JP2002309446A - 導電性複合繊維 - Google Patents

導電性複合繊維

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JP2002309446A
JP2002309446A JP2001113340A JP2001113340A JP2002309446A JP 2002309446 A JP2002309446 A JP 2002309446A JP 2001113340 A JP2001113340 A JP 2001113340A JP 2001113340 A JP2001113340 A JP 2001113340A JP 2002309446 A JP2002309446 A JP 2002309446A
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conductive
fiber
polymer layer
conjugate fiber
carbon black
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JP2001113340A
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English (en)
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Shige Yamakawa
樹 山川
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Masao Kawamoto
正夫 河本
Mitsutake Ariga
三剛 有賀
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程での摩耗や複合成分の剥離が生じに
くく、繊維製品として長期間使用した場合においても、
初期の良好な導電性能を保持することの可能な導電性複
合繊維を提供する。 【解決手段】 3個以上の突出部を有する異形度が0.
05〜0.80の多葉形または多枝形断面であり、導電
性カーボンブラックを15〜50質量%含有する熱可塑
性ポリアミドからなる導電性ポリマー層(A)と熱可塑
性樹脂からなる保護ポリマー層(B)とからなる導電性
複合繊維であって、任意の繊維断面で見たとき導電性ポ
リマー層(A)は各突出部の先端に露出しており、かつ
保護ポリマー層(B)は繊維全体質量の50質量%以上
97質量%以下を占めている導電性複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、除電性能及び耐へ
たり性に優れた複合繊維に関する。詳しくは、含有する
導電性カーボンブラックが少量であるにもかかわらず、
耐へたり性に優れたOA機器用のブラシ等として長期間
に亘り優れた除電性能およびクリーニング性能を維持し
ながら繰り返し使用できるため、高品質の印刷画像を長
期に亘り形成することのできる導電性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】OA機器の代表例としては、複写機、プ
リンター、ファクシミリ等が挙げられ、近年、高性能
化、高速化、小型化、複合化等の技術革新が著しい。こ
れらのOA機器では、転写工程の後に感光体上に残った
トナーを除去する工程が有り、クリーニングが不充分で
あると、感光体上に残留したトナーが感光特性を妨害
し、結果として記録品質が低下する。感光体上に残留し
たトナーのクリーニング方法としては、接触型のブラシ
を用いる方法、ゴム製ブレードを用いる方法、捲取り式
のウエブを使用する方法、弾性体ローラーを用いる方法
等が知られている。それらの方法のうち、接触型のブラ
シを用いる方法の中に除電性能に優れた導電性繊維によ
る立毛布帛を用いて製造したブラシを使用するものが有
る。
【0003】従来から除電性能に優れた導電性繊維につ
いては種々の提案がなされており、たとえば導電性を有
さない繊維の表面に金属メッキを施して導電性を付与し
たものや導電性カーボンブラックを樹脂やゴム類に分散
させ、これを繊維表面にコートすることによって導電性
被覆層を形成せしめたもの等がある。しかし、これらは
製造工程が複雑で技術的に困難な方法によって得られる
ものであったり、導電性繊維を実用に供するための準備
段階での外的作用によって導電性が容易に低下し実用の
域を脱してしまうという問題があった。
