JP2002309355A - Ni基合金及びその製造方法 - Google Patents

Ni基合金及びその製造方法

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JP2002309355A
JP2002309355A JP2001112297A JP2001112297A JP2002309355A JP 2002309355 A JP2002309355 A JP 2002309355A JP 2001112297 A JP2001112297 A JP 2001112297A JP 2001112297 A JP2001112297 A JP 2001112297A JP 2002309355 A JP2002309355 A JP 2002309355A
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Koji Fujimoto
浩二 藤本
Tomosuke Yumura
友亮 湯村
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒界腐食損傷を好適に防止できるNi基合金
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Ni基合金に5〜20%の冷間圧延又は
冷間引抜加工を施すステップと、該Ni基合金に107
0〜1200℃の温度で1〜60分間の熱処理を行うス
テップとを含み、これによって、対応粒界の生成率を向
上させると共に、結晶粒界の炭化物及びNi化合物の濃
度を局部的に高めるNi基合金の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、特に耐粒
界腐食性が要求される部位に適用するNi基合金の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、原子力の発電プラントには、主と
して加圧水型原子炉(PWR)を用いたものと沸騰水型
原子炉(BWR)を用いたものがある。前記加圧水型原
子炉の発電プラントに配設された蒸気発生器において、
伝熱管の内部には一次冷却水が流動しており、外部には
二次冷却水が流動している。この伝熱管には耐食性に優
れるインコネルTT690合金が従来から用いられてい
る。該TT690合金は、一次側水中での耐食性に最も
優れているが、二次側水中における伝熱管の表面には、
pH3〜4の酸性側領域での粒界腐食損傷(IGA)が
発生するおそれがある。この粒界腐食損傷は、二次側水
中の微量なナトリウムイオン、硫酸イオンなどが支持板
と伝熱管との隙間部分で沸騰濃縮し、伝熱管の粒界が選
択的に溶解することにより起こるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を
解決し、例えば加圧水型原子炉の蒸気発生器における伝
熱管等の粒界腐食損傷を好適に防止できるNi基合金及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るNi基合金
の製造方法は、前記目的を達成するため、Ni基合金に
5〜20%の冷間加工を施すステップと、該Ni基合金
に1070〜1200℃の温度で1〜60分間の熱処理
を行うステップとを含んでいる。前記冷間加工として
は、冷間引抜加工又は冷間圧延加工などを好適に用いる
ことができ、これらの冷間加工と熱処理を組み合わせる
ことによって、Ni基合金中に再結晶を生じさせて対応
粒界の生成率を向上させることにより、耐食性を向上さ
せることができる。また、前記熱処理によって、Ni基
合金中における炭化物を固溶させ最終段階に施すTT処
理により結晶粒界に集中的に多くの炭化物を析出させる
ことができ、これによって、耐粒界腐食損傷性を向上さ
せることができる。
【0005】また、本発明に係るNi基合金の製造方法
の更に別の態様では、前記Ni基合金の組成成分が、重
量%で、Ni:58%以上、Cr:28〜31%、F
e:7〜11%、C:0.05%以下、Cu:0.50
%以下、Mn:0.5%以下、P:0.030%以下、
S:0.015%以下、Si:0.5%以下であるイン
コネルTT690合金である。さらに、本発明に係るN
i基合金の製造方法の一態様は、前記の冷間加工と熱処
理を、前記Ni基合金の対応粒界生成率が所定値に達す
るまで繰り返す方法である。対応粒界は、耐粒界腐食損
傷性を向上させるため、冷間加工と熱処理を繰り返して
施すことによって、Ni基合金の対応粒界生成率を向上
させることができる。この対応粒界の生成率は、Ni基
合金を使用する部品及び使用環境によって異なるが、例
えば、加圧水型原子炉であれば50%以上あれば、粒界
腐食損傷に耐えることができる。さらに、本発明に係る
Ni基合金の製造方法の別の態様では、前記ステップの
最終段階でTT処理を行うものである。TT処理とは、
Ni基合金中の炭化物等を粒状化及び析出させる熱処理
であり、Ni基合金の機械的性質を向上させるために有
効である。通常、700℃で15時間保持する。
【0006】そして、本発明に係るNi基合金の製造方
法の更に別の態様では、前記冷間加工として、冷間引抜
