JP2002309458A - ゴム補強用ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ゴム補強用ポリエステル繊維およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ゴム補強材料として好適なポリエステル繊維お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】エポキシ化合物が付与されたポリエステル
繊維であって、下記(a)〜(d)の特性を同時に満足
することを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維 (a)破断強度が5cN/dtex以上 (b)150℃×30分時乾熱収縮率が13%以下 (c)温度〜収縮応力曲線における最大収縮応力時温度
が200℃以下 (d)原糸を220℃×1.5分(張力0.6cN/d
tex)で熱処理した後の1.32cN/dtex張力
時中間伸度と150℃×30分時乾熱収縮率の和である
寸法安定度が6.5%以下、および、溶融紡糸されたポ
リエステル繊維糸条に、エポキシ化合物を含有する処理
剤を付与し、ローラーにより延伸熱処理を施した後、糸
条を巻取る直接紡糸延伸法において、紡出糸の引取速度
が2000m/分以上であり、熱処理ローラーの表面温
度が160〜210℃であることを特徴とするゴム補強
用ポリエステル繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維お
よびその製造方法に関するものである。詳しくは、タイ
ヤ、ホース、ベルト等ゴム構造物の補強材料に用いるポ
リエステル繊維にエポキシ化合物を含む処理剤を付与し
たゴム補強用ポリエステル繊維、および該ポリエステル
繊維を高い生産性にて製糸性良く安定して生産するため
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステル繊維は高強度、寸法安定性に優れる等の
物理特性を有し、かつ耐疲労性にも優れているため、ゴ
ム構造物の補強材料として好ましいものである。ポリエ
ステル繊維をタイヤ、ホース、ベルト等のゴム構造物補
強材として用いることは周知であり、これら用途での必
要特性である強力、寸法安定性や耐疲労性を向上させた
ポリエステル繊維に関して、特開平3−97914号公
報や特開昭59−15513号公報等で提案されてい
る。
【0003】しかし、ポリエステル繊維はナイロンやレ
ーヨン等に比べゴム類との接着性が悪く、このことがポ
リエステル繊維のゴム構造物補強用途において大きな欠
点であり、高い接着性を必要とする分野への展開を困難
としている。この欠点を解決すべく、エポキシ化合物、
イソシアネート化合物、エチレンウレア化合物等を繊維
に付与し、ゴム構造物との接着性を向上させる方法が提
案されてきている。これらの方法として、例えば、特開
昭49−25222号公報では、未延伸のポリエステル
繊維に、グリセリングリシジルエーテルとシアングアニ
ジンを含有する処理液を付与した後、150℃以上で加
熱延伸するといった技術が開示されている。また、特開
昭61−12970号公報では、ポリエステル繊維の紡
糸工程および/または延伸工程でエポキシ化合物を付与
し、熱セットした後、平滑剤と活性剤および、これらの
分離を防ぐ水を含有した油剤を付与する技術が提案され
ている。
【0004】これらの従来技術においては、熱処理時に
加熱されたローラーやプレート等の表面にエポキシ化合
物等の熱劣化物堆積が発生し、製糸操業性が悪化すると
いった問題が発生する。紡出した糸条を一旦巻き取るこ
となく延伸熱処理を施す直接紡糸延伸法での製造は困難
であり、生産効率が非常に悪いと言った問題があった。
加えて、ゴム補強用途のポリエステル繊維において重要
な特性である高次加工後の高寸法安定性を達成するため
には、紡出糸条を2000m/分以上の高速で引取るこ
とが必要であり、この糸条の延伸熱処理を一旦巻き取る
ことなく行う直接紡糸延伸法では走行糸条の延伸速度が
4000〜7000m/分程度となり、更なる製糸性の
悪化を導く。
【0005】特開昭52−96234号公報では、30
00m/分以上の引取速度で引取ったポリエステル未延
伸糸の表面に接着活性を付与する処理剤で処理した後延
伸する方法が提案されているが、この実施例中では紡出
糸条を一旦巻取り、別工程において低速(実施例中では
110〜560m/分)で延伸する2工程法が取られて
いる。そのため、生産効率が非常に悪いことがわかる。
また、この2工程法では、我々が求める繊維の高強度、
高寸法安定性などの物性を得ることはできなかった。
【0006】これに対し、特開昭58−46178号公
報では、加熱水蒸気による熱処理を行った後、接触式加
熱を行うといった方法が提案されているが、高速紡糸に
おいては水蒸気による処理時間が非常に短くなり、熱劣
