JP2002302481A - インドリン誘導体と製造法 - Google Patents

インドリン誘導体と製造法

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JP2002302481A
JP2002302481A JP2002024876A JP2002024876A JP2002302481A JP 2002302481 A JP2002302481 A JP 2002302481A JP 2002024876 A JP2002024876 A JP 2002024876A JP 2002024876 A JP2002024876 A JP 2002024876A JP 2002302481 A JP2002302481 A JP 2002302481A
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JP2002024876A
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Hideo Tanabe
英夫 田辺
Yuzuru Oyama
譲 大山
Hiroshi Kiyota
洋 清田
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、優れたACAT阻害活性を有するイ
ンドリン誘導体を製造するための新規な合成中間体、及
びその製造方法に関する。 【解決手段】一般式(I)を有する合成中間体又はその
塩。 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
低級アルキル基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた酵素アシル
コエンザイムA:コレステロ−ルアシルトランスフェラ
−ゼ(以下、ACATという。)阻害活性を有する下記
インドリン誘導体(IV)を製造するための新規な合成
中間体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【化9】
【0003】(式中、R1、R2及びnOcは、前記と同
意義を示す。)
【0004】
【従来の技術】上記インドリン誘導体(IV)[上記化
合物(IV)において好適には、R2及びR3が、メチル
基を示す化合物(IVa)である。]は、優れたACA
T阻害活性を有し、例えば、特許第2968050号
(EP866,059号公報、US6,063,806
号公報)に開示されている。
【0005】上記インドリン誘導体(IV)の中間体及
び製造方法としては、特開平8−92210号公報(E
P782,986号公報、US5,990,150号公
報)に記載されているが、特に化合物(IVa)の中間
体及び製造方法としては、特開平8−92210号公報
(EP782,986号公報、US5,990,150
号公報)の実施例3(1)及び(2)に、下記の製造方
法が記載されている。
【0006】
【化10】
【0007】[式中、Acは、アセチル基を示す。]更
に、特許第2968050号(EP866,059号公
報、US6,063,806号公報)の実施例3、4及
び6には、下記の製造方法が記載されている。
【0008】
【化11】
【0009】[式中、Etは、エチル基を示し、tBu
は、t−ブチル基を示し、Ac及びnOcは、前記と同
意義を示す。] なお、上記工程の各々の収率は以下の通りである。 化合物1から化合物2を製造する工程:83.4% 化合物2から化合物3を製造する工程:63.2% 化合物3から化合物5を製造する工程:76.0% 化合物5から化合物6を製造する工程:90.0% 化合物6から化合物7を製造する工程:75.9% 化合物7から化合物8を製造する工程:59.1% 化合物8から化合物9を製造する工程:74.8% 化合物9から化合物10を製造する工程:73.2% 化合物9から化合物IVaを製造する工程:59.7% 化合物1から化合物IVaを製造する工程:7.2% 化合物7から化合物IVaを製造する工程:26.4
%。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、優れた
ACAT阻害活性を有する上記インドリン誘導体(I
V)を製造するための製造方法について永年に亘り鋭意
研究を行なった結果、上記従来方法における化合物7以
降の合成法について、本発明の新規な中間体を用いた新
規な製造方法が、従来法に比べて、 ニトリル基を、最後に加水分解することにより、途中
で加水分解する場合に比べて、更にカルボキシの保護化
工程の必要がないこと、従って、その分の収率低下がな
いこと、 オクチル化の工程において、従来方法では、副生成物
が生じたが、溶媒としてキシレン及び/又は塩基として
ジイソプロピルエチルアミンを用いることにより、副生
成物の産生が全くないことを見出したこと、 カルボン酸を生成する最終工程において、反応条件が
大幅に緩和(水酸化ナトリウム水溶液の濃度削減)でき
たこと、 上記により、従来方法では、化合物7から化合物IV
を製造する通算収率が26.4%であったものが、本発
明の方法により83%となったこと、の点で優れている
ことを見出し、本発明を完成した。
【0011】従って、本発明は、上記インドリン誘導体
(IV)を製造するための新規で有用な合成中間体及び
その製造方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の新規な合成中間
体は、一般式(I)
【0013】
【化12】
【0014】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示す。)を有する化合
物又はその塩であるか、或は、一般式(II)
【0015】
【化13】
【0016】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示し、nOcは、オク
チル基を示す。)を有する化合物又はその塩である。
【0017】一方、一般式(I)
【0018】
【化14】
【0019】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示す。)を有する合成
中間体又はその塩の新規な製造方法は、一般式(II
I)
【0020】
【化15】
【0021】(式中、R1及びR2は、前記と同意義を示
し、R3は、アミノ基の保護基を示す。)を有する化合
物又はその塩のアミノ基の保護基を脱保護することを特
徴とし、一般式(II)
【0022】
【化16】
【0023】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示し、nOcは、オク
チル基を示す。)を有する合成中間体又はその塩の新規
な製造方法は、一般式(I)
【0024】
