JP2965580B2 - ホモスタチン誘導体 - Google Patents

ホモスタチン誘導体

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JP2965580B2
JP2965580B2 JP16766289A JP16766289A JP2965580B2 JP 2965580 B2 JP2965580 B2 JP 2965580B2 JP 16766289 A JP16766289 A JP 16766289A JP 16766289 A JP16766289 A JP 16766289A JP 2965580 B2 JP2965580 B2 JP 2965580B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [目的] (産業上の利用分野) 本発明は、優れたレニン阻害活性を有するペプチド化
合物を構成する重要アミノ酸であるホモスタチン誘導体
を、立体選択的に合成するための、新規な中間体及びそ
の製法等に関する。
(従来の技術) 従来、優れたレニン阻害活性を有するペプチド化合物
を構成する重要なアミノ酸であるホモスタチン誘導体 を合成する方法としては、例えば、ボジャー等の報告
(特開昭第60−222452号公報)、ヘスター等の報告(特
開昭第61−63641号公報)及びフレイ等の報告[J.Org.C
hem.,51,4828(1986)]等の方法が知られている。
しかしながら、これらの方法では、2か所の不斉炭原
子(上記一般式(VII)において、記号[*]を付した
炭素原子)に基づく4種の異性体がほぼ等量生成し、分
離精製の困難性及び低収率という課題があった。
(当該発明が解決しようとする課題) 本発明者等は、優れたレニン阻害活性を有するペプチ
ド化合物を構成する重要なアミノ酸であるホモスタチン
誘導体の合成法について永年に亘り鋭意研究を行なった
結果、既知の合成法とは全く異った新規な中間体を経由
する新規な合成法が、優れた立体選択性を有し、高収率
でしかも簡便な分離精製により目的化合物が得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。
[構成] 本発明の新規なホモスタチン誘導体の重要な合成中間
体は、 一般式 {式中、R1は、置換されていてもよい低級アルキル基
[該置換基としては、シクロアルキル基、アリール基、
複素環基、保護されていてもよいカルボキシ基、シアノ
基又は一般式−COR4、−OR4、−SR4、−SO2R4若しくは
−OCOR4を有する基(式中、R4は、水素原子、低級アル
キル基又はアリール基を示す。)を示す。]を示し、R2
は、保護されていてもよい水酸基を示し、R3は、置換さ
れていてもよい低級アルキル基(該置換基としては、シ
クロアルキル、アリル若しくはアリールを示す。)、保
護されていてもよいカルボキシ基又は一般式−COR4、−
OR4、−SR4、−SO2R4若しくは−OCOR4を有する基(式
中、R4は、前記と同意義を示す。)を示す。}で表わさ
れ、 その製造法は、 一般式 (式中、R1及びR2は、前記と同意義を示す。)で表わさ
れる化合物と一般式R3−Xで表わされる化合物(式中、
R3は、前記と同意義を示し、Xは、脱離基を示す。)と
を反応させることを特徴とするか、 又は、一般式(II)で表わされる化合物と一般式
(R5)(R6)C=0で表わされる化合物[式中、R5及び
R6は、同一又は異なって、水素原子、置換されていても
よい低級アルキル基(該置換基としては、シクロアルキ
ル、アリル若しくはアリールを示す。)、シクロアルキ
ル、アリル又はアリールを示す。]とを反応させ、 一般式 (式中、R1、R2、R5及びR6は、前記と同意義を示す。)
を有する化合物を製造し、これを単離し、又は単離する
ことなく、生成した水酸基をアシル化し、次いでかかる
アシルオキシ基を脱離させ、 一般式 (式中、R1、R2、R5及びR6は、前記と同意義を示す。)
で表わされる化合物を製造し、これを単離し、又は単離
することなく、アルキル化剤でアルキル化し、 一般式 (式中、R1、R2、R5及びR6は、前記と同意義を示し、R7
は、低級アルキル基を示す。)で表わされる化合物を得
ることを特徴とする。
更に、一般式 (式中、R1及びR3は前記と同意義を示す。)を有する化
合物の製造法は、 前記一般式(I)で表わされる化合物を酸の存在下
に、R2の水酸基の保護基の除去とともに、ラクトン環を
開環させ、次いで再閉環させることを特徴とする。
上記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、
(V)、(VI)及び(VII)において、 R1、R3、R5及びR6の定義における「置換されていても
よい低級アルキル基」の「低級アルキル基」並びに、R4
及びR7の定義における「低級アルキル基」としては、例
えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−
ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペン
チル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチル
ペンチル、2−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチ
ル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2
−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチ
ルブチルのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖ア
ルキル基を示し、好適には炭素数1乃至4個のアルキル
基である。
R1、R2、R5及びR6の定義における「シクロアルキル
基」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルのような3
乃至7員飽和環状炭化水素基を示し、好適には5乃至7
員飽和環状炭化水素基である。
R1、R3、R4、R5及びR6の定義における「アリール基」
としては、例えばフェニル、ナフチルのような炭素数5
乃至12個の芳香族炭化水素基を挙げることができ、好適
にはフェニル基である。尚、かかるアリール基は、その
環上に置換基を有していてもよく。該環状上の置換基と
しては、アミノ基;ニトロ基;シアノ基;アルボキシ
基;カルバモイル基;弗素原子,塩素原子、臭素原子、
沃素原子のようなハロゲン原子;前記低級アルキル基;
低級アルコキシ基又はトリフルオロメチル、トリクロロ
メチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモ
メチル、フルオロメチル、2,2,2−トリクロロメチル、
2,2,2−トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2−
クロロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジブロモエ
チルのようなハロゲノ低級アルキル基を挙げることがで
き、好適には、ハロゲン原子又はハロゲノ低級アルキル
基である。
R1の定義における「複素環基」としては、硫黄原子、
酸素原子又は/及び窒素原子を1乃至3個含む5乃至7
員複素環基を示し、例えばフリル、チエニル、ピロリ
ル、アゼピニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピ
ラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリ
ル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジア
ゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾアゾリ
ル、ピラニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニ
ル、ピラジニル及びこれらの基に対応する、部分若しく
は完全還元型の基を挙げることができ、好適には、窒素
原子を少なくとも1個含み、酸素原子又は硫黄原子を含
んでいてもよい5乃至7員複素環基を示し、例えば、ピ
ロリル、アゼピニル、モルホリニル、チオモルホリニ
ル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキ
サゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキ
サジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジア
ゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピ
ラジニル及びこれらの基に対応する、部分若しくは完全
還元型の基を挙げることができ、さらに好適には、イミ
ダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル
及びこれらの基に対応する、部分若しくは完全還元型の
基である。
R1及びR3の定義における「保護されていてもよいカル
ボキシ基」の保護基とは、反応における保護基を示し、
例えば、前記低級アルキル基;前記ハロゲノ低級アルキ
ル基;ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、
α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、ジフェニル
メチル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニル
メチル、9−アンスリルメチルのような1乃至3個のア
リール基で置換された低級アルキル基、4−メチルベン
ジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,4,5−トリメチル
ベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニ
ルジフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4−ニトロ
ベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、
4−シアノベンジル、4−シアノベンジルジフェニルメ
チル、ビス(2−ニトロフェニル)メチル、ピペロニル
のような低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、ハロ
ゲン、シアノ基でアリール環が置換された1乃至3個の
アリール基で置換された低級アルキル基等のアラルキル
基等の反応における保護基を挙げることができる。
R2の定義における「保護されていてもよい水酸基」の
保護基としては、反応における保護基を示し、例えば、
ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イオブ
チリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバ
レリル、オクタノイル、ラウロイル、ミリストイル、ト
リデカノイル、パルミトイル、ステアロイルのようなア
ルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチ
ル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのよう
なハロゲン化アルキルカルボニル基、メトキシアセチル
のような低級アルコキシアルキルカルボニル基、(E)
−2−メチル−2−ブテノイルのような不飽和アルキル
カルボニル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル、α−ナ
フトイル、β−ナフトイルのようなアリールカルボニル
基、2−ブロモベンゾイル、4−クロロベンゾイルのよ
うなハロゲン化アリールカルボニル基、2,4,6−トリメ
チルベンゾイル、4−トルオイルのような低級アルキル
化アリールカルボニル基、4−アニソイルのような低級
アルコキシ化アリールカルボニル基、4−ニトロベンゾ
イル、2−ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリール
カルボニル基、2−(メトキシカルボニル)ベンゾイル
のような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニ
ル基、4−フェニルベンゾイルのようなアリール化アリ
ールカルボニル基等の芳香族アシル基;テトラヒドロピ
ラン−2−イル、3−ブロモテトラヒドロピラン−2−
イル、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル、テ
トラヒドロチオピラン−2−イル、4−メトキシテトラ
ヒドロチオピラン−4−イルのようなテトラヒドロピラ
ニル又はテトラヒドロチオピラニル基;テトラヒドロフ
ラン−2−イル、テトラヒドロチオフラン−2−イルの
ようなテトラヒドロフラニル又はテトラヒドロチオフラ
ニル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプ
ロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メ
