JP5317675B2 - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、放射線を検出する放射線検出器およびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用検出器として、アクティブマトリクスを用いた平面形のX線検出器が開発されている。このX線検出器に照射されたX線を検出することにより、X線撮影像、あるいはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。そして、このX線検出器では、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換させ、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオード、あるいはCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子で信号電荷に変換することで画像を取得している。
シンチレータ層は、材料として、一般的にヨウ化セシウム(CsI):ナトリウム(Na)、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、あるいは酸硫化ガドリニウム(Gd22S)などが用いられ、ダイシングなどにより溝を形成したり、柱状構造が形成されるように蒸着法で堆積したりすることで、解像度特性を向上させることができる。
そして、シンチレータ層からの蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、シンチレータ層上に反射層を形成することにより、X線検出器としての感度特性を改善する方法がある。すなわち、シンチレータ層で発光した蛍光のうち光電変換素子側に対して反対側に向かう蛍光を反射層で反射させて、光電変換素子側に到達する蛍光を増大させるものである。
反射層の例としては、銀合金やアルミニウムなど蛍光反射率の高い金属層をシンチレータ層上に成膜する方法や(例えば、特許文献1参照。)、酸化チタン(TiO2)などの光散乱性物質とバインダ材とから成る光拡散反射性の反射層を塗布形成する方法などが一般に知られている。また、シンチレータ層上に形成するのではなく、アルミニウムなどの金属表面を持つ反射板をシンチレータ層に密着させてシンチレータ層で発光した蛍光を反射させる方式も実用化されている。
特許第3077941号公報(第3−4頁、第2図)
しかしながら、反射層を形成する方法のうち、シンチレータ層上に金属層を形成する方法では、シンチレータ層の表面の凹凸の影響で反射層の反射率が低いという問題がある。この低反射率を改善するために、シンチレータ層の表層を平坦化するとか透明な樹脂保護膜により平滑化するなどの対応策はあるが、シンチレータ層にダメージを与えてデッドレイヤーを作ってしまうとか、せっかくシンチレータ層の柱状構造間を分離してライトガイド効果により解像度を稼いでいるのに、その柱状構造間への樹脂の侵入によりライトガイド効果を低減して解像度の低下を招くなどのデメリットが大きい。また、シンチレータ層の上に反射板を密着させる方法では、反射板とシンチレータ層との隙間の不均一性による輝度や解像度のむらを生じたり、シンチレータ層の防湿保護のためには、シンチレータ層に樹脂の保護層を直接形成する必要があるために、シンチレータ層の柱状構造間への樹脂の侵入が生じて解像度低下に繋がるなどの問題点がある。
一方、光散乱性粒子とバインダ材とから成る反射層では、光散乱性粒子の夫々の周辺部にバインダ材が充填されていない空乏部が形成されるように、光散乱性粒子とバインダ材の体積比率や光散乱性粒子の粒径を最適化することで、反射層内での光拡散反射を近距離内で十分に生じさせ、反射光の遠方拡散による解像度低下や輝度の低下を抑えることが可能となり、高輝度、高解像度を両立したX線検出器を実現できる。
ただし、光散乱性粒子とバインダ材とから成るペースト材料を塗布、乾燥して形成する場合、乾燥時の体積収縮により、反射層がシンチレータ層に応力を及ぼして、シンチレータ層の膜剥がれ(基板とシンチレータ層との間の剥がれ)や、基板の反りを生じさせてしまう問題がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、バインダ材に光散乱性粒子を含有したペースト材料の塗布により形成する反射層によるシンチレータ層の膜剥がれや基板の反りの発生を低減し、高輝度、高解像度の放射線検出器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の放射線検出器は、光電変換素子を備えた基板と、前記光電変換素子上に形成されたシンチレータ層と、前記シンチレータ層上に、バインダ材中に光散乱性粒子を含有したペースト材料の塗布により形成され、その形成領域の端部形状が波状形状をしている反射層とを具備しているものである。
