JP2002303674A - 放射線検出装置及びその製造方法 - Google Patents

放射線検出装置及びその製造方法

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JP2002303674A
JP2002303674A JP2001106033A JP2001106033A JP2002303674A JP 2002303674 A JP2002303674 A JP 2002303674A JP 2001106033 A JP2001106033 A JP 2001106033A JP 2001106033 A JP2001106033 A JP 2001106033A JP 2002303674 A JP2002303674 A JP 2002303674A
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phosphor
phosphor layer
layer
photodetector
radiation
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Kazumi Nagano
和美 長野
Tomoyuki Tamura
知之 田村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の蛍光体埋め込みパネルを用いた製造方
法では、画素との位置ずれ、剥がれ、画素への光量低下
が発生する。 【解決手段】 蛍光体4を複数回蛍光体層を積層するこ
とによって形成し、積層された蛍光体4のうち光検出素
子基板8に接する蛍光体層を、中央部が凹状形状になる
蛍光体層とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療診断機器、非
破壊検査機器等に用いられる放射線検出装置及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光検出素子と蛍光体とを用いた放
射線検出装置としては、多くの提案がなされている。高
感度で高鮮鋭な放射線検出装置として、例えば、特開平
5−60871号公報に開示されているように基板上に
二次元に配列された画素としての光検出素子と、これら
の画素に対応するように所定のピッチで基板に形成され
た複数の凹部に蛍光体を埋め込んで構成された蛍光体埋
め込みパネルとを、凹部と画素が位置的に対応した状態
で貼り合わせることで一体化した放射線検出装置が知ら
れている。
【0003】上記公報の装置では、蛍光体埋め込みパネ
ルに入射した放射線は、画素毎に分離された蛍光体中で
可視光に変換され、この分離された蛍光体層毎に発生し
た可視光が、光検出素子の各画素に入射し、電気信号に
変換することにより高鮮鋭な画像特性が得られる。
【0004】また、特開平9−61536号公報に開示
されているように光検出素子の全面に蛍光体層を形成し
た後に、各光検出素子(各画素)の間の蛍光体層を、レ
ーザ光により溝状に除去することで、蛍光体を画素毎に
分離した放射線検出装置が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−60871
号公報に開示されている放射線検出装置の作製方法とし
ては、まず、凹部付きの基板を用意し、その中に蛍光体
粉を充填し、蛍光体埋め込みパネルを作製する。次い
で、それを光検出素子と貼り合わせ、一体化することに
より放射線検出装置が作製される。
【0006】しかしながら、このような放射線検出装置
では、蛍光体埋め込みパネルと光検出器(画素としての
光検出素子を基板上に二次元に配列したもの)とを、画
素毎に一対一で対応させて貼り合わせを行うが、その後
の環境による温度や湿度等の変化によって、蛍光体埋め
込みパネルと光検出器との熱膨張率又は湿度膨張率が異
なることに起因して、光検出器の画素と分離された蛍光
体との位置ずれ、あるいは蛍光体埋め込みパネルと光検
出器の基板との間の剥がれを生じ、放射線検出装置とし
ての機能が損なわれるという問題があった。
【0007】更に、蛍光体埋め込みパネルと光検出器と
を接着剤を用いて貼り合わせ、一体化するために、その
接着剤により蛍光体から発生した光が反射、散乱され、
光検出素子に達する光量が減少するため、感度の低下を
生じる欠点があった。
