JP2002310581A - 板型ヒートパイプおよびその実装方法 - Google Patents
板型ヒートパイプおよびその実装方法Info
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- F28D15/0233—Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes the conduits having a particular shape, e.g. non-circular cross-section, annular
Abstract
く、長期信頼性がある、気密性の高いコンテナを備えた
ヒートパイプおよびその実装方法を提供する。 【解決手段】その表面に少なくとも1つの被冷却素子が
熱的に接続される板材と、前記板材と組合わされて内部
に空洞部を形成する別の板材とからなり、前記板材と前
記別の板材を組合わせた外周部を圧接することによって
形成される、その内部に作動流体が封入された気密性に
優れたコンテナを備えた板型ヒートパイプ。
Description
たとえば半導体チップ等の高発熱量の被冷却素子等を冷
却するのに好適な、板型ヒートパイプの製造方法と、そ
の実装方法に関する。
ド、パワートランジスター等の電気・電子機器に搭載さ
れている半導体素子等の電子部品は、その使用によって
ある程度の発熱が避け難く、近年、その冷却が重要な技
術課題となりつつある。冷却を要する電気・電子素子
(以下、「被冷却素子」と称する)を冷却する方法とし
ては、例えば機器にファンを取り付けて、機器筐体内の
空気の温度を下げる方法や、被冷却素子に冷却体を取り
付けることによって、その被冷却素子を直接的に冷却す
る方法等が代表的に知られている。
えば銅材やアルミニウム材などの伝熱性に優れた材料の
板材や、或いは板型ヒートパイプ等が適用されることが
多い。板型ヒートパイプは、板状のヒートパイプであ
り、その他に、平面型ヒートパイプまたは平板型ヒート
パイプと呼称されることもある。以下、板型ヒートパイ
プと呼称する。
ートパイプは空洞部を有するコンテナであり、その空洞
部に作動流体(作動流体)が封入されている。その空洞
部は真空引きされており、作動流体の蒸発が起きやすく
なっている。作動流体としては、コンテナの材質との適
合性を考慮して、水、アルコール、代替フロン等が用い
られる。
る。即ち、ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイ
プを構成する容器(コンテナ)の材質中を熱伝導して伝
わってきた熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒ
ートパイプの放熱側に移動する。放熱側では、作動流体
の蒸気は冷却されて、再び液相状態に戻る。そして液相
に戻った作動流体は、再び吸熱側に移動(還流)する。
このような作動流体の相変態や移動により、熱の移動が
なされる。
ってなされる。重力式のヒートパイプの場合は、吸熱部
を放熱部より下方に配置することによって、作動流体は
還流する。毛細管現象によって作動流体を還流させるヒ
ートパイプの場合は、空洞部の内壁に溝を設けたり、空
洞内部に金属メッシュ、多孔質体等のウイックを挿入
し、溝またはウイックによる毛細管現象によって、作動
流体が還流する。このように、ヒートパイプにおいて
は、ヒートパイプの密閉された空洞部内に封入された作
動流体の相変態と移動により大量の熱の輸送が行われ
る。もちろん、ヒートパイプを構成する容器(コンテ
ナ)を熱伝導することによって、運ばれる熱もあるが、
その量は相対的に少ない。
接続させる。そして放熱側には、例えば、放熱用フイン
を取り付ける。このような構成によって、被冷却部品の
熱の大部分が、ヒートパイプによって移動されて、放熱
用フインから放散される。さて、板型ヒートパイプの場
合、その形状の特徴によって、被冷却部品とヒートパイ
プを接続させやすい利点がある。即ち、半導体素子等の
被冷却部品を、ヒートパイプの主面に接触させることに
