JP2002307902A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】自動車用ディスクホイール
【特許請求の範囲】
【請求項1】車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用ディスクホイールにおいて、
ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパーナットが圧着される面と、球面ナットが圧着される面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする自動車用ディスクホイール。
【請求項2】ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用ディスクホイール。
【請求項3】ナット締め付け座面に内外方向へ連成されるテーパー面と球状凹面とを、テーパー面が内側に形成され、球状凹面が外側に形成されるものとしたことを特徴とする請求項2記載の自動車用ディスクホイール。
【請求項4】ナット取り付け座面を構成するテーパー面及び球状凹面が、それぞれ1.0mm以上の接触幅を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の自動車用ディスクホイール。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクホイールにあって、車軸に固定するためのボルト孔構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車用ディスクホイールは、中央部に設けられたハブ孔に、ハブが連結された車軸を挿入すると共に、その周囲に形成されたハブ取り付け面に設けられたボルト孔に、ハブに設けられたボルト部を挿入し、該ボルト部とナットとによりディスクホイールを締め付けることによって、該ディスクホイールを車軸に固定することが一般的である。ここで、ボルト孔の内周縁に、ナットの形状に合わせた座面形状を形成してなるナット締め付け座面を設けることにより、ナットが該ナット締め付け座面に面接触するようにしている。そして、該ナット締め付け座面がナットを締め付けた力から受ける面圧によって、ディスクホイールと車軸とが充分な力で固定されることになる。また、このナットとナット締め付け座面との面圧着によって、ディスクホイールと車軸とを比較的長期間固定保持され得るようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなナットとしては、テーパー面形状を備えた自動車用ホイールナット・テーパー座用のテーパーナット、又は、球状凸面を備えた自動車用ホイールナット・球面座用の球面ナットが用いられ、自動車メーカーによって前記いずれかの種類のナットが使用されている。ところが、ほとんどの自動車メーカーでテーパーナットが使用されていることから、一般的に市販されている自動車用ディスクホイールは、テーパーナットに対応するように、テーパー面が形成されたナット締め付け座面を備えている場合が多い。そのため、球面ナットを使用する一部自動車メーカーの自動車を所有するユーザーが、新規にディスクホイールを購入する場合には、その自動車メーカーで球面ナットに対応するディスクホイールを購入するか、又はディスクホイールの購入に合わせてテーパーナットも新規に購入する必要が生じている。
【0004】
一方、テーパーナットに対応したディスクホイールに球面ナットを使用すると、球面ナットとナット締め付け座面とが線接触するのみであるため、ディスクホイールを車軸に固定する力が不充分となる。このような場合では、自動車走行中に路面から受ける振動等の外力によって、ディスクホイールと車軸とが緩み易く、破損やそれに伴う事故につながる可能性も考えられる。
【0005】
本発明は、テーパーナットと球面ナットとの両者に対応でき、それらナットの緊締により適正に車軸と固定でき得るナット締め付け座面を備える自動車用ディスクホイールを提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用スチールディスクホイールにおいて、ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパーナットが圧着される面と、球面ナットが圧着される面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする自動車用スチールディスクホイールである。
ここでかかる構成は、ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成することにより構成される。
【0007】