化物堆積抑制に大きな効果は得られない。
【0007】また、特開平8−113877号公報では
直接紡糸延伸法において延伸熱処理した後にエポキシ化
合物を含有した仕上油剤を付与する方法が提案されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法によ
って得られた繊維は目標とする接着性を得られないこと
が認められた。延伸熱処理を施した後にエポキシ化合物
を付与しているため、、延伸熱処理後、繊維の結晶性が
増加し、エポキシ化合物の繊維内部への拡散が困難とな
り、繊維表面に形成される接着剤槽と繊維との結合力が
低下するためと考えられる。これに加えて、この方法で
は設備および作業が複雑になり生産コストが増加してし
まうといった問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結
果、達成されたものである。従って、本発明の目的は、
高い生産能力で製糸性良く製造でき、かつゴムとの接着
性および強力保持率、寸法安定性に優れることに加え、
ディップ処理等が施された処理コードにおいて物性バラ
ツキが軽減された、ゴム補強材料として好適なポリエス
テル繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のゴム補強用ポリエステル繊維は、エポキ
シ化合物が付与されたポリエステル繊維であって、下記
(a)〜(d)の特性を同時に満足することを特徴とす
る。 (a)破断強度が5cN/dtex以上 (b)150℃×30分時乾熱収縮率が13%以下 (c)温度〜収縮応力曲線における最大収縮応力時温度
が200℃以下 (d)原糸を220℃×1.5分(張力0.6cN/d
tex)で熱処理した後の1.32cN/dtex張力
時中間伸度と150℃×30分時乾熱収縮率の和で示す
寸法安定度が6.5%以下。
【0011】なお、本発明のゴム補強用ポリエステル繊
維において、以下の(1)〜(4)が好ましい条件であ
り、これらを適用することにより更に優れた効果を期待
することができる。 (1)温度〜収縮応力曲線における最大収縮応力が0.
45〜0.60cN/dtexであること。 (2)破断強度が6cN/dtex以上であること。 (3)熱収縮応力曲線における最大収縮応力時温度が1
97℃以下であること。 (4)ポリエステル繊維がポリエチレンテレフタレート
を主たる繰り返し単位とするポリエステルからなるこ
と。
【0012】また、本発明のゴム補強用ポリエステル繊
維の製造方法は、溶融紡糸されたポリエステル繊維糸条
に、エポキシ化合物を含有する処理剤を付与し、ローラ
ーにより延伸熱処理を施した後、糸条を巻取る直接紡糸
延伸法において、紡出糸の引取速度が2000m/分以
上であり、熱処理ローラーの表面温度が160〜210
℃であることを特徴とする。
【0013】なお、本発明のゴム補強用ポリエステル繊
維の製造方法において、以下の(5)〜(6)が好まし
い条件であり、これらの条件の適用により更に優れた効
果を期待することができる。 (5)延伸が表面温度65〜155℃である引取ローラ
ーと1対または複数の延伸ローラー間にて施されるこ
と。 (6)表面温度160〜210℃の熱処理ローラーを2
対以上使用して熱処理を施すこと。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のゴム補強用ポリエ
ステル繊維について詳細に説明する。本発明のポリエス
テル繊維は、分子鎖中にエチレンテレフタレート繰り返
し単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上含
むポリエステルで構成される。係るポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレートなどあるが、なかでもポリエチレンテレフタレ
ートが好適である。また、本発明の構成要件および目的
を損なわない範囲において、ポリエチレンテレフタレー
トに従来公知の酸成分、グリコール成分を共重合させて
も、また安定剤等の添加剤を添加しても差し支えない。
前記共重合成分としては、例えばイソフタル酸、アジピ
ン酸等が挙げられる。また、前記グリコール成分として
は、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリメチレングリコール等が挙げられ
る。
【0015】次に、本発明で用いるエポキシ化合物と
は、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のエポキ
シ基を有するものであり、具体的には、グリセロ−ルポ
リグリシジルエ−テル、ジグリセロ−ルポリグリシジル
エ−テル、ポリグリセロ−ルポリグリシジルエ−テル、
ソルビト−ルポリグリシジルエ−テル、ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグ
リシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、ビスフェ
ノールA型ジグリシジルエーテル、レゾルシノール型ジ
グリシジルエーテル、ヒドロキノン型ジグリシジルエー
テル、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテレフタ
レート、N−グリシジルフタルイミド等の芳香族エポキ
シ化合物、及びポリブタジェンジグリシジルエーテル、
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の高分子エポキ
シ化合物等が挙げられる。
【0016】本発明のポリエステル繊維の破断強度は5
cN/dtex以上、好ましくは6cN/dtex以上
である。破断強度が5cN/dtex未満の場合にはゴ
ム構造物の補強効果が不十分となる。
【0017】また、150℃×30分時乾熱収縮率が1
3%以下であることが必要である。乾熱収縮率が13%
を越える場合、ディップ処理等の後加工を施しても、必
要とされる寸法安定性が得られず、ゴム構造物の寸法の
変化や形状の悪化を引き起こすため好ましくない。
【0018】更に、本発明のポリエステル繊維の熱収縮
応力曲線における最大収縮応力時温度は200℃以下で
あることが必要であり、好ましくは197℃以下であ
る。該温度が200℃を越える場合には、該原糸の熱セ
ット性が悪くなり、ディップ処理工程において多量の熱
を付与しないと目標とする寸法安定性を得られないとい
ったコスト面からの問題が発生するため好ましくない。
【0019】原糸を220℃×1.5分(張力0.6c
N/dtex)で熱処理した後の1.32cN/dte
x張力時中間伸度と150℃×30分時乾熱収縮率の和
で示す寸法安定度が6.5%以下であることが必要であ
る。寸法安定度が6.5%を越える場合には、ディップ
処理等における熱処理後の収縮が大きすぎることによ
り、ホースやベルト等のゴム構造物が変形し、形状が悪
化してしまう。もしくは、熱処理後の中間伸度が高すぎ
ることにより、例えばホースにおいては、ホースの膨張
し易くなり圧力伝達が悪化する、またベルトにおいて
は、ベルトが低応力で変形し易くなり、応力伝達が低下
してしまうなどといった不具合が生じるため好ましくな
い。
【0020】更に、ディップ処理工程において、コード
化された該繊維の張力が高くなるため、処理機間の処理
コード物性バラツキといった不具合を減少させ、安定し
て処理コードを生産できるといった利点から、温度〜収
縮応力曲線における最大収縮応力が0.45〜0.60
cN/dtexであることが好ましい。
【0021】上記の優れた特性を具備する本発明のゴム
補強用ポリエステル繊維は、以下に例示する製造方法に
より製造することができる。
【0022】まず、ポリエステルチップをエクストルー
ダ型押出機に供給して溶融チップとなし、続いて紡糸口
金から紡糸する。紡糸された糸条はチムニー冷風により
冷却固化される。ここにおける冷却方法は、環状式の冷
却方式が好ましい。
【0023】次に紡出糸条を温度を300〜350℃、
長さを10〜75cmの範囲の口金下加熱域を通し、更
により安定した品位で目的のポリエステル繊維を得るた
めに、加熱域に続く無加熱域、つまり保温領域を長さ1
〜30cmの範囲で設けることが好ましい方法である。
【0024】次いで、エポキシ化合物を含有した処理剤
を該紡出糸条に付与する。エポキシ化合物を含有する処
理剤の付与は、ポリエステル繊維が未延伸状態において
なされることが重要である。これは、繊維が未延伸状
態、すなわち結晶化があまり進行していない状態にて付
与することで、繊維内へのエポキシ化合物の浸透が比較
的容易に生じるため、ゴム構造物との接着性が向上する
と考えられる。
【0025】また、エポキシ化合物は紡糸油剤に含有さ
せて糸条に付与することが、設備の簡略化のため好まし
い。
【0026】エポキシ化合物を含有する処理剤の糸条へ
の付与方法に特に限定はなく、例えばガイド方式、オイ
リングローラー、スプレー、浸漬等の方法で付与でき
る。
【0027】続いて、本発明の製造方法においては、該
糸条は引取速度は2000m/分以上で引取る必要があ
る。2000m/分を下回ると、目的とする繊維の寸法
安定性を得ることが困難となる。
【0028】次に、引取られた未延伸糸は、生産効率向
上のため一旦巻取られることなく延伸される必要があ
る。該未延伸糸は引き続いて延伸域に移送される。ここ
で、表面温度が65〜155℃である引取ローラーと1
対または複数の延伸ローラー間にて延伸されることが好
ましい。この温度範囲内で延伸がなされることで、より
安定した品質と品位にて、目的とする繊維を製造するこ
とができる。また、更なる品位向上の点から2段以上の
多段延伸することが好ましく、目的とする繊維物性を得
るために、この延伸過程において該糸条は1.5〜2.