よって、ある程度広い面積で接触させることができるか
らである。なお、被冷却部品とヒートパイプの接触は、
両者の間に伝熱グリスや伝熱ゴム等を挟む場合もあり、
両者をハンダ付け等によって接合させる場合もある。ま
た板型ヒートパイプの被冷却部品を接触させた主面の反
対側の面には、放熱用のフインやヒートシンク、更に、
ファン等を取り付けると良い。このように配置すること
によって、スペース効率にも優れた冷却構造が実現しう
る。
化によって、発熱密度が高くなる傾向にあり、ヒートパ
イプの性能も、熱を移動するだけでなく、高密度の熱流
束を低密度に拡散するという熱の拡散に関する要求にも
対応しなければならない。また、CPUが実装された基
板は、様々な向きに配置されるので、ヒートパイプも様
々な向きに配置された状態で性能を発揮しなげればなら
ない。従って、ヒートパイプ内部における、高発熱密度
の発熱体が接触する部分に、低密度に拡散する機能を備
えた伝熱ブロックを配置したり、金属メッシュ、多孔質
体等のウイックを適切に配置することによって、ドライ
アウト(吸熱部での蒸発に、作動流体の供給が追いつか
ず、吸熱部が乾ききってしまって、ヒートパイプとして
の作動が続かなくなることをいう)の発生を防止する必
要がある。伝熱ブロックは、別部品を挿入しても良い
し、コンテナと一体の部材に形成されていても良い。
ンテナの形成は、プレス等によって成形した2枚の板状
部材をロウ付け等で接合する方法(例えば特願平8−3
12980)、折り込みで封入・接合する方法(特願平
10−099781)などが提案されている。しかし、
密閉体のコンテナを形成するための部材の接合方法とし
て、ロウ付け(またはハンダ付け)をその接合の主たる
手段として用いると、ロウ材と作動流体との適合性、ま
たは、フラックスの種類によっては、ヒートパイプの性
能が劣化しやすいという問題がある。ロウ材と作動流体
との適合性の向上のためには、不純物の少ない、母材と
近い組成のロウ材を用いることが望ましいが、その場合
には、ロウ材の融点が必然的に母材の融点と近くなるの
で、母材が焼鈍されて強度が低下するなどの問題があ
る。更に、加工に要する時間や、ロウ材等の他部材を用
いることによるコスト上昇も避けられない。
に制約があり、単純な形状でなければ適用できないとい
う問題点がある。また、この方法によると、部材同士の
金属的な接合が困難であることから、密封性を長期にわ
たって維持することができない、即ち、ヒートパイプと
しての長期信頼性を損なうという問題点がある。そのた
め、単純にこの手法だけでヒートパイプのための気密性
の高い密封体を製造することが困難である。従って、こ
の発明の目的は、ヒートパイプの板材の強度を低下させ
ることなく、長期信頼性がある、気密性の高いコンテナ
を備えたヒートパイプおよびその実装方法を提供するこ
とにある。
の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた。その結
果、その表面に被冷却素子が熱的に接続される板材と、
それと組合わされて内部に空洞部を形成する別の板材と
を組合わせた外周部を、清浄な状態に維持しつつ圧下す
ると、両板材の接合面に新生面が形成されて、新生面ど
うしが圧着されて、金属接合され、気密性に優れた強度
の低下しないコンテナを備えたヒートパイプを作製する
ことができることを知見した。
れたものであって、この発明の板型ヒートパイプの第1
の態様は、その表面に少なくとも1つの被冷却素子が熱
的に接続される板材と、前記板材と組合わされて内部に
空洞部を形成する別の板材とからなり、前記板材と前記
別の板材を組合わせた外周部を圧接することによって形
成される、その内部に作動流体が封入された気密性に優
れたコンテナを備えた板型ヒートパイプである。
は、前記板材と前記別の板材の外周部の圧接が、圧下に
よる金属接合によって行われることを特徴とする板型ヒ
ートパイプである。
は、前記圧下によって、前記板材と前記別の板材の外周
部のそれぞれの接合面に新生面を形成し、前記新生面同