【0004】他の導電性繊維として、スチール繊維のよ
うな金属繊維が除電性能に優れたものとして知られてい
るが、金属繊維はコストが高く、しかも一般の有機素材
を摩耗させるといったトラブルの原因となつていた。
【0005】さらにまた別のタイプの導電性繊維とし
て、導電性カーボンブラックを均一に分散させたポリマ
ーを繊維化する方法が提案されているが、導電性カーボ
ンブラツクを多量に含有するために繊維の製造が難し
く、収率も悪く、コスト高であり、かつ繊維物性が著し
く低下し、特殊な工程を用いる以外に製品化が困難とい
うのが現状である。
【0006】これらの問題を少しでも解消しようという
目的で、たとえば米国特許第3,803,453号明細
書には、芯鞘型複合繊維の芯成分ポリマーに導電性カー
ボンブラツクを含有させ、それを通常の繊維形成性ポリ
マーからなる鞘で包み込もうという方法が提案されてい
る。また、特公昭53−44579号公報等で提案され
ている如く、導電性カーボンブラックを含む芯成分のか
なりの部分が鞘成分をつきぬけて繊維の表面に露出して
いる導電性繊維もある。
【0007】前者の場合、繊維物性を保つため芯成分を
50%以下にする必要があり、そのため非導電性の鞘成
分が芯成分を厚く包囲し、芯成分中のカーボンブラック
含有量を多くしないと充分な性能が発揮されない。特公
昭53−44579号公報は、その課題を解消しようと
するものであるが、カーボンブラックを含む芯成分が表
面に露出している割合が大きいため、繊維は耐薬品性、
耐久性に劣り、芯成分と鞘成分との剥離その他のトラブ
ルを生じやすい。さらに特開昭52−152513号公
報においては、上記単一の芯鞘型導電性繊維の除電性能
向上と成分層間の剥離防止を中心とした耐久性向上を目
的とし、導電性カーボンブラックを含む導電性ポリマー
層とそれと同じポリマーで導電性カーボンを含まない非
導電性ポリマー層とを多層状に張合わせた繊維が提案さ
れているが、この場合も導電性カーボンブラックを含む
層が繊維表面に露出しすぎているため耐薬品性、耐久性
の向上は十分には認められない。
【0008】一方、特開昭53−147865号公報や
特開昭54−34470号公報等においては、有機導電
性物質を含有する線状重合体を繊維形成性ポリマー内に
筋状に分散せしめた導電性繊維が提案されており、これ
らにおいては導電性成分が繊維表面ではなく繊維内部に
入っているために剥離、表面摩耗等の耐久性が向上する
というものである。
【0009】しかしながら、この場合、有機導電性物質
を含有する線状重合体は、それと全く相溶性のない繊維
形成性ポリマー内において、長さ方向へ非連続状態で分
散混合しており、繊維強度には全く寄与しないため繊維
強度の低下は避けることができない。また、導電性ポリ
マーの分散状態によって導電性能が変化するため、製造
条件、製品品質の管理が非常に難しくならざるを得な
い。さらに、一般的に非相溶重合体を混合分散させた場
合、分散成分は非分散ポリマーに完全に包み込まれるも
のではなく一部表面に露出するため、その部分から導電
性重合体の一部が脱落する可能性もある。また、このよ
うな繊維を製造する場合の工程調子、たとえば紡糸吐出
におけるバルーニングが異常に大きく、口金汚れや断糸
が多く発生して生産性の非常に低いものとなってしま
う。
【0010】このほか、導電性ポリマー層が繊維表面の
一部に露出するタイプの複合繊維は、例えば、特開昭5
4-134117号公報、特開昭61-132624号公
報、特開平9-279416号公報などにおいても、繊
維や繊維製品の製造工程において金属との摩耗が少な
く、複合成分間の剥離や導電性成分が抜け落ちることの
ない導電性複合繊維が提案されている。
【0011】しかしながら、従来提案されてきた導電性
ポリマー層と非導電性ポリマー層との組み合わせでは、
製造工程では問題なくても、導電性の繊維製品として長
期間の実使用において評価したとき、やはり剥離による
導電性の低下が生じるという問題があった。
【0012】また、導電性能の湿度依存性(環境)が少
なく、放電開始電圧が低く高印加電圧下においても優れ
た除電性能を有し、実際に使用を続けた場合の除電性能
の低下がほとんどなく、立毛部がへたり難くいために反
復使用時のクリーニング安定性が高く、性能(画像の鮮
明さ)が長期にわたり維持される優れた導電性複合繊維
は従来存在していないというのが現状である。このよう
に、導電性繊維のブラシ用途で、導電性能の長期耐久
性、複合成分の耐剥離性、耐へたり性能まで考慮した技
術は従来提案されていなかった。
