JP2002309275A - ガソリンエンジンシステム - Google Patents
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- JP2002309275A JP2002309275A JP2001153228A JP2001153228A JP2002309275A JP 2002309275 A JP2002309275 A JP 2002309275A JP 2001153228 A JP2001153228 A JP 2001153228A JP 2001153228 A JP2001153228 A JP 2001153228A JP 2002309275 A JP2002309275 A JP 2002309275A
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Abstract
および出力特性をもつガソリンエンジンシステムを提供
すること。 【解決手段】 20mg/L添加した場合のガソリンH
FRR試験における摩耗痕径が、無添加の試験用ガソリ
ンの場合に比べて10%以上の改善率を示す化合物を含
有し、かつ(1)リサーチオクタン価(RON)が95
以上、(2)モーターオクタン価(MON)が83以
上、(3)蒸気圧(37.8℃)が44〜65kPa、
そして(4)硫黄分が10ppm以下であるガソリン組
成物と、組成物全量基準で、(A)摩擦調整剤を0.0
1〜2.0質量%含有するエンジン油組成物とを組み合
わせて使用することを特徴とするガソリンエンジンシス
テムを提供する。
Description
システムに関し、詳しくは、高い潤滑性能を有する化合
物を含有させた特定の性状のガソリンを、特定のエンジ
ン油組成物を充填した内燃機関に使用することにより、
従来の性能に加え、更に燃費および出力特性が改良され
たガソリンエンジンシステムに関する。
界的に化石燃料の使用を減らすことが求められており、
ガソリン自動車に対しては燃費の向上が最大の課題とな
っている。従来、車両および燃料の改善により車両燃費
の改善が鋭意試みられ、一部が実用化されている。車両
による燃費の改善策としては、例えば、筒内直接噴射式
ガソリンエンジンの採用、ハイブリッド機構の採用及び
車両の軽量化等による事例が数多く報告されている。ま
た燃料による燃費の改善策としては、例えば、ポリエー
テルアミン、ポリブテニルアミンに代表されるエンジン
清浄剤を含有した燃料を使用することによってエンジン
内に堆積したデポジットを除去し、ひいては、車両燃費
を向上させた例などが知られている。近年、新たなタイ
プの添加剤をガソリンに含有させることにより、車両燃
費を向上させる方法が提案されている。例えば、特開平
11−310783号公報には、アミン化合物およびカ
ルボン酸の多価アルコールとのエステルを同時に燃料に
含有させた燃料組成物および摩擦の低減、燃費の向上方
法が開示されている。EP0869163A1の明細書
には、アミン化合物を含有した燃料による、エンジンフ
リクション低減方法および燃費の改善方法が開示されて
いる。第7回燃料及び潤滑油アジア会議会報「PROC
EEDINGS OF THE 7thANNUAL
FUELS & LUBES ASIACONFERE
NCE」には、ガソリン摩擦調整剤「gasoline
friction modifier」を使用するこ
とによって燃費が4%以上向上することがトーマスイー
・ハイデン「ThomasE.Hayden」により報
告されている。自動車用の燃料の性状としては、排出ガ
スの浄化特性、燃費特性、及び運転性能を高度にバラン
スさせ得るものであることが望まれる。特に新たなタイ
プの添加剤を添加し、燃費および運転性能(特に出力特
性)を向上させるためには、他の性能を高度に維持させ
ながら、該添加剤による燃費および出力特性向上効果を
十分に引き出すように添加剤にあわせたガソリン性状の
設計が求められる。エンジンオイルの改良による車両燃
費および出力特性の向上も重要であり、エンジンオイル
の低粘度化、モリブデン系に代表されるFM剤の配合等
による高性能オイルの開発が活発に行われている。前述
のように、これまで車両燃費および出力特性の向上は、
使用する燃料およびエンジンオイルの両面から鋭意検
討、開発が行われてきた。しかしながら、燃料およびエ
ンジンオイルの両者が相乗効果をもって、車両燃費およ
び出力特性の向上を目指したシステムの開発例は見られ
ない。
の性能に加え、高い燃費および出力特性をもつガソリン
エンジンシステムを提供することである。特に本発明の
目的は、高い潤滑性能を有する化合物を含有させた特定
の性状のガソリンを、特定のエンジン油を充填した内燃
機関に使用することにより、従来の性能に加え、更に燃
費および出力特性が改良されたガソリンエンジンシステ
ムを提供することである。
g/L添加した場合のガソリンHFRR試験における摩
耗痕径が、無添加の試験用ガソリンの場合に比べて10
%以上の改善率を示す化合物を含有し、かつ(1)リサ
ーチオクタン価(RON)が95以上、(2)モーター
オクタン価(MON)が83以上、(3)蒸気圧(3
7.8℃)が44〜65kPa、そして(4)硫黄分が
10ppm以下であるガソリン組成物と、組成物全量基
準で、(A)摩擦調整剤を0.01〜2.0質量%含有
するエンジン油組成物とを組み合わせて使用することを
特徴とするガソリンエンジンシステムにある。
す化合物の含有量が、10〜300mg/Lであるガソ
リン組成物を使用することが好ましい。本発明におい
て、ガソリン組成物は、下記の性状を有するガソリン組
成物を使用することが好ましい。 (5)密度(15℃):0.71〜0.77g/cm3 (6)蒸留性状:蒸留初留点20〜37℃ 10%留出温度(T10)35〜70℃ 30%留出温度(T30)55〜77℃ 50%留出温度(T50)75〜105℃ 70%留出温度(T70)100〜130℃ 90%留出温度(T90)115〜180℃ 蒸留終点150〜220℃ (7)組成:芳香族分20〜45容量% オレフィン分0〜30容量% ベンゼン含有量1容量%以下 (8)含酸素化合物の含有量が酸素元素換算で0〜2.
7質量% 本発明において、摩擦調整剤が長鎖脂肪族基を分子内に
含む非モリブデン化合物であり、かつ、ジチオリン酸亜
鉛をリン元素量換算で0.02〜0.1質量%を含有す
るエンジン組成物を使用することが好ましい。本発明に
おいて、基油粘度が100℃において2.5mm2/s
から6.0mm2/sでありかつ、粘度グレードが0W
−20、5W−20、0W−30、5W−30、又は1
0W−30であるエンジン油組成物を使用することが好
ましい。
明する。本発明で使用するガソリン組成物は、20mg
/L添加した場合のガソリンHFRR試験における摩耗
痕径が、無添加の試験用ガソリンの場合に比べて10%
以上の改善率を示す化合物を含有し、かつ(1)リサー
チオクタン価(RON)が95以上、(2)モーターオ
クタン価(MON)が83以上、(3)蒸気圧(37.