チルジイソプロピルシリル、メチルジ−t−ブチルシリ
ル、トリイソプロピルシリルのようなトリ低級アルキル
シリル基、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルブチル
シリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイ
ソプロピルシリルのような1乃至2個のアリール基で置
換されたトリ低級アルキルシリル基等のシリル基;メト
キシメチル、1,1−ジメチル−1−メトイシメチル、エ
トキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチ
ル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルのような低級
アルコキシメチル基、2−メトキシエトキシメチルのよ
うな低級アルコキシ化低級アルコキシメチル基、2,2,2
−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキ
シ)メチルのようなハロゲン化低級アルコキシメチル等
のアルコキシメチル基;1−エトキシエチル、1−メチル
−1−メトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル
のような低級アルコキシ化エチル基、2,2,2−トリクロ
ロエチルのようなハロゲン化エチル基、2−(フェニル
ゼレニル)エチルのようなアリールゼレニル化エチル基
等の置換エチル基;前記アラルキル基;メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、
イソブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボ
ニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−
トリメチルシリルエトキシカルボニルのようなハロゲン
又はトリ低級アルキルシリル基で置換された低級アルコ
キシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ビニル
オキシカルボニル、アリルオキシカルボニルのようなア
ルケニルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニ
ル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジ
メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボ
ニルのような、1乃至2個の低級アルコキシ又はニトロ
基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキ
シカルボニル基のような反応における保護基を挙げるこ
とができる。
Xの定義における「脱離基」としては、塩素、臭素、
沃素のようなハロゲン原子又はアセトキシ、プロピオニ
ルオキシのようなアルキルカルボニルオキシ基、クロロ
アセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロ
アセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシのような
ハロゲン化アルキルカルボニルオキシ基、メトキシアセ
チルオキシのような低級アルコキシアルキルカルボニル
オキシ基、(E)−2−メチル−2−ブテノイルオキシ
のような不飽和アルキルカルボニルオキシ基等の脂肪族
アシルオキシ基;ベンゾイルオキシのようなアリールカ
ルボニルオキシ基、2−ブロモベンゾイルオキシ、4−
クロロベンゾイルオキシのようなハロゲン化アリールカ
ルボニルオキシ基、2,4,6−トリメチルベンゾイルオキ
シ、4−トルオイルオキシのような低級アルキル化アリ
ールカルボニルオキシ基、4−アニソイルオキシのよう
な低級アルコキシ化アリールカルボニルオキシ基、4−
ニトロベンゾイルオキシ、2−ニトロベンゾイルオキシ
のようなニトロ化アリールカルボニルオキシ基等の芳香
族アシルオキシ基;トリクロロメチルオキシのようなト
リハロゲノメチルオキシ基;メタンスルホニルオキシ、
エタンスルホニルオキシのような低級アルカンスルホニ
ルオキシ基;トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペ
ンタフルオロエタンスルホニルオキシのようなハロゲノ
低級アルカンスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニル
オキシ、パラトルエンスルホニルオキシのようなアリー
ルスルホニルオキシ基等のアシルオキシ基を挙げること
ができる。
尚、一般式(II)を有する化合物の「水酸基をアシル
化し、次いで、かかるアシルオキシ基を脱離」の記載に
おける「アシルオキシ基」は、上記アシルオキシ基と同
様の基を示す。
一般式(IV)を有する化合物をアルキル化する際に使
用する「アルキル化剤」は、通常、二重結合に対し、ア
ルキル化できる試薬であれば特に限定はないが、ジメチ
ル銅リチウム、ジエチル銅リチウムのようなジ置換低級
アルキル銅リチウム化合物が好適である。
本発明の化合物は、塩にすることができるが、そのよ
うな塩としては、好適にはナトリウム塩、カリウム塩又
はカルシウム塩のようなアルキル金属又はアルキル土類
金属の塩;弗素水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化
水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素
酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;及びメタンスルホ
ン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスル
ホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩、ベンゼン
スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ
ールスルホン酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン
酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩を
挙げることができる。
本発明の化合物(I)、(II)、(III)、(IV)、
(V)、(VI)及び(VII)は、分子内に不斉炭素を有
し、各々がS配位、R配位である立体異性体が存在する
が、その各々、或いはそれらの混合物のいずれも本発明
に包含される。
