JP2002307596A - 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JP2002307596A
JP2002307596A JP2001109688A JP2001109688A JP2002307596A JP 2002307596 A JP2002307596 A JP 2002307596A JP 2001109688 A JP2001109688 A JP 2001109688A JP 2001109688 A JP2001109688 A JP 2001109688A JP 2002307596 A JP2002307596 A JP 2002307596A
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film
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silicon alkoxide
reinforcing layer
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JP2001109688A
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Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
Satoshi Kojima
聡史 小島
Takashi Mimura
尚 三村
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた弾性率を有し、同時に耐屈曲性にも優
れ、端部割れの発生しにくく、高容量磁気テープ用に好
適な積層ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 二軸配向ポリエステルフィルムの少なく
とも片面に、金属酸化物を主成分とするマトリックス中
に、数珠状に連結及び/又は分岐した形状を有するコロ
イダルシリカが分散した補強層が積層されてなる積層フ
ィルムであって、該積層フィルムの長手方向及び/又は
幅方向の弾性率が6GPa以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向ポリエス
テルフィルム上に、無機物を主成分とする補強層を設け
てなる積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、優れた機械的
特性、熱的特性、電気的特性、表面特性、光学特性、ま
た、耐熱性、耐薬品性などの性質を有するので、これら
優れた性質を利用して、コンデンサー用、包装用、磁気
記録媒体用など種々の用途に幅広く用いられている。中
でも、磁気記録媒体として、特に、記録面積を大きくと
れるテープ状の磁気記録媒体であるビデオテープやデー
タテープとして広く用いられている。しかしながらテー
プの小型化、高容量化のためにテープ厚さを薄くしよう
とすると強度が不足するという問題点があるので、延伸
条件を工夫してポリエチレンテレフタレートの弾性率を
大きくする工夫や、ポリエチレンテレフタレートより弾
性率の大きなフィルムを得やすいポリエチレンナフタレ
ートフィルムや芳香族ポリアミドフィルムをを用いる工
夫がされてきた。しかし、それでも現在以上の高容量化
を行うには不十分であるか、あるいは非常に高価なフィ
ルムとなってしまうという問題がある。
【0003】また、これまで、熱可塑性樹脂膜上に、金
属アルコキシドやその加水分解物、低重合体を出発原料
とした無機物の積層膜や、金属アルコキシドやその加水
分解物、低重合体と有機物を配合した塗剤を出発原料と
した有機−無機複合材料の積層膜を設けて複合膜とする
こと(例えば特開2000−53917公報)が提案さ
れている。しかし、金属アルコキシドやその加水分解
物、低重合体を出発原料とした無機物の積層膜では可撓
性に劣るといった問題やスリット時にひび割れが発生す
るといった問題がある。また、これらを解決するために
有機物を添加した塗剤を用いた積層膜では、ガスバリア
性やハードコート性は達成できても、弾性率は無機物本
来の弾性率を大きく下回る値となり、熱可塑性フィルム
の弾性率を向上させるような補強層として用いることは
出来なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした課
題を解決し、二軸配向ポリエステルフィルムの表面に、
可撓性やスリット性に優れかつ大きな弾性率を有する無
機物を主成分とする補強層を設けることにより、優れた
弾性率と優れた耐屈曲性とを有し、しかも端部割れの発
