JP5197392B2 - Vロッド取付部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のフレームに支持される後輪2軸の車軸の間に、前後に対称に配置されるVロッドのV開き端をフレームに固定するためのVロッド取付部構造に関する。
図8はトラニオン式サスペンションと称されるタンデムアクスル専用のサスペンションを示すもので、前後にタンデム配置された一対の車軸1,2の間でトラニオンシャフト3をトラニオンブラケット4によりフレーム5に固定し、このトラニオンシャフト3にリーフスプリング6の中央部を回動ベース7を介し図示しないUボルトにより回動自在に取り付け、このリーフスプリング6の両端部により前記前後の車軸1,2を支えると共に、これら各車軸1,2の前後方向位置を保持するためのアッパロッド8及びロアロッド9を備えた構造となっている。
ここで、トラニオンブラケット4がフレーム5に固定されている位置には、クロスメンバ10が左右のフレーム5の相互間に渡されて補強されるようにしてあり、このクロスメンバ10の中央部の前後面と前記各車軸1,2の中央部上側との間がアッパロッド8により夫々連結され、前記トラニオンブラケット4の下端部の前後面と前記各車軸1,2の両端部下側との間がロアロッド9により連結されている。
この結果、斯かるトラニオン式サスペンションでは、前後の車軸1,2の上下動がリーフスプリング6により吸収され、前後方向の力はアッパロッド8及びロアロッド9を介してフレーム5に伝えられ、しかも、リーフスプリング6がトラニオンシャフト3を中心に回動することで良好な段差乗り越しが実現されることになる。
尚、図中における符号の11はクロスメンバ10の中央部の前後面に設けられたアッパロッド8の取付部、12は各車軸1,2の中央部上側に設けられたアッパロッド8の取付部、13はトラニオンブラケット4の下端部の前後面に設けられたロアロッド9の取付部、14は各車軸1,2の両端部下側に設けられたロアロッド9の取付部を示している。
この種のトラニオン式サスペンションに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
しかしながら、斯かる従来構造においては、図8に示すように、クロスメンバ10とトラニオンブラケット4がフレーム5に対し個別に組み付けられるようになっていたため、これらクロスメンバ10とトラニオンブラケット4をフレーム5に組み付けて位置決めした後からでないと、アッパロッド8及びロアロッド9を介して前後の車軸1,2を組み付けることができないという事情があり、フレーム5を基点として各種部材を順番に組み上げていく一連の作業行程が長くかかって作業負担が大きくなっていた。
しかも、フレーム5に対するクロスメンバ10とトラニオンブラケット4の組み付け時に生じたバラツキによりクロスメンバ10とトラニオンブラケット4との相対関係にずれが生じ易く、これらクロスメンバ10とトラニオンブラケット4の夫々に対しアッパロッド8とロアロッド9により連結される各車軸1,2が、前後方向に傾斜したり車幅方向に横ずれしたりして本来の適正位置に配置されなくなる虞れがあった。
このため、トラニオン式サスペンションの組み付け後には、前後の車軸1,2が適正位置に配置されるようにアッパロッド8やロアロッド9等の取り付け位置を調整し直すアライメント調整が必要となり、このアライメント調整に多大な手間と時間がかかってしまうことでも作業負担が大きくなっていた。
一方、フレームとアクスルハウジングとの間にVロッドを架設し、Vロッドのフレーム側取付部を、フレーム側ブラケットに取り付けるようにした連結構造が特許文献2に記載されている。
特開平7−266818号公報 特開2007−253830号公報
しかしながら、特許文献2に示されるフレーム側ブラケットは、構造が比較的大型になる問題があり、しかもフレーム側ブラケットは独立した部品としてフレームに固定するものであるために、部品点数が増加するばかりでなく、締結強度を低下させてしまう可能性があるという問題を有していた。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、前後の車軸をVロッドによりフレームに締結する際に、フレームに対するVロッドの取付構造の簡略化と高い取付結強度が得られるようにしたVロッド取付部構造を提供することを目的としている。