本願化合物において、好適な化合物としては、 (1)R1が、置換されていてもよい低級アルキル基[該
置換基としては、シクロアルキル基、アリール基、複素
環基、保護されていてもよいカルボキシ基、水酸基又は
一般式−OR4を有する基(式中、R4は、低級アルキル基
を示す。)]である化合物、 (2)R3が、置換されていてもよい低級アルキル基(該
置換基としては、シクロアルキル、アリル若しくはアリ
ールを示す。)保護されていてもよいカルボキシ基又は
一般式−COR4を有する基(式中、R4は、低級アルキル基
又はアリール基を示す。)である化合物、 (3)R5及びR6が、同一又は異なって、水素原子、置換
されていてもよい低級アルキル基(該置換基としては、
シクロアルキル、アリル若しくはアリールを示す。)、
シクロアルキル、アリル又はアリールである化合物、 (4)Xが、ハロゲン原子、低級アルカンスルホニルオ
キシ基又はアロゲノ低級アルカンスルホニルオキシ基で
ある化合物 を挙げることができる。
本発明の化合物は、以下に記載する方法によって製造
することができる。
上記式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記と同
意義を示し、 R8は、R2の定義における「保護されていてもよい水酸
基」の保護基と同様の基を示し、 R9及びR10は、同一又は異なって、置換されていても
よい低級アルキル基[該置換基としては、シクロアルキ
ル基、アリール基、複素環基、保護されていてもよいカ
ルボキシ基、シアノ基又は一般式−COR4、−OR4、−S
R4、−SC2R4若しくは−OCOR4を有する基(式中、R4は、
水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。)を
示す。]、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、
保護されていてもよいカルボキシ基、シアノ基又は一般
式−COR4、−OR4、−SR4、−SO2R4若しくは−OCOR4を有
する基(式中、R4は、前記と同意義を示す。)を示す
か、又はR9及びR10が、隣接する炭素原子と一緒になっ
てシクロアルキル基を示し、 R11は、一般式−OR11を有する基として、Xの定義に
おける「脱離基」において記載したアシルオキシ基と同
様の基を示す。
第1工程は、化合物(VIII)を、化合物(IX)のウィ
ティヒ試薬と常法に従って反応させ、化合物(X)を製
造する工程である。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質
をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好
適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族
炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、のようなエス
テル類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジメトキシエタンのようなエーテル類;ヘキサンのよう
な炭化水素類又はシクロヘキサンのような脂環式炭化水
素類を挙げることができる。
反応温度は−20℃乃至100℃で行なわれ、反応時間
は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種
類によって異なるが、通常0.5時間乃至1日間である。
尚、原料化合物は、公知化合物であり、例えば、バル
ベルデ等の方法[S.Valverde,B.Herradon,R.M.Rabanal,
and M.Martin−homas,Can.J.Chem.,65,339(1987)]に
従って合成される。
第2工程は、化合物(X)を、アセトンのようなケト
ン類中、−20℃乃至50℃で、ジョーンズ試薬のような酸
化剤を使用して、酸化し、共役したエノン化合物(XI)
を製造する工程である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用され
る溶媒の種類によって異なるが、通常1乃至60分間であ
る。
第3工程は、化合物(XI)の2箇所の二重結合を、接
触還元により還元し、化合物(II)を製造する工程であ
る。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出力物質
をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好
適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族
炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルムのような
ハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、の
ようなエステル類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、シク
ロヘキサンのような脂環式炭化水素類又はヘキサンのよ
うな炭化水素類を挙げることができる。
使用される触媒としては、通常、接触還元に使用され
る還元剤であれば特に限定はないが、好適には、パラジ
ウム炭素、パラジウム黒、酸化白金、ラネーニッケルを
挙げることができる。
反応温度は0℃乃至100℃で行なわれるが、好適に
は、20℃乃至30℃である。反応時間は、主に反応温度、
原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なる
が、通常1時間乃至1日間である。
第4工程は、化合物(II)と一般式(R5)(R6)C=
0を有する化合物(式中、R5及びR6は前記と同意義を示
す。)を反応させ、ラクトン環のカルボニルに隣接する
メチレンに置換基を導入し、化合物(III)を製造する
工程である。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質
をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好
適には、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジメトキシメタンのようなエーテル類、シクロヘキサン
のような脂環式炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド
のようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスル
ホキシド類又はペンタン、ヘキサンのような炭化水素類
を挙げることができる。
使用される塩基としては、通常の反応において塩基と