6倍に延伸されることが好ましい。この延伸終了後に、
該糸条に表面温度が160〜210℃の熱処理ローラー
にて熱処理を施すことが重要である。この温度が160
℃未満では、繊維に単糸切れが多くなって製糸操業性が
著しく低下するばかりか、目標とする強力および乾熱収
縮率が得られない。また、210℃を越えると、熱処理
ローラー表面へのエポキシ化合物の熱劣化物堆積が促進
されるため、該ローラーと繊維の摩擦抵抗が増加し、糸
切れ、単糸切れ増加という、製糸操業性悪化を引き起こ
す。また、この樹脂膜が形成されることにより、繊維へ
の熱伝導率が低下し、安定した繊維の品質を得ることが
困難となる。更に、より効果的に熱処理を行い、品位良
く本発明のゴム補強用ポリエステル繊維を製造するに
は、表面温度160〜210℃の熱処理ローラーが2対
以上の複数使用され、熱処理を施すことが好ましい。こ
こでは採用する工程によって、糸条を定長で熱処理だけ
行っても、若干のストレッチや緩和処理を施しても構わ
ない。なお、延伸ローラーとは延伸繊維糸条に延伸を施
すローラーのことであり、熱処理ローラーとは160〜
210℃の高温熱処理を施すものをいうが、設備簡略化
の点から、延伸に使用する最後の延伸ローラーを160
〜210℃の熱処理ローラーに使用しても構わない。
【0029】次いで、非加熱ローラに捲回されて0.5
〜6%程度の弛緩処理が施されることが好ましい条件で
あり、その後、4000〜7000m/分程度の速度で
巻取機によって巻取られる。
【0030】上記のような紡糸・延伸条件を採用するこ
とで、ゴム構造物との接着性および強力、寸法安定性の
優れたポリエステル繊維を得ることができる。
【0031】従って、上記した本発明のゴム補強用ポリ
エステル繊維の製造方法によれば、糸条の品質を安定さ
せるとともに、ゴム構造物との優れた接着性と高強力保
持率および高寸法安定性を有することに加え、ディップ
処理等が施された処理コードにおいて物性バラツキが軽
減された、ゴム補強用途において極めて有用なポリエス
テル繊維を効率的に得ることができる。
【0032】更には、本発明のゴム補強用ポリエステル
繊維の製造方法では、従来の設備や作業を複雑化するこ
となく高生産効率で、ゴム補強用途に好適なポリエステ
ル繊維を得ることができる。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。実施例および比較例における各測定値は次の方法に
従って測定したものである。
【0034】本発明のゴム補強用ポリエステル繊維の延
伸糸の物性および製糸性の評価は以下の通りである。
【0035】[破断強度]株式会社オリエンテック社製
テンシロン引張試験機を用い、JIS L−1017
(1995)に従って測定した。
【0036】[乾熱収縮率]試料をかせ状に取り、20
℃、65%RHの温調室に24時間以上放置した後、
0.088cN/dtexの荷重をかけて測定された長
さL0の試料を、無荷重で150℃のオーブン中で30
分間熱処理する。その後、該オーブンから取り出して前
記温調室にて4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定
した長さL1から、次式により算出した。 乾熱収縮率ΔS=[(L0−L1)/L0]×100。
【0037】[熱処理後の寸法安定度]試料をかせ状に
取り、0.6cN/dtexの張力をかけ、220℃の
オーブン内で1.5分間熱処理した後、1.32cN/
dtex張力時中間伸度と150℃×30分時乾熱収縮
率を測定し、これらの和を寸法安定度とする。中間伸度
は、株式会社オリエンテック社製テンシロン引張試験機
を用い、1.32cN/dtex張力時の伸度を測定
し、乾熱収縮率は前記と同様の方法で測定した。
【0038】[熱収縮応力曲線における最大収縮応力お
よび最大収縮応力時温度]加熱炉内に試長25cmでセ
ットし、室温から150℃未満の間で昇温速度10℃/
分、150℃から250℃の間で昇温速度3℃/分で測
定した熱収縮応力曲線より求めた。
【0039】[固有粘度(IV)]オストワルト゛粘度計
を用いて、オルソクロロフェノール100mlに対し、
試料3gを溶解した溶液の相対粘度ηrpを25℃で測
定し、次の近似式によりIVを算出した。 IV=0.0242ηrp+0.2634 (但し、η
rp=(t×d)/(t0 ×d0)) t :溶液の落下時間(秒) t0:オルソクロロフェノールの落下時間(秒) d :溶液の密度(g/cc) d0:オルソクロロフェノールの密度(g/cc)。
【0040】[ローラー汚れの評価]加熱ローラー表面
に熱劣化物が堆積し、製糸が困難となり、ローラー表面
の清掃が必要となる間での時間を測定し、これにより評
価した。 ○:24時間以上、×:24時間未満。 [製糸性の評価]24時間の製糸において、下記の通り