生しにくい積層フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明の積層フィルムは、二軸配向ポリエステルフ
ィルムの少なくとも片面に、金属酸化物を主成分とする
マトリックス中に、数珠状に連結及び/又は分岐した形
状を有するコロイダルシリカが分散した補強層が積層さ
れてなる積層フィルムであって、該積層フィルムの長手
方向及び/又は幅方向の弾性率が6GPa以上であるこ
とを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の積層ポリエステルフィル
ムにおけるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンナフタレートなどが挙げられ、特にポリエチレ
ンテレフタレートが、原料の入手性や表面の粗大突起低
減のために好ましいが、特に限定されるものではない。
また、これらの2種以上が混合されたものであってもよ
い。またこれらと他のジカルボン酸成分やジオール成分
が共重合されたものであってもよい。また内層と表層の
2層以上の複合体フィルムであってもよい。例えば内層
部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させ
た複合体フィルム、内層部に粗大粒子を含有させ、表層
部に微細粒子を含有させた複合体フィルムなどが挙げら
れる。また上記複合体フィルムは内層部と表層部が異種
のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。
また、ポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフ
ェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好まし
く、0.5〜0.8dl/gであるのがより好ましい。
【0007】本発明におけるポリエステルフィルムは、
二軸配向されたものである。二軸配向しているとは、未
延伸すなわち結晶配向が完了する前のポリエステルフィ
ルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0
倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させ
たものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示
すものをいう。ポリエステルフィルムが二軸配向してい
ない場合には、積層ポリエステルフィルムの耐熱性、寸
法安定性、機械的強度が不十分となり、本発明に適した
積層フィルムを得ることができない。一般に、ポリエス
テルフィルムの配向度は屈折率から推定することが出来
る。ポリエステルフィルムは延伸する事によりその方向
の屈折率が大きくなるため、2軸配向したポリエステル
フィルムではフィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方
向の屈折率の平均値はフィルム厚さ方向の屈折率より大
きくなる。特に限定されるものではないが、フィルム長
手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率の平均値とフ
ィルム厚さ方向の屈折率との差は0.05〜0.25が
好ましく、0.10〜0.18が特に好ましい。フィル
ム各方向の屈折率は、例えば偏光子付き接眼レンズを備
えたアッベ式屈折率計などで測定することが出来る。
【0008】本発明のポリエステルフィルム中には本発
明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成
物、架橋剤などを含有してもよい。例えば、酸化防止
剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒子、顔
料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、
他のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン
樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキ
シ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、
ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキ
サゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化され
た尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各
種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリン
グ剤などを挙げることができる。易滑性付与の目的でフ
ィルム表面に突起を形成させるためには有機または無機
の粒子を添加するのが好ましく、コロイダルシリカや酸
化チタン、炭酸カルシウム、架橋ポリスチレンやシリコ
ーン樹脂の球場粒子が特に好適である。
【0009】本発明の積層ポリエステルフィルムは、フ
ィルム幅方向及び/又はフィルム長手方向の弾性率が6
GPa以上である。好ましくはフィルム幅方向およびフ
ィルム長手方向の弾性率が共に6GPa以上であること
が好ましく、さらに好ましくは、フィルム幅方向および
フィルム長手方向のうちのいずれかの方向の弾性率が6
GPa以上であり、かつ他の方向の弾性率が7GPa以
上であることが好ましい。フィルム幅方向およびフィル
ム長手方向の弾性率が共に6GPaより小さい場合は、
薄膜で用いた場合に弾性率が不足し、磁気テープとして
用いたときに張力によりクリープ変形してしまったり、
その製造工程で端部が片伸びしやすいといった問題が生
じる。
【0010】本発明の積層フィルムは、二軸配向ポリエ
ステルフィルムの少なくとも片面に、金属酸化物を主成
分とするマトリックス中に、数珠状に連結及び/又は分
岐した形状を有するコロイダルシリカが分散した補強層
が積層されたものである。
【0011】金属酸化物を主成分とした補強層を積層し
た積層フィルムであっても、数珠状に連結及び/又は分
岐した形状を有するコロイダルシリカを含有しない場合
は、可撓性が劣ったり、スリット時に微少なひび割れが
発生するといった問題が生じる。また、可撓性やスリッ
ト性を付与するために有機成分を塗膜に導入した積層フ
ィルムでは弾性率の大きなフィルムを得ることが困難で
ある。
【0012】しかし、金属酸化物を主成分とした補強層
を積層した積層フィルムであっても、数珠状に連結及び
/又は分岐した形状を有するコロイダルシリカを分散さ
せることによって、3次元的な網目構造を有する補強層
とすることができ、弾性率が非常に大きく、微少なクラ
ックが伝播しにくいために可撓性に優れ、かつ刃物でス
リットを行ったときも端部でのひび割れが発生しにくい
積層膜を得ることが出来る。
【0013】ここで、補強層のマトリックスが金属酸化
物を主成分とするかどうかは、例えば高分解能のエネル
ギ−分散型X線分析装置を備えた電解放射型透過型電子
顕微鏡を用いて補強層中の粒子以外の測定点で元素分析
を行うことによって判断でき、例えば、炭素元素の元素
分率が金属元素の合計元素分率の10%以下であり、か
つ酸素元素の元素分率が金属元素の合計元素分率の10
%以上400%以下である場合には、補強層のマトリッ
クスの主成分が金属酸化物であるということが出来る。
【0014】このような金属酸化物を主成分とするマト
リックスは、好ましくは珪素アルコキシド、該珪素アル
コキシドの加水分解物、該珪素アルコキシドの重縮合物
から選ばれる少なくとも1種を出発原料として形成され
ることが好ましい。珪素アルコキシドとしては1官能〜
4官能の直鎖型、分岐型、又は環状型の置換基を有する
アルコキシル基含有珪素アルコキシドの中から自由に選
択する事が出来るが、中でも下記一般式(1)で表され
る珪素アルコキシドが好ましい。
【0015】R1nSi(OR2)4-n ・・式(1) ここで、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、nは0
〜2の整数である。
【0016】この中でも、テトラエトキシシランは、反
応性とポットライフのバランスに優れるため非常に有効
であり、用いる全アルコキシドの50重量%以上をテト
ラエトキシシランとした場合に、特に剛性の高い補強層
を得ることができ好適である。珪素アルコキシドを用い
る場合、用いる珪素アルコキシドは1種類のみでもよい
が、2官能または3官能、すなわち式(1)でn=2ま
たはn=3で表される珪素アルコキシドが、用いる全ア
ルコキシドの1重量%〜30重量%を占める場合、屈曲
性に優れた積層フィルムが得られやすくなるので好まし
い。珪素アルコキシドを用いる場合、反応速度を調整す
る目的で、アルミニウム、チタン、ジルコニアなど他の
金属のアルコキシドを併用してもよい。その場合、珪素
以外のアルコキシドの使用量は、使用する全アルコキシ
ドに対して0.1重量%〜20重量%の範囲が好まし
い。上記珪素アルコキシドの加水分解は、酸性条件下で
モル比で5倍〜20倍の水を添加することにより行うこ
とが好ましく、1時間以上撹拌処理を行うことが好まし
い。加水分解に続いて室温よりも高い温度条件下で長時