して使用されるものであれば特に限定はないが、好適に
は炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属
炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのよう
なアルカリ金属炭酸水素塩;水素化リチウム、水素化ナ
トリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化
物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウ
ムのようなアルカリ金属水酸化物等の無機塩基類;トリ
エチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチ
ルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミ
ノ)ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアビジ
シクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ
[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデク−7−エン(DBU)のような有機塩基類又はブチ
ルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム
ビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチ
ルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド
のような有機金属塩基類を挙げることができる。
反応温度は−78℃乃至50℃で行なわれるが、好適に
は、−78℃乃至0℃である。反応時間は、主に反応温
度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異な
るが、通常1分乃至5時間である。
尚、この反応において、生成した水酸基が脱離し、一
工程で化合物(IV)を製造できる場合がある。
第5工程及び第6工程は、一工程で、脱水したオレフ
ィン化合物(IV)が得られない場合に行なう所望の工程
である。
反応は、酢酸エチル、酢酸プロピル、のようなエステ
ル類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジメトキシメタンのようなエーテル類;メチレンク
ロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;
シクロヘキサンのような脂環式炭化水素類;ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホス
ホロトリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシ
ドのようなスルホキシド類又はペンタン、ヘキサンのよ
うな炭化水素類等の溶媒中で、第4工程記載の塩基存在
下、メタンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルク
ロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、無水
トリフルオロメタンスルホン酸のような、酸素原子に置
換して一緒になって「脱離基」となる化合物と反応さ
せ、化合物(XII)を製造し(第5工程)、次いで、常
法に従って、上記塩基等と、更に反応させることによ
り、二重結合を有する化合物(IV)を製造する(第6工
程)ことにより実施される。
反応温度は−50℃乃至50℃で行なわれるが、好適に
は、0℃乃至25℃である。反応時間は、主に反応温度、
原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なる
が、通常1分乃至5時間である。
第7工程は、化合物(IV)のα,β−共役不飽和ラク
トンのβ位にアルキル化を行い、化合物(V)を製造す
る工程である。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質
をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好
適には、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジメトキシメタンのようなエーテル類を挙げることがで
きる。
使用される試薬は、前記アルキル化剤である。
反応温度は−98℃乃至50℃で行なわれるが、好適に
は、−78℃乃至−30℃である。反応時間は、主に反応温
度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異な
るが、通常1分乃至5時間である。
第8工程は、上記第7工程で製造した化合物のコンフ
ィギュレーションの異性体(2R,4S,5R)及び(2S,4S,5
R)を、常法に従って、クロマトグラフィーで分離する
工程である。
又、所望により、上記(2R,4S,5R)異性体を(2S,4S,
5R)異性体に変換することができる。
反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドのような極性溶媒中、DBUのような有機塩基存在下、5
0〜150℃で加熱することにより、又はテトラヒドロフラ
ン、エーテルのようなエーテル類中、リチウム ビスト
リメチルシリルアミド、カリウム ビストリメチルシリ
ルアミド、ナトリウム ビストリメチルシリルアミドの
ようなアルカリ金属、シリルアミド類、リチウム ジイ
ソプロピルアミド、カリウム ジイソプロピルアミドの
ようなアルカリ金属 ジ置換低級アルキルアミド類の存
在下、−78℃〜0℃で反応させることにより達成され
る。
第9工程は、化合物(II)のα位を、直接アシル化又
はアルキル化することにより、本願発明化合物(I)を
製造する工程である。
反応は、テトラヒドロフラン、エーテル、ジメトキシ
エタンのようなエーテル類中、リチウム ビストリメチ
ルシリルアミド、カリウム ビストリメチルシリルアミ
ド、ナトリウム ビストリメチルシリルアミドのような
アルキル金属 シリルアミド類、リチウム ジイソプロ
ピルアミド、カリウム ジイソプロピルアミドのような
アルカリ金属 ジ置換低級アルキルアミド類等の塩基の
存在下、一般式R3−Xで表わされる化合物(式中、R3
びXは、前記と同意義を示す。)と、−78〜50℃で、10
分〜10時間反応させることにより達成される。
第10工程は、化合物(I)のR2の水酸基の保護基を除
去し、水酸基を生成させ、五員環ラクトン(VI)へと環
