JP2002307548A - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

延伸フィルムの製造方法

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JP2002307548A JP2001117008A JP2001117008A JP2002307548A JP 2002307548 A JP2002307548 A JP 2002307548A JP 2001117008 A JP2001117008 A JP 2001117008A JP 2001117008 A JP2001117008 A JP 2001117008A JP 2002307548 A JP2002307548 A JP 2002307548A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性の高いフィルムについても、延伸ムラ
が少なく、力学的バランスの良い均質性の高い延伸フィ
ルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 樹脂の結晶のc軸のMD方向に対する配
向係数が0.8以上である結晶性熱可塑性樹脂製フィル
ム状物31を、TD方向に延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は延伸フィルムの製造
方法に関し、詳しくは、結晶性熱可塑性樹脂製の力学バ
ランスの良い延伸フィルムを、延伸時に延伸切れ等を生
じさせることなく製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性熱可塑性樹脂製のフィルムは、弾
性率が高いなど強度的に優れるものの、テンター装置な
どによって二軸延伸をしようとすると、延伸斑が生じた
り、透明性が低下し易い。そのため、二軸延伸時の延伸
温度、延伸速度条件などを複雑に制御することにより、
延伸斑が生じたり、透明性が低下し易い欠点を解消する
技術が開発されている(例えば、特開昭58−9092
4号公報)。
【0003】ところが、このようにしても延伸斑が生じ
たり、透明性が低下し易い欠点を確実に解消することは
できず、更に、厳密に延伸条件を設定することにより、
従来技術の有する欠点を解消しようとする技術が知られ
ている(例えば、特開平5−4276号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の製造方法は、いずれも複雑な延伸条件の制御を要す
るものであり、それでも得られた延伸フィルムの均質性
は未だ十分でなく、特に、結晶性の高い、従って、弾性
率が高く強度に優れた熱可塑性樹脂の場合には、延伸ム
ラを確実に解消するには至っておらず、改良の余地があ
った。
【0005】そこで本発明の目的は、上記従来技術の有
する問題点に鑑みて、結晶性熱可塑性樹脂製の力学バラ
ンスの良く、均質性の高い延伸フィルムを、延伸時に延
伸切れ等を生じさせることなく製造することができる方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は各請求項記載
の発明により達成される。すなわち、本発明に係る延伸
フィルムの製造方法は、結晶性熱可塑性樹脂製フィルム
状物をそのTD方向に延伸する方法であり、その特徴構
成は、前記結晶性熱可塑性樹脂製フィルム状物として、
該フィルム状物中の熱可塑性樹脂の結晶のc軸の、該フ
ィルム状物のMD方向に対する配向係数が0.8以上で
あるものを使用することにある。ここで、フィルム状物
のMD方向とは、当該フィルム状物の製造時の流れ方向
であり、TD方向とは、そのフィルム状物の流れ方向と
厚さ方向の両方に直交する方向である。
【0007】この構成によれば、特に結晶性の高い熱可
塑性樹脂から製造されたフィルムについても、力学的バ
ランスに優れ、延伸ムラの少ない、均質性の高い延伸フ
ィルムを延伸時に延伸切れ等を生じることなく製造する
方法を提供することができる。
【0008】本発明において、「結晶性熱可塑性樹脂製
フィルム状物中の熱可塑性樹脂の結晶のc軸の、MD方
向に対する配向係数」とは、広角X線回折により求めら
れるHermans 配向係数である。
【0009】図1(A)に示すように、少なくとも一対
の圧延ロールを用いた延伸工程を経て圧延成形された結
晶性熱可塑性樹脂製フィルム状物31は、カレンダーロ
ール33から送り出されてロール36に巻き取られる。
このようにして製造されたフィルム状物31の結晶化し
た部分Xを拡大した図1(B)に模式的に示す。この図
に示すように、フィルム状物を構成する結晶性熱可塑性
樹脂を構成する重合体分子35の80%以上の結晶のc
軸(ラメラの厚さ方向の軸)がMD方向に配向している
状態は、「フィルム状物中の結晶のc軸の、前記フィル
ム状物のMD方向に対する配向係数が0.8以上であ
