JP2002308675A - 構造用セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

構造用セラミックス及びその製造方法

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JP2002308675A JP2001111578A JP2001111578A JP2002308675A JP 2002308675 A JP2002308675 A JP 2002308675A JP 2001111578 A JP2001111578 A JP 2001111578A JP 2001111578 A JP2001111578 A JP 2001111578A JP 2002308675 A JP2002308675 A JP 2002308675A
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Katsunori Akiyama
勝徳 秋山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストかつ高信頼性の構造用セラミックス
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 焼結中に融液を形成した焼結助剤の液相
中にいったん溶け込んだ母材が、その再析出時に柱状の
粒子の核を形成し、その核が成長する際に、圧縮方向に
対して直交する方向に拘束のないホットプレス治具を用
いて焼結鍛造することにより、前記焼結助剤の液相を経
由して柱状に結晶成長して配向制御された母材組織を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低コスト・高信頼性
を有する構造用セラミックス材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術はコストを度外視して高信頼
性を含めた高い機械的特性を得るか、もしくは特性をあ
る程度犠牲にして低コスト原料、低コスト製造プロセス
を用いるか、のどちらかであった。従って、低コストと
高信頼性の両立ができないために、構造用セラミックス
材料が適用される分野において、潜在的には大きな市場
があるにもかかわらず、製品に適用された例は未だ少な
い。
【0003】構造用セラミックス材料を製品に適用する
には、低コストと高信頼性の両立が不可欠であるが、決
定的な方策が見出せないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】(強度のばらつき)セ
ラミックス材料は一般的に亀裂に敏感な性質を持ち、あ
る応力下である一定以上の大きさの亀裂が存在すると、
そこから破壊する可能性が高い。亀裂の有無あるいはそ
の大きさによって強度は大きく異なるので、必然的に強
度のばらつきが大きくなり、材料の信頼性が低くなる。
【0005】また、セラミックス材料は、高硬度、高耐
熱性等の他の優れた特性も多々有しているにもかかわら
ず、強度面における低信頼性のために構造用材料として
は扱いにくい材料とされ、普及が進展し難い一因となっ
ている。
【0006】(加工コスト)構造材料用途のセラミック
スは一般的に硬度の高いものが多く、加工にはダイヤモ
ンド等を用いた工具を使用せざるを得ない。ダイヤモン
ド工具は高価であり、かつ材料に亀裂を導入しないよう
に穏やかな条件で加工を行うために能率が悪く、様々な
点において高コストとなる。
【0007】通常は、最低限の加工で済むように焼結後
の形状を見込んで、焼結前の成型体の形状を調節するニ
アネットシェイプといった方法が用いられる。しかし、
製品の形状に依っては、焼結のための焼成中にそりや歪
みが導入される場合もあり、歩留まり向上のためにはあ
る程度の量の加工は避けることができない。
【0008】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであり、低コストかつ高信頼性の構造用セラミ