【0008】一方、近年において放射線検出装置を医療
診断装置に用いる場合、要求される診断性能は高くな
り、光検出器の高分解能が求められており、光検出素子
の画素サイズとしては200μm以下が望まれている。
このため、パネルの凹部の幅も200μm以下が必要と
なるが、蛍光体粉が1〜15μm程度の粒径であっても
パネルの200μm幅の凹部に均一に充填するために
は、蛍光体を埋め込む凹部の直径に対する深さの比(ア
スペクト比)は、1以下であることが必要で、これを満
足しないと均一に充填することが不可能である。また、
蛍光体により放射線を可視光に変換する率を上げるため
には、蛍光体層の厚みを厚くすることが必要である。し
かし、蛍光体埋め込みパネルにおいては、前述のように
蛍光体層の厚みを200μm以上厚くできないため、放
射線の光変換効率が十分得られないという問題があっ
た。
【0009】また、特開平9−61536号公報に開示
されている放射線検出装置は、基板上に二次元に配列さ
れた光検出素子の上に蛍光体層を全面に形成し、その
後、光検出素子(画素)以外の部分の蛍光体層を除去す
ることにより、個別画素間の蛍光体の分離を実現してい
る。この方法によれば、前述の従来例のように剥がれ、
接着剤による感度低下、厚み制限による低光交換効率と
いう問題は発生しない。しかし、蛍光体層を画素毎に分
離する方法は、レーザ光の熱による、各画素間での、蛍
光体層中のバインダー樹脂の分解と蛍光体粒子の飛散と
で行われるため、その際に残された柱状蛍光体層の外周
部の樹脂は、レーザ光の熱により変質してしまい、その
変質した樹脂の一部が炭化するので、光吸収が生じ、蛍
光体の光の取り出し効率の低下をもたらす。更に、耐久
性の加速試験である温度、湿度試験を行うことにより、
レーザ光を当てなかった部分に比べて変質部及びその近
傍での変質がより加速され、蛍光体としての感度の低下
を引き起こし、耐久性が低下するという問題があった。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、形状が均一で精度の高い
分離柱状蛍光体を容易に形成でき、高感度で高鮮鋭な放
射線検出装置及びその製造方法を提供することにある。
【0011】また、分離柱状蛍光体層と光検出素子との
位置ずれ及び層間剥離がなく、蛍光体層と光検出素子と
の間の光ロスがなく、大きな光変換効率が得られ、更に
は、分離柱状蛍光体層の外周部に変質が無く、耐久性の
良い放射線検出装置及びその製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、複数配
列された画素としての光検出素子を有する光検出素子基
板と、前記光検出素子にそれぞれ対応して、且つ、画素
毎に分離して形成された蛍光体とを有する放射線検出装
置において、前記蛍光体は蛍光体層を複数回積層するこ
とによって形成され、前記積層された蛍光体のうち、前
記光検出素子基板に接する蛍光体層が、中央部が略凹状
形状となる蛍光体層より成っていることを特徴とする放
射線検出装置によって達成される。
【0013】また、本発明の目的は、複数配列された画
素としての光検出素子を有する光検出素子基板と、前記
光検出素子にそれぞれ反応して、且つ、画素毎に分離し
て形成された蛍光体とを有する放射線検出装置の製造方
法において、前記蛍光体をスクリーン印刷を用いて蛍光
体層を複数回重ね刷りすることによって積層することを
特徴とする放射線検出装置の製造方法によって達成され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。図1は本発明の放射線検出装
置の一実施形態の構成を示す断面図である。図1におい
て、符号1はガラス基板等からなる絶縁性基板である。
この絶縁性基板1上に非晶質シリコンよりなる半導体薄
膜を用いたセンサ(光検出素子)とTFT(薄膜トラン
ジスタ)よりなる光検出素子(画素)2が、互いに分離
された状態で2次元に形成されている。また、その表面
にSiNxよりなる保護層3が形成され、全体として光
検出器8が構成されている。各光検出素子(画素)2上
には複数の蛍光体層を積層することで、放射線(例え
ば、X線、α線、β線、γ線等)を光に変換する蛍光体
4が画素毎に分離して形成されている。
【0015】図2は蛍光体4を拡大して示す拡大図であ
る。図2においては、基板となる光検出器8上に第1の