る」状態の一例である。
【0010】本発明によれば、広角X線回折により測定
した熱可塑性樹脂の結晶のc軸のMD方向に対する配向
係数が0.8以上である結晶性熱可塑性樹脂をフィルム
状物を、テンター装置等を用いてTD方向に延伸して延
伸フィルムが得られる。延伸倍率は、特に限定されるも
のではないが、2〜10倍程度が好ましい。
【0011】結晶性熱可塑性樹脂のフィルム状物を得る
方法としては、インフレーション法、Tダイによる押し
出し法などがあるが、結晶性熱可塑性樹脂の圧延成形に
より製造することにより、熱可塑性樹脂の結晶のc軸
の、MD方向に対する配向係数が0.8以上である結晶
性熱可塑性樹脂フィルムを確実に得ることができる。
【0012】本発明において、「結晶性熱可塑性樹脂」
とは、X線解析において明確な結晶性を示す熱可塑性樹
脂を意味し、より詳細には、広角X線回折により求めた
結晶化度が10%以上である熱可塑性樹脂を意味する。
尚、上記定義における「熱可塑性樹脂」には、単一種類
の熱可塑性樹脂のみならず、二種類以上の熱可塑性樹脂
の混合物も含まれる。すなわち、二種類以上の熱可塑性
樹脂の混合物であって、該混合物の広角X線回折により
求められた結晶化度が10%以上である混合物は、本発
明における「結晶性熱可塑性樹脂」として使用すること
ができる。二種類以上の熱可塑性樹脂の混合物の場合、
混合される熱可塑性樹脂の全てがそれぞれ結晶性を有す
る必要はない。すなわち、結晶性熱可塑性樹脂と非結晶
性熱可塑性樹脂の混合物であっても、該混合物全体の結
晶化度が10%以上であれば、その混合物は本発明にお
ける「結晶性熱可塑性樹脂」として使用することができ
る。
【0013】熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピ
レン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンの単独重合体ま
たは2種類以上のオレフィンの共重合体、および1種類
以上のオレフィンとこのオレフィンと重合可能な1種類
以上の重合性モノマーとの共重合体であるポリオレフィ
ン樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリ
レート、エチレン−エチルアクリレート共重合体などの
アクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、アク
リロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチ
レン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソ
プレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重
合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ
化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹
脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン
等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリ
カーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタ
ール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱
可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リエーテルイミド、各種熱可塑性エラストマー、あるい
はこれらの架橋物などが挙げられる。
【0014】単独で10%以上の結晶化度を有する結晶
性熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテ
ン、ヘキセン等のオレフィンの単独重合体または二種類
以上のオレフィンの共重合体、一種類以上のオレフィン
とこのオレフィンと重合可能な一種類以上の重合成モノ
マーとの共重合体であるポリオレフィン樹脂、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等
のフッ化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、
ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。単独
では10%以上の結晶化度を有しない熱可塑性樹脂であ
っても、前記単独で10%以上の結晶化度を有する結晶
性熱可塑性樹脂と適当な配合割合でブレンドすることに
より本発明に適用することができる。
【0015】熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂を