【化17】
【0025】(式中、R1及びR2は、前記と同意義を示
す。)を有する化合物又はその塩を、オクチル化するこ
とを特徴とし、好適には、キシレンを溶媒として使用す
ることを特徴とするか、及び/又はジイソプロピルエチ
ルアミンを塩基として使用することを特徴とする。
【0026】更に、一般式(IV)
【0027】
【化18】
【0028】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示し、nOcは、オク
チル基を示す。)を有する化合物の新規な製造方法は、
一般式(II)
【0029】
【化19】
【0030】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、それぞれ、低級アルキル基を示し、nOcは、オク
チル基を示す。)を有する化合物又はその塩を、加水分
解し、次いで、硫酸塩とすることを特徴とする。
【0031】上記において、R1及びR2の定義における
「低級アルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、
s−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペ
ンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチル
プロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペ
ンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1
−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−
ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジ
メチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメ
チルブチル又は2−エチルブチル基のような炭素数1乃
至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、好適には、
炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、
更に好適には、メチル基又はエチル基であり、最も好適
には、メチル基である。
【0032】R3の定義における「アミノ基の保護基」
とは、通常アミノ基の保護基として使用されるものをい
い、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチ
リル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレ
リル、イソバレリル、オクタノイル、ラウロイル、ミリ
ストイル、トリデカノイル、パルミトイル、ステアロイ
ルのようなC1−C20アルキルカルボニル基、クロロア
セチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリ
フルオロアセチルのようなハロゲノ低級アルキルカルボ
ニル基、メトキシアセチルのような低級アルコキシ低級
アルキルカルボニル基、(E)−2−メチル−2−ブテ
ノイルのような不飽和アルキルカルボニル基等の「脂肪
族アシル基」;ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフ
トイルのようなアリ−ルカルボニル基、2−ブロモベン
ゾイル、4−クロロベンゾイルのようなハロゲノアリ−
ルカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル、
4−トルオイルのような低級アルキル化アリ−ルカルボ
ニル基、4−アニソイルのような低級アルコキシ化アリ
−ルカルボニル基、4−ニトロベンゾイル、2−ニトロ
ベンゾイルのようなニトロ化アリ−ルカルボニル基、2
−(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アル
コキシカルボニル化アリ−ルカルボニル基、4−フェニ
ルベンゾイルのようなアリ−ル化アリ−ルカルボニル基
等の「芳香族アシル基」;メトキシカルボニル、エトキ
シカルボニル、t−ブトキシカルボニル、イソブトキシ
カルボニルのような低級アルコキシカルボニル基、2,
2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチ
ルシリルエトキシカルボニルのようなハロゲン又はトリ
低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカル
ボニル基等の「アルコキシカルボニル基」;ビニルオキ
シカルボニル、アリルオキシカルボニルのような「アル
ケニルオキシカルボニル基」;ベンジルオキシカルボニ
ル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−
ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベン
ジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカル
ボニルのような、1乃至2個の低級アルコキシ又はニト
ロ基でアリ−ル環が置換されていてもよい「アラルキル
オキシカルボニル基」;トリメチルシリル、トリエチル
シリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメ
チルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ−
t−ブチルシリル、トリイソプロピルシリルのようなト
リ低級アルキルシリル基、ジフェニルメチルシリル、ジ
フェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリ
ル、フェニルジイソプロピルシリルのような1乃至2個
のアリ−ル基で置換されたトリ低級アルキルシリル基等
の「シリル基」;ベンジル、フェネチル、3−フェニル
プロピル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、
ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α−ナフチル
ジフェニルメチル、9−アンスリルメチルのような1乃
至3個のアリ−ル基で置換された低級アルキル基、4−
メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、
3,4,5−トリメチルベンジル、4−メトキシベンジ
ル、4−メトキシフェニルジフェニルメチル、2−ニト
ロベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジ
ル、4−ブロモベンジル、4−シアノベンジル、4−シ
アノベンジルジフェニルメチル、ビス(2−ニトロフェ
ニル)メチル、ピペロニルのような低級アルキル、低級
アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、シアノ基でアリ−ル環
が置換された1乃至3個のアリ−ル基で置換された低級
アルキル基等の「アラルキル基」;エチルカルボニルオ
キシメチル、ピバロイルオキシメチル、ジメチルアミノ
アセチルキシメチル、1−アセトキシエチルのような
「アシルオキシアルキル基」;1−(メトキシカルボニ
ルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)
エチル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(イソ
プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(t−ブト
キシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボ
ニルオキシ)プロピル、1−(シクロヘキシルオキシカ
ルボニルオキシ)エチルのような「1−(アルコキシカ
ルボニルオキシ)アルキル基」;「フタリジル基」;又
は、4−メチル−オキソジオキソレニルメチル、4−フ
ェニル−オキソジオキソレニルメチル、オキソジオキソ
レニルメチルのようなオキソジオキソレニルメチル基等
の「カルボニルオキシアルキル基」であり、好適には、
脂肪族アシル基であり、更に好適には、C1−C20アル
キルカルボニル基であり、最も好適には、アセチル基で
ある。
【0033】「その塩」とは、アミノ基の塩をいい、そ
のような塩としては、好適には、弗化水素酸塩、塩酸
塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水
素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機
酸塩;及び、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタン
スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカ
ンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンス
ルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸、りん
ご酸、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸
塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩を挙げることが
できる。
【0034】又、本発明に関与する化合物は、大気中に
放置しておくことにより、水分を吸収し、吸着水が付い
たり、水和物となる場合があり、そのような塩も含まれ
る。
【0035】更に、本発明に関与する化合物は、他のあ
る種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があるが、そ
のような塩も含まれる。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の合成中間体又はその塩の
製造方法は、以下に記載する方法によって達成すること
ができる。
【0037】
【化20】
【0038】[式中、R1、R2、R3及びnOcは、前
記と同意義を示す。]Step 1 は、化合物IIIのアミノ基の保護基であ
るR3を、溶媒中、除去して、化合物Iを製造する工程
である。
【0039】R3基の除去はその種類によって異なる
が、一般にこの分野の技術において周知の方法によって
以下の様に実施される。
【0040】R3基として、シリル基を使用した場合に
は、通常、弗化テトラブチルアンモニウムのような弗素
アニオンを生成する化合物で処理することにより除去さ
れる。
【0041】反応溶媒は、反応を阻害しないものであれ
ば特に限定はないが、テトラヒドロフラン、ジオキサン
のようなエ−テル類が好適である。
【0042】反応温度及び反応時間は、特に限定はない
が、通常、室温で10時間乃至18時間反応させる。
【0043】R3基が、脂肪族アシル基、芳香族アシル
基又はアルコキシカルボニル基である場合には、溶媒の
存在下に、酸又は塩基で処理することにより除去するこ
とができる。
【0044】使用される酸としては、通常酸として使用
されるもので、反応を阻害しないものであれば特に限定
はないが、好適には、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸
のような無機酸が用いられ、使用される塩基としては、
化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限
定はないが、好適には、ナトリウムメトキシド(ソジウ
ムメチラート)のような金属アルコキシド類、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ
金属炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類又はアン
モニア水、濃アンモニア−メタノ−ルのようなアンモニ
ア類が用いられる。
【0045】使用される溶媒としては、通常の加水分解
反応に使用されるものであれば特に限定はなく、水;メ
タノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ルのようなアル
コ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエ
−テル類等の有機溶媒又は水と上記有機溶媒との混合溶
媒が好適である。
【0046】反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒
及び使用される酸若しくは塩基等により異なり、特に限
定はないが、副反応を抑制するために、通常は0℃乃至
150℃で、1時間乃至20時間実施される。
【0047】R3基が、アラルキル基又はアラルキルオ
キシカルボニル基である場合には、通常、溶媒中で、還
元剤と接触させることにより(好適には、触媒下に常温
にて接触還元)除去する方法又は酸化剤を用いて除去す
る方法が好適である。
【0048】接触還元による除去において使用される溶
媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定
はないが、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル
のようなアルコ−ル類、ジエチルエ−テル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類、トルエン、
ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ヘキサ
ン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エ
チル、酢酸プロピルのようなエステル類、酢酸のような
脂肪酸類又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が好適
である。
【0049】使用される触媒としては、通常、接触還元
反応に使用されるものであれば、特に限定はないが、好
適には、パラジウム炭素、ラネ−ニッケル、酸化白金、
白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホ
スフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムが
用いられる。
【0050】圧力は、特に限定はないが、通常1乃至1
0気圧で行なわれる。
【0051】反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒
及び触媒の種類等により異なるが、通常、0℃乃至10
0℃で、5分間乃至24時間実施される。
【0052】酸化による除去において使用される溶媒と
しては、本反応に関与しないものであれば特に限定はな
いが、好適には、含水有機溶媒である。
【0053】このような有機溶媒として好適には、アセ
トンのようなケトン類、メチレンクロリド、クロロホル
ム、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、アセト
ニトリルのようなニトリル類、ジエチルエ−テル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチ
ルホスホロトリアミドのようなアミド類及びジメチルス
ルホキシドのようなスルホキシド類を挙げることができ
る。
【0054】使用される酸化剤としては、酸化に使用さ
れる化合物であれば特に限定はないが、好適には、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、アンモニウムセリウム
ナイトレイト(CAN)、2,3−ジクロロ−5,6−
ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)が用いられる。
【0055】反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒
及び触媒の種類等により異なるが、通常、0℃乃至15
0℃で、10分間乃至24時間実施される。
【0056】R3基が、アルケニルオキシカルボニル基
である場合は、通常、アミノ基の保護基が前記の脂肪族
アシル基、芳香族アシル基又はアルコキシカルボニル基
である場合の除去反応の条件と同様にして、塩基と処理
することにより達成される。
【0057】尚、アリルオキシカルボニルの場合は、特
に、パラジウム、及びトリフェニルホスフィン若しくは
ニッケルテトラカルボニルを使用して除去する方法が簡
便で、副反応が少なく実施することができる。
【0058】反応終了後、本反応の目的化合物Iは常法
に従って、反応混合物から採取される。
【0059】例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不
溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢
酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗
浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグ
ネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得ら
れる。
【0060】得られた目的化合物は必要ならば、常法、
例えば再結晶、再沈殿、又は、通常、有機化合物の分離
精製に慣用されている方法、例えば、シリカゲル、アル
ミナ、マグネシウムーシリカゲル系のフロリジルのよう
な担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー法;セフ
ァデックスLH−20(ファルマシア社製)、アンバー
ライトXAD−11(ローム・アンド・ハース社製)、
ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)ような担体を
用いた分配カラムクロマトグラフィー等の合成吸着剤を
使用する方法、イオン交換クロマトを使用する方法、又
は、シリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順
相・逆相カラムクロマトグラフィー法(好適には、高速
液体クロマトグラフィーである。)を適宜組合せ、適切
な溶離剤で溶出することによって分離、精製することが
できる。
【0061】Step 2は、化合物Iのアミノ基を、
溶媒中、塩基の存在下、オクチル化して、化合物IIを
製造する工程である。
【0062】使用されるオクチル化試薬としては、通
常、オクチル化反応に使用されるものであれば、特に限
定はなく、好適には、オクチルハライドであり、更に好
適には、オクチルブロミドである。
【0063】使用される塩基としては、通常、塩基とし
て使用されるものであれば、特に限定はないが、好適に
は、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチ
ルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリ
ジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、
4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ
(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,
N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オ
クタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)のような有機塩
基類であり、更に好適には、ジイソプロピルエチルアミ
ンである。
【0064】使用できる溶媒としては、反応を阻害せ
ず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定
