JP2002309496A - キャスト塗被紙およびその製造方法 - Google Patents

キャスト塗被紙およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、特に凝固法で生産されたキャスト
塗被紙において、キャスト鏡面仕上げ後のワインダー処
理工程、搬送工程等後工程において白紙光沢度の低下が
少なく面状に優れ、インキ乾燥性や耐ブロッキング性、
操業性に優れたキャスト塗被紙を提供することにある。 【解決手段】 原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び
接着剤を主成分とする塗被液を塗被した後、湿潤状態に
ある塗被層をキャストドラム鏡面に圧着、乾燥してなる
キャスト塗被紙において、接着剤として、スチレンモノ
マー40〜60重量%、ガラス転移温度が−15〜0℃
で、且つゲル含量が70%を超えて90%以下である合
成高分子共重合体ラテックスを含有することを特徴とす
るキャスト塗被紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャスト鏡面仕上
げ後のワインダー処理工程、搬送工程等後工程において
白紙光沢度の低下が少なく、面状に優れ、且つインキ乾
燥性や耐ブロッキング性、操業性に優れたキャスト塗被
紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般のコート紙より高い白紙光沢度と、
鏡面様の面状を有するキャスト塗被紙は、用途別に大別
すると、(1)一般印刷用途、(2)高級ショッピングバッグ
やブックカバー等に使用される袋用途、(3)粘着ラベル
の上紙として使用される粘着ラベル用途、(4)塩ビレザ
ーやウレタン工程紙の原紙として使用される工程紙用
途、(5)インクジェットプリンター用紙に使用されるイ
ンクジェット用途等に分けられる。
【0003】キャスト塗被紙は高い白紙光沢度が要求さ
れる他、求められる品質はそれぞれの用途で異なり、オ
フセット印刷に使用される一般印刷用途では、面状や印
刷表面強度、インキ乾燥性等印刷適性が要求される。袋
用途では、特に強い紙力と印刷表面強度が要求される。
粘着ラベル用途では、凸版印刷が主体であり一般に強い
表面強度は必要ないが、ピンホールのない良好な面状や
耐水性(耐ブロッキング性)が要求される。また、印刷
後巻き取った状態で印刷面のインキが剥離紙に付着し取
られるケースがあるためインキ乾燥性が速いことが望ま
れる。工程紙用途では、ピンホールのない良好な面状が
要求され、インクジェット用途では、インクの吸収性、
画像再現性等各種インクジェット適性が要求される。
【0004】一方キャスト塗被紙の製造方法も、原紙表
面に塗被液を塗被した後、塗被層を湿潤状態のまま直ち
にフォーミングロールによってキャストドラムに圧着さ
せる直接法と、塗被液を塗被した後、塗被層を凝固浴に
通し変形可能な可塑性を持ったゲル状態に凝固させた
後、キャストドラムに圧着させる凝固法と、塗被液を塗
被した後一旦乾燥させて乾燥塗被面を得、その後塗被面
を水または適当な再湿潤液で再湿可塑化させ、キャスト
ドラムに圧着させる再湿潤法に大別される。
【0005】直接法は、湿潤塗被層がキャストドラムに
圧着された際、塗料中の水分が急激に沸騰して塗被層を
破壊し、無数の微細なピンホールを発生させてしまうた
め、特にピンホールのない良好な面状が要求される粘着
ラベル用途や工程紙用途には好ましくなく、生産速度が
上がらないなどの操業性の問題がある。
【0006】再湿潤法は、塗被層を一旦乾燥された塗被
層を再湿潤するために可塑化の度合が他の方法に比べて
低い。そのため、塗被層が加熱ドラム面に均一に密着さ
れず、低速度下での操業においては比較的均一な強光沢
の塗被紙が得られるものの、高速度操業になるに従っ
て、光沢ムラやピンホールの斑点等が発生し、塗被面の
均質性に劣る問題がある。
【0007】凝固法は、再湿潤法のように塗被層を一旦
乾燥固化することなく、可塑性のあるゲル状態で凝固し
た後、キャストドラムに圧着、乾燥させるために嵩高
く、ポーラスで軟らかい塗被層を形成する特徴がある。
したがって、この凝固法で製造したキャスト塗被紙は、
キャストドラムの鏡面を写し取り易いため表面性に優
れ、直接法や再湿潤法よりも利点がある。しかし一方
で、塗被層が軟らかいため、外的な圧力に対して変形し
易く、例えば、任意の幅にカットして巻き取りを製品化
するワインダー処理工程において、ワインダードラムに
押し付けられて一定の加圧下で巻き取られる際、塗被層
が変形して白紙光沢度が低下する問題点がある。また巻
き取られる際に、幅方向で紙厚が厚い部分は巻径が厚く
なり、余計な集中加重を受けるため、その部分だけ白紙
光沢度が著しく低下する問題が生じる。その他、ワイン
ダー処理後においても、包装工程や製品の搬送、運搬工