間の撹拌処理を行うことにより得られる珪素アルコキシ
ドの重縮合物を併用することは、より優れた屈曲性が得
やすくなるために好ましい。
【0017】本発明における補強層のマトリックス中に
は、数珠状に連結及び/又は分岐した形状を有するコロ
イダルシリカ(以下、数珠状コロイダルシリカという)
が分散されていることが重要であり、この数珠状コロイ
ダルシリカとしては、例えば、球状のコロイダルシリカ
が数珠状に連結した長鎖の構造を有するもの、および連
結したシリカが分岐したものなどを挙げることができ
る。上記数珠状コロイダルシリカは、具体的には、球状
シリカの1次粒子が2価以上の金属イオンを介在させつ
つ粒子−粒子間で結合されたものが例示され、連結され
た球状シリカの数は3個以上が好ましく、さら好ましく
は5個以上、より好ましくは7個以上であり、さらには
数珠状に連結した粒子が分岐したものであってもよい。
【0018】また、コロイダルシリカと他の無機粒子、
例えばアルミナ、セリア、チタニアなどとの複合粒子あ
るいは混合粒子であってもよく、これらを介在させて連
結させたものでもよい。介在させる金属イオンとしては
2価以上の金属イオンが好ましく、例えばCa2+、Zn
2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などがある。特に
Ca2+を介在させた場合には、数珠状に連結及び/又は
分岐したコロイダルシリカを作成し易いので好適であ
る。
【0019】また、コロイダルシリカの1次粒子径は、
補強層の剛性と耐屈曲性を両立する点から、5nm〜1
00nmが好ましく、さらに好ましくは7nm〜50n
m、より好ましくは8nm〜30nmである。上記1次
粒子径の測定、及び、連結及び/又は分岐構造を有する
か否かの確認は、例えば補強層の断面を透過型電子顕微
鏡で観察することにより可能である。
【0020】本発明の補強層に用いる無機粒子として
は、上記数珠状コロイダルシリカの他に、本発明の目的
を阻害しない範囲内で球状コロイダルシリカ、アルミ
ナ、酸化チタンを併用してもよい。
【0021】本発明における補強層の厚みは、0.1μ
m以上2.0μm以下、好ましくは0.15μm以上
1.0μm以下であることが好ましい。一般に補強層の
厚みが0.1μmより小さい場合は弾性率の大きなフィ
ルムを得ることが困難である。また、一般に2.0μm
より大きな補強層は塗布、乾燥過程でひび割れが発生し
て連続の補強層を得ることが困難であるばかりでなく、
例え連続補強層が形成できた場合でも耐屈曲性に劣る積
層フィルムとなりやすいため好ましくない。
【0022】本発明の積層フィルムは総厚みが1μm以
上15μm以下であることが好ましく、3μm以上5μ
m以下であることがさらに好ましい。一般に、1μmよ
り厚みの小さな二軸配向ポリエステルフィルムは工業的
な連続生産が難しく、特に弾性率の大きな二軸配向ポリ
エステルフィルムを得ようとすると延伸倍率を大きくす
る必要があるため、製膜工程中で破れが発生しやすくな
るため好ましくない。積層フィルムの総厚みが15μm
より大きな場合は無機補強層による補強効果が小さくな
るため好ましくない。
【0023】珪素アルコキシドと数珠状コロイダルシリ
カとを出発原料として含む塗液によって補強層を形成
し、本発明の積層ポリエステルフィルムを作成する方法
としては、二軸配向が完了したポリエステルフィルムの
少なくとも片面に、少なくとも下記(1)及び(2)の
2種を含むコーティング用組成物の溶液(コーティング
液という)を塗布し、乾燥硬化させる方法でもよいが、
二軸配向完了前のポリエステルフィルムの少なくとも片
面に上記コーティング液を塗布した後、少なくとも一方
向に延伸を行い二軸配向を完了させ、乾燥する方法が好
ましい。 (1)珪素アルコキシド、該珪素アルコキシドの部分加
水分解物、及び該珪素アルコキシドの重縮合物から選ば
れる少なくとも1種の金属酸化物、(2)数珠状に連結
及び/又は分岐した形状を有するコロイダルシリカ
【0024】一般に、ポリエステルフィルムの延伸は8
0〜130℃で行う場合が多いため、コーティング液を
塗布した後に延伸を行う場合は、100℃以上の沸点を
有する溶媒を使用することが好ましい。また、いずれの
場合も、補強層の弾性率が大きく、ポリエステルフィル
ムと補強層の接着力の大きな積層ポリエステルフィルム
を得るためには、溶媒の乾燥後に、150℃以上で3秒
以上加熱処理を行うことが好ましい。
【0025】本発明の積層ポリエステルフィルムは高容
量磁気記録媒体用として好適であるが、薄膜フィルムを
用い、フィルムの加工工程や加工品としての使用時にお
いて曲げ強さが小さいことに起因する端部摩耗などが問
題になりやすい用途、例えば熱転写型のプリンターリボ