また、本発明の放射線検出器の製造方法は、基板上に光電変換素子を形成する工程と、前記光電変換素子上にシンチレータ層を形成する工程と、バインダ材中に光散乱性粒子を含有したペースト材料を吐出するディスペンサのニードルを、塗布ラインに沿った方向への移動とこの塗布ラインに沿った方向の端部で塗布ラインを1ライン分ずらして塗布ラインに沿った反対方向への移動とを繰り返すことにより、形成領域の端部形状が波状形状となるように前記シンチレータ層上に反射層を形成する工程とを具備しているものである。
本発明によれば、反射層の形成領域の端部形状が波状形状をしているため、シンチレータ層上にペースト材料を塗布して形成する反射層の乾燥時における体積収縮による応力を分散させて応力集中を避けることができ、シンチレータ層の膜剥がれや基板の反りの発生を低減でき、高輝度、高解像度の放射線検出器を提供できる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図8に放射線検出器としてのX線検出器の斜視図、図9にX線検出器の断面図を示す。
11は放射線検出器としてのX線検出器で、このX線検出器11は、放射線であるX線像を検出するX線平面センサであり、例えば一般医療用途などに用いられる。そして、このX線検出器11は、蛍光を電気信号に変換する基板としてのアレイ基板12、このアレイ基板12の一主面である表面上に形成され入射するX線を蛍光に変換する放射線(X線)変換部であるシンチレータ層13、このシンチレータ層13上に形成されシンチレータ層13からの蛍光をアレイ基板12側へ反射させる反射層14、およびシンチレータ層13および反射層14を覆って形成されこれらシンチレータ層13および反射層14を外気や湿度から保護する防湿層15を備えている。
アレイ基板12は、シンチレータ層13によりX線から可視光に変換された蛍光を電気信号に変換するもので、ガラス基板16、このガラス基板16上に設けられて光センサとして機能する略矩形状の複数の光電変換部17、行方向に沿って配設された複数の制御ライン(またはゲートライン)18、列方向に沿って配設された複数のデータライン(またはシグナルライン)19、各制御ライン18が電気的に接続された図示しない制御回路、および、各データライン19が電気的に接続された図示しない増幅/変換部などを備えている。
アレイ基板12には、それぞれ同構造を有する画素20が制御ライン18とデータライン19との交差位置のそれぞれに対応してマトリクス状に形成されているとともに、各画素20内にそれぞれ光電変換素子としてのフォトダイオード21が配設されている。これらフォトダイオード21はシンチレータ層13の下部に配設されている。
各画素20は、フォトダイオード21に電気的に接続されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)22、および、フォトダイオード21にて変換した信号電荷を蓄積する電荷蓄積部としての図示しない蓄積キャパシタなどを備えている。但し、蓄積キャパシタは、フォトダイオード21の容量が兼ねる場合もあり、必ずしも必要ではない。
各薄膜トランジスタ22は、フォトダイオード21への蛍光の入射にて発生した電荷を蓄積および放出させるスイッチング機能を担うもので、結晶性を有する半導体材料である非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは多結晶半導体であるポリシリコン(p−Si)などの半導体材料にて少なくとも一部が構成されている。また、薄膜トランジスタ22は、ゲート電極23、ソース電極24およびドレイン電極25のそれぞれを有している。このドレイン電極25は、フォトダイオード21および蓄積キャパシタに電気的に接続されている。
蓄積キャパシタは、矩形平板状に形成され、各フォトダイオード21の下部に対向して設けられている。
制御ライン18は、各画素20間に行方向に沿って配設され、同じ行の各画素20の薄膜トランジスタ22のゲート電極23に電気的に接続されている。