糸切れ回数により製糸性を評価した。 ○:0回、△:1〜2回、×:3回以上。
【0041】また、後述する方法にて得られた処理コー
ドの物性は以下の評価により得た。 [破断強度および強力保持率]処理コードの破断強度は
上記した延伸糸の測定方法Aと同様の手法により測定し
た。また、強力保持率Kは次式より算出した。 K=(Tc/Td)×100 Td:延伸糸の破断強度(cN/dtex) Tc:処理コードの破断強度(cN/dtex)。
【0042】[中間伸度および標準偏差]株式会社オリ
エンテック社製テンシロン引張試験機を用い、JIS
L−1017(1995)に従い、1.32cN/dt
ex張力時の伸度をn=10にて測定し、その平均値を
中間伸度とした。また、n=10の標準偏差を求めた。
【0043】[乾熱収縮率および標準偏差]上記した延
伸糸の測定方法と同様の手法によりn=10にて測定
し、その平均値を中間伸度とした。また、n=10の標
準偏差を求めた。
【0044】[接着力および標準偏差]各実施例および
比較例により得られた処理コードをアルミ板に巻いた
後、片面にEPDM未加硫ゴムを貼り付け、加圧化で1
60℃、60分間プレス加硫を行った。放冷後アルミ板
を抜き、コードを加硫ゴムから引張速度50mm/分で
剥離させ、その最大応力を接着力とし、n=10の平均
値を表1中に記載した。また、n=10の標準偏差を求
めた。
【0045】[実施例1〜3および比較例1〜3]固有
粘度が1.2のポリエチレンテレフタレートチップを、
エクストルーダ型溶融紡糸装置に供給し、吐出口径が
0.6φおよび吐出孔数240本の紡糸口金にてポリエ
チレンテレフタレート繊維を紡出する。該紡出糸にオイ
リングローラーにて紡糸油剤中にエポキシ化合物であ
る”デナコール”EX−512(ポリグリセロールポリ
グリシジルエーテル:長瀬化成工業株式会社)を該紡糸
油剤である水エマルジョン液に対し、5重量%含有させ
た処理剤を付与した。ここで、該紡糸油剤にはジオレイ
ルアジペートおよび硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付
加物(エチレンオキサイド付加モル数が15モル)を、
それぞれ6:4の重量比率で配合した油剤の20%水エ
マルジョン液を用いた。ここで、該紡糸油剤の油分付着
量が繊維重量に対し約0.6重量%付着するようにオイ
リングローラーの回転数を設定した。その後、該糸条を
表1中の条件にて、引取ローラー(1FR)によって引
取り、該糸条を一旦巻き取ることなく連続して延伸し
た。延伸は表1に示す温度および延伸倍率にそれぞれ設
定された1FR、第1延伸ローラー(1DR)および第
2延伸ローラーの3対のローラーにて2段延伸する。こ
こで第2延伸ローラーは第1熱処理ローラーとしても使
用した(以下第2延伸ローラーを2D・1HRと表示す
る)。続いて、2D・1HRと同じ温度および速度に設
定された第2熱処理ローラー(2HR)を経て、次の非
加熱の弛緩ローラーにて1%の弛緩処理を施し巻取っ
た。1FRと1DR間で1段延伸、1DRと2D・1H
R間で2段延伸を行い、2D・1HRおよび2HRにお
いて熱処理を施した。このとき、巻取られた延伸糸の繊
度が約1100dtexとなるように条件を設定した。
上記で得られた該延伸糸(繊度1100dtex、短繊
維数240本)を合撚して総繊度2200dtexの生
コード、1100dtex//2、撚数8T/10cm
を得た。
【0046】一方、苛性ソーダ水溶液、アンモニア水溶
液を加えた水に酸性溶液で反応せしめたレゾルシン・ホ
ルマリン初期縮合物:スミカノール700(住友化学株
式会社製、65%水溶液を添加して十分に攪拌し分散さ
せる。次に、”ニッポール”2518FS(日本ゼオン
株式会社製、ビニルピリジン・スチレン・ブタジェンポ
リマー水乳化物)を、前記レゾルシン・ホルマリン初期
縮合分散液と固形分比率で1:4(重量比)、さらに、
ホルマリンをR/F比が1:2(モル比)となるように
添加して均一に混合し、20℃の温度で24時間熟成さ
せた。使用直前に”デナボンド”E(長瀬化成工業株式
会社製、特殊クロロフェノール化合物20%溶液)を、
RFLと固形分比率で1:2.5(重量比)となるよう
に添加し、十分攪拌して調整した。なお、該処理剤の粘
度、付着量コントロールは処理剤への水の添加希釈によ
り調節した。
【0047】次いで、コンピュートリーター処理機(リ
ッツラー社製)を用いて、該生コ−ドを上記RFL処理
液に浸漬処理した後、温度130℃で60秒の乾燥した
後、温度240℃で60秒の熱処理を行って処理コ−ド
を得た。RFL処理液の生コード付着量は3.0重量%
とした。かくして得られた延伸糸および処理コードの特
性を表1に示す。
【0048】
【表1】 表1の結果から明らかなように、本発明のゴム補強用ポ