用いると、成形されたフィルム状物は、リサイクル性、
耐溶剤性に優れ、又、焼却してもダイオキシン等を発生
しないため、環境を悪化させることがない等の理由か
ら、ポリオレフィン樹脂を特に好適に使用できる。
【0016】ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン
としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンな
どが挙げられる。ポリオレフィン樹脂の具体例として
は、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン
−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等の
ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ(4 −
メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)およびエチ
レン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0017】尚、本発明においてフィルム状物とは、本
来的にフィルムと称されるもののみならず、多少厚手の
シート状のものをも含む概念として用いるものとする。
【0018】前記フィルム状物には、結晶性熱可塑性樹
脂100重量部に対し、充填剤を10〜300重量部含
ませてもよい。
【0019】この構成によれば、延伸した場合に弾性率
が高い多孔性フィルムを得ることができ、フィルター、
電池用あるいは電解コンデンサ用セパレータ、ろ過膜、
透湿防水衣料など多用途に使用できる。
【0020】充填剤が10重量部未満では、通気性を有
する多孔性フィルムを得ることはできず、300重量部
を越える場合は、延伸時に延伸切れを生じるおそれがあ
る。充填剤の量は、結晶性熱可塑性樹脂100重量部に
対し50〜200重量部であることがより好ましい。均
質な多孔性フィルムを得ることができるからである。
【0021】充填剤としては無機および有機の充填剤が
用いられ、例えば、無機充填剤としては炭酸カルシウ
ム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタル
サイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫
酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイ
カ、ゼオライト、ガラス粉、酸化亜鉛などを使用でき
る。
【0022】有機充填剤としては、種々の樹脂粒子を使
用することができ、好ましくはスチレン、ビニルケト
ン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルア
クリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類
以上の重合体、メラミン、尿素などの重縮合樹脂などの
粒子が挙げられる。
【0023】前記フィルム状物を構成する結晶性熱可塑
性樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィ
ン(本発明において、長分子鎖ポリオレフィンという)
を10重量%以上含むことが好ましい。
【0024】結晶性熱可塑性樹脂中に、分子鎖長が28
50nm以上の長分子鎖ポリオレフィンを含有するフィ
ルムは特に強度に優れ、このような長分子鎖ポリオレフ
ィンを10重量%以上、より好ましくは20重量%以上
含有していると強度が顕著に向上するので、多用途に利
用でき、30重量%以上含有していると、より強度の高
いものが得られる。
【0025】長分子鎖ポリオレフィンは、ポリオレフィ
ンワックスと併用することが加工上好ましい。かかるワ
ックスと併用すると、フィルムの風合いが良くなった
り、無孔化し易い(例えば、電池のセパレータ等に使用
すると安全性が高まる)等の利点がある。
【0026】かかるポリオレフィンワックスの具体例と
しては、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチ
レン−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン
等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ
(4 −メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)およ
びエチレン−酢酸ビニル共重合体のワックス等が挙げら
れる。
【0027】例えば、分子鎖長が2850nm以上のポ
リオレフィンを10重量%以上含有するポリオレフィン