の巻き直しを行なう工程である。
反応は、硫酸、塩酸、燐酸のような鉱酸を含む水又は
メタノール、エタノールのようなアルコール類溶媒中、
0〜100℃で、数分乃至数時間反応させることにより達
成される 第11工程は、化合物(VI)の水酸基をコンフィギュレ
ーションの反転を起しながらアジド基に置換し、化合物
(XIII)を製造する工程である。
水酸基を、第5工程に準じて、脱離基に変換し、アジ
ド基に反応させ、二工程で導入するか、光延反応を利用
し、一工程でアジド基を導入することにより達成され
る。
即ち、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシ
エタン、エーテルのようなエーテル類;メチレンクロリ
ド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸
エチルのようなエステル類;ベンゼン、トルエン、キシ
レンのような芳香族炭化水素類;ヘキサンのような脂肪
族炭化水素類等の溶媒中、0〜100℃で、ジエチルアゾ
ジカルボキシレートのようなジ置換低級アルリウアゾジ
カルボキシレート類及びトリフェニルホスフィンのよう
なトリ置換アリールホスフィン類と反応させ、更に、ジ
フェニルホスホリルアジドのような置換アリールホスホ
リルアジド類を加えることにより化合物(XIII)を製造
することができる。
第12工程は、化合物(XIII)のアジド基をアミノ基に
還元し、化合物(XIV)を製造する工程である。
反応は、ヘキサン、ヘプタン、ペンタンのような脂肪
族炭化水素類;メタノール、エタノールのようなアルコ
ール類;酢酸エチルのようなエステル類;ベンゼン、ト
ルエンのような芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラ
ン、エーテル、ジオキサンのようなエーテル類等の有機
溶媒中、パラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金の
ような触媒を使用し、0〜100℃で、数分乃至数日間、
加水素分解をすることにより達成されるか、トリフェニ
ルホスンフィン−水にて還元するか、水はトリメチレン
ジチオール/トリエチルアミン処理により、収率よく目
的化合物(XIV)を得ることができる。
第13工程は、化合物(XIV)のラクトン環を、常法に
従って、開環させ、ホモスタチン誘導体(VII)を製造
する工程である。
上記各工程の反応終了後、目的化合物は常法に従っ
て、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物に
水と混和しない有機溶媒を加え、水洗後、溶剤を留去す
ることによって得られる。得られた目的化合物は必要な
らば、常法、例えば再結晶、再沈殿又はクロマトグラフ
ィー等によって更に精製できる。
[効果] 本発明の、新規な中間体及びその製法等により、3か
所の不斉炭素原子に基づく8種の異性体のうち、目的と
する立体異性体が、高収率でしかも簡便な分離精製によ
り得られることとなった。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明す
る。
以下、R2′は、t−ブチルジメチルシリルオキシ基を
示し、R8′は、エチル基を示す。
実施例1 (2S,5S,6R)−5−(t−ブチルジメチルシリルオキ
シ)−6−シクロヘキシリデンメチル−2−エトキシ−
5,6−ジヒドロ−2H−ピラン シクロヘキシルトリフェニルフォスフォニウムブロマ
イド17.0g(39.7mmol)のテトラヒドロフラン100ml懸濁
液に、ヘキサメチルジシラザン6.4g(39.7mmol)のテト
ラヒドロフラン50ml溶液にn−ブチルリチウム(1.6M,2
5ml)のヘキサン溶液を加えて得られるリチウム塩を加
え、45分間還流させた。氷冷して、アルデヒド体5.68g
(19.8mmol)にテトラヒドロフラン30mlを加え、室温で
1.5時間撹拌した。そのまま濾過・濃縮し、シリカゲル
カラム上に少量のメチレンクロリドにて溶解してのせ、
シクロヘキサン−酢酸エチル=9:1にて溶出し、4.68g
(67%)の香気を有する油状目的物を得た。
60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.01(3
H,s);0.05(3H,s):0.86(9H,s);1.21(3H,t,J=7H
z);1.4−1.75(6H,m);1.9−2.4(4H,m);3.3−4.1(3
H,m);4.43(1H,t,J=9Hz);4.94(1H,m);5.07(1H,d,
J=9Hz);5.5−5.95(2H,m). 赤外吸収スペクトラム(フィルム);νmaxcm−1:2930,
2860. マススペクトラム(m/z):307(M+−C2H5O);295(M+
C4H9);228,143. 実施例2 (5S,6R)−5−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−シクロヘキシリデンメチル−5,6−ジヒドロ−2H
−ピラン−2−オン 原料化合物4.94g(14mmol)をアセトン300mlに溶解
し、粉末無水硫酸マグネシウム10gを加え、0〜5℃に
冷却した。激しく撹拌しながら、ジョーンズの酸化剤40
mlを加え、10分間撹拌を続けた。氷冷下、飽和重曹水
(35gの重曹を含む)を加え中和し、濾過・濃縮し、酢
酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を重曹水と食塩水で
洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過・濃縮し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、シクロヘキ
サン:酢酸エチル=9:1で溶出すると、結晶として香気
を有する目的物2.58g(57%)を得た。
60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.07(3
H,s);0.11(3H,s);0.89(9H,s);1.3−1.8(6H,m);
1.9−2.4(4H,m);4.27(1H,dm,J=8.5,<2Hz);4.94
(1H,t,J=8.5Hz);5.15(1H,dd,J=2,8.5Hz);5.90(1
H,dd,J=2,10Hz);6.71(1H,dd,J=2,10Hz). 赤外吸収スペクトラム(フィルム);νmaxcm−1:1733,
1670(W). マススペクトラム(m/z):265(M+−57). 融点:58〜59℃(n−ヘキサンから再結晶(−20
℃)). 実施例3 (5S,6R)−5−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−シクロヘキシリデンメチル−テトラヒドロ−2H−