はないが、好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンの
ような芳香族炭化水素類;アセトニトリル、イソブチロ
ニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジ
ノン、ヘキサメチルホスホロトリアミド、N,N−ジメ
チルイミダゾリジノンのようなアミド類;ジメチルスル
ホキシド、スルホランのようなスルホキシド類であり、
更に好適には、芳香族炭化水素類であり、更に好適に
は、キシレンである。
【0065】反応温度は、0℃乃至200℃で行なわれ
るが、好適には、130℃乃至170℃である。
【0066】反応時間は、主に反応温度、原料化合物、
使用される塩基又は使用される溶媒の種類によって異な
るが、通常、1時間乃至3日間であり、好適には、3時
間乃至1日間である。
【0067】反応終了後、本反応の目的化合物IIは常
法に従って、反応混合物から採取し、次の工程に用いる
ことも、また、常法に従って反応液を水等で洗浄後、脱
水し、次の工程にそのまま用いることもできる。
【0068】反応混合物から採取される場合には、例え
ば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場
合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような
混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物
を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥
後、溶剤を留去することによって得られる。
【0069】得られた目的化合物は必要ならば、常法、
例えば再結晶、再沈殿、又は、通常、有機化合物の分離
精製に慣用されている方法、例えば、シリカゲル、アル
ミナ、マグネシウムーシリカゲル系のフロリジルのよう
な担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー法;セフ
ァデックスLH−20(ファルマシア社製)、アンバー
ライトXAD−11(ローム・アンド・ハース社製)、
ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)ような担体を
用いた分配カラムクロマトグラフィー等の合成吸着剤を
使用する方法、イオン交換クロマトを使用する方法、又
は、シリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順
相・逆相カラムクロマトグラフィー法(好適には、高速
液体クロマトグラフィーである。)を適宜組合せ、適切
な溶離剤で溶出することによって分離、精製することが
できる。
【0070】Step 3は、化合物IIのシアノ基
を、酸又は塩基による加水分解により、カルボキシ基に
変換し、次いで、硫酸塩とすることにより、化合物IV
を製造する工程である。
【0071】酸による加水分解は、含水塩酸、含水硫
酸、含水硝酸のような含水鉱酸と1時間乃至10時間
(好適には、3時間乃至7時間)で、室温乃至100℃
(好適には、50℃乃至100℃)で処理することによ
り行われる。
【0072】生成物は、冷却により反応系中に結晶とし
て析出することもあるが、酢酸エチルのような水不混和
性有機溶媒に抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去することにより単離できる。
【0073】塩基による加水分解は、1乃至10当量
(好適には、1乃至5当量)の水酸化リチウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸
化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ
土類金属水酸化物を、1乃至10当量(好適には、1乃
至6当量)用いて、不活性溶媒(好適には、水、メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコールのようなアルコ
ール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエー
テル類又はこれら溶媒の混合溶媒)中、0℃乃至200
℃(好適には、20℃乃至170℃)、0.5時間乃至
48時間(好適には1時間乃至24時間)処理すること
により行われる。
【0074】反応終了後、反応生成物は、常法により反
応混合物から採取することがでる。例えば、アルカリに
よる加水分解の場合には、反応液に硫酸を加え、目的化
合物が、溶媒中で沈殿として析出すれば、これを濾取に
より採取できる。この際、目的化合物のみを選択的に濾
取するために、必要ならば、析出時にアセトンの様な水
混和有機溶媒を加えて沈殿として析出させ、濾取するこ
ともできる。
【0075】又、溶媒を留去し、残留物をカラムクロマ
トグラフィーに付して、目的化合物を単離することで
き、更に、酸性にした後、残留物に水と酢酸エチルのよ
うな水不混和性有機溶媒を加え、有機溶媒で抽出し、無
水硫酸マグネシウム等で乾燥した後、溶媒を留去するこ
とにより、目的化合物を採取することができる。
【0076】酸による加水分解の場合には、目的化合物
が反応系中に析出しているなら、これを濾取することに
より単離できる。
【0077】又、酢酸エチルのような水不混和性有機溶
媒で抽出し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥した後、溶
媒を留去することにより、目的化合物を得ることができ
る。
【0078】後段の硫酸塩化の工程は、アルカリによる
加水分解の場合に、硫酸を酸性にする場合には、そのま
ま、また、硫酸による加水分解の場合にも、そのまま、
硫酸塩が精製する。一方、フリー体又は他の酸の塩とし
て精製した場合には、常法に従って、硫酸塩とすること
ができる。この際、目的化合物のみを選択的に濾取する
ために、必要ならば、析出時にアセトンの様な水混和有
機溶媒を加えて沈殿として析出させ、濾取することもで
きる。
【0079】以下に、代表的な実施例を示すが、本発明
は、これらに限定されるものではない。
【0080】
【実施例】実施例1 N−(5−シアノメチル−4,6−ジメチルインドリン
−7−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド 特許第2968050号の実施例3(3)に記載されて
いる、N−(1−アセチル−5−シアノメチル−4,6
−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチル
プロパンアミド50.00gに、メタノール250m
l、28%ソジウムメチラートメタノール溶液147.