志が圧着されて金属接合される、板型ヒートパイプであ
る。
は、前記板材および前記別の板材がクラッド板材からな
っている、板型ヒートパイプである。
は、前記板材および前記別の板材の少なくとも一方の板
材に、深絞り、張り出し成形、または鍛造が施されて、
前記空洞部を形成する、板型ヒートパイプである。
は、前記板材の、前記少なくとも1つの被冷却素子が熱
的に接続される部分に凸部が形成されている、板型ヒー
トパイプである。
は、その表面に少なくとも1つの被冷却素子が熱的に接
続される1つの主面としての板材と、別の主面としての
別の板材と、前記板材と前記別の板材の間に挟まれて、
内部に空洞部を形成する、側面としての枠状部材とから
なり、前記枠状部材を挟み込んだ前記板材および前記別
の板材の外周部を圧接することによって形成される、そ
の内部に作動流体が封入された気密性に優れたコンテナ
を備えた板型ヒートパイプである。
は、前記枠状部材を挟み込んだ前記板材および前記別の
板材の外周部の圧接が、圧下による金属接合によって行
われることを特徴とする、板型ヒートパイプである。
は、前記圧下によって、前記板材および前記別の板材の
外周部のそれぞれの接合面、ならびに、前記枠状部材の
接合面に新生面を形成し、前記新生面同志が圧着されて
金属接合される、板型ヒートパイプである。
様は、前記気密なコンテナ内にウイック部材が備えられ
ている、板型ヒートパイプである。
様は、前記気密なコンテナ内に熱伝導性部材が備えられ
ている、板型ヒートパイプである。
様は、前記熱伝導性部材が前記板材または前記別の板材
と一体的に形成されている、板型ヒートパイプである。
様は、前記圧接された外周部に更にろう付けまたはハン
ダ付けが施される、板型ヒートパイプである。
様は、前記圧接された外周部に更に溶接が施される、板
型ヒートパイプである。
した板型ヒートパイプの前記主面に被冷却素子が実装さ
れた基板が接合され、前記別の主面にヒートシンクが接
合され、更に、前記ヒートシンクに送風するファンが所
定の位置に備えられた、被冷却素子およびヒートパイプ
の実装方法である。
その表面に少なくとも1つの被冷却素子が熱的に接続さ
れる板材と、板材と組合わされて内部に空洞部を形成す
る別の板材とからなり、板材と別の板材を組合わせた外
周部を圧接することによって形成される、その内部に作
動流体が封入された気密性に優れたコンテナを備えた板
型ヒートパイプである。上述した接合が、圧下による金
属接合によって行われる。即ち、上述した圧下によっ
て、板材と別の板材の外周部のそれぞれの接合面に新生
面を形成し、新生面どうしが圧着されて金属接合され
る。
プの外周部の圧接の一例を説明する図である。図1
(a)に示すように、この発明における圧接は、先ず、
板型ヒートパイプの主面を形成する2つの板材、即ち、
上板材1および下板材2の外周部4を重ね合わせる。次
いで、図1(b)に示すように、このように重ね合わせ
た上板材1および下板材2の外周部4を両方向、例え
ば、上下から圧下する。圧下量は、上板材および下板材
の材質、表面の状態、圧下する環境(真空中、大気中)
によって異なる。例えば、両板材の表面を清浄にし、真
空中で圧下する場合には、圧下量は、2〜3%でよい場
合もあり、大気中で圧下する場合には、少なくとも30
%、好ましくは50%以上の肉厚減少を与える程度の圧
下が必要である。
わせて、圧下することによって、変形を受けた部分に新
生面(酸化皮膜や吸着膜のない、清浄な金属表面)を露
出させ、新生面どうしが圧着されて金属接合を生じ、2
個の部材が接合する。この場合の金属接合された部分
は、図1(c)の点線で示す箇所である。なお、金属接
合された部材は、2つの板材を剥がす方向に力を加える
と、元の板材に分離せず、接合部分に母材破断が生じる
ように、強固に金属接合され、コンテナは気密性に優れ
ている。圧接時の温度は、板材の融点未満の温度であれ
ばよく、例えば、常温でもよい。
であれば良く、平押し、鍛造、絞り、しごき等の様々な
加工方法が使用可能である。加工方法は、ヒートパイプ
の外形形状や、内部構造によって選択される。接合面