ンや蒸着処理を行うコンデンサーの用途、FPC用途な
どに用いることもできる。
【0026】(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は
次のとおりである。 (1)積層フィルムの弾性率 サンプルは、測定方向(フィルム長手方向、幅方向)に
長さ200mm、幅10mmの短冊状に切り出して用い
た。JIS K−7127に規定された方法にしたがっ
て、東洋精機製作所株式会社製の引張試験機を用いて、
25℃、65%RHにて測定した。初期引張チャック間
距離は100mmとし、引張速度は300mm/分とし
た。測定はサンプルを変更して20回行い、平均値を用
いた。 (2)積層フィルムの耐屈曲性 フィルムを幅10mm、長さ300mmにカットし、直
径8mmのステンレス製ガイドピン上に90℃巻き付
け、加重50g、2m/分で距離150cmを50回往
復させる屈曲処理を行ったサンプルを10個作成する。
この屈曲処理後のサンプルについて弾性率測定を行った
平均値について屈曲処理前弾性率からの低下率を求め
た。弾性率低下率は小さいほど好ましい。低下率が20
%以上の場合、例えば磁気テープとして繰り返し用い場
合に塑性変形が起こり信頼性の低いものしか得ることが
出来なくなる。低下率の測定結果より以下のように判定
した。 低下率5%未満:優 5%以上10未満:良 10%以上:不良
【0027】(3)積層フィルムの端部割れ サンプルを1辺200mmの正方形に切り出し、測定面
(補強層側)を下にして鉄板上に4角をセロテープ(登
録商標)で貼り付けた。中央部分に金属製定規を当て、
フェザー安全剃刀(株)製片刃FAS−10の刃を押し
当て、角度30゜、10cm/秒の速度で切断した。刃
を交換して10サンプルに対して同様の切断試験を行
い、測定面を上にしてアルミニウム蒸着を行い、微分干
渉顕微鏡を用いて倍率400倍で1サンプルあたり10
視野の写真撮影を行い、測定長1mmあたりの長さ10
μm以上の端部ひび割れの数を数え、10サンプルの平
均値を求め、下記基準で判定した。 割れ10個/m未満:優 10個/m以上50個/m未満:良 50個/m以上100個/m未満:可 100個/以上:不良
【0028】(4)クリープコンプライアンス フィルムを幅5mmにサンプリングし、試長15mmに
なるように、真空理工(株)製TMA TM−3000
および加熱制御部TA−1500にセットした。伸縮量
(%表示:ΔL)を記録計で読み取り、次式でクリープ
コンプライアンスを算出した。 クリープコンプライアンス(GPa-1)=(ΔL/10
0)÷0.028 測定条件は、サンプルをセットした後、荷重1gをかけ
て、加熱昇温して50℃に制御した状態で、40g/分
の速度でフィルムに28MPaの荷重をかけて、30分
間保ち、その時のフィルム伸び量を測定した。クリープ
コンプライアンスは小さいほど好ましいが、0.4GP
-1以上の場合、信頼性に優れた磁気テープを得ること
が出来なくなる。
【0029】
【実施例】以下で実施例に基づき本発明の説明を行う。 (1)塗剤の調合 塗剤A 多摩化学工業(株)製高純度正珪酸エチル(テトラエト
キシシラン)5kgに、数珠状コロイダルシリカ粒子水
ゾル(日産化学工業(株)“スノーテックスST−U
P”、1次粒子径約15nm、粒子濃度20重量%)5
kg、球形コロイダルシリカ粒子水ゾル(日産化学工業
(株)“スノーテックスST−O、”1次粒子径約15
nm、粒子濃度20重量%)5kg、及び、0.1規定
塩酸300gを混合した後、スクリューを用いて3時間
撹拌を行った。混合時は相分離したが、撹拌中に加水分
解が進み、均一溶液を得た。この原液をイソプロピルア
ルコールで希釈し、75kgの塗剤Aを得た。
【0030】塗剤B コルコート(株)製エチルシリケート28(テトラエト
キシシラン)4kg、多摩化学工業(株)製ジメチルジ
エトキシシラン1kg、数珠状コロイダルシリカ粒子水
ゾル(日産化学工業(株)“スノーテックスST−U
P”、1次粒子径約15nm、粒子濃度20重量%)5
kg、及び、球形コロイダルシリカ粒子水ゾル(日産化
学工業(株)“スノーテックスST−O”、1次粒子径
約15nm、粒子濃度20重量%)5kgを混合した
後、スクリューを用いて12時間撹拌を行った。混合時
は相分離したが、撹拌中に加水分解が進み、均一溶液を
得た。この原液をエチルアルコールで希釈し、75kg
の塗剤Bを得た。
【0031】塗剤C 多摩化学(株)製高純度正珪酸エチル(テトラエトキシ
シラン)5kg、数珠状コロイダルシリカ粒子水ゾル
(日産化学工業(株)“スノーテックスST−UP”、
1次粒子径約15nm、粒子濃度20重量%)5kg、