【0013】本発明の目的は、繊維や繊維製品の製造工
程での摩耗や成分剥離が生じないのは勿論のこと、実際
に繊維製品として長期間使用した場合においても、かか
る不都合が生ずることなく、初期の良好な導電性能を保
持することの可能な導電性複合繊維を提供することであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、導
電性カーボンブラックを15〜50質量%含有する熱可
塑性ポリアミドからなる導電性ポリマー層(A)と熱可
塑性樹脂からなる保護ポリマー層(B)とからなる導電
性複合繊維であって、該複合繊維は3個以上の突出部を
有する異形度が0.05〜0.80である多葉形または
多枝形断面を有し、任意の繊維断面で見たとき導電性ポ
リマー層(A)は各突出部の先端に露出しており、かつ
保護ポリマー層(B)は繊維全体質量の50質量%以上
97質量%以下を占めていることを特徴とする導電性複
合繊維である。また、本発明は該複合繊維からなるOA
機器用の導電ブラシであり、該ブラシを備えたOA機器
であり、さらに該複合繊維を含む布帛である。
【0015】本発明の導電性複合繊維は、複写機、プリ
ンター、ファクシミリ等のOA機器に組み込まれる帯電
ブラシ及び/又は除電ブラシ及び/又はクリーニングブ
ラシ等に利用することができる。また、OA機器以外の
非衣料用及び衣料用の繊維製品にも利用することができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、良好な耐へたり
性を得るためには、3個以上の突出部を有する異形度が
0.05〜0.80の多葉形または多枝形断面形状の複
合繊維であることが重要である。なお、異形度とは下記
式(3)にて定義される値である。 異形度=L4/L3 (3) すなわち異形度とは、繊維断面において隣り合う突出部
の先端を結ぶ線分の長さをL3、該突出部の間に位置す
る窪みの最深部から前記線分へ降ろした垂線の長さをL
4として求めた値である。耐へたり性の点で、異形度は
かかる範囲が必要であり、繊維化工程性の点でもかかる
範囲が必要である。このような観点から好ましい異形度
は0.10〜0.60の範囲である。また、耐へたり性
の点で、多葉形または多枝形断面形状をもたらす突出部
の数は3個以上で、かつ上記の異形度を満足すれば良い
が、繊維化工程性を考慮すると該突出部の上限は8個で
あることが好ましい。より好ましい突出部の数は3〜6
個である。
【0017】次に、導電性ポリマー層(A)に含まれる
導電性カーボンブラックは、該(A)成分中に15〜5
0質量%、好ましくは20〜40質量%含有されること
が重要である。導電性カーボンブラックの含有量が15
質量%より少ない場合には目的とする導電性が得られ
ず、充分な除電性能は発揮されない。一方、50質量%
を越える場合は、導電性のより一層の向上は認められ
ず、芯成分ポリマーの流動性が著しく低下して紡糸性が
極端に悪化するので好ましくない。
【0018】導電性カーボンブラックは完全に粒子状分
散をしている場合、導電性が不良であって、ストラクチ
ヤーと呼ばれる連鎖構造をとるときに導電性が向上して
導電性カーボンブラックと言われるものになる。したが
って、導電性カーボンブラックによってポリマーを導電
化するに当っては、このストラクチヤーを破壊しないで
導電性カーボンブラックを分散させることが肝要とな
る。導電性カーボンブラック含有する複合体の電気伝導
メカニズムは、カーボンブラック連鎖の接触によるもの
とトンネル効果によるものと考えられるが、前者の方が
主と考えられる。したがって、カーボンブラックの連鎖
は長いほうが、また高密度でポリマー中に存在するほう
が接触確率が大となり高導電性となる。本発明者らの検
討結果では、導電性カーボンブラック含量が15質量%
未満ではほとんど効果がなく、20質量%になると急激
に導電性が向上し、30質量%を越えるとほぼ飽和す
る。
【0019】さらに、導電ポリマー層(A)と保護ポリ
マー層(B)との複合比率について、保護ポリマー層
(B)が97質量%を超えて多くなり、すなわち導電性
ポリマー層(A)が3質量%未満になると安定した複合
構造として紡糸することが困難となる。とくに、繊維断
面において導電性ポリマーからなる芯部の数が多い場合
には、芯部の長さ方向へ連続性をもつ繊維を得るのが難
しくなる。一方、導電性ポリマー層(A)が50質量%
を越えると、保護ポリマー層(B)が充分に繊維形成性
を持っていたとしても、複合繊維の紡糸性及び延伸後の
繊維物性が極端に低下し実用性は全く失われてしまう。