3gを順次加えた。
【0081】窒素置換後、6時間加熱還流し、反応液を
常圧濃縮し、得られた残査を50℃まで冷却した後、水
道水400mlを加え、内温5℃で1時間攪拌した。結
晶を濾取後、水道水500mlで洗浄し、表題化合物5
2.95gを湿品結晶として得た。 IR(KBr)cm-1:3351,2242,16371 H−NMR(CDCl3)δ ppm:1.35(9
H,singlet),2.20(3H,singlet),2.23
(3H,singlet),3.02(2H,triplet,J=
8.5Hz),3.58(2H,singlet),3.64
(2H,triplet,J=8.5Hz),7.11(1
H,broad singlet) LRMS(FAB),m/z:286(M++H),2
85(M+) Anal calcd for C17333O:C:
71.55; H:8.12; N:14.72. Found: C:71.42; H:8.23;
N:14.73。
【0082】実施例2 N−(1−オクチル−5−シアノメチル−4,6−ジメ
チルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプロパ
ンアミド 実施例1で製造した、N−(5−シアノメチル−4,6
−ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチル
プロパンアミドの湿品結晶(52.95g、乾品換算4
3.6g)に、キシレン436mlを加え、窒素置換し
た後、常圧蒸留し反応系内を脱水した。キシレン44m
l、ジイソプルピルエチルアミン23.7g、オクチル
ブロミド38.3gを順次加え、12時間加熱還流し
た。反応液を内温80℃まで冷却し、水道水131ml
を加え、有機層を洗浄した。
【0083】得られた有機層を水道水131mlで更に
2回洗浄後、減圧濃縮し、表題化合物のキシレン溶液を
得た。このキシレン溶液をそのまま次工程に用いた。 IR(KBr)cm-1:3280,2245,16491 H−NMR(CDCl3)δ ppm:0.89(3
H,triplet,J=8.0Hz),1.31(10H,m
ultiplet),1.34(9H,singlet),1.50
(2H,multiplet),2.10(3H,singlet),
2.19(3H,singlet),2.90(2H,triple
t,J=8.6Hz),3.14(2H,triplet,J=
7.9Hz),3.44(2H,triplet,J=8.6
Hz),3.55(2H,singlet),6.86(1
H,broad singlet). LRMS(FAB),m/z:398(M++H),3
97(M+) Anal calcd for C25393O:C:
75.52; H:9.89; N:10.57. Found: C:75.26; H:9.93;