かかる構成にあっては、ナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成する構成としたから、テーパーナットで締め付けた場合には、該テーパー面と面圧着され、球面ナットで締め付けた場合には、球状凹面と面圧着されることになる。そのため、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用しても、所要の締め付けトルクにより充分な力でディスクホイールと車軸とが固定保持され得るから、ユーザーがナット形状を気にすることなくディスクホイールを選択し、購入することができる。また、ナットの締め付け不良を製品面から低減できるという利点も生じる。
【0008】
このようなナット締め付け座面としては、テーパー面を内側に形成し、その外側に、該テーパー面と連成するように球状凹面を形成した構成であることが提案される。すなわち、ナット締め付け座面に内外方向へ連成されるテーパー面と球 状凹面とを、テーパー面が内側に形成され、球状凹面が外側に形成されるものとしたものである。一般的に同じ呼び径のボルト及びナットであれば、ナットの頭径は同じであるから、球面ナットはテーパーナットに比べ、外方向に膨らむ球状凸面を有する。そこで、球面ナット形状に対応する球状凹面を、テーパー面より外側に配設することによって、同じ呼び径の球面ナットとテーパーナットとのいずれが使用されても、それぞれ適正に面圧着されるようにしている。
【0009】
ここで、ナット締め付け座面を構成するテーパー面及び球状凹面の接触幅を、1.0mm以上とすることが提案される。これにより、接触幅を1.0mm以上とすることにより形成されるナットとの接触面に、ナットを所要の締め付けトルクで締め付けることにより加えられた面圧を、ディスクホイールを車軸へ適切に固定するに必要な力とすることができる。ここで、ナットとナット締め付け座面との接触面に作用する面圧は、該接触面の大きさに比例して大きくなるから、該接触面が大きいほどディスクホイールと車軸とを固定する力が大きくなる。この接触面の大きさは、ナット締め付け座面の径と接触幅により決まるものである。そして、一般的な自動車のボルト及びナットの呼び径は同規格のものが使用されることから、ボルト孔径及びその内周縁のナット締め付け座面の径はほぼ同じ寸法となるため、該接触面の大きさは接触幅により決まることとなる。すなわち、接触幅を大きくすることにより、ディスクホイールと車軸とを固定する力を増加することができることとなる。また、望ましくはこのような接触幅を、安全性を一層考慮して1.5mm以上としても良い。
【0010】
本発明にかかる自動車用ディスクホイールとしては、一般的にユーザーが冬季に使用するスタッドレスタイヤ、スノータイヤ等のいわゆる冬季用タイヤと併用して用いられる場合も考えられる。このようなタイヤは雪道等の悪路で使用される機会が多いため、通常の舗装路走行に比べて大きな負荷を受けることになる。このような環境下において、従来のディスクホイールに異なるタイプのナットを用いて取り付けたタイヤが使用されると、ディスクホイールと車軸との固定が不充分になることから、ディスクホイールと車軸とが一層緩み易く、破損やそれに伴う事故等につながる恐れも考えられる。これに対して、本発明のディスクホイールによれば、上述のようにナットのタイプに関わらずディスクホイールと車軸とが適正に固定保持され得るため、上記のような冬季用タイヤとの併用においてもユーザーに不利益になり得る状況を回避することができ得るという優れた利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1及び図2に示すスチール製のディスクホイール1は、リム2と、ハブ孔3を中央に具備するディスク5から構成されものである。このディスクホイール1は、リム2の内周面にディスク5を内嵌させ、隅肉溶接又はスポット溶接により接合することにより一体化される。なお、隅肉溶接には、アーク溶接、レーザー溶接等の公知技術を用いることができる。
【0012】
また、図3はディスクホイール1を形成するディスク5を示したものである。中央部に設けられたハブ孔3には、ディスクホイール1の表側に突出したハブ孔フランジ4に周成されたキャップ溝7に、所定のホイールキャップ(図示せず)が係着される。また、ハブ孔3をガイドとして自動車の車軸と連接されたハブ(図示せず)に、ディスクホイール1を取り付ける際にハブが接触するハブ取り付け面10がディスクホイール1の裏側に設けられている。そして、ハブ孔3を中心として、ハブ孔3の半径方向外側に位置し周方向に互いに均等間隔で形成された複数個のボルト孔6が、ハブ取り付け面10に配設されている。
【0013】
また、ディスクホイール1の表側には、上記ボルト孔6の半径方向外側に最も軸方向に突出している隆起部8と、該隆起部8の外側に周方向に形成された複数個の飾り孔9が備えられている。この隆起部8及び飾り孔9は、意匠性の向上、剛性の向上、軽量化、放熱性の向上等の役割を果たしている。なお、この隆起部8及び飾り孔9は、ホイールの種類により配設されないものもあり得る。
【0014】
このようなスチール製のディスクホイール1としては、鉄を主成分とする鋼材料からなるものであり、該鋼材料にNi、Cr、Si、Mn、Ti等の合金元素を添加してなる一般的な合金鋼を使用することによって、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等に優れるディスクホイール1を得ることができる。そして、このような鋼材料の板材から、プレス成形により形成したリム部2とディスク5とを、上述のように隅肉溶接することにより、ディスクホイール1を得る。なお、本発明にかかるボルト孔6及びナット締め付け座面は、ディスク5のプレス成形と同時か、又はプレス成形後に孔成形パンチとダイスにより形成される。