ックス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る構造用セラ
ミックスは、焼結中に融液を形成した焼結助剤の液相中
にいったん溶け込んだ母材が、その再析出時に柱状の粒
子の核を形成し、その核が成長する際に、圧縮方向に対
して直交する方向に拘束のないホットプレス治具を用い
て焼結鍛造することにより、前記焼結助剤の液相を経由
して柱状に結晶成長して配向制御された母材組織を有す
ることを特徴とする。
【0010】本発明に係る構造用セラミックスの製造方
法は、粉粒状の原料と焼結助剤とを調合する工程と、焼
結中に融液を形成する焼結助剤の液相中にいったん溶け
込んだ原料が、その再析出時に柱状の粒子の核を形成す
るように、前記調合物を所定条件下で予備焼結する工程
と、前記柱状の粒子の核が成長する際に、組織の配向を
制御するために、圧縮方向に対して直交する方向に拘束
のないホットプレス治具を用いて所定条件下で焼結鍛造
する工程と、を具備することを特徴とする。
【0011】この場合に、母材を窒化珪素とする場合
に、前記焼結助剤がAl23を2〜7質量%、Re23
の希土類元素(Re=原子番号57番から71番までの
希土類元素)の酸化物を少なくとも1種類以上を2〜7
質量%含むことが好ましい。また、予備焼結とその後連
続的に行う焼結鍛造においては、温度を1775〜18
25℃の範囲とし、予備焼結時間を15〜30分間の範
囲とし、焼結鍛造時間を0.5〜4時間の範囲とし、焼
結鍛造時の加圧力を100〜500kgf/cm2の範囲とす
ることが好ましく、さらにより好ましくは温度を179
0〜1810℃の範囲とし、予備焼結時間を20〜30
分間の範囲とし、焼結鍛造時間を0.5〜2時間の範囲
とすることがより一層望ましい効果を得ることができ
る。
【0012】(コストの問題)構造用セラミックスの普
及のためには、特性向上の他に低コストが挙げられる。
プロセス側で低コストに対する工夫が必要である他に、
特に構造用途の場合には電子材料分野等とは異なり、体
積が大きくなる傾向があるので、原料コストに占める割
合は多く、原料粉末としてなるべく低コストのものを利
用する必要がある。
【0013】しかし、低コストの原料粉末は、高コスト
の原料粉末と比較して相対的に粒径が大きいために、焼
結性が劣る。また、低コストの原料粉末は不純物が多い
ために、比較的粒界部がより弱くなる傾向にある。
【0014】低コストの原料粉末を用いても、プロセス
を改善することにより、高特性を維持することが重要と
なる。
【0015】(強度のばらつき抑制)強度のばらつきを
抑制するためには、低強度のものを無くすことが必要で
あり、これには亀裂を除去することや万が一亀裂が発生
してもその進展を食い止めることが重要となる。亀裂の
発生源や亀裂の伝播経路となるものは材料の弱い部分で
あり、これには焼結体中に存在する気孔や粒界層などが
挙げられる。
【0016】(構造用セラミックス材料の焼結)構造用
セラミックス材料は共有結合の強いものが多く難焼結性
であるために、通常は焼結助剤として焼結時に融液を形
成する酸化物を焼結助剤としてあらかじめ少量添加す
る。例えば、窒化珪素セラミックスの場合には焼結助剤
としてY23とAl23の混合物がよく用いられ、焼結
時に窒化珪素粒子中に存在する不純物のSiO2と反応
して融液を形成し、冷却後はY−Al−Si−O(−
N)系ガラスとなり窒化珪素粒子の粒界にある厚みを持
った層である粒界層を形成し、これらの層の端部には粒
界層成分が塊状となった粒界三重点を形成する。窒化珪
素粒子自体と比較して、粒界層や粒界三重点は機械的強
度が低く、亀裂の発生源や亀裂の伝播経路となり易い。
【0017】(異方性粒子の配向組織制御)セラミック
スである限り粒界を完全に無くすことはできないが、数
を減らすことは可能であり、そのひとつが粒子を成長さ
せて粗大化させることである。しかし、粗大化した粒子
は粒子自体が破壊の起点となることがあり、結果的に強
度が低下するのであまり良い方策ではない。粒界の絶対
数は変わらないが、その見かけ上の数を少なくすること
は可能と考えられ、異方性のある粒子の場合に適用可能