データライン19は、各画素20間に列方向に沿って配設され、同じ列の各画素20の薄膜トランジスタ22のソース電極24に電気的に接続されている。また、各データライン19は、同じ列の画素20を構成する薄膜トランジスタ22から画像データ信号を受信させる。各データライン19の一端は、高速信号処理部26に電気的に接続されている。この高速信号処理部26には、デジタル画像伝送部27が電気的に接続されている。このデジタル画像伝送部27は、アレイ基板12の外側に導出された状態で取り付けられている。
制御回路は、各薄膜トランジスタ22の動作状態、すなわちオンおよびオフを制御するもので、ガラス基板16の表面における行方向に沿った側縁に実装されている。
増幅/変換部は、例えば各データライン19に対応してそれぞれ配設された複数の電荷増幅器、これら電荷増幅器が電気的に接続された並列/直列変換器、この並列/直列変換器が電気的に接続されたアナログ−デジタル変換器を有している。
また、シンチレータ層13は、入射するX線を可視光すなわち蛍光に変換するもので、例えばヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などにより真空蒸着法で柱状構造(ピラー)に形成したもの、あるいは酸硫化ガドリニウム(Gd22S)蛍光体粒子をバインダ材と混合し、アレイ基板12上に塗布して焼成および硬化し、ダイサによりダイシングするなどで溝部を形成して四角柱状に形成したものなどである。これら柱間には、大気、あるいは酸化防止用の窒素(N2)などの不活性ガスを封入することも可能であるし、真空状態とすることも可能である。
この実施の形態では、CsI:Tlの蒸着膜を用い、膜厚は約600μm、柱状構造の太さは最表面で8〜12μm程度とする。
また、反射層14は、シンチレータ層13からフォトダイオード21と反対側に発せられた蛍光を反射して、フォトダイオード21に到達する蛍光光量を増大させるものである。そして、反射層14は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂材料、あるいはアクリル系等のメタクリル系樹脂やブチラール系等のポリビニルアセタール系樹脂など熱可塑性樹脂材料をバインダ材とし、平均粒径がサブミクロン程度の酸化チタン(TiO2)粉体、酸化アルミニウム(Al22)粉体、二酸化ケイ素(SiO2)粉体などの光散乱性粒子を含有している。
反射層14を塗布形成するためのペースト材料の生成は、バインダ材と溶媒とを調合して加温しながらバインダ材を溶解させる。さらに、光散乱性粒子を混合、攪拌してペースト材を作成する。反射層14の形成は、筆塗り、ブレード、ディスペンサ、コンタクトメタルスクリーン印刷などの方法で、シンチレータ層13上に形成し、常温放置または乾燥炉にて乾燥させる。
光散乱性粒子を用いた反射層14の原理から、光散乱性粒子の屈折率と周辺の屈折率との比率が大きいほど、各光散乱性粒子による光散乱角は大きく、従って複数の光散乱性粒子による反射効果が小領域でも得られやすくなる。また、光散乱体粒子の粒径は小さいほど単位体積に充填される光散乱性粒子の数が増えるため、小領域で反射効果が得られやすくなる。但し、蛍光波長に対して概ね1/10程度以下に光散乱性粒子の粒径が小さくなると、蛍光を屈折する効果が低下することから、より小領域で反射効果を確保するためには、蛍光波長の10倍〜1/10程度の粒径が望ましい。
光散乱性粒子としては、屈折率が高く、樹脂との屈折率の比率が大きい材料が好ましく、Rutile型TiO2(N=2.72程度)が特性上優れている。その他、Anatase型のTiO2、Al23、SiO2などを用いることも可能である。
光散乱性粒子の周辺は屈折率が小さいほど望ましく、理想的には真空とか大気他のガス状態(n=1.0程度)が最も望ましいが、反射層14としての形状を保持するためにバインダ材を用いている。小領域で良好な反射効果を確保するためには、バインダ材の屈折率とバインダ材の体積占有率はできるだけ小さいほうが望ましい。バインダ材の体積占有率を小さくする程、乾燥後の反射層14の空乏部の比率が大きくなり、高い反射効果を得ることが可能となる。また、光散乱性粒子とバインダ材による蛍光吸収のロスを抑えるために、バインダ材の蛍光透過率も高いほど望ましい。
以上を踏まえて、本発明では以下の構成の反射層14を用いている。バインダ材としては、塗膜にクラックを生じ難く、高品位の反射層14を形成できる、ブチラール系のバインダ材を用い、光散乱性粒子としては、屈折率が高く、樹脂との屈折率の比率が大きい、Rutile型TiO2を用いる。また、反射層14の低応力化には、可塑剤の添加が有効であり、ブチラール樹脂の一部を可塑剤に置き換えた材料を使用する。