【0015】
次にディスクホイール1の自動車への取り付けについて説明する。
適切なタイヤを装着したディスクホイール1を、自動車の車軸と連結したハブに、ハブ孔3をガイドとして、ハブに形成されたボルト部がボルト孔6に挿入されるように、ハブ取り付け面10を該ハブに接触させる。その後、ボルト孔6より突出するボルト部にテーパーナット21(又は球面ナット22)を、所要の締め付けトルクにより締め付けることで、ディスクホイール1を車軸に固定する。これにより、タイヤが自動車に適正に装着されることとなる。
【0016】
次に本発明の要部について説明する。
図4に示すように、ディスクホイール1が備えるボルト孔6には、内周縁にナット取り付け座面13が形成されている。このナット取り付け座面13は、内外方向に向かって、内側にテーパー面11が形成され、その外側に球状凹面12が連成されてなる構成である。これらテーパー面11及び球状凹面12は、それぞれテーパーナット21及び球面ナット22の形状に対応する形状であるから、ボルト孔6と等しい中心軸を持つように形成されている。
【0017】
そして、このナット締め付け座面13にテーパーナット21が締め付けられると、図5のようにテーパーナット21は、テーパー面11に面圧着されることとなる。一方、球面ナット22が締め付けられた場合には、図6のように球面ナット22と球状凹面12が面圧着される。このように所定の締め付けトルクを加えて、面圧着させることにより、ディスクホイール1が車軸に適正に固定保持されることとなる。
【0018】
また、本具体例におけるディスクホイール1に形成されたナット締め付け座面13には、1.5mmの接触幅が形成されたテーパー面11と、1.9mmの接触幅が形成された球状凹面12とを備えている。ここで、一般的な自動車に使用されるボルト及びナットとしては、呼び径M12が用いられるから、これに対応するナット締め付け座面13が形成される。このように予めほぼ定まっているナット締め付け座面13の平均径と、上記の接触幅とにより形成される各接触面に、所要の締め付けトルクを加えられたナットが圧着されることにより、ディスクホイール1を車軸に充分な力により固定でき、かつ、その固定が比較的長期間保持され得ることとなる。
【0019】
上述のように本発明にかかるディスクホイール1にあっては、テーパーナット21及び球面ナット22のいずれにおいても、充分な力により車軸と固定され得ることから、路面から受ける力によってボルト及びナットにせん断力等の集中応力がかかっても、ディスクホイール1と車軸とが緩みにくく、充分な固定が保持され得る。
【0020】
かかる本発明はこの形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得るものである。また、本発明はスチール製のディスクホイールだけでなく、アルミ製のディスクホイール等、所定の構成を具備する他のディスクホイールにも適用され得る。
【0021】
【発明の効果】
本発明は上述したように、自動車用ディスクホイールのナット締め付け座面に、テーパー面(テーパーナットが圧着される面)と球状凹面(球面ナットが圧着される面)とを内外方向へ連成する構成としたから、テーパーナットを使用して締め付けた場合には、該テーパー面と面圧着され、球面ナットで締め付けた場合には、該球状凹面と面圧着されることとなる。そのため、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用しても、ディスクホイールと車軸とを充分な力で固定保持でき得ることから、ユーザーがナット形状を気にせずディスクホイールを購入することができ得る。また、ナットの締め付け不足を製品面から少なくすることができるため、ディスクホイールと車軸との装着不良が減少するという利点が生じる。
【0022】
また、ナット締め付け座面を構成するテーパー面と球状凹面とが、1.0mm以上の接触幅を形成することにより、ナットを所定の締め付けトルクにより締め付けた際に、ディスクホイールと車軸とを適正に固定でき得る力とそれを維持する保持力とが得られる。これにより、自動車の走行中に振動等の外力が加わっても、ディスクホイールと車軸との緩みを長期間防止できるから、安全性が保たれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスチール製のディスクホイール1の縦断面図である。
【図2】ディスクホイール1の平面図である。
【図3】ディスク5の斜方向図である。
【図4】ナット締め付け座面13の拡大縦断面図である。
【図5】テーパーナット21の締め付け状態を表す断面図である。
【図6】球状凹部22の締め付け状態を表す断面図である。
【符号の説明】
1 ディスクホイール
6 ボルト孔
11 テーパー面