蛍光体層4a〜第8の蛍光体層4hが順に積層されてお
り、そのうち光検出器8側の第1の蛍光体層4aが他の
蛍光体層4b〜4hと異なる材質から成っている。本実
施形態では、例えば、蛍光体の基板(光検出器8)に接
する第1の蛍光体層4aが他の蛍光体層よりもチキソ性
の大きい蛍光体ペーストによって形成されている。
【0016】光検出素子基板に接する蛍光体層の少なく
とも第1層に形状形成にチキソ性の高いペーストを選択
することにより、各光検出素子(画素)に対応してだれ
ることなく、蛍光体層を形成することが可能であり、更
にその上に積層される蛍光体層の形成を容易にするもの
である。また、その蛍光体層の上に積層する蛍光体層に
は形状形成に捕らわれることなく大きな光変換効率を示
す材質の選択が可能になり、安価で容易に、且つ、各光
検出素子(画素)に正確に対応した蛍光体層を形成する
ことができる。
【0017】また、高い光変換効率を示す5μm以上の
大粒径蛍光体は、一般的な印刷方式を適用することがで
きる粘度に調合しただけでは,チキソ性が低く50μm
以下の間隔で分離蛍光体層を形成することが難しいこと
から、蛍光体の基板(光検出器8)に接する第1の蛍光
体層4aの粒子が、他の蛍光体層を構成する粒子よりも
小さい平均粒子径を有して、チキソ性が高くなるように
調合したペーストを使用することは精度向上において大
変効果が大きい。小さい粒子径の蛍光体は具体的には5
μm以下が好ましい。
【0018】あるいは蛍光体の基板(光検出器8)に接
する第1の蛍光体層4aのバインダー樹脂が、他の蛍光
体層を構成するバインダー樹脂よりも大きな分子量を有
している。更に、蛍光体の基板(光検出器8)に接する
第1の蛍光体層4aのバインダー樹脂が、他の蛍光体層
を構成するバインダー樹脂よりもチキソ性付与剤含有量
が多いバインダーを有していてもよい。蛍光体層を柱状
に積層印刷する場合に於いては、光検出素子基板と接す
る第1の蛍光体層4aはそのペースト性状において形状
形成を最も優先させることが必要である。
【0019】第1の蛍光体層4aについて図3を参照し
て説明する。まず、図3(a)に示すように被印刷面1
1に印刷されたペースト10(第1の蛍光体層4a)
は、上述のような性状であればチキソ性が高くダレにく
い性状であるため、印刷・転写された形状を保持してい
る間に含有していた溶剤が揮発して乾燥する。この際、
ペースト10は印刷端部12から乾燥し始めるので、乾
燥途中ではペーストの濃度分布から中央部から端部にペ
ーストが移動し、最終的な形状としては図3(b)に示
すように端部がやや盛り上がり、中央部が凹状形状にな
る。
【0020】そのため、ペースト10上に更に積層され
る蛍光体層は、パターン端部の盛り上がり部があるので
だれにくい。また、溶剤が揮発しているので積層された
蛍光体層の溶剤を吸収し、ペーストがだれることを防止
できる。従って、光検出素子基板8と接する第1の蛍光
体層4aの形状が正確に形成されるならば、その上に積
層される蛍光体層は、第1の蛍光体層の形状に追従する
様に形成されるので、その上に積層されるペースト性状
の形状形成特性は低くてよい。そこで、第1の蛍光体層
4a以外の蛍光体層は、蛍光体の光変換効率を優先させ
たペーストを選択すれば良く、例えば、発光光量を多く
するために大粒径粒子を使う、光透過率を高くするため
に形状形成性能は高いが光透過を阻害する添加剤の量を
減す等が望ましい。
【0021】なお、放射線(X線等)を効率よく吸収す
るための蛍光体4の層の厚みとしては、蛍光体の種類、
粒径、充填状態により異なるが、蛍光体4の厚みは形成
された蛍光体4中で波長変換された光の拡散の程度、X
線のような入射エネルギーがどの程度の深さまで入り込
めるか、センサが感度を持つ波長に波長変換された光等
が蛍光体4中をどの程度通過できるか等を考慮して適宜
決定するものとする。上記の点を考慮して決められた蛍
光体4の厚みは通常概略50〜500μmの範囲であ
る。
【0022】ここで、第1の蛍光体層は形状形成特性を
優先しており、発光特性や光透過率が特に優れていない
場合があるので、あまり厚くなることは望ましくない
が、光検出素子基板に形成する際にも、あまりに厚くな
るとだれて分離形成が阻害されてしまう。また、薄すぎ
ると積層する蛍光体層の形状を保持する形状保持層とし
ての働きを果たさないので2〜30μm程度が望まし
い。