8℃)が44〜65kPa、そして(4)硫黄分が10
ppm以下であるものである。ここでいうガソリンHF
RR試験で所定の高潤滑性能を示す化合物は、ガソリン
HFRR試験において該化合物を20mg/L添加した
場合における摩耗痕径が、試験用ガソリン単独の場合に
比べ10%以上、好ましくは15%以上、更に好ましく
は20%以上の改善率を示すものである(以下、単に潤
滑性向上剤と称する場合もある)。ガソリンHFRR試
験における摩耗痕径の改善率が10%未満の場合、充分
な燃費および出力特性向上効果を得ることができない。
ここでガソリンHFRR試験の摩耗痕径とは、下記の条
件でHFRR試験を行い、試験後の試験球に付いた円状
の傷の振動方向の直径と振動方向に垂直な方向の直径を
測定した平均摩耗痕直径(WSD:μm)を意味する。
−5S−50−97の規定に従って行われる試験であっ
て、HFRR試験に用いたガソリンの性状、測定器具及
び測定条件は下記の通りである。 (1)ガソリンの性状(JIS K 2202に規定さ
れる1号ガソリン) リサーチオクタン価(RON):96.0以上 密度(15℃):0.783g/cm3以下 蒸留性状: 10容量%留出温度(T10):70℃以下 50容量%留出温度(T50):75〜110℃ 90容量%留出温度(T90):180℃以下 蒸留終点:220℃以下 残油量:2.0容量%以下 銅板腐食(50℃、3h):1以下 硫黄分:0.01質量%以下 蒸気圧(37.8℃):44〜78kPa 酸化安定度:240分以上 ベンゼン含有量:1容量%以下 MTBE含有量:7容量%以下 色:オレンジ 未洗ガム:20mg/100mL以下
径が、10%以上の改善率を示す化合物としては、具体
的には、高級アルコール;ヒドロキシル基を1〜4個有
する炭素数1〜30のアルコール化合物;高級カルボン
酸;高級モノカルボン酸とグリコールまたは3価アルコ
ールとの反応物であるヒドロキシル基含有エステル;高
級ポリカルボン酸と多価アルコールとのエステル;>N
R(Rは炭素原子数5〜40の炭化水素基である)基を
含む組成を示し、1以上の置換基を有する少なくとも1
個の窒素化合物とを組み合わせた多価アルコールのエス
テル;高級カルボン酸とアルコールアミンとのアミド化
合物等があげられる。これらは、単独であるいは混合物
として用いることができる。これらのうちでは、炭素数
10〜25の高級モノカルボン酸とグリコールまたは3
価アルコールとの反応物であるヒドロキシル基含有エス
テル及び/又は炭素数5〜25の高級カルボン酸とアル
コールアミンとのアミド化合物が好ましく、炭素数10
〜25の高級モノカルボン酸とグリセリンエステル及び
/又は炭素数5〜25の高級モノカルボン酸とジエタノ
ールアミンとのアミド化合物が最も好ましい。
いが、十分な燃費および出力改善効果を発揮させる、一
方、それ以上添加しても効果の向上が期待できないなど
の点からガソリン組成物1L中に10〜300mgの含
有量となるように添加することが好ましい。更に好まし
くはその含有量は、30mg以上、250mg以下であ
る。
記潤滑性向上剤をベースとなるガソリン(又はガソリン
組成物)に添加して調製される。用いるベースとなるガ
ソリン(又はガソリン組成物)の性状に付いては、最終
的に得られる本発明のガソリン組成物の性状が、上記潤
滑性向上剤の添加により殆ど影響を受けないために、ベ
ースガソリン(又はガソリン組成物)の性状は、そのま
ま本発明のガソリン組成物の性状に反映される。従っ
て、ベースガソリン(又はガソリン組成物)の性状は、
基本的に本発明のガソリン組成物の性状と同等な性状を
示す。
のガソリン組成物が、本発明で規定する性状を有するよ
うに一種又は二種以上のガソリン基材を混合し、所望に
より必要な添加剤を添加することで調製することができ
る。ガソリン基材は、従来公知の任意の方法で製造する
ことができる。ガソリン基材としては、例えば、原油を
常圧蒸留して得られる軽質ナフサ;接触分解法、水素化
分解法などで得られる分解ガソリン;接触改質法で得ら
れる改質ガソリン;オレフィンの重合によって得られる
重合ガソリン;イソブタンなどの炭化水素に低級オレフ
ィンを付加(アルキル化)することによって得られるア
ルキレート;軽質ナフサを異性化装置でイソパラフィン
に転化して得られる異性化ガソリン;脱n−パラフィン
油;ブタン;芳香族炭化水素化合物;プロピレンを二量
化し、続いてこれを水素化して得られるパラフィン留分
などが挙げられる。
る。但し、各ガソリン基材の個々の配合量は、最終的に
得られるガソリンが、本発明に使用されるガソリン組成
物としての規定を満足するように調整される。 (1)改質ガソリン:0〜70容量% (2)改質ガソリンの軽質留分(沸点範囲:25〜12
0℃程度):0〜35容量% (3)改質ガソリンの重質留分(沸点範囲:110℃〜
200℃程度):0〜45容量% (4)分解ガソリン:0〜50容量% (5)分解ガソリンの軽質留分(沸点範囲:25〜90
℃程度):0〜45容量% (6)アルキレート:0〜40容量% (7)プロピレンを二量化し、続いてこれを水素化して
得られるパラフィン留分:0〜30容量% (8)異性化ガソリン:0〜30容量% (9)MTBE:0〜15容量% (10)軽質ナフサ:0〜10容量% (11)ブタン:0〜10容量%
るにあたって、ベンゼンの含有量を低減させる場合、そ
の低減方法は任意であるが、特にベンゼンは改質ガソリ
ン中に多く含まれていることから、改質ガソリンの配合
割合を少なくする方法、あるいは改質ガソリン中のベン
ゼン濃度を低下させる処理を行った後にガソリン基材と
して用いる方法を利用することが好ましい。ベンゼン濃
度を低下させる処理としては下記の方法を挙げることが
できる。 (1)改質ガソリンを蒸留してベンゼン留分を除去する (2)改質ガソリン中のベンゼンをスルホラン等の溶剤
を用いて抽出する (3)改質ガソリン中のベンゼンを他の化合物に転化す
る (A)ベンゼンを水素化しシクロヘキサン、メチルシク
ロペンタン等に転化する (B)ベンゼンおよび炭素数9以上の芳香族炭化水素化
合物とを反応させ、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン等に転化する (C)ベンゼンを低級オレフィン(エチレン、プロピレ
ン等)または低級アルコール(メタノール、エタノール
等)を用いてアルキル化する (4)接触改質装置の原料として、炭素数6の炭化水素
化合物を蒸留して除去した脱硫重質ナフサを用いる (5)接触改質装置の運転条件を変更する
することができる清浄分散剤としては、コハク酸イミ
ド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどのガ
ソリン清浄分散剤として公知の化合物を挙げることがで
きる。特に、用いる清浄分散剤としては空気中300℃
で熱分解を行った場合にその残分が無いものであること
が望ましい。これらの添加剤の添加によりIVDを防止
し、CCDを低減させることができる。清浄分散剤の添
加量はガソリン全量基準で通常1質量%以下、好ましく
は0.1質量%以下である。
されるガソリン組成物は、燃費および出力特性向上とい
う本発明の効果が十分に発揮されるために下記(1)〜
(4)の性状を同時に満足することが必要である。 (1)リサーチオクタン価(RON)が95以上 (2)モーターオクタン価(MON)が83以上 (3)蒸気圧(37.8℃)が44〜65kPa (4)硫黄分が10ppm以下 また、本発明の効果をさらに向上させるために上記
(1)〜(4)の性状はそれぞれ(1)99.5以上、
(2)86以上、(3)50〜60kPa、(4)8p
pm以下であることが好ましい。
ーチ法オクタン価(RON)は95以上、好ましくは、
98以上であり、さらに好ましくは99.5以上であ
る。RONが95に満たない場合には耐ノッキング性が
悪くなり好ましくない。また、モーター法オクタン価
(MON)は83以上、好ましくは、86以上である。
MONが83に満たない場合には高速走行中の耐ノッキ
ング性が悪くなり好ましくない。ここで、リサーチ法オ
クタン価およびモーター法オクタン価とは、それぞれJ
IS K 2280「オクタン価及びセタン価試験方
法」により測定されるリサーチ法オクタン価およびモー
ター法オクタン価を意味する。本発明に使用されるガソ
リン組成物の蒸気圧(37.8℃)は、その上限が65
kPa、好ましくは60kPaである。蒸気圧が65k
Paより大きくなると、ベーパーロックによる高温運転
性の不具合や、エバポエミッションの量が増加する等の
不都合が生じる可能性がある。またその下限は44kP
a、好ましくは50kPaである。蒸気圧が44kPa
より小さくなると、冷機状態での始動性に不具合が生じ
る可能性がある。ここで蒸気圧とは、JIS K 22
58「原油及び燃料油蒸気圧試験方法(リード法)」に
より測定される蒸気圧(リード蒸気圧(RVP))を意
味する。また、本発明に使用されるガソリン組成物は、
その硫黄分が組成物全量基準で10ppm以下、好まし
くは8ppm以下である。硫黄分が10ppmを越える
場合、排出ガス処理触媒の性能に悪影響を及ぼし、排出
ガス中のNOx、CO、HCの濃度が高くなる可能性が
あり、またベンゼンの排出量も増加する可能性がある。
ここで、硫黄分とは、JIS K 2541「原油及び
石油製品−硫黄分試験方法」により測定される硫黄含有
量を意味する。本発明のガソリン組成物は、(5)その
密度、(6)蒸留性状、及び(7)その組成が下記の通
りであることが好ましい。 (5)本発に使用されるガソリン組成物の密度は、0.