加工又は冷間圧延加工を適用することができる。なお、
本発明に係るNi基合金は、前記のいずれか一に記載さ
れた方法によって製造された合金である。このNi基合
金は、耐食性が要求される部位、例えば、原子炉におけ
る蒸気発生器中の伝熱管などに広く適用することができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態に係
るNi基合金及びその製造方法について、図面を用いて
詳細に説明する。原子力の発電プラントには、前述した
ように、加圧水型原子炉(PWR)を用いたものがあ
る。この発電プラントには、図1に示すような蒸気発生
器1が配設されている。該蒸気発生器1は、外周が、上
部胴3、中間胴5及び下部胴7によって囲まれており、
前記上部胴3の径は、中間胴5及び下部胴7よりも大き
く形成されている。これらの中間胴5及び下部胴7の内
部には、Ni基合金からなる径が細い伝熱管9が上下方
向に複数配設され、その上部において止め具11によっ
て支持されている。
【0008】次いで、前記伝熱管9を構成するNi基合
金の製造方法について説明する。 [Ni基合金の製造工程の概要]本発明に係るNi基合
金は、冷間加工と熱処理を繰り返して行うことにより対
応粒界の生成度を徐々に向上させ、所定の生成度になっ
た時点で最終的なTT処理を行うものである。
【0009】[対応粒界]対応粒界とは、両側の結晶粒
がある結晶軸を対称に数度傾けると結晶格子が同じにな
る結晶粒界をいい、この対応粒界以外の結晶粒界はラン
ダム粒界と呼ばれている。前記対応粒界では応力腐食割
れ(SCC)等の腐食が生じにくく、ランダム粒界では
腐食が生じやすい。従って、本発明においては、Ni基
合金中の対応粒界の生成率を上げることによって、耐腐
食性を向上させることを発明の要旨の一つとしている。
従来の方法によって製造された伝熱管は、対応粒界の生
成率が30〜40%(ランダム粒界は60〜70%)で
あるが、本発明に係る方法によれば、約60%程度の生
成率(ランダム粒界は約40%)にまで向上させること
ができる。対応粒界の生成率が50%以上であれば、耐
食性の基準を満足するため、前記の冷間加工と熱処理
は、対応粒界の生成率が50%以上になるまで繰り返し
て行う。
【0010】[冷間加工]前記冷間加工には、例えば冷
間引抜加工や冷間圧延加工等を適用することができ、加
工度は5〜20%、更には5〜10%が好ましい。この
加工度が5%未満であると著しい対応粒界の生成率の向
上が期待できなくなり、さらに所定の対応粒界の生成率
に達するまでの繰り返し数が増加するという不具合があ
り、20%を超えると、結晶粒界の粗大化とともに対応
粒界の生成率が低下することになる。 [熱処理]この熱処理は、本来、材料中の結晶粒や組織
を均一化して機械的性質を向上させるためのものである
が、前記冷間加工と組み合わせて再結晶を起こすことに
より、対応粒界の生成率を向上させることができる。熱
処理の温度範囲は、1070〜1200℃とし、好まし
くは1075〜1100℃である。熱処理温度が107
0℃よりも低い場合は、熱処理中に、未固溶の炭化物が
結晶粒内や結晶粒界のいたる部位にランダムに析出して
しまい、最終段階でのTT処理により一定の箇所(粒界
等)に集中して析出することができない。しかし、本発
明の温度範囲の熱処理によれば、炭化物の固溶化が図る
とともに、最終段階でのTT処理により結晶粒界の近傍
部に集中して炭化物が析出するため、高温水中での応力
腐食割れ及び粒界腐食損傷が生じにくくなり、粒界部分
における耐食性が大幅に向上する。なお、製造工程の最
後に施す熱処理は、いわゆるTT処理と呼ばれているも
ので、700℃で15時間行うことによって、材料中の
炭化物を粒状化及び析出させる熱処理である。
【0011】[伝熱管の成分組成]前記伝熱管には、イ
ンコネルTT690(重量%で、Ni:61.5%、C
r:29.0%、Fe:9.0、Bal:0.5%)等
の耐食性に優れた材料を好適に用いることができ、その
組成は、重量%で、以下のようになっている。Niは、
オーステナイト相を形成する上で必須の元素であるた
め、58%以上添加する。好ましくは、59〜62%で
ある。Crは、一般耐食性を向上させるのに有効な元素
であるため、28〜31%添加する。好ましくは、29
〜31%である。Feは、Ni基合金を形成する上で必
須の元素であるため、7〜11%添加する。好ましく
は、8〜11%である。Cは、TT処理による結晶粒界
近傍に炭化物を析出させることにより耐粒界腐食割れ性
を向上させる元素であるため、0.05%以下、好まし
くは、0.015〜0.025%である。Cuは、耐酸
化性を向上させるのに有効な元素であるため、0.5%
以下、好ましくは、0.02〜0.04%である。Mn
は、製鋼時の脱酸剤及びオーステナイト相を形成する上
で有効な元素であるため、0.5%以下、好ましくは、
0.2〜0.4%である。Pは、溶接性、加工性等に悪
影響を及ぼす元素であるため、0.030%以下、好ま
しくは、0.015%以下である。Sは、溶接性、加工
性等に悪影響を及ぼす元素であるため、0.015%以
下、好ましくは、0.010%以下である。Siは、製