本発明は、フレームに支持される後輪2軸の車軸の間に前後に対称なVロッドが配置され、前後のVロッドのV底部端は車軸に連結され、前後のVロッドのV開き端はフレームに固定されるようにしているフレームとVロッドのV開き端との締結を行うためのVロッド取付部構造であって、VロッドのV開き端には固定金具が備えられ、フレームには前記固定金具を固定するための複数のボルト孔を備えた傾斜部によりV型空間を形成するV型部材が備えてあり、前記ボルト孔の傾斜部内面側にV型空間に向かい拡径されたテーパ座面を形成し、該テーパ座面に配置したテーパナットに締結ボルトを螺合させて前記固定金具をV型部材の傾斜部に固定すようにしことを特徴とするVロッド取付部構造、に係るものである。
而して、上記構成によれば、前記V型部材の各傾斜部に備えられるボルト孔のテーパ座面にテーパナットを配置し、V型部材の外部からボルト孔に挿入した締結ボルトをテーパナットに螺合させて締め付けると、Vロッドは簡略且つ小型のV型部材によって高い締結強度でフレームに固定される。
この時、ボルト孔のV型空間側に形成されるテーパ座面は、小さい口径であってもテーパナットの見掛け上の摩擦係数を増大できるため、前記テーパ座面はV型部材の外部から小型の工具をボルト孔に挿入することで容易に加工・形成することができる。
又、ボルト孔が、V型部材におけるV型空間の内奥部と、該内奥部から離反した外部位置との2個所に備えられていると、車幅方向に対する締結強度が高められる。
又、前記各ボルト孔のテーパ座面に配置するテーパナットをセッティングプレートによって支持すると、テーパナットをセットする作業が容易になる。
又、前記テーパナットはテーパ座面に嵌合するように配置され、しかも締結ボルトを螺合する際にテーパナットはテーパ座面に食い込んで回ることがないため、セッティングプレートには大きな力が掛かることがなく、よってセッティングプレートは薄肉の板材で形成することができ、しかもセッティングプレートには回転力が殆んど掛からないためにセッティングプレートには1つ固定ブラケットを設けることで固定することができる。
又、前記V型部材は、フレーム間を繋ぐクロスメンバ又はクロスメンバ一体型トラニオンブラケットに一体に備えることにより、部品点数を削減できると共に、締結強度を高めることができる。
本発明のVロッド取付部構造によれば、V型部材の各傾斜部に備えられるボルト孔の傾斜部内面側にV型空間に向かい拡径されたテーパ座面を形成し、該テーパ座面に配置したテーパナットに締結ボルトを螺合させてVロッドに備えた固定金具をV型部材の傾斜部に固定すようにしたので、簡略且つ小型のV型部材によってVロッドを高い締結強度でフレームに固定できるという優れた効果を奏し得る。
V型部材を、フレーム間を繋ぐクロスメンバ又はクロスメンバ一体型トラニオンブラケットに一体に備えることにより、部品点数を削減できると共に、締結強度を高められる効果がある。
本発明を実施する形態の一例を示す平面図である。 図1をII−II方向から見た側面図である。 クロスメンバ一体型トラニオンブラケットの斜視図である。 本発明におけるV型部材の切断ん平面図である。 図4をV方向から見た矢視図である。 本発明におけるセッティングプレートの正面図である。 図6をVII−VII方向から見た矢視図である。 一般的なトラニオン式サスペンションの構造を示す斜視図である。
1,2 車軸
5 フレーム
16 クロスメンバ部
20 クロスメンバ一体型トラニオンブラケット
22 Vロッド
22a V底部端
22b V開き端
23 V型部材
23a V型空間
24 傾斜部
25 取付孔
26 固定金具
28 ボルト孔
29 締結ボルト
30 テーパナット
31 テーパ座面
32 セッティングプレート
34 固定ブラケット
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図7は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図8と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