71〜0.77g/cm3であることが好ましい。密度
の下限値は0.71g/cm3、好ましくは0.735
g/cm3である。0.71g/cm3に満たない場合
は燃費が悪化する可能性がある。一方、密度の上限値は
0.77g/cm3、好ましくは0.76g/cm3で
ある。0.77g/cm3を超える場合は加速性の悪化
やプラグのくすぶりを生じる可能性がある。ここで、密
度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品の密
度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定
される密度を意味する。
の蒸留性状は下記の通りであることが好ましい。ここで
蒸留性状とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留
試験方法」によって測定される蒸留性状を意味する。 蒸留初留点 :20〜37℃ 10容量%留出温度(T10):35〜70℃ 30容量%留出温度(T30):55〜77℃ 50容量%留出温度(T50):75〜105℃ 70容量%留出温度(T70):100〜130℃ 90容量%留出温度(T90):115〜180℃ 蒸留終点 :150〜220℃
好ましく、更に好ましくは23℃である。20℃に満た
ない場合は排出ガス中の炭化水素が増加する可能性があ
る。一方、上限値は37℃であることが好ましく、更に
好ましくは35℃である。37℃を超える場合には、低
温運転性に不具合が生じる可能性がある。T10の下限
値は35℃であることが好ましく、更に好ましくは40
℃である。35℃に満たない場合は排出ガス中の炭化水
素が増加する可能性があり、また、ベーパーロックによ
り高温運転性の不具合を生じる可能性がある。一方、T
10の上限値は70℃であることが好ましく、更に好ま
しくは60℃である。70℃を超える場合には、低温始
動性に不具合を生じる可能性がある。T30の下限値は
55℃であることが好ましく、更に好ましくは60℃で
ある。55℃に満たない場合は燃費が悪化する可能性が
ある。一方、T30の上限値は77℃であることが好ま
しく、更に好ましくは75℃、更に好ましくは70℃で
ある。77℃を超える場合には、中低温運転性に不具合
を生じる可能性がある。T50の下限値は75℃である
ことが好ましく、更に好ましくは80℃である。75℃
に満たない場合は燃費が悪化する可能性がある。一方、
T50の上限値は105℃であることが好ましく、更に
好ましくは100℃、更に好ましくは95℃である。1
05℃を超える場合には、排出ガス中の炭化水素が増加
する可能性がある。
ましい。100℃に満たない場合は、燃費が悪化する可
能性がある。一方、T70の上限値は130℃であるこ
とが好ましく、更に好ましくは128℃である。130
℃を越える場合は冷機時の中低温運転性に不具合が発生
する可能性があり、また、排出ガス中の炭化水素の増
加、吸気弁デポジットの増加、燃焼室デポジットが増加
する可能性がある。T90の下限値は115℃であるこ
とが好ましく、更に好ましくは120℃である。115
℃に満たない場合は、燃費が悪化する可能性がある。一
方、T90の上限値は、冷機時の低温および常温運転性
の悪化、エンジンオイルのガソリンによる希釈の増加、
炭化水素排出ガスの増加、エンジンオイルの劣化および
スラッジの発生を防止することができるなどの点から、
180℃であることが好ましく、更に好ましくは170
℃、更に好ましくは160℃である。蒸留終点の下限値
は150℃であることが好ましい。一方、蒸留終点の上
限値は、220℃であることが好ましく、更に好ましく
は200℃、更に好ましくは195℃、最も好ましくは
190℃である。終点が220℃を越える場合は吸気弁
デポジット、燃焼室デポジットが増加する可能性があ
り、また、点火プラグのくすぶりが発生する可能性があ
る。
中の芳香族分は、20〜45容量%であることが好まし
い。芳香族分は、更に好ましくは25容量%以上、42
容量%以下である。芳香族分が45容量%を越えると、
吸気弁デポジット、燃焼室デポジットが増加する可能性
があり、また、点火プラグのくすぶりが発生する可能性
がある。また、排出ガス中のベンゼン濃度が増加する可
能性がある。一方、芳香族分が20容量%を下回る場合
には燃費が悪化する可能性がある。
0容量%であることが好ましい。オレフィン分は、更に
好ましくは5容量%以上、25容量%以下である。オレ
フィン分が30容量%越えるとガソリンの酸化安定性が
悪化する可能性があり、また、排出ガス中のNOxが増
加する可能性がある。芳香族分およびオレフィン分と
は、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ
試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定されるガソリ
ン組成物中のそれぞれの含有量を意味する。
1容量%以下であることが好ましい。ベンゼン含有量が
1容量%を越えると排出ガス中のベンゼン濃度が高くな
る可能性がある。ここでベンゼン含有量とは、JIS
K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の
ガスクロマトグラフ法で定量して得られるガソリン組成
物中の含有量を意味する。
は、含酸素化合物を含有していてもよい。含酸素化合物
としては、例えば、炭素数2〜4のアルコール類、炭素
数4〜8のエーテル類などが含まれる。具体的な含酸素
化合物としては、例えば、エタノール、メチル−ter
t−ブチルエーテル(MTBE)、エチル−tert−
ブチルエーテル、tert−アミルメチルエーテル(T
AME)、tert−アミルエチルエーテルなどを挙げ
ることができる。なかでもMTBE、TAMEが好まし
く、最も好ましくはMTBEである。なお、メタノール
は排出ガス中のアルデヒド濃度が高くなる可能性があ
り、腐食性もあるので好ましくない。またこれらの化合
物は本来原料中に含まれているもので1種又2種以上の
ガソリン基材を混合して目的の性状のガソリンを調製す
る工程でその含有量が決まる。含酸素化合物の含有量
(原料の由来の含有量及び/又添加剤として加えた場合
の含有量)は酸素元素換算でその上限が2.7質量%で
あることが好ましく、更に好ましくは2.0質量%、更
に好ましくは1.5質量%である。2.7質量%を越え
る場合は、排出ガス中のNOxが増加する可能性があ
る。
成分の含有量は何ら制限はないが、各成分の含有量は以
下のような範囲にあることが望ましい。 1)V(Tol):0〜30容量% 2)V(C8A):0〜20容量% 3)V(C9A):0〜15容量 4)V(C10+A):0〜5容量% 5)V(PA)=0又はV(PA)≠0の時V(MA)
/V(PA)=1以上 6)V(C4):0〜10容量% 7)V(C5):10〜35容量% 8)V(C6):10〜30容量% 9)V(C7+p):10〜50容量%
それぞれガソリン全量基準のトルエン含有量および炭素
数8の芳香族炭化水素化合物含有量を示し、本発明では
排出ガスのオゾン生成能を低く抑えるために、V(To
l)が好ましくは0〜30容量%、更に好ましくは0〜
20容量%、V(C8A)が好ましくは0〜20容量
%、更に好ましくは0〜15容量%にある。なお、炭素
数8の芳香族炭化水素化合物には、エチルベンゼン、キ
シレン(全ての置換異性体を含む)等が含まれる。上記
V(C9A)は、ガソリン全量基準の炭素数9の芳香族
炭化水素化合物の含有量を示し、本発明では排出ガスの
オゾン生成能を低く抑えるために、その値は好ましくは
0〜15容量%、更に好ましくは0〜10容量%であ
る。炭素数9の芳香族炭化水素には、n−プロピルベン
ゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)、エチルメチル
ベンゼン(全ての置換異性体を含む)、トリメチルベン
ゼン(全ての置換異性体を含む)等が包含される。上記
V(C10+A)は、ガソリン全量基準の炭素数10以
上の芳香族炭化水素化合物の含有量を示し、本発明では
排出ガスのオゾン生成能を低く抑えるために、その量が
好ましくは0〜5容量%、更に好ましくは0〜3容量
%、更に好ましくは0容量%である。炭素数10以上の
芳香族炭化水素化合物には、ジエチルベンゼン(全ての
置換異性体を含む)、ジメチルエチルベンゼン(全ての
置換異性体を含む)、テトラメチルベンゼン(全ての置
換異性体を含む)、n−ブチルメチルベンゼン(全ての
置換異性体を含む)等が包含される。
ぞれガソリン全量を基準としたモノアルキル置換芳香族
炭化水素化合物の含有量(容量%)および2つ以上のア
ルキル基で置換された芳香族炭化水素化合物の含有量
(容量%)を示し、本発明にあってはV(PA)が0で
あるか、またはV(PA)が0でない場合は、前者の含
有量と後者の含有量の比、V(MA)/V(PA)が好
ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上、更に好ま
しくは2以上である。なお、上記V(Bz)、V(To
l)、V(C8A)、V(C9A)、V(C10+
A)、V(C9+)、V(MA)およびV(PA)は、
いずれもJISK 2536「石油製品−炭化水素タイ
プ試験方法」のガスクロマトグラフ法で定量して得られ
る値である。上記V(C4)は、ガソリン全量を基準と
した炭素数4の炭化水素化合物の含有量を示し、本発明
においては、エバポエミッションの量をより低く抑えら
れる点から、V(C4)が好ましくは0〜10容量%、
更に好ましくは0〜5容量%、更に好ましくは0〜3容
量%である。炭素数4の炭化水素化合物としては、n−
ブタン、2−メチルブタン(イソブタン)、1−ブテ
ン、2−ブテン、2−メチルプロペン等がある。
した炭素数5の脂肪族炭化水素化合物の含有量を示し、
本発明ではその下限値が好ましくは10容量%、更に好
ましくは15容量%、一方、上限値が好ましくは35容
量%、更に好ましくは30容量%である。炭素数5の脂
肪族炭化水素化合物の含有量を10容量%以上にするこ
とで、常温運転性により優れたガソリンが得られる。ま
た、これを35容量%以下にすることで高温運転性によ
り優れたガソリンが得られる。そして、インジェクタ内
でのガソリンのコーキング防止の観点から、炭素数5の
脂肪族炭化水素化合物の中の不飽和炭化水素化合物の含
有量(V(C5o))(容量%)が0であるか、あるい
は炭素数5の脂肪族炭化水素化合物の中の飽和炭化水素
化合物の含有量(V(C5p))(容量%)とV(C5
o)との比、すなわち、V(C5p)/V(C5o)が
通常1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2
以上、最も好ましくは3以上である。炭素数5の飽和脂
肪族炭化水素化合物には、n−ペンタン、2−メチルブ
タン(イソペンタン)、2,2−ジメチルプロパン(ネ
オペンタン)等が包含され、同じく不飽和脂肪族炭化水
素化合物には、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチ
ル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル
−1−ブテン等が包含される。
した炭素数6の脂肪族炭化水素化合物の含有量を示し、
本発明ではその下限値が好ましくは10容量%、更に好
ましくは15容量%、一方、上限値が好ましくは30容
量%、更に好ましくは25容量%である。炭素数6の脂
肪族炭化水素化合物の含有量を10容量%以上にするこ
とで、常温運転性により優れたガソリンが得られる。ま
た、これを30容量%以下にすることで高温運転性によ
り優れたガソリンが得られる。そして、インジェクタ内
でのガソリンのコーキング防止の観点から、炭素数6の
脂肪族炭化水素化合物の中の飽和炭化水素化合物の含有
量(V(C6o))(容量%)が0であるか、或るいは
炭素数6の脂肪族炭化水素化合物の中の飽和炭化水素化
合物の含有量(V(C6p))(容量%)とV(C6
o)との比、すなわち、V(C6p)/V(C6o)は
通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以
上、最も好ましくは10以上である。炭素数6の飽和脂
肪族炭化水素化合物としては、例えば、n−ヘキサン、
2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジ
メチルブタン、2,3−ジメチルブタン等を挙げること
ができる。同じく不飽和脂肪族炭化水素化合物として
は、例えば、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセ
ン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペ
ンテン、3−メチル−2−ペンテン、4−メチル−2−
ペンテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジ
メチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン等
を挙げることができる。
準とした炭素数7以上の飽和脂肪族炭化水素化合物の含
有量を示し、本発明ではその下限値が好ましくは10容
量%、更に好ましくは20容量%、一方、上限値が好ま
しくは50容量%、更に好ましくは45容量%である。
炭素数7以上の飽和脂肪族炭化水素化合物の含有量を1
0容量%以上にすることで、常温運転性により優れたガ
ソリンが得られ、これを50容量%以下にすることで高
温運転性により優れたガソリンが得られる。炭素数7以
上の飽和脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、n−
ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、
2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタ
ン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペン
タン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブ
タン等を挙げることができる。なお、上記V(C4)、
V(C5)、V(C5p)、V(C5o)、V(C
6)、V(C6 p)、V(C6o)およびV(C7+
p)は、以下に示すガスクロマトグラフィー法により定
量される値である。すなわち、カラムにはメチルシリコ
ンのキャピラリーカラム、キャリアガスにはヘリウムま
たは窒素を、検出器には水素イオン化検出器(FID)
を用い、カラム長25〜50m、キャリアガス流量0.
5〜1.5ml/分、分割比1:50〜1:250、注
入口温度150〜250℃、初期カラム温度−10〜1
0℃、終期カラム温度150〜250℃、検出器温15
0〜250℃の条件で測定した値である。
IS K 2261「石油製品−自動車ガソリン及び航
空燃料油−実在ガム試験方法−噴射蒸発法」により測定
した未洗実在ガム量は好ましくは20mg/100mL
以下であり、洗浄実在ガム量は好ましくは3mg/10
0mL以下、更に好ましくは1mg/100mL以下で
ある。未洗実在ガム量および洗浄実在ガム量が上記の値
を超えた場合は、燃料導入系統において析出物が生成し
たり、吸入弁が膠着する心配がある。本発明に使用され
るガソリン組成物の、JIS K 2279「原油及び
石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に
より測定した総発熱量は、好ましくは40000J/g
以上、更に好ましくは45000J/g以上である。本
発明に使用されるガソリン組成物の、JIS K 22
87「ガソリン酸化安定度試験方法(誘導期間法)」に
よって測定した酸化安定度は、好ましくは480分以
上、更に好ましくは1440分以上である。酸化安定度
が480分に満たない場合は、貯蔵中にガムが生成する
可能性がある。本発明に使用されるガソリン組成物は、
銅板腐食(50℃、3h)が好ましくは1、更に好まし
くは1aである。銅板腐食が1を越える場合は、燃料系
統の導管が腐食する可能性がある。ここで、銅板腐食と
は、JIS K 2513「石油製品−銅板腐食試験方
法」(試験温度50℃、試験時間3時間)に準拠して測
定されるものである。
油混入量が0〜4容量%であることが望ましい。ここ
で、灯油混入量とはガソリン全量基準での炭素数13〜
14の炭化水素含有量(容量%)を表し、この量は以下
に示すガスクロマトグラフィー法により定量して得られ
るものである。すなわち、カラムにはメチルシリコンの
キャピラリーカラム、キャリアガスにはヘリウムまたは
窒素を、検出器には水素イオン化検出器(FID)を用
い、カラム長25〜50m、キャリアガス流量0.5〜
1.5ml/分、分割比1:50〜1:250、注入口
温度150〜250℃、初期カラム温度−10〜10
℃、終期カラム温度150〜250℃、検出器温150
〜250℃の条件で測定した値である。
必要に応じて、その他の公知の燃料油添加剤を添加する
ことができる。この様な添加剤としては、具体的には例
えば、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジア
ミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミ
ン、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤;N,N’
−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパンのような
アミンカルボニル縮合化合物等の金属不活性化剤;有機
リン系化合物などの表面着火防止剤;多価アルコールお
よびそのエーテルなどの氷結防止剤;有機酸のアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩;高級アルコール硫酸
エステルなどの助燃剤;アニオン系界面活性剤;カチオ
ン系界面活性剤;両性界面活性剤などの帯電防止剤;ア
ゾ染料などの着色剤;有機カルボン酸及びそれらの誘導
体類;アルケニルコハク酸エステル等の防錆剤;ソルビ
タンエステル類等の水抜き剤;キリザニン、クマリンな
どの識別剤;天然精油合成香料などの着臭剤等が挙げら
れる。これらの添加剤は、1種または2種以上を添加す
ることができ、その合計添加量はガソリン全量基準で
0.1質量%以下とすることが好ましい。本発明に使用
されるガソリン組成物は、四エチル鉛等のアルキル鉛化
合物を実質的に含有しないガソリンであり、たとえ極微
量の鉛化合物を含有する場合であっても、その含有量は
JIS K 2255「ガソリン中の鉛分試験方法」の
適用区分下限値以下である。
本発明に用いるエンジン油組成物は、組成物全量基準で
摩擦調整剤を0.01〜2.0質量%含有する。摩擦調
整剤としては、有機モリブデン化合物、非モリブデン系
摩擦調整剤及びこれらの任意混合物が挙げられる。有機
モリブデン化合物としては(A−1)モリブデンジチオ
カーバメートや(A−2)モリブデンジチオホスフェー
トがよく使用される。一般式(1)に(A−1)モリブ
デンジチオカーバメートを示す。
R8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数2
〜18のアルキル基やアルキルアリール基等の炭化水素
基を示し、Y1、Y2、Y3及びY4はそれぞれ個別
に、S(硫黄原子)又はO(酸素原子)を示す。ここで
いうアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基又
は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状
でもよい。アルキル基の好ましい具体例としてはエチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基等が
挙げられる。またアルキルアリール基の好ましい具体例
としてはブチルフェニル基、ノニルフェニル基等が挙げ
られる。)
いることができるモリブデンジチオカーバメートの好ま
しい具体例を列記すると、硫化モリブデンジエチルジチ
オカーバメート、硫化モリブデンジプロピルジチオカー
バメート、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメー
ト、硫化モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫
化モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリ
ブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化モリブデン
ジデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシ
ルジチオカーバメート、硫化モリブデンジトリデシルジ
チオカーバメート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニ
ル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニルフ
ェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
エチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジプ
ロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブ
チルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペン
チルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキ
シルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオク
チルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシ
ルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシ
ルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジトリデ
シルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ブ
チルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブ
デンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート等を挙げ
ることができる。これらの各化合物はもちろん混合使用
することができる。
ートとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジ
チオホスフェート、硫化モリブデンジプロピルジチオホ
スフェート、硫化モリブデンジブチルジチオホスフェー
ト、硫化モリブデンジペンチルジチオホスフェート硫化
モリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化モリブ
デンジオクチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジ
デシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジドデシル
ジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニ
ル)ジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ノニルフ
ェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ
エチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジプ
ロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジブ
チルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジペン
チルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘキ
シルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオク
チルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジデシ
ルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデシ
ルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ブチ
ルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート(アルキル
基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェニ
ル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこれ
らの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデンジ
チオホスフェートとしては、1分子中に異なる炭素数及
び/又は構造の炭化水素基を有する化合物も、好ましく
用いることができる。
む化合物と併用するとその効果が向上するのは周知のと
ころである。硫黄化合物としては硫黄を含む化合物なら
特に限定されないが、ジチオリン酸亜鉛、チアジアゾー
ル、硫化オレフィン、硫化エステル、チオカーバメート
などがあげられる。非モリブデン系摩擦調整剤としては
長鎖脂肪族基、好ましくは炭素数6〜30のアルキル基
又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の長鎖アルキル
基又は長鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有す
る、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂
肪酸金属塩等及びこれらの任意混合物が挙げられる。
としては、直鎖状でも分枝状でもよいが、炭素数は6〜
30、好ましくは9〜24の化合物が望ましい。アルキ
ル基又はアルケニル基の炭素数が6未満や30を越える
場合は、特性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また
二重結合の位置も任意である。
ると、 (A−3)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に含有しないアミン化合物、又は
その誘導体 (A−4)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に含有しないリン化合物、又はそ
の誘導体 (A−5)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に含有しない脂肪酸のアミド又は
金属塩の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が
好ましい化合物として挙げられる。
は、より具体的には、下記の式(2)で表される脂肪族
モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、下記の
式(3)で表される脂肪族ポリアミン、一般式(4)で
表されるイミダゾリン化合物等が例示できる。
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R115及びR116は、それぞれ個別に、
エチレン基又はプロピレン基を示し、R117及びR
118は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30
の炭化水素基を示し、f及びgは、それぞれ個別に0〜
10で、かつf+g=0〜10であり、好ましくはそれ