12 球状凹面
13 ナット締め付け座面
21 テーパーナット
1 球面ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用ディスクホイールにおいて、
ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパーナットが圧着される面と、球面ナットが圧着される面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする自動車用ディスクホイール。
【請求項2】ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用ディスクホイール。
【請求項3】ナット締め付け座面に内外方向へ連成されるテーパー面と球状凹面とを、テーパー面が内側に形成され、球状凹面が外側に形成されるものとしたことを特徴とする請求項2記載の自動車用ディスクホイール。
【請求項4】ナット取り付け座面を構成するテーパー面及び球状凹面が、それぞれ1.0mm以上の接触幅を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の自動車用ディスクホイール。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクホイールにあって、車軸に固定するためのボルト孔構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車用ディスクホイールは、中央部に設けられたハブ孔に、ハブが連結された車軸を挿入すると共に、その周囲に形成されたハブ取り付け面に設けられたボルト孔に、ハブに設けられたボルト部を挿入し、該ボルト部とナットとによりディスクホイールを締め付けることによって、該ディスクホイールを車軸に固定することが一般的である。ここで、ボルト孔の内周縁に、ナットの形状に合わせた座面形状を形成してなるナット締め付け座面を設けることにより、ナットが該ナット締め付け座面に面接触するようにしている。そして、該ナット締め付け座面がナットを締め付けた力から受ける面圧によって、ディスクホイールと車軸とが充分な力で固定されることになる。また、このナットとナット締め付け座面との面圧着によって、ディスクホイールと車軸とを比較的長期間固定保持され得るようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなナットとしては、テーパー面形状を備えた自動車用ホイールナット・テーパー座用のテーパーナット、又は、球状凸面を備えた自動車用ホイールナット・球面座用の球面ナットが用いられ、自動車メーカーによって前記いずれかの種類のナットが使用されている。ところが、ほとんどの自動車メーカーでテーパーナットが使用されていることから、一般的に市販されている自動車用ディスクホイールは、テーパーナットに対応するように、テーパー面が形成されたナット締め付け座面を備えている場合が多い。そのため、球面ナットを使用する一部自動車メーカーの自動車を所有するユーザーが、新規にディスクホイールを購入する場合には、その自動車メーカーで球面ナットに対応するディスクホイールを購入するか、又はディスクホイールの購入に合わせてテーパーナットも新規に購入する必要が生じている。
【0004】
一方、テーパーナットに対応したディスクホイールに球面ナットを使用すると、球面ナットとナット締め付け座面とが線接触するのみであるため、ディスクホイールを車軸に固定する力が不充分となる。このような場合では、自動車走行中に路面から受ける振動等の外力によって、ディスクホイールと車軸とが緩み易く、破損やそれに伴う事故につながる可能性も考えられる。
【0005】
本発明は、テーパーナットと球面ナットとの両者に対応でき、それらナットの緊締により適正に車軸と固定でき得るナット締め付け座面を備える自動車用ディスクホイールを提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用スチールディスクホイールにおいて、ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパーナットが圧着される面と、球面ナットが圧着される面とを内外方向へ連成することにより構成したことを特徴とする自動車用スチールディスクホイールである。
ここでかかる構成は、ディスクホイールのボルト孔の内周縁に形成されるナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成することにより構成される。
【0007】
かかる構成にあっては、ナット締め付け座面を、テーパー面と球状凹面とを内外方向へ連成する構成としたから、テーパーナットで締め付けた場合には、該テーパー面と面圧着され、球面ナットで締め付けた場合には、球状凹面と面圧着されることになる。そのため、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用しても、所要の締め付けトルクにより充分な力でディスクホイールと車軸とが固定保持され得るから、ユーザーがナット形状を気にすることなくディスクホイールを選択し、購入することができる。また、ナットの締め付け不良を製品面から低減できるという利点も生じる。