本形態例においては、図1〜図3に示す如く、左右のフレーム5間を連結するクロスメンバ部16と、該クロスメンバ部16の両端部下面に下方に向かうにつれ車幅方向外側へ開くように一体成形され且つトラニオンシャフト17を軸支するためのボス部18を有する一対のトラニオンブラケット部19とによりクロスメンバ一体型トラニオンブラケット20を構成している。即ち、このクロスメンバ一体型トラニオンブラケット20は、従来のトラニオン式サスペンションにおけるクロスメンバとトラニオンブラケットとに換えて適用できるように一体成形の鋳造品として製造されたものであり、リブ部等を備えて強固なボックス構造に形成されており、又軽量化のための開口15が適宜備えられている。
ここで、従来のクロスメンバに相当するクロスメンバ部16は、その両端部にフレーム5のウェブに対しボルト締結し得るよう取付部21を備えており、しかも、その両端部がフレーム5のウェブに向かうに従い上面視で末広がり状を成すように形成されていて、前記各取付部21がフレーム5の長手方向に十分なスパンをとって固定されるようにしてある。
更に、クロスメンバ部16の前後には、前後の車軸1,2に向かってV字状に間隔が狭くなるVロッド22が対称に配置されており、Vロッド22のV底部端22aは車軸1,2に取付部12により連結されており、Vロッド22のV開き端22bは、図1、図4に示すように、クロスメンバ部16の両端部に一体に形成したV型部材23に固定するようにしている。
前記V型部材23は、傾斜部24によって車幅方向外側に向かって開いたV型空間23aを形成しており、このV型空間23aは、前記クロスメンバ部16に取付部21を形成している上下の板部分によって上下が閉塞された狭隘な空間となっている。
前記Vロッド22のV開き端22bの端部近傍には、複数の取付孔25を有する板状の固定金具26が固定されている。
一方、前記V型部材23の夫々の傾斜部24には、前記Vロッド22のV開き端22bが嵌合する貫通孔27が形成されていると共に、該貫通孔27の外周には前記固定金具26の取付孔25に対応したボルト孔28が形成されている。このボルト孔28は、少なくともV型空間23aの内奥部と、該内奥部から離反した外部位置の2個所に設けている。
前記V型部材23の各傾斜部24に設けられるボルト孔28のV型空間23a側には、締結ボルト29によって締結するテーパナット30を配置するためのV型空間23a側に向かって拡径されたテーパ座面31を形成している。
前記V型空間23aは狭隘なため、前記テーパ座面31をV型空間23a側から加工・形成することはできないが、前記テーパ座面31は小さい口径であってもテーパナット30の見掛け上の摩擦係数を大きくできるため、前記テーパ座面31はV型部材23の外部から小型の工具をボルト孔28に挿入することで容易に加工・形成することができる。
前記各傾斜部24の内面に形成されたテーパ座面31に配置するテーパナット30は、図4〜図7に示すように、各傾斜部24に配置されるテーパナット30ごとにセッティングプレート32によって支持するようにしている。このセッティングプレート32は薄肉の板材によって形成されており、更に、セッティングプレート32におけるV型空間23aの外側になるテーパナット30の近傍位置(外部位置)には、セッティングプレート32を傾斜部24の内面にボルト33で固定するための1つ固定ブラケット34を形成している。
而して、前記Vロッド22のV開き端22bをV型部材23に取り付けるには、図4に示すように、各傾斜部24の内面にボルト孔28からV型空間23aに向かって拡径されたテーパ座面31を形成しておく。このテーパ座面31には、セッティングプレート32に支持された各テーパナット30を嵌合させた状態において、セッティングプレート32の外部位置に備えた固定ブラケット34(図5〜図7参照)を介して傾斜部24の内面にボルト33で固定する。
続いて、Vロッド22のV開き端22bに備えた固定金具26の取付孔25が傾斜部24のボルト孔28に一致するように固定金具26を傾斜部24の外面に位置決めしてセットした後、固定金具26の取付孔25と傾斜部24のボルト孔28に外部から締結ボルト29を挿入して前記テーパナット30に螺合させて締め付け、これにより、固定金具26を介してVロッド22のV開き端22bをV型部材23に固定する。