ぞれ個別に0〜6で、かつf+g=0〜10である整数
を示している。
0、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル基
を示し、R120はエチレン基又はプロピレン基を示
し、R121及びR122は、それぞれ個別に、水素原
子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、hは、1〜
5、好ましくは1〜4の整数を示している。
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R124は、エチレン基又はプロピレン基を
示し、R125は、水素原子又は炭素数1〜30の炭化
水素基を示し、iは、0〜10、好ましくは0〜6の整
数を示している。
示すアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも
分枝状でもよいが、その炭素数は6〜30、好ましくは
9〜24が望ましい。アルキル基又はアルケニル基の炭
素数が6未満の場合や30を超える場合は摩擦低減効果
に劣るため、それぞれ好ましくない。R114、R
119及びR123を示すアルキル基又はアルケニル基
としては、具体的には例えば、前述したような各種のア
ルキル基やアルケニル基等が挙げられるが、ラウリル
基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、イソ
ステアリル基、オレイル基等の炭素数12〜18のアル
キル基又はアルケニル基が特に好ましい。
又はそのアルキレンオキシド付加物としては、式(2)
において、R117及びR118が、それぞれ個別に、
水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、かつf
=g=0である脂肪族モノアミンや、R117及びR
118が水素原子であり、かつf及びgが、それぞれ個
別に、0〜6でさらにf+g=1〜6となる整数であ
る、脂肪族モノアミンのアルキレンオキシド付加物等が
より好ましく用いられる。また、上記式(3)で表され
る脂肪族ポリアミンとしては、式(3)において、R
121及びR122が、それぞれ個別に、水素原子又は
炭素数1〜6のアルキル基である脂肪族ポリアミン等が
より好ましく用いられる。また、上記式(4)で表され
るイミダゾリン化合物としては、式(4)においてR
125が、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であ
るイミダゾリン化合物等がより好ましく用いられる。一
方、(A−3)でいうアミン化合物の誘導体としては、
具体的には例えば、上記式(2)〜(4)のようなアミ
ン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸
等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用さ
せて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は
全部を中和したり、アミド化した、いわゆる酸変性化合
物;式(2)〜(4)のようなアミン化合物にホウ酸を
作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一
部又は全部を中和した、いわゆるホウ酸変性化合物;式
(2)〜(4)のようなアミン化合物に、その分子中に
炭素数1〜30の炭化水素基を1〜2個有し、炭素数3
1以上の炭化水素基を含まず、かつ少なくとも1個の水
酸基を有する酸性リン酸エステル(例えば2−エチルヘ
キシルリン酸エステル)又は酸性亜リン酸エステル(例
えば2−エチルヘキシル亜リン酸エステル)を作用させ
て、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全
部を中和した、リン酸エステル塩;式(2)又は(4)
のようなアミン化合物に、エチレンオキシドやプロピレ
ンオキシド等のアルキレンオキシドを反応させた、いわ
ゆるアミン化合物のアルキレンオキシド付加物;これら
の中から選ばれる2種以上の変性を組み合わせて得られ
るアミン化合物の変性物;等が挙げられる。上記(A−
3)のアミン化合物又はその誘導体としては、ラウリル
アミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノー
ルアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチル
アミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレン
ペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジア
ミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエ
チルオレイルイミダゾリン等のアミン化合物;これらア
ミン化合物のアルキレンオキシド付加物又はこれらの混
合物等が特に好ましく用いられる。また、(A−4)リ
ン化合物としては、より具体的には例えば、下記の式
(5)で表されるリン酸エステル及び下記の式(6)で
表される亜リン酸エステル等が挙げられる。
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R127及びR128は、それぞれ個別に、
水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、
F1、F2、F3及びF4は、それぞれ個別に、酸素原
子又は硫黄原子であり、かつ、F1、F2、F3及びF
4のうち少なくとも一つが酸素原子である基を示してい
る。
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R130及びR131は、それぞれ個別に、
水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、
F5、F6及びF7は、それぞれ個別に、酸素原子又は
硫黄原子であり、かつ、F5、F6及びF7のうち少な
くとも一つは酸素原子である基を示している。なお、R
126及びR129を示すアルキル基又はアルケニル基
としては、直鎖状でも分枝状でもよいが、その炭素数は
6〜30、好ましくは9〜24が望ましい。アルキル基
又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30を超え
る場合は、摩擦低減効果に劣るため、それぞれ好ましく
ない。このアルキル基又はアルケニル基としては、具体
的には例えば、前述したような各種のアルキル基やアル
ケニル基等が挙げられるが、ラウリル基、ミリスチル
基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基等の炭素
数12〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基が特に
好ましい。上記式(5)において、R127及びR
128の少なくとも1つが水素原子である酸性リン酸エ
ステルや、上記式(6)において、R130及びR
131の少なくとも1つが水素原子である酸性亜リン酸
エステルがより好ましく用いられる。また、(A−4)
でいうリン化合物の誘導体としては、具体的には、上記
式(5)においてR127及びR128の少なくとも1
つが水素原子である酸性リン酸エステルや、上記式
(6)においてR130及びR131の少なくとも1つ
が水素原子である酸性亜リン酸エステルに、アンモニア
や炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基
のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物
を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和
した塩等が例示できる。リン化合物又はその誘導体とし
ては、具体的には、モノラウリルリン酸エステル、ジラ
ウリルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステ
ル、ジステアリルリン酸エステル、モノオレイルリン酸
エステル、ジオレイルリン酸エステル、モノラウリル亜
リン酸エステル、ジラウリル亜リン酸エステル、モノス
テアリル亜リン酸エステル、ジステアリル亜リン酸エス
テル、モノオレイル亜リン酸エステル、ジオレイル亜リ
ン酸エステル、モノラウリルチオリン酸エステル、ジラ
ウリルチオリン酸エステル、モノステアリルチオリン酸
エステル、ジステアリルチオリン酸エステル、モノオレ
イルチオリン酸エステル、ジオレイルチオリン酸エステ
ル、モノラウリルチオ亜リン酸エステル、ジラウリルチ
オ亜リン酸エステル、モノステアリルチオ亜リン酸エス
テル、ジステアリルチオ亜リン酸エステル、モノオレイ
ルチオ亜リン酸エステル、ジオレイルチオ亜リン酸エス
テル、及びこれらリン酸エステル、亜リン酸エステル、
チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステルのアミン塩
(モノ2−エチルヘキシルアミン塩等)、及びこれらの
混合物等が特に好ましく用いられる。
属塩における脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂肪
酸でもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよいが、
そのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、6〜3
0、好ましくは9〜24が望ましい。脂肪酸のアルキル
基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30を超
える場合は、摩擦低減効果に劣るため、それぞれ好まし
くない。この脂肪酸としては、具体的には例えば、ヘプ
タン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン
酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペン
タデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタ
デカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン
酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペン
タコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタ
コサン酸、ノナコサン酸、トリアコンチル基等の飽和脂
肪酸(これら飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよ
い);ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、
ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセ
ン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン
酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘン
イコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン
酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン
酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸
等の不飽和脂肪酸(これら不飽和脂肪酸は直鎖状でも分
枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);等
が挙げられるが、特に湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、各種油脂から誘導され
る直鎖脂肪酸(ヤシ油脂肪酸等)の直鎖脂肪酸やオキソ
法等で合成される直鎖脂肪酸と分枝脂肪酸の混合物等が
好ましく用いられる。脂肪酸アミドとしては、具体的に
は例えば、上記脂肪酸やその酸塩化物をアンモニアや炭
素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみ
を分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物を反
応させて得られるアミド等が挙げられる。脂肪酸金属塩
としては、具体的には、上記脂肪酸のアルカリ土類金属
塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)や亜鉛塩等が例
示できる。脂肪酸金属塩としては、具体的には、ラウリ
ン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチン
酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カ
ルシウム、ヤシ油脂肪酸カルシウム、炭素数12〜13
の合成混合脂肪酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリス
チン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オ
レイン酸亜鉛、ヤシ油脂肪酸亜鉛、炭素数12〜13の
合成混合脂肪酸亜鉛、及びこれらの混合物等が特に好ま
しく用いられる。任意に選ばれた1種類あるいは2種類
以上の(A)成分は、少ないとその効果が認められな
い。また多すぎると他の性能、例えば耐摩耗性や酸化安
定性等に影響を与えるため0.01〜2.0質量%であ
るのが好ましく、0.1〜1.5質量%であるのがより
好ましい。本発明に使用されるエンジン油組成物に含有
される摩擦調整剤の含有量としては、組成物全量基準
で、0.01〜2.0質量%であり、好ましくは、0.