また、図1に示すように、シンチレータ層13上にペースト材料を塗布して形成する反射層14の乾燥時の体積収縮による応力を分散させて応力集中を避けるために、反射層14の相対向する一方の辺14aの端部形状が波状形状に形成されている。なお、反射層14の相対向する他方の辺14bの端部形状は直線形状に形成されている。
図1および図2に示すように、反射層14の乾燥時の体積収縮によりシンチレータ層13の端部に引き剥がし力が作用して膜剥がれが生じるのを回避するため、反射層14の形成領域はシンチレータ層13の形成領域より小さくその形成領域の内側とするとともに、反射層14の端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて薄くなるように形成されている。
図4(a)および図5(a)に示すように、反射層14の機械的な強度を増加させるために、反射層14の表面は、後述する反射層14の製造方法において説明するがペースト材料の塗布ピッチである所定のピッチa(mm)に対応した所定の周期の凹凸状に形成されている。
図6および図7に示すように、高解像度を維持するために、反射層14は、シンチレータ層13上に加えて、シンチレータ層13の柱状構造間にも20〜150μmの深さまで侵入されている。
また、防湿層15は、反射層14を形成後に、シンチレータ層13の吸湿による特性劣化を防ぐために形成する。防湿方式としては、ポリパラキシリレンの熱CVD膜でシンチレータ層13および反射層14の表面全体を覆う方法、ハット形状のアルミ箔を水蒸気バリア性の高い接着剤で接着封止する方法、無機膜(アルミ箔など)と有機膜の積層防湿シート、あるいはガラス板など水蒸気バリア性の高い防湿層部材とシンチレータ層13の周辺部に配する枠状の防湿部材とを用いる方法など、種々の方法が可能である。
次に、X線検出器11の製造方法を説明する。
アレイ基板12上にシンチレータ層13を形成し、このシンチレータ層13上に反射層14を形成する。この反射層14の形成後に、シンチレータ層13の吸湿による特性劣化を防ぐために防湿層15を形成する。この防湿層15の形成により、X線検出器11のパネルは完成する。引き続いて、アレイ基板12の制御ライン18、データライン19の各電極パッド部にTAB接続により配線を繋いで、アンプ以降の回路に接続し、さらに筐体構造に組み込んで、X線検出器11が完成する。
次に、反射層14の製造方法を説明する。
端部形状が波状形状、形成領域がシンチレータ層13の形成領域の内側で、端部膜厚が中央部膜厚より薄く、表面が凹凸状とするといった形状の反射層14を形成するためには、ペースト材料の塗布装置としてディスペンサを使用するのが適している。
このディスペンサでは、ペースト材料を定量吐出するニードルを、図3に示すように、走査させてシンチレータ層13上に反射層14を塗布する。すなわち、ペースト材料を定量吐出するニードルを、アレイ基板12のX方向である塗布ラインに沿って移動させ、塗布ラインの端部で塗布ラインに直交するアレイ基板12のY方向である塗布ピッチの方向に所定のピッチa(mm)だけ移動させ、塗布ラインに沿った反対方向へ移動させるというように、アレイ基板12のX方向である塗布ラインに沿った移動とアレイ基板12のY方向である塗布ピッチの方向に沿った移動とを交互に繰り返して走査させることにより、シンチレータ層13上の所定領域に反射層14を塗布形成する。反射層14の塗布後に、常温放置または乾燥炉にて乾燥させる。
このディスペンサを用いた塗布方法により、図1に示すように、反射層14の端部形状を波状形状とすることができるため、反射層14の乾燥時の体積収縮による応力を分散させて応力集中を避けることができる。
さらに、図1および図2に示すように、反射層14の形成領域をシンチレータ層13の形成領域より小さくその形成領域の内側とすることができるため、反射層14の乾燥時の体積収縮によりシンチレータ層13の端部に引き剥がし力が作用して膜剥がれが生じるのを回避することができる。
さらに、図2に示すように、塗布したペースト材料の濡れ拡がりにより、反射層14の端部はあるテーパをもった形状となり、その結果、反射層14の端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて薄くなるように形成できるため、反射層14の乾燥時の体積収縮によりシンチレータ層13の端部に作用する引き剥がし力を少なくすることができる。