程においても製品巻き取りを転がすことは避けられない
が、その際にも圧力を受けて塗被層が変形して、白紙光
沢度が低下する場合も起こる。近年では、より荷重のか
からない状態で、かつ低張力下で軟らかく巻き取りを巻
き取ることができるワインダーが使用されるようになっ
てきたため、白紙光沢度低下の問題もかなり改善される
ようになってきたが、特に凝固法で製造したキャスト塗
被紙では、依然としてワインダー処理工程、あるいはそ
れ以後の工程において、紙の幅方向の不均一性に起因す
る不均一な白紙光沢度低下が問題となっている。
【0008】キャスト塗被紙に求められる品質、操業性
を改善する対策として、塗工液中に使用するラテックス
を改善する試みが検討されてきている。例えば、特開昭
61-47895号公報では、モノマー中のスチレン含有量が2
4〜79%で、ゲル含量が45〜70%であるラテック
スを使用することによりフクレ、ドラムピック、ピンホ
ールに優れた塗工紙を提供する手法を認めている。しか
し、耐ブロッキング性に劣り、特に凝固法特有の問題点
であるワインダー処理工程以後に初めて発生する白紙光
沢度低下を抑えることができなかった。また、特開昭62
-850945号公報には、モノマー中のスチレン含有量が3
4〜69%で、ゲル含量が80〜95%であるラテック
スを使用することにより白紙光沢、耐ブロッキング性に
優れた塗工紙を提供する手法を認めている。しかしなが
ら、インキ乾燥性の改善や、特に凝固法特有の問題点で
あるワインダー処理工程以後に初めて発生する白紙光沢
度低下を改善することが不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況に鑑
み、本発明は、特に凝固法で生産されたキャスト塗被紙
において、キャスト鏡面仕上げ後のワインダー処理工
程、搬送工程等後工程において白紙光沢度の低下が少な
く面状に優れ、インキ乾燥性や耐ブロッキング性、操業
性に優れたキャスト塗被紙及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
を重ねた結果、原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び
接着剤を主成分とする塗被液を塗被した後、湿潤状態に
ある塗被層をキャストドラム鏡面に圧着、乾燥してなる
キャスト塗被紙において、接着剤として、スチレンモノ
マー40〜60重量%、ガラス転移温度が−15〜0℃
で、且つゲル含量が70%を超えて90%以下であるス
チレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有するキ
ャスト塗被紙及びその製造方法によって、本発明に到達
した。本発明においては、特に凝固法で生産されたキャ
スト塗被紙について、キャスト鏡面仕上げ後のワインダ
ー処理工程、搬送工程等後工程における白紙光沢度の低
下が少なく面状に優れ、インキ乾燥性や耐ブロッキング
性、操業性に優れたキャスト塗被紙を得ることができ
た。
【0011】本発明者等は、前記のごとくワインダー処
理工程以後の白紙光沢度低下を押さえる手段として、塗
被層の変形性を抑え、更に面状に優れ、インキ乾燥性や
耐ブロッキング性、操業性も良好にするためには、共重
合体ラテックスのスチレン配合量、ガラス転移温度、ゲ
ル含量のそれぞれ最適な範囲を規定することが有効であ
ることを見いだした。
【0012】本発明においては、スチレンブタジエン系
共重合体ラテックスとして、スチレンモノマーを40〜
60重量%の範囲内にすることが必要である。 スチレ
ンモノマーが40重量%より少ない場合には、ラテック
ス皮膜強度が軟らかくなり、変形し易くなるためワイン
ダー処理工程以後での白紙光沢度が低下した。また耐水
強度が低下し耐ブロッキング性も劣った。一方、スチレ
ンモノマーが60重量%を越える場合には、ラテックス
皮膜強度は更に高くなり、ワインダー処理工程以後での
白紙光沢度の低下はより少なくなるが、操業時にキャス
トドラムからの離型性(剥離性)が悪化し、ドラムピッ
クが多発し操業性が低下した。スチレン・ブタジエン系
共重合体ラテックスのガラス転移温度は、−15〜0℃
であることが重要である。ガラス転移温度が−15℃よ
り低い場合には、ワインダー処理工程以後での白紙光沢
度が低下し、0℃より高い場合には、インキ乾燥性が遅
くなった。また、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテ
ックスのゲル含量は、70〜90%であることが重要で
ある。ゲル含量が70%以下の場合には耐ブロッキング
性が劣り、90%を越えるとラテックス皮膜強度が低下
し、ピンホールやドラムピックが多発し操業性が低下し
た。本発明のゲル含量は、好ましくは75〜90%であ
る。
【0013】また、本発明の共重合体ラテックスは、モ