1〜1.5質量%であるが、当該摩擦調整剤が、有機モ
リブデン化合物の場合には、その含有量としては、組成
物全量基準で、モリブデン元素量換算で、その下限値が
好ましくは0.02質量%、さらに好ましくは0.04
質量%であり、一方その上限値は好ましくは0.15質
量%、さらに好ましくは0.13質量%である。
本発明の効果をさらに発揮させるという点で、摩擦調整
剤が長鎖脂肪族基を分子中に含む非モリブデン化合物で
あり、かつ、(B)ジチオリン酸亜鉛をリン元素量換算
で0.02〜0.1質量%を含有することが好ましい。 (B)ジチオリン酸亜鉛としては、具体的には例えば、
次の一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。
4は、それぞれ個別に、炭素数1〜18のアルキル基、
アリール基又は炭素数7〜18のアルキルアリール基を
示す。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基等が挙げられ、特に炭素数3〜8の
アルキル基が好ましく用いられる。これらアルキル基は
直鎖状でも分枝状でもよい。これらはまた第1級(プラ
イマリー)アルキル基でも第2級(セカンダリー)アル
キル基でもよい。なお、R1、R2、R3及びR4を導
入する際にα−オレフィンの混合物を原料とする場合が
あるが、この場合、式(7)で表される化合物として
は、異なる構造のアルキル基を有するジアルキルジチオ
リン酸亜鉛の混合物となる。モリブデンジチオホスフェ
ート及びモリブデンジチオカーバメートからなる群より
選ばれる1種又は2種以上の有機モリブデン化合物や脂
肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アミ
ン、脂肪族アミン塩、脂肪族アミド等が使用可能であ
り、これらの任意混合物を使用することができる。アリ
ール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基
等が挙げられる。アルキルアリール基としては、具体的
には、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロ
ピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル
基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、
ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等(これら
のアルキル基は直鎖状も分枝状も含まれ、また全ての置
換異性体も含まれる)が挙げられる。ジチオリン酸亜鉛
としては、具体的には、亜鉛ジプロピルジチオホスフェ
ート、亜鉛ジブチルジチオホスフェート、亜鉛ジペンチ
ルジチオホスフェート、亜鉛ジヘキシルジチオホスフェ
ート、亜鉛ジヘプチルジチオホスフェート、亜鉛ジオク
チルジチオホスフェート(これらのアルキル基は直鎖状
でも分枝状でも良い)及びこれらの混合物等が例示でき
るが、1分子中に異なる炭素数及び/又は構造のアルキ
ル基を有する亜鉛ジアルキルジチオホスフェートも用い
ることができる。このジチオリン酸亜鉛の添加量は組成
物全量基準でリン酸濃度0.02質量%〜0.1質量%
が本発明の効果を高めるという点から好ましい。0.1
質量%を超える添加量ではO2センサーや排気ガス浄化
触媒等の機能を阻害する虞がある。また本発明に使用さ
れるエンジン油組成物は、基油粘度および粘度グレード
に制限はないが、本発明の効果をさらに高めるという点
から基油粘度が100℃において2.5mm2/sから
6.0mm2/sであり、粘度グレードは0W−20,
5W−20,0W−30,5W−30,10W−30で
あることが好ましい。基油粘度について言えば、2.5
mm2/s未満の粘度の基油を用いるとさらに潤滑性が
低下するなどの虞があり、また6.0mm2/sを越え
る場合は省燃費効果が小さくなる虞がある。また、Wグ
レードは基油粘度が先に記載した粘度が確保されれば低
いほど望ましい。また100℃の粘度グレードはこれも
低い程よい。100℃の粘度グレードは20未満の場
合、潤滑性の不足やオイル消費量の増大につながる虞が
あり、また100℃の粘度グレードが40を越える場合
には、燃費向上効果が小さくなるという虞がある。な
お、本発明に使用されるエンジン油組成物は、上述のよ
うな摩擦調整剤、ジチオリン酸亜鉛の他に各種添加剤を
含有することができるが、特に酸化防止剤を含有するこ
とが好ましい。
リブデン化合物の他に、アミン化合物(コハク酸イミド
等)等をリガンドとして有するモリブデン酸化物やモリ
ブデン硫化物等の錯体(以下モリブデン化合物とい
う)、亜鉛、銅等の有機金属系酸化防止剤の他、フェノ
ール系化合物やアミン系化合物、フェノチアジン類等の
無灰酸化防止剤等、潤滑油に一般的に使用されているも
のであれば使用可能である。フェノール系化合物として
は、具体的には、例えば、4,4’−メチレンビス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,
4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブ
チルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ
ール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−
tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピ
リデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニ
ルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,
6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス
(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,
6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノー
ル、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノー
ル、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−
クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,
N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−
チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジ
ル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チ
オ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オ
クチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、トリデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、及びこれらの混合物等が挙げら
れる。
ェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−
ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,
N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン及びこれら
の混合物が挙げられる。ここでアルキル基としては炭素
数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、エンジン油組成物全量基準で
0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%であ
る。また特に、酸化防止剤として上述のようなモリブデ
ン化合物を含有させる場合には、燃費向上率を飛躍的に
向上させるという点から、モリブデン元素量換算で組成
物全量基準で0.0025質量%から0.016質量%
含有させることが好ましく、0.005質量%から0.
