JP4695284B2 - 自動車用ディスクホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクホイールにあって、車軸に固定するためのボルト孔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車用ディスクホイールは、中央部に設けられたハブ孔に、ハブが連結された車軸を挿入すると共に、その周囲に形成されたハブ取り付け面に設けられたボルト孔に、ハブに設けられたボルト部を挿入し、該ボルト部とナットとによりディスクホイールを締め付けることによって、該ディスクホイールを車軸に固定することが一般的である。ここで、ボルト孔の内周縁に、ナットの形状に合わせた座面形状を形成してなるナット締め付け座面を設けることによって、ナットが該ナット締め付け座面に面接触するようにしている。そして、該ナット締め付け座面がナットを締め付けた力から受ける面圧により、ディスクホイールと車軸とが充分な力で固定されることになる。また、このナットとナット締め付け座面との面圧着によって、ディスクホイールと車軸とが比較的長期間固定保持され得るようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなナットとしては、テーパー面形状を備えた自動車用ホイールナット・テーパー座用のテーパーナット、又は、球状凸面を備えた自動車用ホイールナット・球面座用の球面ナットが用いられ、自動車メーカーによって前記いずれかの種類のナットが使用されている。ところが、ほとんどの自動車メーカーではテーパーナットが使用されていることから、一般的に市販されているほとんどの自動車用ディスクホイールは、テーパーナットに対応するように、ナット締め付け座面にテーパー面が形成されているボルト孔のみを備えている。そのため、球面ナットを使用する一部自動車メーカーの自動車を所有するユーザーが、新規にディスクホイールを購入する場合には、その自動車メーカーで球面ナットに対応するディスクホイールを購入するか、又はディスクホイールの購入に合わせてテーパーナットも新規に購入する必要が生じている。
【0004】
一方、テーパーナットに対応したディスクホイールに球面ナットを使用すると、球面ナットとナット締め付け座面とが線接触するのみであるため、ディスクホイールを車軸に固定する力が不充分となる。このような場合では、自動車走行中に路面から受ける振動等の外力によって、ディスクホイールと車軸とが緩み易く、破損やそれに伴う事故につながる可能性も考えられる。この現象は、球面ナットに対応したディスクホイールにテーパーナットを使用した場合も同様に起こり得る。
【0005】
本発明は、テーパーナットと球面ナットとにそれぞれ対応可能であり、それらナットの緊締により適正に車軸と固定でき得る自動車用ディスクホイールを提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用スチールディスクホイールにおいて、ナット締め付け座面にテーパー面が形成されたテーパーボルト孔と、ナット締め付け座面に球状凹面が形成された球面ボルト孔との二種のボルト孔を複数備え、かつ、同種の各ボルト孔相互が周方向に互いに均等間隔になるように配設されていることを特徴とする自動車用ディスクホイールである。
【0007】
かかる構成にあっては、周方向に互いに均等間隔に配設された複数のテーパーボルト孔と、周方向に互いに均等間隔に配設された複数の球面ボルト孔とを備える構成としたことにより、テーパーナットを使用する場合はテーパーボルト孔を用いて締め付けることができ、球面ナットを使用する場合は球面ボルト孔を用いて締め付けることができるから、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用する場合でも、所要の締め付けトルクにより充分な力でディスクホイールと車軸とを固定保持することができる。これにより、ユーザーがナット形状を気にすることなくディスクホイールを選択し、購入することができることとなる。また、ナットの締め付け不良を製品面から低減できるという利点も生じる。
【0008】
また、テーパーボルト孔及び球面ボルト孔を明確にするための表示を、自動車用ディスクホイールの表面に記すことも提案される。これにより、テーパーボルト孔と球面ボルト孔とが容易、かつ、確実に区別され得るから、ユーザーがナット種類と異なるボルト孔を誤って使用することを防止でき得る。このような表示としては、テーパーボルト孔及び/又は球面ボルト孔の周辺に所定のマークを記すようにして、テーパーボルト孔及び/又は球面ボルト孔を強調するようにしても良い。また、テーパーボルト孔及び球面ボルト孔周囲を異なる表面形状としたり、又は、異なる色調とする等して明確に区別されるようにしても良い。