系樹脂は、重量平均分子鎖長2850nm以上のポリオ
レフィン[A]と、重量平均分子量700〜6000の
ポリオレフィンワックス[B]とを、[A]/[B]=
90/10〜50/50の重量比にて配合し、溶融混練
することにより得ることができる。
【0028】ポリオレフィンの分子鎖長、重量平均分子
鎖長、分子量、および重量平均分子量はGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)により測定し、特
定分子鎖長範囲または特定分子量範囲のポリオレフィン
の混合比率(重量%)は、GPC測定により得られる分
子量分布曲線の積分により求めることができる。
【0029】前記フィルム状物を、下記(条件1)を満
たす温度TでTD方向に延伸することが好ましい。 (条件1)Tm>T>Tm−50 ここに、Tmは結晶性熱可塑性樹脂の融点である。
【0030】この構成によれば、力学的バランスが良好
で、均質性の高い多孔性の延伸フィルムを、延伸時に延
伸ムラを生じることなく、製造することができる。延伸
時のフィルム状物の温度TがTm以上であると、無孔性
のフィルムとなって多孔性フィルムが得られず、(Tm
−50)以下であると、延伸時に延伸切れを起こし易
い。
【0031】尚、融点は、DSC(示差走査熱量測定)
におけるピーク温度のことであり、複数のピークがある
場合は、最も融解熱量ΔH(J /g)が大きいピーク温
度を融点とする。又、融点を測定するときの昇温速度
は、5℃/分とする。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明に係る延伸フィルムの製造
方法について、以下に詳細に説明する。結晶性熱可塑性
樹脂と、(多孔性フィルムを製造する場合には)充填剤
とを含む熱可塑性樹脂組成物からフィルム状物を製造
し、これを所定幅にスリットした後、後述する延伸装置
により、TD方向に2〜10倍に延伸して延伸フィルム
を得る。多孔性フィルムを製造する場合は、延伸を結晶
性熱可塑性樹脂の融点Tm 未満の温度で行い、必要に応
じて酸などを用いて充填剤を除去する。具体的な工程例
を、図面を参照して以下に説明する。
【0033】<フィルム状物の製造工程>図2は、結晶
性熱可塑性樹脂フィルム状物を製造するための製造ライ
ンを示す模式図である。本製造ラインは、工程順に混練
工程1、圧延工程2、スリット工程3の各工程から成っ
ている。以下で示す例では、ポリオレフィン樹脂を使用
する。
【0034】混練工程1で、スクリュー混練装置10が
使用されており、この混練装置10は、長分子鎖ポリオ
レフィンPE1とポリオレフィンワックスPE2を供給
する第1ホッパー11を備えている。無機充填剤などの
充填剤は、別に設けた第2ホッパー(図示略)から供給
される。混練工程1により、例えば、分子鎖長が285
0nm以上のポリエチレン樹脂100重量部と充填剤1
0〜300重量部と、場合によっては更に非イオン系界
面活性剤とを含む樹脂組成物を得る。尚、樹脂組成物に
は、本発明の目的を妨げない範囲で脂肪酸エステルや安
定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの他の
添加剤を添加されていてもよい。
【0035】スクリュー混練装置10は、二軸のスクリ
ュー13を備えており、第1ホッパー11から供給され
る混合樹脂を強混練して押し出す。混練して得られた樹
脂組成物は、ペレット化される。
【0036】圧延工程2で、スクリュー押し出し装置2
0が用いられる。この装置20は、混練工程1により得
られた樹脂組成物のペレットを投入するホッパー21
と、スクリュー22を備えている。この装置20によ
り、 樹脂組成物を可塑化混練しつつ前方に押し出し、
ダイ23により棒状またはシート状の溶融樹脂として排
出し、圧延ロール機構24により圧延してフィルムを得
る。
【0037】この場合、ダイ23の下流側にある圧延ロ
ール機構24の内、上流に位置する一対の圧延ロールR
1,R2の表面温度Toを、下記(条件2)、(条件
3)を満たす温度に設定することが好ましい。
【0038】(条件2) 熱可塑性樹脂組成物の溶融張
力MT、伸長度Lが以下の範囲となる温度To MT>10g かつ L>100% (条件3) To>Tm ここに、Tmは結晶性熱可塑性樹脂の融点である。
【0039】このようにすると、厚み精度が高い樹脂製
フィルム状物が得られるため、このようなフィルム状物
を延伸すると、延伸ムラが少なく、均一な延伸フィルム
が得られることに加えて、厚み精度の高い延伸フィルム
が得られる。
【0040】更に、前記一対の圧延ロールR1,R2の
周速を、略等速にして圧延成形することが好ましい。こ
のようにすると、得られたフィルム状物の表面が平滑性
に優れて美麗であり、膜厚み精度が一層高い樹脂製フィ
ルム状物を製造することができるので、以降の工程で延
伸した場合に、より一層厚み精度の優れた延伸フィルム