ノマーとしてアクリロニトリルを1〜20重量%含有す
ることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%含有
する。1重量%未満の場合、ピンホールやドラムピック
が多発し易く、ワインダー処理工程以後での白紙光沢度
が低下する傾向にあった。20重量%を超えるとインキ
乾燥性が遅くなる傾向にあった。
【0014】本発明においては、インキ乾燥性と表面強
度を良好にするために、共重合体ラテックスを顔料10
0重量部に対して、10〜30重量部配合することが好
ましく、より好ましくは18〜24重量部である。
【0015】また、本発明においては、更に接着剤とし
てカゼインを顔料100重量部に対して1〜8重量部が
好ましく、より好ましくは3〜8重量部が好ましい。カ
ゼインが1重量未満の場合、ドラムピック等が発生し、
操業性が低下し易い。カゼインが8重量部を越えるとイ
ンキ乾燥性が遅くなり、劣る傾向にある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に使用する顔料としては、
軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、
クレー、酸化亜鉛、タルク、シリカ、サチンホワイト、
二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、プラス
チックピグメント等を1種以上使用することができる。
【0017】本発明に使用する接着剤としては、スチレ
ン・ブタジエン系共重合体ラテックス以外に、カゼイ
ン、大豆蛋白や合成蛋白、ポリビニルアルコール、酸化
デンプン、エステル化デンプン等のデンプン類、カルボ
キシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース誘導体澱粉、ポリビニルピロリドン、ゼ
ラチン、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、酢酸
ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹
脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン等の中から適宜選択し
て使用することができ、1種以上を併用しても良い。
【0018】本発明の塗被液には、分散剤、離型剤、増
粘剤、保水剤、消泡剤、防腐剤、耐水化剤等の通常使用
される各種助剤を使用しても良い。離型剤としてはステ
アリン酸カルシウム等脂肪酸もしくは高級脂肪酸の金属
塩、脂肪酸アミド、高級アルコール、ワックスエマルジ
ョン、ポリエチレンエマルジョン、ノニオン系界面活性
剤等を使用することができる。
【0019】本発明で使用するキャスト用原紙として
は、一般の印刷用塗被紙やキャスト塗被紙に用いられる
坪量50〜400g/m2の原紙であり、目的により上
質紙、中質紙を選択して使用する。また原紙の片面ある
いは両面に、一般の顔料と接着剤を有する塗被液を塗被
した塗被紙も原紙として使用できる。
【0020】キャスト用原紙に塗被液を塗被する方式と
しては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロー
ルコーター、コンマコーター、ブラッシュコーター、キ
スコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、バ
ーコーター、グラビアコーター等の公知の塗工機を用い
た方法の中から適宜選択することができる。キャスト用
原紙への塗被量は、原紙の片面当たり固形分で15〜3
5g/m2の範囲で塗被するのが好ましい。
【0021】かくして原紙上に形成された塗被層は、湿
潤状態で加熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥されて製造
される。湿潤状態の塗被層を鏡面ドラムに圧着・乾燥す
る方法としては、塗被後の未乾燥状態のままキャストド
ラムに圧着する直接法、塗被後に凝固液で塗被層をゲル
状態にして圧着する凝固法、あるいは塗被後一旦乾燥し
た塗被層に再湿潤液により可塑化して圧着する再湿潤法
を用いることができる。
【0022】本発明においては、特に湿潤状態の塗被層
を凝固液でゲル化させて鏡面ドラムに圧着・乾燥する凝
固法が、嵩高で表面性に優れ、ワインダー処理工程等で
の白紙光沢度を抑える効果に優れるため好ましい。この
場合の凝固液としては、凝固剤を水溶液等に溶解したも
のでああり、凝固剤としては、ギ酸、酢酸、リンゴ酸、
イタコン酸、アクリル酸、クエン酸、乳酸、塩酸、硫
酸、炭酸、ほう酸等の酸、及びこれらのカルシウム、亜
鉛、バリウム、鉛、カリウム、ナトリウム、カドミウ
ム、アルミニウム等との塩、及びほう砂等を使用するこ
とができるが一般的であるが、ギ酸塩を使用することが