さらに、ペースト材料の粘度やチクソ性にもよるが、ディスペンサで塗布するペースト材料が塗布ピッチ方向へ濡れ広がって繋がり、反射層14の表面が塗布ピッチ方向に沿って凹凸状に形成される。この凹凸状の高低差は、膜厚が100μm程度の反射層14を形成した場合、0.5〜20μmとなる。図4は凹凸状の高低差が15〜17μmの場合であり、図4(a)は反射層14の正面図であり、図4(b)は反射層14の表面の形状を図4(a)の矢印方向に測定したグラフである。図5は凹凸状の高低差が1μmの場合であり、図5(a)は反射層14の正面図であり、図5(b)は反射層14の表面の形状を図5(a)の矢印方向に測定したグラフである。このように、反射層14の表面をペースト材料の塗布ピッチである所定のピッチa(mm)に対応した所定の周期の凹凸状に形成しているため、反射層14の機械的な強度を増加させることができる。仮に反射層14の表面が完全な平面であると、応力の逃げ場がなく、反射層14のクラックなどの不具合が発生する可能性がある。
また、このディスペンサを用いた塗布方法では、ペースト材料を吐出するニードルの先端と塗布面であるシンチレータ層13の表面との間にある一定のギャップを持って塗布することができるため、シンチレータ層13の柱状構造を破壊することなく、反射層14を形成できる点でも製造法として適している。
また、図6および図7に示すように、シンチレータ層13上にペースト材料を塗布して反射層14を形成する場合、シンチレータ層13の柱状構造の隙間にある程度のペースト材料の染み込みがないと、シンチレータ層13と反射層14の間に空隙が発生し、解像度の劣化を招いてしまう。
このシンチレータ層13の柱状構造間へのペースト材料の染み込みを評価するため、ペースト材料に混合する溶媒量を変えて、粘度の異なる材料を作製し、各材料をシンチレータ層13上に塗布形成し、輝度、解像度と染み込み量の評価を実施した。
図6に示すように、粘度が1543mPa・s程度のペースト材料では、染み込み量を71μm程度に抑えることができ、高解像度を維持できる。これよりもさらに高粘度のペースト材料の場合には、染み込み量が少なくなり、解像度の劣化が起きる。これは、ペースト材料の粘度が高すぎるために、塗布したペースト材料の濡れ拡がりが悪くなり、膜質の劣化を招くためである。
図7に示すように、粘度が536mPa・s程度のペースト材料では、染み込み量を133μm程度確保することができ、高解像度を維持できる。これよりもさらに低粘度のペースト材料では染み込み量が増大し、解像度の劣化が起きる。これは、染み込み量が大きいと、シンチレータ層13の柱状構造間にかかる応力が大きくなり、柱状構造が崩れていることに起因すると考えられる。さらに、染み込み量が大きいと、シンチレータ層13の各柱状構造にかかる膜応力が大きくなり、局部的な浮き等を発生する危険がある。
これらのことから、反射層14のペースト材料の粘度は500〜2000mPa・s程度が最適である。
以上のように、ディスペンサを用いたペースト材料の塗布による反射層14の形状制御と、ペースト材料の粘度適正化によるシンチレータ層13の柱状構造間への染み込み量制御とを制御することにより、シンチレータ層13の膜剥がれや基板の反りの発生を低減でき、高輝度、高解像度の反射層14をシンチレータ層13上に形成することができる。
なお、上記実施の形態において、最終的なX線検出器11としては、前述の通りフォトダイオード付きTFTなどのアレイ基板12上にシンチレータ層13と反射層14を順次形成するが、反射層14によるシンチレータ層13の膜剥がれや基板の反り、また輝度および解像度への効果を簡易的に評価する手段として、ガラス基板16上にCsI:Tl膜などのシンチレータ層13を形成し、その上部に種々の反射層14を形成して、評価する方法を適宜用いる。
さらに、輝度と解像度特性は、反射層14側からX線を入射し、アレイ基板12側からアレイ基板12とシンチレータ層13との界面に焦点を合わせてCCDカメラでX線画像を測定する方法を採用した。X線質条件としては70KVpでRQA−5相当条件とし、輝度は標準とする増感紙(富士フィルムHG-H2 Back)に対する相対輝度とし、解像度は解像度チャート像の2Lp/mmのCTF(Contrast Transfer Function)の値=CTF(2Lp/mm)%を画像処理により求めた。