【0023】チキソ性が高いペーストは、ペーストに力
が加わらない場合に高粘度を示し形状保持能力に優れて
いる。従って、ペーストが基板に印刷されてストレスが
かかっていない状態では形状保持能力が高く、パターン
に応じて印刷された形状を崩すことなく、だれずに形成
することができる。また、チキソ性の高いペーストの中
でも、特に、粘度回復時間が速いペーストは印刷後すぐ
に形状保持能力が高まるのでより望ましい。チキソ性の
高い材質としては、上述の構成の材質のほかに、例え
ば、光検出素子基板に接する蛍光体の蛍光体ペースト
が、他の蛍光体ペーストよりも含有する溶剤が少ないこ
と、光検出素子基板に接する蛍光体ペーストのバインダ
ー樹脂が、他の蛍光体ペーストのバインダー樹脂よりも
粘度の高い樹脂からなること等が挙げられる。
【0024】また、蛍光体層は、画素毎にそれぞれ分離
しているために、温度、湿度による各画素単位で膨張収
縮の影響は、無視できるほど小さく、位置ずれ又は剥が
れ等の不具合は発生しない。更に、光検出素子基板上に
直接に蛍光体層を形成しているために、その間での光ロ
スはない。また、製造上において蛍光体層に高熱が加わ
らないために、分離した性状の蛍光体層に変質部はな
く、耐久性の優れた蛍光体層を有する放射線検出装置を
実現できる。
【0025】更に、蛍光体をスクリーン印刷を用いて積
層しているので、厚塗りが可能であり、重ね刷りの印刷
回数を少なくできるため、製造コストを低減できる。ま
た、材質の異なるペーストを積層する際のペーストの交
換も容易で、これによる位置ずれ等の不具合が生ずるこ
とがない。また、重ね刷り印刷手法により蛍光体層の層
厚を制限無く十分厚くすることができるので、大きな光
変換効率を備えた放射線検出装置が得られる。更に、蛍
光体の上に反射層を形成することにより、放射線により
発光した光を光検出器方向に反射させることができ、感
度良好な放射線検出装置が得られる。
【0026】蛍光体の形成方法としては、特に、印刷が
適しており、一般に利用されている印刷手法、例えば、
凸版印刷、平板印刷、凹版(グラビア)印刷、スクリー
ン印刷等を利用できるが、印刷位置精度が良く、印刷用
ペーストを厚く塗ることができる方法としては、スクリ
ーン印刷が最も適している。
【0027】図4、図5は蛍光体4をスクリーン印刷に
より積層する方法を説明するための図である。図4はス
クリーン印刷用のスクリーン版の平面図、図5は印刷方
法を示す図である。まず、図4に示すようにスクリーン
6の内部には、印刷パターンとして光検出素子(画素)
2に対応する開口5が形成されている。スクリーンの外
側にはスクリーン枠7が配置され、スクリーンに張力を
与えている。このスクリーン版は通常使用するスクリー
ン印刷用の版を使用できるが、画素サイズと画素ピッチ
により印刷パターンの精度が定められる。
【0028】特に、画素ピッチが200μm以下の場合
には、±10μm程度の精度が要求されるので、通常の
スクリーン印刷版の精度に比べ、厳しい値で管理しなけ
ればならない。そのため、スクリーン版はメタル箔マス
ク、メッシュスクリーン版共に使用できるが、スクリー
ン版にパターンを焼き付けるための原盤としてはフィル
ム製原盤では精度が悪いため、ガラス製原盤を使用して
焼き付けを行うことが望ましい。
【0029】次に、図4のスクリーン版を使用して光検
出器8の画素上に蛍光体4の層を積層するスクリーン印
刷方法を図5を参照しながら説明する。先ず、光検出器
8の上にスクリーン版を一定ギャップで配置する。次い
で、そのスクリーン上に蛍光体の粉体と樹脂バインダー
及び溶剤等からなる所定量の蛍光体ペースト10を置
き、スキージ9をスクリーンに接しながら、一定印圧で
矢印方向に滑らせる。これにより、スクリーンの開口5
から一定量のペーストが排出され、光検出器の画素上に
スクリーンのパターンと同じパターンの蛍光体ペースト
のパターンを形成することができる。
【0030】次いで、印刷された蛍光体ペーストを乾燥
することで画素毎に分離された柱状の蛍光体パターンを
得ることができる。通常、印刷により形成することがで
きるパターンの膜厚は5〜30μm程度であるため、蛍
光体層を厚く形成するには、重ね刷り印刷を行うことが
必要である。重ね刷り印刷とは、印刷、乾燥を行った後
に、同じ位置に印刷できるように位置合わせを行い、再
度、その印刷、乾燥を繰り返し、所望の厚さまで印刷膜