【0008】
このようなナット締め付け座面としては、テーパー面を内側に形成し、その外側に、該テーパー面と連成するように球状凹面を形成した構成であることが提案される。すなわち、ナット締め付け座面に内外方向へ連成されるテーパー面と球 状凹面とを、テーパー面が内側に形成され、球状凹面が外側に形成されるものとしたものである。一般的に同じ呼び径のボルト及びナットであれば、ナットの頭径は同じであるから、球面ナットはテーパーナットに比べ、外方向に膨らむ球状凸面を有する。そこで、球面ナット形状に対応する球状凹面を、テーパー面より外側に配設することによって、同じ呼び径の球面ナットとテーパーナットとのいずれが使用されても、それぞれ適正に面圧着されるようにしている。
【0009】
ここで、ナット締め付け座面を構成するテーパー面及び球状凹面の接触幅を、1.0mm以上とすることが提案される。これにより、接触幅を1.0mm以上とすることにより形成されるナットとの接触面に、ナットを所要の締め付けトルクで締め付けることにより加えられた面圧を、ディスクホイールを車軸へ適切に固定するに必要な力とすることができる。ここで、ナットとナット締め付け座面との接触面に作用する面圧は、該接触面の大きさに比例して大きくなるから、該接触面が大きいほどディスクホイールと車軸とを固定する力が大きくなる。この接触面の大きさは、ナット締め付け座面の径と接触幅により決まるものである。そして、一般的な自動車のボルト及びナットの呼び径は同規格のものが使用されることから、ボルト孔径及びその内周縁のナット締め付け座面の径はほぼ同じ寸法となるため、該接触面の大きさは接触幅により決まることとなる。すなわち、接触幅を大きくすることにより、ディスクホイールと車軸とを固定する力を増加することができることとなる。また、望ましくはこのような接触幅を、安全性を一層考慮して1.5mm以上としても良い。
【0010】
本発明にかかる自動車用ディスクホイールとしては、一般的にユーザーが冬季に使用するスタッドレスタイヤ、スノータイヤ等のいわゆる冬季用タイヤと併用して用いられる場合も考えられる。このようなタイヤは雪道等の悪路で使用される機会が多いため、通常の舗装路走行に比べて大きな負荷を受けることになる。このような環境下において、従来のディスクホイールに異なるタイプのナットを用いて取り付けたタイヤが使用されると、ディスクホイールと車軸との固定が不充分になることから、ディスクホイールと車軸とが一層緩み易く、破損やそれに伴う事故等につながる恐れも考えられる。これに対して、本発明のディスクホイールによれば、上述のようにナットのタイプに関わらずディスクホイールと車軸とが適正に固定保持され得るため、上記のような冬季用タイヤとの併用においてもユーザーに不利益になり得る状況を回避することができ得るという優れた利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1及び図2に示すスチール製のディスクホイール1は、リム2と、ハブ孔3を中央に具備するディスク5から構成されものである。このディスクホイール1は、リム2の内周面にディスク5を内嵌させ、隅肉溶接又はスポット溶接により接合することにより一体化される。なお、隅肉溶接には、アーク溶接、レーザー溶接等の公知技術を用いることができる。
【0012】
また、図3はディスクホイール1を形成するディスク5を示したものである。中央部に設けられたハブ孔3には、ディスクホイール1の表側に突出したハブ孔フランジ4に周成されたキャップ溝7に、所定のホイールキャップ(図示せず)が係着される。また、ハブ孔3をガイドとして自動車の車軸と連接されたハブ(図示せず)に、ディスクホイール1を取り付ける際にハブが接触するハブ取り付け面10がディスクホイール1の裏側に設けられている。そして、ハブ孔3を中心として、ハブ孔3の半径方向外側に位置し周方向に互いに均等間隔で形成された複数個のボルト孔6が、ハブ取り付け面10に配設されている。
【0013】
また、ディスクホイール1の表側には、上記ボルト孔6の半径方向外側に最も軸方向に突出している隆起部8と、該隆起部8の外側に周方向に形成された複数個の飾り孔9が備えられている。この隆起部8及び飾り孔9は、意匠性の向上、剛性の向上、軽量化、放熱性の向上等の役割を果たしている。なお、この隆起部8及び飾り孔9は、ホイールの種類により配設されないものもあり得る。
【0014】
このようなスチール製のディスクホイール1としては、鉄を主成分とする鋼材料からなるものであり、該鋼材料にNi、Cr、Si、Mn、Ti等の合金元素を添加してなる一般的な合金鋼を使用することによって、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等に優れるディスクホイール1を得ることができる。そして、このような鋼材料の板材から、プレス成形により形成したリム部2とディスク5とを、上述のように隅肉溶接することにより、ディスクホイール1を得る。なお、本発明にかかるボルト孔6及びナット締め付け座面は、ディスク5のプレス成形と同時か、又はプレス成形後に孔成形パンチとダイスにより形成される。