は、接合前に極力清浄にして、酸化物、水酸化物、有機
物等の被膜や付着物を取り除いておく必要があるが、そ
の方法としては、ブラッシング、サンダー等の機械的な
方法や、ドライエッチング等の化学的な方法がある。表
面の清掃から圧接が終了するまでの間、接合すべき部分
には、ゴミや水分や油分の付着、あるいは酸化皮膜の生
成を極力避けなければならない。短時間であれば大気中
でも問題なく、たとえば大気中でブラッシングし、直後
に接合面を合わせて平押しすることで圧接が可能であ
る。また、真空チャンバー中で部材の接合部をプラズマ
によってクリーニングし、真空または不活性雰囲気に保
ったままチャンバー内で圧接することもでき、この場合
には圧下量が小さくて済む場合もある。
つの態様を説明する図である。この発明の板型ヒートパ
イプは、箱状にプレス成形されたその表面に少なくとも
1つの被冷却素子が熱的に接続される板材2と、板材2
と組合わされて内部に空洞部7を形成する平らな板材1
とによって形成されるコンテナからなっており、その空
洞部内に、熱伝導性ブロック6およびウイック5が配置
されている。このように熱伝導性ブロックおよびウイッ
クがその空洞部内に配置された板材2と平らな板材1を
組合わせた外周部4を圧下して、板材2と平な板材1の
外周部4のそれぞれの接合面に新生面を形成し、そし
て、形成された新生面どうしが圧着されて金属接合され
る。
に、外周部のみをプレスするような型を用いて、外周部
のみをつぶすことによって圧接を行い、気密性に優れた
コンテナ(密閉体)を形成することができる。即ち、こ
の場合の金属接合された部分は、図1(c)の点線で示
す箇所である。なお、金属接合された部材は、2つの板
材を剥がす方向に力を加えると、元の板材に分離せず、
接合部分に母材破断が生じるように、強固に金属接合さ
れ、コンテナは気密性に優れている。なお、図には示し
ていないが、コンテナの一部に注液・脱気のための口を
設けて、作動流体(純水)を注入し、脱気することによ
って、板型ヒートパイプを作製することができる。
の1つの態様を説明する図である。この態様において
は、図3に示すように、図1に示したように圧接された
外周部に更にろう付けまたはハンダ付けが施される。圧
接された外周部の接合部をロウ付けまたはハンダ付けに
よって補強することによって、機械的強度を補強する、
および/または、接合界面の腐食を防止するなどの効果
がある。圧接によって外周部に局所的な変形を与えるの
で、厚さが薄くなった部分の機械的強度が低下するおそ
れがある。機械的強度が低下して密閉されたコンテナが
破損すると、ヒートパイプの作動流体の流出や、コンテ
ナ内への大気の流入を招き、ヒートパイプの長期的な性
能低下につながる。一方、ハンダがヒートパイプ内面ま
で侵入すると、作動流体(たとえば純水)とハンダ材と
が反応してコンテナ内部にガスを発生し、ヒートパイプ
の長期的な性能低下につながる。
周部が圧接によって気密性に優れた状態で密封されてい
るので、外周部における圧接部に対して外側からロウ付
けまたはハンダ付けによって補強しても、ロウまたはハ
ンダはヒートパイプ内面には侵入せず、作動流体と接触
することはない。図3において、外周部の圧接部をA、
ハンダ付部をBで示す。ロウ付け、ハンダ付け方法とし
て、真空炉、雰囲気炉、トーチ、ハンダゴテ等の方法が
可能である。これらの方法は、ヒートパイプのコンテナ
の材質、形状、大きさ、ヒートパイプに要求される熱性
能、作動流体との相互作用などによって適宜選択され
る。
の1つの態様を説明する図である。この態様において
は、図4に示すように、図1に示したように圧接された
外周部に更に溶接が施される。圧接によって、耐圧性等
の機械的強度は十分に得られても、密閉が完全でなく、
微少な漏れのおそれがある場合には、溶接を併用しても
良い。その場合でも、接合強度の大部分は圧接によって
担っている。図4において圧接部をA、溶接部をCで示
す。溶接方法として、TIG溶接、プラズマ溶接、レー
ザー溶接、電子ビーム溶接などの溶接方法が可能であ