なひとつの方法が配向組織制御である。
【0018】例えば、高温型であるβ型窒化珪素粒子の
結晶系は六方晶であることから柱状の晶癖を持ち、通常
はこれがランダムに向いた構造をとっているが、ある亀
裂の進展を考えた場合に、この進展方向とは直角方向に
柱状粒子が配向していれば、亀裂進展に対して最も抵抗
が大となる。また、このような状態の方が、亀裂進展方
向に垂直に存在する見かけの粒界の数が少なくなる。さ
らに、三次元的にランダムな方向を向いている状態と比
較して、2次元に配向している状態の方が粒界三重点の
数は少ない。
【0019】このような点から配向組織制御された状態
の方が材料の弱い部分が少なくなるので、低強度となる
可能性が激減し、材料の信頼性が高まる。
【0020】これまで配向組織制御を行うには、柱状粒
子をあらかじめ含んだスラリーをシート成型し、このシ
ートを積層して作製した成型体を焼結する等してきた
が、この方法ではモデル材料の域を越えずに工業的に利
用するにはコストが非常にかさむことは避けられない。
【0021】(焼結鍛造法による配向組織制御)柱状粒
子の配向にはその他にも様々な方法が考えられるが、高
コストとなる方法がほとんどであり、低コストで配向を
可能とする方法が、焼結鍛造法の利用である。
【0022】これは、予備焼結体、もしくは焼結体に対
して外圧を印加して焼結体を変形させるものである。セ
ラミックスの新しい加工方法のひとつとして研究が進め
られているが、異方性のある粒子形状の場合には結果的
に柱状粒子が配向するものである。プレス方向に対して
直角方向に拘束のない状態では2次元配向が、適当な形
状に拘束して流れを限定すれば1次元的配向が可能とな
るものと考えられる。2次元配向した組織は、ランダム
配向組織と比較して粒界三重点の数が確率的に小さく、
またその大きさも小さくなるものと考えられるので、低
強度品の割合が圧倒的に小さくなる。通常のホットプレ
ス炉が利用でき、また圧力がホットプレスよりも低いの
でプレス装置も簡略化した小型のものが可能となる。プ
レス時の型材はカーボン系の材料が利用でき、安価で型
の加工は容易である。型の形状を製品とほぼ同等とする
ことにより、ニアネットシェイプが可能となり、完全な
加工レスの可能性もあるので、加工コストの低減化に非
常に有効となる。また、圧力の印加により材料中の気孔
の除去にも効果的となるので、信頼性の向上にも役立
つ。
【0023】また、これまでにも焼結鍛造法、あるいは
それに類似した方法が行われてきているが、最も多い分
野は加工分野であり、変形率上昇のために様々な工夫が
為されている。焼結鍛造法を組織制御に利用したものも
認められるが、高強度と高靭性の両立に主眼を置いたも
ので、低強度品の除去といった高信頼性の観点から言及
しているものはない。本発明は焼結鍛造法を用いて新し
い特性である高信頼性の付与を狙ったものである。
【0024】また、これまでの焼結鍛造法を用いた報告
では、強度や靭性などの機械的特性値に際し、最高性能
を狙うために最大値、もしくは平均値を適用したものが
ほとんどであり、低強度セラミックスの実用化を阻むコ
ストや強度のばらつきに対して言及したものはほとんど
ない。本発明は、ごく一般的な市販の窒化珪素原料粉末
を用いても、平均強度が向上するだけでなく、最低強度
を示す値が大きく向上する焼結鍛造法の条件について示
したことが新しい点である。
【0025】一方、当然ながら亀裂の進展方向が配向組
織の柱状粒子の長手方向と同じ方向では、これに直角な
方向に対して比較的低強度となるが、最大応力のかかる
方向を適正に設ければほとんど問題とはならない。
【0026】(窒化珪素セラミックスの焼結)例えば窒
化珪素セラミックスの場合、一般的な原料の相が低温型
のα型であり、粒子は不定形の塊状であるが、焼結の中
期以後は融液を形成した焼結助剤中に一度融解し、再析
出時に柱状の粒子の核を形成し、焼結後期にはその核が
成長して、粒子は次第に大きく成長する。従って、原料
粉末を含めて焼結中期までは特別なプロセスを必要とせ
ず、焼結中期以後の適当な時期に低いプレス圧を印加す