【0015】
次にディスクホイール1の自動車への取り付けについて説明する。
適切なタイヤを装着したディスクホイール1を、自動車の車軸と連結したハブに、ハブ孔3をガイドとして、ハブに形成されたボルト部がボルト孔6に挿入されるように、ハブ取り付け面10を該ハブに接触させる。その後、ボルト孔6より突出するボルト部にテーパーナット21(又は球面ナット22)を、所要の締め付けトルクにより締め付けることで、ディスクホイール1を車軸に固定する。これにより、タイヤが自動車に適正に装着されることとなる。
【0016】
次に本発明の要部について説明する。
図4に示すように、ディスクホイール1が備えるボルト孔6には、内周縁にナット取り付け座面13が形成されている。このナット取り付け座面13は、内外方向に向かって、内側にテーパー面11が形成され、その外側に球状凹面12が連成されてなる構成である。これらテーパー面11及び球状凹面12は、それぞれテーパーナット21及び球面ナット22の形状に対応する形状であるから、ボルト孔6と等しい中心軸を持つように形成されている。
【0017】
そして、このナット締め付け座面13にテーパーナット21が締め付けられると、図5のようにテーパーナット21は、テーパー面11に面圧着されることとなる。一方、球面ナット22が締め付けられた場合には、図6のように球面ナット22と球状凹面12が面圧着される。このように所定の締め付けトルクを加えて、面圧着させることにより、ディスクホイール1が車軸に適正に固定保持されることとなる。
【0018】
また、本具体例におけるディスクホイール1に形成されたナット締め付け座面13には、1.5mmの接触幅が形成されたテーパー面11と、1.9mmの接触幅が形成された球状凹面12とを備えている。ここで、一般的な自動車に使用されるボルト及びナットとしては、呼び径M12が用いられるから、これに対応するナット締め付け座面13が形成される。このように予めほぼ定まっているナット締め付け座面13の平均径と、上記の接触幅とにより形成される各接触面に、所要の締め付けトルクを加えられたナットが圧着されることにより、ディスクホイール1を車軸に充分な力により固定でき、かつ、その固定が比較的長期間保持され得ることとなる。
【0019】
上述のように本発明にかかるディスクホイール1にあっては、テーパーナット21及び球面ナット22のいずれにおいても、充分な力により車軸と固定され得ることから、路面から受ける力によってボルト及びナットにせん断力等の集中応力がかかっても、ディスクホイール1と車軸とが緩みにくく、充分な固定が保持され得る。
【0020】
かかる本発明はこの形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得るものである。また、本発明はスチール製のディスクホイールだけでなく、アルミ製のディスクホイール等、所定の構成を具備する他のディスクホイールにも適用され得る。
【0021】
【発明の効果】
本発明は上述したように、自動車用ディスクホイールのナット締め付け座面に、テーパー面(テーパーナットが圧着される面)と球状凹面(球面ナットが圧着される面)とを内外方向へ連成する構成としたから、テーパーナットを使用して締め付けた場合には、該テーパー面と面圧着され、球面ナットで締め付けた場合には、該球状凹面と面圧着されることとなる。そのため、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用しても、ディスクホイールと車軸とを充分な力で固定保持でき得ることから、ユーザーがナット形状を気にせずディスクホイールを購入することができ得る。また、ナットの締め付け不足を製品面から少なくすることができるため、ディスクホイールと車軸との装着不良が減少するという利点が生じる。
【0022】
また、ナット締め付け座面を構成するテーパー面と球状凹面とが、1.0mm以上の接触幅を形成することにより、ナットを所定の締め付けトルクにより締め付けた際に、ディスクホイールと車軸とを適正に固定でき得る力とそれを維持する保持力とが得られる。これにより、自動車の走行中に振動等の外力が加わっても、ディスクホイールと車軸との緩みを長期間防止できるから、安全性が保たれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスチール製のディスクホイール1の縦断面図である。
【図2】ディスクホイール1の平面図である。
【図3】ディスク5の斜方向図である。
【図4】ナット締め付け座面13の拡大縦断面図である。
【図5】テーパーナット21の締め付け状態を表す断面図である。
【図6】球状凹部22の締め付け状態を表す断面図である。
【符号の説明】
1 ディスクホイール
6 ボルト孔
11 テーパー面
12 球状凹面
13 ナット締め付け座面
21 テーパーナット
1 球面ナット
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