ピラン−2−オン 原料化合物2.04g(6.32mmol)を酢酸エチル250mlに溶
解し、5%パラジウム炭素1.0gを加えて室温で水素添加
した。触媒を濾去濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにて精製した。
シクロヘキサン−酢酸エチル(9:1)にて溶出すると目
的物が結晶として1.78g(86.2%)得られた。
60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.08(6
H,s);0.88(9H,s):0.9−2.2(15H,m);2.4−3.0(2H,
m);3.5−3.9(1H,m);4.0−4.5(1H,m). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール);νmaxcm−1:174
0. 融点:76〜78℃(n−ヘキサンから再結晶(−20
℃)). 実施例4 (5S,6R,3E)−5−(t−ブチルジメチルシリルオキ
シ)−6−シクロヘキシリデンメチル−3−エチリデン
−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン 原料化合物2.143g(6.57mmol)を乾燥テトラヒドロフ
ラン25mlに溶解し、−78℃に冷却した。窒素気流下、HN
(SiMe322.12g(13.1mmol)のテトラヒドロフラン10m
l溶液に室温でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶
液)8.2mlを加えて調製したリチウム塩を加えた。10分
撹拌した後、アセトアルデヒド5mlにテトラヒドロフラ
ン5mlを加えた溶液を加えた。−78℃で15分間撹拌し、
酢酸2mlのテトラヒドロフラン4ml溶液を加えて中和し
た。酢酸エチルで希釈し、重曹水、食塩水で洗い、硫酸
マグネシウムで乾燥し、濾過・濃縮した後、シリカゲル
カラムクロマトにて精製した。シクロへキサン−酢酸エ
チル(5:1〜1:1)にて溶出し、2.69gの2位ヒドロキシ
エチル体を得た。ピリジン40mlに溶解し、メタンスルホ
ニルクロリド1.5gを加え、室温で1.5時間反応させた。
減圧下濃縮しピリジンを除き、酢酸エチルにて希釈し、
重曹水、食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾
過・濃縮した。油状の残査をテトラヒドロフラン50mlに
溶解し、DBN2.0gを加え、室温にて1時間撹拌した。酢
酸エチルにて希釈し、希塩酸、重曹水、食塩水で順次洗
い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過・濃縮した後、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。シク
ロヘキサン−酢酸エチル(19:1)で溶出すると、Rf値が
上の化合物0.188g、Rf値が下の化合物1.712gの計1.90g
(82%)を得た。
[Rf値が上の化合物=Z−異性体] 60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.07(6
H,s);0.7−2.0(25H,m,(0.90,9H,s)含む);2.2(3H,
ddd,);2.3−2.8(2H,m);3.4−3.9(1H,m);3.9−4.3
(1H,m);5.9−6.4(1H,m). 赤外吸収スペクトラム(フィルム):νmaxcm−1:1723,
1638. マススペクトラム(m/z):353(M++1). [Rf値が下の化合物=E−異性体] 60MHZ 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm,0.09(6
H,s);0.7−1.9(25H,m,(0.88,9H,s),(1.78,3H,dd,
J=1.7Hz)含む);2.2−3.0(2H,m);3.5−3.9(1H,
m);4.0−4.4(1H,m);6.9−7.4(1H,m). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:171
8,1643. マススペクトラム(m/z):353(M++1). 融点:68〜69℃(n−ヘキサンから再結晶(−20
℃)). 実施例5 (3S,5S,6R)−及び(3R,5S,6R)−5−(t−ブチルジ
メチルシリルオイシ)−6−シクロヘキシリデンメチル
−3−イソプロピル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−
オン E・Z−異性体の混合物1.787g(5.10mmol)の乾燥エ
ーテル溶液40mlを、ヨウ化第一銅5.83gのエーテル50ml
懸濁液に0℃で、メチルリチウム(1.59Mエーテル溶
液)38.5mlを加えて調製したジメチル銅リチウム溶液
に、氷冷窒素気流下、滴下した。15分撹拌した後、酢酸
4mlのエーテル40ml溶液を加えた。酢酸エチルで希釈
し、重曹水、食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥
し、濾過・濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにて精製した。シクロヘキサン−酢酸エチル(1
9:1)で溶出すると、はじめに〔3R,5S,6R〕異性体0.940
g、次いで〔3S,5S,6R〕異性体0.939gを得た。
[〔3R,5S,6R〕異性体] 60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.07(6
H,s);0.86(9H,s);0.92(3H,d,J=7Hz);0.99(3H,d,
J=7Hz);1.0−2.0(15H,m);2.0−2.9(2H,m);3.5−
4.4(2H,m). 赤外級数スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:174
0. マススペクトラム(m/z):369(M++1). 融点:45−47℃. [〔3S,5S,6R〕異性体] 60MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.08(6
H,s);0.87(9H,s);0.94(3H,d,J=7Hz);0.96(3H,d,
J=7Hz);1.0−2.1(15H,m);2.1−2.8(2H,m);3.4−
4.3(2H,m). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:173
0. マススペクトラム(m/z):369(M++1). 融点:81−87℃. 実施例6 (3S,5S,6R)−5−(t−ブチルジメチルシリルオキ