が得られる。この場合、前記一対の圧延ロールR1,R
2の周速が略等速であるとは、両圧延ロールが厳密に同
一周速度であること、または両圧延ロールの周速は異な
るが、それらの周速度の差異は±5%以内程度であるこ
とを意味する。
【0041】上記圧延方法によると共に、後述する延伸
方法を実施することにより、溶融粘度が高く溶融伸びの
低い樹脂を多く含む結晶性の高い熱可塑性樹脂組成物の
ような難成形樹脂材料についても、力学的バランスに優
れ、延伸ムラが少なく、かつ均質性が高い多孔性フィル
ムを得ることができる。しかもこの場合には、200μ
m以下の厚さまで延伸するときでさえも、±2%程度以
内といった高い厚み精度で多孔性フィルムを得ることが
できる。
【0042】スリット工程3では、圧延工程2で得られ
たフィルムを幅方向で2つにカットし、例えば600m
m幅の圧延フィルムから300mm幅のフィルムロール
36を2丁得る。
【0043】なお、スリット工程3は、例えば、圧延で
得られた樹脂製フィルム状物から不要部分を除去する目
的、または、圧延フィルムを所望の幅に裁断する目的
で、必要に応じて行われる工程であり、省略することが
できる。
【0044】<延伸フィルムの製造工程>以上の工程に
より、樹脂製フィルム状物31を得た後、引き続き、図
3に示すように、得られたフィルム状物31を延伸する
工程4と更に延伸フィルムを裁断するスリット工程5と
を経て、延伸フィルムを得る。スリット工程5は、例え
ば、延伸フィルムから不要部分を除去する目的、また
は、延伸フィルムを所望の幅に裁断する目的で、必要に
応じて行われる工程であり、省略することができる。
【0045】延伸工程4では、上記(条件1)の下でテ
ンター装置などを用い、上記した300mm幅の圧延フ
ィルム状物をTD方向(フィルム幅方向)に2〜10
倍、好ましくは4〜5倍延伸する。これにより、幅方向
に延伸された熱可塑性樹脂フィルムFを得ることができ
る。かかる延伸フィルムFは、幅方向の弾性率、強度も
高いものとなる。
【0046】充填剤を含有するフィルム状物から多孔性
フィルムを製造する場合には、より好ましくは、延伸工
程4は、図4に示すような、3つの加熱ゾーンに分割さ
れ、夫々下記(条件)に制御されたテンター装置を用い
て行う。すなわち、このテンター装置Tは、上流側から
送給されてきたフィルム状物31を入口から取り込み、
このフィルム状物31を加熱しながら延伸すべく、予熱
部A、TD方向にフィルム状物を延伸する延伸部B、延
伸による内部応力を除去して熱固定する熱処理部Cの3
つのゾーンに分割されており、各部を経て所定厚みの延
伸フィルムが製造されるようになっている。そして、各
ゾーンを下記(条件4)〜(条件6)に従う温度条件に
設定しておくことにより、均一に延伸でき、かつ延伸ム
ラのない延伸フィルムを製造することができる。
【0047】(条件4) T1/T2>1.05 (条件5) 1.5>T3/T2>1.2 (条件6) Tm>T3>(Tm−5) ここに、T1は延伸時の予熱部での予熱温度、T2は延
伸部での延伸温度、T3は熱処理部での熱固定温度、T
mは結晶性熱可塑性樹脂の融点である。
【0048】このようにすれば、特に溶融粘度が高く溶
融伸びの低い樹脂組成物である長分子鎖ポリオレフィン
樹脂を多く含有した結晶性熱可塑性樹脂組成物から製造
されるフィルムからも、一層延伸ムラの少ない、均質性
の高い多孔性フィルムを製造することができる。また、
必要に応じて、更にフィルム中の充填剤を、酸などを用
いて除去することができる。
【0049】最後のスリット工程5では、得られた結晶
性熱可塑性樹脂製フィルムを所望の幅寸法にカットす
る。
【0050】以上のようにして製造された延伸フィルム
は、結晶性の高い材質のものであっても、延伸ムラが少
なく、力学的バランスの良い均質性の高いものであり、
弾性率の高い強度的にも優れたフィルムであった。ま
た、充填剤非配合のフィルムは透明性にも優れていた。
【0051】
【実施例】以下、実際の測定試験結果について説明す
る。尚、測定結果の評価は外観および突刺し強度結果に
ついて行った。
【0052】〔突刺し強度の測定〕固定したフィルム
に、針先曲率半径0.5mm、長さ1mmの金属製針を
200mm/分で突き刺した際に孔が開口する最大荷重
(gf)を測定して求めた。
【0053】(実施例1)長分子鎖ポリエチレン粉末7
0重量%(三井化学(株)製、ハイゼックスミリオン3
40M、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分
子量300万)と、低分子量ポリエチレン粉末30重量
%(重量平均分子量1000)とを2軸反応押出機にて
混練し、該押出機の途中から樹脂混合物100重量部に
対して120重量部の炭酸カルシウム(白石カルシウム
(株)製、スターピゴット15A)を添加して230℃
で溶融混練した後、ロール表面温度150℃で等速度で
回転する一対のロールで圧延し、膜厚約60μmのフィ