るだけで良い。通常は柱状の晶癖を持たない構造用セラ
ミックスの炭化珪素等も、六方晶の結晶であるので液相
生成成分をあらかじめ添加することで、生成した液相経
由で柱状になることが知られており、この焼結鍛造法と
用いた配向組織制御の方法が適用できる。
【0027】つまり異方性のある粒子であれば、予備焼
結体、もしくは焼結体を安価な焼結鍛造法によりプレス
圧力を印加して柱状粒子を配向させることにより、亀裂
の起点となる粒界三重点の数を減らして大きさを小さく
し、亀裂の発生、進展がし難い微細組織とする。これに
より低強度品を無くして高信頼性の材料を作り出すこと
が可能になる。
【0028】(加熱条件限定の理由)予備焼結は、焼結
鍛造時に成型体が破壊しないように、焼結を途中まで進
行させるための前処理にあたり、比較的高温で、かつ短
時間保持で処理することが好ましい。予備焼結温度が1
775℃を下回ると、焼結が進み難く、長時間保持が必
要となり、非効率的となるので、その下限値を1775
℃とした。また、予備焼結温度が1825℃を上回る
と、逆に焼結が進み過ぎて短時間保持であるとともに粒
成長の寄与が大きくなる。特に大型の製品の場合は焼結
組織の制御が困難となり、焼結鍛造時に変形し難くな
る。このため予備焼結温度の上限値は1825℃とし
た。従って、予備焼結温度は1775〜1825℃の範
囲で実施することが必要であり、より好ましくは179
0〜1810℃の範囲とする。
【0029】焼結鍛造は、予備焼結後、連続的にできる
だけ短時間でこの工程に移行することが必要で、このた
めには予備焼結温度と同じ温度で処理することが肝要で
ある。
【0030】予備焼結では、所定の時間だけ保持するこ
とが必要となり、15分間以下であると焼結が進展せ
ず、焼結鍛造時に製品が破壊することとなり、30分間
以上であると焼結が進展し過ぎるとともに粒成長の寄与
が大きくなるので、焼結鍛造時に変形し難くなる。従っ
て、予備焼結保持時間は15〜30分間が必要とされ、
より好ましくは20〜30分間とする。
【0031】焼結鍛造でも同様に、所定の時間だけ保持
することが必要とされ、30分間以下であると変形が十
分でなく、4時間以上では粒成長の効果によりほとんど
変形が終了してしまう。従って、焼結鍛造時間は0.5
〜4時間が必要とされ、より好ましくは0.5〜2時間
とする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発
明の好ましい実施形態について説明する。
【0033】構造用セラミックスの例として窒化珪素セ
ラミックスを用いた実験例を以下に示す。なお、ここで
は希土類元素の酸化物としてY23を用いた例を示した
が、Y23以外の希土類元素の酸化物であっても同様の
効果があることはいうまでもない。
【0034】(原材料)窒化珪素原料粉末には電気化学
工業製のNP−200を用いた。これは低コストである
直接窒化法を用いて作製された微粉末である。これに焼
結助剤として高純度アルミナ微粉末およびイットリア微
粉末をそれぞれ5質量%ずつ添加した。高純度アルミナ
微粉末には住友化学(株)製のAKP−30を用いた。
また、イットリア微粉末には信越化学(株)製のSUを
用いた。
【0035】(サンプル製造)上記の3種類の粉末は、
水を用いた湿式ボールミルにより分散・混合を行った。
なお、分散・混合に用いる溶媒は必ずしも水である必要
はなく、例えばアルコール類などの他の適当な溶媒を用
いてもよい。また、高度に分散・混合を行うために適当
な分散剤を少量添加することが望ましい。
【0036】分散・混合を十分行った後、スプレードラ
ヤーを用いて約80μm程度の粒径に造粒した。この造
粒粉を直径30mmφの金型を用いて全長が約5cm程
度となるように一軸プレスを用いて約10kgf/cm
2程度の圧力にて一軸成型し、その後2000kgf/
cm2程度の圧力にてCIP成型した。
【0037】図1の(a),(b)は、予備焼結時と焼
結鍛造時とにおけるホットプレス装置内の被加工物をそ
れぞれ模式的に示す内部透視断面図である。図2は本実
施例の構造用セラミックス製造時の温度圧力履歴図であ