る。これらの溶接方法は、ヒートパイプのコンテナの材
質、形状、大きさ、ヒートパイプに要求される熱性能、
作動流体との相互作用などによって適宜選択される。
の1つの態様を説明する図である。この態様の板型ヒー
トパイプにおいては、図5に示すように、密閉体を形成
する主要部品が、板型ヒートパイプの上下の両主面を構
或する2枚の板材1、2によって構成されている。この
場合には、図5に示すように、内部に空間(空洞部)を
形成するために、少なくとも1枚の板材(図中2)は、
所定の高さを有するように形成されることが必要であ
る。この態様の構成が、部材点数が最も少なく、加工も
容易である。
の1つの態様を説明する図である。この態様の板型ヒー
トパイプにおいては、コンテナ内部に伝熱性ブロック部
が配置される。図6に示すように、2つの板材の一方の
板材2に、鍛造によってブロック状の部分Cを一体的に
形成することができる。これにより、別部材の熱伝導性
ブロックを挿入するのに比べ、部材点数が減少し、熱伝
導が良好になるなどの利点がある。
して、その表面に少なくとも1つの被冷却素子が熱的に
接続される1つの主面としての板材と、別の主面として
の別の板材と、板材と別の板材の間に挟まれて、内部に
空洞部を形成する、側面としての枠状部材とからなり、
枠状部材を挟み込んだ板材および別の板材の外周部を圧
接することによって形成される、その内部に作動流体が
封入された気密性に優れたコンテナを備えた板型ヒート
パイプがある。
別の板材の外周部の圧接が、圧下による金属接合によっ
て行われる。即ち、上述した圧下によって、板材および
別の板材の外周部のそれぞれの接合面、ならびに、枠状
部材の接合面に新生面を形成し、新生面どうしが圧着さ
れて金属接合される。
プを構成する部材を説明する図である。図7に示すよう
に、この態様においては、コンテナ(密閉体)を形成す
る主要部材が、板型ヒートパイプの上下の両主面を構成
する2枚の板材1、2と、2枚の板材の間に挟まれて、
内部に空洞部を形成する、側面としての枠状部材3とか
らなっている。
プの外周部の圧接の他の一例を説明する図である。図8
(a)に示すように、この発明における圧接は、先ず、
板型ヒートパイプの主面を形成する2つの板材、即ち、
上板材1および下板材2の間に、内部に空洞部を形成す
る、側面としての枠状部材3を挟み込み、枠状部材3
と、上板材1および下板材2の外周部4を重ね合わせ
る。次いで、図8(b)に示すように、このように重ね
合わせた上板材1の外周部4、枠状部材3および下板材
2の外周部4を、斜線部で示すように上下方向に圧下す
る。圧下量は、上板材および下板材の材質、表面の状
態、圧下する環境(真空中、大気中)によって異なる。
例えば、両板材の表面を清浄にし、真空中で圧下する場
合には、圧下量は、2〜3%でよい場合もあり、大気中
で圧下する場合には、少なくとも30%、好ましくは5
0%以上の肉厚減少を与える程度の圧下が必要である。
部材3、下板材2の接合面を重ね合わせて、上下方向に
圧下することによって、変形を受けた部分に新生面(酸
化皮膜や吸着膜のない、清浄な金属表面)を露出させ、
新生面どうしが圧着されて金属接合を生じ、上板材、枠
状部材、下板材が接合する。この場合の金属接合は、図
8(c)に示すように、上板材と枠状部材との間、およ
び、枠状部材と下板材との間に点線で示される。これら
の板材を剥がす方向に力を加えると、元の板材に分離せ
ず、接合部分に母材破断が生じるように、強固に金属接
合され、コンテナは気密性に優れている。圧接時の温度
および圧接方法は、図1の態様において説明したのと同
一である。なお、この態様の場合には、図8に示すよう
に、上板材、枠状部材および下板材の3部材を同時に圧
接する。上述した部材の構成は、要求される形状、熱性
能、コスト等によって適宜選択される。
の1つの態様を説明する図である。この態様の板型ヒー
トパイプにおいては、図9に示すように、被冷却素子が
熱的に接続される一方の板材に、被冷却素子を効率良く
冷却するための凸部Eが一体的に形成されている。凸部