ルムを作成した。得られたフィルムについて、広角X線
回折により(110)面の配向を調べたところ、MD方
向に対する樹脂の結晶のc軸の配向係数は0.90 であ
った。このフィルムをテンター延伸機にて110℃でT
D方向に5倍延伸した。尚、 上記樹脂混合物中の分子
鎖長2850nm以上のポリエチレンの含有量は27重
量%であった。
【0054】(実施例2)ポリプロピレン100重量部
(住友化学工業(株)製、FS2011D)を2軸押出
機にて混練し、押出機の途中から樹脂100重量部に対
して120重量部の炭酸カルシウム(白石カルシウム株
製、スターピゴット15A)を添加して230℃で溶融
混練した後、ロール表面温度175 ℃で等速度で回転する
一対のロールで圧延し、膜厚約60μmのフィルムを作
成した。得られたフィルムについて、広角X線回折によ
り(110)面の配向を調べたところ、MD方向に対す
る樹脂の結晶のc軸の配向係数は0.91であった。こ
のフィルムをテンター延伸機にて150℃でTD方向へ
5倍延伸した。
【0055】(比較例1)実施例1で作成したMD方向
に対する結晶のc軸の配向係数が0.90のフィルムを
2段プレス機(220℃、100kgf/cm2 )でプ
レスし、樹脂の結晶のc軸のMD方向に対する配向係数
が0であり、a軸のMDに対する配向係数が0.44で
あるフィルムを製作した。このフィルムをテンター延伸
機にて110℃でTD方向に延伸倍率5倍の延伸を行っ
たこれら実施例、比較例の測定結果を、表1に示す。
【0056】
【表1】 表1の結果、実施例1、2はいずれも延伸ムラがなく良
好であったのに対して、比較例のものは延伸ムラが発生
すると共に、突刺し強度は幅方向にバラツキが大きく、
均質性に劣るものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの結晶配向を説明する模式図
【図2】本発明に係る延伸フィルムの製造方法の一実施
形態を表す概略工程模式図
【図3】図2の下流側工程を示す概略模式図
【図4】図3のテンター装置の概略平面図
【符号の説明】
31 フィルム状物 F 延伸フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 101:12 B29K 101:12 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 花田 暁 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 山田 武 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住化プ ラステック株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA01 AA14 AA15 AA20 AB21 AE17 AF14 BA01 BB07 BC01 4F210 AA03 AA06 AA11 AB11 AB16 AG01 QC03 QD13 QG01 QG18 4J002 AA01W BB02W BB03X BB05W BB05X BB06X BB07W BB12X BB17X BC03W BC05W BC06W BC07W BD03W BD13W BD14W BG04W BG05W BP01W CB00W CF06W CF07W CG00W CH07W CH09W CK02W CL01W CL03W CN01W CP03W DE236 FD016

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性熱可塑性樹脂製フィルム状物をそ
    のTD方向に延伸する延伸フィルムの製造方法であっ
    て、前記フィルム状物中の熱可塑性樹脂の結晶のc軸
    の、前記フィルム状物のMD方向に対する配向係数が
    0.8以上であることを特徴とする延伸フィルムの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記フィルム状物が、結晶性熱可塑性樹
    脂100重量部に対し、充填剤を10〜300重量部含
    む請求項1の延伸フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記結晶性熱可塑性樹脂中に、分子鎖長
    が2850nm以上のポリオレフィンを10重量%以上
    含む請求項1又は2の延伸フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記フィルム状物を下記条件満たす温度
    Tで、TD方向に延伸する請求項2又は3の延伸フィル
    ムの製造方法、 Tm>T>Tm−50 ここに、Tmは結晶性熱可塑性樹脂の融点である。
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