鋼時の脱酸剤として有効な元素であるが0.5%を超え
ると鋼を脆化させるため、0.5%以下、好ましくは、
0.2〜0.4%である。
【0012】
【実施例】次いで、実施例によって本発明を更に具体的
に説明する。インコネルTT690合金に冷間圧延と熱
処理を施すサイクルを5回繰り返して、対応粒界の生成
率を向上させると共に、最終段階で施すTT処理により
結晶粒界近傍に炭化物を集中的に析出させた。表1は、
冷間引抜による加工量と熱処理温度との組合せによる対
応粒界の生成率の違いを示している。ここで、−は実施
例のデータがないことを示しており、加工量が0%は冷
間加工を施していないことを示している。
【0013】
【表1】
【0014】この表1に示すように、加工量を大きくす
るにつれて対応粒界の生成率が上昇するが、一定値を超
えると低下することが判明した。例えば、熱処理温度が
1050℃の場合は、10%の加工量のときに対応粒界
の生成率が最大となり、1075℃の場合も同様に10
%で最大となる。また、表2に示すように、ある一定の
加工量の場合に、冷間加工と熱処理の繰返し数を増やす
につれて、対応粒界の生成率も単調に増加することが判
った。
【0015】
【表2】
【0016】なお、本実施例にて作製したNi基合金の
耐粒界腐食損傷性を、pH=4、電位+500mV v
sEc、温度300℃とした酸性側領域での低歪速度引
張(SSRT)試験法によって評価し、試験後の試験片
の破断部において粒界割れの有無を走査型電子顕微鏡
(SEM)にて拡大観察した結果、表3に示すように、
本発明を施したものでは粒界割れは認められず、従来の
方法によって作製したNi基合金よりも耐IGA感受性
が向上することが判明した。
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な処理でNi基合
金中における対応粒界の生成率を向上させることがで
き、また、炭化物やNi化合物の結晶粒界における濃度
を局部的に高めることができるため、Ni基合金の耐粒
界腐食損傷性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るNi基合金による伝熱管を配設し
た蒸気発生器を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 蒸気発生器 3 上部胴 5 中間胴 7 下部胴 9 伝熱管 11 止め具

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni基合金に5〜20%の冷間加工を施
    すステップと、該Ni基合金に1070〜1200℃の
    温度で1〜60分間の熱処理を行うステップとを含んで
    なるNi基合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Ni基合金の組成成分が、重量%
    で、Ni:58%以上、Cr:28〜31%、Fe:7
    〜11%、C:0.05%以下、Cu:0.50%以
    下、Mn:0.5%以下、P:0.030%以下、S:
    0.015%以下、Si:0.5%以下のインコネルT
    T690合金であることを特徴とする請求項1に記載の
    Ni基合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の冷間加工と熱処理を、前記Ni基
    合金の対応粒界生成率が所定値に達するまで繰り返すこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のNi基合金の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記ステップの最終段階でTT処理を行
    うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の
    Ni基合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記冷間加工は、冷間引抜加工又は冷間
    圧延加工であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か一に記載のNi基合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1〜5のいずれか一に記載さ
    れた方法によって製造されたことを特徴とするNi基合
    金。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084650A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 耐応力腐食割れ性に優れた金属材料
JP2010248542A (ja) * 2009-04-10 2010-11-04 Institute Of Nuclear Safety System Inc 耐PWSCC性に優れたNi基合金の最終熱処理方法及びNi基合金

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