球形コロイダルシリカ粒子水ゾル(日産化学工業(株)
“スノーテックスST−O、”1次粒子径約15nm、
粒子濃度20重量%)5kg、及び、0.1規定塩酸5
00gを混合した後、スクリューを用いて2時間撹拌を
行った。混合時は相分離したが、撹拌中に加水分解が進
み、均一溶液を得た。この原液をN−メチル−2−ピロ
リドンで希釈し、75kgの塗剤Cを得た。
【0032】塗剤D 多摩化学工業(株)製高純度正珪酸エチル(テトラエト
キシシラン)5kgに球形コロイダルシリカ粒子水ゾル
(日産化学工業(株)“スノーテックスST−O、”1
次粒子径約15nm、粒子濃度20重量%)10kg、
及び、0.1規定塩酸300gを混合した後、スクリュ
ーを用いて3時間撹拌を行った。混合時は相分離した
が、撹拌中に加水分解が進み、均一溶液を得た。この原
液をイソプロピルアルコールで希釈し、75kgの塗剤
Dを得た。
【0033】(2)積層フィルムの作成 実施例1 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の両面に、片面当たりの最終積層厚さが
0.6μmになるようにワイヤーバー方式のコーターを
使用して塗剤Aを塗布し、フローターオーブンを用いて
100℃で5秒間乾燥し、200℃で10秒間熱処理を
行い、積層ポリエステルフィルムを得た。 実施例2 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の片面に、最終積層厚さが0.6μmにな
るようにグラビアコーターを使用して塗剤Aを塗布し、
フローターオーブンを用いて100℃で5秒間乾燥し、
200℃で10秒間熱処理を行い、積層ポリエステルフ
ィルムを得た。
【0034】実施例3 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の両面に、片面当たりの最終積層厚さが
0.6μmになるようにグラビアコーターを使用して塗
剤Bを塗布し、フローターオーブンを用いて100℃で
5秒間乾燥し、200℃で10秒間熱処理を行い、積層
ポリエステルフィルムを得た。
【0035】実施例4 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の両面に、片面当たりの最終積層厚さが
1.5μmになるようにグラビアコーターを使用して塗
剤Aを塗布し、フローターオーブンを用いて100℃で
5秒間乾燥し、200℃で10秒間熱処理を行い、積層
ポリエステルフィルムを得た。
【0036】実施例5 平均粒子径0.3μmの架橋ポリスチレン粒子を0.0
5%含有するポリエチレンテレフタレート(極限粘度
0.63dl/g)チップを180℃で充分に真空乾燥
した後、押し出し機に供給し、285℃で溶融後、濾過
精度2μmの焼結金属フィルターを通した後、T字型口
金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用い
て表面温度20℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷
却固化した。この未延伸シートを95℃に加熱したロー
ル群で長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムを
得た。このフィルムの両面に塗剤Cを濾過精度5μm、
0.9μmの焼結金属フィルタ−を通した後、ワイヤー
バー方式で片面当たりの最終積層厚みで0.5μmがな
るように塗布した。塗布されたフィルムの両端をクリッ
プで把持しつつ80℃の予熱ゾーンに導き、引き続き1
00℃の加熱ゾーンで幅方向に4.0倍延伸した。更に
連続的に200℃の熱処理ゾーンで5秒間の熱処理を施
しN−メチル−2ピロリドンを完全に乾燥させた。この
積層フィルムは厚みが5.0μm、積層厚みが表裏各
0.5μmであった。
【0037】比較例1 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の両面に、片面当たりの最終積層厚さが
0.4μmになるようにグラビアコーターを使用して塗
剤Dを塗布し、フローターオーブンを用いて100℃で
5秒間乾燥し、200℃で10秒間熱処理を行い、積層
ポリエステルフィルムを得た。
【0038】比較例2 厚さ4.5μm、長手方向、幅方向の弾性率がそれぞれ
5.0GPaである東レ(株)製ポリエステルフィルム
“ルミラー”の両面に、片面当たりの最終積層厚さが
0.08μmになるようにグラビアコーターを使用して
塗剤Aを塗布し、フローターオーブンを用いて100℃
で5秒間乾燥し、200℃で10秒間熱処理を行い、積
層ポリエステルフィルムを得た。
【0039】実施例および比較例で得られた積層フィル