【0020】これは導電性カーボンブラックを含有する
ことによって導電性ポリマー層(A)の曳糸性が著しく
低下し、曳糸性の低い成分が複合繊維の半分以上を占め
ることになるため導電性ポリマー層(A)のかかる欠点
が繊維にそのまま現れてしまうためと考えられる。かか
る理由から、導電性ポリマー層(A)と保護ポリマー層
(B)の複合質量比率はA:B=3:97〜50:5
0、好ましくは7:93〜35:65の範囲である。ま
た、本発明の導電性複合繊維において、優れた除電性能
を有するためには、導電性ポリマー層(A)は各突出部
の先端にて繊維表面へ必ず一部露出していることが必要
である。各突出部先端の繊維表面への露出の程度は、露
出部1個についての露出距離L1(μm)が0.1μm
以上であり、L2以下であることが好ましい。ここでL2
は突出部の最大幅(μm)を表す。表面露出部の個数が
2個以下の場合や、3個以上であっても露出部距離L1
が0.1μm未満の場合は、摩擦帯電時に繊維表面に現
れている導電性ポリマーが対象物と接触する確率が低
く、低摩擦帯電時の安定な導電性能を得ることが困難と
なる。また、露出部距離L1がL2(μm)を超えるよう
な場合は、得られる導電性繊維は耐摩耗性に劣り、導電
性ポリマー層(A)と保護ポリマー層(B)とが相溶性
に劣るため、剥離しやすく、さらには導電性能も低下す
る場合がある。
【0021】次に、本発明の導電性ポリマー層(A)を
構成するポリマーについて説明する。本発明において
は、導電性ポリマー層(A)に用いる樹脂として熱可塑
性ポリアミドを使用することが重要である。熱可塑性ポ
リアミドとしては、具体的にはナイロン12、ナイロン
11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマ
ー等を挙げることができる。
【0022】通常、OA機器の帯電ブラシとして長期間
使用される過程で、過酷な曲げ、引張り、屈曲、摩耗等
の繰返しが行われ、導電性ポリマー層の性能低下が進
み、除電性能が低下せざるを得なかった。通常、導電性
ポリマー層を構成する部分は一度クラック等の歪により
連続性が失われると修復は困難であり、短期間で交換せ
ざるを得ないのが現状である。本発明者らは、各種ポリ
マーに導電性カーボンブラックを分散せしめて検討した
ところ、ポリアミドが適当な極性基を持つために導電性
カーボンブラックと相溶性、接着性が良好で、高濃度に
導電性カーボンブラックを配合しても流動性があまり低
下せず、高い導電性と良好な流動性を兼ね備えたものと
なること、さらに、導電性カーボンブラックとポリアミ
ドは強固な接着をするためか機械的物性もきわめて良好
であることを見出したのである。
【0023】これに対して、ポリエステル系ポリマーに
導電性カーボンブラックを混練配合した場合は、理由は
明確でないが、低配合比でもポリマーの粘度が急上昇し
て流動性を失い、所望の導電性を持ちかつ繊維化できる
ような導電性ポリマーになりにくく、ポリアミド系ポリ
マーには全く対抗できないのである。
【0024】また、ポリオレフイン系ポリマーは、ポリ
エステル系ポリマーに比べると導電性カーボンブラック
の混練配合によって流動性をある程度有し、かつ導電性
も良好な導電性ポリマーを得ることは容易である。しか
し、ポリオレフイン系ポリマーは導電性カーボンブラッ
クとの接着性が弱く、得られたポリマーの機械的物性は
ポリアミド系ポリマーの場合に比べるとかなりもろく、
複合繊維化に当っては充分に注意をしないと導電性ポリ
マー層の切断といった問題が起こりやすい。以上のこと
から、導電性カーボンブラックを含有せしめる導電性ポ
リマー層(A)を構成するポリマーとしては熱可塑性ポ
リアミドが最も好適である。
【0025】一方、保護ポリマー層(B)は繊維化の際
の良好な工程性を維持することと、長期耐久性能を維持
するために重要な役割を担っている。この保護ポリマー
層(B)を構成するポリマー成分としては繊維成形性の
熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、
具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィ
ン等を挙げることができる。
【0026】次に、本発明の導電性複合繊維の電気抵抗
値R(Ω/cm・f)は、用途によって適宜設定可能で
あるが、複写機やプリンターなどのOA機器に組み込ま
れる帯電ブラシ等を目標とする場合、100V印加時の
電気抵抗値R(Ω/cm・f)が下記式を満足すること