シ)−6−シクロヘキシリデンメチル−3−イソプロピ
ル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン (3R,5S,6R)異性体100mgをテトラヒドロフラン1mlに
溶解し、リチウムビストリメチルシリルアミド15mgのテ
トラヒドロフラン溶液(1ml)を加え、−78℃で10分間
撹拌した。20mgの酢酸を加え、酢酸エチルにて抽出し
た。常法に従って処理した後、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにて精製した。(3S,5S,6R)異性体48mgが
得られ、原料(3R,5S,6R)体49mgを回収した。
実施例7 (3S,5S)−3−イソプロピル−5−[(1R)−1−ヒ
ドロキシ−2−シクロヘキシルエチル]−ジヒドロ−2
(3H)−フラノン 原料化合物60mgを、メタノール5ml、希塩酸(濃塩
酸:水=1.3)1mlの溶液にし、20分間還流させた。減圧
下濃縮すると結晶39mgを得た。
270MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.82−
0.92(1H,m);0.95(3H,d,J=6.8Hz);1.03(3H,d,J=
6.8Hz);1.13−1.30(5H,m);1.32−1.40(1H,m);1.40
−1.55(1H,m);1.60−1.80(5H,m);1.97(1H,ddd,J=
6.8,8.3,13.2Hz),2.16(1H,m);2.29(1H,ddd,J=5.4,
10.3,13.2Hz);2.66(1H,ddd,J=5.4,6.8,9.8Hz);4.32
(1H,ddd,J=3.4,5.4,8.3Hz). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:345
0,1733. 融点:88〜90℃(n−ヘキサンから再結晶). 実施例8 (3S,5S)−3−イソプロピル−5−[(1S)−1−ア
ジド−2−シクロヘキシルエチル]−ジヒドロ−2(3
H)−フラノン 原料化合物200mgのテトラヒドロフラン8ml溶液にトリ
フェニルフォスフィン311mgとジエチルアゾジカルボキ
シレート206mgを加えた。5分間室温撹拌し、ジフェニ
ルフォスフォリルアジド326mgのテトラヒドロフラン1ml
溶液を加えた。1時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、希
塩酸、重曹水、食塩水で洗った。硫酸マグネシウムで乾
燥し、濾過・濃縮した後、シリカゲルクロマトグラニフ
ィーにて精製した。シクロヘキサン−酢酸エチル(9:
1)で溶出し、目的物221mgを油状物として得た。
270MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.9−1.
8(19H,m);2.08−2.22(3H,m);2.70(1H,ddd,J=4.8,
7.3,9.7Hz);3.39(1H,quint,J=4.0−4.4Hz);4.41(1
H,ddd,J=4.0,5.9,7.7Hz). マススペクトラム(m/z):281,280(M++1). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:211
0,1773. 実施例9 (3S,5S)−3−イソプロピル−5−[(1S)−1−ア
ミノ−2−シクロヘキシルエチル]−ジヒドロ−2(3
H)−フラノン 原料化合物50mgを、酢酸エチル3mlに溶解し、10%パ
ラジウム炭素100mgを加え、室温で3時間加水素分解し
た。触媒を濾去し、減圧濃縮すると目的とするアミン化
合物42mgが得られた。
融点:48−49℃。
270MHz 1H−NMR(重クロロホルム):δ、ppm:0.76−
1.80(21H,m);2.03−2.22(3H,m);2.63(1H,ddd,J=
5.1,6.6,9.5Hz);2.79(1H,m);4.20(1H,dd,J=6.6,1
3.6Hz). 赤外吸収スペクトラム(ヌジョール):νmaxcm−1:336
0,3230,1750.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−39889(JP,A) 特開 昭61−63641(JP,A) 特開 平1−100173(JP,A) 特開 昭60−222452(JP,A) Tetrahedron Let t.,29[3](1988)p.277−280 J.Am.Chem.Soc.,109 [16](1987)p.5031−5033 Carbohydr.Res.,115 (1983)p.288−291 J.Org.Chem.,45[16 ](1980)p.3375−3376 J.Chem.Soc,Perkin Trans.1,[20](1977)p. 2236−2241 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 309/30 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 {式中、R1は、置換されていてもよい低級アルキル基
    [該置換基としては、シクロアルキル基、アリール基ま
    たは複素環基を示す。]を示し、R2は、保護されていて
    もよい水酸基を示し、R3は、置換されていてもよい低級
    アルキル基(該置換基としては、シクロアルキル、アリ
    ル若しくはアリールを示す。)を示す。}で表わされる
    化合物及びその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載の化合物を酸の存在下に、R2
    が保護された水酸基の場合にはR2の保護基を除去すると
    ともに、ラクトン環を開環させ、次いで再閉環させ、 一般式 {式中、R1は、置換されていてもよい低級アルキル基
    [該置換基としては、シクロアルキル基、アリール基ま
    たは複素環基を示す。]を示し、R3は、置換されていて
    もよい低級アルキル基(該置換基としては、シクロアル
    キル、アリル若しくはアリールを示す。)を示す。}を
    有する化合物を製造し、次いで、該化合物の水酸基をア
    ジド基に置換して、 一般式 (式中、R1及びR3は前記と同意義を示す。)を有する化
    合物を製造し、さらに、該化合物のアジド基をアミノ基
    に還元することを特徴とする、 一般式 (式中、R1及びR3は前記と同意義を示す。)を有する化
    合物及びその塩を製造する方法。
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