る。図中にて特性線Aは温度履歴を示し、特性線Bは圧
力履歴を示す。
【0038】ホットプレス装置1は、ダイス1c,1d
の周囲をヒータ(図示せず)で取り囲まれ、上下にプレ
ス治具1a,1bを備えている。プレス治具(パンチ)
1a,1bは、直径60mmφの円柱形状の黒鉛からな
り、油圧装置(図示せず)によりそれぞれ昇降可能に支
持されている。
【0039】予備焼結および焼結鍛造について説明す
る。先ず、図1の(a)に示すように、成型体2をプレ
ス治具1bのほぼ中心に立てて配置し、蓋を閉じ、内部
を気密な状態として加圧窒素ガスを供給し、内圧を約9
kgf/cm2に制御する。この不活性ガス雰囲気下で
保持温度T1、保持時間t1〜t2の条件で成型体2を
まず予備焼結した。この場合に、予備焼結の保持温度T
1は1800±5℃、保持時間t1〜t2は約30分間
とした。
【0040】この時間t1〜t2の予備焼結終了後直ち
に、プレス治具1a,1bを作動させ、時間t2〜t3
の間に図1の(b)に示すように成型体2を上下から加
圧し、時間t3〜t4の間に圧力を一定に保持し、焼結
鍛造を行った。なお、時間t4に到達した時点で事実上
焼結鍛造は終了しているので、その後は時間t4〜t5
まで減圧と降温を同時に行った。なお、プレス圧力の減
圧と炉の降温は必ずしも同時である必要はなく、例えば
配向制御終了後にさらに粒子を成長させる必要がある場
合や、複雑形状のサンプルの時に治具との接着を抑制す
る場合にはプレス圧力の減圧後も、高温保持の状態を適
当な時間だけ延長させることも可能であり、また逆に必
要があれば、炉が降温過程に入った後にプレス圧力がか
かっていてもかまわない。この焼結鍛造では、予備焼結
後、連続的にホットプレス装置にて300kgf/cm
2の圧力P1で加圧を行い時間t3〜t4の間、4時間
保持した。その後、炉冷とともに減圧し、冷却後、円板
状のサンプルを取り出した。なお、プレス前後で、予備
焼結体2の長さを基準にすると円板状サンプルの変形量
は約80%に達した。
【0041】(評価試験)まず、円板状サンプル2は表
面を切断、研削・研磨した後、フッ酸と硝酸の混合液に
てエッチングし、窒化珪素柱状粒子を走査型電子顕微鏡
(SEM)にて観察した。この結果を図3の(a),
(b)に示す。これによると、プレス方向に平行面では
柱状粒子がランダムに並び、プレス方向に垂直面では柱
状粒子の長手方向がプレス面と平行であることが確認さ
れた。これにより、プレス方向に平行面では柱状粒子が
2次元配向することができた。
【0042】柱状粒子が2次元配向する円板状サンプル
はJIS R 1601に準拠した試験片を切り出し、4点曲げ試
験にて強度試験を行い、そのばらつきをワイブル分布に
て評価した。最大引っ張り応力のかかる面は、柱状粒子
が2次元配向する面とした。また、比較のためにホット
プレス圧力を印加せずに、従来の方法で作製した従来材
も同様な試験片を作製し、同じ評価を行った。
【0043】この結果をワイブルプロットとしたものを
図4に示す。このようなワイブルプロットは構造用セラ
ミックスの強度分布を評価・判断するのに多く用いられ
るものである。図4において、横軸は強度の対数で4点
曲げ強さをとり、縦軸は破壊確率Fの2回対数をとって
おり、強度の順に並べた時の近似直線の傾き(m値)か
ら強度のばらつきを判断することが可能で、m値が小さ
いとばらつき大きく、m値が大きいとばらつきが小さ
い。図の上端は9.99×10-1(99.9%)の破壊
確率で破壊し、図の下端は3.35×10-4(0.03
35%)の破壊確率で破壊することを意味する。図中に
て特性線Cは従来のセラミックス材料のプロットを結線
したもの、特性線Dは本発明のセラミックス材料のプロ
ットを結線したものにそれぞれあたる。これによると、
従来材は平均強度が81.3kgf/mm2と低いだけ
でなく、ばらつきの指標となるm値が11.9と小さ
く、ばらつきが大きいことが判明した。また、本発明の
セラミックス材料では平均強度が107.7kgf/m
2と高いだけでなく、ばらつきの指標となるm値が3