N:10.44。
【0084】実施例3 N−(1−オクチル−5−カルボキシメチル−4,6−
ジメチルインドリン−7−イル)−2,2−ジメチルプ
ロパンアミド・硫酸塩 実施例2で得られた、N−(1−オクチル−5−シアノ
メチル−4,6−ジメチルインドリン−7−イル)−
2,2−ジメチルプロパンアミドのキシレン溶液に、n
−プロパノ−ル410ml、48%水酸化ナトリウム水
溶液163mlを加え、窒素置換した後、15時間加熱
還流した。反応液を内温60℃まで冷却し、水層を分液
した。有機層を常圧にて260mlまで濃縮した後、水
道水327mlを加え、更に420mlまで減圧濃縮し
た。水層を分液した後、アセトン174ml、水道水1
74mlを加え、75%硫酸水22mlで、pH1.5
に調整した。得られた溶液に、水道水327mlを、内
温60℃で加え、激しく攪拌すると結晶が析出し、続け
て60℃で30分、室温で1時間攪拌した。結晶を濾取
し、20%アセトン水292mlで洗浄後、乾燥し、表
題化合物の混合物65.4gを得た。
【0085】得られた混合物に、アセトン317ml、
水道水10.5mlを加え、窒素置換した後、室温で3
時間攪拌した。結晶を濾取し、96.8%アセトン水1
96.5mlで洗浄後、乾燥し、表題化合物58.9g
(実施例1からの通算収率は83%)を白色結晶として
得た。
【0086】この目的物は、特許第2968050号公
報の実施例6で得られたものと、以下のように同じ物性
値を示した。 IR(Nujol)cm-1:1718,1654,16
37.1 H−NMR(CDCl3)δ ppm:0.70−1.
10(3H,broad singlet),1.10−1.70
(12H,multiplet),1.33(9H,singlet),
2.02(3H,singlet),2.16(3H,single
t),2.80−3.30(4H,multiplet),3.3
0−3.70(2H,broad triplet),3.59(2
H,singlet),6.00−7.00(2H,broad sin
glet),7.20(1H,broad singlet),8.30
(1H,broad singlet). LRMS(FAB),m/z:417(M++H)。
【0087】
【発明の効果】本発明者等は、優れたACAT阻害活性
を有する上記インドリン誘導体(IV)を製造するため
の製造方法について永年に亘り鋭意研究を行なった結
果、上記従来方法における化合物7以降の合成法につい
て、本発明の新規な中間体を用いた新規な製造方法が、
従来法に比べて、 ニトリル基を、最後に加水分解することにより、途中
で加水分解する場合に比べて、更にカルボキシの保護化
工程の必要がないこと、従って、その分の収率低下がな
いこと、 オクチル化の工程において、従来方法では、副生成物
が生じたが、溶媒としてキシレン及び/又は塩基として
ジイソプロピルエチルアミンを用いることにより、副生
成物の産生が全くないことを見出したこと、 カルボン酸を生成する最終工程において、反応条件が
大幅に緩和(水酸化ナトリウム水溶液の濃度削減)でき
たこと、 上記により、従来方法では、化合物7から化合物IV
を製造する通算収率が26.4%であったものが、本発
明の方法により83%となったこと、の点で優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清田 洋 神奈川県平塚市四之宮1丁目12番1号 三 共株式会社内 Fターム(参考) 4C204 AB01 BB04 CB03 DB01 EB01 FB01 FB03 GB03 GB19 GB24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
    低級アルキル基を示す。)を有する合成中間体又はその
    塩。
  2. 【請求項2】一般式(II) 【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
    低級アルキル基を示し、nOcは、オクチル基を示
    す。)を有する合成中間体又はその塩。
  3. 【請求項3】一般式(III) 【化3】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
    低級アルキル基を示し、R3は、アミノ基の保護基を示
    す。)を有する化合物又はその塩のアミノ基の保護基を
    脱保護することを特徴とする一般式(I) 【化4】 (式中、R1及びR2は、前記と同意義を示す。)を有す
    る合成中間体又はその塩の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(I) 【化5】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
    低級アルキル基を示す。)を有する化合物又はその塩
    を、オクチル化することを特徴とする一般式(II) 【化6】 (式中、R1及びR2は、前記と同意義を示し、nOc
    は、オクチル基を示す。)を有する合成中間体又はその
    塩の製造方法。
  5. 【請求項5】キシレンを溶媒として使用することを特徴
    とする請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】ジイソプロピルエチルアミンを塩基として
    使用することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の
    製造方法。
  7. 【請求項7】一般式(II) 【化7】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、
    低級アルキル基を示し、nOcは、オクチル基を示
    す。)を有する化合物又はその塩を、加水分解し、次い
    で、硫酸塩とすることを特徴とする一般式(IV) 【化8】 (式中、R1、R2及びnOcは、前記と同意義を示
    す。)を有する化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004007450A1 (ja) * 2002-07-17 2004-01-22 Kyoto Pharmaceutical Industries, Ltd. 新規インドリン化合物およびその医薬用途
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