リエステル繊維は、製糸性良く製造できることに加え、
コードでの強力保持率、寸法安定性およびゴムとの接着
力に加え、ディップ処理時の物性バラツキが改良された
ものである。
【0049】
【発明の効果】上記に説明した通り、本発明のゴム補強
用ポリエステル繊維は、強力保持率、寸法安定性および
ゴム構造物との接着性に優れることに加え、ディップ処
理時の物性バラツキが改善されるため、ゴム補強用途に
対して極めて有用である。また、本発明のゴム補強用ポ
リエステル繊維の製造方法によれば、ローラー汚れが軽
減されることにより、高生産性で高品位のゴム補強用ポ
リエステル繊維を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 15/41 D06M 15/41 15/693 15/693 // D06M 101:32 101:32 Fターム(参考) 4L033 AA07 AB01 AC11 BA08 BA99 CA34 CA49 CA68 CA70 4L036 MA05 PA01 PA03 PA18 PA26 UA21 4L038 AA15 AB07 BA14 BA38 BB07 DA10 DA20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ化合物が付与されたポリエステル
    繊維であって、下記(a)〜(d)の特性を同時に満足
    することを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維。 (a)破断強度が5cN/dtex以上 (b)150℃×30分時乾熱収縮率が13%以下 (c)試料長25cmで、室温から150℃未満の間で
    昇温速度10℃/分、150℃から250℃の間で昇温
    速度3℃/分で測定した熱収縮応力曲線における最大収
    縮応力時温度が200℃以下 (d)原糸を220℃×1.5分(張力0.6cN/d
    tex)で熱処理した後の1.32cN/dtex張力
    時中間伸度と150℃×30分時乾熱収縮率の和で示す
    寸法安定度が6.5%以下。
  2. 【請求項2】試料長25cmで、室温から150℃未満
    の間で昇温速度10℃/分、150℃から250℃の間
    で昇温速度3℃/分で測定した熱収縮応力曲線における
    熱収縮応力曲線における最大収縮応力が0.45〜0.
    60cN/dtexであることを特徴とする請求項1記
    載のゴム補強用ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】破断強度が6cN/dtex以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のゴム補強用ポリ
    エステル繊維。
  4. 【請求項4】熱収縮応力曲線における最大収縮応力時温
    度が197℃以下であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のゴム補強用ポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】ポリエステル繊維がポリエチレンテレフタ
    レートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからな
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    のゴム補強用ポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】溶融紡糸されたポリエステル繊維糸条に、
    エポキシ化合物を含有する処理剤を付与し、ローラーに
    より延伸熱処理を施した後、糸条を巻取る直接紡糸延伸
    法において、紡出糸の引取速度が2000m/分以上で
    あり、熱処理ローラーの表面温度が160〜210℃で
    あることを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維の製
    造方法。
  7. 【請求項7】延伸が表面温度65〜155℃である引取
    ローラーと1対または複数の延伸ローラー間にて施され
    ることを特徴とする請求項6記載のゴム補強用ポリエス
    テル繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】表面温度160〜210℃の熱処理ローラ
    ーを2対以上使用して熱処理を施すことを特徴とする請
    求項6または7記載のゴム補強用ポリエステル繊維の製
    造方法。
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