の形状は、基板上に実装される被冷却素子および他の部
品の配置等によってきまる。
他の1つの態様を説明する図である。通常、コンテナの
材料は、銅ならば銅、アルミニウムならばアルミニウム
のように、一種類の材料のみで構成されるが、図10に
示す態様においては、板材にクラッド材11、12を用
いる。クラッド材を用いる場合には、クラッド材11、
12のコンテナの内面側を形成する材料8には、作動流
体との適合性の高い材料、例えば、銅を用い、外面側を
形成する材料9には、機械的強度および外観の要求に応
じて、高強度・安価・軽量などの材料、例えば、アルミ
ニウムを用いることができ、さらに設計の自由度を高く
し、コストを下げることが可能である。
型ヒートパイプの主面に被冷却素子が実装された基板が
接合され、別の主面にヒートシンクが接合され、更に、
ヒートシンクに送風するファンが所定の位置に備えられ
た、ヒートパイプの実装方法である。この発明を実施例
によって更に詳細に説明する。
て、箱状にプレス成形された下板材2、および、平な上
板材1を調製した。次いで、上板材1および下板材2の
外周部4を組合わせ、中に、純銅製の熱伝導性ブロック
6および熱伝導性ブロックが収容される開口部13を備
えた純銅製のウイック5とが配置された。なお、組合わ
せる前に、上板材1および下板材2が接合される外周部
の面を、ブラッシングによって清浄して、酸化物、水酸
化物、有機物等の被膜や付着物を取り除いた。
状態に維持されたまま上板材1および下板材2を組合わ
せて、大気中において、常温で、外周部を圧下した。そ
のときの圧下量は、70%であった。即ち、コンテナの
中空部を押すことなしに、外周部のみをプレスするよう
な型を用いて、外周部のみをつぶすことによって圧接を
行った。このように外周部を圧接して、内部に熱伝導性
ブロックおよびウイックが配置された、全体のサイズが
70mm×90mm×7mmの気密性に優れたコンテナ
を作製した。更に、コンテナの一部に注液・脱気のため
の口を設けて、作動流体(純水)を注入し、脱気して、
板型ヒートパイプを作製した。
圧接された接合部の強度および気密性を試験したとこ
ろ、 強度は、加圧試験において140kPaでもはが
れない強さであり、気密性は、Heリーク試験におい
て、リーク量1×10-9Pa・m 3/s以下であった。
および厚さ0.8mmのアルミニウム層からなる厚さ
1.0mmのクラッド板材によって、箱状にプレス成形
された下板材12、および、平な上板材11を調製し
た。次いで、上板材11および下板材12の外周部4
を、コンテナの内面側が純銅層になるように組合わせ、
コンテナの中に、図2に示すような、純銅製の熱伝導性
ブロック6および熱伝導性ブロックが収容される開口部
13を備えた純銅製のウイック5とが配置された。な
お、組合わせる前に、上板材11および下板材12が接
合される外周部の面を、ブラッシングによって清浄な状
態にして、酸化物、水酸化物、有機物等の被膜や付着物
を取り除いた。
状態に維持されたまま上板材11および下板材12を組
合わせて、真空中において、常温で、外周部を圧下し
た。そのときの圧下量は、50%であった。即ち、コン
テナの中空部を押すことなしに、外周部のみをプレスす
るような型を用いて、外周部のみをつぶすことによって
圧接を行った。このように外周部を圧接して、内部に熱
伝導性ブロックおよびウイックが配置された、全体のサ
イズが70mm×90mm×7mmの、外側がアルミニ
ウム製の気密性に優れたコンテナを作製した。更に、コ
ンテナの一部に注液・脱気のための口を設けて、作動流
体(純水)を注入し、脱気して、板型ヒートパイプを作
製した。
圧接された接合部の強度および気密性を試験したとこ
ろ、強度は、加圧試験において140kPaでもはがれ
ない強さであり、気密性は、Heリーク試験において、
リーク量1×10-9Pa・m3/s以下であった。上述
したように、この発明の板型ヒートパイプは、コンテナ
を形成する板材を所定の強度に維持し、接合強度が高
く、気密性が高い。
板材の強度を低下させることなく、接合強度が高く、気