ムの特性を表1に示す。なお、上記実施例1〜4及び比
較例で用いたポリエステルフィルム“ルミラー”は、ポ
リエチレンテレフタレート製の2軸延伸フィルムであ
る。実施例で得られた本発明の範囲内のフィルムは、弾
性率、クリープコンプライアンス、耐屈曲性、端部割れ
の点で優れたものであったが、比較例で得られた本発明
の範囲からはずれるフィルムは、弾性率やクリープコン
プライアンス、又は、耐屈曲性や端部割れが劣るもので
あった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明の積層ポリエステルフィルムは、
優れた弾性率を有し、同時に耐屈曲性にも優れ、端部割
れの発生しにくいフィルムである。これにより、本発明
のフィルムは、磁気記録媒体分野、電気電子分野、包装
分野等のいずれの用途にも好適に用いることができる
が、特に、磁気記録媒体用、とりわけ、薄膜フィルムを
使用する高容量磁気テープ用に好ましく使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/04 C09D 183/04 185/00 185/00 // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 4F100 AA17B AA17C AA20B AA20C AK41A BA02 BA03 BA06 BA07 BA13 EH46B EH46C EJ86B EJ86C JA20B JA20C JB16A JK07 JK17 JM10B JM10C YY00 YY00B YY00C 4F210 AA24 AB16 AB17 AG01 AG03 QC05 QD08 QG01 QG15 QG18 4J038 DL021 DL031 DM021 HA166 HA446 NA11 PB09 PB11 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフィルムの少なく
    とも片面に、金属酸化物を主成分とするマトリックス中
    に、数珠状に連結及び/又は分岐した形状を有するコロ
    イダルシリカが分散した補強層が積層されてなる積層フ
    ィルムであって、該積層フィルムの長手方向及び/又は
    幅方向の弾性率が6GPa以上であることを特徴とする
    積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 上記補強層が、少なくとも下記(1)及
    び(2)の2種を含むコーティング液を塗布した後、乾
    燥することにより設けられることを特徴とする請求項1
    に記載の積層ポリエステルフィルム。 (1)珪素アルコキシド、該珪素アルコキシドの部分加
    水分解物、及び該珪素アルコキシドの重縮合物から選ば
    れる少なくとも1種の金属酸化物、(2)数珠状に連結
    及び/又は分岐した形状を有するコロイダルシリカ
  3. 【請求項3】 珪素アルコキシドが、下記一般式(1)
    で表されることを特徴とする請求項2に記載の積層ポリ
    エステルフィルム。 R1nSi(OR2)4-n ・・・(1) (式中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、nは0
    〜2の整数である。)
  4. 【請求項4】 補強層の厚みが0.1μm以上2.0μ
    m以下であることを特徴とする請求項2または3に記載
    の積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 総厚みが1μm以上15μm以下である
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の積層
    フィルム。
  6. 【請求項6】 二軸配向完了前のポリエステルフィルム
    の少なくとも片面に、少なくとも下記(1)及び(2)
    の2種を含むコーティング液を塗布した後、少なくとも
    一方向に延伸し、乾燥して、補強層を設けることにより
    請求項1〜5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィ
    ルムを製造することを特徴とする積層ポリエステルフィ
    ルムの製造方法。 (1)珪素アルコキシド、該珪素アルコキシドの部分加
    水分解物、及び該珪素アルコキシドの重縮合物から選ば
    れる少なくとも1種の金属酸化物、(2)数珠状に連結
    及び/又は分岐した形状を有するコロイダルシリカ
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