1.0と大きく、ばらつきが小さいことが判明した。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、低コスト原料粉末を用
いても、予備焼結体、もしくは焼結体に焼結鍛造を行う
ことにより、柱状粒子の長手方向をプレス方向に対して
垂直方向に2次元配向することが可能であり、こうして
作製したサンプルは強度特性が優れるのみならず、低強
度品の強度が向上し、その結果として強度分布が著しく
小さくなる。これにより、強度のばらつきが極めて小さ
く信頼性が高まる。特に粒径が大きく、不純物が多いと
いった低コスト原料であっても、低強度品の出現を抑制
して、その結果強度のばらつきが極めて小さく信頼性が
高まる。このため、低価格の構造用セラミックスに対す
る信頼性が高まり、幅広い分野への適用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は焼結時のホットプレス装置内の被加工
物を模式的に示す内部透視断面図、(b)は焼結鍛造時
のホットプレス装置内の被加工物を模式的に示す内部透
視断面図。
【図2】構造用セラミックス製造時の温度圧力履歴図。
【図3】(a)はプレス方向に平行な面の焼結鍛造組織
の写真、(b)はプレス方向に直交する面の焼結鍛造組
織の写真。
【図4】ワイブルプロットによる4点曲げ強さと破壊確
率との相関を示す特性線図。
【符号の説明】
1…ホットプレス装置、 1a,1b…プレス治具(パンチ)、 1c,1d…ダイス、 2…被加工物(セラミックス素材)、

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結中に融液を形成した焼結助剤の液相
    中にいったん溶け込んだ母材が、その再析出時に柱状の
    粒子の核を形成し、その核が成長する際に、圧縮方向に
    対して直交する方向に拘束のないホットプレス治具を用
    いて焼結鍛造することにより、前記焼結助剤の液相を経
    由して柱状に結晶成長して配向制御された母材組織を有
    することを特徴とする構造用セラミックス。
  2. 【請求項2】 前記母材を窒化珪素とする場合に、前記
    焼結助剤がAl23を2〜7質量%、Re23の希土類
    元素(Re=原子番号57番から71番までの希土類元
    素)の酸化物を少なくとも1種類以上を2〜7質量%含
    むことを特徴とする請求項1記載の構造用セラミック
    ス。
  3. 【請求項3】 粉粒状の原料と焼結助剤とを調合する工
    程と、 焼結中に融液を形成する焼結助剤の液相中にいったん溶
    け込んだ原料が、その再析出時に柱状の粒子の核を形成
    するように、前記調合物を所定条件下で予備焼結する工
    程と、 前記柱状の粒子の核が成長する際に、組織の配向を制御
    するために、圧縮方向に対して直交する方向に拘束のな
    いホットプレス治具を用いて所定条件下で焼結鍛造する
    工程と、を具備することを特徴とする構造用セラミック
    スの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記予備焼結とその後連続的に行う前記
    焼結鍛造において、温度を1775〜1825℃の範囲
    とし、予備焼結時間を15〜30分間の範囲とし、焼結
    鍛造時間を0.5〜4時間の範囲とし、焼結鍛造時の加
    圧力を100〜500kgf/cm2の範囲とすることを特徴
    とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記予備焼結とその後連続的に行う前記
    焼結鍛造において、温度を1790〜1810℃の範囲
    とし、予備焼結時間を20〜30分間の範囲とし、焼結
    鍛造時間を0.5〜2時間の範囲とし、焼結鍛造時の加
    圧力を100〜500kgf/cm2の範囲とすることを特徴
    とする請求項3又は4のいずれか一方に記載の方法。
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