が好ましい。 logR=8.0〜10.9 より好ましい電気抵抗値R(Ω/cm・f)としては、 logR=8.5〜10.5 である。
【0027】かかる電気抵抗特性を実現するために、本
発明においては、吸油量を異にする2種の導電性カーボ
ンブラックを使用することが好ましく、例えば、130
〜350cc/100gの吸油量を有する導電性カーボ
ンブラックと15〜130cc/100gの吸油量を有
する導電性カーボンブラックとを併用することが好まし
い。そして、前者をαタイプ、後者をβタイプと称する
とαタイプとβタイプの吸油量比はα/β=1.2〜2
5であることが好ましい。なお、本発明において、吸油
量は以下の方法によって求められる。 <吸油量>アマニ油を用い、各々のカーボン量100g
における飽和量(cc)を測定した(cc/100
g)。
【0028】かかる導電性カーボンブラックの組合せと
して、本発明においては、固有電気抵抗値で示せば10
-3〜102Ω・cmの抵抗値を有するカーボンブラック
と、100〜106Ω・cmの抵抗値を有するカーボンブ
ラックとを併用することが好ましい。さらに、両者の導
電性カーボンブラックの混合比率としては、αタイプ:
βタイプ=10:1〜1:10であることが良好な導電
性性能を得る点から好ましい。
【0029】本発明の導電性複合繊維の製造方法は特に
限定されず、例えば、多葉多芯型複合繊維を製造するた
めに使用される溶融紡糸装置を用い、複合紡糸を行い、
その後延伸する方式で製造してもよいし、高速紡糸を行
い延伸工程を省略する方式で製造してもよい。ただし、
導電性ポリマー層(A)が所望の状態で繊維表面に露出
するようにするためには、紡糸装置内での分配板におけ
る導電性ポリマー用の導入孔と保護ポリマー用の導入孔
の位置関係を調節したり、両ポリマーの複合比率を調整
することが好ましい。また、本発明においては、導電性
複合繊維の延伸性をより向上させるために、保護ポリマ
ー層(B)に平均粒子径が0.5μm以下である無機微
粒子を5質量%以下の割合で含有させておくことが好ま
しい。
【0030】このような方法で製造される本発明の導電
性複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、用途に応
じて2dtex〜34dtex程度のものとすることが
できる。
【0031】本発明の複合繊維の断面形態は、前述のよ
うな露出条件を満たすものであれば特に限定されない
が、例えば、図1〜図4に見られるような断面形態を例
示することができる。そして、本発明の作用効果を最大
限に発現できるという点からは、導電性ポリマー層
(A)からなる6つの芯成分が繊維断面の外周近辺にほ
ぼ等間隔で配置され、それぞれの芯成分の一部が繊維表
面に露出している図4に見られるような断面形態が最も
好ましい。
【0032】このような本発明の導電性複合繊維は、繊
維物性、実使用における耐久性に優れた除電性能を有す
るものであり、複写機やプリンターなどのOA機器に組
み込まれる帯電ブラシ、除電ブラシ、クリーニングブラ
シとして好適に使用することができる。また、本発明の
導電性複合繊維を用いて各種織物、編物、不織布等の布
帛を製造することも可能である。
【0033】
【実施例】以下に実施例によって本発明を詳述するが、
これによって本発明は何ら限定されるものではない。な
お、導電性繊維の電気抵抗値の測定、帯電電荷量の測
定、帯電ブラシにしたときの画像評価および圧縮率の測
定等は以下に示す方法で行なった。
【0034】<電気抵抗値R>電圧電流計法により、平
行クリップ電極にセットされた導電性繊維(単繊維)試
料に、直流電圧25〜500Vを印可し、その電圧とそ
の時の試料に流れる電流値からオームの法則により求め
た。また、本発明で規定される電気抵抗値は100V印
可時で求めたものである。
【0035】<帯電電荷量>JIS L−1094に準
じて簡易型ファラデーゲージを用いて、20℃、40%R
Hの雰囲気中でアクリル繊維布を摩擦布として用い帯電
電荷量を測定した。
【0036】<画像評価方法>ブラシ帯電法において、
ブラシ回転方向を感光体と反方向とし、直流のバイアス
電圧をかけて帯電画像出しテストを行ない、初期及び1
万枚コピー後の画像評価を以下に示す基準で行なった。 (1)初期性能評価 ○:鮮明均一な画像が得られる。 △:やや異常放電跡が認められる。 ×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。 (2)繰り返し(1万枚)画像評価 ○:初期と同様な鮮明均一な画像が得られる。 △:やや異常放電跡が認められる。 ×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。