好ましく、その中でもギ酸に酸化亜鉛を混合したものが
好ましい。また凝固液中にも塗被液中に用いた各種離型
剤を適宜使用することが可能である。
【0023】本発明のキャスト塗被紙は、製品水分を1
〜4%にすることが好ましい。製品水分が1%未満の場
合、カール等が発生し操業性に劣る傾向にある。また、
4%を超えるとドラムピックが発生し、操業性に劣る傾
向にある。
【0024】また、本発明のキャスト塗被紙は、特に粘
着用ラベル用途に適しており、その他の用途にも利用す
ることができる。
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示す
が、これらによって本発明は何等制約を受けるものでは
ない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部および
重量%を示す。 〈品質評価方法〉 (1)ラテックスガラス転移温度 20℃、65%(相対湿度)でラテックスフィルムを作
成し、その20mgを示差走査熱量測定装置(DSC 6200
R:セイコーインスツルメンツ(株)製)で昇温速度5
℃/min、測定温度0〜100℃で得られる特性曲線から
算出した。 (2)ラテックスのゲル含量 ラテックス約0.3gをスライドグラス上に薄く広げ、
50℃の乾燥機でフィルムとなるまで乾燥する。ラテッ
クスフィルムを約50mlのトルエン中に一昼夜浸せき
し、ガラスフィルターでろ過後、ろ液を105℃の乾燥機
で乾燥して、トルエン可溶分の重量を測定する。ここで
得られたトルエン可溶分の重量から、次式によりゲル含
量を算出する。 ゲル含量(%)=(乾燥フィルム重量−トルエン可溶分
重量)×100/乾燥フィルム重量 (3)白紙光沢度低下評価 ワインダー処理前後の白紙光沢度をJIS P-8142に従い角
度75°で測定した。 (4)インキ乾燥性 RI−II型印刷機(明製作所製)を用い、東洋インキ
製TKマークVニュー617(墨)を使用し、インキ量0.
5ml一定で印刷後、45秒後に印刷サンプルを転写紙
(上質コ−ト紙)に転写する。転写紙の白色度の低下度
合いを目視で相対評価した。白色度の低下度合いの大き
いものはインキ乾燥性が遅く劣る。
【0026】 ◎=インキ乾燥性非常に優れる。 ○=インキ乾燥性優れる。 △=インキ乾燥性劣る。
【0027】 ×=インキ乾燥性著しく劣る。 (5)耐ブロッキング性:ガラス板にラップを貼り固定す
る。その上に試料を両面テープで貼り付ける。試料を貼
り付けたガラス板を実験台上に置き、40cm離れた場所
から霧吹きを用いて5回霧を吹きかける。その上から別
に用意したラップを貼ったガラス板を置き、その上に1.
0kgのおもりを乗せて1時間恒温室内で放置した後ガラ
ス板をはがす。
【0028】試料がブロッキングした状態を目視で相対
評価した。 ◎=ブロッキングほとんど発生しない。 ○=ブロッキングわずかに発生する。
【0029】 △=ブロッキング発生多い。 ×=ブロッキング発生が著しい。 (6)操業性評価:15時間連続操業した時点において、
キャスト塗被層の一部がキャストドラム表面に取られ微
小なピンホール(ドラムピック)が発生している状態を
目視で相対評価した。
【0030】 ◎=ドラムピックなし。 ○=ドラムピックがわずかに発生する。 △=ドラムピックの発生多い。
【0031】 ×=ドラムピックの発生が著しい。 [実施例1]カオリン70部及び軽質炭酸カルシウム3
0部を分散剤を用いて水に分散させ固形分濃度60%の
顔料スラリーを調製した。これに消泡剤としてトリブチ
ルフォスフェート0.2部を加え、アンモニアを用いて溶
解したカゼイン水溶液(固形分濃度18%)5部及び、
モノマー中のスチレン含有量が42%、アクリロニトリ
ル含有量が7%、ガラス転移温度が−12℃、ゲル含量
が75%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテッ
クス20部を加え、離型剤としてワックスエマルジョン
を2部、ポリエチレンエマルジョンを0.5部を配合し、
最後に水、アンモニアを加えて固形分濃度50%、pH
を10に調整した。
【0032】また凝固液として、ギ酸カルシウム水溶液
に、絶乾当たりギ酸カルシウム100%に対し酸化亜鉛
45%、ギ酸61%(有機酸塩中の有機酸亜鉛46%)
を配合し、離型剤としてワックスエマルジョン0.3部
及びノニオン系乳化剤0.2部添加した後、固形分濃度
15%の凝固液を調製した。
【0033】上記の方法により調製した塗被液を用い、
坪量69g/m2の広葉樹晒しクラフトパルプ単独配合原紙
の片面に、乾燥塗被量が20g/m2となるように塗被液を
ロールコータで塗被し、湿潤状態にある塗被層を凝固液
に接触させて塗被層を凝固させた後、直径750mmのプレ
スロールと表面温度105℃、直径3000mmのキャストドラ
ムにプレス圧150kg/cmで圧着し、乾燥後テークオフロー