また、図3に示すように、ペースト材料を定量吐出するニードルを、アレイ基板12のX方向である塗布ラインに沿って移動させ、塗布ラインの端部で塗布ラインに直交するアレイ基板12のY方向である塗布ピッチの方向に所定のピッチa(mm)だけ移動させ、塗布ラインに沿った反対方向へ移動させるというように、アレイ基板12のX方向である塗布ラインに沿った移動とアレイ基板12のY方向である塗布ピッチの方向に沿った移動とを交互に繰り返して走査させることにより、シンチレータ層13上の既に塗布したペースト材料の表面が乾く前に、既に塗布したペースト材料と隣り合う位置に後から塗布されるペースト材料とが濡れ広がって繋がり、反射層14として一体化できる。既に塗布したペースト材料の表面が乾いた後に隣り合う位置にペースト材料を塗布したのでは、これらペースト材料間に界面が発生し、反射特性に悪影響を及ぼすことになる。
本発明の一実施の形態を示す放射線検出器としてのX線検出器の正面図である。 同上X線検出器の断面図である。 同上X線検出器の反射層を形成するペースト材料の塗布方法を説明する正面図である。 同上X線検出器の反射層の一例を示し、(a)は表面が凹凸状に形成された反射層の正面図、(b)は凹凸状の周期を図4(a)の矢印方向に測定したグラフである。 同上X線検出器の反射層の他の例を示し、(a)は表面が凹凸状に形成された反射層の正面図、(b)は凹凸状の周期を図5(a)の矢印方向に測定したグラフである。 同上X線検出器の反射層のペースト材料の粘度が1543mPa・sの場合に反射層がシンチレータ層の柱状構造間に侵入する深さを示す顕微鏡写真である。 同上X線検出器の反射層のペースト材料の粘度が536mPa・sの場合に反射層がシンチレータ層の柱状構造間に侵入する深さを示す顕微鏡写真である。 同上X線検出器の斜視図である。 同上X線検出器の断面図である。
符号の説明
11 放射線検出器としてのX線検出器
12 基板としてのアレイ基板
13 シンチレータ層
14 反射層
21 光電変換素子としてのフォトダイオード

Claims (7)

  1. 光電変換素子を備えた基板と、
    前記光電変換素子上に形成されたシンチレータ層と、
    前記シンチレータ層上に、バインダ材中に光散乱性粒子を含有したペースト材料の塗布により形成され、その形成領域の端部形状が波状形状をしている反射層と
    を具備していることを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記反射層の形成領域がシンチレータ層の形成領域の内側にある
    ことを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
  3. 前記反射層の形成領域の端部膜厚が中央部膜厚と比較して薄くなっている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の放射線検出器。
  4. 前記反射層の表面が所定の周期の凹凸状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の放射線検出器。
  5. 前記シンチレータ層が複数の柱状構造によって形成され、前記反射層が前記シンチレータ層上に加えて前記シンチレータ層の柱状構造間にも20〜150μmの深さまで侵入している
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の放射線検出器。
  6. 基板上に光電変換素子を形成する工程と、
    前記光電変換素子上にシンチレータ層を形成する工程と、
    バインダ材中に光散乱性粒子を含有したペースト材料を吐出するディスペンサのニードルを、塗布ラインに沿った方向への移動とこの塗布ラインに沿った方向の端部で塗布ラインを1ライン分ずらして塗布ラインに沿った反対方向への移動とを繰り返すことにより、形成領域の端部形状が波状形状となるように前記シンチレータ層上に反射層を形成する工程と
    を具備していることを特徴とする放射線検出器の製造方法。
  7. 前記反射層を形成する工程は、粘度500〜2000mPa・sのペースト材料を使用する
    ことを特徴とする請求項6記載の放射線検出器の製造方法。
JP2008325759A 2008-12-22 2008-12-22 放射線検出器およびその製造方法 Active JP5317675B2 (ja)

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