【0009】
本発明にかかる自動車用ディスクホイールとしては、一般的にユーザーが冬季に使用するスタッドレスタイヤ、スノータイヤ等のいわゆる冬季用タイヤと併用して用いられる場合も考えられる。このようなタイヤは雪道等の悪路で使用される機会が多いため、通常の舗装路走行に比べて大きな負荷を受けることになる。このような環境下において、従来のディスクホイールに異なる種類のナットを用いて取り付けたタイヤが使用されると、ディスクホイールと車軸との固定が不充分になることから、ディスクホイールと車軸とが一層緩み易く、破損やそれに伴う事故等につながる恐れも考えられる。これに対して、本発明のディスクホイールによれば、上述のようにテーパーナット及び球面ナットのそれぞれに対応するボルト孔を設けているから、ナットの種類に関わらずディスクホイールと車軸とが適正に固定保持され得るため、上記のような冬季用タイヤとの併用においてもユーザーに不利益になり得る状況を回避することができ得るという優れた利点がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1及び図2に示すスチール製のディスクホイール1は、リム2と、ハブ孔3を中央に具備するディスク5から構成されものである。このディスクホイール1は、リム2の内周面にディスク5を内嵌させ、隅肉溶接又はスポット溶接により接合することにより一体化される。なお、隅肉溶接には、アーク溶接、レーザー溶接等の公知技術を用いることができる。
【0011】
また、図3はディスクホイール1を形成するディスク5を示したものである。中央部に設けられたハブ孔3には、ディスクホイール1の表側に突出したハブ孔フランジ4に周成されたキャップ溝17に、所定のホイールキャップ(図示せず)が係着される。また、ハブ孔3をガイドとして自動車の車軸と連接されたハブ(図示せず)に、ディスクホイール1を取り付ける際にハブが接触するハブ取り付け面10がディスクホイール1の裏側に設けられている。そして、ハブ孔3を中心として、ハブ孔3の半径方向外側に位置し周方向に互いに均等間隔で形成されてなる、本発明にかかるテーパーボルト孔6及び球面ボルト孔7が、ハブ取り付け面10にそれぞれ4個づつ配設されている。
【0012】
また、ディスクホイール1の表側には、上記テーパーボルト孔6及び球面ボルト孔7の半径方向外側に最も軸方向に突出している隆起部8と、該隆起部8の外側に周方向に形成された複数個の飾り孔9が備えられている。この隆起部8及び飾り孔9は、意匠性の向上、剛性の向上、軽量化、放熱性の向上等の役割を果たしている。なお、この隆起部8及び飾り孔9は、ホイールの種類により配設されないものもあり得る。
【0013】
このようなスチール製のディスクホイール1としては、鉄を主成分とする鋼材料からなるものであり、該鋼材料にNi、Cr、Si、Mn、Ti等の合金元素を添加してなる一般的な合金鋼を使用することによって、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等に優れるディスクホイール1を得ることができる。そして、このような鋼材料の板材から、プレス成形により形成したリム部2とディスク5とを、上述のように隅肉溶接することにより、ディスクホイール1を得る。なお、本発明にかかるボルト孔6及びナット締め付け座面は、ディスク5のプレス成形と同時か、又はプレス成形後に孔成形パンチとダイスにより形成される。
【0014】
次にディスクホイール1の自動車への取り付けについて説明する。
適切なタイヤを装着したディスクホイール1を、自動車の車軸と連結したハブに、ハブ孔3をガイドとして、ハブに形成されたボルト部がテーパーボルト孔6(又は球面ボルト孔7)に挿入されるように、ハブ取り付け面10を該ハブに接触させる。その後、ボルト孔6より突出するボルト部にテーパーナット21(又は球面ナット22)を、所要の締め付けトルクにより締め付けることで、ディスクホイール1を車軸に固定する。これにより、タイヤが自動車に適正に装着されることとなる。
【0015】
次に本発明の要部について説明する。
図2に示すように、ディスクホイール1には、その内周縁のナット取り付け座面13にテーパー面11が形成されたテーパーボルト孔6(図4参照)と、その内周縁のナット取り付け座面14に球状凹面12が形成された球面ボルト孔7(図5参照)とが各4個づつ備えられている。そして、このテーパーボルト孔6及び球面ボルト孔7の2種類のボルト孔は、ハブ孔3の半径方向外側に位置し、同種の各ボルト孔相互が周方向に互いに均等間隔で配設される。而して、テーパーボルト孔6と球面ボルト孔7とが順次一個置きに配されることとなる。また、これらテーパーボルト孔6及び球面ボルト孔7は、ディスクホイール1の中心軸を中心とする同心円周上に形成されている。