ルでキャストドラムから剥離してキャスト塗被紙を得
た。キャスト塗被紙の製品水分は3.0%であった。 [実施例2]モノマー中のスチレン含有量が55%、ガ
ラス転移温度が−5℃、ゲル含量が85%であるスチレ
ン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用した以外は
実施例1と同様にキャスト塗被紙を得た。 [比較例1]モノマー中のスチレン含有量が35%であ
るスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用し
た以外は実施例1と同様にキャスト塗被紙を得た。 [比較例2]モノマー中のスチレン含有量が70%であ
るスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用し
た以外は実施例1と同様にキャスト塗被紙を得た。 [比較例3]ガラス転移温度が−20℃であるスチレン
・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用した以外は実
施例1と同様キャスト塗被紙を得た。 [比較例4]ガラス転移温度が5℃であるスチレン・ブ
タジエン系共重合体ラテックスを使用した以外は実施例
1と同様にキャスト塗被紙を得た。 [比較例5]ゲル含量が65%であるスチレン・ブタジ
エン系共重合体ラテックスを使用した以外は実施例1と
同様にキャスト塗被紙を得た。 [比較例6]ゲル含量が95%であるスチレン・ブタジ
エン系共重合体ラテックスを使用した以外は実施例1と
同様にキャスト塗被紙を得た。
【0034】以上の結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、実施例1、2
は、ワインダー前後での白紙光沢度低下幅が少なく、ワ
インダー処理後においても高い白紙光沢度を維持してい
る。また、耐ブロッキング性、インキ乾燥性、操業性に
も優れる。
【0037】これに対して比較例1は、ワインダー処理
後に白紙光沢度が大きく低下し、耐ブロッキング性に劣
る。比較例2は、操業性が劣る。比較例3は、ワインダ
ー処理後に白紙光沢度が大きく低下する。比較例4は、
インキ乾燥性が劣る。比較例5は、耐ブロッキング性が
劣る。比較例6は、操業性が劣る。
【0038】
【発明の効果】本発明により、特に凝固法で生産された
キャスト塗被紙において、キャスト鏡面仕上げ後のワイ
ンダー処理工程、搬送工程等後工程において白紙光沢度
の低下が少なく面状に優れ、インキ乾燥性や耐ブロッキ
ング性、操業性に優れたキャスト塗被紙を得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 宏明 山口県岩国市飯田町2丁目8番1号 日本 製紙株式会社岩国工場内 Fターム(参考) 4L055 AG12 AG27 AG54 AG63 AG74 AG76 AG89 AH37 AJ04 BE08 EA20 EA32 EA33 FA12 FA15 FA30 GA20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び
    接着剤を主成分とする塗被液を塗被した後、湿潤状態に
    ある塗被層をキャストドラム鏡面に圧着してなるキャス
    ト塗被紙において、接着剤として、スチレンモノマー4
    0〜60重量%、ガラス転移温度が−15〜0℃で、且
    つゲル含量が70%を超えて90%以下であるスチレン
    ・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有することを特
    徴とするキャスト塗被紙。
  2. 【請求項2】 スチレンブタジエン系共重合体がアクリ
    ロニトリルモノマーを1〜20重量%含有することを特
    徴とする請求項1記載のキャスト塗被紙。
  3. 【請求項3】 接着剤としてカゼインが顔料100重量
    部に対して3〜8重量部含有することを特徴とする請求
    項1に記載のキャスト塗被紙。
  4. 【請求項4】 原紙の少なくとも一方の面に、顔料及び
    接着剤を主成分とする塗被液を塗被した後、湿潤状態に
    ある塗被層をキャストドラム鏡面に圧着、乾燥してなる
    キャスト塗被紙の製造方法において、原紙の少なくとも
    一方の面に、接着剤として、スチレンモノマー40〜6
    0重量%、ガラス転移温度が−15〜0℃で、且つゲル
    含量が70〜90%であるスチレン・ブタジエン系共重
    合体ラテックスを含有する塗被液を塗被した後、湿潤状
    態にある塗被層を凝固液で凝固させた後、キャストドラ
    ム鏡面に圧着してなるキャスト塗被紙の製造方法。
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