を厚くする方法であり、例えば、300μmの膜厚が必
要であれば、20回程度の重ね刷り印刷が必要となる。
このようにして重ね刷り印刷を行うことで図1に示すよ
うに光検出素子にそれぞれ対応して、且つ、画素毎に分
離して蛍光体4を積層することができる。
【0031】ここで、蛍光体ペーストに混合される蛍光
体の粉体としては、CaWO4 、Gd22 S:Tb、
BaSO4 :Pb等の、従来知られている蛍光体材料を
使用できる。特に、第1の蛍光体層に用いる蛍光体とし
ては平均粒径が5μm以下の蛍光体が、第1の蛍光体層
以外の蛍光体層に用いる蛍光体層としては平均粒子径5
〜50μmの蛍光体が望ましい。
【0032】また、蛍光体ペーストに混合されている有
機材料としては、従来、スクリーン印刷で使われている
有機材料を使用でき、バインダー樹脂としては、ニトロ
セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリ
ビニルブチラール、ポリエステル、塩化ビニル、酢酸ビ
ニル、アクリル樹脂、ポリウレタン等の、従来知られて
いる樹脂を使用できる。
【0033】有機溶剤としては、例えば、エタノール、
メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、キシレ
ン、ブチルカルビトール、テルピネオール等の、従来知
られているものを使用できる。更に、蛍光体粉の分散性
改良効果、消泡効果、チキソ性効果を付与するための添
加剤を混合しても良い。チキソ性付与添加剤としては一
般に印刷材料として用いられている添加剤であって、レ
オロジーコントロール剤、チキソ性付与剤として用いら
れる添加剤であれば良く、特に、ポリカルボン酸系又は
ユリアウレタン系の添加剤が望ましい。
【0034】上述のように形成された蛍光体層上(画素
側を除く蛍光体4の周囲)にスパッター、蒸着等の従来
知られている方法を用いて反射性の金属膜を形成するこ
とで蛍光体層の感度を向上できる。また、反射層上に蛍
光体の保護層として樹脂フィルム、例えば、ポリエステ
ルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフ
ィルム等、もしくはガラスのような無機基板等を接着剤
で貼り合わせることで摩耗性、機械的強度、耐薬品性、
耐湿性等の特性を向上することができるので、実用上に
おいて好ましい。
【0035】
【実施例】次に、本発明の放射線検出装置を実施例に基
づいて詳細に説明する。
【0036】(実施例1)図1に示すようにガラス基板
1上の非晶質シリコンから成る半導体薄膜上にセンサと
TFTからなる光検出素子(画素)2を形成し、その上
にSiNxよりなる保護膜3を形成して光検出器を作製
した。このように作製した光検出器に対して以下のよう
な手法で蛍光体を形成した。
【0037】蛍光体ペーストAとして、平均粒径:3μ
mのGd22 S:Tbを100重量部、エチルセルロ
ースを10重量部、テルピネオールを55重量部、キシ
レンを30重量部、サンドミルで混合、分散して、ペー
ストを作製した。また、蛍光体ペーストBとして、平均
粒径:9μmのGd22 S:Tbを100重量部、エ
チルセルロースを10重量部、テルピネオールを55重
量部、キシレンを30重量部、サンドミルで混合、分散
して、ペーストを作製した。
【0038】各々のペーストA、Bの粘度を測定したと
ころ(コーン型デジタル粘度計HBDV−3ブルックフ
ィールド社製を用いて測定)、ずり速度0.1(sec
−1)において蛍光体ペーストAの粘度は3×10-6
p、蛍光体ペーストBの粘度は1.8×10-6cp、ず
り速度1.0(sec−1)において蛍光体ペースト
A、Bともに粘度は0.2×10-6cpであった。
【0039】次に、印刷用スクリーン版として、版枠:
550mm角で、パターンエリア:230mm角で、開
口パターンのピッチ:200μmで、開口パターンの大
きさ:150μm角で、メッシュスクリーン版(SS3
25−16;ソノコム株式会社製)を作製した。
【0040】得られたペーストとスクリーン版とを用
い、印刷装置(MT−550TV:マイクロテック社
製)にて印刷を行い、光検出器の基板上に光検出素子に
重なるように柱状の蛍光体層を形成した。スクリーン印
刷条件としては、スキージスピード:60mm/se
c、スクリーンクリアランス:1.0mm、印圧:2.