【0016】
また、本具体例におけるディスクホイール1には、その表面にテーパーボルト孔6を示すテーパー座面表示18が記されている。これにより、ユーザーは、テーパーボルト孔6を容易に認識でき得ることから、使用するナット種類と異なるボルト孔を誤って用いることを防止でき得る。
【0017】
そして、上記テーパーボルト孔6にテーパーナット21が締め付けられると、テーパーナット21は、テーパー面11に面圧着されることとなる(図4参照)。一方、上記球面ボルト孔7に球面ナット22が締め付けられると、球面ナット22と球状凹面12が面圧着される(図5参照)。このように、使用するナットと対応するボルト孔を用いることにより、ナットが面圧着されて、ディスクホイール1が車軸に適正に固定されることとなる。
【0018】
上述のように本発明にかかるディスクホイール1にあっては、テーパーナット21を使用する場合には、ハブに形成されたボルト部を、テーパー座面表示18に示されたテーパーボルト孔6に挿入して、テーパーナット21を所定の締め付けトルクにより緊締する(図6参照)。一方、球面ナット22を使用する場合には、ハブに形成されたボルト部を、テーパー座面表示18が記されていない球面ボルト孔7に挿入して、球面ナット22を所定の締め付けトルクにより緊締する(図7参照)。このように、いずれの場合でも、充分な力により車軸と固定されるから、路面から受ける力によってボルト及びナットにせん断力等の集中応力がかかっても、ディスクホイール1と車軸とが緩みにくく、充分な固定が保持され得る。
【0019】
かかる本発明はこの形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得るものである。また、本発明はスチール製のディスクホイールだけでなく、アルミ製のディスクホイール等、所定の構成を具備する他のディスクホイールにも適用され得る。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上述したように、自動車用ディスクホイールに、周方向に互いに均等間隔に配設された複数のテーパーボルト孔と、周方向に互いに均等間隔に配設された複数の球面ボルト孔とを備える構成としたことにより、テーパーナットはテーパーボルト孔に締め付けることができ、球面ナットは球面ボルト孔に締め付けることができるから、テーパーナット及び球面ナットのどちらを使用する場合でも、ディスクホイールと車軸とを充分な力で固定保持でき得るため、ディスクホイールと車軸との緩みを長期間防止でき、安全性が保持されることとなる。また、ナットの締め付け不足を製品面から少なくすることができるから、ディスクホイールと車軸との装着不良が減少するという利点も生じる。
【0021】
また、テーパーボルト孔及び球面ボルト孔を示す表示を、自動車用ディスクホイールの表面に記すことにより、テーパーボルト孔と球面ボルト孔とが容易、かつ、確実に区別され得るから、ユーザーがナット種類と異なるボルト孔を誤って使用することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスチール製のディスクホイール1の縦断面図である。
【図2】ディスクホイール1の平面図である。
【図3】ディスク5の斜視図である。
【図4】テーパーボルト孔6の拡大縦断面図である。
【図5】球面ボルト孔7の拡大縦断面図である。
【図6】ディスクホイール1にテーパーナット21を用いた場合の平面図である。
【図7】ディスクホイール1に球面ナット22を用いた場合の平面図である。
【符号の説明】
1 ディスクホイール
6 テーパーボルト孔
7 球面ボルト孔
11 テーパー面
12 球状凹面
13、14 ナット締め付け座面
18 テーパー座面表示
21 テーパーナット
22 球面ナット
Claims (2)
- 車軸のハブに形成されたボルト部を、ハブ取り付け面に設けられたボルト孔に挿入させて、テーパーナット又は球面ナットの緊締により車軸に固定される自動車用ディスクホイールにおいて、
ナット締め付け座面にテーパー面が形成されたテーパーボルト孔と、ナット締め付け座面に球状凹面が形成された球面ボルト孔との二種のボルト孔を複数備え、かつ、同種の各ボルト孔相互が周方向に互いに均等間隔になるように配設されていることを特徴とする自動車用ディスクホイール。 - テーパーボルト孔と球面ボルト孔とを区別するための表示が記されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ディスクホイール。
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