上記したように、傾斜部24の内面におけるボルト孔28の位置にテーパ座面31を形成しておき、このテーパ座面31に締結ボルト29を螺合して締結ボルト29の締め付けにより固定金具26を傾斜部24の外面に固定することでVロッド22のV開き端22bをV型部材23に取り付けるようにしたので、テーパナット30による見掛け上の大きな摩擦係数によって、固定金具26を高い締結強度で傾斜部24に固定できる。
この時、傾斜部24に対する固定金具26の固定を、傾斜部24の内面(V型空間23a側)に平ナットを配置して締結ボルトで締結することも考えられる。しかし、平ナットを用いた場合には、摩擦力を確保するために大径の平ナットを用いる必要がありよって大きな径の平座面を形成する必要があるが、ボルト孔28に挿入できる工具を用いて大きい径の平座面を加工・形成することは困難である。このため、工具を用いて小径の平座面を形成し、小径の平ナットを用いて締結した場合には、締結ボルト29の締め付けによって小径の平ナットが限界面圧によって陥没し、締結ボルト29に要求される締結軸力が得られない問題がある。一方、傾斜部24の内面に大径の平座面を形成するためには、前記V型空間を大きくして加工スペースを確保する必要があるが、このようにした場合にはV型部材の構造が大型になってしまうという問題がある。
これに対し、前記したように、傾斜部24の内面にテーパ座面31を形成しテーパナット30を用いて締結することにより、所要の締結強度を維持することができ、且つ前記Vロッド22のV開き端22bを接近させて取り付けることができるため、V型部材23を小型のものとすることができる。
又、前記したように、ボルト孔28を、V型部材23におけるV型空間23aの内奥部と、該内奥部から離反した外部位置との2個所に備えるようにすると、車幅方向に対する締結強度を高めることができる。
又、前記テーパナット30はテーパ座面31に嵌合するように配置され、しかも締結ボルト29を螺合する際にテーパナット30はテーパ座面31に食い込んで回ることがないため、セッティングプレート32には大きな力が掛かることがなく、よってセッティングプレート32は薄肉の板材で形成することができ、しかもセッティングプレート32には回転力が殆んど掛からないためにセッティングプレート32には1つ固定ブラケット34を設けることで固定することができる。
更に、V型部材23は、フレーム5間を繋ぐクロスメンバ一体型トラニオンブラケット20に一体に備えるようにすると、部品点数を削減できると共に、締結強度を高めることができる。
尚、上記形態においては、クロスメンバ一体型トラニオンブラケットのクロスメンバにV型部材を備える場合について例示したが、V型部材は通常のクロスメンバに備えるようにしてもよく、又、フレームに備えるようにしてもよく、又、トラニオン式サスペンション以外のエアサスペンションに備えるようにしたVロッドの取り付けにも適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (5)

  1. フレームに支持される後輪2軸の車軸の間に前後に対称なVロッドが配置され、前後のVロッドのV底部端は車軸に連結され、前後のVロッドのV開き端はフレームに固定されるようにしているフレームとVロッドのV開き端との締結を行うためのVロッド取付部構造であって、VロッドのV開き端には固定金具が備えられ、フレームには前記固定金具を固定するための複数のボルト孔を備えた傾斜部によりV型空間を形成するV型部材が備えてあり、前記ボルト孔の傾斜部内面側にV型空間に向かい拡径されたテーパ座面を形成し、該テーパ座面に配置したテーパナットに締結ボルトを螺合させて前記固定金具をV型部材の傾斜部に固定するようにしたことを特徴とするVロッド取付部構造。
  2. 前記ボルト孔は、V型部材におけるV型空間の内奥部と、該内奥部から離反した外部位置との2個所に備えられる請求項1に記載のVロッド取付部構造。
  3. 前記各ボルト孔のテーパ座面に配置されるテーパナットは、セッティングプレートにより支持されている請求項2に記載のVロッド取付部構造。
  4. 前記セッティングプレートは、前記傾斜部の内面に固定するための1つの固定ブラケットを有する請求項3に記載のVロッド取付部構造。
  5. 前記V型部材は、フレーム間を繋ぐクロスメンバ又はクロスメンバ一体型トラニオンブラケットに備えられる請求項1〜4のいずれか1つに記載のVロッド取付部構造。
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