0kg/cm、乾燥条件としては、80℃、3分間を設
定した。
【0041】1回の印刷で15μmの膜厚が得られ、2
0回の重ね刷り印刷を行うことで、合計300μmの厚
みの蛍光体層を積層することができた。なお、一回目の
印刷には蛍光体ペーストAを使用し、2回目以降20回
目の印刷には蛍光体ペーストBを使用した。次に、作製
した印刷後の蛍光体層の上に反射層としてスパッターに
より厚さ:3000オングストロームで、チタン薄膜を
形成した。
【0042】更に、蛍光体の保護層として、蛍光体層の
上に100μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフ
ィルムをラミネートし、これによって、放射線検出装置
の骨格を構成した。このような構成においては、蛍光体
層が、センサのSiNx保護膜に直接形成されているの
で、従来の接着剤を介して貼り合わせて構成した蛍光体
層を用いたセンサと比較して、蛍光の散乱が小さく、撮
影画像の鮮鋭度が高かった。
【0043】(実施例2)蛍光体ペーストAとして、平
均粒径:9μmのGd22 S:Tbを100重量部、
エチルセルロースを10重量部、テルピネオールを55
重量部、キシレンを30重量部、チキソ性付与添加剤と
してBYK−410(ビッグケミー社製)を0.1重量
部をサンドミルで混合、分散してペーストを作製した。
実施例1と同様にして粘度を測定したところ、ずり速度
0.1(sec−1)において蛍光体ペーストAの粘度
は3.6×10-6cp、ずり速度1.0(sec−1)
においては0.2×10-6cpであった。
【0044】蛍光体ペーストBとして、平均粒径:9μ
mのGd22 S:Tbを100重量部、エチルセルロ
ースを10重量部、テルピネオールを55重量部、キシ
レンを30重量部、サンドミルで混合、分散して、ペー
ストを作製した。その他は実施例1と同様にして放射線
検出装置を作製した。
【0045】以上のように作製した放射線検出装置を、
60℃、90%の温度・湿度試験槽に1000時間保存
した。その結果、蛍光体層の位置ずれ、層間剥離等の外
観不良は発生せず、更に感度の低下もほとんど認められ
ず、高信頼性の放射線検出装置が得られたことを確認で
きた。
【0046】(実施例3)実施例1と同様にして蛍光体
ペーストA、Bを作製した。その他は、実施例1と同様
にして放射線検出装置を作製した。なお、1から5回目
の印刷には、蛍光体ペーストAを使用し、5回目以降2
0回目の印刷には、蛍光体ペーストBを使用した。
【0047】(比較例1)蛍光体ペーストとして実施例
1の蛍光体ペーストAだけを使用して、その他は実施例
1と同様にして放射線検出装置を作製した。
【0048】(比較例2)蛍光体ペーストとして実施例
1の蛍光体ペーストBだけを使用して、その他は実施例
1と同様にして放射線検出装置を作製した。このように
して形成した柱状蛍光体は、柱状間隙間部に蛍光体がだ
れてはみ出し、隣接した蛍光体同士が接触してしまっ
た。また、積層を続けるうちに積層部が傾き、柱状部頭
頂部の高さが一様でないばかりか、蛍光体上層部に於い
ても隣接する柱状蛍光体同士の接触が見られた。
【0049】次に、各実施例及び各比較例の発光光量を
実施例1の発光量を1として光検出器の出力で比較し
た。比較結果は表1に示すように実施例2の場合は1.