密性の高い、長期信頼性に優れた板型ヒートパイプを提
供することができる。更に、この発明によると、ヒート
パイプを構成する部材点数を減少し、製造工程を簡略に
し、安価でかつ信頼性の高い、半導体素子等の高発熱量
の被冷却素子を冷却する板型ヒートパイプを製造するこ
とができる。
外周部の圧接の一例を説明する図である。
態様を説明する図である。
つの態様を説明する図である。
つの態様を説明する図である。
つの態様を説明する図である。
つの態様を説明する図である。
構成する部材を説明する図である。
外周部の圧接の他の一例を説明する図である。
つの態様を説明する図である。
の1つの態様を説明する図である。
Claims (15)
- 【請求項1】その表面に少なくとも1つの被冷却素子が
熱的に接続される板材と、前記板材と組合わされて内部
に空洞部を形成する別の板材とからなり、前記板材と前
記別の板材を組合わせた外周部を圧接することによって
形成される、その内部に作動流体が封入された気密性に
優れたコンテナを備えた板型ヒートパイプ。 - 【請求項2】前記板材と前記別の板材の外周部の圧接
が、圧下による金属接合によって行われることを特徴と
する、請求項1に記載の板型ヒートパイプ。 - 【請求項3】前記圧下によって、前記板材と前記別の板
材の外周部のそれぞれの接合面に新生面を形成し、前記
新生面どうしが圧着されて金属接合される、請求項2に
記載の板型ヒートパイプ。 - 【請求項4】前記板材および前記別の板材がクラッド板
材からなっている、請求項1から3の何れか1項に記載
の板型ヒートパイプ。 - 【請求項5】前記板材および前記別の板材の少なくとも
一方の板材に、深絞り、張り出し成形、または鍛造が施
されて、前記空洞部を形成する、請求項1から4の何れ
か1項に記載の板型ヒートパイプ。 - 【請求項6】前記板材の、前記少なくとも1つの被冷却
素子が熱的に接続される部分に凸部が形成されている、
請求項1から5に記載の板型ヒートパイプ。 - 【請求項7】その表面に少なくとも1つの被冷却素子が
熱的に接続される1つの主面としての板材と、別の主面
としての別の板材と、前記板材と前記別の板材の間に挟
まれて、内部に空洞部を形成する、側面としての枠状部
材とからなり、前記枠状部材を挟み込んだ前記板材およ
び前記別の板材の外周部を圧接することによって形成さ
れる、その内部に作動流体が封入された気密性に優れた
コンテナを備えた板型ヒートパイプ。 - 【請求項8】前記枠状部材を挟み込んだ前記板材および
前記別の板材の外周部の圧接が、圧下による金属接合に
よって行われることを特徴とする、請求項7に記載の板
型ヒートパイプ。 - 【請求項9】前記圧下によって、前記板材および前記別
の板材の外周部のそれぞれの接合面、ならびに、前記枠
状部材の接合面に新生面を形成し、前記新生面同志が圧
着されて金属接合される、請求項8に記載の板型ヒート
パイプ。 - 【請求項10】前記気密なコンテナ内にウイック部材が
備えられている、請求項1から9の何れか1項に記載の
板型ヒートパイプ。 - 【請求項11】前記気密なコンテナ内に熱伝導性部材が
備えられている、請求項1から10の何れか1項に記載
の板型ヒートパイプ。 - 【請求項12】前記熱伝導性部材が前記板材または前記
別の板材と一体的に形成されている、請求項11に記載
の板型ヒートパイプ。 - 【請求項13】前記圧接された外周部に更にろう付けま
たはハンダ付けが施される、請求項1から12の何れか
1項に記載の板型ヒートパイプ。 - 【請求項14】前記圧接された外周部に更に溶接が施さ
れる、請求項1から12の何れか1項に記載の板型ヒー
トパイプ。 - 【請求項15】請求項1から14の何れか1項に記載の
板型ヒートパイプの前記主面に被冷却素子が実装された
基板が接合され、前記別の主面にヒートシンクが接合さ
れ、更に、前記ヒートシンクに送風するファンが所定の
位置に備えられた、板型ヒートパイプの実装方法。
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