012質量%含有させることがさらに好ましい。
らに金属系清浄剤を含有することが好ましい。金属系清
浄剤としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
系、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ
土類金属系及び亜鉛系のスルフォネート、フェネート、
サリシレート、ホスフォネート等が挙げられる。金属系
清浄剤として、好ましいものとしては、例えば、以下の
(1)、(2)及び(3)の中から選ばれる一種又は二
種以上の塩基性アルカリ土類金属系清浄剤等が挙げられ
る。 (1):全塩基価が100〜450mgKOH/gの塩
基性アルカリ土類金属スルフォネート (2):全塩基価が20〜450mgKOH/gの塩基
性アルカリ土類金属フェネート、 (3):全塩基価が100〜450mgKOH/gの塩
基性アルカリ土類金属サリシレート
しては、より具体的には例えば、分子量100〜150
0、好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物
をスルフォン化することによって得られるアルキル芳香
族スルフォン酸のアルカリ土類金属塩、好ましくはマグ
ネシウム塩及び/又はカルシウム塩、より好ましくはカ
ルシウム塩が好ましく用いられる。アルキル芳香族スル
フォン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルフォン
酸や合成スルフォン酸等が挙げられる。石油スルフォン
酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族
化合物をスルフォン化したものやホワイトオイル製造時
に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。ま
た合成スルフォン酸としては、例えば洗剤の原料となる
アルキルベンゼン製造プラントから副生する直鎖状又は
分枝状のアルキルベンゼンや、ポリオレフィンをベンゼ
ンにアルキル化することにより得られる直鎖状又は分枝
状のアルキルベンゼンを原料とし、これをスルフォン化
したアルキルベンゼンスルフォン酸、あるいはジノニル
ナフタレンをスルフォン化したジノニルナフタレンスル
フォン酸等が用いられる。アルキル芳香族化合物をスル
フォン化する際のスルフォン化剤としては特に制限はな
いが、通常、発煙硫酸や硫酸が用いられる。 (2)アルカリ土類金属フェネートとしては、より具体
的には、例えば、炭素数4〜30、好ましくは6〜18
の直鎖状又は分枝状のアルキル基を少なくとも1個有す
るアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩、前記アル
キルフェノールと元素硫黄を反応させて得られるアルキ
ルフェノールサルファイドのアルカリ土類金属塩、前記
アルキルフェノールとアセトンとを縮合脱水反応させて
得られるメチレンビスアルキルフェノールのアルカリ土
類金属塩等、好ましくはカルシウム塩及び/又はマグネ
シウム塩、より好ましくはカルシウム塩が用いられる。 (3)アルカリ土類金属サリシレートとしては、より具
体的には例えば、炭素数4〜30、好ましくは6〜18
の直鎖状又は分枝状のアルキル基を少なくとも1個有す
るアルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、好ましく
はカルシウム塩及び/又はマグネシウム塩、より好まし
くはカルシウム塩が好ましく用いられる。
ート、(2)塩基性アルカリ土類金属フェネート及び
(3)塩基性アルカリ土類金属サリシレートは、それぞ
れの製造ルートを問わない。換言すれば、これらの塩基
性塩は、アルキル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノ
ール、アルキルフェノールサルファイド、メチレンビス
アルキルフェノール、アルキルサリチル酸等を、直接、
アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類
金属塩基と直接反応させて得られる塩基性塩であっても
差し支えない。また、アルキル芳香族スルフォン酸等を
一旦ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩と
し、次いでそのアルカリ金属をアルカリ土類金属塩に置
換させて中性塩(正塩)を取得し、しかる後、この中性
塩を過剰の適当なアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金
属塩基(アルカリ土類金属の水酸化物や酸化物)と共
に、水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩
であっても差し支えない。また、上記のアルカリ金属塩
や中性塩(正塩)を炭酸ガスの存在下でアルカリ土類金
属塩基と反応させることにより得られるアルカリ土類金
属炭酸塩含有過塩基性塩(超塩基性塩)であっても差し
支えない。
塩)にアルカリ土類金属塩基を分散させ、さらにホウ
酸、ホウ酸塩又はホウ酸エステルを入れて系中でホウ酸
カルシウム分散体を生成させることにより得られたり、
また、上記のアルカリ土類金属炭酸塩含有過塩基性塩に
ホウ酸、ホウ酸塩又はホウ酸エステルを反応させて、系
中に分散しているアルカリ土類金属炭酸塩をアルカリ土
類金属ホウ酸塩に変換することにより得られる、アルカ
リ土類金属ホウ酸塩含有過塩基性塩(超塩基性塩)であ
っても差し支えなく、モリブデン化合物の省燃費効果を
高めるには、これらホウ酸化合物で過塩化させたアルカ
リ土類金属系清浄剤を用いるのが好ましい。なお、ここ
でいうホウ酸としては、具体的には例えば、オルトホウ
酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸等が挙げられる。また
ホウ酸塩としては、具体的には例えば、ホウ酸のアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が
挙げられ、より具体的には、例えばメタホウ酸リチウ
ム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム、過ホウ酸リ
チウム等のホウ酸リチウム;メタホウ酸ナトリウム、二
ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナト
リウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等の
ホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリ
ウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸
カリウム等のホウ酸カリウム;メタホウ酸カルシウム、
二ホウ酸カルシウム、四ホウ酸三カルシウム、四ホウ酸
五カルシウム、六ホウ酸カルシウム等のホウ酸カルシウ
ム;メタホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、
四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム、六
ホウ酸マグネシウム等のホウ酸マグネシウム;及びメタ
ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸
アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモ
ニウム等が好ましく用いられる。また、ホウ酸エステル
としては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキル
アルコールとのエステルが挙げられ、より具体的には例
えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリ
メチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸ト
リエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホ
ウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチ
ル、ホウ酸トリブチル等が好ましく用いられる。
テルを用いる反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族
炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質
潤滑油基油等)中で行われる。また、金属系清浄剤は通
常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販されてお
り入手可能で、これを用いてもよいが、一般的に、その
金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜
16質量%のものを用いるのが望ましい。また、製造工
程において塩化物等のハロゲン化合物を使用しないもの
が望ましく、また使用したとしても最終的に微量に残留
する塩化物あるいは塩素イオン等を水洗する等の充分な
除去処理をすることが好ましい。これらの金属系清浄剤
中の塩素元素量として、1000質量ppm以下、好ま
しくは200質量ppm以下、さらに好ましくは50質
量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下とす
ることが望ましい。本発明に使用されるエンジン油組成
物における金属系清浄剤の含有量の下限値は、組成物全
量基準で、硫酸灰分量で0.1質量%、好ましくは0.
2質量%であり、一方、その含有量の上限値は、組成物
全量基準で、硫酸灰分量換算で1.2質量%、好ましく
は1.0質量%である。含有量が組成物全量基準で、硫
酸灰分量換算で0.1質量%未満の場合は、塩基価維持
性に乏しく、一方、含有量が組成物全量基準で、硫酸灰
分量換算で1.2質量%を超える場合は、省燃費効果が
小さくなる虞がある。
ト系やフェネート系清浄剤は基本的に摩擦係数を上昇さ
せる作用があるため、省燃費性を向上させるにはその添
加量は少ないほうが望ましい。一方、サリシレート系清
浄剤は摩擦係数を低下させる作用があるため、省燃費性
を向上させるためにはその含有量は多いほうが望ましい
が、含有量が多くなると灰分量が多くなりピストンヘッ
ドのデポジットや排ガス処理触媒等へのデポジットの付
着量が多くなるため、その含有量は硫酸灰分量換算で
1.0質量%以下とすることが好ましい。ここで、本発
明でいう硫酸灰分量とは、JIS K2272−198
5の「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方
法」の「5.硫酸灰分の試験方法」に準拠して測定され
る硫酸灰分量を意味している。
ける基油としては、特に限定されるものではなく、通常
の内燃機関用潤滑油の基油として用いられているもので
あれば、鉱油、合成油を問わず使用できる。鉱油として
は、特に制限はないが、具体的には例えば、原油を常圧
蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れ
き、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、
水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜
組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の鉱
油系潤滑油基油やノルマルパラフィン等が挙げられる。
特に溶剤精製や水素化精製等の処理を行った後にワック
ス分を除去して低温流動性を改善したものが望ましい。
また、潤滑油組成物の酸化安定性を向上させる事から、
基油の全芳香族含有量は0〜40質量%、好ましくは2
〜30質量%であり、基油の粘度指数は80以上、好ま
しくは90以上、さらに好ましくは100以上である。
なお、本発明でいう全芳香族含有量とはASTM D2
549に規定される方法に準拠して測定した芳香族留分
(aromatics fraction)含有量を意
味している。
−α−オレフィン(ポリブテン、1−オクテンオリゴマ
ー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリ
ゴマー等)及びその水素化物、イソブテンオリゴマー及
びその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、
アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデ
シルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(ト
リメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプ
ロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチ
ルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネー
ト等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキル
ジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げら
れる。
0℃における動粘度が2.5〜6.0mm2/s、好ま
しくは3.0〜5.5mm2/sとなれば、上記のよう
な鉱油系基油又は合成油系基油を1種又は2種以上混合
することが可能であって、鉱油系基油と合成油系基油の
混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物に
おける2種類以上の基油の混合比は、任意に選ぶことが
できる。
述のような添加剤を特定量含有する場合に、本発明の特
定のガソリン組成物を組合わせて使用すると優れた燃費
向上効果および出力性能の改善を示すものであるが、そ
のエンジン油組成物としての性能をさらに高める目的
で、公知の潤滑油添加剤、例えば、極圧添加剤、摩耗防
止剤、無灰分散剤、錆止め剤、腐食防止剤、粘度指数向
上剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着色剤等を
単独で、又は数種類組み合わせた形で、本発明に使用す
るエンジン油組成物に添加することができる。極圧添加
剤及び摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系化合物やリ
ン系化合物が使用できる、硫黄系化合物としては、例え
ば、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類
が、またリン系化合物としては、例えば、リン酸モノエ
ステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル
類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、
亜リン酸トリエステル類、チオリン酸モノエステル、チ
オリン酸ジエステル、チオリン酸トリエステル及びこれ
らのエステル類とアミン類、アルカノールアミン類との
塩等が使用できる。
(Mn)が900〜3500、好ましくは1500〜3
000の長鎖炭化水素基を有するコハク酸イミド、ベン
ジルアミン、アルキルポリアミン、及び/又はこれらの
誘導体、アルケニルコハク酸エステル等が使用可能であ
る。ここで長鎖炭化水素基とは、具体的には、ポリプロ
ピレン、エチレン−プロピレンオリゴマー、ポリブテン
などから誘導される分枝アルケニル基やその水素化物で
ある分枝アルキル基等の長鎖炭化水素基、好ましくはポ
リブテニル基である。なお、ここで言うポリブテンとは
ブテン混合物あるいは高純度イソブチレンを塩化アルミ
ニウム系触媒又はフッ化ホウ素系触媒等の共存下で重合
させたポリブテンあるいはポリイソブチレンを意味し、
残留する微量のフッ素分や塩素分が充分除去されたもの
が特に好ましい。無灰分散剤の製造方法としては、任意
の従来方法が採用可能であって、特に制限はないが、例
えばコハク酸イミドの場合、数平均分子量900〜35
00のポリブテン又は塩素化ポリブテンと無水マレイン
酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテ
ニルコハク酸に、ポリアミンを反応させることにより得
ることができる。ポリアミンとしては、具体的にはジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が好ま
しい例として使用できる。また上述の化合物の誘導体と
しては、具体的には例えば、前述したようなコハク酸イ
ミドに炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、
フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数
2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物、又
はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイ
ド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネー
ト、およびこれらの混合物等を作用させて、残存するア
ミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和した
り、アミド化した含酸素炭化水素変性化合物、上述の化
合物に硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物、上述の
化合物にホウ酸、ホウ酸塩又はホウ酸エステル等のホウ
素化合物で変性した、いわゆるホウ素変性化合物等が例
示できる。本発明に使用される無灰分散剤としてはコハ
ク酸イミドが好ましいが、その構造としては、モノ体、
ビス体を問わず、また、長鎖炭化水素基の平均分子量も
これに応じて増減できるが、ポリブテニル基を2つ有す
るポリブテニルビスコハク酸イミドおよびその誘導体で
あることが好ましい。本発明に使用されるエンジン油組
成物において、上述の無灰分散剤の含有量としては、組
成物全量基準で1〜15質量%であることが好ましく、
2〜12質量%であることがさらに好ましい。無灰分散
剤の含有量が1質量%に満たないエンジンオイルを使用
した場合は、本発明におけるガソリン組成物を使用して
もエンジン油組成物としての清浄分散性能を発揮でき
ず、一方、その含有量が15質量%を超える場合は、含
有量に見合うだけの清浄分散性能が得られない虞があ
る。錆止め剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、
アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステ
ル、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォ
ネート等が使用できる。腐食防止剤としては、例えば、
ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾー
ル系の化合物等が使用できる。粘度指数向上剤として
は、非分散型粘度指数向上剤や分散型粘度指数向上剤が
使用でき、具体的には、ポリメタクリレート類や、エチ
レン−プロピレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリス
チレン、スチレン−ジエン共重合体等のオレフィンコポ
リマー等が使用可能である。流動点降下剤としては、例
えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレー
ト系のポリマー等が使用できる。消泡剤としては、例え
ば、ジメチルシリコーンやフルオロシリコーン等のシリ
コーン類が使用できる。これらの添加剤の添加量は任意
であるが、通常内燃機関用潤滑油組成物全量基準で、消
泡剤の含有量は0.0005〜0.01質量%、粘度指
数向上剤の含有量は0.05〜20質量%、腐食防止剤
の含有量は0.005〜0.2質量%、その他の添加剤
の含有量は、それぞれ0.005〜10質量%程度であ
る。なお、上記のような添加剤は塩素等のハロゲン化合
物を含まないか、充分に除去されたものが特に好まし
く、組成物全量基準での塩素等のハロゲン化合物の含有
量は、好ましくは1000質量ppm以下、より好まし
くは200質量ppm以下、さらにより好ましくは10
0質量ppm以下、特に好ましくは50質量ppm以
下、最も好ましくは10質量ppm以下である。
を組み合わせて用いる対象は、ガソリンエンジンを原動
機とする車両であればなんら制限はない。ガソリンエン
ジンとは燃料と空気から混合気を形成させ、圧縮行程に
おいて火花点火しピストンの往復運動から仕事を取り出
す機関である。ガソリンエンジンとしては、例えば、燃
料供給方式がキャブレターおよび電子制御燃料噴射方式
を利用したエンジンを挙げることができる。電子制御燃
料噴射方式のエンジンとしては、ストイキ制御エンジ
ン、リーンバーンエンジン、筒内直接燃料噴射エンジン
等を挙げることができる。本発明の組み合わせて用いる
方法は、これらの全てのエンジンに適用できるが、特に
電子制御燃料噴射方式を利用したエンジンに好適であ
る。
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
限定されるものではない。 (実施例1〜10及び比較例1〜8)表1に示すガソリ
ン又はガソリン組成物(A〜C)及び表2に示す添加剤
(a〜c)を用い、表6および表7に示すガソリン組成
物とエンジン油組成物を組み合わせた。エンジン油組成
物は表3に示す(イ〜ニ)を使用した。
ガソリンに添加剤を20mg/L添加し、JPI−5S
−50−97の規定に従ってガソリンHFRR試験を行
った。そして添加剤を含有したガソリンの試験用ガソリ
ン(無添加の試験用ガソリン:WSD=756μm)に
対する摩擦痕径(WSD:μm)の改善率(%)を算出
した。その結果を表2に示す。なお、試験用ガソリンの
性状、測定器具及び測定条件は前述の通りである。
サイクルを200回(200h)運転し、エージングし
た後、燃費特性および出力特性評価を実施した。なお、
表4のエージングは実車における1万km走行のエージ
ングに相当する。
費による評価)上記で調製したガソリン組成物およびエ
ンジン油組成物を使用し、燃費評価を行った。評価方法
は下記の通りである。
ジンを運転した。各ステップにおける燃料消費量を計測
し、各々のWF(ウエイティングファクター)を乗じた
総和により燃料消費量を算出した。なお、この方法は、
エンジンベンチによる定常試験結果より、車両10・1
5モード燃費をシミュレーションすることが可能な方法
である。計測された燃料消費量は基準ガソリン組成物お
よび潤滑油組成物の組み合わせに対する向上率により評
価した。評価結果を表6に示す。
R試験において摩擦痕径の改善率が10%以上の化合物
(本発明用:a,b,c)を含有するガソリンA又はB
(共に本発明用)および本発明のエンジン油組成物を用
いることで燃費特性が大きく向上することがわかる。
の出力特性による評価)上記で調製したガソリン組成物
およびエンジン油組成物を使用し出力特性の評価を行っ
た。評価方法は下記の通りである。 試験雰囲気条件:26℃ 60%RH 760mmHg 供試エンジン :2.0L、NA、L4 試験条件 :水温85±1℃、油温85±1℃ 出力特性計測法 エンジン回転数を1560rpm一定回転とし、エンジ
ンスロットル開度を0→50%へ0.1秒で開けた。エ
ンジン出力が100Nmに達するまでの時間、即ちエン
ジンのトルク発生応答性により、出力特性向上効果を計
測した。計測された出力特性は基準ガソリン組成物およ
び潤滑油組成物の組み合わせに対する向上率により評価
した。評価結果を表7に示す。
R試験において摩擦痕径の改善率が10%以上の化合物
(本発明用:a,b,c)を含有するガソリンA又はB
(共に本発明用)および本発明のエンジン油組成物を用
いることで出力特性が大きく向上することがわかる。
い燃費および出力特性をもつガソリンエンジンシステム
を提供できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 20mg/L添加した場合のガソリンH
FRR試験における摩耗痕径が、無添加の試験用ガソリ
ンの場合に比べて10%以上の改善率を示す化合物を含
有し、かつ(1)リサーチオクタン価(RON)が95
以上、(2)モーターオクタン価(MON)が83以
上、(3)蒸気圧(37.8℃)が44〜65kPa、
そして(4)硫黄分が10ppm以下であるガソリン組
成物と、組成物全量基準で(A)摩擦調整剤を0.01
〜2.0質量%含有するエンジン油組成物とを組み合わ
せて使用することを特徴とするガソリンエンジンシステ
ム。 - 【請求項2】 ガソリンHFRR試験における摩耗痕径
が10%以上の改善率を示す化合物の含有量が、10〜
300mg/Lであることを特徴とする請求項1に記載
のガソリンエンジンシステム。 - 【請求項3】 ガソリン組成物が下記の性状を有するこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載のガソリンエンジ
ンシステム。 (5)密度(15℃):0.71〜0.77g/cm3 (6)蒸留性状:蒸留初留点20〜37℃ 10%留出温度(T10)35〜70℃ 30%留出温度(T30)55〜77℃ 50%留出温度(T50)75〜105℃ 70%留出温度(T70)100〜130℃ 90%留出温度(T90)115〜180℃ 蒸留終点150〜220℃ (7)組成:芳香族分20〜45容量% オレフィン分0〜30容量% ベンゼン含有量1容量%以下 (8)含酸素化合物の含有量が酸素元素換算で0〜2.
7質量% - 【請求項4】摩擦調整剤が長鎖脂肪族基を分子内に含む
非モリブデン化合物であり、かつジチオリン酸亜鉛をリ
ン元素量換算で0.02〜0.1質量%含有することを
特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のガソ
リンエンジンシステム。 - 【請求項5】基油粘度が100℃において2.5〜6.
0mm2/sでありかつ、粘度グレードが0W−20、
5W−20、0W−30、5W−30、又は10W−3
0のエンジン油組成物であることを特徴とする請求項1
乃至4のいずれかの項に記載のガソリンエンジンシステ
ム。
Priority Applications (1)
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