2、実施例3の場合は0.9となり、比較例1、2の場
合はそれぞれ0.6、0.8となった。これによって、
実施例1、2は比較例1、2に比較して良好な結果が得
られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は以下の効
果がある。 (1)蛍光体層の形状を確実に画素上に形成することが
可能であり、積層によって高く柱状形状を形成すること
が容易になる。 (2)形成された蛍光体層の形状の均一度が高く、感度
ムラのない放射線検出装置を実現できる。 (3)分離柱状蛍光体により光変換効率の高い材質を使
用でき、高出力の放射線検出装置を実現できる。 (4)蛍光体層は画素毎にそれぞれ分離しているため、
温度、湿度による各画素単位での膨張収縮の影響は無視
できるほど小さく、位置ずれや剥がれ等の不具合が発生
しない放射線検出装置を実現できる。 (5)光検出素子上に直接蛍光体層を形成しているた
め、その間での光ロスがない放射線検出装置を実現でき
る。 (6)蛍光体の層厚を従来の蛍光体層に比べ十分厚くで
きるため、大きな光変換効率を備えた放射線検出装置を
実現できる。 (7)スクリーン印刷を用いて重ね刷りすることによっ
て、蛍光体層を積層しているので、積層するペーストを
容易に交換できるばかりでなく、厚塗りが可能であるの
で重ね刷り印刷回数を少なくすることができるため、製
造コストを小さくできる。 (8)蛍光体層上に反射層を設けることにより放射線に
より発光した光を光検出器方向に反射させることがで
き、感度良好な放射線検出装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線検出装置の一実施形態の構成を
示す断面図である。
【図2】蛍光体(層)を示す拡大図である。
【図3】光検出素子基板に接する第1の蛍光体層を説明
するための図である。
【図4】蛍光体を積層するのに用いるスクリーン版を示
す図である。
【図5】蛍光体層を積層するスクリーン印刷方法を説明
するための図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 画素 3 保護層 4 蛍光体 4a〜4h 蛍光体層 5 スクリーン版の開口 6 スクリーン 7 スクリーン版枠 8 光検出器 9 スキージ 10 蛍光体ペースト
フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE01 EE29 FF02 FF04 FF05 FF06 GG19 JJ05 JJ09 JJ37 4H001 CA01 CA02 CA08 XA08 XA16 XA20 XA56 XA64 XA74 YA65 YA82

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数配列された画素としての光検出素子
    を有する光検出素子基板と、前記光検出素子にそれぞれ
    対応して、且つ、画素毎に分離して形成された蛍光体と
    を有する放射線検出装置において、前記蛍光体は蛍光体
    層を複数回積層することによって形成され、前記積層さ
    れた蛍光体のうち、前記光検出素子基板に接する蛍光体
    層が、中央部が略凹状形状となる蛍光体層より成ってい
    ることを特徴とする放射線検出装置。
  2. 【請求項2】 前記光検出素子基板に接する蛍光体層
    は、他の蛍光体層よりもチキソ性の大きい蛍光体ペース
    トであることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出
    装置。
  3. 【請求項3】 前記光検出素子基板に接する蛍光体層の
    粒子は、他の蛍光体層を構成する粒子よりも小さい平均
    粒子径を有することを特徴とする請求項1に記載の放射
    線検出装置。
  4. 【請求項4】 前記光検出素子基板に接する蛍光体層の
    バインダー樹脂は、チキソ性付与剤を含有し、且つ、他
    の蛍光体層のバインダー樹脂よりもチキソ性付与剤の含
    有量が多いことを特徴とする請求項1に記載の放射線検
    出装置。
  5. 【請求項5】 前記光検出素子基板に接する蛍光体層の
    粒子の平均粒子径は5μm以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の放射線検出装置。
  6. 【請求項6】 前記光検出素子基板に接する蛍光体層の
    バインダー樹脂は、ポリカルボン酸系、ユリアウレタン
    系の添加剤の少なくとも1つを含有することを特徴とす
    る請求項1に記載の放射線検出装置。
  7. 【請求項7】 前記蛍光体の画素側の面を除く周囲に光
    反射層が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の放射線検出装置。
  8. 【請求項8】 前記積層された蛍光体のうち、前記光検
    出素子基板に接する第1層から所定層までの複数の蛍光
    体層が、中央部が略凹状形状となる蛍光体層より成って
    いることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装
    置。
  9. 【請求項9】 複数配列された画素としての光検出素子
    を有する光検出素子基板と、前記光検出素子にそれぞれ
    対応して、且つ、画素毎に分離して形成された蛍光体と
    を有する放射線検出装置の製造方法において、前記蛍光
    体をスクリーン印刷を用いて蛍光体層を複数回重ね刷り
    することによって積層することを特徴とする放射線検出
    装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記積層する蛍光体層のうち、前記光
    検出素子基板に接する蛍光体層が、中央部が略凹状形状
    となる蛍光体層であることを特徴とする請求項9に記載
    の放射線検出装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011204748A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Fukuoka Univ 配線パターン形成方法、及び配線基板

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