【0037】<圧縮率>温度20℃、湿度65%RHの
条件下に、ブラシ用立毛布帛の上部から10g/cm2
の荷重をかけて1分間放置したときの立毛布帛における
立毛部の厚さ(mm)をD1とし、D2を前記荷重を取り
除き、それに代えて200g/cm2の荷重を立毛布帛
の上部からかけて温度20℃、湿度65%RHの条件下
で1分間放置したときの立毛部の厚さ(mm)としたと
き、圧縮率は下記式(4)にて求められる。 圧縮率(%)={(D1−D2)/D1}×100
【0038】実施例1 導電性能が異なる2種の導電性カーボンブラック(αタ
イプ吸油量;180cc/100g、βタイプ吸油量;
80cc/100g、混合比α/β=2/1)を35質
量%含有したナイロン6を導電性ポリマー成分(A)を
用い、保護ポリマー層(B)としてポリエステル(ポリ
エチレンテレフタレート:PET)を用い、A:Bの複
合比率13/87質量%、図2に示すような4葉の芯露
出型断面で複合紡糸し、その後延伸を実施し、25デニ
ール/4f(27.8dtex/4f)の導電性複合繊
維(L2:突出部の最大幅=10μm)を得た。繊維化
工程性は良好で問題なかった。得られた導電性複合繊維
において導電性ポリマー層(A)は繊維軸方向に均一に
連続されていた。また、該導電性ポリマー層(A)の露
出距離L1(μm)は周長方向でいずれも1.5μmで
あり、0.1≦L1≦L2(μm)の条件を満たしてい
た。さらに、100V印加時の電気抵抗値は1×109
Ω/cm・f(すなわち、logR=9.0)で非常に
安定しており、低印加電圧下においても優れた導電性能
を有するものであった。得られた繊維について、パイル
編5.0万本/(2.54cm)2密度の導電性ブラシ
を作成した。圧縮率は15.4%であり、優れた耐へた
り性を有するものであった。複写機での画像評価結果、
異常放電のない非常に優れたものであつた。コピー10
000回繰返し画像評価も良好であり、耐久性も非常に
優れたものであった。導電性複合繊維の複合組成、繊維
形態、繊維化工程性、電気抵抗値、画像評価結果等を表
1及び表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】実施例2、3 複合比率及び露出長を表1、表2に示すように変更する
こと以外は実施例1と同様に繊維化を実施した。いずれ
も繊維化工程性及び画像特性に優れるものであった(表
1,2参照)。
【0042】実施例4 保護ポリマー成分(B)を熱可塑性ポリアミド(ナイロ
ン6)とすること及び露出長を表1、表2に示すように
変更する以外は実施例1と同様に繊維化を実施した。い
ずれも繊維化工程性及び画像特性に優れるものであった
(表1,2参照)。
【0043】実施例5、6 複合断面を図1(実施例5)及び図4(実施例6)とす
ること及び露出長を変更すること以外は実施例1と同様
に繊維化を実施した。いずれも繊維化工程性及び画像特
性に優れるものであった(表1,2参照)。
【0044】実施例7〜9 異形度及び露出長を表1、表2に示すように変更するこ
と以外は実施例1と同様に繊維化を実施した。いずれも
繊維化工程性及び画像特性に優れるものであった(表
1,2参照)。
【0045】実施例10、11 カーボンブラックの種類、その混合割合及びマトリック
スポリマーへの添加量を表1に示すように変更すること
以外は実施例9と同様に繊維化を行なった。いずれも、
繊維化工程性及び画像特性に優れるものであった(表
1,2参照)。
【0046】比較例1〜3 導電性複合繊維として表1,2に示すような繊維を製造
すること以外は実施例1と同様に繊維化を実施したが、
繊維化工程性又は画像特性が不良であった(表1,2参
照)。
【0047】比較例4 導電性複合繊維として表1、表2に示すような繊維を製
造し、実施例1と同様に画像評価を行なったがいずれも
不良であった(表1,2参照)。
【0048】
【発明の効果】本発明においては、導電性カーボンブラ
ックを特定量含有したポリアミドと熱可塑性樹脂とを所
定の条件を満足する方法で多葉形または多枝形断面に複
合紡糸することにより、OA機器のブラシとして長期間
実使用した後でも優れた除電性能およびクリーニング性
能を有している導電性繊維を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性複合繊維の複合形態を示す断
