7mm厚の感
光性樹脂版をドラムに装着し、6RPMの回転速度でド
ラムを回転させながら、丸山製高圧プランジャーポンプ
(型式MW2540)のポンプモーター回転数を標準の
750RPMから350RPMまで下げて、吐出圧力1
0MPa/吐出流量25L/分の条件にて運転させ、高
圧均等扇形ノズルVNP−1/8M−6549(いけう
ち製)を並列に複数個配列したノズルにより、ノズルと
樹脂版表面迄の距離200mm、各ノズル間の距離30
0mm、ノズルヘッダーの移動ストローク200mmで
往復動速度10mm/秒の条件、回転ブラシ材質は馬
毛、ブラシ経0.2mmφ、ブラシ長30mm、ブラシ
外径110mmφ、ブラシ接圧+7mm、回転数160
RPMの条件で10分間の現像を行った。ついで現像し
た版を水道水で現像液による泡立ちが認められなくなる
る程度にまでリンスし、さらにリンスした版の表面に残
ったリンス水をエアガンで吹き飛ばした。その後水中後
露光機で紫外線蛍光灯を1000mJ/cm2、及び殺
菌灯を2000mJ/cm2の露光量で用いて水中後露
光を行った。その後10分ほど乾燥機にて放置して印刷
版を見た。
【0029】得られた液状感光性樹脂A印刷版の印刷に
供する画像表面(以下、印画部と略記)を触感にて評価
したが、粘着性がないことを確認した。版表面の外観と
しては、透明度があり、やや光沢があるようであった。
またバック析出層表面は目視上とてもなめらかな状態で
あった。また500μm線幅白抜き線の深度を測定し、
約220μmであった。また100LPI/90%網点
の面積率も測定したが約90%であった。さらに45L
PI/5%網点のドット根本部の損傷を顕微鏡にて確認
したが、特に大きな損傷は見られなかった。また、上記
運転条件で当現像装置から1m離れた場所にて騒音値を
測定したところ、高圧ポンプに防音カバーが取り付けて
ある状態で約75dBであった。
【0030】
【比較例1】実施例1と同様の条件で液状感光性樹脂A
を作成し、前記実験機の回転ブラシ機構を取り外した以
外は全く同一の条件で、現像液の高圧噴射のみの単一現
像方式にて実験を行ったところ、同一の処理時間で同等
の現像性能を得るためには高圧プランジャーポンプのポ
ンプモーター回転数を標準の750RPMに戻し、吐出
圧力10MPa/吐出流量50L/分で運転する必要が
あった。この運転時の騒音値を測定したところ、実施例
と比較し10dB高い約85dBであった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による感光
性樹脂版の現像方法は物理的作用を利用した高圧噴射と
回転ブラシによる現像であるため、感光性樹脂が不溶性
の水性現像液を用いた現像が可能である。使用済みの現
像液から感光性樹脂を分離除去した後、これを現像液と
して再利用することが容易となるため、現像廃液の量が
減少し、環境保全に有利で、且つ廃液処分コストの大幅
な削減も達成できる。また、生産性を犠牲にしないで騒
音も80dB以下と作業環境を向上させることが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に好適な現像装置の概略構成を示
す図である。
【符号の説明】
100:洗浄装置 110:処理槽 111:開閉扉 112:現像液タンク 113:加熱ヒーター 114:フィルター 120:版装着ドラム 121:ドラム回転機構 122:版先端クランプ機構 123:マグネットクランプ 130:高圧プランジャーポンプ 131:揺動機能付きノズルヘッダー 132:現像液噴射ノズル 133:供給ホース 134:耐圧ホース 140:円柱状ブラシ 141:ブラシ回転機構 150:ノズルヘッダー 151:リンス水噴射ノズル 152:ホース 153:電磁弁 160:エアブローノズル 161:配管 200:感光性樹脂版 300:現像液

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(c)及び/又は、(d)
    の工程を含むことを特徴とする感光性樹脂凸版の現像方
    法。 (a)露光後現像前の感光性樹脂版をドラムの外周面に
    感光性樹脂層を外側に向けて巻き付けてドラムと一体に
    回転可能とする版材装着工程 (b)ドラムを回転させながら、高圧現像液を感光性樹
    脂版に向けて噴射させると共に、円柱状ブラシをドラム
    と逆方向に回転させながら現像液で未硬化の感光性樹脂
    を洗い出す洗浄工程 (c)高圧現像液噴射を停止して低圧水噴射に切り替え
    ると共に、前記ブラシの回転は続けながら感光性樹脂版
    上の現像液を水で洗い流すリンス工程 (d)低圧水噴射とブラシ回転を停止して、圧気を感光
    性樹脂版に向けて吹きつけて感光性樹脂版上の水を吹き
    飛ばす水切り工程
  2. 【請求項2】 現像液の温度が40℃以上であることを
    特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂凸版の現像方
    法。
  3. 【請求項3】 現像液が水性現像液であることを特徴と
    する請求項1〜2のいずれかに記載の感光性樹脂凸版の
    現像方法。
  4. 【請求項4】 現像液へ混入した未硬化の感光性樹脂を
    フィルターで除去して現像液を再使用することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂凸版の
    現像方法。
  5. 【請求項5】 リンス水をそのまま現像液へ混入させて
    現像液として再利用することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の感光性樹脂凸版の現像方法。
  6. 【請求項6】 ドラムが1〜60RPMの回転数で回転
    することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    感光性樹脂凸版の現像方法。
  7. 【請求項7】 現像液が5〜20MPaの高圧力で噴射
    することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    感光性樹脂凸版の現像方法。
  8. 【請求項8】 ブラシが1〜10RPSの回転数で回転
    することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    感光性樹脂凸版の現像方法。
  9. 【請求項9】 直線上に均等配置された複数個の現像液
    噴射ノズルをドラムの軸芯方向に沿って往復動させなが
    ら、感光性樹脂版に向けて現像液をスパイラル態様で噴
    射させて現像することを特徴とする請求項1〜8のいず
    れかに記載の感光性樹脂凸版の現像方法。
  10. 【請求項10】 下記(a)〜(c)及び/又は、
    (d)の手段を含むことを特徴とする感光性樹脂凸版の
    現像装置。 (a)露光後現像前の感光性樹脂版をドラムの外周面に
    感光性樹脂層を外側に向けて巻き付けてドラムと一体に
    回転可能とする版材装着手段 (b)ドラムを回転させながら、高圧現像液を感光性樹
    脂版に向けて噴射させると共に、円柱状ブラシをドラム
    と逆方向に回転させながら現像液で未硬化の感光性樹脂
    を洗い出す洗浄手段 (c)高圧現像液噴射を停止して低圧水噴射に切り替え
    ると共に、前記ブラシの回転は続けながら感光性樹脂版
    上の現像液を水で洗い流すリンス手段 (d)低圧水噴射とブラシ回転を停止して、圧気を感光
    性樹脂版に向けて吹きつけて感光性樹脂版上の水を吹き
    飛ばす水切り手段
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