面図。
【図2】 本発明の導電性複合繊維の複合形態を示す他
の断面図。
【図3】 本発明の導電性複合繊維の複合形態を示す他
の断面図。
【図4】 本発明の導電性複合繊維の複合形態を示す他
の断面図。
【図5】 本発明の範囲外の導電性複合繊維の複合形態
を示す他の断面図。
【符号の説明】
A:導電性ポリマー層 B:保護ポリマー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 15/00 101 D03D 15/00 101 4L048 D04B 1/16 D04B 1/16 21/00 21/00 B G03G 21/10 G03G 21/00 314 (72)発明者 有賀 三剛 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 2H134 GA01 GB02 HB03 HB19 KD03 KD04 KH01 3B202 AA30 AB03 EA01 4L002 AA06 AA07 AB00 AB05 AC03 BB04 CB03 EA00 FA06 4L041 AA07 BA04 BA05 BA12 BA38 BC09 BD14 BD20 CA06 CA21 CB02 CB25 CB28 DD14 DD21 4L045 AA05 BA01 BA10 BA17 BA53 4L048 AA21 AA24 AA27 AA37 AA52 AA56 AB07 AC13 CA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性カーボンブラックを15〜50質
    量%含有する熱可塑性ポリアミドからなる導電性ポリマ
    ー層(A)と熱可塑性樹脂からなる保護ポリマー層
    (B)とからなる導電性複合繊維であって、該複合繊維
    は3個以上の突出部を有する異形度が0.05〜0.8
    0である多葉形または多枝形断面を有し、任意の繊維断
    面で見たとき導電性ポリマー層(A)は各突出部の先端
    に露出しており、かつ保護ポリマー層(B)は繊維全体
    質量の50質量%以上97質量%以下を占めていること
    を特徴とする導電性複合繊維。
  2. 【請求項2】 導電層ポリマー(A)の露出箇所1個あ
    たりの露出距離L1(μm)が下記式(1)を満足する
    請求項1に記載の導電性複合繊維。 0.1≦L1≦L2 (1) L2;突出部の最大幅(μm)
  3. 【請求項3】 導電性ポリマー層(A)が、少なくとも
    2種以上の吸油量の異なる導電性カーボンブラックを含
    有し、かつ100V印加時の電気抵抗値R(Ω/cm・
    f)が下記式を満足する請求項1に記載の導電性複合繊
    維。 logR=8.0〜10.9 (2)
  4. 【請求項4】 吸油量比が1.2〜25である2種の導
    電性カーボンブラックが含有されてなる請求項3に記載
    の導電性複合繊維。
  5. 【請求項5】 保護ポリマー層(B)に平均粒径0.5
    μm以下の無機微粒子が5質量%以下含有されてなる請
    求項1乃至4のいずれか1項に記載の導電性複合繊維。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    複合繊維からなるOA機器用導電ブラシ。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    複合繊維を含んでなる布帛。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の導電性ブラシを備えて
    なるOA機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7725069B2 (en) 2006-09-12 2010-05-25 Ricoh Company Limited Image forming apparatus and process unit for effectively applying lubricant and cleaning an image carrier
CN109306532A (zh) * 2018-12-07 2019-02-05 常州纺兴精密机械有限公司 一种复合导电纤维及其纺制组件

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